P「小鳥さんの同人推しが結構ウザい」 (53)

書き溜めてます

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プロデューサー宅

小鳥「えへへ……プロデューサーさん、今日も良かったですよ」

P「そ、そうですか……そりゃまぁ…どうも////」

小鳥「なにいまさら顔赤くしてるんですか? あんなことしといてぇ」

P「やっぱり恥ずかしいじゃないですか」

小鳥「ふふっ、なぁんだか思春期の男の子みたいですね」

P「あはは……」


小鳥「ねぇねぇ、次はどんなヤツでいきます?」

P(……来たか)

小鳥「今回は和姦物にしましたけど……次は陵辱系?」

P「…………」

小鳥「……どうしました?」

P「い、いや……あの……」

P「もう、普通にしませんか?」

小鳥「えーまた和姦でいきますぅ?」

P「いやいやそうでなくて! ほら、同人誌の再現とかじゃなく……普通に」

小鳥「それはダメ!」

P「どうして?」

小鳥「……は、恥ずかしいじゃないですか」

P「なにいまさら顔赤くしてるんですか? あんなこといてぇ」

小鳥「もう! 真似しないでください!」


P「とにかく、一度普通にしましょうよ」

小鳥「ま、待ってください! それなら……これなんかどうです?」ペラ

P(……また薄い本だよ)

小鳥「事務員と新人君が一緒に残業してて……っていうヤツなんですけどね」

小鳥「これだったら、私達と近いからリアルじゃないですか」

プレイの内容がアレってことかな?

腹パンはまだですか?

P「リアルを求めるのなら、わざわざその本を再現する必要ないじゃないですか」

小鳥「いやでも……このページとか見てくださいよ」

P「……ワァーォ」

小鳥「ね? えっちですし、普通は思いつかないでしょこんなの」

P「うぅ〜ん、まぁ……」

小鳥「そーいうのを見たら、こう……やってみたくなるじゃないですか!」

P「だからって、プラモデル作るみたいに説明書見ながらするなんて……」

P「そんなのもう……ただの作業ゲーじゃないですか!」

小鳥「そんなことないですって!」

P「俺はただ純粋に、小鳥さんだけを感じていたいんです!」グッ

小鳥「握り拳で恥ずかしいこと言わないでください!」

P「そんな薄っぺらい本なんて参考にしなくても……」

小鳥「ちょっと! 薄っぺらいってなんですか薄っぺらいって!」

小鳥「作品の内容が薄いみたいに言わないでくださいよ!」

P「とにかく! 同人誌の再現はもうしません!」

小鳥「ダメです! 絶ッッ対にダメです!」

P「もう持ち込み禁止ですから!」

小鳥「ダメですってば! 同人じゃなきゃしませんからね!」

P「あぁそうですか! じゃーしなくて結構です!」

小鳥「……えっ」

P「そんなに良いなら、その薄っぺらい本を丸めてツッコんどきゃいいでしょ!」

小鳥「あっ! また薄っぺらいって言った!」

P「えぇ言いましたとも!」

P「よかったじゃないですか、丸めたらちょうどいいぐらいの太さになりますよ!」

小鳥「あーそうですね! プロデューサーさんのより太くて長いでしょうけど!」


P「……ふんっ!」プン!

小鳥「……ふんっ!」スカ!

