冬馬「ずっとずっとその先へ」 (148)
http://i.imgur.com/CYEO5b2.png
翔太「世界は動きだす―――― ♪ 」
北斗「今 始まるストーリー ―――― ♪ 」
『 S i d e M ! ! ! 』
――――キャアアアアッッ!!! ――――オオオオオオオオッッ!!!
――――ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!!
サイリウムの輝きがあちこちで咲いて、瞬く間に会場を覆った。
その鮮烈な光の束は会場の薄闇を切り裂いて、まっすぐに舞台に届いてくる。
俺の体が、瞳が……心が煌めきで彩られていくのが分かる。
冬馬「は……はは……っ!!」
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歓声。喝采。
たまりにたまった期待と喜びが、俺に……俺たちに向けられてる。
『 見上げる空へ Fly To The Sky 昨日より遠く高く ――――♪ 』
翔太が手を振って返す。
北斗が笑顔と共にウインクを贈っている。
『 声が聴こえる So Faraway 見えない虹の向こう ――――♪ 』
あ、隼人。そんなブンブン腕振って……うれしいんだな。わかるぜ。
『 心が叫ぶ Shaking My Heart まっすぐに前を向いて ――――♪ 』
おお、山下さんも笑ってんな。元先生でもこの舞台の興奮はいっしょだよな!
『 光の中走りだせ 響けメロディ ――――♪ 』
冬馬(……おいおい! どうした俺! 最高のパフォーマンスするって決めただろが! 集中しやがれ!)
でも。この舞台の幕が上がった瞬間だけは……感動全部取り忘れたくねえって思う。
歌に喜びが乗る。今までの苦しさも乗る。けど、それはどこまでいっても俺が俺でいることへの嬉しさになってて。
……ああ、生きるってのはいつだってこうなんだ。
鼓動が、すげえ力強く鳴る。
冬馬(ありがとう……見ててくれッ!!)
ココロに靄が無くなっていく。
俺に、最高の天ヶ瀬冬馬が降りてくる。
冬馬(待ちわびた夢の続き)
『 オレたちのステージ 始まる今 ―――― ! ! ! 』
―――― Y E A H ! ! !
『 3 1 5 ! ! ! ! ! 』
――――
――――――
BACK STAGE
輝「みんな! ついに当日! 本番だ!! 気合い入れてこーぜっ!!」
四季「ライブっすよー!! ついにアイドルとしてこんなステージにっ!! テンションメガ上がってくるーッ!!」
春名「やっぱ四季、上がってんな! いいぜそのテンション、お客さんにぜーんぶっぶつけちまおうぜっ!」
ピエール「ステージきらきら! ファンのひとたち、たくさんたくさん来てくれてる! ボクがんばるっ!!」
輝「おっ、良く言ったピエールっ! ばしっといいとこ見せなきゃだよなっ!!」
みのり「う……ううっ!」
恭二「ど、どしたんすか、みのりさん」
みのり「ごめん、ごめんね。少し感動しちゃってね……!!」
旬「え、流石に早くありませんか……。集中しないといいパフォーマンスなんてできませんよ」
みのり「うん、うん!! わかってる! わかってるんだ! 涙は全てが終わってからだよね!! ――よしOK!! ファンに笑顔を届けようっ!!」
類「Wow!! いいpassionだ! 負けてらんない、俺もこのfantasticでfabulousなこのstageに応えるためにがんばるよっ!」
悠介「るいせんせーも燃えてるーっ! へへっ、いっしょに準備運動もう一回やる?」
Jupiter
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DRAMATIC STARS
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Beit
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High×Joker
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W
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S.E.M
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享介「みんなそれぞれの集中の仕方ってあるよなー」
薫「しかし、騒がしいな……少しは落ち着いてコンセントレーションを高めるとか、そういう方向にはいかないのか。まったく……」
翼「あれ、でも薫さん笑ってますね?」
薫「なにっ?」
輝「お前もテンション上がってるんだろー? わかってるって! 桜庭そういうとこあるもんな!」
薫「なっ……!! そんなわけ――――……ふん、いや、そうだな。その通りだ。僕は高揚している。柄にもなくな。しかしこうして気を昂ぶらせるのも、ライブに臨む態度としてはある種適切なものだろう」
輝「お、おっ? 認めんのか今日の桜庭は一味違うな!」
翼「あははは! 今回のフライトは、激しめにいきましょう! 輝さん、薫さんっ!」
隼人「ふーっ……」
道夫「む、どうした秋山君。気分が優れないのかね」
隼人「え、いや。そんなことは!」
次郎「はざまさん、どうやら違うみたいですよー、だってあきやま、笑ってますもん」
隼人「えっ、笑ってました? オレ?」
夏来「うん、ハヤト……笑ってた……」
隼人「ええっ、ホント? そっかー……いや、なんかさ、今回みんなといっしょにやるだろ? だからどんな気持ちでアイドルのステージに上がればいいのかって改めて考えちゃってさ」
旬「ハヤト……?」
隼人「そんで、ここまで来るためにやったレッスンとか、挑戦とか頭の中で振り返ってたら……うん、なんか笑ってた思い出が多くてさ。だからさ、……笑っちゃったんだと、思う」
四季「おおーっ!! さすがハヤトッち!! めちゃめちゃいいセーシンジョータイっすよ! それ!!」
次郎「はは、青春してるねぇ。まぶしいまぶしい」
類「Non!! ミスターやました! 俺たちの青春もまだまだ現在進行形!! もっともっとdreamerでいこうよ!」
次郎「え、なにDreaming! みたいな感じ? あー、うん、まぁね。やるだけやってみるけど……ホドホドにね」
道夫「うむ。山下くん、舞田くん。ここまで共に来てくれたこと礼を言う。若者たちの規範となり、未来への道を示す。ここが最初の一歩だ。抜かりなくいこう」
悠介「サッカーのスタジアムとちょっと雰囲気が似てるよね。みんなとやれるなんてすっげぇ楽しみだ!」
享介「だなー。緊張とか、興奮とか。試合前にそっくり。二人だけじゃないってのはうん、心強くもあるけど……ドキドキもしちゃうな」
悠介「ああ、楽しみだよな!」
薫「また、デビューオーディションの時のようにテーピングを探すようなケガはしないように。失敗しても……挽回のチャンスはいくらでもあるのだからな、焦るな」
悠介「はいっ、肝に銘じます、さくらばせんせー!」
輝「はは、なんだよ今日の桜庭、めっちゃ良いヤツになってるじゃねえか!」
薫「なんだそれは。気が逸ってケガをしそうな連中が多いからな。先に予防したまでだ」
みのり「うっ尊い……みんな理由あってここに集ってるからかな、こういった助け合いがね、本当にね、尊くて尊くて……」
恭二「だからなに感極まってるんすか。みのりさん、俺たちアイドル界の頂点を目指すんだろ。今は前を」
みのり「うん、向くっ!!! 恭二ありがとう! ……ふふっ、うん、もう大丈夫。本当に大丈夫。いつでもいけるよ俺」
ピエール「やふーっ! みのり、いい顔! ボクもえがおぜんかいでいくー!」
冬馬「…………」
北斗「もう一度、ここからだね冬馬」
冬馬「ああ」
翔太「黒ちゃんのとことは、ずいぶん空気が違うよねー、315プロって。ま、こーいうのキライじゃないけどっ♪」
冬馬「そうだな」
冬馬「マジで、もう、笑えてくる……」
冬馬(頂点を目指す、か)
――『手段を選んでたらトップになんてなれやしないぞ』
冬馬(ざけんなよオッサン)
冬馬(そんな汚いことをしなくても、俺たちは――)
輝「ほら、冬馬! おい!」
冬馬「え? ああ、なんスか? 天道さん」
輝「もう始まるからな! その前に一言頼む! Jupiterのリーダー!」
冬馬「……ははっ! そうっすね! オレ、みんなに言いたいコトあるんすよ」
冬馬「おい! 注目ーッ!!」
隼人「冬馬さん?」
薫「む……締めてくれるのか」
翼「な、なにを言ってくれるんでしょう!」
冬馬「いよいよだ、みんな」
冬馬「こんな直前に難しいコトは言わねえ。みんな色んな理由があって、ここにいるってことは分かってる。それぞれに譲れねえ想いがあるってことも」
道夫「……」
享介「……」
冬馬「でも同じだ」
冬馬「アイドルとしてここにいて、全力を見せて、最高のライブを作りだす。そこにはまったく違いがねえ」
四季「……!」
類「Wow……っ」
冬馬「ファンのみんなに、最高の俺たちを見せる!! 大丈夫だ、俺たちならできる。自信を持て!!」
「おーうっ!」「はいっ!」「ああ!!」
冬馬「はは! よしよし、良いレスポンスだ。……そんで、だ。あー…………ありがとな、みんな」
輝「ん?」
冬馬「みんなそれぞれ努力して、ここに立ってくれてるってのが、うれしい」
冬馬「俺たちはJupiterの3人きりでステージに立ってきた。そんで……一時、ステージから姿を消した時も3人だった」
輝「冬馬……」
冬馬「でも、この再始動のステージには、俺たちだけじゃなくてみんなで上がってるだろ?」
冬馬「みんなレッスンして、慣れねえこともやって、プロデューサーにフォローされながらここまで来てくれた。だからいっしょにここにいる」
冬馬「新鮮なんだ。新しくて、感動してる」
冬馬「今ならどこにも負けねえって気持ちになってる。最高にそう思えてんだ」
冬馬「ああそうだ、俺は確信してんだ! まだまだもっと上に行けるってな!! みんなもそうだろっ!?」
――オオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!!
冬馬「へへっ!!」
翔太「もう、冬馬くんはー。あんな熱くて恥ずかしいセリフよく言えるよね。……燃えてきちゃうじゃんか、もう」
北斗「夢は……一度潰えたと思っても、またどこかに繋がっている」
翔太「え?」
北斗「あはは、Jupiterで良かったよ、俺は。……本当に」
翔太「北斗くんまで、なんなのー? そんなこと言ったら僕だって……ホンキになれるものをくれたJupiterには……」
プロデューサー「……ふふ」
冬馬「こっからだ! こっから俺たちの伝説は始まる!!」
輝「だな!! よーし! みんな円陣組もうぜ!!」
輝「みんなっ! 1stLIVE楽しむ準備はできてるかっ!?」
『オオッ!!』
輝「We are ―――― !」
『 3 1 5 ! ! ! ! ! 』
オオオオオッ ―――― !!!
オオオオオオオオオオオッ ―――――― ッッ!!!!
オオオオオオオオオオオオオオオオオッッ ―――――――― ッッッ!!!
翼「おおおおーっ!!」
悠介「おおーっ!!」
四季「おうっっ!!!」
恭二「おおおっ!!」
類「おーぅっ!!!!」
オオッ!! オウッ!!!
オオオオオっ!!! オゥ!!!
冬馬(長え!! でけえ!! そして誰も止めねえ!!)
――
――――
【HIGH JUMP NO LIMIT】
ワァアアアアアアアアッッッ!!!!
――――『 いつだって合格点目指してきたけど 』
ハイジョ!? ハイジョーカー!!!! ウッソ!! イキナリ!?
ライト ナンダッケ!? アカ、 アカ!! ナツキー!!! ハヤトー!!! ジュンサマ!!
シキー!! ハルナー!!
『自分だけのリミット 決めていた』
『頭でっかちなMy Feeling 壁に出会うたび』
『越えられないまま 過ぎてくOh Every Day ――!!』
冬馬「歓声が響いてやがる。やるじぇねえかHigh×Joker!」
翔太「キラッキラだもんねー。切り込み隊長って感じ」
北斗(……冬美旬。あの神童ピアニストが……ここに。あんな風に笑って。わからないものだね、人間の限界ってものは)
冬馬(モヤった気持ちは明日さえ遠ざける)
四季「それなら いっそ踏み出せばいいよ!! そうだ Are You Ready? ――――! ♪」
四季「跳ぶよーっっ!!!」
『 We Can, High Jump! ゆこう 跳べるところまで ♪ !! 』
『 可能性こそ最強だ! ――――♪ ! ! ! 』
冬馬「おお! 観客も跳んだ! ……スカッとさせてくれるぜ」
翔太「だねー……ホント、思いださせてくれる。ってジャンプOKだっけこの会場」
北斗「若さというのは素敵だね」
四季「High×Joker合体ーっ!!!」
ウオー! ワチャワチャ ―ギャギャーン♪
輝「おおっ! あれは!!」
悠介「騎馬戦フォームだーっ!!」
冬馬(はは!! たまには高校のダチと遊びにいくか! ……気持ちのままいけばいいんだよな)
――
――――
【∞ Possibilities】
――♪
ワァアアアアアアアア、ア、アァァア ―― ?
