岸辺露伴「釣子の屋敷だと?」 (17)
【注意】
・オリジナルキャラクター、オリジナルスタンドが登場します。苦手な方はブラウザバック
・この世界は6部にて徐輪達がプッチを倒し、世界が一巡しなかった世界の物語です。
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2016年 M県S市杜王町
S市のベッドタウンとして1980年代前半から急速に発展してきた都市である。
年間に訪れる旅行者数は20万人から30万人と観光客が多いのが特徴である。
人口は2010年の国勢調査によれば54,931人。
街の花はフクジュソウ、名産品は牛タンの味噌漬け。
この物語はそんな杜王町での物語である。
・・・・カフェ・ドゥ・マゴ
スタ スタ スタ スタ スタ
カララン
「いらっしゃいませェェ〜〜〜」
承太郎「遅かったな……。 露伴先生」
露伴「いやァ〜〜〜……担当との打ち合わせが少し長引いてしまってね…。しっかし……吉良吉影の件の時以来だから………えぇ〜〜〜と………」
承太郎「17年振り…だ」
露伴「そうか…あの時は1999年だったかァ……」
露伴「久し振りの再会だが………そんなことを懐かしむためにこの僕をここに呼んだわけじゃあないだろォ?僕は今も無能な編集者のせいでクソ忙しいんだ。さっさと本題に入ってもらおうか……」
承太郎「今日呼んだのは露伴先生、アンタに『調査』をしてもらいたくて…だ」
露伴「『調査』ァァ〜〜〜?僕は同じことを2回も言うのは気が引けるが…承太郎さん、あなたには言わせてもらおう。今の僕はクソ忙しいんだ」
承太郎「忙しいのは重々承知した上での頼み事だ。それに先生にとっても悪くないことだとは思うんだが……」
露伴「僕にとっても悪くない……だと?」
承太郎「ああ、この話にはアンタも興味を持つと思うんだが……」
露伴「………少し興味が湧いてきましたよ。どうぞ、その僕が興味を持つ話っていうのを話してみて下さい…」
承太郎「まず……露伴先生、アンタは最近若者の間で噂になっている『釣子の屋敷』という話を知っているか…?」
露伴「ちょうしの屋敷ィ〜〜?……悪いが、知らないなァ。どういう字でちょうしって読むんです?」
承太郎「…『子供を釣る』と書いて『釣子』…らしい。らしいというのも、私自身その読み方に自信を持っていないのもあってな」
露伴「『子供を釣る』ゥ〜〜〜?……なんだか縁起の悪い言葉だなァ……。まァ、この際読み方はどうでもいいんですけど……その『釣子』っていうのは人の名前…ということですか?」
承太郎「ああ、屋敷の表札に苗字の部分ははっきりとしていないが、名前の部分ははっきりと『釣子』と書かれているらしい」
露伴「おっと……少し話が逸れてきてますね。話を戻しましょうか」
承太郎「……その『釣子の屋敷』というのはここ…杜王町に実在する屋敷のことだ」
露伴「……」
承太郎「今は誰も住んでいない…いわゆる廃墟なんだが、それがインターネットで話題になっている」
露伴「ふむ……」ズズッ
承太郎「今は小学生の子供でもスマートフォンを持っている時代ということもあってか…子供たちにも…『釣子の屋敷』は広まっていったというわけだ」
承太郎「そしてここからが噂の内容なんだが……その屋敷に子供が入っていくと帰ってこれなくなるという噂が流れている」
承太郎「これが事実なのか…はたまた子供をあの屋敷に近付かせないために怖がらせるための嘘なのかは定かではないが……」
露伴「それで…そんな下らないことを僕に調査してほしいっていうのかい?単なる噂を…?」
露伴「この岸辺露伴を…あまり舐めないで頂きたい……ッ!」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
承太郎「まだ話は終わっていない」
露伴「……あまりにも下らなすぎる。こんなことは漫画のネタにもなりゃしない。僕の漫画はリアリティを追求しているんだッ!そんな非現実的な話を書いたところでそれは駄作だッ」
承太郎「…このデータを見てもらいたい…」ガサゴソ
露伴「……?」
承太郎「これだ…」
露伴「……『ここ3ヶ月の年齢別行方不明者数』……?」
承太郎「それを見て貰えば分かると思うが……」
露伴「……ッ!」
承太郎「確かに『子供』が魚が『釣られる』ように、以前までと比較して行方不明になっているのが分かるはずだ」
承太郎「更に、その行方不明者の約半数は、その最後にその屋敷の周辺で発見されているッ!」
ド・・・・・・・z_______ン!