——————
————
——

小鳥「——ってことがあってね、それ以来ごぶさたなんですよ」

律子「その話を私にするってどうよ……」

小鳥「だって律子さんしか相談できる人が居ないんですもの……」

律子「される方の身にもなってくださいよ」

小鳥「いいじゃないですかぁ切実なんですよぉ〜」

律子「切実も何も、簡単なことじゃないですか。 それは小鳥さんが悪いですよ」

小鳥「えー」

律子「セッ……あぁいった行為は、互いの愛をさし出して、確かめあうものです」

小鳥「まぁそうですね」

律子「プロデューサーは小鳥さんへの愛情をさらけ出してるのに……」

律子「小鳥さんはその上に何冊もの同人誌をドサッ!っと置いたわけですよ?」

小鳥「いや、私もその……あ、愛してますよ? だからこそ、もっと気持ちよく……」

律子「愛してるのは同人誌じゃないんですか?」

小鳥「違いますよぉ」

律子「愛だ何だが絡むとややこしくなりますから、簡単な例を挙げましょう」

小鳥「は、はい」

律子「例えばプロデューサーに、次の休みにどこ行くかって話をしてるときに……」

律子「プロデューサーが雑誌を読んでいて、生返事しかしなかったらどう思います?」

小鳥「う〜ん、やっぱりちゃんと聞いて欲しいって思うかなぁ〜」

律子「それと同じようなものですよ、今回のケースは」

小鳥「同じ?」

律子「プロデューサーは一生懸命、小鳥さんに愛を語りかけてるのに……」

律子「当の小鳥さんは同人誌を読みながら、生返事しかしない」

小鳥「…………」

律子「プロデューサーは、ちゃんと自分を見て欲しいと思っているし……」

律子「ちゃんと小鳥さんを見たいとも思っている」

小鳥「…………」

律子「それを小鳥さんは拒んだんです」

律子「小鳥さんにとってはただの薄い本でしょうけど、プロデューサーにとってそれは……」

律子「二人の心、二人の愛を隔てる、分厚く大きな壁になっているんです」

小鳥「うーん……」

律子「何をそんなに抵抗してるんですか?」

小鳥「だって………は、恥ずかしい……のよ」

律子「恥ずかしい?」

小鳥「その……役に入るんじゃなくて、素でそういうことするっていうのが……」

律子「じゃーその赤い顔を、ずっと同人誌で隠しておくんですか?」

律子「プロデューサーはずっと表紙に描かれたキャラを対象に、行為をするんですか?」

小鳥「そ、それは……」

律子「プロデューサーはどう思うでしょう?」

小鳥「…………」

律子「『こんなのダッチワイフと一緒だ……』」

律子「『それならいっそ、大人のお店に行った方がいいんじゃないか?』」

小鳥「…………」

律子「『お金を払いさえすれば、ちゃんと俺を見てくれるんだから……』」

小鳥「プ、プロデューサーさんはそんなこと言いません!!」

律子「えぇ、言わないでしょうね」

小鳥「え?」

律子「あの人のことだから、きっと自分を責めるでしょう」

律子「『俺はまだ小鳥さんに信頼されていないんだ……』って思うんじゃないですか?」

小鳥「そ、そんなことないわ! 私はプロデューサーさんのこと、大好きだもの」

律子「だったら何故ホントの自分を見せようとしないんですか?」

小鳥「…………」

律子「恥ずかしいだなんて、いつまで子供みたいなことを言ってるんです?」

小鳥「で、でも……」

律子「プロデューサーは、貴方との将来も考えているはずです」

小鳥「将来って……け、結婚?」

律子「えぇそうです。 小鳥さんだって考えてるでしょう?」

小鳥「もちろん……プロデューサーさんが良ければだけど……」

律子「結婚したいと思うほど好きな人に、いつまで自分を隠しているんです?」

小鳥「それは……」

律子「確かに……いくら恋人とはいえ、隠しておきたいこともあるでしょうし……」

律子「デリケートな問題であることは私もわかっています」

律子「ですけど、私はすべてをさらけ出した方が、後々楽になると思いますよ?」

小鳥「…………」

律子「不安なのはわかります。 嫌われたらどうしよう……そう思うことも」

律子「でも、プロデューサーは嫌うどころか、むしろ諸手を挙げて喜ぶと思います」

すげぇこの2X歳、愛の営みについて19歳に説教されてやがる

律子「ごめんなさい。 ちょっと話が大げさになっちゃいましたね」

小鳥「い、いえ……」

律子「とにかく、たまには素面の小鳥さんで相手してあげればいいじゃないですか」

小鳥「そうね……うん、そうしてみます」

律子「…………」


律子「ちなみに……」

小鳥「???」

律子「ほ、本の内容って……どんな感じですか?」

小鳥「……は?」

律子「いえ……なんでもないです! わすれてくださいっ!」

小鳥「へぇ〜そっかぁ……」ニヤニヤ

律子「わ、笑わないでくださいよ!」

小鳥「もう……同人誌に興味があるなら、早く言ってくださいよぉ」

小鳥「貸したげますよ、どれがいいですか?」ガラッ

律子「」

律子「ちょ、ちょっと! どうして引き出しの中にそんなにたくさん……」

小鳥「これなんかどうかしら? 絵も上手だし、話も良くできてるし、なによりエロい!」

律子「…………」

小鳥「どうしました?」

小鳥「あっ、もうちょっとネットリ系がいいんですか? それなら……」

律子「…………」

小鳥「……えっ? これもダメ!? もしかして……NTRとか鬼畜系が……」

律子「…………」

律子(なんか……プロデューサーの気持ちがわかってきた……)


小鳥「まさか……いきなりショタ系とかふたなり!?」

律子「も、もういいですっ!」

小鳥「あそうか! いとこが居るからそれは間に合ってるんだ……」

律子「うるさいっ!」

律子(あれ? 小鳥さんって涼のこと……)