レーザー!? ヒカリ!? ヒカリガスゴイ!!
コレッテ! ウン…! セイトノ ツギニ!?
『 Mission! I’m counting on you. 』『 殻を破るんだ 』
『 Do it now! 出来るさ 』『 Do your best! 』
『 Don’t limit your challenges. 』『 感じるだろう 』
道夫・類・次郎 『 ∞ Possibilities! ――――♪ !! 』
――――ワァアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!
「先生ー―――!!!」 「せむーっ!!」 「授業してー!!」
冬馬「改めて激しいダンスだ。すっげぇ先生たちだよな……」
享介「事務所で勉強やってたら、すごい熱心に教えてくれるんだよね、みちおせんせー」
春名「た、助かるよな……頭バクハツしそうになるけど……」
四季「かっけー! 次郎っち! 猫カフェいっしょに行きたくなるっすー!!」
旬「なんだよそれ……どういう繋がり方してるんですか。……行く時になったら僕にも伝えてくださいね」
北斗「覚えてる? 冬馬、翔太。あの学校でのシークレットゲストのお仕事。俺たちの舞台を見て……マイケルたちはアイドルを目指したんだよ」
冬馬「……俺たちを見て、か」
翔太「だから勉強させてもらうとか、参考になったとかボク達に言ってくれるんだね。そういうとこ、薫さんと似てるよね先生たち」
冬馬「まっすぐだった道じゃねぇけど……誰かの目標になれてたなんてな」
『計算通りにいかない』 『なんて想定内だって』
『やってみりゃいいんじゃない?』 『さぁ、Let’s try!』
『型にはまんないで』 『Break throughしなきゃね』
『 その常識から 』 ―――― ♪
冬馬(でも、ま……結局、曲がっちまった後にどうするかなんだよな。先生)
『なんにもさぁ、わかんないって』 『諦めるReasonじゃなく』
『何処へでも行けるってことだろう、歩き出せ』 ――――♪
冬馬(諦めて消えるなんて、凡人の発想じゃあつまんねえよな……)
冬馬「しっかし、すっげー衣装だな……」
『 可能性は∞さ! You can change your world…自由はきっと 描いていい 魅せてくれよ ―――― 』
『Try!』
『現状(いま)を』
『 越 え て ―――――――――――― ! ! ! ! ! 』
恭二「そうだな。失敗があったって俺たち前に向かっていいんだよな……日常を変えろか、ま、確かに案外面白い」
ピエール「きょうじ、ひとりごと言って、ひとりで笑ってる! なにがおもしろい? 教えて!」
恭二「いっ!? あ、あー、ほら、あの元化学教師さん、前髪ウザそうだから燃やしたらいいんじゃないかなって。そしたら案外面白いかなって?」
みのり「流石にそれは照れ隠しが下手すぎるよ恭二!」
輝「まったく、一癖も二癖もある連中が集まったもんだよな」
翼「輝さん、俺たちも人のこと言えないと思いますよ」
薫「同感だ。弁護士とパイロットと医者。……アイドルをしてなければ、君たちと出会い、苛立たされることも無かっただろうに」
輝「んだとぉ!?」
薫「そして仲間だとも……思うことはなかったんだろうな」
翼「え? 薫さんなんていいました?」
薫「……なにも言っていない! さあ天道、号令をかけてくれ。僕たちの出番だぞ」
輝「お、おう! なー、桜庭ーこの衣装どうでぃしょう?」
薫「……号令はどうした」
輝「いや!その前に! この渾身のギャグをなぶつけとかないとなって思って!」
翼「あ、今のギャグだったんですか?」
輝「翼ぁ! そうだよ! ギャグだったんだよ!」
薫「今この状況でダジャレか……まあ、そうだな、中々面白かったぞ。このタイミングだからこそある程度の切れ味を持ったと言えるだろう」
輝「えっ」
翼「えっ……、天道さんのギャグを評価するなんて! 薫さん! 本当に今日すっごいテンションあがってるんですね!」
薫「だから少しぐらい変わったことをすべきだと思っただけだ。今までの人生に無い新しいことをやろうとしているんだからな」
輝「なんだそりゃ。普段はオレのギャグ評価できないってことか? でも、ま。わかるぜ……俺たちは変わってここにいるんだもんな。行くか桜庭、翼! アイドルになった意義を感じに!!」
翼「はいっ!」
薫「ああ。一撃で会場を呑むぞ」
冬馬「DRAMATIC STARS……期待持てるユニットだよな」
北斗「ああ、チームワーク、あの最初のころよりずっと良くなったように見える」
翔太「ちょこちょこケンカしてるの見るけどね」
冬馬「そりゃ俺たちもだろが」
翔太「あ、そっかー。そういう風に安定してるってことか」
冬馬(……きっとこんな形でも団結って言えるんだな)
――
――――
【DRAMATIC NONFICTION】
――――♪
オオオオオオオオオオッッッ!!! キャアアアアアッ!!
輝「……!!」
――――――!!!!!!!!!!!
――――!!!!!!!!!!!!!!!
冬馬「なんだ会場すげえ湧いてるな!」
みのり「ライトが秀逸だね! そしてあの大きく映えるキレのあるダンス!! 三者それぞれいいね! UO折りたくなるっ!!」
悠介「う、うん! なんかすごいってのはわかる!」
四季「ボーカルだけじゃなくダンスもやるんすね! 歌以外でも負けてられないっす!」
冬馬「四季、お前ライバル視してんのか? ま、確かに薫さんのボーカルはすげえけどよ……」
四季「それは冬馬っちにもっすよ……ってあああああああーっ!!!」
次郎「えっ、なに、いせや!?」
四季「薫っちの眼鏡がどっかにィー――――っっ!!?? 投げ捨てられたっすー!!」
春名「おおっ!? まじだ! 勢いよくすっとんでった!」
薫「……!!」
ワァアアアアアアアアアアアッッ!!
翔太「うあ! 盛り上がりが! ピギャーって!!」
道夫「眼鏡を外すとは……!! そういうパフォーマンスもあるのか。私ならば取り入れることは可能だな」
享介「いやいやいや、あんな飛び道具はマネするもんじゃないと思います、せんせー」
冬馬(こんなことするように見えなかったけど、本当に熱くなってんだな……すげえ! いいぜ! そういうの好きだぜ!!)
薫「こんな表情を誰かの前で見せる様な俺じゃなかった ――♪」
翼「いつの間にか、雲間に射してた陽光(ひかり)のような ――♪」
輝「Smile that I don't know. ――♪」
『ずっとそれぞれ違う想いを抱いてきた魂が』
『出逢う時』
『その視線』
『重なってく』
冬馬(普通に生きてりゃ人生で会うはずもなかったヤツらと、ユニットを組んで、いっしょにアイドルをやっていく)
冬馬(それは奇跡だったのか、悲劇だったのか分かんなくなる時があった)
冬馬(だからこそ……)
『 DRAMATICな NONFICTIONを 俺たちは手を伸ばして掴むのさ ――――♪ 』
冬馬(最高にしたいって思うんだよな……お前らもそうなんだな)
『 知らなかった…この可能性が 目の前の 新しい扉開き 』
『 一瞬で『世界』を塗り替えていくよ 瞳の奥を 』
――――♪
冬馬「気合い入るな」
北斗「ああ。あのジャケットを開くモーション、アドリブだよね? ふふ、天道さんは真ん中が似合う人だ」
翔太「ホント、年上の後輩ってなーんかヘンな感じだけど、いいよねっ」
冬馬「俺たちもユニットとしちゃあ互いの性格バラバラだよな」
北斗「それでもいいんだろうね。響き合って可能性を奏でることができるなら」
悠介「よし!! いくか享介!」
享介「次は俺らの番! せり上がって出てくるなんて、わくわくするな!」
悠介「ステージ二人占め! 今回はオレらしかできない特別!」
享介「……あのさ、広いからってあんまりムリして動いたりしちゃダメだからな」
悠介「享介がいるから大丈夫! そんで享介にはオレがいるから大丈夫!」
享介「……まったくもう。じゃあ今回は悠介も俺のフォロー頼むぞ! ちゃんとしてよっ」
悠介「了解~! 俺らならイけるっ!」
【Pleasure Forever…】
――――♪
――Wow… For the future!
悠介「一緒にいると何でもできちゃうみたいな 底知れないチカラが湧いてくる感覚 ――♪」
享介「ひとりきりじゃ やっぱり調子でないのは ココロまで委ねてる証拠さ ――♪」
キャアアー!! ユースケ!! キョースケー!! ファンタジスター!!
翔太「わーっ! いいなぁステージを広ーく使って! 走り回って!」
類「とってもactiveなのに、cuteで! さすがはtwins! ミスター享介もミスター悠介もamagingだ!!」
冬馬(双子か。そういや、あの765の二人はそれぞれの別の舞台でってのが多かったな。ったく、あいつらあまとうあまとう呼びやがって……確かに甘党だよ悪いかよ)
冬馬(……765か。ちゃんと来てんだろうな、あいつら)
春名「ほら! 冬馬! いっしょにやろうぜ!」
冬馬「え、若里さん? あ、甘党同盟の話っすか?」
春名「違うって~!」
ピエール「くらっぷゆあはんず? こーるあんどれすぽんす? お客さんもやってるそれ! それやるっ!」
冬馬「え、俺らもやるんすか?」
類「二番はHigh and lowからだよ!」
夏来「うん……わかった。冬馬も……いっしょにやろう?」
冬馬「あー、おう。ま、たまにはこういうのもいいか」
「「「 High and low!! 」」」
『 過ぎた時間(とき)は 』
「「「 No moment !! 」」」
『 戻らないけど 』
「「「 Don't give up !! 」」」
『 乗り越えるのさ 』
『 共にゆこうよ さぁ新しいトビラ ―――― 』
「「「 開け放てっ!! 」」」
四季「イェーッ!! いっすね! 合いの手はやっぱ!」
輝「ああ、楽しいぜっ!」
薫「子どもか君たちは。開け放ては余計だっただろう。歌に乱入するような真似は舞台ではするんじゃないぞ」
翼「乱入……」
翔太「……いいな」
四季「どしたんすか?」
翔太「いや、ダンス、手を引っぱりあって回るとか背中合わせで立ち上がるとか、そーいうコンビ技のテク、ベンキョ―しようと思ったんだけど……歌詞もいいんだよねこれ」
北斗「どこがいいと思ったんだい?」
翔太「『思いきり転べば転んだ分 みなぎる想いへと変わるから』ってとこ」
冬馬「お前もか」
翔太「転んだままじゃつまんないから、僕たちここにいるんだよね」
北斗「……ああ」
――『Jupiter、961から抜けるんだって』
――『あいつらもう終わりだな』
――『ああそうなの? いや、まったくどうでもいいんだけど』
冬馬「……………」
冬馬「次はBeitか」
【想いはETERNITY】
――――♪
『 期待する環境には“No”を突きつけたんだ けれどこの手はもっと輝きたくて 』
『 まだ争いやモンダイ…続くけど 笑顔咲かせられる人になりたい 』 ―――― ♪
旬「ピエールくん……この曲の時、とても心が入りますね」
翼「きっと、ピエールくんにも抱えてる想いってのがあるんでしょうね」
冬馬(争いがあって、憎しみがあって。そんで問題は山積みか……だが、止まる気はねぇんだな、ピエール)
本当を知りたい。
自分で掴みたい。
……アイドルをやっているのはなぜだ?
ピエール「 たくさんの 『シアワセ』 おくりたいから ――――♪ ! 」
『 そうさなぜここにいるのか 強く指し示そう ――――! 』
『 願いへのパスポート たずさえて挑んでく 』
『 “夢”という存在証明 僕らなりのカタチで! 』
冬馬「……ありがとよ。受け取ったぜBeit」
北斗「じゃあ行こうか。冬馬。翔太」
翔太「ね、二人とも。アイドルはやめらんないってホントだね」
――――961プロを捨ててどこまでやれるか見ものだな。
冬馬「……やりてえことがまだまだあるし。なりてえ自分にも全然遠い」
冬馬(ここからまた、始められるか?)
