乃々「もりくぼは森に帰ります」 (40)
輝子「た、大変だ、まゆさん……!」
まゆ「どうしたの、まゆちゃん?」
輝子「ぼ、ボノノさんがいないんだ……!」
まゆ「乃々ちゃんが?」
輝子「ああ」
輝子「いつもなら隣にいるはずなのに……」
輝子「いないんだ……!」
まゆ「……」
まゆ「どこか、別の場所にいるとか……?」
輝子「よっぽどのことがない限り、ボノノさんはここから出ないはず……」
輝子「なのに、いないんだ」
まゆ「そうなんですか……」
まゆ「……」
まゆ「隣の机の様子はどうでしたか?」
輝子「いや……特に変わった様子はなかった」
輝子「朝はいたはずなんだが……」
まゆ「……」
まゆ「……ちょっと探してみましょうか?」
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まゆ「うーん……事務所の中を探してみましたけど」
輝子「い、いなかったな……」
まゆ「乃々ちゃんの今日のスケジュールってどうなってましたっけ?」
輝子「この時間は暇だった……さっき確認したんだ」
まゆ「そうですか……」
まゆ「……」
イヴ「おや~?」
イヴ「二人ともどうしたんですかぁ~」
輝子「あ……イヴさん」
まゆ「こんにちは、イヴさん」
まゆ「乃々ちゃん知りませんか?」
イヴ「乃々ちゃんですか、知ってますよぉ~?」
輝子「本当か……!?」
イヴ「はい~」
イヴ「さっき乃々ちゃんに頼まれたんですぅ~」
まゆ「頼まれた……?」
イヴ「森に帰りたいって言ったので――」
イヴ「――あっ!」
イヴ「これ言っちゃダメなやつでしたぁ~」
まゆ「……」
輝子「……」
イヴ「えっと……それじゃあ、また~」
まゆ「ちょっと待ってください」ガシッ
輝子「ま、待ってくれ」ガシッ
イヴ「あ、あらぁ~?」
輝子「森って……どういうことだ……?」
まゆ「どこの森に行ったんですか?」
イヴ「え、えっとぉ~」
輝子「ボノノさんは無事なのか?」ググ
まゆ「頼まれたってどういうことですかぁ?」ググ
イヴ「あ、あのぉ~……」
まゆ「イヴさん……!」ググググ
輝子「イヴさん……!」ググググ
イヴ「わ、わかりましたぁ~!」
イヴ「話しますから離してくださいぃ~!」
イヴ「私、乃々ちゃんに頼まれたんです~」
イヴ「森に帰りたいのでつれてってくださいって~」
まゆ「森に……」
輝子「……ボノノさんって森生まれだったのか?」
まゆ「いや、そんなことはないと思いますけど……」
イヴ「なので、私連れて行ったんですぅ~」
まゆ「……森に?」
イヴ「はい~」
まゆ「どこの森ですか?」
イヴ「机の下ですぅ~」
輝子「つ、机の下……!?」
まゆ「えっ、どういうことですか……!?」
イヴ「そのまんまの意味です~」
まゆ「……?」
まゆ「ご、ごめんなさい……意味がわからないんですけど……」
イヴ「そうですよねぇ……」
イヴ「たぶん見てもらったほうが早いと思うので、来て下さい~」
イヴ「ここですぅ~」
輝子「私たちの机の隣だな」
まゆ「いつも乃々ちゃんがいるところですね」
まゆ「……さっきも見ましたけど、森なんてありませんよ?」
輝子「というか、こんなところにあったら……怖い、フヒ」
イヴ「それは私が隠してますので~」
イヴ「今からちょっと見せますねぇ~」
輝子「見せる……?」
イヴ「すぅ……」
イヴ「ちちんぷいぷい~!」
輝子「サンタさんがちちんぷいぷいなのか……」
イヴ「え~いっ!」
まゆ「!」
