【艦これ】筑摩「姉さんのために、みんなのお悩み相談に乗ります」【安価】 (205)


初安価。条件やら状況にそぐわない安価は下にずらしていくのでご了承ください。

未着任艦娘も安価下になるのでご了承を。後ほどリスト出します。

安価取りたい人は過去作を参考にして判断してもらえれば。

白露「いっちばーんになれない」
白露「いっちばーんになれない」【艦これ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1447941159/)

鳥海「月が綺麗ですね」 / 木曾「砂浜の落書きだ」【艦これ】(>>1のリンクから一作目含め諸々に飛べます)
鳥海「月が綺麗ですね」 / 木曾「砂浜の落書きだ」【艦これ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1442893579/)

>>2以降に導入とサンプル


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449240190


ある日、筑摩は疑問を抱いた。

彼女の姉である利根は荒んだ現世に舞い降りた天使なのに、それがあまり知られていないのではないか、と。

故に筑摩は考える。いかにすれば利根の素晴らしさを広く知らしめられるのかを。

とはいえ、そう簡単に名案が閃くわけでもない。

そこで筑摩は天使と渾名されるもう一人の艦娘に協力を仰ぐ。

筑摩「というわけで、あなたのお力を貸してほしいんです。古鷹さん」

古鷹「事情は分かりました。もちろんいいですよ。同じ重巡洋艦としてもいいところはどんどん知ってもらいたいですし」

筑摩「ありがとうございます。私たちは厳密にはもう重巡ではないのに」

古鷹「もう、そんなの気にしてませんよ」ペカー

筑摩(なんて眩しい笑顔。この人もまるで天使のような――)

筑摩「……古鷹さん、探照灯でこちらを照らすのやめてくれませんか?」

古鷹「ごめんなさい、ついつい嬉しくなっちゃって勝手に」

つまんね
依頼出してこいよ


筑摩「それで利根姉さんの件ですが」

古鷹「あまり直接的ではないほうがいいんですよね?」

筑摩「はい。いくら天使の姉さんでも、ごり押しされては周囲から本来なら無用な反感を買ってしまうかもしれません。
   そうなったら優しい姉さんは心を痛めてしまって、そんな姉さんもきっと支えたくなるような愛おしさなんでしょうけど本来の目的から外れてしまいます。ですが、そんな姉さんだからこそ――」

古鷹「お水、飲みますか?」

筑摩「いただきます」

古鷹「筑摩は本当に利根が好きなんですね」

筑摩「もちろんです。一晩中語り明かしても足りませんけど、今は相談が先なので」

古鷹「私なりに考えてみたんですけど、筑摩が鎮守府のみんなの相談に乗って悩みを解決していってはどうでしょう?」

筑摩「私が、ですか?」

古鷹「まずは筑摩のいいところをもっと知ってもらうんです。それから筑摩が利根をいかに尊敬してるのかを伝えていけばいいと思うんです。
   筑摩の評判がよくなれば、利根も自然とあなたの姉として皆さんからの覚えがよくなるのではないかなと」

筑摩「いいかもしれませんね……でも具体的にどうすれば?」

古鷹「そうですね。青葉ならこういう話にも詳しいと思うので、ちょっと待っててください」


─────────

───────

─────


古鷹「青葉にいくつか聞いてみたんですけど、これならどうかな」


照月のお悩み。
『荒ぶる長10cm砲ちゃんが心配です。どうしたらいいんでしょう?』


※安価は艦娘とお悩みの二つとなります。ひとまずは。


筑摩「これは……どうすればいいんでしょう?」

古鷹「それを含めた悩みだと思いますよ」

筑摩「話を直接聞いてみるしかない、ということですか」

古鷹「私も必要なら助言やお手伝いはしますが、相談をどう受け止めどんな解決策を取るかは筑摩が決めてくださいね」

筑摩「なるほど……私は姉さんの評判も背負うんですね? 失敗すれば姉さんの名にも傷がつく」

古鷹「やめておきますか?」

筑摩「まさか。筑摩は全力で参るだけですよ」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



筑摩「こんにちは、照月。何か長10cm砲ちゃんのことで悩んでるとか」

照月「悩みは特に……あ、いえ。ちょっと気になってることならありますけど」

筑摩「よければ聞かせてくれない?」

照月「私の長10cm砲ちゃんなんですけど怒りっぽいというか人見知りというか、私には懐いてくれてるんですけど他のみんなにはそうでもないみたいで」

筑摩「それは気になりますね」

照月「そうなんですよ。長10cm砲ちゃんはなるべく私が運用してますけど、たまに兵装を他の人に預けることがあるじゃないですか。もし、そんな時に暴れでもしたら……」

筑摩「不安ですね。照月はどうなってほしいんです?」

照月「うーん……長10cm砲ちゃんの人見知りが直るか、せめて皆さんに乱暴とかしないなら」

筑摩「よければ私に長10cm砲ちゃんを預けてくれない? 力になれるかもしれないから」

照月「でも私がなんとかしたほうが……ううん、やっぱりお願いしてもいいですか?」


照月「今日からしばらく長10cm砲ちゃんを預かってくれる筑摩さんだよ」

筑摩「こんにちは」

長10cm砲ちゃん「!」フンス

照月「人見知りでごめんなさい」

筑摩「いいのよ、照れ隠しかもしれないし。さあ、おいで」

照月「あ、不用意に手を伸ばすと!」

長10cm砲ちゃん「!」ゴスッ

筑摩「痛っ……ふふっ、元気がいいのね。二度目はありませんけど」

長10cm砲ちゃん「!?」ビクッ

照月(……大丈夫かな?)

筑摩「心配しないで。ここにあなたの敵はいないもの」

長10cm砲ちゃん「!」

筑摩「私は筑摩って言うの」

長10cm砲ちゃん「……」

筑摩「よろしくね」


筑摩「さあ、ここが私と姉さんのお部屋。先に晩ご飯の下ごしらえしちゃおうかな……あら、長10cm砲ちゃんも手伝ってくれるの? そう、じゃあまずは手を洗いましょうね」