————
——

P「……それ以来、なんかギクシャクしちゃってさぁ」

春香「普通アイドルにそんな相談しますぅ?」

P「ほ、ほら! 時間的なこともあってさ、春香ぐらいしか話せる人居ないんだよ」

春香「まぁいいですけど……簡単なことですよ。 悪いのはプロデューサーさんです」

P「……やっぱり?」

春香「小鳥さんにとってプロデューサーさんは、初めてお付き合いする男性です」

P「そうだな」

春香「セッ……そういう行為も、プロデューサーさんが初めてだったんでしょ?」

P「う、うん……まぁ」

春香「だからやっぱり不安なんですよ」

春香「『プロデューサーさんは私を相手にして、満足してくれてるのかな?』」

春香「『ちゃんと私で気持ちよくなってくれてるのかな?』って思ってるんですよ」

P「不安ねぇ……」

春香「そう、不安です」

春香「そんなとき、その……えっちな本を見てみると……」

春香「本のキャラクター達は、えっとぉ……き、気持ちよさそうにしてるわけですよ!」

P「まぁそういう本だからね」

春香「そこで小鳥さんは『これを見本にすればいいんだわ!』って思ったんです」

P「えーそうかぁ?」

春香「……不満そうですね」

P「いや……なんかそういう感じでもないんだよなぁ」

春香「どういう感じなんですか?」

P「こう……楽しんでるっていうか……」

春香「だからそれも同じですよ!」

P「同じ?」

春香「そうやって、一生懸命プロデューサーさんを楽しませようとしてるんです!」

P「俺を……楽しませようと……」

支援するピヨ

春香「とにかく小鳥さんは自信がないんですよ!」

P「自信がないのと同人誌は関係ないだろ」

春香「あのですね……えっちな本は、いわば小鳥さんの唯一の武器なんです!」

春香「小鳥さんには無くてはならない、教科書のようなものですッ!」

P「なくてもいいんだけどなぁ……」

春香「じゃープロデューサーさん? 行為の最中に、ちゃんと言葉をかけてあげましたか?」

P「言葉?」

春香「その……『好きだよ』とか…『気持ちいいよ』……とか」

P「んーどうだろ?」

春香「ほら、そういうところですよ!」

P「…………」

春香「そういうところで、不安を感じてるんです小鳥さんは」

春香「『ちゃんと出来てるのかな?』 『 気持ちよくなってくれてるのかな?』って」

P「まぁ同人誌は抜きにして、不安にさせていたのは間違いないな……」

春香「えっちな本を持ち込ませたのは、プロデューサーさんだったんです!」

P「うん、まぁ原因はわかった。 しかし……どうすればいい?」

春香「まずえっちな本の再現は、今度も付き合ってあげましょう」

P「あぁ」

春香「それと、なるべく言葉をかけてあげてください」

P「好きだとか……気持ちいいとか?」

春香「そうすれば、小鳥さんも安心して……えっちな本を卒業しますよ」

P「だといいがなぁ」

春香「あっでもケンカしちゃったから、本の再現にも抵抗があるかも……」

P「ってことは……行為そのものに抵抗が?」

春香「普通にはできないし、本を持ち込むと怒られちゃうし……」

P「そうか……俺はどうすれば……」

春香「う〜〜〜〜〜〜ん」

P「う〜〜〜〜〜〜〜ん」



       |
   \  __  /
   _ (m) _ピコーン
      |ミ|
    /  `´  \
     ( P )

     ノヽノヽ
       くく



P「もうあれじゃないか?」

春香「どれですか?」

P「俺の方から同人誌の再現を提案するっていう……」

春香「あぁなるほど! それいいかもしれないですね!」

P「そうすればとりあえず行為に対する抵抗はなくなるだろ」

春香「そしてちゃんと口に出してあげて………ぁ」

P「どうした?」

春香「口に出すって、そそそういう意味じゃないですからね!!」

P「……は?」

春香「言葉にしてあげるってことですからねッ!!////」

P「わかってるよ」

春香「わかってるならいいですけど……」

P「んー? なにと勘違いしたんだ?」

春香「考えなくていいですーッ!!」

P「春香のおかげで、なんとなく解決法がわかったよ」

春香「お役に立てたようで……」

P「しかしなんだ……春香は同人誌を読んだことがあるのか?」

春香「……えっ」

P「いや、なんか詳しいっていうか……」

春香「そんな! み、見たことなんて………………あります」

P「ほう……」

春香「た、たまたまですよ!? 小鳥さんが棚に隠してたのを……見つけちゃいまして」

P「あの人はホントにもう…………叱っておこう」

春香「びっくりしました……男同士なのに、あんな…………」

P「BL本かよッッ!!!」

春香「で、でも二人とも胸がおっきくて……」

P「ふたなりで百合かよッッ!!」

春香「なんですか? そのBLとかふた……とか」

P「春香は知らなくていいの!!」

——————
————
——

律子「小鳥さん、お先です」

小鳥「あっ、お疲れ様でした」

律子「小鳥さんも今日は上がったらどうです?」

小鳥「えぇ……私も、もう少ししたら帰ります」

小鳥「今日はプロデューサーさんちに行く日ですから」

律子「そうですか……頑張ってくださいね。 それじゃ!」

バタン

小鳥「頑張って……か」

小鳥(よ、よし! 今夜は同人誌は封印して、ありのままの私を……)

小鳥(そうよ! 同人誌なんてなくても、私には妄想がある!!)

小鳥(どうしていいかわかんなくなったら、妄想を具現化すればいいんだわ!!)

