先輩「何故貴様は、我の事を怖がらんのじゃ」 (14)

※超超短編
※オリジナル注意

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先輩「何故貴様は、我の事を怖がらんのじゃ」
貴様「んー、先輩だからじゃないっすかね」

先輩「ほう? 聞かせてみよ」

貴様「いやほら、先輩って、伝説の吸血鬼の真の王、ヴァンパイア・ロードな訳じゃないっすか」

先輩「うむ」

貴様「でも、その吸血鬼がバイト中に皿割ったり、ちっちゃくて可愛いからよくお客様にナンパされたりだとか、そういうの見てたら……なんか、ねえ」

先輩「ちっちゃくないわい!」

先輩「ふ、ふん。そう言っていられるのも今のうちじゃぞ、小僧。我はな、こう見えても800年も生きておるのじゃ。今は姿を隠しているだけで、真の姿を見せれば……」

貴様「ババアになるんすか」

先輩「ならんよ! 失礼じゃな貴様! 偉大なる風格が出てな、こう……胸もな……」

貴様「バインバインっすか」

先輩「そう、バインバインって……いや、それはセクハラだろうよ」

貴様「だろうよ」

先輩「何故貴様が言うのだ。全く……貴様は年上に対する敬いが全く足りぬぞ」

貴様「いや、先輩の事は敬ってますよ」

先輩「ほう? どこがじゃ? 言うてみよ」

貴様「まずですね。可愛らしいです」

先輩「う……うん」

貴様「それから、年の功だけに、色々知ってます」

先輩「年は余計じゃ」

貴様「あとですね、からかうのがすっげー楽しいっす」

先輩「やっぱお前敬ってないじゃろ! 明らかにおちょくっておるではないか!」

貴様「いやでも、ほんと、先輩はすごいっすよ。メニューの値段ちゃんと覚えてるし、接客は完璧スマイルだし、後輩にもすげー優しいっす」

先輩「う、うん。……なんだ、その、ちゃんとやれば出来るではないか」

貴様「あと、店長にすぐ歯向かいますよね。この前なんか仕入れの数一桁間違えたっつって……」

先輩「だーやめよ! その話なしじゃ! だーめ、やめっ、テメーやめろ」

貴様「あ、はい」

先輩「はあ……大体あれは店長が悪いんじゃ。我だって間違えは少しぐらいあろうに……」

貴様「でもパセリ一万株はやばいっすよ」

先輩「知ってるよ! 知ってるもんね!」

貴様「……で、今日もするんすか」

先輩「……うむ。なんだ、させて、くれるのか」

貴様「いや、じゃなかったらこんな時間まで残りませんよ」

先輩「……そうか。じゃあ、その。……早く座って」

貴様「へーい。さ、どうぞ」

先輩「……貴様は、何故、こうも我に尽くすのだ」

貴様「先輩のこと、尊敬してるからじゃないっすか。やべーまじぱねーリスペクト。敬い足りぬー」

先輩「茶化すでない! 貴様は、何故、我を怖がらんのじゃ……」

貴様「だから、先輩は、先輩なんすよ」

貴様「吸血鬼だからといって、ドジで愉快で可愛らしい、バイトの先輩であることに変わりないっすから」

先輩「……ん」

貴様「その先輩が腹減ったってゆーんすから。そりゃ、あげますよ。血ぐらい」

先輩「……」

貴様「じゃ、早くどうぞ。首筋にがぶーっと」

先輩「ん、じゃあ、いくぞ。いくからな」

貴様「はーい、……っ」

※ ※ ※ ※ ※


貴様「おいしーっすか」

先輩「うむ、旨い。じゃが、最近余り野菜、食べてないじゃろ」

貴様「あー……そー……すね。結構、血摂られると、どうも肉が食いたくなって」

先輩「仕方のない事じゃが、野菜も食べよ。雑味も増える」

貴様「へーい……りょうかいっす」

先輩「大丈夫か?」

貴様「いや、ちょっとぼーっとしてきただけです。先輩、まだ足りないっしょ。もうちょい、どーぞ」

先輩「じゃが……」

貴様「けっこうこれ、気持ちーんすよ。なんか、人の役に立ってるって感じで……あと、可愛らしい先輩が抱きついてるのは、案外まんざらじゃないっす」

先輩「このまま、血をすべて抜かれるとは思わんのか?」

貴様「思わないっすねー……。先輩そんな人じゃないし」

先輩「我は……鬼じゃぞ。人じゃない」

貴様「そんなの、誰が決めるんすかー……。少なくとも、俺が先輩の事を人と思う限りは、俺らの間じゃ人ですよー……」

先輩「我がそう思っていなくても?」

貴様「じゃあ俺の中だけでもいいっすよ」

先輩「なあ、貴様。このまま吸血鬼にならんか?」

貴様「えー……?」

先輩「我と共に、永遠の時を過ごそうではないか。我は、下僕を持ったことはない。しかし、貴様とならば……あるいは」

貴様「いやー……やめときます」

先輩「っ……そう……か」

貴様「まだ人間世界に未練あるし、家族にもバイバイ言ってないし……それに」

貴様「先輩が俺以外から血吸うとこ、見たくないっすから」

先輩「う、うん……」

貴様「まあ先輩とずっと生きれるならそれもアリっすけどねー……あー……きもちー……身体どんどん重くなるなあ……あれ、待って、先輩。ちょっとまって、それ以上だめ、死んじゃうから。下僕になる前にミイラになるよ? あ、ちょっと、まって、まっ……」




※ ※ ※ ※ ※

貴様「死ぬかと思いました」

先輩「……すまぬ」

貴様「いや、いーっす。今度なんか奢って下さい」

先輩「……う、うむ。なにがいい?」

貴様「A5和牛ステーキ」

先輩「無理。死んじゃう」

貴様「先輩お金なくても生きてけるじゃないっすか。俺が血あげてるんだし。むしろ、俺にステーキを食べさせることは、先輩が食べているのと同義じゃないかと……」

先輩「その発想はおかしいよ! だって我食べれないじゃろ! どうせなら野菜を食え! 無農薬がいいぞ、あれは味がピュアになるからな」

貴様「血液ってサラサラな方がいいんすか」

先輩「ドロドロよりはよい。喉に引っかからないし、なにより味がすっきりしている」

貴様「へー、案外、色々あるんすね」

先輩「……じゃが、仕方ない。A5和牛ステーキは無理でも、焼肉くらいになら連れて行ってもよい」

貴様「え、いいんすか」

先輩「仕方あるまい。いつも従順に血を寄越す家畜の為じゃ」

貴様「じゃあ叙々園にでも……」

先輩「それも無理じゃよ!」

おわり



本当に短かった・・・・・・。

初投稿なので、テストも兼ねてということで。

感想くれると感涙します

萌えとは、ギリギリ気付くか気付かないかくらいでデレているのが良し
あんまりにもあざといと陳腐になってしまう
そういうものではないだろうか?

おつおつ
もうちょい読みたかったのう
こういうの好き

のじゃ、の時点で話の大筋が予想できた
だが、面白かったのでなんら問題ない

最高だったから次は1000まで書いてね

1000までとかそんな無茶言うなよ
次は2スレでいいぞ

おつおつ
こーゆーのすき

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