長10cm砲ちゃん「!」

筑摩「今日はハンバーグを作りましょう。こねるのはお願いするね」

長10cm砲ちゃん「?」

筑摩「食堂で食べないのか? 出撃のない日は自分たちで作るようにしてるのよ。ここは部屋にキッチンが用意されるようになったし気晴らしにもなるし」

長10cm砲ちゃん「……」

筑摩「そっちは照月と二人だけ? そう……ちょっと寂しそうね。提督も誰かと一緒の部屋にしてあげればいいのに」

長10cm砲ちゃん「!」

筑摩「え、照月がそうしたいって? いつかお姉さんが来るから? そう……気持ちはよく分かるけど難しいね」




─────────

───────

─────


利根「ただいまなのじゃ」

筑摩「お帰りなさい、姉さん」

長10cm砲ちゃん「!」

利根「ちくまぁ、こやつは何者じゃ?」

筑摩「照月の長10cm砲ちゃんですよ」

利根「島風や天津風のような自走砲じゃな。吾輩は利根なのじゃ!」

長10cm砲ちゃん「!」

利根「む、逃げおった」

筑摩「人見知りが激しいみたいで」

利根「ほーれほれ、我輩から逃げようとはいい度胸だの」

筑摩「この人は私の姉さんだから大丈夫よ」

長10cm砲ちゃん「……」オソルオソル

利根「おお、さすがは筑摩なのじゃ!」

筑摩「そんなことないですよ。さ、三人で夕飯にしませんか?」


過去作参考にして安価取って欲しいのなら安価に入る前に軽くこのスレで過去作のあらすじでも紹介してくれよ
一々読みに行くのめんどくさいって人も居るだろう


利根「うむ、今日は何を作ったのじゃ?」

筑摩「ハンバーグですよ」

利根「やったのじゃ!」

筑摩「それに長10cm砲ちゃんも手伝ってくれました」

利根「偉いぞ!」

長10cm砲ちゃん「!」フンス

利根「しかし長10cm砲は物を食べられるのかの?」

筑摩「大丈夫らしいですよ。島風も自分の連装砲にカレーを食べさせたと言ってましたし」

利根「ううむ……妖精驚異の技術力じゃのう……」

筑摩「でも、それを言い出したら私たち艦娘だってそうじゃないですか」

利根「それもそうじゃったか。時に筑摩よ、どうして長10cm砲を預かったのじゃ?」

筑摩「照月が困ってるそうなので手助けしようと思って」

利根「人助けのためか。さすがは筑摩じゃ」

利根(我輩に飽きたとかでなくよかった……)


まああらすじとまでは言わなくても軽いキャラ紹介程度は欲しいかもね

>>11
了解。安価取る前にざっくり書いておきます


筑摩「この子は怒りっぽいって聞いてたんですけど、素直な子でよかったです」

利根「一睨みして黙らせたとかじゃなかろうな?」

筑摩「まさか、そんなことはしませんよ。ねえ、長10cm砲ちゃん?」

長10cm砲ちゃん「!?」コクコク

筑摩「ほら」

利根「うむ……含みがあるような気もするが、まあそれはいい。しかし照月は何に困っておったのじゃ?」

筑摩「長10cm砲ちゃんが周囲に馴染めないと」

利根「照月にこやつか。のぅ、筑摩。我輩が思うに――」



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


――数日後。


照月「ありがとうございました、筑摩さん」

筑摩「ううん、こっちこそ楽しかったですよ」

照月「よかったです。それで長10cm砲ちゃんはどこに?」

筑摩「あそこよ。今日は友達と遊んでるの」

照月「友達?」

そこでは長10cm砲ちゃんが島風らの連装砲ちゃんたちとサッカーに興じていた。

照月はその光景をどこか放心したように眺めて、そして呟く。

照月「長10cm砲ちゃん、すごく楽しそう……」

筑摩「照月……あなたももっと多くのことで私たちを当てにしていいんですよ?」

照月「私が……ですか?」

筑摩「きっと照月は一人でがんばりすぎちゃうから、あの子もそれを悪い方向に真似しちゃったんじゃないかなって。
   姉さんの受け売りでもあるけど、長10cm砲ちゃんを見てたらそう思えたの。違ったらごめんね」

照月「私が……そうなのかな……」



筑摩「さあ、みんなも待ってますよ」

そっと筑摩は照月の背中を押した。照月は戸惑ったように筑摩の顔を見つめ、それからはにかむように笑った。

行ってきます、という言葉を残して駆けだしていく。

島風「照月ったら来るのおっそーい!」

照月「ごめんなさい。それと……ありがとう」

島風「どういたしまして?」

天津風「あなたの10c砲ちゃん、いい風吹かせてるわね?」

照月「そう……かな?」

天津風「ええ。相棒がきっといい艦娘なんでしょうね」

島風「まあ速さなら島風の連装砲ちゃんが一番だけどね!」

天津風「あら、かわいさならあたしの連装砲くんの方に決まってるでしょ?」

照月「私の長10cm砲ちゃんだって対空戦闘なら負けないよ?」

筑摩の耳には彼女たちの話声が聞こえてきて、そして満足した。


下のスレはともかく
上の白露単発スレ以外にも朧とか大鯨とかの色々な単発スレ立ててるみたいだけどそれはこのスレとは直接的な関係は無いのか?
どうも紹介されてないようだが


グダグダしてしまいましたがサンプルはこんな感じになります。
今回は自分で思いついた話なので綺麗にまとめたつもりですが、実際は悩みが解決するとは限らないのでご了承を。

それと過去作ですが、あくまでどんな毛色のSS書いていたかの参考にしてもらいたかったという面もあるので……
過去作全部貼るのはなんとなく無粋な気がしたので、あくまで指標になりそうなのだけという形にしてました。

ただ、せっかくなので設定をいくつか定めてしまうなら
・秘書艦は鳥海固定。提督とは相思相愛。
・同じ艦娘が一人しか存在してない。
・単発含めて世界観は繋がってますけど、内容にはたぶん影響しません

こうなってきますのでご了承を


改めて安価取る前に作者の鎮守府に未着任の艦娘は除外、安価下とさせていただきますがご了承ください。
対象範囲は15秋イベも含めた実装艦で、未着任の艦娘は以下のようになります。

・戦艦
長門、大和、ビスマルク、リットリオ

・空母
大鳳、天城、葛城

・軽巡
矢矧

・駆逐艦
秋月、朝雲、朝霜、早霜

・潜水艦
しおい、ろー(ゆーは可)

・その他
秋津洲


古鷹「どうでした、筑摩?」

筑摩「手応えはありました。悩みが解決するかは今後の彼女たち次第かと」

古鷹「彼女たち、ですか?」

筑摩「ええ。さあ、次は誰が悩んでいるんですか? まだ止まるわけにはいきません」

古鷹「そうですね、青葉によると……」


安価>>下1 艦娘

春雨入手したのか
白露スレの続きはよ
安価は春雨で

五十鈴

グラーフ


古鷹「春雨ちゃんですね。お悩みは……」


安価>>下1 相談したいこと

極上の春雨料理が作りたい

相談内容、了解しました。立てたばかりですが今夜はひとまずこれで……なるべく早めに書いていくようにします
安価は初めてなので、ここはこうしたほうがいいという点があれば随時お願いします
直せるようなことは反映させていきますので

好き嫌い分かれるエログロ胸糞系安価はどうする気?

乙なのです

安価はなにぶちこまれるか分からないから、自分の世界観というか、鎮守府観とは切り離して単発の作品とした方がいい気もします

白露「一水戦みんなで、阿武隈さんになにかサプライズしたい!」
金剛「テイトクのハートを鳥海から奪うにはどうすればいいデース?」
とか考慮してないキャラの関係をぶちこまれたら、困るような気がしたので

>>28
>>1での条件やら状況にそぐわない安価は下にずらしていくのでご了承ください。で行こうかなと
意図的に曲解してどうにかなりそうなのなら採用するつもりでもありますが……

>>29
お気遣いありがとうございます。上への解答と似てますが解釈次第ではそういうのもありだと思ってます
ただピンポイントに答えると鳥海と金剛の場合、非安価で普通に書きたい話でもあるんで、ここで来るのならそれはそれでありかとも思ってます


古鷹「春雨ちゃんですね。お悩みは……極上の春雨料理が作りたい、そうです」

筑摩「料理ですか……誰かに食べさせたいのでしょうか? とにかく彼女に会ってみましょう」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