小鳥「うん、それでいきましょう」


小鳥「…………先に帰っとくって、メールしとこ」ポチポチ

P「今日もよく頑張ったな、お疲れ様」

春香「家に帰るまでが遠足ですよ」

P「そうだな、安全運転でご自宅まで送り届けるよ」

春香「別に電車で帰ってもよかったんですよ?」

P「いいんだよ、俺には遠慮してくれるな」


トリヨートリヨートリタチヨー♪


春香「プロデューサーさん、携帯なってますよ!」

P「小鳥さんからか……そしてちょうど信号待ち」

P「えーっとなになに……『先に帰って待ってます』?」

P「あっ、そうか。 今日は俺んちに来る日だったな」

春香「もう一緒に住んだらいいじゃないですか」

P「うん……まぁそうなんだけど、なかなか踏ん切り付かなくてな」

春香「確かにお互いの家に通うっていうのも、あこがれますけど」

P「いずれ一緒に生活するようにはなるだろうけどね」

春香「すみません、送ってもらっちゃって」

P「気にするなって。 ゆっくり休むんだぞ」

春香「はい………あ、あの!」

P「ん?」

春香「が、頑張ってください……ね」

P「うん、ありがとう」

春香「それじゃ、また明日!」

P「じゃーな」

ブゥーーーーン

春香「…………」

春香「…………はぁ」



P「さて、アダルトショップにでも行って、薄い本を買いますか」

P「店で買うのは恥ずかしいけど……やっぱり新しいほうがいいだろうしな」

P「…………」

P(18禁コーナーって初めて入った……なにこの異様な感じ)

P(えーっと……同人誌は…………あった!)

P「…………」

P(ど、どれがいいんだ?)

P「う〜ん」

P「…………ん?」

P(この表紙のキャラ……まんま春香じゃないか!?)

P(こっちはあずささんで……こっちは貴音?)

P「マジかよ……」

P(うぅ〜ん…………よく似てるだけに、なんか複雑だな)

P「…………」


P(春香の……買っておこう)

P(や、やっぱり……こういうのも参考にしておかないといけないし…………)

P(って、誰に言い訳してんだ俺は……)

P(おいおい……亜美や真美のまであるじゃないか)

P「…………ゴクリ」

P(っていかんいかん! 小鳥さんに見せる同人誌を選ばないと!)

P「えーっと……」

P(小鳥さんのジャンルカバー率が高すぎて、どれを選べばいいのか悩むな……)

P(あっ、この絵は見たことある……)

P(同じ作者……いや、サークルか?)

P「…………」

P(確か何冊か持ってたはずだから、このサークルの本にしようかな)

P(うん……これにしよう)

P「よし!」

P「…………」

P(レジ行くのはずかちぃな……)



P「えぇいままよ!」

ガチャ

P「…………ふぅ」

小鳥「お、おかえりなさい」

P「あっ……ただいまです」

小鳥「えと……ご飯、作りましたよ」

P「えぇ、いい匂いがしてます」

小鳥「先に食べますか? お風呂も用意できてま——」


ぐぅ〜


小鳥「あっ!」

P「小鳥さんがお腹空いてるみたいなんで、先に食べます」

小鳥「……はい////」

P「ごちそうさまでした」

小鳥「お粗末さまでした」

小鳥「私……先にお風呂入ってきますね」

P「あっ、はい……どうぞ」

小鳥「…………」

P「どうしました?」

小鳥「い、いえ………入ってきます」

P「はい」

小鳥「…………」

P「…………」



小鳥(今日……するのかな?)

カポーン

小鳥「ブクブクブクブクブクブクブクブク………」

小鳥「ブク……」


小鳥「…………はぁぁぁぁ」


小鳥(お湯が波打ちそうなくらい、心臓が……)ドキドキ

小鳥「でも……今日は頑張らないと!」

小鳥「もう同人誌になんて頼るもんですか!」

小鳥「今夜はプロデューサーさんに、素の私を見てもらうんだから」

小鳥(ちょっと……怖いけど…………)

