時雨「提督、そろそろ看板だよ」
提督「ん? もうこんな時間か」
時雨「ふふ、随分集中してたみたいだからね。お疲れ様。はい、コーヒーどうぞ」
提督「おお。すまないな」
時雨「残りの書類はそっちに纏めてあるからね。明日の分。明後日の分に分けてあるから混ぜないように」
提督「ああ」
時雨「明日、僕は演習だけど夜から書類整理手伝うからね。だから明日の分は量が多いけど、急がなくて大丈夫だよ」
提督「成る程。了解」
時雨「じゃあ僕はそろそろ上がるよ」
提督「ああ。いつも遅くまでありがとうな」
時雨「ううん。これが僕の仕事だからね。じゃあおやすみなさい」ガチャバタン
提督「おやすみ」
提督「…………」
提督(いい娘だよなぁ)
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提督(時雨は俺の秘書艦だ。着任当初から一緒で付き合いも長い)
提督(彼女は非常に有能で、今まで何度も助けられた。ここまでやってこれたのも時雨がいたおかげと言っても過言ではない)
提督(何より一緒にいて疲れない。時雨はスキンシップを求めてこないのだ)
提督(淡白……と言っても良い。それが、この時雨の個性なのだろう)
提督(距離感というものをこの時雨はわきまえている。色々豆だし、気はきくが自己主張はしない。献身を傘にきて見返りを求めるような事は決してしてこないのだ)
提督(付き合いが長ければケッコンカッコカリを求めてくる艦娘も多い。が、時雨は一切興味を示さない)
提督(とある鎮守府では指輪を求めて流血沙汰があったらしい。だが、時雨は指輪に関して――ふむ……それは戦艦や空母とすべきだね。皆の練度が上がるまで温存すべきだよ――と言っていた。正論である)
提督(まあ少し寂しくはあったが、艦娘としてはこの上なく模範的だ。ケッコンカッコカリは燃費を考えて温存しよう、と時雨と相談して決め指輪は封印した)
提督(時雨の経歴はあまり明るくない。何でも性格が災いして二回も飛ばされたらしい)
提督(運悪く、そこの提督と性格が合わなかったのだろうか)
提督(俺は本当にできた娘だと思う。時雨みたいに真面目な奴は好きだし)
提督(真面目でしっかり者。それが時雨に対する印象だ)
提督「……そういえば、時雨は仕事外。プライベートでは何してんだろうな。思えば全然知らないな」
提督(ま、良いか。そういうの聞かれるの好きそうじゃないしな)
提督「さて、一服して俺もそろそろ上がるかな……………。ここに隠しておいた秘蔵の菓子が」ゴソゴソ
提督「……………あれ、無い。隠しておいた菓子がない?!」
提督「さ、さては……」
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提督「赤城ィ!!」バターンッ
赤城「はむぅ?!」モグモグ
提督「って…また何か食ってんのか」
赤城「……んぐんぐ。ぷはぁ…な、何ですか提督。今や夜食中で忙しいんですけど」
提督「あ、ああすまない………じゃなくてお前、俺の隠してた菓子勝手に食ったろ!」
赤城「な、何の事ですかね?」ギクッ
提督「あくまでシラを切るつもりか……」
赤城「ま、前に人の物を勝手に食べた天罰じゃないですか?」
提督「あ、あれはその前にお前が先に…」
赤城「は? 提督が先にですよ!」
提督「赤城が先だ!」
赤城「いえ、提督です!」
提督「赤城が!」
提督「提督が!」
加賀「おい」
提督「ひっ。か、加賀。いたのか…」
加賀「うるさいです」
提督「はい……」
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提督「畜生、こうなったら動かぬ証拠を突きつけてやる」
提督「こんな事もあろうかと、監視カメラを用意しておいた」
提督「決してやましい事に使おうと用意していたわけではない」
提督「………」ゴソゴソ
提督「これでよし。ふっふっふ。尻尾を捕まえるのが楽しみだ」
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提督「さて、そろそろ録画を確認してみるか」
提督「…………」
提督「…………ちっ。写ってないか。もしかして読まれてるのか…」
提督「くそっ。こうなったら赤城秘蔵の間宮アイスを…………ん?」
時雨《…………》
提督「時雨が入ってきたぞ。どうしたんだ?」
提督「ま、まさか時雨も俺のお菓子を………んな訳ないか」
時雨《…………》キョロキョロ
提督「にしても何してんだ時雨は。手に何か持ってるな」
時雨《…………》ガタガタ
提督「お、何か置物とかを弄ってる。掃除かな……自主的にやるなんて出来た奴だな」
提督「全く……食い気しかない赤城に見習わせたいぜ」
提督「まさかこんな事をしてたなんて褒めてやらないとな」
提督「…………んん? 置物や写真たてをどかして、自分が持ってきた物を代わりに置き出した……?」
提督「あれは……写真たてか。誰との写真だ? あれは、置物か? 荒くてよく分からんな…」
時雨《…………》
提督「自分が並べた物を眺めてるな。表情は……見えない」
提督「掃除をしてるんじゃなさそうだな…」
提督「…………」
提督「???」
提督「いやいや、意味わからん。何をしてるんだ時雨は?」
時雨《………》
提督「眺めたまま微動だにしないな……。暫く見てみるか」
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時雨《…………》
提督「………動かねえ。どうした時雨は……」
時雨《………》ゴソゴソ
提督「動き出した!」
提督「持ってきた物を回収して………置物や写真たてを元の位置に戻してるな」
時雨《………》ガチャッバタン
提督「そのまま何事もなかったように出ていっちまった……」
提督「………」
提督「?」
提督「??」
提督「何だこれ。わけわからん」
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提督「…………」
提督(あの時雨は何だったんだろうか)
提督(赤城をとっちめてようとしただけなのに、わけわかんない物が撮れちまったな……)
提督(時雨に聞けば早いんだが……どうも聞きづらいな。そもそも何て聞けば良いんだ?)
時雨「提督」
提督「ぬわぁ?! し、時雨? 脅かすなよ…」
時雨「さっきから呼んでたけど…」
提督「そ、そうか。ちょっと考え事しててな」
時雨「……勤務中なんだからしっかりしてもらわなきゃ困るよ。提督」
提督「わ、悪い。それで何だ」
時雨「明日のスケジュールなんだけど――――」
提督「…………」
時雨(いつもと変わらない時雨だよな……)
時雨になってるぞ
ヤンデレはたいていカメラの位置をすぐに把握する
何故ならば自分が仕掛けようとするため、カメラの効率的な配置を理解しているからである
ただしこちらがあまり効率的でない位置にカメラを設置したお馬鹿さんの場合は、ギリギリ発見されるのを免れることもある
期待
このSSまとめへのコメント
期待
ヤンデレ時雨楽しみ
更新待っとるで
続きがきになるだろうが