『 想いならエタニティ 変えてゆく未来 無限さ 』
『 一瞬を三乗にかえて 行けるハズさ We can do it!! 』
冬馬「……ははっ」
輝「冬馬!」
冬馬「天道さん」
輝「パフォーマンス。学ばせてもらうぜ!」
冬馬「ああ……いっすよ! 見ててください! ドラノンも、最高だったっすよ」
輝「おーう。俺らもなかなかやるだろ? でもJupiterのコンビネーションはすげえからなぁ~、まだまだ追いつくには遠いぜ!」
冬馬「……」
輝「けど、負けるつもりはねえぞ! ははっ!」
冬馬「天道さんは、最初から……あいつらみたいっすね」
輝「うん?」
冬馬「Jupiterはいい舞台貰いました。こっから始めるんです俺たちは」
冬馬「――――行ってきます」
輝「おう! みんな、ここで見てっからな!!」
冬馬「ん……」
翔太「……」
北斗「……」
言葉は、交わさず。
頷きあってステージへと進む。
ドキドキしたこと、ワクワクしたこと、辛かったこと、悲しかったこと、憤ったこと、笑ったこと、頑張ったこと、昨日のこと。
全部が心の中にあって、それがあまりに大きな声で叫ぶから。
何にも言うことが無くなっちまってたんだ。
……今、俺たちは同じ景色を見ている。
冬馬(……お)
視線の先、黒い衣装に身を包んだ男の背中が見えた。
冬馬(よう)
『…………』
冬馬(どうした。こんな所で立ちすくんでやがって)
『…………』
冬馬(……どう進んでいいのかわかんねえのかよ)
『…………』
冬馬(しかたのねえヤツだな。ほら)
『…………?』
冬馬(来いよ。いっしょにアイドルをやろうぜ)
『……――――!』
今回の投下はここまで
SideM1st円盤発売決定記念
期待。
何て言うか、読んでてLVだけどライブ見に行った時の興奮が蘇ったわ
3人が立ってるのが見えた瞬間周りと一緒に泣いてたわ、円盤待ち遠しい
ライブやビューイング見てると眼鏡投げるシーンは鳥肌だったと分かる。
というか全部315だった。
アイドルのゴシップを撒き散らす765のプロデューサーさん達のせいで5年間大変だったな
思い出し鳥肌立ってきた
あああ来てるの今気付いた
出不精なものでライブにもLVにも行ってないから円盤超楽しみ
冬馬「……」
微かな灯りを頼りにステージへと進む。
客席から微かなざわめきが耳に届いてきて、オレの頭に一つの想念がよぎった。
木星という惑星は『地球の盾』。
Jupiter――――木星。
黒々とした宇宙にぽっかりとたたずむその偉容。
全能の神Jupiter(ユピテル)の名を持つ、巨大な天体。
巨大な重力を持って暗闇を進み、小さな星を引き寄せるその力。
太陽系を行き交う小惑星や彗星を、木星が吸い寄せていなかったらもっとの多くの隕石が地球に降り注ぎ、とっくの昔に人類なんか滅んでる……らしい。
今この瞬間だってあの星は、痛みを引き受けてなにも言わずに悠々と回っているんだろう。
木星はそういう星だ。
……そしてまた、木星はこうも呼ばれる。
『太陽のなりそこない』。
構成している成分がほとんど太陽と同じ。
なのに、木星は自ら輝く恒星にはなれなかった。
質量が足りなかった。恒星になるための重みがなかった。
輝ける運命を閉ざして、あの星は回っている。
星々の運命さえ統括している存在がいるのかはわからねえけど、巡り合わせが違っていれば木星だって…………
――『小せえハコだ。落ちたな。Jupiter』
――『ああなっちゃもうJupiterも終わりだな』
――『迷走してんなぁ。アイドル界になんて来なけりゃよかったんじゃないか』
冬馬「………………」
――――『見てるよ。Jupiter! 絶対成功させよう!』
冬馬「…………ああ」
――
――――
……!!!!!!!!!!!!!!!
歓声が上がった。それは一際大きな声だった。
一瞬客席は高まって。しかし、ステージに下りた薄闇になだめられる様にその勢いは静められていく。
冬馬「……」
翔太「……」
北斗「……」
不思議なことに、ステージには遥か遠い昔に上がったっきりのようなそんな懐かしさ……非現実感が胸に湧く。
ここに来れた奇跡を連れて、俺たちは今どうしようもなくここにいた。
――――♪ ♪
暗闇にスポットライトが放たれて、壇上に腰掛ける俺たちを照らす。
【Planet scape】
薄闇の中。歌声を。
ただただ喉から絞りだす。
――♪
北斗「選んでゆく道の先が 分からなくて」
――♪
翔太「だから不意に昨日さえも 眩しくなる」
冬馬「振りむいて 問いかけた」
冬馬「今、何が出来るのだろう ―――――――― ! 」
…Where are you now?
『 信じたい――Wish――微かなヒカリだから 』
冬馬(なあ、プロデューサー。……届いているか?)
『 描ける未来 ―――― ! ! 』
……
…………
『ねえ、冬馬。でも木星だって諦めてるわけじゃないんじゃない?』
――あん?
『冬馬言ったよね。木星は小さな星を引き寄せ続けてるって。それってさ。ええっと、質量だっけ? それを増やそうとしてるからじゃないのかな』
――なに言ってんだよ?
『ほら、星を集め続けて、痛みを引き受け続けて。そうして自分の中の重みっていうのを増やして、高めて……そうしていったらさ、いつか木星だって太陽になれるんでしょう?』
――おいおい、全然質量が足りねぇんだぞ? 何億年かかんだよ太陽になるまでに。
『うーん……まぁ、できっこないことかもしれないけど……でも木星だって足掻いてるんだから。だったら、ほら、いつかはさ』
――まぁ、そういう考え方、キライじゃねえけどな。
『うん。冬馬も忘れないであげてよ。木星は他の星と違って……太陽になり得る星だってこと』
――『そんなドラマを持った星だってことを』
…There is my hope
冬馬「――――!!!」
『 果てしないこの空をまっすぐ渡って キミを照らせるような 惑星(ほし)になると 』
『 いつか願ってる 不確かな今日も 』
『 希望描くための 鍵になること 』
『 祈りながら 歩いてく ―――――――― ! ! ! 』
――――ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァ!!!!!!!!
咲き誇る緑のライト。
煌めきが吹雪く。
溢れるほどの万感と、奇跡への感謝。
この星で生まれて、生きて。
輝きとともにここにいる。
遠い景色。
……遠くなっちまっていた景色。
翔太も北斗も。
今この景色を目に焼きつけている。自分のことのようにそれが分かる。
翔太「――っ!」
北斗「――!!」
自分の過去と、自分の夢が心に満ち満ちているのに。
それなのに歌声が交錯する度に、二人が抱いた感動や感傷までもが心に奔って。
両隣りで共に走る二人の想いが。
圧倒的に自分を叫ぶその最中にシンクロする。
自分の背景を想う。
Jupiterで進んだ今までを想う。
Jupiterとして今ここに立ちながら。
それでいてどこまでも、二人と響き合う俺は天ヶ瀬冬馬で。
一つなのに全部で。
自分の為にやってるのに、みんなのためにやっていて。
その二つが繋がって巡ってる。
ああ、そうだ。
これなんだ。
315プロの連中がやってるのは。
俺たちも、同じように
『 果てのない暗闇も迷うコトは無い 』
『 キミが見つけだして―――くれるのなら 』
『 たとえこの街が変わり続けても 』
『 ずっとここにいるよ 瞬くように… 』
『 同じメロディ 流れてる 』 ――――――――!!!
緑に輝く星の大海。
震える心がそのまま声に出る。
冬馬(……!)
胸が締め付けられて、鋭すぎる切なさが全身を巡って。
なのに力が身体に漲って。
……もっと歌おう。もっと叫ぼう。
この道を往くと決めた。
翔太「 いつだってひたむきに 恐れずに輝きたい ――――! 」 ――♪
…Where are you now?
北斗「 信じてる …Wish… 微かなヒカリだから描ける未来 ――――! 」 ――♪
…There is my hope
冬馬「 カタチ無いカナシミや涙をさらって きっと満天の空 届けたいから… ――――! 」 ――♪
過去はどうしようもなくあって。
痛みも失意もきっと消えてなくなるわけじゃない。
それでもまだ、歩き続けられるこの世界にいることが。
そうして、すべてが報われる瞬間を作れることが。
……なんだかとてつもなく、とんでもなく、嬉しくてありがたかった。
足元に星の照明。今ここに立っている。
今まで歌われてきた可能性という言葉。
閉ざさない限り。
願い続ける限り。
俺たちはきっと……どこまでも。どこにだって。どんなときでも。
最高を叫べるんだ。
果てしないこの空をまっすぐ渡って
キミを照らせるような 惑星(ほし)になると
いつか願ってる 不確かな今日も
希望描くための鍵になること
祈りながら 歩いてく
ありがとう
――……!
―――…………!!
――――――………………!!!!
歓声。喝采。拍手。
労り、讃える歓喜の音の奔流。
…………ああ、そうか。歌い終わったんだな。
終わって、始まって。今ここに。
翔太「やったね……!」
北斗「やったんだ。やれたんだ……ふふっ……!」
冬馬「ああ。ああ……!!」
冬馬「ありがとう…………っ!!」
――……
春香「…………すごい。なんて、なんて……」
千早「共有……共鳴。失意と熱情。祈りと……感謝。いえ、それだけじゃない。こんな地平も……あるのね」
真「……良い顔してるね。とっても」
やよい「やりきったーって顔ですね! 私たちといっしょです! ……私、なんだか感動しちゃいました」
伊織「向こうも向こうで、がんばってたか……そういう根性は嫌いじゃないわ」
――……
――――オオオオオオオッ!!!
春名「イェーッ!!」
悠介「ヘーイッ!!」
類「Yeah!!」
ピエール「やふーっ!!」
輝「イェーッ!! すごかったぜ冬馬! 流石だな!」
―! ―! ――ッ!
