モバP「だりやすかれんと出逢いの季節」 (23)
―――夕日が差す泰葉のお部屋
李衣菜「…………」カキカキ…
泰葉「…………」サラサラ…
加蓮「…………」カリカリ…
李衣菜「…………」カキカキ…
泰葉「…………」サラサラ…
加蓮「……うー……」カリカリ…
李衣菜「…………」カキカキ…
泰葉「…………」サラサラ…
加蓮「……もう無理。もー限界……」クテン
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李衣菜「…………」カキカキ…
泰葉「…………」サラサラ…
加蓮「ねぇ……休憩しない? 2人とも疲れたでしょ、教科書とずっとにらめっこしてるの」
泰葉「……それ、30分前にも聞いた気がするのは私の気のせい?」
加蓮「うっ……! だ、だってこんな山積みの課題、できる気しないし……」
泰葉「もう……。そんなこと言ってたら終わるものも終わらないじゃない。ほら、頑張って」
加蓮「うぅ、はーい……」
李衣菜「…………」カキカキ…
加蓮「……李衣菜はずーっとシャーペン動かしてるよね。休憩無しでかれこれ2時間くらい?」
泰葉「加蓮も李衣菜くらいやる気出してくれたらいいのに……」
加蓮「無理無理、こんな機械みたいに……ん?」
李衣菜「…………――」カキカキ…
李衣菜「……――――」カキカキカキカキ…
李衣菜「――――――」カキカキカキカキカキカキ…
加蓮「待って目が死んでる!?」
泰葉「李衣菜!? き、気を確かにっ!」ユッサユッサ
李衣菜「――はっ!?!? わ、私はいったい」
泰葉「よ、良かった……!」
加蓮「完全に目の光が消えてたよ……だ、大丈夫?」
李衣菜「う、うん……なんだか楽しい夢を見てたような」
加蓮「ゆ、夢?」
李衣菜「そう、ノートから数字や記号が飛び出してきてロックなビートを……えへ、えへへ」ヘラヘラ
泰葉「休憩! 休憩にしましょう!!」
加蓮「おやつ! おやつ食べよ、ねっ李衣菜!!」
李衣菜「――はぁ、クッキー美味しい……♪」モグモグ
加蓮「やっぱり疲れた頭には甘ーいものだよねぇ……♪」サクサク
泰葉「紅茶もいい香り。……適度な休憩は必要よね、うん」
加蓮「トリップしない程度にね……」
泰葉「ええ……」
李衣菜「トリップ? 一ノ瀬さんのこと? 直近で一緒のお仕事あったっけ……」
加蓮「う、ううん気にしないで……あ、あはは」
李衣菜「? 変な加蓮」
泰葉「そ、それにしても。案の定というか、なんというか……2人も宿題、たくさん出されたのね」
加蓮「そ、そうそう。3年生も卒業して、新学期までアイドルに専念できると思ってたのにな……」
李衣菜「うーん、卒業式が終わったからこそだって言ってたなぁ、うちの先生」
泰葉「ふふ、やっぱり。アイドル業で勉強が遅れがちだから今の内に、ってことだと思うな」
加蓮「くっ、卒業式なんてなければこんな課題地獄に苦しまなくて済んだのに……!」
李衣菜「あはは、気持ちは分かるけどさ」
泰葉「先輩たちの門出なんだから、しっかりお祝いしないと……ね?」
加蓮「それは分かってるけど……。でも、そっか……卒業シーズンなんだよね、今って」
泰葉「そうね……別れを惜しんで、そして新しい出会いに期待を膨らませる季節……」
加蓮「うーん……別れと出会い、かぁ。切ないね、なんだか」
李衣菜「お、センチメンタル加蓮?」
加蓮「えへ、そんなんじゃないけど。私たちにも、いっぱい出会いと別れがあったなーって」
泰葉「ふふ……芸能界はそういうところだからね」
李衣菜「だねー。なんだっけ、こういうの……一期一会?」
加蓮「イチゴ食べたい?」
李衣菜「食べたい! ……ってそうじゃなくてさ」
泰葉「イチゴと言えば、この前一緒にお仕事した櫻井桃華ちゃんがね――」
李衣菜「泰葉が乗っかるんだ……」
加蓮「あぁ、桃華ちゃま? 知ってる知ってる、上品で可愛らしい子だよね?」
泰葉「うん、その子。それでね、桃華ちゃんのお友だちがイチゴ大好きなんだって」
李衣菜「へー……ふふ、甘いのは誰だって好きだよね」
泰葉「なんでも、イチゴが好きすぎてイチゴを使った創作料理が趣味になったらしくて……」
加蓮「わ、デザート? 美味しそう♪ 私食べてみt」
泰葉「イチゴパスタとか。しかもあったかい」
李衣菜「えぇ……」
加蓮「ごめんそれは無理……」
泰葉「ま、まぁ……でもね。桃華ちゃん、ずっとニコニコ話してくれて。きっと、とっても大切な友だちなんだな……って」