筑摩「こんにちは、春雨。なんでも極上の春雨料理を作りたいとか」

春雨「はい。そろそろ姉さんたちに何かお返ししたくて……色々あったじゃないですか?」

筑摩「そうですね。私は作戦に直接参加はしてなかったけど」

春雨「だから白露姉さんや夕立姉さんに、もう一度ちゃんとお礼をしたいんです。でも普通に作るだけじゃいけない気がして」

筑摩「それで極上の春雨料理?」

春雨「はい。麻婆春雨に春雨スープ、春雨サラダと春雨ラーメン、春雨の香味揚げに蒸し物……でも、いざ作ると、どうしてもいつも通りの春雨料理になってしまって……」

筑摩「話は分かりました。ちなみに春雨の料理の腕前は? 率直にお願いします」

春雨「……姉妹の中で一番ではないですけど、それなりには上手い方だと思ってます」

筑摩「そうですか。いっそ下手なら指に絆創膏を貼っておいて頑張ったアピールもできたんですが」

春雨「卑怯です、そういうの……」

筑摩「まあ今のは邪道ですからね。そうなると正攻法……少々お時間をいただけますか?」

春雨「? ええ、急ぎの話じゃないですし。無理な話みたいで、あの、ごめんなさい」

筑摩「……無理なんかじゃありませんよ。春雨にその気さえあるなら」

春雨「え?」

筑摩「料理は心です」

春雨(……そういうのはちょっと)



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───────

─────



筑摩「とはいえ、どうしたものでしょう……料理は心なんて、今時では暁ぐらいしか信じてくれなさそうな……」

古鷹「私は好きですよ、そういうの?」

筑摩「古鷹さん?」

古鷹「すいません、こっそり聞いてました」

筑摩「いえ、今回はちょうど相談しようと思っていたので。どうしたらいいんでしょう?」

古鷹「そうですね……まずこの鎮守府では間宮さんを始め料理上手な方たちが何人もいて、春雨さんもすでにその中に名を連ねています」

筑摩「はい。となると春雨自身の上達は……」

古鷹「難しいでしょうね。すでに殻を破り終えた者がいきなり伸びるなんて話は滅多にありませんから」

筑摩「そうなると……極上の春雨料理には極上の春雨、素材を使うしかないでしょうか」

古鷹「あとは筑摩自身が言ってたように心……どうにかして白露型のみんなの心を打つことですね。何か演出的な」

筑摩「あー……何か思いついたかもしれません」

古鷹「演出のほうはやりすぎると逆効果になるので程々がいいと思いますけどね」

筑摩「はい。それと後で青葉さんを借りてもいいですか?」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


筑摩「春雨を作りましょう」

春雨「春雨って……食材の方ですよね」

筑摩「ええ。龍鳳から分けてもらった馬鈴薯のデンプンを使います。極上の料理には極上の素材を使うべきだと思いますので」

春雨「なるほど……あの、作り方って知ってるんですか?」

筑摩「自家製で簡単に作れないんですか?」

春雨「……大変ですよ、すごく」

筑摩「……そこはお礼したいという気持ちでカバーしましょう」

春雨「えっ、あの……がんばりますけど」


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───────

─────

――それから一週間後。


筑摩「やればできるものですね」

春雨「そうですね……本当に春雨を作るなんて考えてなかったです」

筑摩「これで素材の準備はできました……春雨、後はあなたが全力で打ち込むしかないと私は考えてます」

春雨「そうですね……あの、本当にありがとうございました」

筑摩「いいんですよ。それにここまでやってきたのも春雨の意思があったからこそです」

筑摩「……」

筑摩「そうそう、知ってますか? なんでも料理にフェロモンを入れると相手を虜にできるとか」

春雨「フェロモン……ってなんですか?」

筑摩「ざっくり言うと色気ですね」

春雨「どうやって、そんなものを?」

筑摩「私たちの体に含まれてるそうなので、汗や唾を入れるそうですよ」

春雨「ええ……」

筑摩「あ、私はやったことないのでやるなら自己責任でお願いします」

春雨「ただのへんたいさんじゃないですか……」

筑摩「ふふっ、冗談ですよ」

春雨「筑摩さんったら」

春雨「……」

春雨「……でも涙ならありかな?」

筑摩「えっ……」




◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


春雨「さあ、満漢全席風春雨料理です!」

食事処『間宮』の一角を貸しきる形で白露型の晩餐会にて、春雨による春雨料理フルコースを前にした姉妹の感想は以下の通りだった。

「今まで見た中で一番豪華な春雨料理!」
「これ全部が春雨?」
「春雨っぽい」
「どっちの意味なンだよ、姉貴」
「春雨好きにはたまりませんね」
「てやんでえ!」

概ね好意的だったと言えるのだろうか。

食事が進んでしばらくすると間宮内の照明が控えめに絞られプロジェクターが黒子によって運び込まれてくる。

手早く準備を終えた黒子によって映像が流され始めた。ちなみにこの展開は春雨も知らないことである。

映像は春雨による春雨の製造過程を編集したものだ。なお撮影と編集は青葉の手による。


春雨職人の朝は早い。この時間に起きてるのは夜戦帰りの川内と当直勤務の妖精ぐらいだ。

「昼になると遠征とか出撃任務が入っちゃうでしょ? だから、この時間にやるしかなくて」

春雨職人はデンプンをかき混ぜながら笑う。

「普段ならこんなことしませんよ。でも、どうしても一度だけ極上の春雨料理を作ってみたかったんです」

食べさせたい相手がいるから。職人はドヤ顔で言うのだった。


何かがツボに入ったのか、映像を見ていた時雨がいきなり腹を抱えて笑い出す。

春雨は恥ずかしさのあまりテーブルの下に隠れてしまった。

結局、春雨が極上の春雨料理を作れたかは分からないが目的は達成できたのだろう。

黒子としてその場にいた筑摩はそう思い、ひっそり呟く。

筑摩「楽しい宴会でしたね……」



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


利根「ちくまぁ、おなか空いたぁ!」

筑摩「はいはい、今用意しますからね。今日は春雨から分けてもらった春雨自家製春雨で何か春雨料理を作りましょう」

利根「その内にゲシュタルト崩壊しそうじゃ……」

筑摩「春雨って意外と手間いらずだし、これからどんどん取り入れようかな」

利根「ちくまぁ、どうして筑摩の作るご飯は美味しいのじゃ?」

筑摩「それはですね、作ってあげたい人がいるからですよ」


寝る前に思い浮んだ内容をまとめるとこうなった。
春雨が料理バトルで並み居る強豪を倒していく話を誰か書いてください。

安価直下、次の艦娘お願いします

朝潮

五十鈴

朝潮、了解です。安価直下、朝潮のお悩み

妹達が言うこと聞いてくれない

もうちょっと砕けた性格になりたい

かしこまり。投下は今日の20時以降になります


そういや五十鈴見てふと五十鈴牧場的な悩みを思いついたが同じ艦娘が一人しか存在していないんじゃ無理か


長門はいないのに武蔵やローマはいるって変わった鎮守府だな

帰宅したので投下開始

>>五十鈴
阿武隈改二がイベント海域や遠征含めてほぼ必須艦みたいな地位を築いていたり、専用カットインの性能があれとか不遇が過ぎる気がするのです

>>47
ほんとなんなんでしょうね


古鷹「お次の相談者は朝潮ちゃんですね。なんでも妹さんたちが言うことを聞いてくれないそうで」

筑摩「由々しき話ですね。姉さんの言うことを聞けないなんて妹の風上にも置けません」

古鷹「まあまあ。ちなみに筑摩は利根の言うことなら何でも聞くんですか?」

筑摩「ええ。姉さんが明らかに不利になるような言いつけでない限りは」

古鷹「それなら、もしかすると筑摩みたいにやむを得ない事情があるのかもしれませんよ」

筑摩「……そうかもしれませんね。古鷹さんのところは?」

古鷹「全然聞いてくれませんよ。衣笠は別ですけど、青葉は好奇心の塊で抑えが利かないですし、加古は猫みたいに一日のほとんどを寝て過ごそうとするから」

筑摩(もしかして私が特殊なの?)