冬馬「イェーッ!! ああ! やったぜ!!」
右手を次々と叩いて回る。
控室で迎えるのは手をかざす同志たち。
薫「……素晴らしかった。圧倒的なボーカルだった」
冬馬「へへっ! そうだ……やれたんすよね、俺たち」
翼「はいっ!! やっぱりJupiterはすごいです!! 憧れます!」
パ パ パ…。
夏来「……え?」
四季「あれー? 翔太っち! どうしたんすか! ほらもっと勢いよくハイターッチ!」
翔太「いぇいっ……てね。うん、わかってる。ごめんねー……」
次郎「大丈夫ぅ?」
翔太「うん、全然ヘーキ……! 大丈夫……」
翔太「あれー……? なんだろ、どうして……こんなに体が震えてるんだろ……」
北斗「翔太。こっちにおいで」
翔太「え、なに。北斗くん……」
北斗「最高のステージだった。翔太、よくやってくれたね」
翔太「なーに、もう。お礼なんて」
北斗「961プロの時からずっとがんばってたこと、知っているよ。俺はね。……翔太と冬馬といっしょのユニットで良かった」
翔太「…………そんなこと言ったら僕も……そうだよ?」
北斗「そうか。光栄だ」
翔太「…………あのさ。961プロを離れる時冬馬くんがなんて言ったか覚えてる?」
北斗「うん?」
翔太「『汚いことをしなくても俺たちはトップアイドルになれる』ってそう言ったんだ」
翔太「……俺じゃなくて“俺たち”って言ってくれたのが、うれしかったんだよね、僕」
北斗「ああ……」
翔太「僕はさ。黒ちゃんの言葉を冬馬くんが信じてるのを見てても、それは違うって言わなかった。黒ちゃんも冬馬くんも止めなかった」
北斗「……」
翔太「黒ちゃんのやり方が曲がったコトだって薄々気付いてたのに、それが周りに迷惑をかけることだとも……知ってたのに、それを正さなかった……」
北斗「翔太」
翔太「だってさ、だってさ……ほら、全然スマートじゃないじゃん……? 本当のコト調べて、悪いコトしてる証拠見つけて、声を荒げてそれは間違ってるって叫ぶなんてさ、僕に全然似合わないじゃん……!」
北斗「…………」
翔太「ケンカとかさ、したくなかった。アイドルはやっぱり活動がすべてなんだから、やることやってればいいって思って……! 冬馬くんみたいな熱血さがあれば別なんだけど……僕は……!」
翔太「そういう風に感情をむき出しにして衝突するの……できないんだ。そういうスタイル、無理なんだ」
北斗「それは、翔太の美徳でもあるよ」
翔太「うん。でも……変わりたいって思うことある。そうだ、だから僕……冬馬くんに憧れたのか」
翔太「冬馬くんは真っすぐだった。あそこまでの熱さを持ってるのって今の子じゃ珍しいと思う…………だから衝撃受けて、本気になるってどういうことなのか、知りたくて……」
翔太「あ、そっか……黒ちゃんのこと止めなかったの……それもあったから、か。冬馬くんのアイドル活動が止まっちゃうって思ったから……」
北斗「…………翔太」
北斗「俺もねアイドル活動、最初は本気じゃ無かったよ」
翔太「え……?」
北斗「子供のころから持っていた別の夢があった。……モデルやって、アイドルやったのもその最初の夢が見れなくなってしまったからだ」
翔太「夢……」
北斗「実は961プロを離れた時、不安だったんだよ。ステージに立つことはもうないんじゃないかって……」
北斗「俺の夢は、どこに行っても辿りつかない行き止まりでしかないのかと、恐怖する時もあった」
北斗「でも今日このステージ辿りつけた。待ってくれていたファンと、プロデューサー、支えてくれたスタッフ。仲間のおかげだ」
北斗「もちろん翔太、君のがんばりもとても大きい。感謝してる」
翔太「そんな……」
北斗「俺は知っているよ。翔太はがんばり屋だ。最高のパフォーマンスをする為にずっと練習してるのを見てきた」
北斗「ずっとJupiterと共に来てくれたこと、今日のこのステージ。それを見たら……翔太が本気じゃなかったなんていう人はいないさ」
翔太「……本気」
北斗「そうだよ、翔太。とっくに本気で全力なんだ。俺も君も。表面に出る形が違うだけで……俺たちは冬馬と同じラインに立っている」
翔太「そうなの……? そっか…………そうだったら、いいな」
北斗「ああ。冬馬にも負けるわけにはいかないからね」
翔太「冬馬くんにも、負けられない…………」
翔太「――あっはは!」
北斗「お、翔太?」
翔太「OK! よーし! 切り替え!! まだライブ終わってないもんね! こういう湿っぽいの出していくの、あれだね、特典映像に回さなきゃもったいない!」
北斗「……ふふっ。そうだね。それでこそ翔太だ」
翔太「うん……Jupiterは色々あったけど……待ってたんだ。ずっと」
輝「熱いのもらった! 次は俺たちドラスタだ!! 全力でやってくるから、みんなもアイドルもっともっと楽しもうぜ!!」
――オオ―ッ!!!!!!!
翔太「だから楽しまないと、ね♪」
冬馬「おう。翔太、北斗」
北斗「冬馬」
冬馬「いくぜ。まだ止まるんじゃねぇぞ。もっとだ。もっともっとっ! 待ってくれたファンに恩返しすんだ!」
翔太「わかってるってー!」
北斗「ああ、まだだ。もっと行こう。それでも俺たちなら――」
冬馬「楽勝だぜっ! へへっ!!」
誰の人生にも雨は降る。
責められる。
誤解される。
軽んじられる。
敵意を持たれる。
友を失う。
夢を失う。
道を見失う。
望んでも届かないことが、人生に黒い影を落として。
不信と不満を自分と世界に対して抱く。
でも、それでも、俺たちは。
不平を述べ続けて……そうして過ごして終わっちまうには、まだ胸の奥が熱すぎたんだ。
無様でいい。必死に見られてもいい。無関心に刺されても、嘲笑われてもいい。
熱の無い男たちには他愛のない過ちと映っても、構わねえ。
自分の鼓動は裏切れねえ。
冬馬(そうだろ……みんな)
ひとまずここまで
乙です
Jupiterと中の人の歴史を思うと胸が熱くなるなぁ
乙
まさか松岡くんのやり慣れてないぎこちないハイタッチがこんな感じで拾われるとは
昼の部で松岡くんがボロボロ泣いてたのを見て周りのデュンヌさんたちもみんな泣いてたんだよな…(ライブ後泣きすぎて目がめっちゃ腫れたわ)
デュンヌはどこでも泣いてたみたいだな、こっちのビューイング劇場も泣いてた。
デューサーは泣かない分、沈黙か叫びで感動を表してた。
投下します
――【STARLIGHT CELEBRATE!】
『 真っすぐに…空高く! 輝いた場所へと! 』
『 贈るのさ、君にSTARLIGHT CELEBRATE! 』
『 そのフレーズを奏でるよ 』
――ワァアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!!
澄み切った決意の歌声が、ステージに噴き上がる。
圧倒的なオレンジの煌めきがこの会場を席巻し、その輝きの嵐の中心にライトアップされた3人が勇ましく進み出た。
輝「 きっと証明するさ、正しいってこと 夢に異議なんて挟ませない 」――♪
翼「 何が大切かはもう、わかっているんだ それは…飛び立っていく勇気さ! 」――♪
薫「 ただ願ってるだけでは変わらないだろう? 」――――♪
『煌めく』―ALL RIGHT!
『空へ』 ―ALL RIGHT!
『描こう』―ALL RIGHT!
『 星座を ―――― !!! 』
春香「わー! いいなあ! ウルトラオレンジ!!」
美希「男の人でも、大人でもキラキラできるんだね。ちょっとびっくりなの。向こうにも翼いるんだね」
千早(大切なものを亡くした失意を越えて。辿りついた仲間とともにいる自分……その前向きな救いへの感謝と決意が伝わってくる。この歌……私好きだわ)
『届かせたい…』
「「「YEY!!!」」」
『空高く! 輝いた』
「「「YEY!!!」」」
『星まで 大丈夫、ずっと一緒なら 叶うYOUR DREAM! ―――― ♪』
亜美「いぇい!」
真美「いぇい! ……いいねっ! この曲すごいノれる!」
――……
『 限りない未来という舞台へ飛び出すのさ 』
『 WE ARE STARTING… TO THE HIGHEST SKY ――――! ! ! 』
冬馬(『WE ARE ST@RTING!』)
冬馬(そうだよ! こっからだよな……天道さん!)
――――♪
【JOKER ? オールマイティ】
…Oh Yeah!
…Oh Yeah!
あずさ「あら?」
やよい「おーいぇー、って声が」
瞬間、音楽が弾けだし、5人の高校生が躍り出る。
――――!
『 Oh Yeah! 鳴らせ! 感じたまま! ! ! 』
『 Oh Yeah! いくぜ!! アガる旋律! ! ! 』
『 Oh Yeah! いざなう キミたちを 』
「「「「「 春夏秋冬四季おりッッ! ! ! 」」」」」
――♪!!! ♪!!!! ♪!!!!
四季「High×Joker見参ー――――!!! やるぜー!! みんなーっっっ!!!」
亜美「タオルっ!? 振ってる!」
真「タオル曲ってこれか!!」
ピエール「やふーっ!! でたーっ!! おーいぇーっ!!」
みのり「待ってました!! さぁみんな、いっしょに振ろう!!」
悠介「あははは! この曲オレ好きだなー!!」
類「文化祭を思い出すね! これこそMagic Time!」
四季「騒げーっっ!!!!」
『 Everybody Hey,Hey, Here We Go!!!!! 』
『 サイコーの瞬間 ――Wo Wow!! 』 『 一緒に作ろう! ――Wo Wow!! 』
『 スランプ知らずになれ! 』
――「「「「「 そんなものは壊してゆけっ! 」」」」」
『 エース目指すんじゃない ――Wo Wow!! 』 『 なりたいのはJOKER! ――Wo Wow!! 』
『 まさにオールマイティだ! 』
――「「「「「 出来ないことなんてないよ!! 」」」」」
冬馬「あの赤いヤツら。やりたい放題だな……天下無敵ってか。ははっ!!」
――Oh Yeah!!
夏来「まわせ…! Cool にグルーブ…!」
――Oh Yeah!!
隼人「はじけーっ! リード キメてーっ!!」
――Oh Yeah!
春名「叩けッ! 踊るビートォ♪ !!」
――Oh Yeah!
旬「弾いて――! 歌うように ―――― !!」
「「「「「 Oh Yeah!!!!! 」」」」」
四季「 今度はみーんなの番ッッ!!! 準備はいいかァー――――ッ!!!! 」
―――― Y E A H ! ! ! ! !
――
――――
ワァアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!
オオオオオオオオオオッッ!!
享介「楽しかったー!!」
翼「お客さんも楽しんだみたいですね!」
北斗「ピアノじゃなくキーボードでも新しい夢は紡げる……か」
みのり「もっと振りたいね! 本当ライブ映えするよHigh×Jokerは! 今度はもっとクラップも洗練されるはずだ!! いっしょに育てていきたいね!」
恭二「みのりさん、楽しそうっすね……」
――……
真「あはは! はー……!」
雪歩「真ちゃん……大丈夫?」
真「うん! これ、いいね……! ボクもダンスに取り入れてみようかな」
亜美「もっと回したいYO!」
真美「ほら、アンコールすれば……!」
\ キーンコーン カーンコーン /
やよい「はわっ!?」
雪歩「え、なんですかこれチャイム? チェリー!?」
律子(画面、数式が映し出されてる……?)
ザワザワ… ドヨドヨ…
冬馬「来るぞ」
悠介「来るね……!」
四季「客席のみんな! ピンクライト準備っすよーっ!!」
先 生 が 来 る !
“ = 315 ”
【Study Equal Magic!】
『 Hey!! 』
道夫「いったいどんなこと」
『 Say!! 』
次郎「知ってみたいんだ?」
『 さぁ!! 』
類「始めようぜ!」
『 L e s s o n を ! ! ! 』
――――オオオオオオオオオオオッッ!!??
道夫(さあ伝えるぞ山下くん。舞田くん。若者たちはあれだけのパフォーマンスをした。次は我々だ)
――――♪
春名「しんどうすーひってなんなんだよー!!」
貴音「真剣白刃取り!? ……失敗しているようですが」
享介「みちおせんせー真顔であんな……!! 卑怯だー!」
律子「割り切れない想いに√(ルート)、そ、そうきたか……!」
――――♪
「今度はなんか銃撃戦やってるー!」
「山下先生顔アップ多いwww」「やっぱべんきょーって叫ぶんだ!?」
「なんだよあのポーズ!!」「情熱のポーズだよ!!」
千早「な……」
亜美「え? なにあれ!!」
――――『た、タケノコォ!!??』
『 だからLet’s Think! 何だっていい… 』
『 そう、君の『面白い』から色んな疑問探して 』
『 そうさ絶対、答えて未来に魔法をかけよう… 』
『 俺たちと一緒に ――――!! 』
類(Wow!! みんないっしょにやってくれてるよ!! amazing!!)
次郎(みーんなでタケノコニョッキ……たはは、この景色、俺たちが作ってるんだねぇ)
道夫(少年少女諸君。どんな未来に進むかは、他愛ない夢から始めればいい。情熱をかけられるものがあるのなら、存分にその道を征きたまえ)
道夫(学び、教わり、力を付けるのは……それは君と君の夢に必要なことだからだ)
道夫(夢に進め。悔いのない道を。必ず助けになってくれる人はいる。そのために学校はあり、先生はいるのだ……!)
先生。
道夫(今の私はそう見えるのだろうか……?)
――――「はざませんせぇーいっ!!」
道夫「……!!」
――……
悠介「みちおせんせー笑ってる?」
みのり「うん。あれは……笑ってる。アイドルをやったからこその奇跡を見つけた顔だ!」
北斗「一番情熱があるのはもしかしたらマイケルたちなのかもね」
旬「コレ、本当とんでもない曲ですよね……」
四季「でも、すっげー混乱しながら盛り上がってたすよ! おとなげないっすねー、俺たちの後に! 負けてられねーっす!」
【VICTORY BELIEVER】
――――♪!
