女「迷子?」少年「ちがう、自由への逃走中」(63)

アパート

女「ただいまーおかえりー」ガチャリ

女「さて、ご飯作らなきゃ」ガサガサ

女「…しまった、卵買うの忘れていた」

女「これは由々しい事態、めんどくさいけどまたスーパー行かなきゃ」ガチャッ

なんとなくスレタイでワロタ

卵かけご飯だなんて高等テクを・・・
女さん恐ろしい子・・・

スーパー

~♪~♪

女「やばい、閉店間近だ。早く買わなきゃ」

女「卵と、よしたまにはプチチョコパイ買おう」

女「これお願いします」

店員「らっしゃいませー。425円になります」

女「はい」チャリン

店員「ちょうどになります、レシートです」

店員「りゃっしたー」

女(言葉短縮しすぎだろ)



女「つけまーつけるー」

女「しかし寒いな、今日。雪でも降るんじゃないかな」

女「早く帰って暖まろう」

少年「……」

女(あんなところに男の子が)

女(小学生ぐらいかな…何してるんだろ)

少年「……」

女「やあやあ、そこの君。そこで誰を待ってるんだい?」

少年「!?」ビクッ

女「驚かせちゃった?私は怪しいものじゃないよ?」

少年「…怪しい人はみんなそう言う」

女「つれないなぁ。で、本当にどうしたの?迷子?」

少年「ちがう、自由への逃走中」

女「そのセリフ、厨二チックでなんとも心踊るね」

少年「本人はいたって真面目なんだけどな」

女「それで、逃走中ってどういうこと?黒服の人に襲われてるの?」

少年「テレビの見すぎだ」

女「地元民が水鉄砲持って追い掛けてくるの?」

少年「だからテレビの見すぎだってば」

女「じゃあどうしたのさ」

少年「……ただの家出だよ」

女「家出を厨二変換するとそうなるのか、なるほど覚えた!」

少年「覚えんでいい!」

女「それにしてもこんな時間に家出って。親御さん心配するよ?」

少年「……あいつらはオレの心配なんてしねーよ」

女「そんなこと言っちゃって。君がそう思ってなくても、親は――」

少年「心配なんてしないっていってるだろ!」

女「っ!?」ビクッ

少年「…あ、悪い」

女「う、ううん。気にしないで」

女(…なんかワケ有りなのかな)

少年「う…」ガクッ

女「! ど、どうしたの!?」

少年「お…お腹が…」

女「お腹?お腹が痛いの?」

少年「お腹が、空いた」

女「……」

少年「……」

アパート

女「二回目のただいま」

少年「お、お邪魔します」

女「狭いけどそこ座ってて。すぐ料理作るから」

少年「ありがと…」

女「卵かけご飯がいい?ふりかけご飯がいい?それとも具なし?」

少年「それ料理言わない!」

女「冗談だよ冗談」

誘拐か!

女「へいお待ちどぉっ!」

少年「これなに?」

女「かに玉!」

少年「美味しそう」

女「美味しいよ!シェフ納得の味!」

少年「シェフって誰?」

女「私」

少年「お前かよ!」

女「もうめんどくさいからかに玉だけでいいよね。文句は?」

少年「ありません」

女「よし」

少年(むしろ、食べるものがあるだけで…)