古鷹「でも私はそれがいいんですけどね」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


筑摩「早速ですけど朝潮。あなたの妹たちが言うことを聞いてくれなくて困ってるとか」

朝潮「そうなんです。以前からそういう節はあったんですけど、最近特に酷くなってきていて……」

筑摩「具体的にはどうなっているんです?」

朝潮「部屋が汚いから掃除を頼んだり、朝寝坊する前に起こそうとしたら怒られたり……」

筑摩「出撃中はどうなんです?」

朝潮「そちらは今のところ……ですが、このような状態が続いてしまえばいずれ……」

筑摩「そうなるのは困りますね、さすがに。勝手な行動は艦隊全体の危険に繋がってしまう」

朝潮「その通りです。今の内になんとかしないと……取り返しがつかなくなる前に」

筑摩「分かりました。それで二つほど手立てがあるので、ちょっとお耳を」

朝潮「はい」


筑摩「まずは――ということです」

朝潮「それは私としてはできればやりたくないんですが」

筑摩「ええ、あくまで最後の手立てということで。なので当面はもう一つの手立てで原因を探ります」

朝潮「というと?」

筑摩「私が今から朝潮の妹になるんです」

朝潮「……筑摩さん、それは新しい暗号でしょうか?」

筑摩「私は大真面目ですよ、朝潮姉さん」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


朝潮「というわけで今日からしばらく筑摩さん」

筑摩「さん?」

朝潮「……筑摩が朝潮型の末っ子になります」

筑摩「不束者ですがよろしくお願いします」

大潮「おー!」パチパチ

山雲「よろしくお願いします~」パチパチ

満潮「意味分かんない」

霞「妹ね……あたしは歓迎するわ」

荒潮「寝る場所はどうするの? ベッドは人数分しかないけど」

霰「……霰と一緒に寝る……これで解決」

霞「待ちなさい! それは末っ子のあたしの役目よ!」

霰「最終艦は霰なんだけど……」

霞「あんたはあたしより先に生まれたんでしょ。だから筑摩は私と寝なさい!」

朝潮(どうしよう、話が勝手に進んじゃってる)



大潮「筑摩はどうなのー!」

筑摩「じゃあ……霞姉さん、今夜はよろしくお願いします」

霞「ふん、仕方ないわね!」

霰「いいな……柔らかそう」

朝潮「あ、霰は私が一緒に寝てあげようか?」

霰「……別にそれはいい」

朝潮「ああ、そう……そう……」


─────────

───────

─────

――数日後。

筑摩にとって朝潮型との共同生活は新鮮だった。

利根以外の姉を知らない筑摩にとって、仮とはいえ多くの姉の存在は筑摩にも刺激を与えた。

山雲の土いじりを手伝って泥で汚れたり大潮の遊び相手になって駆逐艦の体力をまざまざと見せ付けられたり、満潮や霞の緊迫感に包まれる訓練の相手も幾度となく務めた。

そうして朝潮型と過ごす内に筑摩は朝潮の欠点に気づいた。

朝潮は自発的に動きすぎて、結果的に相手からは干渉したがってるように見えてしまう。

おおらかな大潮や荒潮ならうまく対処するが、元から気が強い満潮や霞からすればお節介の世話焼きになっていた。

それが結果として反発する形になっているのだと筑摩は分析し、すぐに朝潮にもそれを伝える。

とはいえ、朝潮のそうした世話焼きの部分も彼女の個性であったので簡単に変わらないし変えていい部分でもない。

結局、問題点が見つかっても解決策が見つからないまま、さらに数日が過ぎていく。

そして。


利根「ちくまぁ!」

筑摩「こんばんわ、利根ねえ……利根さん」

利根「な……何を言ってるんじゃ、筑摩? 最近ちっとも帰ってこないし……」

筑摩「今の私は朝潮型十一番艦の筑摩ですので」

霞「何やってんのよ、筑摩。置いてくわよ」

筑摩「すぐ行きます、霞姉さん。ですので今は失礼しますね」

利根「ま、待つのじゃ!」

筑摩「……ごめんなさい」


─────────

───────

─────


筑摩「遅くなりました」

朝潮「よかったんですか、筑摩? 利根だったんですよ」

筑摩「今の私は朝潮型ですし、姉さんの意見を尊重するのは当然じゃないですか」

満潮「あたしはそうは思わないけどね」

筑摩「と言いますと?」

満潮「あたしも含めて誰だって間違える。だから何でもかんでも唯々諾々と従うのが正しいとは思えないのよ」

大潮「うんうん、大潮もそう思うよ!」

満潮「まあ、あたしは大潮ほど単純には考えてないけど、筑摩はさっきの利根への態度は正しいと思ってるわけ?」

筑摩「私は……」


利根「ちくまぁ!」

筑摩「……姉さん」

利根「我輩が不甲斐ないからか……? いつも筑摩に甘えっぱなしだったから怒らせてしまったのか?」

筑摩「そうじゃありません。でも今の私は朝潮型である必要があるんです」

利根「分からん! 我輩には全然分からん! 我輩はただ筑摩に側にいてほしいだけなのじゃ!」

霞「っ!」

筑摩「ごめんなさい。でも私はまだ……」

利根「こんなに言っても分かってくれんのか! 筑摩なんてきら――きら――きら……筑摩のばかものぉ!」

筑摩「姉さん!」


朝潮「筑摩。もう十分です。すぐに利根さんの所へ行ってあげてください」

筑摩「でも……」

満潮「あー、もう! うざいのよ! あんたは初めっから利根の妹の筑摩でしょうが! こんなとこで油売ってないで、とっとと利根のとこに行ってきなさい!」

霞「……妹は姉を尊重するもんだって、筑摩は言ったわよね」

筑摩「……はい」

霞「だったら行きなさい。そして戻ってこないで。朝潮型にあたしの妹はいないのよ」

筑摩「……この一週間、皆さんにはお世話になりました」

霞「あたしもこの一週間……本当に楽しかったわよ」

朝潮「利根さんなら大丈夫ですよ。あなたを信じていますから」

筑摩「ありがとうございました……待ってて、姉さん!」


霞「……」

朝潮「行きましたね」

霞「ほんと……世話の焼ける妹だこと」

朝潮「満潮と霞もありがとう」

満潮「ふん! あたしは自分が感じたままに言っただけよ!」

霞「あたしも……だけど……朝潮。あんたでもあたしたちに側にいてほしいの?」

朝潮「当たり前じゃないですか」

霞「……なら、今日だけは一緒に寝てあげてもいいわよ。今日だけなら……」

朝潮「ありがとう」

霞「でも朝潮もあんまり口うるさくしないでよね……あたしたちはもうあんたが思ってるほど子供じゃないんだから」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