小鳥「…………」



小鳥「ブクブクブクブク…………」

小鳥「プロデューサーさん、上がりました」

P「あ、はい……えっと、飲み物とかは適当に……」

小鳥「別にプロデューサーさんちは初めてじゃないですから、分かってますよ」

P「あぁ、そうでしたね……ははは」

小鳥「プロデューサーさんも……お風呂、入ってきたら?」

P「えぇそうします……まぁテレビでも見ててください」

小鳥「わかりました」

P「…………」


P「あ、あのぅ……」

小鳥「……はい?」

P「いや……えっと……ま、待っててくださいね」

小鳥「え? 待つって………そーいうことですか?」

P「えぇ、そーいうことです」

小鳥「わかりました…………待ってます……ね」

カポーン

P「…………」

P「とりあえず、行為に対する抵抗はないようだ……」

P「問題は……同人誌をどうするかだな」

P「あんだけ否定していた俺が、急に新しいの買ってきたとなったら……」

P「小鳥さん、怒ったりするんじゃないだろうな……?」

P「…………」

P「まぁいいか……そのときは思いっきり怒られよう」

P「あっ! そういえば本の内容確認してなかったな……」


P「なんかものすげぇのだったらどうしよう……」

p「…………」ショボーン

P「はっ!? お、おい息子よ! う…うろたえるんじゃあないッ!」

P「俺の息子はうろたえないッ!」



P「…………そろそろあがろう」

ガチャ

小鳥「あっ……」

P「い、いやぁ……長湯しちゃいまして」

小鳥「いいんですよ。 疲れてるでしょうから……」

P「まぁこのあと疲れますけどね」

小鳥「…………////」


P「それで……あの………」

小鳥「はい?」

P「俺の鞄とってもらえます?」

小鳥「えっと……はい、どうぞ」

P「実は小鳥さんに見せたいものがありまして……」

小鳥(え? な、なにかしら?)

小鳥(ま、まさか……指輪とか……!?)

小鳥(いや……このタイミングだから…………オモチャ!?)

小鳥(え? ど、どうしよう……心の準備が……)