まゆ「机の下が光って……!」
イヴ「それでは、こちらへどうぞぉ~」
輝子「こちらへ……って」
輝子「この中にってことか……?」
イヴ「そうですよぉ~」
イヴ「それじゃあ、お先に行きますねぇ~」
まゆ「わっ……イヴちゃんが光の中に入って……」
まゆ「……」
まゆ「……出てこないですねぇ」
輝子「も、森に行ったのか……?」
まゆ「……まゆたちも行きますか?」
輝子「まあ……ここまで来たらな」
まゆ「……」
輝子「……」
まゆ「輝子ちゃん、一緒に行きません?」
輝子「……二人で入れるか、これ?」
まゆ「いつもイヴさんと乃々ちゃんが二人でいますし……」
輝子「……」
まゆ「一緒に行きましょう?」
輝子「あ、ああ」
まゆ「……」
まゆ「手、握っていきましょう?」
輝子「……わかった」
まゆ「じゃあ……」
まゆ「……」
輝子「……」
まゆ(……光の中にゆっくりと入ります)
まゆ(目の前が真っ白に染まっていきます)
まゆ(……一面、真っ白に染まった後)
まゆ(次第に白さが薄れていきます)
まゆ(そして、完全に白さがなくなった後)
まゆ(まゆの視界には森がありました)
まゆ「……!?」
輝子「ど、どこだ、ここ……?」
イヴ「森ですよぉ~」
まゆ「あ、イヴさん!」
イヴ「ようこそ~、もりくぼの森へ~」
輝子「……もりくぼの森?」
まゆ「……そんな名前の森があるんですか?」
イヴ「ここですよぉ~」
イヴ「ここは、もりくぼちゃんがいっぱいいるので、もりくぼの森ですぅ~」
輝子「いや……意味がわからないんだが……」
まゆ「乃々ちゃんがいっぱいってことですか……?」
イヴ「いえ、乃々ちゃんは乃々ちゃんだけですよぉ~」
イヴ「もりくぼちゃんがいっぱいいるんですぅ~」
まゆ「……?」
輝子「あ、頭がこんがらがってきた……」
イヴ「う~ん……実際に見てもらったほうが早いですかねぇ~」
イヴ「え~っとぉ……あっ、いた!」
イヴ「みなさ~ん、あっちを見てくださ~い」
まゆ「……あっち?」
輝子「あ、ボノノさん」
輝子「……なんか、銃持ってるぞ?」
イヴ「あれは乃々ちゃんじゃないですよ~」
イヴ「森の妖精、ボノ・ヘイヘちゃんです!」
輝子「ボノ・ヘイヘ……!?」
まゆ「……見た目は乃々ちゃんそのものなんですけど」
イヴ「銃を持ってますよぉ~」
まゆ「いや、そうですけど……」
イヴ「ボノちゃんはこの森の守り人でぇ~」
ボノ「……」
輝子「……なぁ」
輝子「銃口こっちに向けてないか?」
イヴ「……向けてますねぇ~」
イヴ「あのぉ~、ボノちゃ~ん!」
イヴ「この人たちは――」
ボノ「えいっ!」
まゆ「え――」
輝子「!?」
輝子「イヴさん、ま、まゆさんが……!」
輝子「まゆさんが撃たれたぞ……!」
輝子「まゆさん、大丈夫か……!?」
イヴ「ボノちゃ~ん!」
イヴ「この子たちは悪い子じゃないですぅ~!」
ボノ「……そうなんですか?」
イヴ「はい~!」
イヴ「乃々ちゃんのお友達ですぅ~!」
イヴ「まゆちゃんと輝子ちゃんですぅ~!」
ボノ「……」
ボノ「……やってしまったんですけど」
ボノ「穴掘って埋まるんですけど……」
イヴ「そんなことしなくても大丈夫ですよぉ~」
輝子「い、イヴさん、イヴさん!」
輝子「それより、まゆさんが、まゆさんが撃たれた……!」
まゆ「……」
輝子「まゆさん……大丈夫か、まゆさん……!」
輝子「生き返ってくれ、まゆさん、まゆさん!!」
輝子「カムバァァァァァアアアアーーーーーック!!!!」
まゆ「……」
