【R-18】本気の一色いろはは小悪魔どころじゃない (136)

※注意点

・R18です
・八幡が割とアグレッシブです
・一部変態的な行為が混ざります
・短編なのでそんなに長くなりません

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たまに早く学校に来てみたらこれだ。

登校中に偶然出会い、わけもわからず私物化された無人の生徒会室に連行されてしまった。そして目の前には、肩を落とし俯く生徒会長、一色いろはの姿がある。

一応自己弁護しておくと、決して俺が何かやったわけではない。まだあまり人のいない学校前で後ろから追突され、その時から一色は微かに涙を滲ませていた。

「せんぱいぃ……ぐすっ……」

うわ、これ割とマジなやつなんじゃねぇの。

「ど、どうしたんだよ。言ってくれなきゃわかんねぇよ」

「……頭、撫でてください」

「はぁ?なんで?」

「理由なんていいですから、早く……」

一色は瞳を潤ませながらねめつけるような視線を送る。

その目にはすこぶる弱い。泣く女子にもすこぶる弱い。失意に暮れる女子には優しく接し、できるだけ我儘を聞くよう調教済みの兄、どうも比企谷八幡です。

「……これで、いいのか」

一色の傍に歩み寄り、ビクビクしながら髪を微弱な力で撫でつける。

うわ、なにこれ超ふわふわ。リンスだかトリートメントだかのいい匂いがここまで漂ってくるんですけど。

「はふ……」

途端、一色の顔が綻ぶ。なんだそれ小動物かお前は。

「……もういいか?」

「もっと……」

なんなの、いったい……。

そのままナデナデすること暫し。

一色の目に浮かんでいた涙は消え、今ではうちにいるだらけた猫の如く、満足そうに机でゴロゴロしている。

「もういいだろ」

無音の空間で後輩の頭を撫で続けるってなんだよ恥ずかしい。

撫でていた手を離しポケットに突っ込む。心なしか手がスベスベになってる気がする。

「あー、まだいいですって言ってないのにー」

「もうだいぶ元気になってるからいいだろ。何があったのか言え。なんかあったんだろ」

「……はい。凄く、すっごく怖かったんですよぅ」

言うと、一色は自分の身を抱くように体を強張らせる。こいつの喋り方だとそこまで怖そうに聞こえないが、嘘をついてはいなそうだ。

「何が」

「えと、ち……痴漢に、あって……」

「……マジか」

「はい……怖かったです……」

「……そうか。辛かったな」

言い様のない怒りが沸くと同時に、一色の恐怖が伝わってきた。今は優しくしてやろうと、素直にそう思った。

「……といっても、もしかしてってのは割としょっちゅうなんで慣れて」

「怖かったろ。俺にできること、なんかないか?」

同時に喋ったせいで、一色の言葉がよく聞き取れなかった。聞き間違いじゃなければしょっちゅうとか言ってたか?だとしたら尚更よくねぇよ、可哀想に。

「……へ?」

「いや、なんかないのか?できる限りのことはやる」

「え、ど、どうしたんですか先輩」

「どうしたって、痴漢みたいな屑のせいでお前が落ち込むなんて許せねぇんだよ。だから何かしてほしいことあったら言え、なるべく聞いてやるから」

言ってみたものの、一色の反応はない。何故そこで呆けるんだ。

「ないのか?」

「や、あ、いやありますあります!待ってください!ええと……」

一色は慌てて両手を振り全力で否定すると、なにやらか思案をしながらブツブツと言い始めた。

「…………なになに思ったより反応凄いんですけど。なんでもしてくれるとかどういうことなんですか……」

小声過ぎて全然聞き取れない。気になる……。

「いや、ないならそんな無理に捻り出さんでも」

「いえ!その、手、……握ってもらって、いい、ですか?」

おずおずと差し出された一色の手を、安心させるように両手で包む。

こんなことで一色の恐怖が薄らぐなら軽いものだ。恥じらいは、というか不慣れゆえのぎこちなさはどうしたってなくならないが。

「こ、これでいいか」

「はわわわ……。先輩、マジでどうしたんです?こんなの、普段なら絶対やってくれませんよね」

「……そりゃ普段ならな。今は違う」

か弱い女子だけを狙い、無抵抗なのをいいことに自らの欲望を満たすためだけに行うその卑劣な行為は忌み嫌われて然るべきものだ。

俺の数少ない大事な知り合いが、そんな行為に晒されて悲しみに暮れるなんて我慢ならない。

すると、やり場のない怒りが込み上げ、握る手におもわず力がこもった。

「俺にやれることって多くねぇから、こんなことしかできなくて悪いな」

「い、いえ!もうおかげで怖くない、です。先輩、もしかして怒って……くれてます?」

「あー、まぁな。痴漢ってのはどう考えても必然性がねぇ。ある意味殺人や窃盗なんかより重罪だろ」

「それもまた極論ですね……」

「だって人殺さないといけない状況はあっても、痴漢しないといけない状況なんてこの世にねぇだろ。やるやつの理性が足りんだけだ。なのに恐怖を味わうのはお前みたいなか弱い女の子なんだぞ、許せるかこんなの」

……はっ、しまった。手を握ったまま何を力説してんだ俺は。

どうせドン引きしてんだろ……と思いきや、一色はきょとんとした顔で口を半開きにしている。

「……なんだよ」

「いや、先輩ってスゴい優しいなって、思って……」

「そうでもないと思うが」

よくわからないが一色は頬を染めてどぎまぎし始めた。やめろ俺まで落ち着かなくなるだろ。

「いえ。わたし、先輩になら……。あの!もっとお願いしてもいい、ですか?」

「……ある程度ならな。特別だぞ」

「えー、さっきなんでもしてくれるって言いましたよね?」

「言ってねぇよオイ」

人の話を聞けと言いたいが、口を挟む間もなく一色は興奮気味に話し始めた。

「わたし、さっきキモい人に触られて…………たぶん……」

ん、今すげぇちっちゃい声でたぶんとか言わなかった?

「気持ち悪いので、先輩に……上書き、してもらえませんか?」

「……は?」


* * *


ここは生徒会室だ。早く来すぎたから始業まではまだ時間がある。学校にいるのは朝練をしている連中と教師陣ぐらいで、ここ生徒会室のある校舎内に他の人間がいる気配はない。

目の前には理解できないことをのたまい、頬を染める一色いろは。

「……意味がわからないのでもう一度」

「なんでわからないんですか。だからー、先輩に、触ってほしいなって」

触る?どこを?痴漢が触ったとこを?

アホか何言ってんだこいつは。

「こ、断る」

「えー。このままじゃわたし男性不信になっちゃいます……」

ふむ
続けたまえ

渋にもあげてるね?