♪!
♪!!
♪!!!
享介・悠介「「 ――――Kick Off ! ! ! ! 」」ドガッ!!!
春香「わっ!? ボールを観客席に蹴って!!」
貴音「なんと……先ほどからどなたも掴みで関心を持っていきますね」
響「自分だって、観客席に水鉄砲撃ったことあるぞ!! ……サッカーボールもいいな」
享介「 どんなときも 乗り越えてける 二人だ無敵っ! Oh Step By Step 励んできたのさ ――――! ♪ 」
―― Hey Hey How are you? I'm Fine And Excite!
悠介「 とことんやろう そーいう性分 笑顔はCharmy♪にっ! 手をつなげば チャンスも2倍 ――――! ♪ 」
―― Hey Hey How are you? I'm Fine And Busy!!
真美「チャンスも2倍かーっ! わかっておるな。中々見所があるぞ」
亜美「うむ! 亜美たちもよりタマシーの連携というのを高めねば。あんな風にやるのも、いいな……」
律子「あんたたち……二人っきりのステージ、実はあんまりやったコトなかったんだっけ」
あずさ「速くて、息ぴったりで……足の動きすごいわ~! 元サッカー選手……奈緒ちゃんのお兄さんともしかしたら知り合いかもしれないのね」
悠介(享介っ! 背中任せた!)
享介(ああ! 二人で……いや! みーんなで立ち上がろう!)
――!!
真美「背中合わせで……!」
亜美「お互いを支えて立ち上がった! やりますなぁ!」
――……
輝「やった!! 成功したっ!」
翼「あれ、難しいって何度か失敗しちゃってたのに、この大一番で成功させるなんて! すごいです!」
冬馬(悠介さん、享介さん……流石っす! それっすよね!)
冬馬(支え合うっつーか。自分の道が、他のヤツの為になってるっていうか…………あ……)
冬馬(なんだ俺…………なんか、見えた感じが…………?)
『 つかめVictory!! 涙した日も 絶対――絶対!! 無駄にしない! 』
『 届けVictory!! 信じられるもの やっと――やっと! みつけたよ! 』
享介「 勝利のサイン ――! 」
―― Go On!
悠介「 並べたら ――! 」
―― Run Up!
享介・悠介「 歌い紡いでゆくんだ ―――― !!!! 」
『 キメろ! ポーズは …… ! 』
W(ダブル) ――― ! ! ! ! ! !
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァ!!!!!!
類「ふたつのVictory sign!」
道夫「掛け合わされて……欠けたものが合わされて。Wとなる。悠介くん、享介くん。それが君たちの形か……見届けるぞ」
――『レッドカード~!!!!』
隼人「おおでた! レッドカードだ!!」
四季「うわー! オレらももっと小道具使っていきたいっす!」
旬「四季くん。すぐに影響受けない。僕たちは……きっと僕たちでいいんです」
北斗「過去も無駄にしない……」
翔太「それで、信じられるものを見つけた、かぁ。僕らだけじゃないんだね、きっと」
冬馬「…………ああ」
理由(ワケ)あってアイドル。
理由……それを。この315プロの連中はひっくり返そうと
冬馬「…………」
目を閉じる。
『…………』
黒い装いの少年が、確かに胸の奥にいる。
冬馬「……俺だって捨ててねえ」
――……
――――♪
キャアアアアアアッ!!! ワァアアアァァ!!!
雪歩「この曲……!」
真「………え、なにこれ、すごく華やかな……!」
律子(王子様――)
【スマイル・エンゲージ】
ステージの真ん中に立つピエールの両肩に、寄り添うように手がかけられる。
鷹城恭二と渡辺みのり。二人の微笑みを受けて彼は金の髪を揺らし、一歩踏み出して。
その王子は今高らかに、顔をほころばせ、歌を舞台に広げてゆく。
ピエール「 Smile engage 見つめ合って ――――! 」
恭二「 Feeling…magic 描いてみよう 」
みのり「 笑顔 手渡したら 」
『 いつだって ヒトツになれる ――――♪ 』
――♪
『 ずっと 夢見てたんだ 巡り逢えたね Shall we dance♪ 』
『 Always 広がってく Link はじまる Party time ―――― ! 』
青いライトが一面に。
歓喜の声が一斉に。
その圧倒されるような華々しさを享けて、彼らはしかし穏やかに、優しく観客達に手を伸ばす。
その振る舞いはまさしく幻想世界の王子のそれで。
偶像たるアイドルの煌めきが、魔法のように会場を包んでいく。
ピエール(きれい……!!!)
恭二(なんて景色だ。こんなものが見えるだなんて……これがBeitが作った世界か)
みのり(応援届いてる! みんな届いてるからね……っ! 楽しんで!)
――……
冬馬(俺たちは今『Beit』を見てる)
冬馬(ピエール、鷹城さん、渡辺さん。それぞれ全然別の過去がある。それなのに今のこの輝きは3人での『Beit』が生んでるんだ)
冬馬(どうしてそんなことができんのか。それは……)
『 シアワセは一人じゃ作れないから 』
『 そっと…寄り添って分け合おう 』
『 歩いてきた Winding road 違ってるから 』
『 同じ気持ち ずっと…ずっと 大事に出来るんだ ! 』
冬馬(重なりが奇跡だから)
冬馬(一人で生きてきたわけじゃなくて。もちろん他人の為だけに生きてきたわけでもなくて)
冬馬(そんな人たちが重なり合うのは、きっと奇跡って呼べちまうものなんだな……)
――……
みのり「願いを込めて……」
みのり(あれ? サイリウムの海が青一色じゃなくなっていく……?)
みのり「花を咲かせよう ――――」
みのり「っ!!」
ピンクの花が見えた。
客席のライトが歌詞に合わせ、華々しく移り変わっていく。
ファンの想いが作りだした光の花々の風景に、一瞬渡辺みのりは時を忘れた。
みのり(これは……みんな……)
瞳に花の煌めきが移り、刻み込まれて。ファンの心が直接胸を打った。
アイドルの感動。
胸に熱いものがこみ上げる。
みのり(そうか。あのアイドルも、このアイドルもみんなこんな、気持ちで……それで今…………俺も………)
仲間の姿が視界に入る。
支えるように前を往く二人。
ピエール「 ファンタスティックに世界中 ―――― ! 」
『変えてゆく』
恭二「 きっと… きっとどこまでも ―――――― ! ! ! 」
――ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!!!!!!!
みのり(ピーエル。恭二。なんて俺は幸せなんだろうね)
みのり(この感謝。返さなきゃね。もっと、もっと……)
――……
北斗「良かった……とてもよかった。プリンセスの気持ちがわかるね……」
冬馬「さぁ!!」
翔太「僕たちの番だね!!」
輝「Jupiter!! 見てるぜ!」
冬馬「っす!!」
足取りがかつてなく力強い。
先に行った仲間の姿が胸に刻まれている。
冬馬(みんな色んな形のユニットを見せてくれた)
冬馬(昔の俺は信じてなかったな。チームが作りだすチカラっていうヤツを)
――『人数は、確かに多い方が有利な面もある。だが、甘ちゃんが何人集まろうが、何の力にもならない』
――『孤独は、むしろ力の源泉だ。孤独を抱えた者が集い、それぞれの力を発揮する。それこそ最強の形だぜ』
冬馬(……そう言ったことがある。それは正しいと思ってた。だが、仲間が力になるってことを見せられて俺は……また他の道を探した)
冬馬(孤独はそれぞれにある。傷も、影も、理由(ワケ)もみんなそれぞれにある)
冬馬(それでもこの315プロの連中は笑って、怒って、肩を叩きあいながらここにいる)
冬馬(男だから。自分の人生に決着をつけるのは自分自身じゃないといけない)
冬馬(そしてそれは孤独な作業……だからこそ。だからこそなんだ)
冬馬(それぞれの理由を自分で抱えて。そして同じラインに立って支え合うから。重なり合った人生が信じられないくらい輝きを放つんだ)
冬馬(みんな助け合ってる。みんな救いあってる。だが、本当の意味での甘ちゃんなんてこのプロダクションには一人もいねえ)
冬馬(みんな足掻いてる。スタイルの違いこそあれ、315プロのアイドルは全員それぞれ自分の人生に本気なんだ)
冬馬(そうだ。あの時の俺も完全に間違ってたわけじゃなかった)
冬馬(…………足りなかったものがあっただけなんだ)
自分の人生を諦めない。そして仲間と響き合う。
――――『私は冬馬たちが最高のアイドルだってずっと信じていたし、信じているし……信じつづけるよこれからも』
冬馬(わかったぜ。プロデューサー。だから“俺たちは”最高なんだな)
冬馬「翔太っ!!」
翔太「うんっ!」
冬馬「北斗っ!!」
北斗「ああっ!!」
冬馬「行くぜ!! こっからだ! 俺たちはここからトップアイドル目指すんだ!!」
景色の共有。
魂の共鳴。
Jupiterだからこそ達した新しい地平。
かつて振りかざした孤高の主張と、見せつけられたその主張を覆す絆の力。
孤独と団結。
個人と仲間。
両者が今、矛盾なく。
――――天ヶ瀬冬馬に融合する。
次の投下で最後です
おお、イベントのラストスパートしている間に来てたー投下乙です
後発の曲も良いので今から(あると信じてる)2ndが楽しみですね~
1stに出てない組はどんな立ち位置で見てるのかちょっと気になる
――……
あずさ「スマイル・エンゲージとってもよかったわね~! 結婚式でも流せそうな……」
伊織「やっぱりあの恭二っていうの、鷹城グループのあの人じゃ……どうしてアイドルに? まさか私みたいに……」
春香「あっ」
美希「……春香?」
春香「わかる。冬馬くん達が、来てる」
瞬間、照明が灯される。
映し出されるのは……かつて最強と称され、そして今、最高となって帰還したあの……
春香(ジュピター。ほら……っ! わかったよ! 同じアイドルだからっ)
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァー――――ッ!!!!!!!!!
キャアアアァァァー――――ッッ!!!!!!!!!! オオオオオオオオオオオオオオォォォォー――――ッッ!!!!!!!!!!!
会場が震える。
怒号の様な歓声。
怒涛の様な喝采。
貫録を越えた凄まじいオーラに圧されるように、感情が呑まれ一つに繋がってゆく。
春香「これが……冬馬くんたちの……!」
命がこもった煌めきの中。3人のアイドルが再起のドラマを駆って、歌を翼に躍動する。
【BRAND NEW FIELD】
『 Brand new field キミを今 ―In mind 連れてゆくよ! 』
『 ミライは待ってる 僕らが描く ――― 』
『 新たなキセキ ―――― ! ! ! 』
――……
―ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!!!
薫「爆発してるようだ……!! 凄まじい」
隼人「おおっ!! さっすがJupiter! 俺たちもあんな風に!!」
夏来「うん。なろう……冬馬たちにみたいに……強い人に」
輝「あのさ、みんな……俺さ、この曲、大好きなんだよ。すげぇ励まされるんだ」
『 急いでく毎日の中で 』
『 目覚めてく 高鳴りは 』
『 メーターを振り切って 』
輝「想い一つでどこまでもいけるって……苦難に負けないヒーローみたいな、そんな曲だからよ」
『 踏み出せば あとは大丈夫 行けるさ ここからどこにだって ――――! ♪ 』
享介「…………うん」
みのり「すっごくわかる! なんていうか……うん……とっても響くんだ!」
四季「夢に向かってハイパーダッシュ! そんな曲っすよね!」
薫(そして……いかなる過去でも越えて、進んでいけるとそんな示唆がある)
輝「なっ! みんなもだよな! へっへ、そうだ!! こうなったらもういっしょに歌うか!!」
恭二「乱入っすか……いっすね。やっちゃいますか、ひとつ」
旬「恭二さん! いつもクールなのに……!」
次郎「熱くなっちゃってるみたいねー。あはは」
プロデューサー「Jupiter……乗り越えられたね」
プロデューサー(最高だよ)
『聴こえる』
翔太「 伝わるんだ ――! ♪ 」
『シグナル』
北斗「 書きなぐった ――! ♪ 」
冬馬「 夢のカケラ もうすぐそこに… きっと ―――― ! ! ♪ 」
―― Reach for the dream!!!
