穂乃果「寒い冬の一日」 (15)
はぁぁっと息を吐くと白くなる....もうそんな季節。
寒いなぁ....そんなことを思いながら、スカートから伸びる生脚を震わせ待ち合わせ場所に走ります。
たまにね、タイツを履けばよかったとか後悔するんだけど、なんだか生脚って女の子っぽいからやめないんだよね。
待ち合わせ場所に行くと、時間を必ず守り、怠けることが大嫌いな大和撫子、海未ちゃんが待っています。
おはようと声をかけると、おはようございますって返ってくる。
ことりは時間通りに来るんだけど....
「ごっめーん!寝坊しちゃったぁ!」
そんな聞き慣れた穂乃果ちゃんの声が聞こえてきたと思ったら
「穂乃果!何度目ですか!」
逆からもまた聞き慣れた海未ちゃんの台詞が聞こえます。
すかさずことりは間に入って穂乃果ちゃんを庇います。
うーん、穂乃果ちゃんを庇うって言っても....海未ちゃんが正しいんだよね。
でも、穂乃果ちゃんも放っておけないし、3人で仲良くすることが一番の幸せなので、ことりは何度でも仲介役にまわります。
あれ?そういえば、喧嘩するほど仲がいいって....ふふっ、実はお似合いなのかもしれません。
もしもふたりのどちらかがどこかへ行ってしまうことがあったら、穂乃果ちゃんがしてくれたように、ことりが連れて帰ります。
普段考えないことを考えてしまう、とある冬の朝の登校道。
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ふわぁぁ........冬の朝はなんだか眠くなりますね。
とは言っても、まだ登校したばかり....ひとつしかない1年生の教室に、凛ちゃんと真姫ちゃんと入ります。
花陽は朝弱いんだけど、凛ちゃんは毎朝ジョギングをしてて早起きです。
真姫ちゃんも実は朝弱くてね、おうちではコーヒーを飲みながらゆっくりするみたい....けど、花陽たちと会う頃にはいつものキリッとした真姫ちゃんに変身しています。
あ、こんな寒い日は凛ちゃんがラーメン食べたいって言うかな?ううん、きっと言うよね。
....なぁんて、お友達の話ばかり。
μ’sに入ってから、自分に少しは自信を持てるようになったけど....やっぱりすぐには治らない悪い癖。
でもね、それを目標にするなら、今はまだそこへ続くレールの通りに進めばいいかなって思うんです。
理由は....今でも沢山大好きな人たちがいて、花陽のことを思ってくれる人たちがいるから、急がなくてもいいかなぁって―
「かーよちんっ!ぼーっとしてたにゃ」
席について考え事をしてるとこうして凛ちゃんが寄ってきてくれます。
「寒いわね....今日は今年一番冷えてるんじゃない?」
続けて真姫ちゃんが寄ってきてくれます。
これって花陽が輪の中心にいるのかな?でも、ふたりにはいつも助けてもらってるし、何かお返ししたいなぁと思うんです。
だから、花陽は寒さも忘れるような精一杯の温かい笑顔でお返事します。
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にっこにっこにー♪
そう心の中で言ってる、4時間目の退屈な授業。
お腹....すいたわ....
時計を眺めてても、こういう時に限って時間が進むのが遅いのよ....
もし私が時間を操れるスーパーアイドルなら....
スーパーのタイムセールにも間に合うし、趣味にあてる時間も増えるわね....
なんてことを考えてたらいつの間にか寝ちゃってた。
「にこっち、起きて。授業中寝たらダメやん?えりちを見習わないと....」
今週何回目か忘れたけど、この希の声が目覚まし。
....一年前まではありえないわよね....スクールアイドルに憧れて....挫折して....浮いちゃって。
その空白の日々に思い出なんてなかった....毎日ひとりで繰り返すような毎日。
でも、希ったらそんな私を気にしてくれてたみたい。
ほんと、昔からみんなを見守る母みたいな感じだったのね。
春には穂乃果たちとの出会いもあって....気づいたらもう冬。
なんでかしらね?楽しいことや辛いことがあっても季節が巡るのは早いの。
それでも、前との決定的な違い....今の毎日には色があること。
カラフルで素敵な日々が、空白だった思い出のスケッチブックに描き足されていく。
....って、なに柄でもなこと言ってるのかしら....これだから冬って嫌ね。
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お昼休み....ひとつしかない1年生の教室でも、賑やかになるの。
いつもは凛と花陽とお昼を食べるんだけど、たまにこうしてひとりで音楽室に来る。
なんていうか....ピアノの前に座って、メロディを奏でてると安心するのよね。
自分でもよくわからないこの気持ちは、μ’sという存在に出会ってからどんどん強まっちゃって。
人と距離をとって孤立してた私が、今じゃアイドルなんてやっちゃって....まるで夢を見てるみたい。
やっぱり音楽の力ってすごいのよ....穂乃果という大物を釣っちゃったんだもの。
ほんと、感謝しかないわね....音楽にも、穂乃果を含めμ’sにも。
う....寒かったのを思い出した....それと同時に2種類の足音が聞こえてきた。
なら、私も音楽隊の一員になろうかしら?
~♪
愛してるばんざーい!
「凛も歌うにゃー>ω</」
「ふふ、真姫ちゃんやっぱりここにいたんだね」
隊員がやってきた。
一瞬でこの空間が暖かくなった気がしたわ。
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はぁ....またにこは寝てるのね。
希にさっき何か言われてたような....あ、あれ?