「いや、俺に触られたら余計不信になんじゃねぇの?」

「何言ってるんですかバカなんですか先輩。なるわけないじゃないですか」

なんでだよと考えるとどつぼに嵌まりそうなので考えないことしにした。

「何言ってんのかわかんねぇよ……。ていうか痴漢の真似事なんかさせんなよ」

言うと、一色ははぁと熱のこもった吐息を漏らし、じっと眼差しを俺に送ってくる。

「合意があるのに痴漢なんかと一緒にしないでくださいよ……。それとも先輩は、その……、恋人同士の、触りっこも嫌い……ですか?」

赤く染まった頬、儚げに揺れる潤んだ瞳。整った可愛らしい顔の下では、余ったセーターの袖から覗く細い手が胸元のリボンを握りしめている。

>>13
あ、すみません書くの忘れてましたがそうです

幼さの残る佇まいのその奥に、確かに見える色気を感じ鼓動が早くなった。

息を呑み、心を静めるよう務め、なんとかかんとか正常な答えを返す。

「……いや、俺、お前と恋人同士じゃねぇし」

「まあそれはまだそうなんですけど……。あ、じゃあー、先輩ちょっと練習に付き合ってもらえますか?」

まだ?まだっつったかお前?あとじゃあってなんだよ、じゃあって。突っ込みたいとこまみれなんだが。

「練習?なんの?」

「痴漢に抵抗する練習です」

「それ、俺のやること変わってないよね?」

「まあそうですね。ではとにかくお願いします」

一色はそう言うと立ち上がり、俺に背を向け黙ってじっとしている。

「……俺にどうしろってんだ」

「だからー、キモくて怖くて抵抗できなかったんです。そこで先輩ですよ。先輩で練習したらきっと抵抗できるようになるんじゃないかなーと」

なんでもないような口調でなんてことを言うんだこいつは。俺じゃなきゃ泣くぞ。

「それは俺も同じくらいキモいって遠回しに言ってるんですかね」

「さぁー、それは先輩の行動次第ですかねー。ではさっさとお願いします」

「いや、さっさとって言われても……。つかさっきは何されたんだよ。それしねぇと意味ないんじゃねぇのか」

「あ、いいですね。それでお願いします」

俺さっきからお願いされすぎだろ。そんでお前は無茶なことお願いしすぎだろ。あれ、ていうかなんでやる流れになってんだ。俺やるって言ったっけ。

「さっきは、えーと。すっとわたしの後ろに立ってー」

渋々立ち上がり、一色の後ろに立つ。いや近いよこれ。背の低い彼女の頭が俺の顔のすぐ傍にある。

「こ、こんなもんか?」

「満員だったのでもっとです。わたしの背中に先輩の胸が当たるぐらい、ですかね」

「お、おう……」

言われた通りにすると背中より先に下半身同士が触れ合い、顔に熱がこもる。

ピクッと一色の肩が震えた。

「あ、ぅ……」

「へ、変な声出すな。それで、これから?」

「えと、なんとなくですけど、頭の匂い嗅がれてたような。それで、こう、太ももの後ろ辺りをさわさわと……」

痴漢の野郎、なんてことをしやがんだ。

「それを、俺にしろと?」

「は、はぃ……」

意識するな、これはあくまで一色が痴漢に抵抗できるよう練習するだけなんだ。演技だ。芝居だ。

ごくりと息を呑み、ふわふわした亜麻色の髪の毛に鼻を近づける。

「ん……」

おもわずもっと鼻を密着させたくなるほど、たぶん可愛い女の子特有の甘い香りが鼻腔をくすぐる。

痴漢の肩を持つわけじゃないが、こんな匂いを近くで嗅がされたらそんな衝動が沸き起こることは理解できてしまう。

まぁそこで実際に手を出すか否かが人と理性のない猿との境界線なのだが。ちなみに俺は今どっちなんだろうか。

「んっ……」

さらに顔を髪に埋めるようにすると、一色が吐息を漏らして身を僅かに捩る。

「……抵抗する気あんの?」

「あ、ありますけど、これだけじゃまだわかんないから無理ですよぅ。ただ近くにいるだけかもしれないですし……」

確かに一色の言うことももっともか。さすがにこれだけで痴漢扱いはできまい。…………ほんとに?

明らかに異常な脈の早さを感じつつ、手を一色の下半身、太ももの付け根から尻のあたりに近づける。

「やっ…………あっ」

震える手を近づけてはいるがまだ触れてはいない。しかしそこに手が迫っていることを肌で感じ取った一色が喘ぎ、足を擦り合わせるように身じろぎした。

「お前さ、そんな反応してたらだな、喜んでるのかと勘違いされるぞ……」

「いや、これは勘違いでもなくて……あの、先輩。もっとキモくやってくれませんか」

「なんだよその要求は」

「いやだって、抵抗する気にならなくて……。んんっ」

一色は俺に背を向けたまま振り向き、火照った顔を俺に見せると切なそうに呟いた。

大変素晴らしいと思います

痴漢野郎は一体何木座なんだ…

痴漢「くっ……さあ、言われた通りやったぞ。はやく子供たちを解放するんだ!」モミモミ

ほら、しないといけない状況!

ヤバい。これは何かがヤバい。俺の脳が危険信号を送っているのはわかっているが、どうにも判断力が鈍りつつある。

「き、キモくってどうやればいいんだ」

「そうですねー、もっと大胆に、とか……ですか?」

「……大胆か」

基本的に俺は女子に何をしても何もしなくてもキモいと言われていたタチなので得意なはずなのだが、いざキモいことをしろと言われても非常に困る。手を握るとかはなんか違うし……。

迷った末、顔をさっきよりもう少し下、首もとや耳の裏あたりに近づけることにした。

柔らかく艶やかな髪を手で掻き分け、妙な色気の漂ううなじに鼻を接近させる。

「あ……」

だから変な声出すな。ていうか抵抗しろ。

そうか。こいつこんな反応しちゃうから痴漢なんぞに付け入られるんだな。

ということはだ。俺は心を鬼にして一色の本気の抵抗を引き出す必要があるってことだ。

こいつが本気で嫌がるところまでやるべく、俺のキモさを総動員するんだ。しかしキモさが必要になる場面がくるなんて思いもしなかった。

そう決意を固めると、おもいきって一色に体を寄せる。

「んんっ」

ほらほら、抵抗しないとどんどん調子に乗っちゃうぞ。あくまで俺じゃなくて痴漢が。

髪の間から覗く白いうなじに顔を押し当てると、脳が痺れるような甘さを感じ取った。ただの錯覚なのかもしれないが、これはきっと麻薬だ。男を惑わす女のフェロモン的なやつだ。

その芳しい匂いを嗅ぎながら手を動かし、スカートの上から太ももを撫でる。

「はーっ……はーっ……」

一色は両手で口を抑え、声が漏れないよう必死に耐えている。手をずらすように動かす度に反応し体を揺らす。俺も息が荒くなっているような気がする。

「……なんで耐えてんだ」

「んっ……。て、抵抗、しますから、もっと……」

また振り返り、そんなもんですか?みたいな挑発的な目線を送ってきた。上等だ。俺のキモさを見せてやる。

首元に押し付けた顔をずらし一色の耳元に寄せる。

「ひんっ……、せんぱ、息が……」

「……可愛いな、お前」

鼓膜に一番近い場所で気持ちの悪いことを囁き、そのまま耳たぶを舐める。

味は特にしなかったと思うが、いろいろ麻痺していてよくわからない。強いていえばほんのりしょっぱいだろうか。

まぁとにかくこれなら十分キメェだろ。さあ一色、抵抗しろ。

「ひゃあっ!せせ、先輩、何を……」

「想像してみろ」

慌ててはいるもののまだ逃げようとしない一色に伝え、今度は耳たぶを甘く噛む。

「はぅっ……」

一色は耳まで真っ赤にしてぷるぷると足を震えさせている。続けて彼女を抱きすくめるように後ろから両手を回し、お腹のあたりと太ももを擦ってやる。

「……っ!ちょっ、待ってくだ……」

一色はそこでようやく抵抗の意思を見せ身体を強張らせると、やんわり俺の手を掴み振り返った。

「はぁー、はぁー……。先輩、気持ちよくて練習にならないんですけど……」

「い、今のは抵抗じゃねぇのか」

「いえ、いきなりでビックリしただけで……。耳元で可愛いって囁きながら足撫でるとか、完璧に口説きにきてますよね」

「いや相当キモいと思うんだが……」

自分で引くぐらい相当アレな行動でしたけど。

「それがもう、後ろに立たれて密着された時点で気持ちよくて……。先輩、何考えてるんですか」

えっ。それ一番最初ですよね。

一色はそんな文句を言いながらも、顔は全然嫌そうではない。

「俺はなんで責められてるんだ……」

「え?攻めるのは先輩の役目ですよ?」

「もはや会話も成り立ってねぇな」

「どうでもいいですから……続き。もっとしてくれたら本気で抵抗するので……お願い、していいですか?」

そして彼女は紅潮した頬で、期待に満ちた目で俺を見上げ、先ほどと同じ姿勢となって俺に体を預ける。

あざといってなんなのかよくわからなくなってきたけど今の感想は、そう。可愛いだ。こいつすげぇ可愛い。

もっと触りたいという思いも当然なくはないが、それ以上にお願いされているということを免罪符にして、一色の別の反応を見たくなってきた。

「あ、あくまであれだ、練習……だからな」

「はい……。わかってます、から」

会話がなくなるとまたお互いに緊張の色が浮かび、もし誰かに見られたら言い訳のできない行為が再開された。




初めてからどのぐらいの時間が経っただろうか。窓の外からは朝練に励むサッカー部の連中の声が聞こえてくる。しかしこの部屋の中にある音といえば、艶の混ざり始めた生徒会長の息遣いだけだ。