女「ほら、いただきます言わなきゃ」

少年「…いただきます」

女「てぃっきます!」

少年「短縮すんな!」

あ、若干シリアスがあるから注意

女「ふぉれれれふね」モグモグ

少年「食べながら話すな」

女「」モグモグゴックン

女「それでですね」

少年「うん」

女「名前とお年と年齢を」

少年「なんで年齢を二回言わなきゃいけないんだよ」

女「おっとナチュラルに間違えていた」

少年「…名前は少年。年は12歳」

女「12歳?じゃあ12年前に生まれたんだ」

少年「あれ、これ、ツッコんだほうがいいのかな?」

女「私は女、花の17歳!」

少年「高校生?」

女「そう、高校生」

少年「高校生って一人で暮らすものなのか?」

女「…複雑な事情でね」
少年「ふーん……」

女「ところでさ。一つ、大事な事を聞きたいの」

少年「」ゴクリ

女「残りのかに玉食べていい?」

少年「それかよ!シリアスな空気どこ行った!」

女「シリアスが何よ!私はかに玉に命を掛ける!」

少年「逆ギレされた!?」

女「かに玉のかにが偽物でも!かに玉を嫌いになる理由なんてない!」

少年「語り出した!?」

女「みんなかに玉になってしまえばいいのよ!」

女「なんでだよ!」

女「みんなで一つのかに玉になりましょう!これぞ人類かに玉計画!」

少年「何言ってんだよ!ちょっと落ちつけ!」

なんとなく女はもうちょい上だと思ってた
支援

ミス

×女「なんでだよ!」

○少年「なんでだよ!」

女「はぁ…はぁ…」

少年「いきなり暴れ出しやがって…」

女「とまあ、そんなわけで」

少年「どんなわけだよ」

女「この家の中じゃ私の行動を咎めるものはいない」

女「それにこんなクソ寒い夜に男の子を放り出したくない」

少年「?」

女「今日ぐらいなら泊まっていっていいよ?」

少年「トマルって何?」

女「何って、他の人の家で夜を過ごすことだよ」

少年「…いいの?」

女「その代わりに明日はちゃんと帰るんだぞ?」

女(冷静に考えると誘拐だよなこれ)

少年「……分かったよ」

女「よしじゃあお風呂入ろう!一緒に」

少年「待て、もう一度」

女「一緒にお風呂入ろう」

少年「だが断る」

女「ナニッ!?」

少年「ナニッ!?じゃなくて、なんで一緒に入らないといけないんだよ!」

女「理由はないよ」

少年「ないのか!」

女「あ、言っておくと嘘だけどね?」

少年「このお騒がせ屋め!」

お布団に用事が出来たのでまた明日…今日?

とりあえず期待

女「覗かないでね」

少年「だ、誰が覗くか!」

パタン

少年「……やることないな」

少年「テレビもつけていいものか分からないし」

少年「ん?棚に乗ってるのなんだアレ」

少年「写真立てか。なんで伏せてあるんだろう」カタッ

少年「家族写真……?」

少年(両親っぽい人と女っぽい人と…妹っぽい人)

少年「仲悪いと思ってたけど違うのかな」

少年「……」カタ

女『キャーーーー!!』ガッターン

少年「女!?」

ガタンガラガラドタバタ

女「ご、ゴキブリ!ゴキブリが!」

少年「せめてバスタオル巻け!」

女「お願いだよぅ、あの茶色きならず者を退治してよ勇者様」

少年「誰が勇者だ。分かったよ、新聞か何かは?」

女「雑誌はありますよ勇者様!」

少年「ニッセンかよ!重っ!」

女「あと制汗スプレー!これで奴の動きを止めるのよ!」

少年「そこまで出来るなら自分でいけるだろ!」

女「おまっ、か弱き乙女に何を言う」

少年「まず素っ裸な時点で乙女とは言えない」

女「なによ、ゴダイヴァ夫人を馬鹿にしているというの!?」

少年「誰だそれ!もういい退治に行くぞ!」

ゴダイヴァ夫人でぐぐっちまった

ゴディバの由来だったとは

ゴキブリ「」カサカサカサ

女「ひぃ」

少年「まずはスプレーで……」シュッ

ゴキブリ「」サッ

少年「逃げた…だと」

女「こうなったらみんな死ぬしかないじゃない!あなたも私も!」

少年「ゴキブリ一匹で何をいってるんだよ!」

女「私、ダイヤモンドメンタルだから」

少年「安心しろ、お前の心は曲がらねーよ硬すぎて」

女「やだんっイケメンセリフいただきっ」

少年「とりあえずゴキブリ退治に手を貸せ!」

ゴキブリ「」カサカサカサ

女「ひぃぃ」

少年「一匹か」シュッ

ゴキブリ「」サッ

少年「避けた……だと」

女「だめだ、終わったわこれ!」

少年「大げさだろお前!」

女「もう死ぬしかないじゃない!あなたも私も!」

少年「落ちつけ!いいから落ちつけ!あとバスタオル巻け!」

女「ダイヤモンドメンタルの私に落ちつけと!?」

少年「ずいぶんメンタルが硬いんだな!」

少年「せいっ」シュ―ッ

ゴキブリ「(:d)┼─┤」バタッ

女「やっ、やったぁ!」

少年「あとは燃やすんだが…いいや外に放りだしちまえ」テイッシュクルミ

女「ありがとうぅぅぅ」ヘナッ

少年「うん、分かったからバスタオル巻け」

女「じゃあ次少年君ね!シャワーの使い方は分かる?」

少年「現代っ子舐めんな」

女「今ならサービスでお背中流しますよ?」

少年「いらん」

女「冗談だよーはいごゆっくり」

少年「…ん」

パタン

女「寝間着必要かな?」

女「なんか大きめのtシャツないか探そ」パタパタ

あれ、書き込めてる
>>30>>31好きな方をどうぞ

女「ええいっ見つからない!ジャージでいいか!」

ピンポーン

女「」ビク

女「…だ、誰だ?メリーさんか?アポなしで来たのか?」

女「はい…」ガチャ

隣人「女さん、どうかしたのかい?」

女「隣人さん。いえ、その…ゴキブリが出ちゃって」

隣人「退治した?」

女「バッチリです」

隣人「それはよかった。でももう少し静かにね?」

女「は、はい…すみません…」

隣人「おやすみ」

女「おやすみなさい」ガチャッ

女「……」

女「…行ったかぁ…」フゥ

女「自覚してなかったけど結構騒いでいたんだな、私」

女(あ、少年君の靴……)