P「えぇっと……これなんですけど」

小鳥「はぇ? これは、同人誌ですか?」

P「はい」

小鳥「ど、どうして?」

P「この前はツマンナイこと言って、すいませんでした」

P「お詫びと言ってはなんですけど……今日はコレの再現ってのはどうですか?」

小鳥「…………」

P「…………ダ、ダメですか?」

小鳥「いえ……」

P「そうですよね、何をいまさら……って思いますよね」

小鳥「ち、違うんです! そうじゃなくて……」

P「え?」

小鳥「あの……実はですね……」

小鳥「私もこの前のことは、反省してまして……」

小鳥「今日は、本当の……素の私を見てもらうんだって思って……」

P「…………」

小鳥「だから、同人誌は無しでいこう……って決めてたんです」

P「そうだったんですか……」

小鳥「えへへ……律子さんに相談したら、怒られちゃいました」

小鳥「『プロデューサーはちゃんと貴方を見てるのに……』って」

P「いや、実は俺も……春香に相談したんですよ」

小鳥「あら、そうなんですか?」

P「俺も春香に怒られちゃいました」

P「『小鳥さんは不安なんです! その不安を作ってるのは貴方です!』って」

小鳥「それで、コレを買ってきたんですか?」

P「えぇ……18禁コーナーって緊張しますね」

小鳥「うふふっ……私はいつも通販なんで、入ったことないんです」

小鳥「なんか……あの話を思い出しました」

P「え?」

小鳥「ほら、童話かなんかであったじゃないですか」

小鳥「女の人が髪を売ったお金で、恋人に懐中時計の鎖を買ってあげて……」

P「あっ、賢者の贈り物ですね?」

P「たしか男の人はその時計を売って、櫛を買うんですよね」

小鳥「そうそう! それです」

P「俺達の場合は……同人誌が賢者の贈り物?」

P「なんかそれだと、一気に低俗感が……」

小鳥「確かに低俗かもしれませんけど、とっても嬉しいです」

P「えっとそれじゃ、今夜はコレの再現にします?」

小鳥「いいえ……今夜は、私だけを見てください」

小鳥「私も、プロデューサーさんのことだけを見てますから」

P「…………」

P「わかりました」

小鳥「…………」

P「…………」

小鳥「な、なんだか……初めてのときのこと思い出します」

P「そうですね」

小鳥「いや、今日が初めてかもしれませんね」

P「え?」

小鳥「私が自分をさらけ出すのは、きっと今日が初めてです」

P「…………」

小鳥「で、ですから……その………」

小鳥「優しく……してくださいね」

P「…………ゴクリ」

P「ヤ、ヤラシクしちゃいそうです」

小鳥「ふふっ……それは一向に構いませんよ?」


P「小鳥さん……」

小鳥「プロデューサーさん……」

——————
————
——

小鳥「あ、あの……」

P「……はい」

小鳥「私……どうでした?」

P「どうって……?」

小鳥「ちゃんと出来てたかなぁ〜って」

P「えぇ! もちろんですよ」

小鳥「そっかぁ……よかったぁ〜」

P「いつもより恥ずかしそうな小鳥さん、素敵でしたよ」

小鳥「だ、だってプロデューサーさんが……好きとか、気持ちいいとか言うから……」