承太郎「少しは興味が湧いたとは思うが……」
露伴「………分かりました。この屋敷に『釣られて』みましょう」
承太郎「そういってもらえると…こちらとしても助かる。 何か危険があったら連絡してくれ。すぐに駆けつける」
露伴「ああ、ありがとう。早速その屋敷に行ってみるとするよ……」
・・・・・
露伴「……早速来てみたが……」
露伴「霊園から南方面へ進み丘を登ったところ……立地的にも確かに雰囲気があるな」
露伴「周りには全くといってもいいほど明かりがない………」
露伴「……明かりは月明かりだけが頼りのようだ………」
露伴「ん………ッ」
「ヒィ〜〜〜ッ!本当に行く気ィ〜〜〜〜?」
「ったりめーだろッ!」
「康之ィ!お前ホントーッにタマタマついてんのかァ〜〜〜〜ッ?」
「つ、ついてるよォーーッ」
露伴 (……見るからに…彼らもまた噂を聞きつけてこの屋敷にやってきたようだな…)
露伴 (……彼らにこの屋敷について少し聞いてみるとするか……)
露伴「なァ、君たち」
「ヒィィィ〜〜〜ッ!いきなり出たァァ〜〜〜〜ッ!!」
露伴「オイオイ…そんなビビることはないだろう。僕は生身の人間だぜ……ほら、足もしっかりとついてるし……」
「そうだぜェ〜〜…康之ィ、お前はちょっとビビりすぎだっつぅーのッ!」
露伴 (康之……?)
康之「し…しかたないじゃあないかァァ〜〜〜ッ……億人くんと仗信くんが異常すぎるんだよォ〜〜……」
露伴 (億人………? 仗信………?)
康之「っていうか……ええと……あなたはこんなとこで何をしているんですか……?」
「おっさんもこの屋敷の噂を聞きつけてやってきたのかァ〜〜?」
康之「ちょっ……億人くん!失礼だよっ!」
露伴 (おっさんンン〜〜ッ? こいつ……やはり失礼極まりない男だッ!名前が似ていると性格も似るというわけかッ!)
露伴 (…しかし、ここは耐えろ……こちらとしても不本意極まりないがッ ……こいつから少しでも情報を得なくては……)
露伴「…ゴホン……僕はただ『取材』に来ているだけだよ。 君たちは…肝試しといったところかな?」
康之「はい……今、インターネットでも話題になってますし………」
仗信「『取材』ィ〜〜〜? こんなところにくるっつーことは……オカルト雑誌のライターかなんかっすかァ〜〜〜ッ?」
露伴「いいや…僕はただの漫画家さ。今回この屋敷に来たのは漫画の参考にでもなればと思ってね」
仗信 (参考のために噂に流されてこんな屋敷にまでやってくる漫画家ァ〜〜〜ッ?ゼーッテェ売れてなさそだなァ………)
露伴「……おい、そこのお前……今僕のことを馬鹿にしただろう………」
仗信「えっ!? 俺ッスカァ〜〜〜〜ッ!?い、いやァ〜そんな訳ないじゃァないですかァ〜〜〜ッ。あはは……なぁ、億人ォ!」
億人「いや、俺に振るんじゃあねーよッ!」
露伴「フン……まぁ、いい」
康之「………」
仗信「ンン〜ッ?どうした…康之?」
康之「う〜ん…………アッ!」
億人「うおッ!?いきなり叫んでどうしたってんだァ?」
康之「やっぱりッ!あなた…『ピンクダークの少年』の岸辺露伴先生ですよねーッ!」
「な、なにィィィーーーッ!?」
露伴「ホゥ……」
露伴「いかにも…そうだッ!この僕が岸辺露伴だッ!」
康之「僕…『ピンクダークの少年』の大ファンなんですよォ〜〜〜ッ!」
億人「俺も読んでたぜェーーーッ!『ピンクダークの少年』ッ!」
仗信「ああッ!ガキの頃はホンットにハマりまくってたあの『ピンクダークの少年』の作者に会えるなんてよォーーーーッ!」
億人「サインくれよッ!」
康之「アッ…ずるいよ、億人くん!僕が先だよ!」
仗信「俺も俺もッ!」
・・・・・・
仗信「ウオオオ………これはもう一生モノの宝物だぜェーーーッ!」
康之「明日にでも額縁に飾っておかなきゃッ!」
露伴「さて……今度はこちらの頼みも聞いてもらおうか」
億人「なんだなんだ?今なら何でもやりますぜェ〜〜〜ッ」
露伴「なら、聞かせてもらうけど……。…例の噂以外であの屋敷について何か知っていることはあるかな………?」
仗信「あ〜〜〜……俺らはあの屋敷については詳しくないんだよなァ〜〜〜………。悪いけど………」
露伴 (やはり…なにも知らなかったか………。これじゃサイン書き損しただけだったか……。まあ、いいか)
露伴「そうか………」
康之「すいません……お力になれなくて……」
露伴「いや…謝ることはないよ。それじゃ、僕はもうあの屋敷に行くよ。また会えたらいいな」ザッ ザッ ザッ
億人「アッ……行っちまったぜェ〜〜〜〜ッ」
康之「そうだ……ッ!露伴先生ェーーーッ!」
露伴 (なんだ……まだ何か僕に用があるのか……?)
露伴「何だい………? 僕は早くあの中を取材して、早く家に帰って眠りたいんだ。悪いが、もう無駄話をしている時間はないんだ……。君たちには分かるかな…?」
康之「ですからッ! 僕たちも屋敷の取材手伝いますよッ!」
露伴「……は?」
億人「オオッ!そりゃアいい案だなッ!」
仗信「そうと決まれば俺らも早く屋敷に行くぞ!」
露伴「い、いや……僕は1人でッ…!」
億人「そう連れないことは言わないでよォーッ!俺らが手伝ってやるって言ってんだからさァ〜〜〜ッ!」
露伴「…………ッ」
保守
丈助たちの息子か
屋敷が用意した疑似餌かも知れないぞ
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