おずおずと体を触れさせているだけだった当初とは違い、今では朝の東京メトロ東西線ばりの密着具合で、完全に抱きすくめるような姿勢である。

思いきってもっと触って、いやむしろ揉んでやろうかと何度も考えはしたものの、生粋の臆病さが災いしてそこまでの行為には及んでいなかった。

では何をしているかというと、背、腹、首、腕、脚といろいろな部位をほとんどくすぐっているかのような手つきで淡くさすっているだけである。

いやごめんねヘタレで。だが一色の反応は悪くない。悪くないというのがもうなんなのかよくわからないが、そもそも何をやっているのかだいぶよくわからない。

ぼんやりしてきた頭でスカートの中に手を入れ、しかし決して下着には触れないよう太ももの付け根からつーっと膝裏に向けて指でなぞると、目を閉じた一色が色めいた吐息を漏らした。

「はうっ……」

触れるか触れないかぐらいにしか触っていないはずなのに、何故かその柔らかさが伝わってくる。よく考えなくても今の俺は凄いことをしている気がする。

そう意識すると、聴覚からは一色の蕩けるような声が、視覚からは震えながら身悶えるその姿が、嗅覚からは女の子の甘い香りが。

あらゆる感覚が刺激となって俺の下半身に血液を集中し始めた。

彼女の尻の部分と膨張しつつある俺の下半身は密着したままだ。まずい。ヤバい。

「っ……!」

一色も下半身に触れている固い何かに気づいたのか、ピンと背筋を伸ばすような反応を見せた。

「せんぱ……な、なん、なんか……」

これ完全にバレてるな。どうする八幡。

どう言い訳をしようか考えていると、何を思ったのか一色が予想外の行動を起こした。

「…………ぁ……」

少しだけ尻を突き出すような格好になり、俺の元気になりつつあるあれに押し付けてきたのだ。

「ちょっ、まっ、おま、痴女じゃねぇかそれじゃ……」

「……も、ムリです……」

「あ?」

一色は俯き、蚊の鳴くような声でそう告げると突然振り返り、

「っ……!」

かちっと、一瞬だけ何かがぶつかる音が聞こえた。一色の顔が言葉通り目の前に、近すぎて全体像が見えないような距離にあった。

音の正体がなんなのかわからなかったが、あれは歯だ。歯のぶつかった音だ。

何故そんなものがぶつかるのか。それは、唇が触れ合っているからだ。

そしていつの間にか俺の頭は彼女の両手で挟まれており身動きが取れない。

「ふーっ……ふーっ……」

人は驚きすぎると何もできなくなると聞くが、今の俺はまさにその通りだった。頭はフリーズし、息をするのも忘れて目も開いたままだ。だから強く目を閉じ、鼻で荒い呼吸をする一色のことがよく見えた。

キスの味はぶっちゃけよくわからなかった。

…………ていうか、なげぇよ。このままだと息ができない。そう思い手を伸ばそうと思った瞬間、拘束が解かれゆっくりと顔が離れる。

「ぷあっ、お、ま、何を、……っ」

耳まで朱に染めた彼女は、悪戯っぽく人差し指を唇に当て、囁くような声で話す。

「えへへ……。キス、しちゃいました」

どくん。

「そ、それはわかるけど、なんでだよ、いきなり」

「もう我慢できなくなっちゃいまして……。ダメ、でしたか?」

「いやそういう問題じゃねぇだろ」

「じゃあ、わたしとするの。……イヤ、でしたか?」

ほんの少しだけ一色の眉が下がる。それだけで、俺の胸に掻き乱されるような何かが渦巻いた。

「え、と、嫌かと言われると、だな。お前は可愛いし別に嫌ではないというか、あれ何言ってんのかわかんなくなってきた」

煩い。心臓がうるさい。

あれ俺もしかして初キス?一色とが俺の初めてになるのか?

「じゃあ、先輩……。わたし、もう我慢したくないので、よかったら…………もっと、して……もらえますか?」

一色は蕩けた瞳で上目遣いを俺に向け、誘惑的に、蠱惑的に囁く。そのまま流れるような動作で生徒会長の机に腰掛け、のろのろと、ゆっくりと、つつっと。

ただでさえ短いスカートを、ギリギリ見えないところまでたくし上げた。

そんな彼女は、もう可愛い小悪魔には見えなかった。


* * *

ここで寸止め

またいつか

続きはよ

息子が風邪引く

夜は冷えるんだから早めに頼むよ

乙です

パンツ埋めた

完結しないうちから渋と同時に投下すんのやめろ

いいゾ~^これ

せめて他所にも掲載してるって書いてくれ

R18のシーンがないんですけど



初対面で一色に抱いた感情は概ね間違っていなかったが、分析はだいたい間違っていたらしい。

こいつは思ったよりもいい加減な奴じゃないし、ジャグラーばりに男を弄び取っ替え引っ替えするような奴じゃないのかもしれない。ましてや誰かの劣化版とか模倣なんかではあり得ない。

他の誰に負けるとも劣らない魅力を持ったこの少女は、一色いろはだ。そうとしか言えない。

そして正しかった、彼女に抱いた最初の感情。

この子は危険だ。これはやはり間違ってはいなかった。

こんなことをされて、俺が惹かれないわけがないことを俺は知っていたから。

「み、見えるだろ」

「見せてるんです」

「……まだ見えてねぇんだけど」

「……見たい、ですか?」

自分の目線が一色の下半身のある一点に注がれているのを自覚する。焦点の周囲には真っ白く柔らかそうな太ももがあり、もう少しだけスカートが持ち上がれば秘所を覆う薄布が現れるその場所を凝視する。

