【FEif】カンナ「お父さん、僕も一緒に剣を振っていい?」マークス「勿論だ」 (21)

マークス「ふんっ!はあっ!」

カンナ「お父さん……」

マークス「こんな時間にどうした、カンナ」

カンナ「お父さんこそ、こんな時間に訓練なの?」

マークス「そうだ。暗夜王国の繁栄のために、暇さえあれば剣の腕を磨き続ける……それが私の成すべきことだ」

カンナ「そうだったんだね。だからあの時も……」

マークス「あの時も?」

カンナ「お父さんとお母さんが遊びに来てくれた日の夜、いつも夜遅くまで剣を振ってたよね?」

マークス「そんな時間まで起きていたのか……」

カンナ「えへへ、実はこっそり見てたんだよね。真面目な顔で剣を振り続けるお父さんを見て、僕も立派な剣士に憧れるようになったんだ」

マークス「……!そうだったのか」

カンナ「お父さん、僕も一緒に剣を振ってもいい?」

マークス「もちろんだ。まさか息子と肩を並べて剣を振る日が来るとはな……」

カンナ「ううっ、竜石よりも剣の方が得意だけど、緊張するなぁ……」


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マークス「ふっ!はあっ!」

カンナ「お父さん、今日も訓練?」

マークス「そうだ」

カンナ「僕も一緒にしていい?」

マークス「もちろん」

カンナ「えへへ、やった!」

マークス「……カンナ。この間の話だが」

カンナ「なあに?」

マークス「『竜石よりも剣の方が得意』というのは、どういう意味だ?」

カンナ「あのね、竜になって攻撃するより、剣で攻撃した方が強いんだ、僕。意外でしょ?」

マークス「そうだったのか……だが、戦場では竜になっている事の方が多いのでは?」

カンナ「竜になった方が移動の手間も省けるし、敵の攻撃も生身の時より痛くないもん。あと、ある程度の威嚇にもなるでしょ?」

マークス「……そこまで考えていたのか?」

カンナ「もちろん!戦争は遊びじゃないって事くらいわかってるよ?僕はまだ子供かもしれないけど、何も考えないで行動するほど無謀じゃないよ」

マークス「……そうか」

マークス「……ふっ」

カンナ「な、なんで笑ったの?僕何か変なこと言ったっけ?」

マークス「いや、そんな事はない。お前なら、暗夜最強の騎士になれる気がしてな」

カンナ「暗夜最強の騎士?それって父さんのこと?」

マークス「いいや、お前なら私よりももっと素晴らしい騎士になれる」

カンナ「それって本当!?」

マークス「ああ。だがその為には鍛錬を怠ってはならん。分かるな?」

カンナ「もちろん!僕が遊んでばっかだと思ったら大間違いだよ?うおおおおおっ!!!」ブンブン

マークス「お、おいカンナ!まったく、お前というやつは……」

小休止

竜「♪」

カムイ「あら、カンナ」

竜「!」

カムイ「今日はとってもご機嫌ですね。なにか良いことでもあったんですか?」

竜「……あの、母上」

カムイ「えっ……ジークベルト?」

ジークベルト「う、うん。そうだよ」

カムイ「珍しいですね、貴方が竜になるなんて」

ジークベルト「まあね。僕は騎兵だし、竜石を使う機会なんてほとんど無いから」

カムイ「それで、竜になってお散歩してたんですか?」

ジークベルト「えっ?い、いや、いざという時のために身体を慣らしておこうと思ってね。これも訓練のひとつ……そう、訓練だよ母上」

カムイ「あら、それは良いことですね。私もご一緒してもいいですか?」

ジークベルト「えっ!?」

カムイ「私も最近竜になる機会が減ってきてるんです。駄目ですか?」

ジークベルト「い、いや、駄目では無いけど……」

カムイ「それじゃあ決まりですね!行きましょうか!はあああっ!!!!」ギュイイ


ジークベルト「あ、待ってくれ、母上!」

竜「〜♪」バシャバシャ

竜「♪」ザッパ-ン

カムイ「ふふ、楽しんでますね、ジークベルト」

ジークベルト「えっ?母上!?ってうわあああっ!!」バシャ-ン

カムイ「きゃああっ!ジークベルト!大丈夫ですか?」

ジークベルト「ま、まあね……でも母上、どうしてここに?」

カムイ「竜になって訓練していた時、どうも貴方の様子がおかしいのが気になってたんです。だから朝から貴方を追っていたんですが……」