後ろの席の希から紙が飛んできたわ。
なになに?....やっほーえりち(*´`)
な....授業中なのに....でも、楽しそう。
先生にバレないように手紙のやりとりをするなんて、学生っぽいわね。
そんなことを考えてたら、自然とお返事を後ろに返してたわ。
....いつからだろう....こんなに青春を謳歌するようになったのは。
きっとあの時、μ’sに加入した時....肩の重みがすぅーっと消えていった、そんな気がした。
私の前に現れた元気な太陽....そしていつも影から支えてくれる優しい月。
結局自分ひとりじゃ何も出来なくて、いつも救われてばかり。
それが、人間。
私は何をひとりで頑張っていたのだろう....なぜ彼女たちに嫉妬し、素人だと突き放していたのだろうか。
今考えてみると馬鹿らしい。
だって、今がこんなにも輝いていて、私も穂乃果や希に近づけてる気がしてるから。
....ん....また飛んできたわ。
どうせ退屈な授業....気づいたら手紙に夢中になってた、そんな寒い冬の午後の授業。
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生徒会室....春のことを思い出します。
穂乃果を筆頭に、そのお供として私たちが....まるでここが鬼ヶ島のようでした。
そうです、穂乃果です。
穂乃果はすごいです....昔から私とことりを引っ張って....今でもμ’sの8人を引っ張っています。
こんなにも大きな存在が親友で、なんだか誇らしいですね。
私は人前に出たりするのが苦手で、それが弱点でした。
それでも今は仲間がいます。
とても頼りになる仲間です。
こんな考え事をしてると....
「海未ちゃん、どうしたの?」
と、心配して穂乃果が話しかけてきます。
どうしてこうも優しいのか....それとも無意識なのか、それはわかりませんが、小さな心配でも、心配をかけたことには変わりはないので....なんでもないですと一言返します。
でも、たまにどうしても気にしてしまうことがあります。
この関係は、いつまで続くのか....
当たり前に傍にいることりと穂乃果と、いつかは離れ離れになるのではないかと....
いけませんね、冬の寒さにやられて少しナーバスになっていたみたいです。
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テンションが上がるにゃー>ω</
やっと放課後!
凛たちは部室に向かうんだ。
今日は寒いけど、外はいい天気!だからダンス練習をするんだよ。
部室のロッカー前で練習着を取り出す....そう、スカート。
ひらひらしてて....すごく可愛いんだ。
今でも本当に似合ってるのか心配になることがあるけど、みんな揃って凛のことを可愛いって言ってくれるの。
その度に実感するよ....こんな凛でも変身できたんだって。
みんなが優しいんじゃなくて、凛が弱虫だっただけ。
周りの目を気にして....でも、大親友はいつも可愛いって言ってくれてた....抱きしめたいくらい可愛いって言ってくれた。
素直にかよちんの言葉を受け止めていれば、もっと早く自身をもててたのかな?
まぁ、そんなことはもう昔のことにゃ!
そうポジティブに考えて、冬の冷えたロッカーに制服をしまったにゃ。
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わしわしMAX~
にこっちはまだまだ小さいなぁ。
真姫ちゃんと穂乃果ちゃんは発展途上ってとこかな?
なんてね、こんなことでコミュニケーションをとる不器用なウチ。
親が転勤族で、友達もろくにできなかった....ウチに残ったのはみんなを見守ることだけ。
頑張る姿や笑ったところ....みんなを見てるだけでも楽しいんや....これは本音よ?
そんなウチにも大切な仲間が8人、いや、それ以上できたん。
スピリチュアルやね....人の未来って予想できないんよ....占いなんて、ウチの運がいいだけで宛にならない。
誰か予想できたんかな?このμ’sというグループが誕生して、ラブライブ決勝大会まで上り詰めるなんて。
ううん、予想なんてなくても、ウチらならやれてるのかもなぁ。
μ’sやから。
....3年生が卒業したらμ’sはおしまい....か。
冬になるとどうも余計なことを考え込んでしまうなぁ。
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ふぅ....やっと生徒会の仕事が終わったよ。
みんなちゃんと練習してるかな?なんて思いながら屋上の扉を開ける。
そこに見えるのは、先に来てた6人の笑顔。
うん、みんな笑顔だった。
それを見て穂乃果は遅くなってごめんと言う。
「あ、穂乃果ちゃんたちきたにゃ!」
「やっぱり来た。カードの言う通りやん?」
どうやら穂乃果たちの登場を待ってたらしい。
限られた時間の中で輝き、夢を掴むスクールアイドル....そんな大きなものに穂乃果たちがなった。
限られた時間、それは終わりは来るということ....それでもみんな笑顔のままなのは、何か不思議な力でもはたらいてるのかなぁ?
9人だからここまでこれた....この9人だから....みたいに言っちゃって....やっぱりμ’sは9人揃ってμ’sなんだ。
この景色を見てると....なんだか切ないような....嬉しいような....言葉にできない感情がぐるぐると頭の中で回る。
ラブライブという大きな目標に手を伸ばす穂乃果たち....てっぺんにたどり着けるかはわからないけど....今の穂乃果たちならどこまでだって行ける気がするから。
残された時間を数えるより、どこまで行けるか試してみたい。
そんな気持ち。
この9人だから、優勝できるかも。
この9人だから、優勝した後予想外の出来事が起きるかも。
なんだろう、まだ夢を見たくなってきたよ。
新しいものを抱きしめたくなるような、そんな寒い季節。
おしまい。
寝ぼけて書いたら、自分の中で一番の駄作になってしまいました。
すみません。
おつ
もっと続いてもいいのよ
乙乙
乙です
乙
こういう雰囲気のSSも好きにゃ~
乙
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