輝子「な、なぁ……本当に目が覚めないんだが……?」
ボノ「あ、大丈夫です……殺傷力はないので」
ボノ「……もうそろそろ目覚めると思うんですけど」
まゆ「……う」
輝子「!」
輝子「まゆさん、気づいたか……!」
まゆ「……む」
輝子「……む?」
まゆ「むーりぃ……」
輝子「……へ?」
まゆ「まゆ……もうここから動きたくないんですけど……」
輝子「まゆさん……?」
まゆ「お仕事とか行きたくないんですけど……」
輝子「……おい」
輝子「まゆさんが変なことになってるじゃねえかあああああっ!」
輝子「どういうことだこれはぁ!」
ボノ「この銃で、撃たれたものは、みなボノノ」
ボノ「ボノ、心の俳句ですけど……」
輝子「んなこと聞いてるんじゃねえぞおおおぉっ!」
ボノ「ひぃ!」
イヴ「輝子ちゃ~ん、クールダウンクールダウンですぅ~」
イヴ「ボノちゃんが怯えちゃってますぅ~」
輝子「まゆさんがこんなことになってるんだぞ!?」
輝子「クールになんてなれるかああぁっ!」
ボノ「だ、大丈夫ですけど!」
ボノ「一時的にこうなるだけで、ずっとこうってわけじゃないんですけど!」
輝子「……そうなのか?」
ボノ「そうですけど!」
輝子「……そうか」
まゆ「……まゆも、机の下にずっといたいんですけど」
輝子「……」
ボノ「本当ですけど!」
ボノ「信じてほしいんですけど!」
輝子「……わかった」
輝子「怒鳴ってすまん……フヒ」
イヴ「ボノちゃん」
イヴ「私たち、乃々ちゃんに会いに来たんですけど、案内してくれますかぁ~」
ボノ「わかりました」
ボノ「こっちです、ついてきてください」
イヴ「は~い」
イヴ「それじゃあみんな、行きましょ~」
輝子「あ、ああ」
輝子「まゆさんも、行こう」
まゆ「まゆ……動きたくないんですけど……」
まゆ「このまま地面の一部になりたいんですけど……」
輝子「……」
輝子「これボノノさんよりひどくないか……?」
イヴ「うふふ、こんなまゆちゃんも新鮮ですねぇ~」
輝子「確かに新鮮だが……」
まゆ「まゆは繭になります……」
まゆ「永遠に羽化することのない繭に……」
輝子「……」
輝子「い、行こう、まゆさん」
まゆ「むーりぃ……」
輝子「……」
輝子「い、行くぞ」グイッ
まゆ「むーりぃ……!」
ボノ「はぐれないでついてきてほしいんですけど」
ボノ「はぐれたらそちらの方みたいになるんですけど」
まゆ「うぅ……無理やり引っ張らないでほしいんですけど……」
輝子「……怖い森だな」
イヴ「ボノちゃんの後ろについていけば大丈夫ですよ~」
輝子「そうか……」
輝子「……」
輝子「そ、そういやボノさんは私たちのこと知らないのか?」
ボノ「はじめてみたんですけど……」
輝子「あ、そうか……」
イヴ「ボノちゃんは乃々ちゃんに似てますけど、乃々ちゃんではないので~」
イヴ「記憶とかも一緒のものじゃないんですぅ~」
輝子「そ、そうか」
イヴ「はい~」
イヴ「あくまでもりくぼの森の住民なので~」
輝子「……」
輝子「な、なぁ」
輝子「もりくぼの森ってなんだ……?」
イヴ「もりくぼの森ですぅ~」
輝子「……」
ボノ「つきました……」
ボノ「あの洞窟の中にいますけど……」
輝子「そうなのか」
ボノ「はい……それではボノは森の警護に戻りますけど……」
イヴ「ありがとうございましたぁ~」
輝子「あ、ありがとう」
ボノ「では……」
イヴ「……」
輝子「……じゃ、じゃあ中に入ろうか」
イヴ「あ、私もここで待ってますのでぇ~」