ジークベルト「つ、つけていたのかい?」

カムイ「ご、ごめんなさい!竜の力が絡んでいる以上、何かあっては大変なので……」

ジークベルト「そ、それもそうだね……」

カムイ「でもまさかあんなはしゃぎっぷりを見れるなんて思ってもいませんでした。カンナでもあそこまではっちゃけませんよ?」

ジークベルト「…………」

カムイ「……ジークベルト?」

ジークベルト「……いけないって分かってたんだ」

カンナ「!」

ジークベルト「竜の力は絶大なもので、使い方を間違ってはいけない。幼いカンナならまだしも、責任ある立場にある僕が竜の力で遊ぶなんて……」

カムイ「まあまあ、ジークベルト。そんなに悩まなくてもいいですよ」

ジークベルト「で、でも私は……」

カムイ「…………」

カムイ「……えーっとですね、アクアさんと『勇猛なるドラゴンナイトごっこ』をしました」

ジークベルト「へっ?」

カムイ「リョウマ兄さんとタクミさんは、私のツノに木の枝を乗せるバランスゲームをしたことがあります」

ジークベルト「な、なにそれ……」

カムイ「レオンさんをドッキリで蹴飛ばしたこととあるし、マークス兄さんに関してはしょっちゅう背中に乗せて走り回ってますよ」

ジークベルト「えっ?あの父上が!?」

カムイ「ええ、一回だけ涙目になるほど全力で走って以来、あまり乗ってくれるようにはならなくなりましたが……」

ジークベルト「父上が涙目に……?どれだけ全力を出したんだい!?」

カムイ「……確かに竜の力は使い方を誤れば危険なもの。それが分かっていれば十分です。せっかく持って生まれたものなのですから、楽しい事をしてもいいと思いますよ?」

ジークベルト「……母上」

カムイ「よし、そうと決まれば今日は遊び通しましょう!母さんが竜になった時の遊び方を教えてあげます!」

ジークベルト「えっ?そ、それはちょっと……」

カムイ「思いっきり遊ぶのも、一つの訓練ですよ?」

ジークベルト「……ふふっ、母上には敵わないよ」

カムイ「それじゃあいきますよ!はああああっ!!」ギュイイン

ジークベルト「ああ!うおおおっ!!!」ギュイイン

おまけ

カムイ「わっ!ジークベルト!速いです!」ドドドドド

ジークベルト「母上、まだまだ速く走れますよ!!」ドドドドド

マークス「……あれは、カムイとジークベルト?」

カンナ「あっ!すごい!僕も行く!!!」ギュイイン 

マークス「えっ」

カンナ「待って待ってー!!!!」ドドドドド

マークス「…………」

カンナ「ジークベルト!」

ジークベルト「どうしたんだい、カンナ」

カンナ「あのね、ちょっと勉強を見て欲しいんだ」

ジークベルト「勉強?」
カンナ「うん。軍学の本を一通り読んだんだけど、きちんと理解できてるか心配で……」
ジークベルト「……ああ、この本か。私も初めて読んだときは心配で、父上に同じことを言った記憶があるよ」

カンナ「そうなの?」

ジークベルト「ちょっと待ってくれないか?確かメモが残っているものがあったんだ」

カンナ「メモって、お父さんの?」

ジークベルト「父上のと、私のものの両方かな……あった!」

カンナ「あ、確かに同じ本だ。でもジークベルトの方がボロボロだね」

ジークベルト「まあ、相当読み込んだからね。それじゃあどこから始める?」

カンナ「あっ、えーっとね……」

ジークベルト「ふぅ、これで一通り終わったか」

カンナ「ありがとう!おかげで全部きちんとわかったよ!」

ジークベルト「いや、いいんだ。私の方こそ復習になってよかったよ」

カンナ「えへへ、次は何やろうかなぁ……」

ジークベルト「そういえばカンナ、いきなり勉強を始めるなんて、何かあったのかい?」

カンナ「ジークベルトの役に立ちたいから、かな?」

ジークベルト「えっ?僕の?」

カンナ「うん。あのさ、レオン叔父さんって、僕と似たような立場でしょ?」

ジークベルト「王位継承者の実弟と考えれば……確かにそうだね」

カンナ「ついこの間、お母さんの提案で、お父さんの仕事を何日か見学した事があったよね」

ジークベルト「ああ。それがどうしたんだい?」

カンナ「側で仕事を見てて気付いたんだ。お父さん支えるレオン叔父さんみたいな存在ってすごく大切なものなんじゃないかって。でも、今のジークベルトにはそういう人っていないでしょ?」