「そ、そんなに見られると恥ずかしいんですけど……」

「見せたいのか見せたくないのかどっちなんだ……」

「…………。先輩、こっち、きて」

下を向く彼女に戸惑いながらも歩み寄った。

目の前に立つと、顔を上げた一色が手を伸ばした。俺の首に両手を回し、俺を前屈みにさせるとおでこ同士をぶつけ合う。ちょうど熱を計るような格好だ。

「な、なな、何、なんなの」

「ここから先は、もう戻れません。戻してあげるつもりはないです。先輩は、そのつもりがありますか?」

声とともに、生温い吐息が鼻先に届いた。その声はこれまでとは違う、落ち着いた口調だった。

「逆に言うと、ここまでならまだ戻れます。もともとわたしが無理矢理、みたいなものですし、一人で盛り上がってるだけですから……」

そこまで言うと、一色は小さな笑みを溢した。

その笑顔は俺の知る彼女のものではなく、俺の体のどこかに鈍く食い込んだ。

言葉尻に向かってか細くなっていく声。情けなく下がった眉。うっすら涙の滲んだ揺れる瞳。

あんな悪魔的な誘惑をされてすぐ、こんなにか弱い少女の姿を見せられると、俺は。

「……俺で、いいのか」

「先輩が、いいんです」

つもり。その、つもり。

これから先は一色と。どこまで続くか定かではなくとも、ここからの未来を彼女と。

「……野暮だと思うけど、葉山は」

「……もちろん、素敵な人だと思います。それは今でも。けど、だんだん、ちょっとずつですけど変わってましたよ」

「いつからだ?」

「やっぱり、あれを聞いた日から、ですかね」

彼女の両手は俺の首に絡み付いたまま。

「そうか。……俺、鈍感?」

「それは自分でわかってるんじゃないですか?」

「……だな。悪かった」

「いえ。でも、わたしもなかなかこう素直には……」

「だよな。でもそれもわかるよ」

額をくっつけ合ったまま。

「先輩は、いつからなんです?」

「気付いたのは今さっき。でもな、思えばもっと前からだった気もする」

「…………嬉しい。です」

そこで一色に笑顔が戻った。途端、鈍い痛みが嘘のように雲散霧消していった。

あー、俺もうこいつにだいぶやられてんな。

「念のため言っとく。今の俺おかしくなってるから、ただの一時の衝動かもしれねぇぞ」

俺の言い訳に対し一色はゆっくりと首を振る。

「大丈夫ですよ。だって、先輩は痴漢なんか理解できないぐらい理性的なんですから」

実に生意気で挑発的な、とても彼女らしい、俺の好きな笑顔がまた見られた。

「……バカ言え」

俺の理性はもうとっくに殺されてるよ。

今度は俺から顔を傾け、唇を重ねた。

「…………はっ……ちゅむ……」

唇を押し付け合っているだけだった先ほどとは違う、情欲にまみれた口づけ。

ほんの少しだけ顔をずらし、互いに唇を甘く噛む。やがて口内に俺以外のものが侵入してきた。

「……ちゅっ……れろ…………」

二人の唾液が混ざり合い、未知の味と感覚が広がる。頭がくらくらするような、女の子の匂い。

「……はぁー……せんぱい……。こっちも……」

一色はキスをしたまま器用に言葉を発し、俺の右手を取る。その手に導かれて辿り着いたのは、スカートの中。

いいんだな、と再度目で確認する。

その返事は言葉でも首肯でもなかった。彼女は強く目を閉じ、蛇のように蠢く舌が俺の歯の裏側を這う。それが答えだった。

激しく脈打つ鼓動を感じながら、震える手でその中央部のさらに奥を目指す。

「……はっ……はぁっ……」

緊張で集中できなくなったのかどちらからともなく唇を離すと、一色の伸びた舌から一筋の糸が垂れた。その淫靡な光景は俺の行動を加速させる。

思いきって指を伸ばすと、ふにっとした感触があった。布の向こうの柔らかさと、これは、なんだ。湿り気を感じるような……。

「あっ……んっ!」

「こ、これって、濡れて、る?」

「…………。えっ!ウソっ!?」

一色は大いに慌て顔を赤く染めると、確認のためスカートをおもいっきり捲り上げて股を開いた。M字開脚の格好だ。

白の下地に桃色の刺繍が彩られた可愛くも清楚らしい下着の、股間部分に丸く広がる卑猥な染みを自分の目で確認している。

「う、ぁ、なに、これ……」

それはこっちの台詞である。自分で気付かないものなんだろうか、俺にはよくわからないが。

俺も当然そこを見ている。ていうかガン見。たぶん今の俺、目力三倍くらい。あと血走ってる、絶対。

やがて、おそらく間抜けな面で目からビームが出そうなほど凝視している俺に一色が気づく。

「あ、わぁっ、ダメっ、見ないで…………恥ずかしい……」

スカートを下ろし股を閉じると、裾を強く握ったまま耳まで真っ赤にしてぶるぷると震え始めた。

なんだそれは。俺を萌え殺す気かこいつ。

「さっき見せようとしてたくせに」

「だ、だって、気づかなくて……。一人でしててもこんなに濡れることなんてないのに……」

おい、それ言ってもいいのか。こいつもうわけわかんなくなってるだろ。

「え、ひ、ひとりで、してんの?」

「え、あっ、う、あ……はい……」

「……えーと。あれだな、なんか、可愛い下着穿いてるんだな」

一色が密かに自らを慰めているという事実を知り、同じくわけがわからなくなってきた俺は全然関係ない感想を口走ってしまう。

それを聞くと一色は、耳から煙が出てきそうで心配になるほどに顔を赤らめ身悶える。ていうかちょっと泣いてる。

「こ、こんな恥辱を受けるなんて思いませんでした……」

「お前の恥ずかしがるポイントがよくわからねぇ……」

「それは、あれですよ。イメージ的には小悪魔で、こう、あくまでスマートに誘惑したかったんですよぅ……。こんなに、ぬ、濡れてたらなんか、超期待してるみたいで……わたしもうダメです……」

知らず、淫らな液体を溢れさせ染みを作っていたことが堪え難い恥辱らしい。一色が顔を両手で覆った。

「えー、なんつーの?ほら。その、いらんこと考えんな。つか、素の今のお前のほうが可愛い。ヤバいから」

「え、ほんと、ですか?こんなに、あの、いやらしい子で、引いたりしてないですか……?」

彼女は横目でちらと視線を向け、不安げな表情でおずおずと尋ねる。

「引くわけねぇだろ。男は大抵、というか俺はそっちのが好きだ……と思う」

「…………じゃあ、今さらですけど、先輩。鍵……かけてもらえますか?」

その発言は、ここで行為を終わらせず、まだ続けるという意思表示をしたのと同じだった。

「お、おお」

鍵を掛けるのは当然の流れだった。素直に従い生徒会室を密室に変えると、一色の正面に向き直る。

これからすることを考えると、自然と顔が熱くなった。あと他にもいろいろ熱い。抑えきれない。

「あの、俺、何もかも初めてでうまくやれねぇかもだけど……痛くしたりとか絶対に嫌だから、ちゃんと言ってくれな」

今の俺に残った理性で言えるのはこのぐらいだった。

欲望の赴くまま一色の躯を弄んでしまえば、スキルもテクニックも0の俺は彼女を間違いなく傷つけてしまうだろう。それは絶対に避けねばならない。

ただ、もしそうなっても一色は俺を許すのかもしれない。いや、一色は間違いなく気にしないでほしいと言うはずだ。

情の深さを確かめるための折角の行為を台無しにされても、なお。だがそんなことになれば、今後の俺が自己嫌悪と罪悪感、それと恐怖で尻込みして動けなくなることは目に見えている。だから、俺は。

そんなくだらないマイナス思考に陥る馬鹿な俺を掬い上げたのは、目の前にいる年下の少女の柔らかい微笑み。

「……はい。でも、わたしは心配してません。さっきの先輩の触り方、スゴく優しくて、あったかくて……。わたし、何されても気持ちよくなっちゃいそうです、だから……」

彼女の口から紡がれる甘い旋律が途切れたタイミングで一色の表情が女の子に変わり、心臓が跳ねた。

「……好きに、いっぱい触ってください」

世界にはこんなにも甘美な囁きが存在するのか。こんなにも男の衝動を誘う、魅力的な女の子が存在するのか。

頭は呆然としてしまうほどの衝撃を受けているが、俺の体は意思とは無関係に動いていた。一色の腰を抱き、また、今度は荒く口づけを交わす。

「馬鹿だろ、お前。可愛すぎだ……」

「……っ……せんぱっ……」

キスをしたまま、閉じられた脚の間に手を入れる。それだけで一色が、んっと吐息を漏らした。俺はそのまま蒸れて少し汗ばんだ太ももを、あくまで優しく撫で回す。

「ん~……なんでこれだけでこんな気持ちいいんですかね……」

「し、知るかそんなの。…………あの、聞いてもいいか?」

「なんですか?」

「こんなの考えたくもねぇんだけどさ……。こういうこと、慣れてたり、する?」

超がつくほどの至近距離で、柔肌を撫でながらぶつけるのは醜い独占欲にまみれた質問。

慣れているのか。そんな曖昧な聞き方をしてはいるが、気にしているのはこいつがその経験を既に済ませているのかどうかに他ならない。

傍にいてくれる女性に処女性を求めるなど愚かなことだとわかってはいる。いるのだが、そうではないとしたら、その背後に見えてくる過去の男を想像し、嫉妬し、憎んでしまいそうな自分も確実にいる。