輝子「……なんでだ?」
イヴ「ここから先はお二人で行くべきだからですぅ~」
輝子「……?」
イヴ「というより、ここまでしかいけないんですぅ~」
輝子「いや……イヴさんがいなきゃ、私たち帰れないんだが……」
イヴ「大丈夫です、ここで待ってますのでぇ~」
輝子「……」
イヴ「……」
まゆ「じゃあ、まゆもここで待ってたいんですけど……」
イヴ「それはダメです」
まゆ「なんでですか……いぢめですか……」
輝子「わかった……」
輝子「よくわからないけど、ここから先は私たち二人で行かなきゃ行けないんだな」
イヴ「はい~」
イヴ「ボノちゃんいわく、あの中に乃々ちゃんがいるので~」
輝子「わかった」
輝子「じゃあ、まゆさん」
まゆ「暗いところは怖いんですけど……入りたくないんですけど……」
まゆ「まゆもここで待ってますから、輝子ちゃんがんばって……」
輝子「いや、一緒に行こうな」
まゆ「むーりぃ……」
まゆ「暗いところとか本当にむーりぃ……」
イヴ「大丈夫ですよぉ~」
イヴ「ほら、洞窟に電気がついてますぅ~」
まゆ「わっ……明るい……!」
輝子「……ぶ、文明的だな」
イヴ「これなら大丈夫じゃないですかぁ~?」
まゆ「……」
まゆ「……でも動きたくないんですけど」
輝子「行くぞ……フヒ」
イヴ「いってらっしゃ~い」
>>14訂正
輝子「……よくわからないけど、ここから先は私たち二人で行かなきゃ行けないんだな」
イヴ「はい~」
イヴ「ボノちゃんいわく、あの中に乃々ちゃんがいるので、迷うことはないと思いますぅ~」
輝子「わかった」
輝子「じゃあ、まゆさん」
まゆ「暗いところは怖いんですけど……入りたくないんですけど……」
まゆ「まゆもここで待ってますから、輝子ちゃんがんばって……」
輝子「いや、一緒に行こうな」
まゆ「むーりぃ……」
まゆ「暗いところとか本当にむーりぃ……」
イヴ「大丈夫ですよぉ~」
イヴ「ほら、洞窟に電気がついてますぅ~」
まゆ「わっ……明るい……!」
輝子「……森なのに、文明的だな」
イヴ「これなら大丈夫じゃないですかぁ~?」
まゆ「……」
まゆ「……でも動きたくないんですけど」
輝子「行くぞ……フヒ」
イヴ「いってらっしゃ~い」
輝子「……どのくらい深いんだろう?」
まゆ「わからないんですけど……」
まゆ「君子危うきに近寄らず……帰りましょう」
輝子「ボノノさんに会いに来たのに帰るわけには行かないだろ」
まゆ「……そうですけど」
輝子「……」
まゆ「……」
輝子「……」
まゆ「……ちょっと暗くなってきた気がするんですけど……」
輝子「電気があるとはいえ、太陽の光は届かないからな」
まゆ「うぅ……」
まゆ「まゆ、光合成しないといけないので、戻りたいんですけど……」
輝子「まゆさんは植物だったのか……?」
まゆ「桜まゆですけど……」
輝子「桜もちみたいだな……フヒ」
「――」
輝子「ん……?」
「――」
輝子「……何か、声が聞こえるな」
まゆ「乃々ちゃんの声……?」
「――!」
「――!」
輝子「……たしかに、そう聞こえるな」
まゆ「……でも、まゆ……二つ大きな声が聞こえるんですけど……」
輝子「……きっとそろそろだ」
どうぶつの森的な何かなのか
ドナルドの森的な何かなのか
輝子「……あ、見えた」
輝子「ボノノさんが……3人……?」
????「もりくぼはもう絶対外に出ないんですけど!」
????「ずっとここにいるんですけど!」
????「違うんですけど!」