P「小鳥さんも、いつもより気持ちよさそ……んぐっ」

小鳥「恥ずかしいから言わないでくださいー!」

P「いふもより、ひまいがよはっ……ごふっ」

小鳥「もぉー!」

ん?何か足りなくないかな、

小鳥「あっ、そうだ……プロデューサーさん?」

P「なんですか?」

小鳥「もう一冊って、一緒に買ったんですか?」

P「…………へ?」

小鳥「なんかキャラが春香ちゃんに似てたんですけど……?」

P「」


P「い、いや! あれは……そのぅ………」

小鳥「やっぱり…………いいですか、いくら同人誌って言ってもですよぉ?」

小鳥「担当アイドルに似たキャラのやつを買うっていうのは……」

P「め、面目ない」

小鳥「私は別にいいんですよ? プロデューサーさんがコレでリビドーを発散したって」

小鳥「そ、それで浮気だとか言うつもりはないですしぃ……」

P(……あぁ、それが本音か)

小鳥「でも春香ちゃんがこれを知ったらどう思うか……」

P「…………」

そうだ、肝心のベッドシーンが足りないんだな

小鳥「わ、私は別に薄い本にヤキモチなんて妬きませんよ? でも……」

P「俺も別にそれを使おうとは思ってないですからね」

小鳥「いーやウソですねっ!」

小鳥「どうせアレでしょ? 春香ちゃんの声をこっそり録音して……」

小鳥「それを聴きながら励もうってんでしょ!」

P「しませんよ! そんな小鳥さんみたいなこと!」

小鳥「はぁ!?」

P「そもそも俺は同人誌なんて読まないし、再現なんて馬鹿げたこと……」

小鳥「馬鹿げたことぉ? ちょっとそれはないでしょープロデューサーさん!」

小鳥「大体プロデューサーさんだって楽しんでたじゃないですか!」

P「俺は最初からイヤだったんですよ!」

小鳥「はぁ……もういいですっ! もう口利いてあげませんからねッッ!!」

P「あぁいいでしょう! あとで寂しくなっても知りませんよーだ」


小鳥「……ふんっ!」プン!

P「……ふんっ!」スカ!

——————
————
——

律子「——ってことがあったらしくてね」


P「…………」

小鳥「…………」


律子「もうずっとあの調子なのよ」

春香「はぁ……子供の喧嘩じゃないですか……」

律子「そんな可愛いもんじゃないわ……ひねくれた大人の喧嘩よ」

P「律子、聞こえてるぞ」

律子「聞こえるように言ったんです」

春香「人前でイチャイチャされるのもイヤですけど……」

春香「喧嘩されるってのもイラッとしますね」

小鳥「春香ちゃん、聞こえてるけど?」

春香「えぇ、聞こえるように言いました」

春香「っていうかそんなことより、私のえっちな本があったって……」

律子「えぇ……実は私も以前、聞いたことがあったのよ」

律子「アイドル達の、そういった本が出回ってるって話」

春香「えぇ!?」

P「そ、そうなのか?」

律子「でもこれはもう防ぎようがないですし、人気があるって証拠だから……」

律子「まぁ良いかな……って思って、黙認してたんです」

小鳥「良い判断ですね!」

律子「…………は?」

小鳥「こういうのは俗に言う『生モノ』ってヤツです」パサッ!