カンナ「だから、いずれは僕がジークベルトを支える存在になりたい。ジークベルトの負担を少しでも軽くできるよう、働けるようになりたいんだ」

ジークベルト「……カンナ」

カンナ「でも、今のままじゃいけないって思うから……」

ジークベルト「それで、まずは勉強から始めたと」

カンナ「うん。今の僕に一番足りてないと思ったから」

ジークベルト「……そうか」

カンナ「……ジークベルト?」

ジークベルト「……嬉しいよ、カンナ。私はその気持ちがとても嬉しい」

カンナ「!」

ジークベルト「私も少し憧れてたんだ。父上と叔父上の関係には」

カンナ「えっ、そうだったの?」

ジークベルト「叔父上のように理解があって、気心知れた家臣がいたらどれだけ助かるんだろうってね」

カンナ「で、でも、僕はまだレオン叔父さんほど役に立たないよ?」

ジークベルト「私こそ、父上ほど優秀な統治者からは程遠い。お互いまだ足りないところがあるからこそ、私はカンナと共に頑張っていきたいと思う」

カンナ「うん……そうだね!ジークベルト、これからも勉強頑張るから、わからない事があったら聞きに来てもいい?」

ジークベルト「ああ、勿論だ!」

小休止

カンナ「ふっふふーん♪お母さんとおでかけ、楽しいなー!」

カムイ「ふふっ、ご機嫌ですねカンナ。
私とのお出かけがそんなに嬉しいですか?」

カンナ「だって次にお花を見つけたときは一緒に見に行こうって約束したでしょー?すごく楽しみなんだもん!……あっ、ここだよお母さん!」

カムイ「あら、今日は白いお花ですか?……この花は」

──数年前・北の城塞
マークス「カムイ、元気にしてたか?」

カムイ「あっ、マークス兄さん!会いたかったです!」

マークス「ふっ……そうか」

カムイ「あの、エリーゼさん達は?」

マークス「ああ。他の三人はそれぞれ用事があって来れなかった」

カムイ「そうですか……」

マークス「すまない、寂しい思いをさせてしまって」

カムイ「いいんです。マークス兄さんに会えただけでも幸せですから」

マークス「!」

カムイ「……兄さん?」

マークス「……カムイ、これを」

カムイ「わあ!綺麗な花ですね。純白の花びらに気品がありますね……でも、なんだか優しい色合いで、ほっとするような感じがとても素敵です」

マークス「ああ、とても綺麗だろう?その花弁の色や咲いてる様子が、お前に……」

カンナ「……お母さんに似てるなあって思ったんだ……って」

カムイ「…………」

カンナ「……お母さん?」

カムイ「……うふふっ」

カンナ「ど、どうしたの?」

カムイ「貴方も、マークス兄さんと同じことを言うんですね」

カンナ「……お父さんと?」

カムイ「ええ、昔、お父さんがこの花をくれたんです。色や咲いてる様子が私に似てるって言って」

カンナ「へぇ……じゃあ僕と同じだね!」

カムイ「そうですよ。だからこの花は……」

カムイ「私が、世界で一番好きな花なんです」

マークス「ジークベルト、こんなところで何をしてるんだ」

ジークベルト「ち、父上。今は食事の後片付けをしてたところです」

マークス「そうだったのか。それにしても、今日は随分散らかっているな……」

ジークベルト「仕方ありません。兵士達は皆、戦いで疲れていますから」

マークス「ジークベルト一人で
片付けをする必要はない。私も手伝おう」

ジークベルト「そ、そんな!先の進軍で、父上もお疲れでしょう。だから私の事は気にせず、ゆっくりお休み下さい」

マークス「…………」

──数年前・北の城塞
カムイ「♪」

マークス「カムイ、片付けを手伝いに来た」

カムイ「あ、大丈夫です。マークス兄さんは休んでて下さい」

マークス「だが……」

カムイ「このあいだの進軍は大変だったんでしょう?ここにいる時くらい、ゆっくりして下さい。私からのお願いです」

マークス「まったく、少しは兄を頼ってくれ。お前は私の大切なきょうだいなのだから」

カムイ「ですが、兄さんは疲れているのでは……」

マークス「まったく……お前は優しすぎる。遠慮するな、私は向こうを片付けてくる」

カムイ「あ、マークス兄さん!そっちは……」

ジークベルト「ち、父上!そっちは……」

マークス「……やはりな」

ジークベルト「あっ……」

マークス「この有様でじきに片付くだと?ひどい散らかりようじゃないか」

ジークベルト「あ、あはは……」

マークス「まったく……これを自分一人で片付けるつもりだったのか?」

ジークベルト「はい。ですが心配は無用で……」

マークス「お前一人じゃ無理だ。手伝うぞ」

ジークベルト「で、ですが!父上はお疲れなのでは……」

マークス「まったく、お前は優しすぎる。過ぎた優しさは、いずれ自分に牙を剥くぞ」

ジークベルト「も、申し訳ありません」

マークス「……だが、私はお前のそういう所が愛おしくて仕方ないのだがな」

ジークベルト「えっ?」

マークス「ジークベルト、少しはこの父を頼りにしてくれ」

マークス「お前は私の、大切な家族なのだから……」

FEifだからいつもの人かと思ったら違った、乙

ええやん

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