わかってるよ、格好悪いことだって。わかってるのに一度頭を過ってしまうと止めることはできなかった。

けれど考えれば考えるほど、その質問をしたことを後悔し始めた。

こいつが処女ではないとしたらなんなんだ。そうじゃなかったらこいつに失望するのか。初めてを共有するということがそんなに大事か。そうじゃなかったら、今こうして信頼しきって身を委ねる一色を穢れたものとして見るのか。

そんなわけ、ないよな。

質問を取り消すべく顔を上げると、そこにあったのはきょとんとした一色の顔だった。

「……なんだよ」

「いや、意外で……。先輩もヤキモチ妬いたりするんですね」

「や、妬いてねぇよ」

「嘘ですよ。さっき質問するとき、凄い拗ねた顔してましたもん」

んぐっと息が詰まった。

「……そうだよ、悪かったな。所詮俺なんて……」

くだらない俺の自虐を遮ったのは、恥じらうような一色の声。

「安心してください、先輩。わたし、こういうの、初めてですから……。ていうかキスも、そうですよ」

知らず、告白するその顔に見惚れてしまった。

だが我を取り戻すのも早かった。俺を喜ばせようとしているのかもしれないが、それでも騙されたくはない。優しい嘘より、厳しい現実。目を逸らすことなくそれも全部受け入れ、その上でお前と歩んでいきたいんだ、俺は。

「う、嘘だろ。だってお前、いいなと思ったらとりあえず手を出すとか言ってたじゃねぇか」

「んー、やっぱそう思われちゃいますよね……。でも、わたしの反応って慣れてる感じでしたか?」

「……いや、そんな風には見えなかった、かな」

「だって初めてですもん。というかー、先輩こそ女の子の触り方慣れてません?」

「なっ、馬鹿か、俺にそんな経験あるわけねぇだろ」

と言いながらも俺の右手は一色の股にある。現在進行形で経験中だった。

「どーだかー。先輩、昔になんかあった子がいるみたいですしー」

唇を尖らせあからさまに拗ねた口調だが、そんな一色も可愛くて仕方ないのでもう俺は駄目ですね。

「折本のこと言ってんのか……。心配いらねぇよあれは。俺が一方的に告白して振られただけだ。恋人どころか友達にもなってねぇ」

「ですよねー、そのぐらいじゃないかと思ってました」

「このやろ……。にしても、すげぇ意外だな」

「意外?」

「おお。その、お前がキスすらしたことないとか。俺はてっきり……」

素直な感想を述べると、一色はとびきり得意気な笑顔を浮かべ口を開く。

「やだなぁ先輩。わたしがそんな大事な初めてを安売りするわけないじゃないですか。……今のために、取っておいたんです」

その言葉を聞き、おもわず呆れたような笑いが漏れた。

「な、なんですか」

「やっぱあれだな、お前。あざといよ」

「ど、どうせわたしはそんな風にしかできませんよぅ……」

「いや、いんだよそれで。あざといのもそうじゃないのも、俺にとっちゃどっちも可愛くて仕方ねぇ」

「え、今凄い嬉しいこと言ってくれました……よね?」

「……うるせぇ」

恥ずかしいことを口走ってしまったのもあるがそれよりも、太ももを撫でているだけでは我慢ができなくなっていた。もっと奥に触れたい、近づきたい。

もう言葉はいらない。その意思を込め、唇を塞ぐ。

「……ん…………」

気持ちを確かめ合うように、啄むようなキスを繰り返す。今日だけで何度唇を重ねただろう。そして、その行為を繰り返したまま右手は奥を目指して動く。

下着の縁をなぞるように指を這わせる。反対側の脚へ向かうため中央の丘を越えたところで、一色の躯がぴくんと跳ねた。そこは先ほどよりもさらに湿り気を増しているようだった。

「はっ……んっ…………」

濡れている箇所を押し込むように力を込めると、ぴちゃりと粘っこい水音が聞こえた。

「せんぱい、下着、脱がせて、ください……。びしょびしょになっちゃう……」

「もうだいぶなってるけどな……」

軽口を叩きながら頷く。そうでもしていないと興奮で頭がどうにかなってしまいそうだ。というか俺のほうがだいぶヤバいのは絶対に内緒だ。

長く勃起状態を保ったままキスやらを繰り返していたせいで、先走りの透明なやつが垂れ放題、一色どころじゃないレベルでパンツの中びしょびしょなんだけどどうしてくれんの。

「はうぅ……」

仰せの通り下着を脱がすべく、両手をスカートの中に突っ込むと一色が変な声を漏らした。

腰の辺りにある下着の細くなっている部分を掴むと、一色が俺の肩に手を置いて尻を少し浮かせた。そのタイミングで最後の薄布をずり下げる。

膝まで降ろしたところで、下着から脚を通すために一色が片足を上げて膝を曲げた。

捲りあがったスカートの奥、脚の間。そこに何かが見えた。

「あ、あんまりじろじろ見ないでください……」

「…………ん、あ、おぅ……」

初めて生で見た、年頃の女性の秘部。

ちらっと、一瞬だけだったのにその破壊力は凄まじかった。ここが学校の一室であるということも興奮に拍車をかけた。アレにも一層の力がみなぎり、もはや隠すことのできない膨らみを作り出す。幸い一色にも余裕はないようで気付かれてはいないようだが。

「先輩も、興奮してるんですね」

とっくにバレてた。

「あ、当たり前だろ」

「……嬉しい、ですけど。やっぱり照れちゃいますね」

下着を片足に引っ掛けたまま、一色が体育座りの姿勢になり俺の顔を抱き寄せる。

「……見ちゃ駄目?」

「はい……それはもう少し先で……。今は、キスしながらがいいです」

姫のご所望とあらば仕方がない。俺超キモい。見たくてたまらないのに俺の紳士さがそうさせてくれない。いや臆病なだけでした。

覆い被さるように唇を押し付け、遠慮なく舌を伸ばす。だが俺の意識の大半は右手に向けられていた。

「ふぁっ……あっ!」

お腹のあたりから手を下に動かし、薄く生えた陰毛を抜けそこに触れると、ねちゃりとした粘液が指にまとわりついた。

柔らかい。いやらしい。温かい。エロい。エロい。

「す、げ……。さっきより濡れてるぞ」

「はっ……んんっ、言わないで、くださいよぅ……」

さて、ここからどうすればいいんだ。にちゃにちゃと水音を立て、おそらく膣口のあたりを弄ってはいるが、快感を与えるには何が効果的なんだ。

考えろ。これまでに得た知識(AVとエロ漫画とエロゲー)を総動員するんだ。

その結果、一人の童貞が辿り着いた答えはクリトリスを刺激するというものだった。

膣で感じることができるようになるにはある程度の経験が必要、というものを何処かで読んだことがある。初心者は陰核。おっと名言キタコレ。きっと一色も一人でしている時は……よし、確認だ。

「なぁ、お前、あれ、あれですよ。……お、オナニーするときってどうしてんの」

「な、なななんで、そんなの聞くんですか……。わたしを辱しめて楽しんでるんですか?」

「いや、あの…………参考に。どうすればいいのかわかんねぇんだよ……」

俺の困った表情で察したのか、一色は目を伏せて小声で呟いた。

「…………リ、いじってます……」

「き、聞こえなかった」

聞こえなくてもわかったが、あえて聞こえない振りをしておいた。

「……く、クリを……いじってるんですよ!悪いですか!」

何故か怒りをぶつけられた。けど俺はどちらかというと大満足。

「よし、わかった」

指にたっぷりと愛液を絡め、陰唇をなぞり上を目指す。やがて感触の少し違う突起、というにはあまりに小さいそれに指が触れたと思われる、その瞬間。

「ひゃあんっ!」

一色が悲鳴にも近い嬌声を上げ、俺の胸元をぎゅっと握りしがみついた。

「す、すまん!大丈夫か、痛かったか!?」

そんなつもりはなかったが、これでも強く触りすぎたのかと不安になり慌てて話しかけると。

「……はっ……はっ……。大丈夫です、ビックリしただけです、けど、あの、なんなんですかこれ……」

とろんとした目を俺に向けながら、息も絶え絶えに言葉を絞り出した。

こうかはばつぐんだ!どうやら俺にとっても一色にとっても。

「なんなんですかと言われてもだな……。続けて、いいのか?」

「はぃ、お願い、します……っ……」

こいつ感じすぎじゃねぇの……。少しだけ不安な気持ちになりながらも、ぎこちない初めての愛撫を再開した。


* * *

思ったより長くなったのでここまで

次で変態行為がさくれつして終わりです
またそのうち

乙です

ずっと脱いでるから早くしろ!

