※書き溜めなし
※展開とか全く考えてない
※作者は頭がおかしい
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男「本日はどういった用件で?」
幽霊「あのぅ、そろそろ成仏したくてここにきたんですけど。」
男「まぁここに来る方々の目的は皆、成仏することですからそれは当然ですけどね。」
男「つまり私が言いたいのは『あなたの未練は何ですか?』ってことなんですよ。」
幽霊「…というと?」
男「あら、いまいち伝わってないのね。え~と、未練なんてものは幽霊それぞれでしょう?」
男「女性と付き合ったことがない、女性と会話をしたことがない、女性と目を合わせたことがないなど、様々です。」
幽霊「大分偏っている気がするんですけど。」
男「で、私共の仕事はその未練を晴らす手伝いをすること、ここまでは理解していますね?」
幽霊「あ、つまりここは『幽霊の未練を晴らすことで成仏させる』場所なんですね?」
男「うん、理解していなかったようですね。じゃあ何故こちらにおいでなさったんです?」
幽霊「ああ、実は知り合いの幽霊に『あそこに行けば成仏できるよ』って言われたんで。」
男「成仏できるよと紹介した幽霊が成仏できていないとはこれ如何に。」
幽霊「まだこの世を漂っていたいだとかなんとか言っていましたから。」
男「出来れば次回お越しになる時にその知人さんも連れて来てください。」
幽霊「へ?次回?あの、今日成仏できるわけではないんですか?」
男「う~ん、まぁ未練の内容にもよりますけどね。でも大体の方が2~3回は通われますね。」
幽霊「そうなんですか…。そんなに単純な話じゃないってことですね。」
男「単純な話で済んだら態々化けて出る必要はないってことなのでしょう。」
男「それで、あなたはどういった理由で現世に残っているんですか?」
幽霊「ええっと、それがですね、あの、とても言いづらいんですけど…。」
男「他人に言いづらい未練ということは、何か異性が関わっている未練だと?」
幽霊「あ、いえ、そういうわけじゃないんですよ。ただ、あの、」
幽霊「言うのが憚られるというかなんというか、あなたに申し訳ないなって。」
男「お気遣いはありがたいんですけどね、言ってもらわなくちゃこちらも対処ができないので。」
幽霊「あ、はい(なんか言い方が厳しいな…)。」
男「お役所仕事だと思って適当に苛ついといてください。」
幽霊「それをあなたが言っちゃあダメでしょ。ていうか今何で考えているこt」
男「で、未練は?」
幽霊「…あの、実は死んだ時の記憶を無くしてしまいまして。何で死んだのが気になるんです。」
男「なるほど記憶喪失ですか。確かに死んでも死にきれませんよねそれは。」
男「気付いたら死んでいて、しょうがないから成仏しようとはなかなか思えませんからね。」
幽霊「そうなんですよ。このままじゃ心の靄が晴れないというか。」
男「なるほど分かりました記憶喪失ですか。これは時間がかかりそうですねぇ。」
幽霊「やっぱりですか。」
男「記憶喪失が未練という幽霊というケースで非常に多いのが、記憶を取り戻した後に怨みやら何やらに呑まれて暴走することなんですよ。」
幽霊「暴走、ですか?」
男「ええそりゃもう凄まじいですよ?そこら辺にいる怨霊が可愛く思えるくらいですからね。」
幽霊「普通の怨霊よりも、記憶を取り戻してから怨霊になる方が力が強いってことですか?」
男「そうなりますね。苦労して取り戻した記憶が不幸なものだったっていうのが、霊力みたいなものに追い打ちをかけるんですかね?」
幽霊「はぁ、成る程。」
男「いや霊力だとかは私の勝手な推察ですので気になさらずに。それよりも、先ずはこちらの紙にサインをお願いします。」カミトリダシ
幽霊「サイン?一体何故?」
男「先程も申し上げた通り、記憶喪失の場合は面倒事に発展しやすいんです。」
男「なので取り戻した記憶が如何なるものであっても、暴走はしないことを誓う書類、といったところですかね。」
幽霊「は、はぁ。分かりましたけど。」カキカキ
男「はい、ありがとうございます。幽霊さんですか、良い名前ですね。」
幽霊「普通こういうのって最初に名前を訊くものでは?」
男「この会社が創立された当時はそうだったんですけどね、プライバシーの観念から最近は訊かないことにしているんです。」
幽霊「でも私、今サインしたんですけど。」
男「不思議でしょう?このペン幽霊でも持てるんですよ?」
幽霊「話をそらさないでください。確かにそのペンは不思議ですけど。」
数十分後
男「それじゃあ次回から記憶を取り戻す作業に移りたいと思います。本日はありがとうございました。」
幽霊「あ、はい、ありがとうございました。」
男「次は、え~っと、明後日の10時頃なんてどうですか?予定空いていますか?」
幽霊「空いていますけど…ていうか、幽霊に予定なんてあるんですか?」
男「最近はあるんですよねぇ。幽霊同士のコミュニティも増えているようでして。」
幽霊「成仏する気ゼロじゃないですか。」
男「そうなんですよ。あまりにも騒がしいから人間から苦情が入ったりしてね。」
幽霊「え!?私達の姿が見えてるってことですか!?」
男「いや普通は見えませんし聞こえませんよ?でもあまりにも幽霊が集まりすぎているからか、所謂『現象』的なことがね?」
幽霊「現象って…。」
男「それで私達が成仏してくださいって彼らに言うと、『人権がー』だのなんだの。死んでいるくせに何を言っているんだってね。」
幽霊「……。」
男「あ、くだらない話を聞かせてしまいましたね、すみません。」
幽霊「あ、いえいえ。」
男「それじゃあ今回はこの辺で。次の方、どうぞ。」
幽霊「……。」
幽霊「(結局、なんにも進展しなかったなぁ。幽霊の現実を知らされただけって感じだったし。)」
幽霊「(もっとこう、非科学的な要素で成仏させるのかと思ったら、滅茶苦茶地味な方法だったし。)」
幽霊「(でも、次回からは記憶を取り戻す作業に移るって言っていたし、期待して良いのかな?)」
一旦停止
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