????「もりくぼは皆とがんばるんですけど!」
乃々「……むーりぃ」
輝子「お、おおう……ボノノさんとボノノさんがボノノさんを取り合ってる……!」
まゆ「こんな現場見たことないんですけど……」
乃々「あ、まゆさん、キノコさん、イヴさん!」
乃々「助けてほしいんですけど……!」
乃々「このままだともりくぼの体が引きちぎられて森と久保に分かれちゃうんですけど……!」
輝子「……真ん中のボノノさんがボノノさんか」
乃々「あ、そうです、私がもりくぼです」
乃々「だから助けてほしいんですけど!」
まゆ「むーりぃ……」
乃々「まゆさん……!?」
まゆ「そんなすごい気迫に勝てるはずないんですけど……」
乃々「え、えぇ……」
乃々「まゆさんがおかしくなってるんですけど……」
輝子「い、色々あってな……」
輝子「さて……」
????「みなさんと一緒のステージに立って歌いたいんですけど!」
????「今までも、これからも、それが楽しくてがんばってたんですけど!」
????「でも、人前に出るなんて恥ずかしいんですけど!」
????「そんなとこに行ったらもりくぼ死んじゃうんですけど!」
乃々「引きちぎれるんですけど……!」
輝子「……」
輝子「お前らあああぁっ!」
????「!」ビクッ
????「!」ビクッ
輝子「ボノノさんが苦しんでるだろうがあああぁっ!」
輝子「散れっ!!」
????「はいっ!」
????「はいっ!」
乃々「た……助かった……」
乃々「ありがとう……キノコさん」
輝子「ボノノさんが苦しんでたからな……」
輝子「友達として、当然のことだ……フヒ」
まゆ「……」
まゆ「……助けなかったまゆは友達失格ですね……」
輝子「あ、いや、そんなことない……!」
輝子「えっと……そ、そうだ」
輝子「二人は誰なんだ……?」
ぽじくぼ「ぽじくぼはぽじくぼですけど」
ぽじくぼ「もりくぼのポジティブな心が具現化しましたけど」
ねがくぼ「ねがくぼはねがくぼですけど」
ねがくぼ「もりくぼのネガティブな心が具現化しましたけど」
輝子「そうなのか……」
輝子「……あれ?」
輝子「じゃあ、二人は私たちのこと知ってるのか……?」
ぽじくぼ「知ってますけど」
輝子「そ、そうか……」
ねがくぼ「お二人とも大切な仲間ですけど」
ぽじくぼ「まゆさんはもりくぼの頼れる優しいお姉さんみたいで」
ねがくぼ「キノコさんはもりくぼと同じ目線に立ってくれるお姉さんみたいで」
ぽじくぼ「ぽじくぼも、わるくぼも、もりくぼも」
ねがくぼ「お二人といるのは大好きです……はい」
輝子「……な、なんか照れるな……フヒ」
乃々「……」
乃々「勝手に心の中をばらされるなんてむーりぃ……」
ぽじくぼ「だからこそ、もりくぼは、外に出るべきなんですけど!」
ぽじくぼ「みなさんと一緒に歌えるのなら、踊れるのなら、怖いものなんて何もないんですけど!」
ねがくぼ「だからこそ、もりくぼは、ここにいるべきなんですけど!」
ねがくぼ「みなさんの迷惑にならないためにも、ここでじっとしていた方がいいんですけど!」
ぽじくぼ「もりくぼは――!」
ねがくぼ「もりくぼは――!」
乃々「……」
乃々「もりくぼの外でもりくぼの心が葛藤してるんですけど……」
乃々「なんだか恥ずかしいんですけど……いぢめですか……」
輝子「……い、今言ってる事も本当のことなのか?」
乃々「……」
輝子「ボノノさん……?」
乃々「ほ、本当ですけど……」
乃々「……」
乃々「な、何でこんなこと言わせるんですか……いぢめですか……!」