女「ボロボロ…かかとがもう限界迎えてるし」

女「なんで買い換えないんだろ?」

女「成長期だから定期的に変えないとダメな気がするけど」

女(……)

ガラッ

少年「あれ、ジャージが置いてある」

少年(使えってことかな)

少年「……使っていいのか?」

女『いいよー』

少年「そこにいたんかいっ!」

女『私は何処にでも現れるよ!例え火の中水の中スカートの中!』

少年「キャー」

女『私あっち行ってるからねー』

少年「う、うん」

少年(これがしんせつってやつなのか?)

少年「あがったぞー」

女「へぃ、暖まったか少年!」

少年「お前はもう少し頭を冷ませ」

女「でも、平温は35.5℃だよ?」

少年「話が噛み合ってない気がするけど体温低くないか」

女「冷静の明かしだよ」フンス

少年「ダウト」

女「なんでっ!?」

明かし→証



少年「お前が冷静だったら世界中の人間みんなが冷静だろ」

女「そんな、褒めなくたって」テレッ

少年「褒めてない」

携帯「カナシーミノームコウーヘトー♪」

女「あ、電話。ちょっと待っててね」

少年「うん」

女「ハイ、ジェーン?」

女友『誰がジェーンだ』

女「じゃあメアリー?」

女友『そういうことを言ってるんじゃない』

女「それでどうしたの、電話なんかしちゃって」

女友『英語の宿題あったか聞こうと思ってな』

女「それならレッスン3を全文ノート写しだよ」

女友『そうか、ありがとう。……それで女』

女「ん?」

女友『やけに嬉しそうだがどうした?今日なんかいいことあったか』

女「今日?今日は……」チラ

少年「机にシールついてる…」カリカリ

女「…ちょっとね」

女友『はぁん?まあいいや、また明日な』

女「うん、また明日」プチッ

女「ふぅ」

少年「おい女、机にシールなんか貼るなよ」カリカリ

女「えー。でもなんか貼りたくならない?」

少年「精神年齢オレより低いだろ」

女「そんなことない!プンプン!」

少年「……」

女「とりあえず、明日学校だしもう寝なきゃ」

少年「そうか、高校生だもんな」

女「少年君は?学校いかなくてもいいの?」

少年「オレ?オレは毎日日曜日だから」

女「それってサボりじゃん!」

少年「世間一般ではそうともいうな」

女「開き直った!」

女「今日は少年君ベッドで寝ていいよ。私は予備布団でねるから」

少年「そこまで気を使わなくても。オレ床で寝れるし」

女「お客さんを無下に扱っちゃいけないってばっちゃが言ってた!」

少年「でもな」

女「じゃあこうなったら一緒に布団で寝よう。カモン!」

少年「何がカモンだ!」

女「いでよ朝チュン!」

少年「なに言ってるか分からねーよ!」

女「今ならお姉さんの腕枕つき!」

少年「分かったよ…ベッドで寝かせてもらう」

女「最初から遠慮なく寝ればよかったのにー」

少年「遠慮なくベッドに行く奴も失礼だとは思うけどな」

女「ちょっとの遠慮は必要だよね」

女「もう部屋暗くするよ」パチン

少年「暗いな」

女「暗いね」

少年「豆電球とかは?」

女「切れてそのまま放置」

少年「付け替えればいいのに…」

女「めんどくさくて。カバー外すのが」

少年「そういうもんか」

女「そういうもんだよ」

話進まねえ

少年「……」

女「いきなり黙って、どうしたん?」

少年「見ず知らずの人間に親切にするお前が不思議だと思って」

女「そっかなぁ。困ったときはお互いさまじゃん?」

少年「……女って面白いやつだよな」

女「それ貶してる?」

少年「多分褒めてる」

女「やったぁ!」

少年「喜ぶんだそれで」

女「じゃあおやすみ、おいどんは寝るでごわす」

少年「無理にキャラ作りすんな」

女「……」

少年「……」

カチコチ カチコチ

少年「暖かくて眠れない…」

女「」スースー

少年「柔らかくて眠れない…」

女「」スースー

少年「…ぐっすり寝てるし。ちょっと妬ましい」

カチコチ カチコチ

少年(羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が五匹…あれ)

女「……ん…」

少年「」ビクッ

少年(起こしたか?でもそんな覚えないし)

女「……なんで……置いてくの……」

少年(寝言?)