素晴らしいの一言につきる

また気が向いたら書いてくれ

すまん上げてしまった
なんでさがになったんだ?ほんとすまん

パンツ弾け飛んだ

はよ

パンツ燃やした

はよ

はよはよ

はよはよはよ



生徒会室に似つかわしくない、異彩を放つ音と声が断続的に部屋に響く。

声の主は生徒会長。主に「あ」とか「ん」とかだけで構成された、言葉とは呼べない悦楽の喘ぎ。

音の正体はいろいろだが、どれも淫靡な響きを漂わせる。水溜まりで跳ねて遊んでいるようなもの。吸盤が吸い付き離れるようなもの。

それは部屋にいる二人が互いに舌を絡めさせるものであったり、少女が男の首筋に吸い付き離れるものであったり、男の手が少女の股間をまさぐるものであったり。



愛撫が始まって暫くの時間が経過した。

最初は驚くほどにぎこちなく、恐る恐る触っていた俺の手も勢いを増し、さまざまな動きで一色に快楽のようなものを与えていた。

「あっ……んっ……んっ」

「まだ、いけるか?」

「は、い。平気、ですから、もっと……」

一色は蕩けきった目で懇願するように頷く。

もっと。

それは俺のしている行為が、少なくとも嫌悪されてはいないと認識してもよさそうな言葉に思える。が、正直なところ"これで問題ない"という感覚が一切わからないので盲目的に信じたいものを信じようとしているだけとも言えた。

それでも、俺はもう衝動を抑えようという気にはなれなかった。手で、口で、俺の持ち得るもので、目の前の愛しい少女に快楽を与えられているなら、その喜びは何物にも変えがたかった。

「あっ、あっ、あぁ……」

挿れたまま折り曲げていた中指を浅いところまで引き抜くと、これまでと違う感触があったのか一色が別の反応を見せた。

この行為の延長線上にある、行き着く先であるところのオーガズム。そこに至らせたい。有り体に言うと俺の手でイカせたい。何に基づく欲望なのかは自分でもよくわからないが、今は俺が射精したいよりもそちらのほうが強い。

「痛かったらすぐ言えよ」

「う、ん……」

一色はもう普段の敬語も忘れ、頷く。あとになって気づき、はいと言い直したがその余裕のない姿がまたいとおしい。

期待に応え、膣に挿入する指を一本増やすべく人指し指を伸ばす。

「……っ……!」

人指し指と中指の二本は、愛液にまみれた膣を押し広げるように少しずつ呑み込まれていく。

「痛く、ないか?」

「はい……へ、平気です、たぶん……」

たぶん、の原因は圧迫感だろうか。そう推測した。

最初は一本がギリギリじゃないのかと思わせた入り口は長時間続けた愛撫で次第にほぐれ、二本目を挿入するに至ったのだが、奥はぎゅっと指を締め付けるように収縮していた。

激しい出し入れは自重し、指を曲げて腹側を押すように力を込める。

「はんっ……それ、気持ちい……かもです、先輩……」

弱々しい口調ではあるが、気持ちいいと告げられたことに安堵する。

一色は序盤こそ力を込めて俺にしがみついていたが、今や完全に脱力して俺の胸にもたれかかり愉悦を享受している。

「……イけそう?」

「わ、わかんないです……。でも、さっきからイってるのかも、はっ……んっ……」

エロ漫画とかでよく見る、軽くイク、というやつなのだろうか。男である俺にはその軽くという感覚はさっぱりわからない。俺には出るか出ないかの二つしかないからな。

大きい抜き差しはせず腰を持ち上げるようにぐっと力を入れると、面白いように一色の躯が反応し膣に入ったモノを締め上げる。

同時に分泌される淫らな液体は止まることなく、ぐちょぐちょと卑猥な音を立てて俺とその本人に快感の深さを知らせてくれていた。

俺は立ったままなのでこの角度からではよく見えないが、溢れ出る液によって掌のあたりまでぐしょぐしょになっているのがわかった。感じてくれているという実感が少しだけ増し、それを伝えたくて、俺の意思でまた唇を重ねた。

「はぁっ……一色、舌出して」

「はぃ……せんぱい、きもちイ……あむっ……」

一色の口からだらしなく伸びた舌を、呑み込むように口に収める。唾液すらいとおしくて甘く感じ、俺の脳に性的興奮の入り交じった蕩けるような幸福感をもたらす。

舌を唇で挟んでやると、俺の舌に絡むように、唾液の交換を進んで行うかのように一色のそれが蠢いた。

「ちゅっ……はっ……れろ……んっ……はんっ」

一色の瞳は長いこと潤んだままだが、だんだんと焦点が合わなくなってきているような気がする。虚ろになっているというよりぽーっとしているというのが正しいか。

「……やっ……っ……ぁっ……!」

やがて、あれだけ激しく動いていた一色の舌が動かなくなり、体からも力が抜け俺になされるがままの状態になった。

これは、あれか。もしかして結構近いのか。でももし一色がこのままイッたとしても、俺にはそれがいまいちわからない気がする。

男のオーガズムは実に単純明快で見た目にもわかりやすい。女の側からするとイカせたかどうかわからないなんてこともないだろう。

だが女のオーガズムのわかりにくさったらなんなのこれは。男に不親切すぎる設計じゃありませんかね。

もうちょっと、こう、なんかあるだろ。例えばイったら乳首が光るとか。そういうわかりやすくする優しさが欲しいよね。いや乳首が光る女とかちょっとキモいな。

とまあこんな馬鹿なことを考えられるぐらいには慣れたところで、一色の様子にわかりやすい変化が起こった。

「……っ……っ!」

あれだけ喘いでいた声が出なくなっていた。口は半開きのまま閉じられることなく、はっはっと荒い息を小刻みに吐き出している。

「……大丈夫、なのか?」

少しだけ心配になり声をかけてみたものの、

「……わ、わかんな……もう、よく……。なんか、くる、かも……」

青息吐息の返事しか返ってこなかった。

だが、これはたぶんあれだ。そう感じ取った俺は、焦るなと自分に言い聞かせてから再度力を込め、腕の動きを少し激しくした。じゅぷじゅぷと水音がより大きくなり、生徒会室をより淫靡なものにする。

不規則な動きを混ぜ膣内の上部を押し擦ると、目に見えて快感の色が増した。

「っ…………ぁっ……!」

一色が目をぎゅっと閉じ、衝撃に耐えるかのように俺の胸にしがみつく。

ここだ。最初に触れた時の反応が大き過ぎて尻込みしてしまい、あまり触れないようにしてきた。だが今なら。

満を持して、人指し指と中指で膣を押しながら、親指で左右に擦るように陰核を刺激する。

「いっ……!あっ……せんっ……!」

一色の躯が跳ねるように痙攣した。膣は俺の指をもぎ取るかのような強さで締め上げる。

二度。三度と震えが、膣の収縮が伝わり、やがて俺のシャツのボタンが取れるんじゃないかと思うほどに握り締められた彼女の手から力が抜けた。

そこで指を引き抜くと、

「ぁっ、うッ……!」

ぴゅっと。何かしらの液体が陰部から飛び出るように噴き出し、俺のブレザーの袖を濡らした。

「……え、これって」

潮吹きとかいうやつ?え?そんなん現実に存在するの?