輝子「いや……」
輝子「……」
輝子「……なあ、ボノノさん」
輝子「それと、ぽじくぼさんとねがくぼさん」
乃々「……はい?」
ぽじくぼ「なんでしょうか」
輝子「三人とも、私たちのことを考えてくれてたんだな」
ねがくぼ「当然ですけど」
ぽじくぼ「だから、こんなにも悩んでるんですけど」
ねがくぼ「大好きな二人に迷惑をかけるかもしれない」
ぽじくぼ「大好きな二人ともっと一緒にいれるかもしれない」
ねがくぼ「ぐるぐるですけど」
ぽじくぼ「ぐるぐるですけど」
輝子「そ、そうか……」
乃々「……」
乃々「ま、まゆさん……」
まゆ「な、何でしょうか……?」
まゆ「今のまゆは役立たずのさくずまゆなので空気になってたんですけど……」
乃々「……」
乃々「なんでまゆさんこんなことになってるのかわからないですけど……」
乃々「でも、ちょっと、私も隣で体育座りさせてほしいんですけど……」
ぽじくぼ「……今、総選挙やってます」
輝子「ああ」
輝子「中間発表だと、ボノノさんは私たちの中で一番上だったな……フヒ」
ねがくぼ「そうでした……もりくぼが、一番……」
ねがくぼ「正直怖くてたまらないです」
輝子「……」
ぽじくぼ「この選挙で結果を残したら、以後お仕事が増えます」
輝子「そうだな……私たちもそうだった」
ねがくぼ「もりくぼは、結果を見て驚きました」
ねがくぼ「そして、考えました」
ねがくぼ「このまま上位に入り、結果を残したらどうしようと」
輝子「……」
ぽじくぼ「だから、もりくぼはこの森に来ました」
ねがくぼ「この森に来て、自分を見つめなおして」
ぽじくぼ「そして、戻るつもりでした」
ねがくぼ「けれど、もりくぼの二つの心は同じくらいの強さでした」
ぽじくぼ「……わくわくしている気持ち」
ねがくぼ「……びくびくしている気持ち」
ぽじくぼ「まったく一緒の力でした」
ねがくぼ「結果がつきませんでした」
ぽじくぼ「もりくぼは葛藤しています」
ねがくぼ「もりくぼは動けないでいます」
輝子「……」
輝子「ぜ、ぜいたくだな……今までの私より順位高いのに……」
ぽじくぼ「あうぅ……」
ねがくぼ「それは……」
輝子「……けど、ボノノさんの気持ちはわかる」
輝子「一緒にたくさん活動していたからな……フヒ」
ぽじくぼ「……」
輝子「だから、私たちは知ってるんだ」
輝子「引っ込み思案なボノノさんだけど」
輝子「引っ張り出されたら、輝くって」
ねがくぼ「いや、だいたいやけくそですけど……」
輝子「そ、そうだな……うん」
輝子「それは否定できないな……フヒ」
輝子「……だけど」
輝子「それでも、ボノノさんは一緒に仕事してくれるんだ」
ねがくぼ「逃げても見つけられるだけなんですけど……」
輝子「そうだな……プロデューサーが見つけたり……私たちが見つけることもあった」
輝子「……プロデューサーのときは知らないけど」
輝子「私たちが見つけたときは、ちょっと嬉しそうな顔してるんだ」
ねがくぼ「……」
ぽじくぼ「だって、嬉しいですし……」
ぽじくぼ「知らない人とやるんじゃなく、大好きな二人とお仕事できますから」
輝子「そ、そうだったのか……」
ぽじくぼ「はい」
乃々「……」
乃々「……うぅ」
まゆ「乃々ちゃんの耳が真っ赤なんですけど……」
乃々「だって、だってぇ……」
ねがくぼ「……もし」
ねがくぼ「もし、もりくぼが逃げて」
ねがくぼ「もし、誰にも見つけてもらえなかったら」
ねがくぼ「もりくぼ……」
