律「ゆかた!」 (18)

昨晩

澪『そうだ。明日って町内会の夏祭りだよな』

律「あー、そういやそんな季節か」

律(毎年、近所の空き地では町内会の有志や子供会のPTAが主催する小規模な夏祭りがある)

律(ほぼ小学生が中心となる祭りなので、私たちはもう参加するような歳ではないのだが)

律(なんとなく子供の頃からの習慣で、毎年二人でこの夏祭りには行っていた)

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律『行く?』

澪『暇だし』

律(特に用事が無ければ二人で参加するのが、毎年のなんとなくのお約束みたいなものだ)

律『じゃあ行くか』

澪『うん。それじゃ、いつもの場所で、いつもの時間に』

律『りょーかい』

律(待ち合わせ場所も時間も、毎年お決まりだ)

律「祭りかー」

律(軽音部のみんなとはこの前、花火見に行ったからなぁ)

律「あ」

律「お母さーん、浴衣って洗濯した後どこ仕舞ったっけー?」

律(この前とおんなじ浴衣でいいだろ。新しいの買うまでもないし)

律「明日、あんまり暑くないといいけど」

翌日・夕方

律「行ってきまーす」ガチャ バタン

律(りっちゃんにしては珍しく5分前行動だぜ)

律「うん。日中晴れてたにしちゃあ、思ったより涼しいな」

律「澪はまだ来てないかな?」

律(どちらかの家に迎えに行くのではなく、祭り会場のそばで待ち合わせして行く)

律(なぜか毎年そうしてる)

律「・・・ちょっと早かったかな?」

律(澪は遅刻するタイプじゃないが・・・なんか手間取ってんのかな?)

律「髪長いしなー。こないだの花火みたいに結ってんのかも」

律(私はやっぱ短い方が楽だわ)

澪「律、お待たせ」

律「お、来たかー・・・って」

律(こ、こいつ・・・!)

律(Tシャツとジーパンで来やがった!!)

澪「?」

澪「あ、律今日は浴衣なんだな。似合ってる似合ってる」

律(似合ってる似合ってるじゃねーよ!先週の花火と同じ浴衣だっつの!)

律(ああもうっ!下はクロックス履いて来てやがるしっ!!)

律「ふ・・・」

澪「ふ?」

律「普通逆だろっ!!」

律(謎のキレ方をした私であった)

律「なんで私がTシャツで、澪が浴衣じゃないんだよっ!」

澪「ええっ!?なんだよそれ」

律「ふつー澪の方が浴衣だろ!?黒ロングだし!」

澪「私が近所で浴衣で出歩くわけないだろっ!恥ずかしいし!」

律「ぐぬぬ・・・だからってコンビニ行くみたいなカッコで来るかよ普通っ!」

澪「コンビニ行くみたいなって。いや、毎年こんなもんだろ?」

律「えっ?」

澪「去年の夏祭りもこんな服装だったし、律だってたしかハーフパンツかなんか履いてたと思うぞ?」

律「・・・」

律(昨年の、いや、過去の夏祭りをあらかた思い返す私)

澪「近所の夏祭りにだし、だいたい普段着で来てただろ」

律「あ、あれ?そう言えば・・・」

律(あー、やべ、私・・・)

律「この前軽音部で行った花火祭りで、みんなで浴衣着て行ってたから・・・」

澪「祭り=浴衣着て行かないと!みたいな?」

律「う、うわっ!」かぁぁ

律「わっ、私っ!急いで家帰って着替えて来るっ!」ダッ

澪「まぁまぁまぁまぁ」ぐいっ

律「うっわ、よく見たら周りの子供にも浴衣着てるヤツいねー!私だけだ!!」バタバタ

澪「似合ってるぞー律~」ぐいーーっ

律「なんだこれ、なんだこれ!なんで私今日浴衣着て来ちゃったんだ!?」バタバタバタバタ

澪「今日の律は先週と違って前髪下ろしてるんだなっ!うん、かわいい!」にやにや

律「うっせー!今日の私を褒めるなっ!かわいいとか言うなぁーーーーッ!!」

続き期待

根強いファンがいて良いね

律「うぅ~・・・」ズルズル

澪「~~♪」にこにこ

律(澪に手を掴まれ、連行される私)

律「・・・なぁ、ホントにこの格好で祭り出歩くのか?」

澪「うんっ!浴衣の律を連れ回したいっ」にこにこ

律「連れ回したいって・・・」

澪「~~♪」にっこ~

律(ああ、ダメだわ。テンション振り切りった澪には何言っても無駄だわ)

澪「律っ!かき氷食べよう!かき氷っ!」ふんすっふんすっ

律「へいへい」

けいおんとは懐かしい・・・

律(露店のテントでは町内会長さんがかき氷を100円で売っていた。シロップはイチゴ味のみらしい)

律「あ~、このジャリジャリの氷と安っぽいシロップ」シャグシャグ

澪「ああ゛、そしてこのキーンとくる頭の痛み・・・」キーーン!

律「夏って感じだよな」キーーン!

澪「うん。夏祭りはやっぱりこれだなっ」

律「はぁ。なぁ澪。なんかめっちゃ周りの人に見られてる気がするんだよね」

澪「浴衣姿の女の子が居たら、思わず見ちゃうもんだろ?」

律「・・・やっぱり帰っちゃダメ?」

澪「もちろんダメだ」ぎゅっ

澪「もうちょっと浴衣の律をみんなに見せびらかしたいっ!」

律「見せびらかされたくないから言ってんだよっ!!」

澪「いいだろもう少しくらい。かわいいんだし」

律「・・・うっせー!」ぷいっ

澪「ほら律っ!次はヨーヨーすくいしよう!」ぐいっ

律「ああっ、もう!」

律(やれやれ、今日の澪は絶好調だな・・・)

律(豆電球式の提灯が燈る申し訳程度の高さのやぐらの上から、CDプレイヤーで流される祭囃子の音が聞こえる)

澪「律、次はあっちだ!」ぎゅっ

律「へいへい」てくてく

律(私は澪に手を引かれ、祭りの露店を廻る)

律(・・・小さい頃は、私の方が澪の手を引っ張って祭りを見てまわってたんだよなぁ)

律「かわいい、か」ぼそっ

澪「ん、今なにか言ったか?」

律「いいや、別に」

澪「そうか?」

律「ただ、こういう祭りもたまには良いかなって思っただけ」

澪「そうかっ!」

律(ごきげんの澪に手を引かれ、ご近所さん全員に私の浴衣姿は晒された)

律(こっちは下駄なんだ。もっとゆっくり歩けっ!)


おしまい!

乙!

乙!
これが新手の羞恥プレイか

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