「はっ……わかんな……です、そんな……」

聞いてはみたが一色は息も絶え絶えといった具合で、自分の身に何が起こっているか把握できているかも怪しかった。

「俺もよくわかんねぇんだけど……イケた?」

「わたしも、はぁっ、わかん、ない……です……。はぁっ……けど、たぶん……。せんぱい……」

一色は俺の胸の内で顔を上げ、目を閉じ、催促する。俺も無言でそれに応える。

「……はっ……んむぅ……」

その余韻に浸るための、甘くねちっこい口づけはこれまでで一番長かった。


* * *


「っはぁ……」

唇を離しはしたものの一色の顔はまだ赤らんでいて、いつもの様子とはとても言えない。もしかしてまだ足りてないんでしょうか……。

ふと、先ほど腕にかかった液体が気になり、袖を顔に近づけてみた。匂いは……特にしないな。

「あ、う……。先輩、もしかして汚しちゃいましたか……?」

一色はとても申し訳なさげに、とても恥ずかしそうに伏し目がちに俺に尋ねる。

「あ、いやいいよ、大したことないから気にすんな。つか、これな、もしかして潮ってやつなの?」

「い、いやそんなこと訊かれても、わかんないです……。こんなの初めてなんですから……」

「一人でしてるときとは違う?」

「は、はいもう全然。さっきは頭が真っ白になって、痺れるみたいになって……。これがイクってことなんでしょうか……」

「さ、さぁ。俺にはわかんねぇけど、その。……痛くなかったか?」

「……はい。先輩、たぶんですけど、超上手いです。超気持ちよかった……です」

俺自身もどうにも恥ずかしく、直接的な言葉で聞きたいことを聞けずにいた。だが、それでも一色の優しさと気遣いはちゃんと伝わった。

嬉しい。どうしようもなく。彼女をきちんと悦ばせることができたことが。

「えと、なんて言うかですね……。わ、わたし、今頭がぽーっとして、ふわふわして、スゴい幸せです。ありがとうございました」

俺に身を寄せたまま上目遣いで柔らかく微笑む一色は、これまでのどの笑顔よりあざとくなく、けれども悪魔的に可愛かった。

「……そうか。でも、礼を言われるのもなんだかな」

「で、ですね。わたしも頑張ります」

言うと、何を思ったのか一色は俺の膨らんだ股間に手を伸ばす。

「おい、何してんだ」

「え、なにって……。次はわたしが気持ちよくする番ですよね?」

どくんと心臓が跳ね、同時にちらと壁掛け時計に目をやってしまった。始業までの時間はあるが、ここでそれをしてもらうさすがに抵抗がある。行為自体への抵抗ではなく、ここで逸物を丸出しにしてしまうことに。

「い、いや、今日はいいよもう。そろそろみんな登校してくるかもだし。それにここで丸出しにすんのも……」

「えー。わたしにここまでやっておいてですか?」

「お前はその、あれだよ。スカートだから隠そうと思えばすぐ隠せるだろ」

「パンツ脚にかかったままなんで無理ですよ……。ていうか、鍵掛けてるんだから大丈夫ですって」

一色は譲らない。だが、ええと……。そうだ、そう。心の準備ができてない。あと時間に余裕があってリラックスできる状況じゃないと最悪最後までイケない可能性がある。それはもちろん俺もだが、一色がきっと辛いのではないか。

俺が葛藤もとい逡巡を重ねていると、一色はさらに重い爆弾を投下する。

「……なんですか?わたしの手とか口じゃなくて、こっちで、したいってこと、ですか?」

彼女は恥ずかしそうに手を自らの股間に持っていく。その緩やかな動きはとても艶かしく、とても処女である女性のものとは思えなかった。

「……む、無理」

「なんですか無理って……。わたし、覚悟ならもうできてます」

「いや、ゴムねぇし」

「あー……。で、でも最初ですし、なくても、わたしは……」

やめろ。上目遣いでそんな顔でそんなこと言うのはやめろ。俺にも限界があるんだぞ。

「……駄目だ。俺はお前とこれからもやってくつもりなんだからそんな無責任なことはできない。万が一でも、もし、その、あれだ。妊娠とかってなったらお前の人生に影響するかもしれねぇし」

これもまごうことなき俺の本音だ。俺の一時の衝動で彼女の人生を狂わせるなんてことがあってはならない。たとえ彼女が望んだとしても、俺が自信をもって責任を取れるという年齢になるまでは。

「……先輩って変なとこ真面目ですよね」

「悪いかよ」

「いえ。そんな人を好きになれて、よかったです。ナマでしたいなっていうのもほんとなんですけどね」

「……そうか」

ちょくちょく挟まれる刺激的な単語に脳が反応し、類稀なる妄想力が発揮されている。その結果勃起はちっとも収まらず、まともなことを言ってもカッコ悪いことこの上ないことには目を瞑ろう。

「でもー、先輩こんなになってるし、わたしもされっぱなしじゃなくてお返ししたいです。何かしてほしいこと、ないですか?」

「今は、そうだな……」

言われ、体をくっ付け合ったまましばし思案する。一色の手が俺の股間をつんつんつついていて性衝動が今にも破裂しそうだが。

「……してほしいことではないけど。見たい。もっかい、さっきの」

衝動が別の形で爆発した。

「えっ、あっ、ちょっ」

俺に寄り掛かっていた体を優しく離すと、移動して一色の脚の間に屈み込む。

「やっ、ヤダっ、見ないで、ください……」

一色は脚を開いたまま、両手で股間を覆った。

「手、どけて」

「あ、う、はい……」

俺の端的な言葉に従い、股間にあった両手を移動させそのまま顔を覆う。恥ずかしいらしいが、そりゃそうか。

俺の性衝動の発散と直接は結び付かないが、こういう形で理性が弾けてしまった。もっと彼女を悦ばせたい。もっと乱れた姿を見たい。

「……っ……」

はっきりと目の前にある愛液に濡れた一色の秘部に、おもわず息を呑んだ。

恥丘に生えた薄目の陰毛も湿り気を帯び、ぬらぬらと光る陰唇も、ぷっくりと主張する陰核も、全てが艶かしく俺を興奮に誘う。

「いあっ!やっ、恥ずか……んんっ!」

気がつくと、誘われるままに股間に顔を埋めていた。

むわぁっと雌の香りが漂っているような気がしてきて頭がクラクラする。衝動のままに陰核を舌で転がす。

「あっ!んっ!せんぱい、なにっ……」

一色は何をされているのかよくわからないまま快感に打ち震える。

「……痛かったら言えよ」

「痛くないです……けど、よすぎて、変になりそ……ぁっ!」

なんとも言えない芳しい香りの中、夢中になって吸ったり舐めたり、欲望のまま一色の股間を貪る。

膣周辺の溢れる愛液を舐めとり、膣内に舌を伸ばし、空いた手で柔らかい太股をぐにぐにと擦る。その度に一色は口を押さえて喘ぎを漏らす。

ヤバい。これ超楽しい。楽しいというか、嬉しい。

「ふぁっ、はっ、んっ……なんか、クる、かも……」

思い付くことは一通り試してみたが、舌での刺激が効果的な部位はやはり陰核のようだ。特に上下左右に弾くようにするのがお気に入りらしい。

鼻に陰毛を押し付け、舌先でちろちろと突起を弾く。それを続けていると、いつの間にか膣から大量の透明な液体が溢れ流れ落ち、一色の菊門までを濡らしていた。

一色はビクン、ビクンと背中を仰け反らせ快感に身を捩る。そんな彼女を見るのが嬉しくてたまらない。だから、もっと。もっとだ。

「ぁぐっ!」

舌での動きを止めぬまま、溢れた液体を菊門から指で掬い取り、膣に挿入する。

俺の舌と指が同時に動けているのかよくわからないが、先ほどの要領で膣にも刺激を加え始めると、一色の喘ぎがまた鳴りを潜め始めた。

「はっ、はっ、はっ……」

口を覆う手の隙間から荒い吐息だけが漏れている。この反応は先ほどもあったものだ。ということは、天井が近いのかもしれない。

舌を指を懸命に動かし、童貞の持ちうる知識を総動員して一色を攻める。

「んっ!あっ、なんっ、か、ヤバ……ヤバいですっ……」

ここでのヤバいは激しいオーガズムの到来を指し示しているのだと判断し、愛撫を継続した。

結果から言うと、すぐあとに訪れた悲劇の原因はこの誤った判断だったが、このときの俺は知る由もなかった。

「せんぱっ、はぁっ……やばっ、ほんと、ヤバくてっ!」

軽く出し入れをしながら指の曲げ伸ばしを続けると、じゅっじゅぶっという卑猥な音が大きさを増した。これは濡れすぎとかそんなもんじゃなくて、もっと違うもののような……。