筑摩「おはようございます……」

古鷹「おはようございます。顔色が優れないみたいですけど、まだ利根とは?」

筑摩「いえ、姉さんとはすぐに仲直りしたんですけど、一週間もあってなかったら……色々と我慢できなくなってしまって」

古鷹「続きを聞くのが少し怖いですよ?」

筑摩「姉さんを抱きしめて眠ってたら腕が痺れて動かなくなっていて……」

古鷹「……筑摩はぶれませんね」

筑摩「褒め言葉ですよね?」

古鷹「そうそう、朝潮ちゃんですけどさっきまで来てたんですよ。筑摩にお礼を言ってほしいって」

筑摩「今回、私は何も……」

古鷹「でも解決したって感謝してましたよ? 最初に教えられた方法を使わずにすんでよかったとも」

筑摩「最初……ああ、それはよかった」

古鷹「どんな方法を教えたんです?」

筑摩「単純に泣き落としてみては、と」

古鷹「ああ……それはそれで分かりやすかったんでしょうけどね」

筑摩「諸刃の剣でもありますけどね。今回は逆にすごく多くの方のお世話になった気がします……」

古鷹「いいじゃないですか。私たちの関係はきっとそうやって巡るんですから」

急に妹ができて姉をやりたい霞がメインみたいになってしまった
あとせっかくの安価なのに、自分で書く展開がワンパターンになってる気がしてるので反省はしている

しばらく席を外すので
>>62 艦娘
>>63以降でその艦娘の悩み

加古

不眠症

眠すぎて逆に眠い

肩こり

>>64
眠りすぎてか?

加古で不眠症、了解です。22時半ぐらいを目安に投下できれば

ちょっと短めだけど投下。そして重巡は書きやすい


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


古鷹「おはようございます」

加古「おっはよー」

筑摩「おはようございます。珍しいですね、加古さんが一緒なんて」

古鷹「ええ。実は今日の相談相手は加古なんですよ」

加古「これでも困ってんだよ、あたしぃ」

筑摩「何にお困りなんです?」

加古「不眠症なんだ。本当なら今日だってまだ寝てる時間なのにさ~」

筑摩「それはお気の毒に……ちなみに今日は何時間ぐらい眠ったんですか?」

加古「12時間」

筑摩「もう一度」

加古「12時間」


筑摩「それは寝不足じゃないんじゃ……」

加古「普段は16時間寝てるのに12時間だよ!? 4時間も不足してるのに、これが寝不足じゃなくってなんなのさ!」

古鷹「落ち着いて、加古。ごめんなさい、寝不足でちょっと気が立ってるの」

筑摩「はあ……」

加古「一日4時間でも一週間あったら丸一日以上眠れないことになるんだよぉ……」

筑摩「本当に猫みたいですね。それで古鷹さんとしてはどうなんです?」

古鷹「私は加古とお話しできる時間が増えるから、今のままでもいいんですけど加古が辛そうで……」

加古「眠らせてくれよぉ……あたしゃ三年寝太郎になりたいんだよ……」

筑摩「その不眠症はいつから始まったんです? それと軍医先生に診てもらったほうがいいんじゃないですか?」

加古「寝つけなくなってきたのは一週間かそこら前だよ。先生にはもう睡眠薬をもらったんだけどさ、あたしらって病気になりにくい代わりに薬も効きにくいでしょ?」

筑摩「じゃあ一週間前から何か変わったことは? よくストレスが溜まったりすると眠れなくなるって言うじゃないですか」

加古「心当たりはないんだよね……出撃編成も特に変わってないし、原因なんて思い当たらないよ……」

筑摩「お酒を飲んでみては? 途中で寝起きしやすくなりますけど、最初に眠るきっかけぐらいにはなるかも」

加古「自慢じゃないけど、あたしって隼鷹と飲み友達やれるぐらいには飲めちゃうんだよね」


筑摩「これは……お手上げかもしれませんね。いっそ頭を強打して気絶させましょうか?」

加古「やめてよ、死んじゃうし。戦闘で砲弾まともに食らったって簡単に気絶できないのに……」

古鷹「私も加古が傷つくのは承服できません」

筑摩「では古鷹さんが子守歌を歌うとか添い寝をしてあげるとか。リラックスして体が温かくなっていけば自然と眠れるはずです」

古鷹「名案ですね!」

加古「歌はともかく添い寝はちょっと……古鷹、すぐにライト付けるんだよ?」

筑摩「つまり探照灯を付けないなら」

古鷹「合法的にですね!」

加古「いや、ちょっまっ」

古鷹「加古の悩みはすっかり解決しましたよ!」


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筑摩「私と姉さんはもう少しプラトニックなんですけどね……まあ古鷹さんが喜んでたし、これでいいのかな」

解決してない気がするけど、こういうこともあるってことで一つ

>>73 艦娘
>>74以降 艦娘の悩み

阿武隈さんが忙しすぎるのをなんとかしたい

響にて多忙のアブゥをなんとかしてあげたい。了解です

持ってる史実の知識が偏ってる上に古いから、今回の組み合わせはすごく勉強になりました
短いですが、未だに頭の中をあれこれがぐるぐる回っていて吐き出せないのでご了承を


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


筑摩「ゆうべはお楽しみでしたね」

古鷹「なんなんですか、いきなり?」

筑摩「なんとなく言った方がいい気がしただけです。それで今日の相談は?」

古鷹「ええと、青葉によると……響さんですね。阿武隈さんが忙しすぎるのをなんとかしてあげたいそうです」

筑摩「ちゃんとした悩みなんですね、今回は」

古鷹「いつもちゃんとした悩みじゃないですか?」

筑摩「……そうでしたっけ? とにかく響さんにお話を聞いてみましょうか」



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響「響だよ。ヴェールヌイでもあるけど、どっちがお好みだい?」

筑摩「馴染みのある響のほうで呼びますね」

響「ありがとう、筑摩さん。それで改二に改装されてからの阿武隈さんなんだけど、ちょっと酷使されすぎじゃないかって思うんだ」

筑摩「そうですね……甲標的や大発といった特殊な装備を積めるように改装されたから、各方面で引っ張りだこですからね」

響「必要とされることはもちろんいいことだと私だって思ってるよ。だけど阿武隈さんにばかり負担がかかりがちな現状はどうかと思うんだ」

筑摩「うーん……響の言うことはもっともだと思うんですけど、今の阿武隈さんの代わりができる人もいないんですよね」

響「それは認めざるをえないね」

筑摩「遠征一つ取っても敵地から資源を奪取してこようとすると高速の艦隊じゃないと補足されかねないですし、そういう環境下だと時間効率の上がる大発も代えがたい装備ですから」

