勇者「平和な世界へ」(25)
ある日・・・
この平和だった世界に魔王が現れ、世界に混沌と絶望を振りまいた。
選ばれし勇者とその一行は、魔王の手下を倒しながら魔王の根城を探した。
そして遂に魔王城にたどり着き、多くの手下を全て無に帰した彼らの目の前には、
禍々しい扉が立ちふさがる。
勇者「この扉の向こうに魔王がいる・・・」
戦士「おいおい、ビビってるのか勇者?」
魔法使い「無理も無いわ、相手はあの魔王だもの」
僧侶「・・・・私たちなら、大丈夫です」
勇者「よし、行くぞ!平和な世界のために!!」
扉を爆破し部屋に突入すると、そこには全ての元凶が佇んでいた。
魔王「よく来たな小僧ども!まさかあの時の小僧どもがここまで来るとはな」
勇者「僕たちはあの時とは違う!今日こそ魔王、お前を殺す」
魔王「ふっ・・・我が手下を全滅させただけで調子に乗りおって」
戦士「おしゃべりはここまでだ、母さんの敵はとらせてもらうぜ!うおりゃぁぁぁぁ」
魔王「相変わらずせっかちな小僧だな!」
戦士の斬撃を見えない壁で遮る魔王、しかし声には以前のような余裕は見られなかった。
魔法使い「勇者、側面から攻撃して!援護するわ」
勇者「はぁぁぁぁ!!」
勇者の剣は空を切った、魔王が後方に退いたのだ。
しかし、魔法使いが放った氷の刃が全方向から魔王に迫る。
魔王「だぁぁぁ!!」
力を放った魔王の前に、氷の刃は全て粉砕された。
ただ、粉砕された氷の刃は粒子となり魔王の視界を塞ぐ。
それは一瞬の隙だった。
右方向から突撃した戦士に気を取られていた魔王は、勇者の接近を許したのだ。
勇者「魔王、覚悟!!」
魔王「ぐぅ・・・」
勇者の剣が魔王の胸を貫いた。
勇者「終わりだな、魔王」
魔王「ふ、ぐふふ・・・」
戦士「・・・・ゴボ・・・・・」
勇者「戦士!?」
突然腹に風穴を開けられ、戦士は血を噴き出させながらその場に崩れ落ちる。
魔王「我とて魔王だ・・・ただで死んでやる訳にはいかん」
勇者「よくもぉぉぉぉぉ!!」
勇者は力任せに剣を引き抜き、魔王の腹を一刀両断した。
禍々しい血液が勇者の衣装を、頭髪を、肌を穢した。
魔王「ごふっ・・・ゆ、勇者よ、貴様は絶対に後悔するぞ・・・我を倒した事を、ぜっ」
勇者「死ね、魔王」
多くの血液を吸ってなお、さらに輝きが増したかのようにも見える剣が、魔王の言葉をただの雑音へと変えた。
僧侶「戦士、しっかりしてください」
魔法使い「うわぁ・・・内蔵はみ出てるんだけど、グロぉ」
僧侶「戦士、いつまで寝てるんですか」
戦士「いてぇ・・・良いから全快してくれよぉ」
僧侶「今してます」
戦士は相変わらず図太いようだ、勇者は胸を撫で下ろした。
勇者は剣に滴る穢れた血を拭き取り、鞘におさめる。
勇者「これで全て終わったのか、全て」
女の子「あ、勇者様よ!かっこいい、素敵!」
男の子「俺も大きくなったら強くなって、勇者様みたいになるんだ!」
商人「いえいえ、魔王を倒した英雄から代金なんて受け取れませんよ!」
お婆さん「おやまぁ、立派になったのう」
青年「おい、サインもらいにいこうぜ!」
少年「僕は握手してほしいなぁ」
王都に戻った勇者一行は、民衆から熱烈な歓迎を受けた。
勇者「王様、ただいま戻りました」
王様「勇者よ、よく戻った」
勇者「これが、魔王の首でございます」
王様「うむ、確かに魔王の首じゃな・・・・これで、全てが終わりじゃ」
勇者「また平和な世界に戻るのですね」
王様「これも全て勇者のおかげじゃな、褒美は何が欲しいのじゃ?」
勇者「いえいえ、褒美など勿体ないお言葉・・・」
王様「これも全て勇者のおかげじゃな、褒美は何が欲しいのじゃ?」
勇者「で、では・・・・後日回答をさせていただきたく」
王様「これも全て勇者のおかげじゃな、褒美は何が欲しいのじゃ?」
勇者「王様?どうされましたか?」
王様「これも全て勇者のおかげじゃな、褒美は何が欲しいのじゃ?」
王様の顔は先ほどと変わらず、和やかでこちらをからかっている様子も無い。
周りの憲兵も、変わった様子も無く立っているだけだ。
誰も王様の異変には気づいていない。
勇者「王様・・・・?」
王様「これも全て勇者のおかげじゃな、褒美は何が欲しいのじゃ?」
勇者「な、何が起こってるんだ・・・・」
王様の瞳には真っ暗な闇が広がっているのみ。
恐ろしくなった勇者は、部屋を飛び出していた。
勇者「な、なんなんだよ・・・とりあえずは戦士達と合流しよう!」
戦士達は中庭のベンチに座っていた。
どこか遠くを見ているようだったが・・・
戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」
勇者「それどころじゃなんだ!王様がおかしいんだよ!」
戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」
勇者「せ、戦士?悪い冗談は止してくれ・・・・なぁ」
戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」
勇者「お、おい魔法使い・・・こいつはどうしちゃったんだよ」
魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」
勇者「け、結婚・・・ってそうじゃなくてさ、戦士が・・・・」
魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」
勇者「え・・・う、嘘だよね?ねえ魔法使い」
魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」
この世で一番愛おしいと思えた笑顔は、勇者を絶望へと突き落とした。
勇者「お、おい僧侶・・・こいつらになんか言ってやってくれよ・・・」
僧侶「・・・戦士と子供が欲しいのです、勇者も協力してください」
勇者「う、うん・・・って今はそうじゃなくて・・・な、僧侶?な?」
僧侶「・・・戦士と子供が欲しいのです、勇者も協力してください」
勇者「は、ははは・・・・ははははは・・・・あっはははははっははっはははは」
戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」
魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」
僧侶「・・・戦士と子供が欲しいのです、勇者も協力してください」
戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」
魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」
僧侶「・・・戦士と子供が欲しいのです、勇者も協力してください」
戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」
魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」
僧侶「・・・戦士と子供が欲しいのです、勇者も協力してください」
勇者「ああああああああああああああああ!!!!!!」
勇者はその後も様々な住民に話しかけ続けた
女の子「あ、勇者様よ!かっこいい、素敵!」
男の子「俺も大きくなったら強くなって、勇者様みたいになるんだ!」
商人「いえいえ、魔王を倒した英雄から代金なんて受け取れませんよ!」
お婆さん「おやまぁ、立派になったのう」
青年「おい、サインもらいにいこうぜ!」
少年「僕は握手してほしいなぁ」
女の子「あ、勇者様よ!かっこいい、素敵!」
男の子「俺も大きくなったら強くなって、勇者様みたいになるんだ!」
商人「いえいえ、魔王を倒した英雄から代金なんて受け取れませんよ!」
お婆さん「おやまぁ、立派になったのう」
青年「おい、サインもらいにいこうぜ!」
少年「僕は握手してほしいなぁ」
女の子「あ、勇者様よ!かっこいい、素敵!」
男の子「俺も大きくなったら強くなって、勇者様みたいになるんだ!」
商人「いえいえ、魔王を倒した英雄から代金なんて受け取れませんよ!」
お婆さん「おやまぁ、立派になったのう」
青年「おい、サインもらいにいこうぜ!」
少年「僕は握手してほしいなぁ」
女の子「あ、勇者様よ!かっこいい、素敵!」
男の子「俺も大きくなったら強くなって、勇者様みたいになるんだ!」
商人「いえいえ、魔王を倒した英雄から代金なんて受け取れませんよ!」
お婆さん「おやまぁ、立派になったのう」
青年「おい、サインもらいにいこうぜ!」
少年「僕は握手してほしいなぁ」
王様「これも全て勇者のおかげじゃな、褒美は何が欲しいのじゃ?」
戦士「おう勇者、なんか褒美は貰ったのか?飯でも食べにいこうぜ!」
魔法使い「ねえ勇者、私たち結婚しない?えへへ、どうかな」
僧侶「・・・戦士と子供が欲しいのです、勇者も協力してください」
女の子「あ、勇者様よ!かっこいい、素敵!」
男の子「俺も大きくなったら強くなって、勇者様みたいになるんだ!」
商人「いえいえ、魔王を倒した英雄から代金なんて受け取れませんよ!」
お婆さん「おやまぁ、立派になったのう」
青年「おい、サインもらいにいこうぜ!」
少年「僕は握手してほしいなぁ」
勇者は気づいてしまった。
この世界はもう終わってしまったのだと。
もう何も始まらないし、何も終わらないのだと。
・・・・・全ての原因である魔王が勇者によって倒され、世界はまた平和を取り戻した。
勇者達は皆、末永く幸せに暮らしたと言う・・・・
勇者「・・・・・」
・・・・・全ての原因である魔王が勇者によって倒され、世界はまた平和を取り戻した。
勇者達は皆、末永く幸せに暮らしたと言う・・・・
・・・・・全ての原因である魔王が勇者によって倒され、世界はまた平和を取り戻した。
勇者達は皆、末永く幸せに暮らしたと言う・・・・・・・・・全ての原因である魔王が勇者によって倒され、世界はまた平和を取り戻した。
勇者達は皆、末永く幸せに暮らしたと言う・・・・・・・・・全ての原因である魔王が勇者によって倒され、世界はまた平和を取り戻した。
勇者達は皆、末永く幸せに暮らしたと言う・・・・・・・・・全ての原因である魔王が勇者によって倒され、世界はまた平和を取り戻した。
勇者達は皆、末永く幸せに暮らしたと言う・・・・
短いですが終わりです。
乙
勇者が魔王になって>>1に戻るんやろなあ
ホラーや
乙
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