見れば、膣口の上にある小さな穴がひくひくと、俺の指の動きに合わせて閉じたり開いたりを繰り返している。そしてそこから、さらさらとした液体がちょろちょろと漏れ出ていた。

「やぁっ、ほんっ、せんぱっ……イっ!……でっ!」

で?

言っていることのわからないまま、舌でぐりっと陰核を押す。

「ぅあっ、ぐっッ!?」

一色は激しく背を仰け反らせ、同時に、ぴゅぴゅっと。透明なものが穴から吹き出し、俺の顔を濡らした。

それに驚き、ここですぐ指を引き抜いたのもよくなかった。

「いっ、今ぬいたらっ、あっ……!」

一瞬のことだった。

指を抜いてなおぱくぱくと開く膣口の上。尿道から出たそれは瞬間の放出ではなく、最初は弱く、だんだん強くじょろっと出始め、明らかに先ほどのものとは違っていた。そう判断した。

このままでは床もしくは俺の制服が危ない。

咄嗟のことで考える暇はなく、俺のとった行動は。

「あっ、あぁー……」

直飲み。

尿道に口を付け、出てくるものを溢さぬようとにかく一心不乱にいろはのいろはすを直飲みした。

「……うっ、ぅぁ……ぁぁ……」

一色の泣きそうな声が聞こえた。

ここは学校。生徒会室。

もうじき生徒達も続々と登校をしてくる時刻だ。


* * *



すんすんと一色のすすり泣くような音だけが聞こえる。

その行動が正しかったかはともかくとして、床や俺の制服は濡らさずに済んだことにほっとしたものの、目の前の彼女は哀しみに暮れている。

ちなみに味は……苦かった、かな。いやどうでもいいなそんなこと。何か声を掛けねば。

「……あー、なんつーか……すまん」

この期に及んで収まらない怒張が情けなくて仕方ないが、とりあえず謝らないと。とんでもないことをしでかしてしまった俺が悪いに決まってる。調子に乗った結果、まさかあんなことになるとは夢にも思わなかった。

「……すん……くすん……」

一色は目を擦りながら体を起こすと、無言のまま鞄からティッシュを取り出して股間を拭いた。

そのティッシュをビニール袋に入れると口を閉め、下着を穿く。

何も言ってくれないというのが非常に怖い。

「なぁ、悪かったよ……。お詫び、なんでもするからさ」

一色は俺に潤んだ瞳をちらと向けると、鞄を持ち鍵の掛かった扉に向かう。

「お、おい。無視しないでくれよ、どこ行くんだ」

「……帰ります」

普段の調子からは考えられないほど低い声が背中越しに飛んできた。どうしよう。

「帰るって……。帰ってどうすんだ」

「……死にたいです」

「えっ」

嘘、何言って……えっ!?

「ちょっ、待てっ」

慌てて一色に近寄り肩を掴む。

すると彼女はくるりと振り返りぽろぽろと玉のような涙を溢した。

「せっかくの初めてなのに、大好きな先輩に、お、ぉしっこ飲まれて……。恥ずかしくて、情けなくて、わたし、どうしたらいいんですかぁー……」

「……ごめん、本当に。なんて言ったらいいのかわかんねぇけど、俺が悪いんだから気にしないでくれよ」

「うっ、うぅっ……。気にするなって言われてもぉ……」

一色は袖で涙を拭いながら、駄々をこねるように首を振る。

「ほんと、なんでもする。責任取るから」

「……なんでも、ですか?」

言ってからなんでもは言い過ぎたかと、少しだけ後悔した。だがこの代償としての責任の取り方など俺にはわからない。だから一色の言うことを可能な限り聞こうと、そう決めた。

「な、なんでもだ」

一色は暫く悩む素振りを見せ、静かに呟く。

「……今日、うち誰もいないんですよね」

「うん?」

「だから、続き。……ていうか、先輩にされたことのお返し。うちでさせてもらえませんか?もっと幸せな記憶で上書きしたいです」

一色は赤い顔で、今日最初に言われた要求を再度告げた。

嫌な記憶は、新たな幸せな記憶で上書きする。俺のしでかした行為は、俺のする行為で贖う。なんてありがたい申し出だろう。

「……喜んで。ちなみになんだけど、お返しって。もしかして俺の飲ませろ、って言ってる?」

「ばっ……バカじゃないんですか!?誰がそんな……そういうアブノーマルなのは普通のえっちをたくさん済ませてもらってからにしてもらえますかごめんなさい」

なんかいつものお断り芸で頭をペコリと下げているが、結構墓穴を掘っていることに気がついているのだろうか。

「お、おう……」

「じゃ、じゃあ帰りましょうか」

「いいけど、生徒会長が堂々とサボっていいのかよ。今帰ったら通学の奴等と鉢合わせするぞ」

「わたしは別にいいですけど、先輩は……」

一色の顔に陰りが見えた。これは、ああ。あの二人のことを言ってるんだろうな。

けど俺はもう決めたんだ。これからはお前とって。

「いいよ、もし会ったらちゃんと言うから」

「……なんて言うつもり、ですか?」

まだ不安そうな彼女の頭をぽんと叩き、今の俺の精一杯の想いを込めた言葉を吐き出す。

「俺は一色が好きだ、って」

本気の一色いろはに、俺の理性も虚勢も殺されたってな。

「……はい。わたしも先輩が好き、です」

どちらからともなく短いキスを交わすと、生徒会室の鍵を開けた。

人が聞けばこのきっかけはろくでもないものだと、そう思われるかもしれない。けど、燻ったような想いは俺もこいつも前から持っていたんだから、別にいいよな。

心の中で誰かに向けた言い訳を重ねてみたが、横を見るとそんなことはどうでもよくなった。

首を傾げる小悪魔的な、それでいて幸せそうな一色の微笑みが俺に答えを教えてくれていた。


終わりでーす

うわぁ、変態なりぃ……
けど、うん。書けて満足
お楽しみ頂けたら何よりです
遅くなってすみませんでした、なんか忙しくて

それでは、読んでくれた方レス下さった方、超ありがとう愛してる
あでゅー

あ、今日バレンタインか……
そんな日になんてものを、まぁいいか

おつー

これは何かバレンタインネタをダナ...
なければおうちでもいいのよ?

乙、本番描写がない訴訟

乙乙

乙です!

ふぅ………

乙…。

乙乙~
(続きを投下しても)ええんやで?

はよ帰宅編はよ

川崎沙希に幸福をとかもそうだったんだけどさ
なんでこの人はたまに最後に台無しとは言わんが理解し難いことをするんだろうか…
飲尿いるかこれ?w

要らないわけがない

帰宅してからの描写がないんだが?

まだゴールじゃないよね?

ゴールです(´・ω・`)

また機会があれば年上のあのキャラで濃厚なの書いてみます

>>130
いる
絶対に

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