響「つまり、どうにもできない?」

筑摩「あの人の確保してきた資材で私たちの作戦行動が支えられてるのは紛れもない事実ですからね」

響「……だったら司令官に直談判してみるのはどうかな?」

筑摩「名案とは思えないかな。提督は確かに私たちを気遣ってくれますし自由にあれこれさせてくれますけど、任務への線引きがしっかりしてますし」

響「それもそうだったね」


筑摩「ですから別の考え方をしましょう。阿武隈さんの代わりはできないし出撃回数もおそらく減らしてあげられないなら」

響「出撃の負担を減らしてあげる、とかかな? どうしたらいいのか見当もつかないけど」

筑摩「後は響が大発を装備できるようになるとか……」

響「艤装をさらに改造してもらうとか?」

筑摩「ロシアというのは畑から兵士が採れるそうですし響ならあるいは」

響「いやいや、私も大発も関係ないし昔の時代の話じゃないか。それに私の艤装はもう改造の余地がほとんどないからね。他の誰かに将来期待したいけど……」

筑摩「そうなると響の言った負担を減らしてあげる方が現実的な気がしますね」

響「私は作戦から帰還してすぐに好きな物が用意されてると嬉しいな。暖かい寝床、おいしい食べ物、ゆっくり眠るだけの時間。それからウォッカがあれば文句なしだ」

筑摩「私なら姉さんがいれば十分ですね」



響「逆に苦手なものを遠ざけておくとか」

筑摩「阿武隈さんに苦手があるんですか?」

響「北上さんが苦手らしいよ。前髪をすぐ崩しに来るらしくて」

筑摩「じゃあ北上さんを近づけないようにするんですか? 現実的じゃないと思いますよ」

響「同感だよ。それに本末転倒というか、目的も手段も行方不明じゃないか」

筑摩「確かに。難しい問題ですね」

響「……もう一つ、阿武隈さんが苦手にしてるものがあるらしい」

筑摩「それは一体?」

響「駆逐艦、だってさ。どこまで本当か分からない、あくまで噂なんだけどね」

筑摩「……もしかして、それで阿武隈さんに?」

響「あの人が忙しそうだからなんとかしてあげたいのは本当だよ。ご機嫌取りをしたいわけでもない……はずかな。ううん、やっぱり機嫌を取りたいのかも。
  阿武隈さんとは前に何度か任務で一緒になったことがあるし、軍艦としての経歴も含めればもっと付き合いが長くなるんだ。そんな人だから……感傷だね。嫌われていたくない」

筑摩「では決まりですね。今度戻ってきた時に何か差し入れて、それから一緒に感謝を伝えればいいと思いますよ」



響「もし私を、駆逐艦が嫌いだったら?」

筑摩「その時はウォッカを飲みながら愚痴って酔い潰れて二日酔いで苦しめばいいんです。もちろん私も一緒に、ですけど」

響「……重巡っていうのは剛毅なんだね」

筑摩「私からすれば駆逐艦のみんなの方がよっぽど勇敢ですから」

響「ありがとう、決心がついたよ。どっちに転んでも、あなたとはゆっくり飲みたいな」

筑摩「ええ、楽しみにしてますね」


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古鷹「首尾はどうでした?」

筑摩「……分かりません。でも約束をしました」

筑摩は近い内に響と一緒に酒を飲むのが分かっていた。

何故なら響のもう一つの名は信頼できる、という意になるのだから。

彼女は胸の内で呟く。どうせ酔い潰されるのなら、笑いながら潰れたいと。


この話はもっと掘り下げて書かないといけない気がするのだけど、今は手を出せないというか追いつけてない感じがする
無念だ……ともあれ、今夜は安価を出して休みます

>>83 艦娘
>>84以降 その艦娘の悩み

グラーフ

五十鈴

五月雨

鎮守府に馴染めない

弾薬は枯渇すれど秋月は出ず。
もう残り二日は二回程度ずつE3回して秋イベも終わりかな
プリンにグラーフ、ゆー、春雨にぴゃんと五分勝ちどころか十二分に成果があったし望みすぎか

戯れ言はともかく、遅くなりましたがグラーフで。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


古鷹「おはようございます!」

筑摩「……ぉはよう、ございます」

古鷹「顔色が冴えないですね?」

筑摩「……昨日、響と一緒に飲んで……ウォッカは酔いにくいって言うからついつい飲んだら」

古鷹「あの子のペースに合わせたらそうなりますよ。酔いにくいと酔わないは別物ですし」

筑摩「あと姉さんに酒臭いって怒られて……」

古鷹「あー、そっちのほうが筑摩には効きそうですね」

筑摩「本当に……でも湿っぽい話にならないでよかったです」

古鷹「一応聞いておきますけど吐きそうですか?」

筑摩「大丈夫です……ちょっと体と気持ちが重たいだけですから……」


古鷹「分かりました。ところでドイツと言えばビールですよね!」

筑摩「この流れでお酒の話ですか?」

古鷹「今日の相談相手はドイツのグラーフさんなので」

筑摩「飲み友達になってくれとかなら隼鷹さんのほうが……」

古鷹「いえ、この鎮守府に馴染めないというのが悩みだそうなので」

筑摩「うーん……」

古鷹「どうしました?」

筑摩「こういうのは私よりも同じドイツのプリンツさんやレーベたちに話したほうがいいような気がして」

古鷹「なるほど。でも異邦の地から来た旅人は異邦に生まれた友人を求めたくなるんじゃないですか?」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


筑摩「グラーフ・ツェッペリンさん?」

グラ「Guten Morgen! 貴女が私の相談相手だな」

筑摩「はい、筑摩と申します」

グラーフ「ツィクマだな、覚えておこう」

筑摩「はい、ちくま、です」

グラーフ「チィクマ? すまないな、どうも日本の名詞というのは発音が」

筑摩「いえ、私も実は気にしてないので言いやすいように呼んでください」

グラーフ「感謝する、ツィクマ」

筑摩「いえいえ。それでまだここに馴染めてないとか?」

グラーフ「率直に言うとその通りだ。ここはいい場所だとは思うが、どうしても私は着任してから日が浅いし日本の文化にも接点がなかった」


筑摩「なるほど。ここではどなたとお知り合いに?」

グラーフ「Admiralと秘書艦チョーカイに正規空母のアカギやカガたちとは面識がある。後は同じドイツの駆逐艦姉妹とUボート、プリンツ・オイゲンぐらいか」

筑摩「それと今なら私ですね」

グラーフ「……ああ、そうだ。ツィクマがいる」

筑摩「うふふ、そうだ。グラーフさんはここにはどんな施設があるかはご存じで?」

グラーフ「見取り図なら頭に入っている。入っているとも」

筑摩「では一緒に見て回りましょうか。グラーフさんの話も聞いてみたいですし」

グラーフ「ああ、頼む。いや、お願いする……そう、お願いするだ」


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筑摩「――こちらが工廠ですね。工作艦の明石さんが中心になって兵装の開発や艤装の整備点検などもやっています」