翔太「 “ 一緒に頑張っていこうねっ♪ ” 」
…!!!!!!!!!!!!!!!!!!
大波のように歓声が跳ね返ってくる。
体が軽い。
信じられないくらい足も腕も動く。
僕たちは最強だって手応えと、もっともっと先にいけるっていう感覚と。
どこまでもみんなを連れていける。
翔太(限界はまだ……いらない!!)
『 Fly! 挑みに行こう ! ! 』
『 成層圏を突き抜け ! ! ! 』
――……
薫「なんというか……Jupiterとはこんなに元気いっぱいなユニットだったか?」
悠介「あのテンションで動き続けてるのに、まるで乱れてなくてっ! どうなってんの」
高まるほどに隙が無くなり、荒ぶるほど洗練されていく。
培ってきた実力に、生命力が乗って果てしなくキレが増していく。
享介「ゾーンに入ってるような、そんな感じだ。アイドルってすごいや……ここまで達せるもんなんだ」
みのり「すごい! とてつもない歌声の深さ! 安定感に爆発力! なにより凄まじいこの支配力! 今のJupiterはひょっとしたらオーバーランクをさらに超えて……!」
輝「何度だって生まれ変われるか。ホント勇気くれるぜっ!」
『ここから』
北斗「 舵をとって ――! ♪ 」
『始まる』
翔太「 時代なんだ ――! ♪ 」
冬馬「 自由自在 次のプロセス We can start ―――― ! ! ♪ 」
―― Baby, don't let me!!!
北斗「 “ 俺たちの記念日だね、チャオ! ” 」
キャアアアアアアアーッ!!!! Fuuuuu!!!!
感情の爆発した声が大きな風となって、身体ごと俺の心を揺らしていく。
その感触を魂に焼きつけて、熱くなる精神をもっと自由に開放し、そして完璧に五体をコントロールする。
“自分がここで生きている”という想いと、“Jupiterとして輝いてる”という実感。
この大いなる力場に伊集院北斗が完全に一体となっている。
北斗(いける。どこまでも。感情がただあふれるままに――!)
『 Fly! 望んだ場所へ ! ! 』
『 すべてを貫け ! ! ! 』
『 ヒトリじゃないから! どんな明日も怖くはないさ ――――! ! ! 』
真「北斗さん心が行き渡ってる。ダンスにも歌にも」
千早「『なりたい私であれ』。……あの人も辿りついたのね、きっと。仲間とともに歩んで。あの地平に」
雪歩「男の人にも怖いものがあって。それを乗り越えるには勇気が要って。そこは、同じ、なんだね」
やよい「翔太くんすっごくのびのびしてるのに……それでもしっかりチームで動いてて」
伊織「生意気言うぐらいなことはある、か。ちょっと変わったのね。3人とも。負けてらんないわっ!」
亜美「わーっ! あまとう腕ブンブン振ってるー! 元気マックスだねぃ!」
真美「しょーがないから、サイリウム六刀流してやろう! じゃーんぷ! だーっしゅ!」
あずさ「夢の為に、アイドルを続ける強さ。男の人もその想い、持ってるのよね……」
響「れっつはいっ!! あはははっ! 変わったっていうか、もしかしたらさ」
貴音「ええ。あれが本来の姿だったのかもしれません……良い男ぶりでありますね」
春香「…………」
律子「どうしたの春香? 燃えてきた?」
春香「いえ、なんて言うか」
美希「すっごいキラキラしてるね。Jupiterだけじゃなくみんな」
春香「うん! そう! 今のお客さん達……楽しさとうれしさが嵐になってる。男の人も女の人も、みんなJupiterに引き寄せられて」
春香「ここからもっともっといけるんだって。そう信じられるの……」
『 Long long journey どこまで行ける 』
翔太「 難解なトラップだって 超えて ――!! 」
―― On the way!
北斗「 Long long distance どこまでも行こう ――!! 」
―― Get to the dream!! Get to the mind!!
『 その手を伸ばせ ―――― ! ! ! 』
冬馬「 “ 今日が最高のスタート! だぜっ!! ” 」
Jupiterのファンになります
――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
冬馬「……っ!!」
天を突くような、今日一番の大歓声。
それを受け止めきって、さらに声を張り上げる。
――――♪♪!!!
『 Brand new field 正解はまだ ―No way! 決まらないさ 』
翔太「 つかまえたっ! 」
北斗「 夢の切れ端っ! 」
冬馬「 ゴールは無いから――――!! 」
「「「 Let's go!!! 」」」
情熱が終わらない。
どこまでも高まって、広がって、噴き上がって、膨れ上がっていく。
そうだ。
まだここはスタートライン。そしてゴールなんてもんは……無い。
“最高”には最後なんて無い。
アイドルの可能性はもっとずっと大きなモンなんだ。
……わかる。
仲間と、自分と、いっしょなら。
俺たちは枠を越えられる。
俺たちなら限界を越えられる。
忘れられない夢が絶え間なく心の奥で叫ぶから。
冬馬(俺は)
『……天ヶ瀬冬馬って男でよかったぜ』
冬馬(ああ、この喜びは誰にも渡さねえ!)
間違えない。
もうどんな風に言われたって。俺は、俺が何者かを間違えない。
天ヶ瀬冬馬は、Jupiterは、315プロはここにいる。
『 Go!! Future 振り向かない Always!! 』
――感じて Day and night!
『 Go!! Delight キラめいてく 』
――Keep on! Keep on! Keep on! Keep on!
――Trying! Trying! Trying! Trying!
「「「 Just now ! ! ! 」」」
――――♪♪♪!!!
冬馬「…………」
冬馬「……………………」
礼をする。
歌いあげたその瞬間、感謝の想いがあふれだした。
待ってくれたファンがいた。
信じて応援してくれた人たちがいた。
いつか読んだファンレターに書いてあった。
961でのゴタゴタがあってから、Jupiterを応援することそのものが批判され文句を言われ、堂々と応援することが出来ない時があったと。
それは、男として泣きたくなるほど情けないことだった。
……でもその子はこのライブが決まった時に、心から祝ってくれて。必ず行くと報告してくれて。
今、この会場で俺たちを見てくれている。
申し訳ねえし…………ありがてえ。
それで……隠れるように好きでいつづけてくれたその子が、これからは堂々と好きだって言えるようにできたことが、すげえ、すげえ嬉しい。
返していきたい。礼を言いたい。……頭を下げずにはいられない。
ありがとう。
ありがとう、ありがとう、ありがとう――――
――
――――
輝「最後はこの曲だーっ!!!」
――――♪♪!
【DRIVE A LIVE】
『 ずっとずっとその先へ―――― ♪ 』
『 世界は動きだす―――― ♪ 』
『 今 始まるストーリー ―――― ♪ 』
『 S i d e M ! ! ! 』
冬馬「はは……はははっ!!!」
みんながステージの上で跳ねまわる。
全身で喜びを表しながら。
Wの二人が息を合わせて走って、跳んで、肩を組んで客席にアピールする。
S.E.Mの先生たちは分かれて、自覚してるのか分からない茶目っ気を見せながら、観客席の三方向に手を振っている。
ちょっとおかしいほどやりたい放題なHigh×JokerがLV用のカメラに全力で手を振って、笑顔を見せて。
Beitはしっかりと……でも、小さい涙や、ほころぶ笑顔みてえな感情をあふれさせながら、楽しそうに歌っていた。、
男たちがステージを駆けまわって。お互いを讃えるように拳をぶつけていく。
四季「子猫ちゃん……っ! やろうども~~っっ!!!!」
冬馬(おいおい。涙ぐんでんじゃねぇよっ!)ガシッ!
四季「うっ! 冬馬っちーっ!!」
翼「ほら、いっしょに! もっともっと歌わなきゃもったいないですよ!」
四季「翼っち! わかってるっす~!!!! おおおぉぉーっテンションメガマックスで!! いくっす!」
北斗「エンジェルちゃん! エンジェルくん! ありがとう、ありがとう!」
類「Thank you!! Welcome!! もっともっと俺たちを応援してねっ!」
春名「やました先生! カメラの指差し、オレらもやるっ!」
次郎「やだ譲んない」
悠介「えーそりゃないよーっ!!」
次郎「冗談だってば。ははっ」
薫「ふ……っ。ははは……っ!!」
翔太「薫さんっ! もっと笑いなよーっ!!」ガバッ!
薫「む、御手洗君……!?」
隼人「あれ? みんなどこ……?」
道夫「君の仲間はあちらで固まり始めたぞ」
隼人「あ、ホントだ! 先生はここでいいんですか? 直立不動で歌って……」
道夫「ああ。ここならすべて見渡せる。それに……私の仲間も来てくれる」
歌の合間に。
皆が歌を紡いでいくその最中に。
みんなそれぞれステージを共に作った仲間と手を叩き、拳を合わせ、言葉を交わしていく。
それすらも、パフォーマンスになって。舞台の煌めきの一つで。
客席がどんどん湧いていく。
みのり「俺、あのJupiterといっしょにステージに立てるなんて……こんな人生があるなんて思わなかったよ」
ピエール「冬馬、翔太、北斗っアイドルって楽しいねっ! ボクも、もっともっーと盛り上げる! みんなハッピーにする!」
恭二「あー、その、俺らもトップ目指すんで。よろしく頼む。ここまで色んなフォロー助かった。……ありがとうございました。またのおこしを」
翔太「え、なにー? またのおこし!?」
恭二「あ……っ違っ!」
みのり「ははは! 恭二また出たね! コンビニ店員の名残り!」
冬馬「はっは! いっすよ! 目指すんならトップ! 当たり前だぜっ!」
北斗「手ごわいライバルがいっぱいだね♪」
ステージを所せましと行き交っていたアイドル達が、ユニットとして揃っていく。
声援に手を振り、高らかなコールに応えながら、メンバーの声が重なっていくのを感じる。
やべぇな……楽しいぞ、コレ。
――♪♪!!
『 踊りだす Drive a Live 』
『 感じるよ ワクワクするよ 』
『 眠らない夢の続き 』
『 最高のチャンス 掴みとるさ ――――!! 』
―――― Y E A H ! ! !
『 3 1 5 ! ! ! ! ! 』
声の厚み。会場の一体感。目の前に広がる光の星雲。
……みんなで一つの風景を共有している。
ここがスタートライン。
冬馬「…………」
今の俺はどんな顔で歌ってんだろうな。
嬉しさ……だけじゃねえだろうな。
報われた感動だけじゃねえし、もっとやってやるってギラついてもいるだろうし、もしかしたら夢でも見てる表情なのかもしれねえ。
思い出が爆発して、その中で歌ってる。
冬馬(色々あった……だがもう、迷わねえ)
――――♪ ♪
『切なさも』
『悲しみも』
『心(ココ)に刻んで振り向かないさ』
『優しさも』
『温もりも』
『 連れていくから ―――― ! ! 』
Just Keep On Going!! We Are ――
『 3 1 5 ! ! ! ! ! 』
――
――――
――――――
ワァアアアアアアアアァァァァァ…
北斗「ふふっ!」
翔太「みんなーありがとー!」
歌の余韻に包まれるステージで、みんなが挨拶をして下がっていく。
……終演の時。
「冬馬ーっ!!!」
冬馬「お? ……ああっ!! 天道さんっ!」
駆けてくる“赤”。
冬馬(……いっつもそうくるっすよね)
ずっとメンバーを鼓舞してきた天道さん。
思い出すのはそれぞれのユニットのパフォーマンスを真っ直ぐにすげえって褒めて、励ましにいった姿ばっかりだ。
315プロのユニットはみんなこれからに期待が持てる連中ばかりだが。
だが、それを支えて、まっさきに声を上げたのはいつだって……どこか765のあいつを思い出させるこの人だったように思う。
冬馬(ここから315プロを引っぱっていくのは……)
冬馬(俺たちで、だなっ!)
達成感が高まるように、自然に上がるお互いの腕。
輝「っ!!」
冬馬「!!」
――! ! !