ねがくぼ「……」
ぽじくぼ「……」
輝子「……」
ぽじくぼ「もりくぼ、今日も、二人が来てくれて嬉しかったです」
ねがくぼ「もしかしたら、答えが出なくてずっとここにいるかもしれないって思ってたけ
ど」
ねがくぼ「でも、二人が来てくれて、とても嬉しかったです」
ぽじくぼ「やっぱりお二人が大好きです」
輝子「……そ、そうか」
まゆ「――!」
乃々「……まゆさん?」
まゆ「まゆ、まゆは……」
まゆ「まゆはいったい何を……!」
乃々「ど、どうしたんですか……?」
まゆ「……う……うぅ」
乃々「ま、まゆさんの耳が真っ赤なんですけど……」
まゆ「は、恥ずかしい……!」
どうぶつの森的なのならホラーになるな
あ、すでにホラーだった
輝子「た、大変だ、まゆさん……!」
まゆ「どうしたの、まゆちゃん?」
まゆ、落ち着こうな
ぽじくぼ「もりくぼ、一人では進めません」
ねがくぼ「前にも、後ろにも進めません」
ぽじくぼ「誰かに押してもらわないとダメなんです」
ねがくぼ「だから、あの」
ぽじくぼ「……」
ねがくぼ「……」
ぽじくぼ「もりくぼをお願いします」
ねがくぼ「もりくぼをお願いします」
輝子「……」
輝子「そのつもりだ……大切な仲間だからな……フヒ」
ぽじくぼ「……ふふ」
ねがくぼ「ありがとうございます」
輝子「さて……」
輝子「ボノノさん、まゆさん」
まゆ「う、うぅ……桜まゆってなんですかぁ……」
乃々「ま、まゆさん……げ、元気出しましょう」
乃々「もりくぼだって……今現在進行形で恥ずかしいことが……」
乃々「……」
乃々「なんでこんなに赤裸々にもりくぼの心が……」
乃々「恥ずかしくて死にそうです……」
まゆ「まゆも死にそうです……」
まゆ「むーりぃ……」
乃々「むーりぃ……」
輝子「……」
輝子「……ひ、ひひ」
輝子「ヒヤッハアアアアアァァーーーーッ!」
輝子「お前らああああぁぁっ!」グイッ
まゆ「きゃっ……」
乃々「ひゃっ……」
輝子「行くぞおぉぉっ!」
輝子「……」
輝子「ふ、二人を引っ張るのは……疲れる……」
まゆ「あ、ごめんなさい……まゆはもう大丈夫です」
乃々「もりくぼも……ごめんなさい」
輝子「いや、大丈夫だ」
まゆ「……」
輝子「……」
乃々「……」
まゆ「あの、乃々ちゃん」
まゆ「まゆ……あんなことになってましたが、ちゃんとぽじくぼちゃんとねがくぼちゃんの言葉は聞いてました」
乃々「……あの、結局まゆさんはどうしてあんなことに……」
輝子「ボノ・ヘイヘによる仕業だ」
乃々「誰ですか、それ……」
輝子「この銃で、撃たれたものは、みなボノノ……そういってたぞ、フヒ」
乃々「なんですか、それ……」
まゆ「……あの、続けてもいいですか?」
乃々「あ、ごめんなさい」
まゆ「……こほん」
まゆ「えっと……乃々ちゃん」
まゆ「……まゆ達がついてますから」
まゆ「一緒にがんばりましょう?」
乃々「……」
輝子「フヒ……ボノノさんは一人じゃない」
輝子「いつかまた、逃げたとしても、私たちが探して、背中を押そう」
輝子「いや、共に歩こう……フヒ」
乃々「……」
乃々「ありがとうございます、まゆさん、キノコさん……!」
イヴ「あ、みなさ~ん」
イヴ「おかえりなさ~い!」
輝子「ただいま……フヒ」
まゆ「ただいま戻りました」
イヴ「あ、まゆちゃん元に戻ったんですねぇ~」
まゆ「そ、その話はもうやめてください……!」
乃々「……イヴさん」
イヴ「乃々ちゃんもお帰りなさい」