グラーフ「本土でもないのに大した設備だ。私の知っている工廠はもっと貧相だった」

筑摩「トラック諸島は事実上の最前線ですからね。工廠は特に重要な施設だから大和型の艦砲にも耐えられるように設計されてますし」

グラーフ「私は場ち……なんでもない」



筑摩「ここは補修用のドックですね。今は誰も使用してませんけど、海上から直接出入りできるようになっています」

グラーフ「あまり世話にはなりたくないが……」

筑摩「そうもいかないのが戦闘ですので……この時間だと水雷戦隊同士の演習をやってるはずですね。見に行きますか?」

グラーフ「ああ。自分の僚艦になるかもしれないんだ。動きは把握しておきたい」


グラーフ「そういえばツィクマの艦種は重巡洋艦になるのか?」

筑摩「私と姉さんは厳密には航空巡洋艦ですね。作戦に合わせて水上爆撃機を運用したり、逆に重巡洋艦としての機能を活用したりと、こう見えても器用なんですよ」

グラーフ「私も空母だがそれなりの火砲を持ち合わせているぞ。生かせるかは分からないが……」

筑摩「できる限り空母を砲戦距離に入れるわけにも行きませんからね……」



筑摩「演習、どうでした? レーベたちも参加してるとは思ってませんでしたけど」

グラーフ「駆逐艦というのはすごいな……まるでWildkatze……山猫のようだ」

筑摩「ええ、みんなすごいですよ。私も巡洋艦の端くれですから砲雷撃戦もやりますけど、あの子たちみたいに軽量化された艤装で肉薄するのは怖いですから」

グラーフ「それに……贔屓目かもしれないが、レーベとマックスがちゃんとやれてるのを見て安心できた」


筑摩「ここは正門になりますね。門から1キロほど行けば街があります。外出許可がないので今日は出られませんが」

グラーフ「ここは最前線ではないのか?」

筑摩「私たちにも娯楽は必要だろうと提督が誘致したんですよ。それに下手に内地にいるより、ここの方が確実に守れるかもしれませんし」

グラーフ「守りが堅いが故に、か。判断には苦しむな」



筑摩「外周はこんな感じです。午後は中の案内をしますね」

グラーフ「ツィクマ、私はここに馴染めるのだろうか?」

筑摩「私はもう馴染んできてる気がしますよ」

グラーフ「そうか。それは嬉しいな。Uボートや駆逐艦が馴染もうとしているのに、私だけがこのままでいいとは思わない」


グラーフ「ところでツィクマ。貴女、少し顔色が優れないようだが?」

筑摩「実は私、昨日飲み過ぎてまして……それで朝は食欲がなかったので」

グラーフ「不摂生は感心しないな」

筑摩「仰る通りです。グラーフさんはアルコールには強いんですか? ドイツってやっぱりビールが有名ですし」

グラーフ「……期待を裏切ってすまないが私はあまり強くないんだ。Nichttrinker……確か下戸という類なんだ」

筑摩「それは大変かもしれませんね」

グラーフ「というと?」

筑摩「軽空母に隼鷹さんという人がいるんですけど、かなりの酒豪ですから」

グラーフ「そういえば軽空母とはまだ会っていないな。やはり正規空母とは運用や搭載機数が違うのか?」

筑摩「そうですね。その話は間宮さんで食べながらにしましょうか。少し長くなりそうですし」

グラーフ「マミーヤか。カレーを食べてみたが、あの料理は虜になる」


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グラーフ「ツィクマ。君の説明を聞いてると私は正規空母というより軽空母のような気がするんだが」

筑摩「そうですか?」

グラーフ「運用できる艦載機は少ないしグラーフ・ツェッペリンは通商破壊を主軸に置いた運用を計画されていた。これはこの国で言う軽空母の役割ではないか?」

筑摩「じゃあ軽空母でもいいと思いますよ」

グラーフ「それでいいのか?」

筑摩「大事なのは私たちが最善を尽くせるかどうか、ですから。その点では私たちの艦種がどうとかは関係ありませんから」

グラーフ「そういうものか?」

筑摩「私は航巡でもあるし重巡でもあります。両方の側面があるだけで、どちらでも結果を残さなくちゃいけないじゃないですか」

グラーフ「……その通りだ。結果がなくては無為だ」

筑摩「グラーフさん?」

グラーフ「すまない……今のは感傷だ。未完成艦だった、グラーフ・ツェッペリンの」


筑摩「……あら、加賀さんと瑞鶴さんが入ってきましたね。二人だけなんて珍しい」

グラーフ「そうか……」

筑摩「呼びましょうか?」

グラーフ「結構だ、呼びたくない……呼ばないでほしい」

筑摩「……苦手なんですか?」

グラーフ「そうじゃない。今は敬遠してしまったが、苦手とか嫌いとかではないんだ」

筑摩「遠慮、ですか?」

グラーフ「それも違うと思う。正規空母のみなが善き者というのは分かる。しかし不意にklasse……君たちで言う序列のようなものを強く意識させられることがある」

筑摩「序列、ですか?」

グラーフ「ああ、カガとズィーカクを見てると特に感じるんだが」

筑摩「あの二人だと先輩後輩みたいな、ですか?」

グラーフ「それだ。ドイツではそういう区別が薄くて戦艦は戦艦だし駆逐艦は駆逐艦でしかない。だから同じ艦種の中で姉妹艦でもないのに、ああも明確な上下関係があるのは……不思議だ」


筑摩「正規空母の人たちは確かに他より明確だとは思いますけど、私からすればかなり緩いですよ」

グラーフ「そうなのか? ああいうのは多様な艦がいる海軍国家ならではとも思うが、やはり馴染めなくて」

筑摩「もしかして……グラーフさん。あなたは自分が一番下だと感じてるんですか?」

グラーフ「……」

筑摩「日本では沈黙は肯定と見なされますよ?」

グラーフ「……」

筑摩「ここの秘書艦ですが」

グラーフ「チョーカイ?」

筑摩「ええ、鳥海さんは着任は私よりも後でした。つまりグラーフさんが気にする序列で言えば私より下でした。さらに言えば、私たちの前には50人以上の艦娘がすでに着任していました」

グラーフ「ならば彼女はどうして秘書艦になったのだ? Admiralの趣味か?」

筑摩「その可能性は否定しませんけど違うと思います。あの人は常に最善を尽くそうとしてきた結果、あそこにいるんです。というよりみんなが最善を尽くそうとしてきた結果が今なんです」

グラーフ「……励めと言いたいのか?」


筑摩「いえ。序列なんてあってないようなものです。表面的にはともかく、ここを動かしているのはそんな慣習じゃないんです。現にあれを見てください。加賀さんと瑞鶴さんを」

グラーフ「ズィーカクがカガに勝ち誇っている……? カガが悔しそうにデザートを渡している」

筑摩「何かで勝負をして瑞鶴さんが勝ったんでしょう。あの二人の間には確かに上下関係が存在してますが、それが全てではないということです」

グラーフ「……ありがとう。私はつまらないことで悩んでいたんだろうな」

筑摩「……悩みにつまらないことなんてありませんよ。抱えてしまったら、いつだって深刻ですから」

グラーフ「そうか……ツィクマ。本当にありがとう。今日のことは忘れないようにする」

筑摩「ありがとうございます。でも一つ間違えてますよ」

グラーフ「何?」

筑摩「午後はこれからですよ。グラーフさんには姉さんも紹介したいですし。あ、利根姉さんは天使……Engelですから」

グラーフ「天使か……ふふっ、君が言うならそうなんだろうな。楽しみだ」

ドイツ語はシュとかツィを使っとけというイメージがある。
表記は手元の辞書とネットで二重チェックしたので大丈夫だと思いたいけど、にわかなんで活用やら用法的に間違ってたらすまない。

>>100 艦娘
>>101以降 艦娘の悩み

思い浮んだのが軽そうなら今夜の内に頑張る

五月雨

安価先ミスってね?
取り敢えず夕張さんと喧嘩しちゃったから仲直りがしたい

安価ミスってますけど、こういう時は順次下にずらして考えてください。

というわけで五月雨で夕張さんと喧嘩しちゃったから仲直りがしたい、で行きます

慣れてないのならレス番指定じゃなくて下○形式にすればいいかも

>>105
ですね。最初はそうしてたのに途中から指定してました。これが慢心……

ちょっと席を外すので、投下しつつ今回は変則的に分岐っぽく安価取ります


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


利根「あのグラーフというやつ、なかなか面白いやつじゃな」

筑摩「ええ。友人になれてよかったです」

利根「最近は筑摩も色々やってるようで吾輩もなんだか嬉しいのじゃ!」

筑摩「私もそんな姉さんが見られて嬉しいですよ」

五月雨「筑摩さーん!」

利根「む、あれは五月雨か。筑摩よ、何か約束しておるのか?」

筑摩「いえ、五月雨とは何も」

利根「そうか……しかし、あやつは何もないのに転ぶと見た!」

筑摩「姉さん?」

五月雨「あっ、ちょっ、あっ!」

利根「そうはさせん!