P「ちょ! なんで持ってきてるんですか!」

小鳥「ですから、法的位置づけは二次創作物とは異なりまして……」

小鳥「著作権ではなく……肖像権とか、パブリシティ権が絡んでくるんですよ」

律子「……知りませんよそんなの」

春香「急に饒舌になりましたね」

小鳥「とにかく! これもファン活動の一種なんです! 人気の証なんです!」

小鳥「我々には、そう割り切るぐらいの懐の深さが必要なんです!」


P「……そういや俺、これ読んでなかったんだよな」

春香「えっ」

P「ちょっと読んでみよ——」ペラ

小鳥・律子・春香「「「ダメですーッ!!」」」

P「…………どうして?」

春香「恥ずかしいからです!」

律子「本人が居るからです!」

小鳥「浮気です!」

P「おい一人だけなんか違うぞ」

小鳥「いやちがっ……ほ、ほら! P禁ですよP禁!」

P「P禁?」

小鳥「プロデューサーさんに見せちゃダメって意味!」

小鳥(本当は違うけど……)

律子「それで……他の子たちの本もあったんですか?」

P「あずささんとか貴音とか……うん、律子のもあったぞ」

律子「え゛っ?」

P「っていうか……アイドルは全員分あったんじゃないかな?」

小鳥「私は?」

P「あるわけないでしょ」

小鳥「なぁんか私にだけ冷たくないですかぁ?」ウルウル

P「小鳥さんのがあったら、全部買い占めて燃やしてやりますよ」

小鳥「えっ? そ、それって…………」

P「小鳥さんは俺だけのものです!」キリッ!

小鳥「いやぁ〜ん、Pちゃんかっこいい!」

P「かっきーん!」

春香「うわぁ……」

律子「ウザッ……」

律子「あ〜ぁ、無駄な時間を過ごしたわ」

春香「律子さん、二人は放っておいて、お昼行きましょうよ」

律子「そうね……こんなのに付き合ってちゃアホらしいわ」

春香「何食べます?」

律子「う〜ん……春香は?」

春香「私は……えっとぉ…………」


バタン


小鳥「…………」

P「…………」


小鳥「ねぇプロデューサーさん?」

P「はい」

小鳥「社長とプロデューサーさんのやおい本とか無かったんですか?」

P「…………は?」

小鳥「もしくは、善澤さんと……」

P「小鳥さんって、いつもそんなことばかり考えてるんですか?」

小鳥「え? 考えないんですか?」

P「考えませんよ!」

小鳥「うっそぉ!? じゃあ、いつも何を考えてるんですか?」

P「そりゃ仕事のことでしょ!」

小鳥「……そっか」


P「あっ、そういえば!」

小鳥「なんですか?」

P「事務所に同人誌隠してるそうじゃないですか!」

小鳥「え? だ、誰に見つかったのかしら……?」

P「春香ですよ」

小鳥「それって、いつの話?」

P「つい最近とは言ってたかな……」

小鳥「…………」

小鳥「し……し……」

P「し?」

小鳥「しまったぁー! やっぱりカメラ仕掛けとくんだった!」

P「……なんですって?」

小鳥「春香ちゃんが顔真っ赤にして……それでも続きが気になってる姿とか!」

小鳥「ちょっと下半身にきちゃって、モジモジしてる姿とか!」

P「…………」

小鳥「もう一ヶ月はオカズに困りませんよ! ねっ!」

P「…………」

小鳥「こうしちゃいられないわ! 今後の為に、すぐに隠しカメラをセットしないと!」

小鳥「ほら、ボケっとしてないで、プロデューサーさんも手伝ってください!」




小鳥「ほら早く!」

P(もうやだこんな事務員……もうやだこんな恋人……)

END

お粗末さまでした

ハッピーエンドでしかもラストは安定の小鳥さんクォリティ!

大変よろしゅうございました

乙ピヨ
恋人できてもこの趣味なおらないのかよ

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