ハイタッチを交わす。
音が弾けて、熱い衝撃が手に残る。
その熱さにまた魂が熱を持った。
……戻ったら聞かなきゃな。
冬馬(なあ、プロデューサー)
輝「次のライブはいつなんだろうなっ!!」
……
…………
TV局前
P「え、まだ来てない? 場所はちゃんと春香にも伝えたぞ。だから向かってはいるはずだ……」
P「ああ、そうだな。まだ時間があるとはいえ、他の事務所の人たちももう来てるんなら、急がないとな。よし、このまま俺が探してみる。見つけたら拾っていくよ」ピッ
P「さてっと、こんなとこでつまずいてられないぞ。さっさと……」
冬馬「ああ、今そっちに向かってる。心配すんなって」
P「あっ!! 冬馬!?」
冬馬「お? 765んとこのプロデューサーじゃねえか。仕事か? 活躍してるみてえだな。ま、俺たちもだけどなっ!」
P「……ああ、その……315プロのライブ、見させてもらった」
冬馬「お、しっかり来てたか!! へへへっ、すごかっただろ? 見たか765プロ!!」
P「最高でした!!!」
冬馬「おうっ! ……ってどうしたんだよ」
P「その……最高だった!! 本当に、語彙が少なくて申し訳ないが……!! 控えめに言って315だった!」
冬馬「わざわざ控えめに言う必要ねーだろ……お、おう。まぁ、でも。サンキュ」
P「……女性アイドルばっかり見てるとな。圧倒されることも多くて、男だってすごいんだってことを時々忘れそうになるんだが……お前達は、最高だった」
冬馬「~~っ!! なんだよそんな褒めやがって! あんたは765のプロデューサーだろ。うちも負けねぇってぐらい啖呵きらねえとダメだろうが!」
P「あ、ああ。すまない。なんか完全にただのファンだった……」
冬馬「ったく、頼むぜ。俺たちはまだまだこれからなんだからよ。もっと競い合える相手でいてくれよ」
P「そうだな! ……ありがとうまだライバルって見てくれて。うちのアイドル達もお前達のパフォーマンスを見て発奮してるのがいるからな。765プロも……これからだ」
冬馬「おーう! でも俺たちだってな」
P「……あ」
冬馬「っと、どうしたんだ?」
P「うちのアイドルで思い出した。今、春香を探しにいくとこだったんだ」
冬馬「おいおい。早く探してやれよ……頼むぜ」
P「ああ。そ、それじゃあな! その、また会ったら感想をちゃんと言うから!!」
冬馬「おう、わかったよ。それじゃ」
冬馬「ったく。……プロデューサーってのはどこも忙しいな」
冬馬「ライブ終わった後に気づいたが765プロからもフラスタ贈られてきてたんだよな……高木順一朗って名義、765プロの会長だったか」
冬馬「黒井のオッサンも俺たちを見てたかな……? 届いたって思いてえけど」
冬馬「そういや、前の活動を手伝ってくれてた三条馬マネージャーからは見てたって連絡がきてたな」
冬馬(それなら、おふくろ……母さんも、天国で見ていてくれたか?)
冬馬「って、なーに考えてんだ俺は。まだまだこれからだってのに。くそっ、765のプロデューサーめ。手放しで褒めやがって。調子狂うじゃねえか」
冬馬(これからだろうが。もっともっと活躍するんだからな俺たちは)
冬馬(この道をずっと……)
どんっ
春香「きゃっ、ごめんなさい」
冬馬「っと、すみません」
春香「あっ」
冬馬「あっ」
冬馬「またお前かよ天海!」
春香「わわっ冬馬くん!?」
――……
冬馬「お前らんとこのプロデューサーが探してたぜ」
春香「えっ! ホント! ……あちゃ、そうだ、前の収録からケータイ電源切っちゃってたんだ……」
冬馬「んなドジこいてんじゃねえよ。ったく……早く行ってやれよな」
春香「そうします」
冬馬「……」
春香「……」
春香「…………あの」
冬馬「あん? どうした?」
春香「すごかったよ、ライブ。とっても良かった……最高でした!」
冬馬「おおっ!? んだよ、いきなり!?」
春香「すごかった。315プロダクションの色って言うのかな。そういうのがはっきり分かって」
冬馬「…………」
春香「ああ、この人たちはこの道を往くんだなって……なんていうかヴィジョンが見えた気がするんです!」
冬馬「……おう! そうだろそうだろ! すげえヤツがいっぱいだろ! 」
春香「Jupiterも雰囲気が変わったみたいで……とっても動いてて。完全復活したってこと、お客さんにしっかり伝わってると思う」
冬馬「ああそうさ! ……終わったなって言われたこともあったけどよ、へへっ、俺たちはここにいる。俺の勝ちだ!!」
春香「うん。冬馬くん諦めなかったんだもんね。最初の気持ちを信じて、アイドルを続けて……」
春香「私はずっと765だから……事務所を離れて、別のとこでまたやり直すのがどれだけ大変かなんてわからないけど……やっぱりとっても苦労があったんだろうなって」
冬馬「別に」
春香「え」
冬馬「……努力はしたけどよ。別にそんな苦労なんてどうってことねぇよ。同じ想いを持ったヤツらがいたし、な」
春香「辛くは、なかった?」
冬馬「ま、俺らは男だからな。いいか天海。男ってのはな、意地を張り続けることができんだよ」
春香「意地?」
冬馬「おう。男だけが持つスキルだ。耐えられない痛みでも、意地で立つ。見返すために気を張り続ける。それができんだ」
春香「それは……なんていうか。す、すごいがんばりだね」
冬馬「まぁな。…………315プロに入って、そこの連中を見て改めてわかったことがある」
春香「わかったこと?」
冬馬「なんつーか、長い人生、嘲笑われることもあるし、憎まれることもあるし……後悔することもやっちまう」
冬馬「それでもそんなもんは。もう一回笑おうとがんばらない理由にはならねぇんだって、そう、わかった」
春香「……!」
春香「……そうだね。なにが正解かなんて、わからないもの」
冬馬「そういうこと。失敗したって、それを失敗じゃなくすることができるし。正解も限界もねぇんだよ、きっとな」
春香「……あのね。夢を見たの」
冬馬「あん?」
春香「私、諦めて……アイドルを辞めちゃって」
冬馬「辞め……っ、はぁ? 何の話してんの?」
春香「あ、ごめんなさい。夢の話。……アイドルになってがんばっても、全然実らなかったそんな……悲しい夢を見たの」
冬馬「弱気になってるからそんな夢見たんじゃねえのか」
春香「かも……しれない、です。えへへ……あ、でも、全然違ってたから。事務所には美希や貴音さん、響ちゃんがいなかったし……」
冬馬「なんでその3人がいないんだよ」
春香「なんででしょう……? ま、夢だから、ね? 他にも色々変わってた」
冬馬「まぁ、夢ってそんなもんだよな。ウソで良かったんじゃねえの。アイドル辞めるなんて」
春香「うん。夢の私はね、がんばっても全然結果でなくて……それでテンション落ちちゃって、またがんばろうとするんだけど、失敗が失敗を呼んでるようなそんな感じで」
春香「お別れコンサートもね、公民館みたいなところでしたんだけど……それだって全然お客さんが来てくれなくて……私、そこでも失敗しました」
冬馬「…………」
春香「アイドルをやる事に自信が持てなくなっちゃって。活動時間が終わっちゃって……私、アイドル辞めました」
冬馬「でもそりゃ、あー、なんだ、夢だろ?」
春香「でも本当にあったことを思い出してるような、あんまりリアルな夢だったから。ちょっと……がっくりきてたの」
冬馬「なっさけねぇな。テンションは維持しとけよアイドルなら。……ま、わからねえでもねえ、けど」
春香「でも、315プロのライブで……元気、もらった」
冬馬「おう?」
春香「夢の私あれからどうするんだろう? あのままなのかな、やり直しできないのかなって思ってて……それで、あのライブ見てきっと大丈夫だって考えられるようになったんです」
春香「諦めなければなんだってできるって、そうはっきり思えたの」
春香「一年、アイドルがんばって。それがダメな結果でも。それが悲しい思い出になっても。あの夢の私の人生にもずっと……リベンジの機会があるんだって。きっと、もう一回笑えるって」
春香「アイドルとして輝きたいって想い持ち続けられるなら! そうだよねっ、冬馬くん!!」
冬馬「んだよ、天海っ! いきなりテンション上げんじゃねえよ! ……んなもん、当たり前だっての!!」
春香「うん、そうだよねっ!」
春香「でも本当にすごかったんだよ。本当に。あんな……涙も、喜びもいっしょになったような期待が爆発した歓声、私たちで作れるかなぁって、そんな事を思っちゃうぐらい」
冬馬「そりゃ出来ねえに決まってんじゃねえか」
春香「えっ!」
冬馬「お前らはJupiterじゃねえんだから。俺たちの……なんつうんだ、ドラマを持ってねえだろ」
冬馬「あれは、315プロの、俺たちの歓声だ。お前らにはお前らの形があるからいいんじゃねえの」
春香「……そっか。そうでした」
春香「きっと、あのドラマは私たちには無いもので。それはJupiterにしか持てなかったもので」
春香「私たちにはできないことをやったんだね……」
冬馬「ってか、やっぱお前不安になってんじゃねえの。346の連中とも合同ライブやったとか聞いたけどよ、天海、お前らのラジオは終わっちまったって聞いたぜ?」
春香「あ、あはは……うん、まあ、あれはね? プロデューサーさんが言うには次の展開も準備はしてるって……」
冬馬「そうかよ。まぁ、俺らもお前らもまだ終わりは来てねぇだろ? だから……こっからだ」
春香「え?」
冬馬「こっから俺らはもっと良い曲を歌って、もっとすげえパフォーマンスをして、もっと仲間を増やして、トップを目指す」
春香「……」
冬馬「765プロには頼りになる後輩もいるんだろ? へへっ、同じ世界にいるんだ、いつかはぶつかるかもな。負けねぇぜ!」
春香「…………はいっ! 私も!」
冬馬「ん?」
春香「いえっ! 私たちも負けませんっ! 宣言、宣言しますっ!」
冬馬「そうこなくっちゃ張り合いがねえ。情けねえ姿見せんじゃねえぞ! ははっ!!」
春香「あ……」
冬馬「なんだよ」
春香「ううん、なんでも、ありませんっ!」
春香(辛いこと、乗り越えた顔だ……765プロのみんなが見せるのと同じ表情……)
春香(961プロとのことも、私たち765プロとのことも。冬馬くんは受け止めきって前に進んでるんだ)
春香「本当に……私たちももっとがんばらなくちゃ」
冬馬「っと、そんじゃ。俺も315プロの連中と合流するからよ。お前も早く行けよ」
春香「あ、うん。そうだ。何人か私を探しに出てくれてるって言ってたから……」
四季「あーいたーっ!! 冬馬っちー!! ここっすー!!!」
冬馬「四季!!」
輝「どうした冬馬、いつもは早く来んのに! 迷ってたか……って神谷じゃねえんだから、それはねえか」
冬馬「神谷さんまた迷ってたんすか……」
道夫「それでは行こう。斎藤社長も待ってる」
春名「あ、またパッションな訓示ですか?」
四季「ライブ後だからまたメガ気合い入ったの来るっすね!! いぇーっ!! パッションパッション!!」
春名「パッションパッション~!!!」
隼人「パッション! パッション!」
旬「やめましょう!? 社長ですよ!!」
隼人「あ、ごめん。つい」
冬馬「お前らな……」
春香「あ、あはは……」
隼人「あれ……、あそこにいるのはもしかして……天海春香ちゃん!?」
冬馬「天海、早く行けっての……!」
春香「え?」
四季「あーもしかして、天海春香……春香っちとなんか話してたんすか!? 知り合いなんすね!? ずりーっすー!」
冬馬「ばっ、ちげーよっ!!! つーか、お前春香っちって」
次郎「あーはは、青少年だねぇ」
冬馬「山下さんも! なにわかった顔で笑ってんすか!!」
隼人「よかった……冬馬さんもアイドルの女の子見て舞い上がるのは同じなんだ……」
冬馬「舞い上がってねーよ!! 俺が天海に会ってはしゃいで遅れるか!!」
類「ん~! shyだね!」
冬馬「だから違うって言ってるだろ!」
四季「冬馬っち」
冬馬「あ?」
四季「俺たちには嘘つかね―でほしいっす!」
冬馬「四季。俺な……イラつき、メガ、マックスだぜっ!!」
四季「ぎゃーす! 冬馬っちが怒った―!?」
ワー! ギャー!
