進む大学が違うから、接点なんかまるでない。
このまま卒業したら次に会うのは成人式の同窓会……つまり2年後……。
うぅ……2年もあったら絶対あの子、彼氏作ってるだろうな……。
卒業式まであと一か月。
携帯もない。
金もない。
おまけにほとんど話したこともない。
果たしてそんな絶望的な状況で距離を縮めることなんてできるのか――?
高3「くそう……入試よりよっぽどハードだぞこれ……」
これは好きな子の前では緊張して話せなくなる男子高校生の奮闘記である。
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高3「とりあえず情報収集だ……。Facebookで住所、生年月日、趣味など洗いざらい調べて、共通する話題を見つけるんだ……」カタカタ
妹「お兄ちゃん、お風呂入れってさ」ドンドン
高3「今過去問やってるから無理だ」カタカタ カチャッ
妹「キーボード叩いてる音が聞こえるんだけど」
高3「今エロゲやってるから無理だ」カタカタ
妹「うわっ最低……。お母さーん! お兄ちゃんはまだ入れないってー!」
高3「お、出てきたぞ……こいつは凄い……」ヘヘッ
妹「ほどほどにね……」
はよ
高3「誕生日は7月5日か……。これで七夕とかだったら何とか話のネタになるかもしれんのに……」
高3「住所も普通だな……。クラスの半数がこの子と同じ街とか……」
高3「趣味は……書いてないな。投稿記事も少ないし……」
高3「うーん……もっと詳しい情報は無いのか?」カチッカチッ
高3「……ん? なんだこのフレンド限定の公開情報って……?」
高3「えらい気になるぞ……」カチカチッ
高3「む……フレンドになるには申請して承認してもらわないといけないのか……」
高3「なんだこのシステム……。申請するの恥ずかしいぞコレ///」
高3「いきなりほとんど話したこともないクラスメートから友達申請ってキモくないかコレ? ///」
高3「しかも申請して承認されなかったら心が折れるな……」
高3「……。とりあえず今は申請はやめておこう……」
高3「……っていうか閲覧してんのバレないかな……。もし足跡とかついてたらだいぶキモいぞ俺……」
高3「くそ……これだからSNSは嫌いなんだよ」カチカチッ
高3「……」
高3「うん、とりあえず足跡はつかないようだな……。良かった……」ホッ
高3「だが大した情報は得られなかったな……」
高3「……一応グーグル画像で検索してみるか……」
高3「……」カチカチッ
高3「……ッ!?」カチカチッ
高3「……。てめえじゃねえよババア!」チッ
高3「……」カチッカチッ
高3「……ッ!」
高3「あ、小学校の時の写真があった……///」
高3「昔からかわいいなオイ……///」ヘヘッ
高3「とりあえずフォルダーに保存して……」カチッカチッ
高3「今度は脳内メーカーで調べてみるか」カチッカチッ
高3「……」カタカタカタカタッ カチャッ
高3「……へぇ……。真面目そうに見えて意外とエッチなんだな……///」ヘヘッ
高3「……今日はこのくらいにしとくか」パタン
***
翌日
高3(今日も1両目に乗ってくるかな……///)ガタンゴトン
エー、ゴジョーシャッ……アリガトーゴザイー……マスッ……。
マモナク……〇〇……〇〇デェ……ゴザイー……マスッ……。
オオリノカタハ……。
高3(彼女が月曜日のこの時間の1両目に乗ってくる確率は60%……。この混み具合なら俺のボックス席に座るかもしれない……)ドキドキ
プシューッ……。
高3(来るか……ッ?)
ガヤガヤガヤガヤ
友達「オーッス高3! その席詰めてくれよ!」オハー
高3「失せろ……」ギンッ
友達「な、なんだよ……今日は機嫌悪いな……」ビクッ
ガヤガヤガヤガヤ
ハッシャ……シマスッ……。
ガタンガタンッ……。
高3(くそ……乗ってこなかったか……)
友達「なぁ、コレ見たことある……? ///」
高3「どれよ?」
友達「ほらコレよ///」
高3「……エロいなオイ……///」
友達「な? ///」
高3「ヤベー……ほとんどモザイクねーじゃん……///」ヘヘッ
想い人「2両目いっぱいだったねー」
女友「前は空いてるかな?」
高3「!」
友達「これも凄くね? エロくね? ///」ハアハア
高3「失せろ……」ギンッ
友達「な、なんだよお前……」ビクッ
期待1
想い人「まいったな……ここも座れそうにないや……」ヒソヒソ
女友「別に立ってりゃいいじゃない。せいぜい30分くらいどうってことないし」
想い人「そういうわけにはいかないでしょーが……。優先席はお爺ちゃんたちが座ってるし……」ヒソヒソ
高3「!」
高3(ちゃ、チャンス到来! 入学以来、初めての相席のチャンスが来たぞオイ!)
高3(しかし俺の横にはババア、前にはKY野郎が座っている……ッ! この魔のトライアングルを何とかしないと遠慮して座らねーぞ……)
友達「あ……これもヤベエな///」ハアハア
高3「おい」
友達「何?」
高3「頼むから別の車両に行ってくれ」
友達「いきなりなんてこと言うんだお前……。やだよ」
高3「頼む、3,000円やるから!」ピラリ
友達「どうしたんだ今日のお前は……」パシッ スクッ
想い人「どうしよう……」オロオロ
高3(よし……声をかけるぞ……///)ドキドキ
高3「……///」
高3「……///」ガクガクガクガク
エーツギハー……××……××デー……ゴザイー……マスッ……
高3(ウオオオオオオ! めっちゃ恥ずかしいぞオイ! く、くそ……若干距離が遠いから何か誘うのは不自然な気がしてきた……///)ガクガクガクガク
高3(だ、大丈夫だ……困ってるのをたまたま見つけたから話しかけるだけ……何も変なことはないはずだ……! 行け高3ッ! ///)
想い人「……」オロオロ
高3「あ、あにょッ! ///」ガクガクガクガク
想い人「?」
高3(ひああああああああああああ! 噛んじまったああああああ! ///)ガクガクガクガク
想い人「あ、高3くんおはよー」
高3「あ……あえ……あえ……///」ガクガクガクガク
想い人「どしたの?」
高3「あの……えと……ここの席……その……///」
想い人「あ、そこ空いてるの!? 座っていい!?」
高3「え、あ、はい! どじょ! ///」
想い人「どじょ?」
高3「どーぞ! ///」カアアアアアアアアアアアア
想い人「良かったー! ありがとう高3くん!」
高3「え、えへ……ッ! えへへへへへ……///」グヘヘ
想い人「女友ちゃん、空いてた! 座れるよ!」
女友「なんか悪いね」ヒョコッ ヒョコッ
想い人「靭帯痛めた人が何言ってんの。ほら座った座った!」
高3「……」
女友「どうも」
高3「ど、どうも……」
女友「あれ、アンタは座んないの?」
想い人「あ、アタシは別にいい。ボックス席に4人とか狭いし。入口のとこで立ってるね」スタスタ
高3「……」
女友「……」
高3「……」ポロポロ
女友「!」ビクッ
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