李衣菜「……へへ。私にとっての泰葉や加蓮みたいだね」
泰葉「うん、そうなの。ふふ♪」
加蓮「私は……、李衣菜が『ロックだから!』って創作料理始めたら距離置きたいかな……」ススス…
李衣菜「しないから! え、既に距離置き始めてるし!?」
泰葉「ふふっ、くすくす……♪」
李衣菜「もう、なんだよぉ……! ていうかイチゴの話じゃなくて、一期一会だってばそもそも!」
加蓮「あは、忘れてた♪ で、どんな意味だっけ? 一度きりの出会いを大切にしましょう、みたいな?」
泰葉「ええ、たしかそんな感じかな。……一度きりの旅だから♪」
加蓮「自分だけの旅だからー♪」
李衣菜「私の歌ーっ!!」ガーッ
「「あははっ♪」」
タイムリミット
再開
李衣菜「はぁぁぁ……。出会いと別れの切なさなんてどっか行っちゃったよ……」
加蓮「ふふ、だって想像できないんだもん。私たちのお別れなんて」
泰葉「……うん。今までどんなことも一緒に頑張ってきたんだから……」
加蓮「これからだって、ずーっと一緒だよね!」
泰葉「ええ、いつも信じてるから……!」
李衣菜「……ま、付き合ってあげるよ。ここまで来たら、どこまでもね!」
加蓮「あ、聞いたからね? 途中下車は許さないんだから♪」
泰葉「乗り合わせたら最後まで、ね♪」
李衣菜「へへ、分かってるって♪ 新しい出会いも、どんどん巻き込んでいこう!」
加蓮「ん、新しい出会いか……後輩とかできたら嬉しいかも?」
李衣菜「後輩! いいね、賑やかになりそうっ」
泰葉「ふふふ。たとえばどんな子がいい?」
李衣菜「んー、そうだなー。私はすっごく元気な子かなっ。いつでも一気に盛り上げてくれそうなさ!」
加蓮「私はねー……、スラッとしたかっこいい子がいいな。ほら、あの花屋の子みたいな♪」
李衣菜「あー、あの子か! 分かるなー、綺麗だもんね。泰葉はどんな子がいい?」
泰葉「私? 私は……笑顔がかわいい子、かな。一緒にいて、みんなが幸せになれるような……ふふっ」
李衣菜「へへ、なんか楽しいなぁ、こういうこと話すのって!」
加蓮「言うだけタダ、ってね。もっといろいろやりたいこと話そうよ♪」
泰葉「ふふ、じゃあ紅茶淹れ直してくるね――♪」
李衣菜(こうして、夜まで……ううん、ベッドに入って眠るまでお話が続きました)
李衣菜(なにか忘れてるような気がするけど……いちいち気にしてたらロックじゃないよね!)
―――
――
―
―――後日、事務所
加蓮「――間に合わない、間に合わない、間に合わないぃぃぃ!」カリカリカリカリ…!
李衣菜「うわあああああ公式どれ使えばあああ!」ペラペラペラ
P「……泰葉、お前のところで勉強会やったんじゃなかったのか?」
泰葉「Pさん静かに! 今集中しているので!」サラサラサラサラ…!
P「あ、はい」
李衣菜「泰葉の家だとお喋りばっかりで進まなかったんですぅぅぅぅううああああああ!」カキカキカキカキカキカキ…!
P「あー……だから事務所でか。はっはっは、頑張れ学生さん」
加蓮「Pさんも手伝ってぇぇぇえええ!」
P「だーめ、自力でやんなさい。俺はお仕事お仕事っと」
泰葉「うぅぅ、ううぅぅぅ……!」メソメソ
ちひろ「みんなー♪ 泰葉ちゃんのご実家から届いたカステラ、一緒に食べましょーっ♪」
「「「やったぁ♪」」」コロッ
P「……ダメだこりゃ」
P「――さて。あそこの養成所は……うん、もうすぐカリキュラム修了か。そこから1人……」カタカタ…
P「合同オーディション……一般公募か、よし……所長に頼んで、と」カタカタ…
P「うーん……もう1人くらいほしいな……スカウトもいいな。李衣菜たちにいい子いないか聞いてみるかな……?」カタカタ…
泰葉「はぁ、しあわせぇ……♪♪♪」モキュモキュ
加蓮「うわ、泰葉顔とろけすぎ。ふふ、かわいい♪」
李衣菜「ふるさとの味だからかな……あはは、口元ついてるよ泰葉」
ちひろ「ふふふっ♪」
P「――新しい出逢い、楽しみにしててな」ニコニコ
おわり
というお話だったのさ
モバP「だりやすかれんと新たなシンデレラたち」
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出逢いってことでほんのり繋がってるような、そうでないような?
くっさ
>>22
sageをつけないお前がか?
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