春香「に、賑やかですね」
薫「すまない。いつもは違うのだが……いや、嘘だ。いつも騒がしい連中だ」
春香「私たちも、こんな感じです」
輝「あー、春香ちゃんだよな! 会えるとは流石TV局だ、運がいいぜ! 俺は315プロの天道輝! 同じアイドルやってんだ。新人だけど……よろしく!」
春香「あ、はい! 765プロの天海春香です。よろしくお願いします!」
輝「へっへへ、桜庭もなこんなこと言ってるけど、Liveじゃすげえ高まってよ」
薫「天道! 君たちほど暴走してはいなかっただろう!」
翼「あはは、でも俺、ああいう薫さんも良いと思います!」
薫「……ぐ、やはり、失敗だったか」
輝「正解だったって! 桜庭すごかったじゃねえか!」
輝「な、春香ちゃん! やっぱライブはテンション上げないといけないよな!」
春香「え!? えっと……はい、テンション管理は大事だと、思います」
輝「なーっ!!」
薫「……わかった。心得ておく」
春香「……」
冬馬「それで、インタビュー終わったらまた打ち上げいくんすか?」
春名「事務所でパーティーするって言ってたぜ?」
旬「また、アスランさんたちが料理準備してくれるみたいです」
冬馬「またっすか! いっすね!」
アスラン「アーハッハッハ!! 我が創出せし供物は、絢爛にして霊気天衝なる聖贄!! 煌めく星々よ! 我の大いなる魔術に存分に酔いしれるがいい!」
冬馬「うわ!」
巻緒「今のを通訳すると、美味しい料理作ったからこれでライブの疲れを取ってください、ですね」
冬馬「あ、卯月さん。通訳どうもっす。もしかして315プロ全員集合してる感じっすか」
荘一郎「ええ、そのようです。ライブメンバーのインタビューの後、我々もこれからの意気込みを聞かれると」
志狼「とうまがイチバン最後だったんだぜー! へっへー! イチバン先に来たのはオレ!」
冬馬「お、志狼。そうか、わりぃわりぃ。一番はお前か、すげぇな」
かのん「かのんとなおくんも一緒に来たんだよっ!」
直央「えへへ……ライブすごかったです。しろうくん今もまだコーフンしちゃってて」
英雄「実際、次は俺たちもあんなライブやるんだなって思うと、気合い入った」
翔真「そう。アタシ達もきっとあの晴舞台に立つ。キリオちゃんと九郎ちゃんといっしょに、ね♪」
朱雀「次はオレらも盛り上げるからよッッ!! 期待しててくれよォ!?」
玄武「光彩陸離のあの会場……あんなもん見せられて発奮しねえのは、男じゃねえよな」
漣「チッ、あんな程度のダンスで威張ってんじゃねえぞ。次はオレ様が全部持ってってやる」
麗「牙崎さん、威張っているわけではないのでは……? しかし、あのような舞台なら……仲間と、友人たちと、確かに立ってみたくなります」
圭「僕は途中で倒れたりしないように気をつけないと……かな?」
咲「もー! そこはパピッと気合い入れて立っててくれないとダメ~!」
春香「わ……っ、いっぱい……」
涼「あ、春香さん」
春香「あ、涼ちゃん! ……あ、違うね。えっと、涼くん……?」
涼「はいっ」
春香「そうだね、今315プロにいるんだっけ。律子さんも言ってた」
涼「あはは……やっぱり、びっくりさせちゃいましたよね」
春香「うん。でも夢の為だもんね。前会ったけど、愛ちゃんも絵理ちゃんも応援してたよ。どう、今の事務所?」
涼「とってもいい人ばかりですよ!」
春香「そっか、なら律子さんも安心だね。ちょっとあいさつしていく?」
涼「いえ。僕もみんなといっしょにインタビューですから。……それに、活動を見せることが一番、僕はちゃんと夢を追ってますって伝えられると思うので」
春香「ふふ、そうだね!」
涼「律子姉ちゃん、最近アイドル活動の方もがんばってるじゃないですか? だから……ずっと応援してるってだけ伝えてください」
春香「はい! 春香さん了解しました!」
一希「涼……」
大吾「出陣じゃぞ!」
涼「はいっ!」
輝「315プロは美味いメシ作るヤツがいっぱいだよなー!」
冬馬「はは、そうっすね! みんなでカレーでも作ったりしたら楽しそうっすね!」
翼「食べる方も強豪ぞろいですからね……大食い、早食い……負けられません」
次郎「戦争だもんねー、おじさんついていけないよ」
冬馬「じゃあ俺、行くからよ」
春香「はいっ! 涼くんも言ってたけど……いい人たちが集まってるんだね。315プロ」
冬馬「へへっ、だろ? 最高の連中だ」
春香「そうじゃないと、あんなライブ作れませんよね」
冬馬「そういうこと。へへ……っ! もう一回言っとくか、お前に」
春香「えっ?」
――――「見たか765プロ!!」
――
――――
春香「………………」
春香「……うん、見てた。見てたよ冬馬くん」
春香(これからも見せてよ。315のジュピター)
春香「私もお仕事に行かなきゃ」
春香「置いてかれないようにしないとね。ただ心に刻まれて……振り返らないものにされちゃうのって、なんだかちょっぴり、うん、悔しいもんね」
「春香さーんっ!!」
「あ、見つかりましたっ! 良かったです!」
春香「あ……」
未来「春香さん! みんな待ってますよ! 行きましょう! 346プロのみなさんも集まってます! なんていうか……えっと同窓会みたいです!」
春香「ど、同窓会とは違うんじゃないかな?」
未来「えっ、違いますか?」
卯月「同窓会みたいに皆さんわくわくしてるってことじゃないでしょうか。前の合同ライブとっても素敵でしたから……インタビューもすっごく力入れてくれるらしいです!」
春香「そうなんだ。嬉しいね。未来ちゃん。卯月ちゃん……迎えに来てくれてありがとう。いっしょにがんばろうね!」
未来「はいっ!」
卯月「はい!」
春香(そう。私たちも皆で進んでいく)
私たちは今、とっても大きな物語の中にいる。
だから、止まるわけにはいかない。……止まらず、もっともっとアイドルとして輝きたい。
これからアイドルを続けるなら、きっと新しいファンも増えていく。今の価値観だって古くなっていくんだろう。
世界は止まっていないから。
未来に向かって歩き続けるつもりなら、もっともっと心を自由にしないと。
明日は追いかけてくモノじゃなく 今へと変えてくモノ
未来はここにあるよ ―――― ♪
春香(“今”に変えた人達、か)
仲間や同士やライバルが増えて。
その内に私たちがいなくてもアイドル界は回っていく……でもそれじゃ、自分の想いはどこにもない。
一人一人ががんばって輝くことが、きっとみんなで歩く意味に繋がる。
春香(もう一度最初のメンバーで合宿でもしたいな。提案してみようかな、プロデューサーさんにも言って!)
――
――――
315プロ
輝「おい! プロデューサーが次の仕事決まったって!」
薫「情報が遅い。あの幕張でのイベントだろう。僕たちはもうすでにスケジュールを確認しているぞ」
輝「げっ! なんだよ俺が一番最後かよー!」
翼「えーっとオレは、翼、翼……あったあった。……え!? 城ヶ崎莉嘉ちゃんと双海亜美ちゃん真美ちゃんといっしょにやるって……!?」
薫「よく読め。そこは柏木翼ではなく、伊吹翼と書いてあるだろう。765プロのアイドルだ」
翼「あ、本当ですね。……良かったー焦りました」
冬馬「お、仕事の話っすか? これ、765も346も名前あるじゃないっすか」
みのり「すごいよね! 俺も出られることになって……!! 感動しているよ!」
旬「みのりさん。お仕事ですよ。……ステージではちゃんとやってくれるって知ってますけど」
みのり「うん! 旬くんもいっしょにがんばろうね! 翔真さんも来てくれるって言うし! 楽しみだよ!」
旬「もう……。まぁ気持ちは少しは分かります。楽器だけ演奏してればいいってわけじゃないから……アイドルっておもしろいんですよね」
みのり「旬君……っ!! そうか、わかってるね! ……うん。ストイックな子がちゃんとアイドルをやることの楽しさや意義を知ってくれるって……とてもうれしいよ」
道夫「我々にもオファーが来た。聞けば多くの若者が集うイベントらしい。身が引き締まるな」
類「オレ達はstageでliveできるんだよねっ! プロデューサーちゃん、niceなオシゴト持って来てくれたねっ♪」
次郎(インパクト重視で選抜された気がするねー。こりゃ)
翔太「あ、やよいちゃんも出るんだ―! 良かった、最近ちょっと仕事してるの見てなかったから心配してたんだよねー」
北斗「イベント見にいってみるかい?」
翔太「行ってみようかなっ」
冬馬「……同じとこで他の事務所のアイドル達と仕事か。天道さん達バシッと決めてきてくれよ!」
輝「任せろって!」
北斗「もしヘマをしてしまったら……チャオ♪ しますよ?」
輝「うわー! チャオされるー!?」
冬馬「チャオってどういう意味なんだよ!?」
北斗「はは、なんか事務所でこういう用法が流行っているんだ」
翔太「いいのーそれで?」
北斗「いいさ。楽しいし……。仲間内でこんな風にふざけあえるのって、多分、俺も……求めていたと思うんだ」
冬馬「……だな。いい連中だよ」
冬馬「うしっ、負けてられねぇ気分がチャージされたぜっ!」バッ!
翔太「おっ、冬馬くんっ」
北斗「さては、またレッスンに行く気だな? 付き合うよ、冬馬」
冬馬「ああっ! 止まってられねえからな俺たちは!」
冬馬(黒井のオッサン。俺たちはトップアイドルになるぜ。見てろよ)
冬馬(ちょっと見てやるかってヤツも、男がアイドルなんてってヤツもいる)
冬馬(そいつらまでもっと惹きつけて! オッサンも無視できねえ所まで行ってやる!)
――……
プロデューサー「あ、冬馬、またレッスン?」
冬馬「ああ、そうだ! 北斗も翔太も準備したら来るってよ。プロデューサーはこれから時間あるか? ちょっと見てほしいんだけどよ」
プロデューサー「ええっ……時間が……うん、わかった。いいよ。 今の冬馬なんか無茶しそうだからちょっと見といた方がいい気がする」
冬馬「無茶はしねえよ……あ、でも、やっぱやりすぎそうになったら止めてくれ」
プロデューサー「うん、止める」
冬馬「手間をかけさせちまってすまねえ……けど、やっぱ俺、こんなヤツだからさ」
プロデューサー「わかってる」
冬馬「っと?」
プロデューサー「わかってるよ。冬馬」
冬馬「……ははっ! そっか! 流石だな、あんた!」
プロデューサー「これでもプロデューサーだから」
冬馬「そうか……だよな」
冬馬「これからも」
プロデューサー「うん?」
冬馬「俺たちをよろしく頼むぜ、プロデューサー!!」
――――ずっとずっとその先へ、世界は動きだしている。
完
終わりです。あの日の最高のライブに感謝
SideMには人間賛歌があります
失意があってもそれを越えて、人生で足掻く人たちの姿があるんです
一度のプロデュース失敗にも、その先があると示してくれた彼らに感謝します
ありがとう315だった!
乙です!
あの日の演者とP達のハードンを分け与えて貰い胸が熱くなりました、ありがとうございます
7月のBD楽しみだし、2周年CDやその先の展開も楽しみですね~
見落としてたらアレなんで確認したいのですが前作はランちゃんと候補生の話で合ってます?
>>143
BD楽しみですね! これからの展開もっと面白いことができるはずなので
5年、10年続けるつもりだと言ってくれたのは嬉しかった
前作については合ってます。…ばれるものですね
相変わらずすごい文章力で引きこまれました
乙!
まあ実際ジュピターというか男アイドルを踏みにじってきたのは765プロのP達でこんな風に仲良くできるはずもないんだけど
確かに一部のP達がやった最低なコトはオレも憤ってる。
でもジュピターはそんな理不尽な文句にも耐えて、あんな最高なライブをやった
発狂したP達でも潰せなかった男がアイマスにいてくれるのってすごく爽快で救いになってる
どっちが男としてかっこいい人生かははっきりわかる
素晴らしいSSでした。
SideMやってて良かったと思えるほどに
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