女「私……」

少年「泣いてる…」

女「…」スースー

少年「…よしよし」ナデナデ

チュンチュン

女「新しい朝が来た」ガバッ

女「しかし希望の朝とは誰が言った」

少年「」クー

女「…えっと」

女「そうか、招き入れたんだっけ。要するに誘拐」

女「年々独り言が増えていくな……」ヨイショ

女「朝ごはん作るか」

女「朝ごはん作り終えた。私って完璧」

女「少年君、ご飯だよ」

少年「」クークー

女「…疲れてたみたいだし、もうちょい寝かせてあげるか」

女「いただきます」

女「」モグモグ

女「ごちそうさま」

女「さてと、支度支度」パタパタ

女「制服はっと」ゴソゴソ

女「うーん、制服そろそろクリーニング出さなきゃいけないかもね」

女「取りに行くのめんどくさいんだよねぇ」ハァ

女「さて、ワイシャツ着てスカートはいてブレザー着て靴下はめて」イソイソ

女「花の女子高生の完成!」キラッ

女「…少年君にメモ残しておこう」

少年「」クークー

女「いってきます。いってらっしゃい」ガチャリ

学校

ザワザワ

女「おはよう」

女友「ん、おはよう」

女「今日も元気そうだね」

女友「そっちも」

委員長「あっ、女友さん!その服装は校則違反って何度いえば分かるんですか!」

女友「げ」

委員長「いい加減制服のあちこちにレース縫い付けるのやめて下さい!」

女友「わたしのアイデンティティーだ!そう簡単に譲れるか!」

女「委員長おはよう。あなたも元気だねぇ」

委員長「女ちゃん、おはようございます」

女「相変わらずだね、あなた達二人の攻防は」

委員長「いい加減終わらせたいのですが」ブチブチ

女友「レースを!レースを引きちぎるんじゃねぇ!」

委員長「わたしだって涙を飲んでやってるんです!」

女友「半笑いじゃん!」

女「……」ボー

女(少年君、帰るんだろうな)

女(なんか、久しぶりに人泊めて嬉しかったというか)

女(もう一日いて欲しいとかそんな我が侭思っちゃった)

女(彼には彼の、帰る家があるのに)

女(でも……なんだろう。家庭状況、あんまり良くないのかな)

女友「女」

女(でもそれは赤の他人が首を突っ込むことじゃないし)

委員長「女ちゃん?」

女(大丈夫なのかな、少年君)

女友「女ァ!!」バン

女「サー、イエッサー!」ドキッ

女友「サーじゃない!」

女「イエス、マム!」

女友「よし、それでいい!」

委員長「見てるだけで疲れる」

女友「大丈夫か?さっきからぼんやりしてるが」

委員長「具合が悪いなら保健室に…」

女「う、ううん。なんでもないの」

委員長「ならいいですが…」ブチブチ

女友「だからレースやめてー!」

少年宅付近

少年「………」

少年「帰りたくねーな」

少年「また母さん新しい男連れ込んでるだろうし」

少年「かと言ってあの人に世話になるのもアレだし」

少年「……」ハァ

少年「行くしかないか」

学校、放課後

女友「女ぁー、今日マック行こうぜー」

女「ごめん、用事があるから無理」

女友「マジか」

女「ばいばいセリヌンティウス」

女友「走れ、メロス」

委員長「またずいぶんなネタを出してきましたね…」

委員長「そういえば女ちゃんは一人暮らしでしたっけ」

女友「そうだよ」

委員長「偉いですよね。わたしにはそんなこと出来ません」

委員長「未だに料理を炭にするし」

女友「それはそれでレアな存在だな…」

委員長「てへぺろ」

女友「ま、あいつも中学の頃は一人暮らしを望んではなかったんだけどね」

委員長「え?」

女友「あれ、女から聞いてないの?」

委員長「何をですか?」

女友「あー…じゃあなんでもないや」

委員長「ここまで来て生殺しですか!?」

女友「だって女に無断で女の過去をペラペラ話せないもん」

委員長「そりゃまあ、そうですが」

女友「これだけは言ってもいいのかな。用事の内訳」

委員長「買い物とかじゃなくて…?」

女友「この時間じゃまだタイムセールじゃないからあいつ急いで行かないよ」

女友「墓参りをしにいってる」

委員長「お墓参り…」

女友「そっ。墓参りだけは、誰にも邪魔されたくないんだってさ。女は」

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