乃々「あの……ここにつれてきてくれてありがとうございました」
イヴ「いえいえ~」
イヴ「……うふふっ」
乃々「……?」
乃々「あの、もりくぼの顔に何か……?」
イヴ「何もないですよぉ~」
イヴ「うふふっ」
イヴ「それじゃ、戻りましょうかぁ~」
まゆ「……どうやって戻るんですか?」
イヴ「この光に入って下さ~い」
輝子「フヒ……行きと同じだな」
イヴ「そうですねぇ~」
イヴ「すぐ戻れますよぉ~」
乃々「……」
まゆ「それじゃ、乃々ちゃん」ガシッ
輝子「ボノノさん」ガシッ
乃々「……はい」
乃々「行きましょう」
乃々(……もう大丈夫……かはわかりません)
乃々(また逃げることも多々あるでしょう)
乃々(けれど、まゆさんと、キノコさんがいますから)
乃々(……びくびくよりもわくわくの方が多くなりました)
乃々(二人が背中を押してくれたから……手を引いてくれるから……)
乃々(もりくぼは……進めます……!)
おしまい
>>27
ありがとうございます
>>1訂正
輝子「た、大変だ、まゆさん……!」
まゆ「どうしたの、まゆちゃん?」
輝子「ぼ、ボノノさんがいないんだ……!」
まゆ「乃々ちゃんが?」
輝子「ああ」
輝子「いつもなら隣にいるはずなのに……」
輝子「いないんだ……!」
まゆ「……」
まゆ「どこか、別の場所にいるとか……?」
輝子「よっぽどのことがない限り、ボノノさんはここから出ないはず……」
輝子「なのに、いないんだ」
まゆ「そうなんですか……」
まゆ「……」
まゆ「隣の机の様子はどうでしたか?」
輝子「いや……特に変わった様子はなかった」
輝子「朝はいたはずなんだが……」
まゆ「……」
まゆ「……ちょっと探してみましょうか?」
訂正してなかった、もう一回>>1訂正
輝子「た、大変だ、まゆさん……!」
まゆ「どうしたの、輝子ちゃん?」
輝子「ぼ、ボノノさんがいないんだ……!」
まゆ「乃々ちゃんが?」
輝子「ああ」
輝子「いつもなら隣にいるはずなのに……」
輝子「いないんだ……!」
まゆ「……」
まゆ「どこか、別の場所にいるとか……?」
輝子「よっぽどのことがない限り、ボノノさんはここから出ないはず……」
輝子「なのに、いないんだ」
まゆ「そうなんですか……」
まゆ「……」
まゆ「隣の机の様子はどうでしたか?」
輝子「いや……特に変わった様子はなかった」
輝子「朝はいたはずなんだが……」
まゆ「……」
まゆ「……ちょっと探してみましょうか?」
乙ー
乙でした
総選挙コメの『もりくぼは森に帰ります』より、あとボノ・ヘイヘがやりたかった
総選挙投票期間も残り24時間をきりました。まだ余っている票があるという方はぜひとももりくぼに、アンデスに、清き1票を
誤字脱字、コレジャナイ感、たくさんの訂正は申し訳ございません、読んでくださった方ありがとうございました
前のアンデス
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>>18でボノノがいないはずのイヴにも声かけてるからフラグかと思ったらそうでもなかった
乙
(安寧の世界から)追い出せ!もりくぼの森
思い描け、穏やかな場所を
思い描け、安らげる場所を
思い描け…もりくぼの森を
それが肌に触れて溶けるのが分かる
だが寒くはない
寒さも鼓動を打つ心臓の温かさには敵わない
むーりぃー…
乙
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