五月雨「ああっ!」

利根「――転ぶ前に抱き止めたからセーフじゃな」

筑摩「さすがは姉さんです!」

利根「この程度、大したことはないのだ!」

五月雨「あ、ありがとうございます……」


利根「礼には及ばぬ。それで筑摩に何用じゃ?」

五月雨「はい、筑摩さんが最近皆さんの悩みを解決してくれてるって聞いて……」

筑摩(向こうから来た……ということは認知されてきてる? つまり姉さんの素晴らしさをアピールするチャンス!)

筑摩「ええ、微力ながらお手伝いしています。利根姉さんが私を立派に育ててくれたので!」

利根「吾輩にはそんな覚えはないぞ……」

五月雨「わぁ……あの、私の悩みもいいですか?」

筑摩「もちろんです。何せ私は利根姉さんの妹ですから!」

利根「吾輩は関係ないと言ってるだろうに……」

五月雨「あのですね、夕張さんとケンカしてしまって仲直りしたいんです」

筑摩(夕張さんなら根に持つタイプじゃないから気が楽ですね)

利根「なんでまた夕張とケンカしたんじゃ?」

五月雨「それは……」


安価↓3までで多数決

1. 最近見たアニメの感想が対立した

2. 試験中の兵装を台無しにしてしまった


どっちも軽めの予定ですが、原因がどっちにあるのかは分岐します。

2

2


五月雨「夕張さんが試験してた兵装を私が台無しにしちゃって……」

筑摩(夕張さんが怒るのももっともですね……)

利根「一体どんな兵器を使っておったのじゃ?」

五月雨「あれは……」


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─────


夕張「うーん……やっぱりそろそろ新型が必要ね」

五月雨「何を悩んでるんですか?」

夕張「ちょっとね。最近は練習巡洋艦の鹿島や陽炎型にも新しい子が二人来たじゃない」

五月雨「嵐ちゃんと萩風ちゃんですね!」

夕張「はっきり言って彼女たちの練度はまだまだ低いじゃない。でも最近は香取でさえ前線に出ることがあるぐらいだし、あの三人もそうなる可能性があると思うのよ」

五月雨「そうならないように五月雨たちが頑張れば……」

夕張「それはそうでも限界はあるでしょ。そうでなくとも深海棲艦だって新手の姫とか出てきてるのに」


五月雨「じゃあ、どうするんです?」

夕張「そこで新兵器の出番よ。例えば改修を重ねた主砲や電探は練度の高い艦娘が扱えば、相応の成果を挙げてくれるでしょ?」

五月雨「ええ。何度か使わせてもらいましたけど、よく当たってくれますよね」

夕張「でも改修には専用の資材が必要だから全艦に行き届かないのが現状だし、大規模作戦を展開するなら主力艦に優先配備されてしまうでしょ?」

五月雨「あうっ、確かに……」

夕張「そこで基本に立ち返って、誰が扱っても一定以上の戦果を挙げられる兵装を模索すべきなのよ。当たりやすい砲、安定して飛ばせる艦載機、手入れのしやすい機関とかね」

五月雨「夕張さん、そこまで考えて……」

夕張「実は前から図面は引いてて試作型も作っていたのよ。早速テストしなきゃ」

五月雨「私にも手伝わせてください!」

夕張「本当? 助かるわ、さっそく曳航しましょう! 海上でテストよ!」

五月雨「名前は決まってるんですか?」

夕張「もちろん。夕張式パンジャンドラム……バリジャンドラムよ!」



五月雨「あのぉ……これはどう使うんですか?」

夕張「パリジャンドラムは曳航していって砲撃戦の最中に切り離せばいいのよ。後は点火したロケットが動力になって車輪が水上を掻き分けてくし、内蔵した電探が標的まで誘導していくから」

五月雨「切り離しは砲撃戦中にですか? 航行の邪魔になっちゃうような……それにちょっとの至近弾とかでも誘爆しませんよね?」

夕張「う……そうね、そこは早速の改善点だわ。射程を延長すれば、今の二つの問題は解決よね! 誘爆は魚雷でもするんだし!」

五月雨「さすが夕張さん!」

夕張(ロケットシステムの燃料を増やせばなんとかなる……かしら?)

五月雨「三つもくっついてるんですね、これ」

夕張「切り離し時に時間差で分離するから干渉はしないわよ。しかもドラム缶を改造して作れるから安価なのよ」

五月雨「お得なんですね!」

夕張「そうなのよ。浮いた分の予算でIFFも組み込んでみたから艦娘と深海棲艦を区別するという優れ物!」

五月雨「誤射の心配もないんですね!」

夕張「後は問題なく動くかどうかよ。さあ、発射しちゃって五月雨ちゃん!」

五月雨「行きます! やぁーっ!」

夕張「切り離しは……成功! やったわ、五月雨ちゃん」


五月雨「……う~ん」

夕張「あ、あれ? 何か気づいたとか?」

五月雨「あの速度じゃ命中前に余裕で迎撃できるんじゃないですか?」

夕張「それもそうね……でも待って。砲撃と同時に使用すれば相手の火線が分断されるから、少なくともデコイにはなるわ!」

五月雨「なるほど! あ、見てくださいよ、水面でドラムが跳ねてますね! そうか、反跳爆撃も可能なんですね!」

夕張「そ、そうなのよ!」

夕張(あんな挙動しないはずなのに……どこで間違ったの?)

五月雨「あれは……?」

夕張「方向制御を間違ったみたいね……海中に向かって進もうとしちゃってる……」

五月雨「……なんだか蝉爆弾みたいですね」

夕張「で、でもまだ残り二つは健在だし!」


五月雨「あ! ドラム同士がぶつかって変な方向に!」

夕張「そ、そんな時のための電探だから!」

五月雨「でも、ちっとも誘導されてないような……」

夕張「そうね……予想外の振動で破損しちゃってるのかも」

五月雨「こっちにUターンしてきましたね」

夕張「燃料はまだ残ってるから進路上から離れておきましょうか」

五月雨「……夕張さん、バリジャンドラムがついてきてるような」

夕張「……五月雨ちゃんもそう思う?」

五月雨「なんか急に加速してきましたよ!」

夕張「なんで!? そんな機能はないのに!」

五月雨「げ、迎撃します!」


─────────

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─────


五月雨「……ということがあって砲撃で沈めてしまって。夕張さんもそれ以来、口を利いてくれなくなっちゃって……」

利根「なんということを……」

五月雨「私、どう謝れば……」

筑摩「何も謝る必要はないですよ。だって五月雨が悪いとは思えませんから」

利根「夕張め……何に影響を受けたか知らんが訳の分からん物を作りおって!」

五月雨「あの、夕張さんは本当に悪くないですよ! 夕張さんは真剣に考えてくれて」

利根「それは分かっておる」

筑摩「よかれと思ったことが裏目に出てしまうのは仕方ありません……それでも今回はやりすぎですし、何よりあなたに口を利かないのが面白くありません」

利根「うむ、けじめは付けに行く必要があろう」



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


翌日、五月雨に土下座する夕張の姿が見られたとかなんとか。

五月雨は夕張に謝ってほしいという気持ちは微塵もなかったので困ったようだが、夕張の態度もあってすぐに仲直りしていた。

夕張が五月雨と口を利かなかったのは新兵器に失敗したショックと、何よりも友達の五月雨を不用意に危険な目に遭わせてしまったという自責の念からだった。

些細な間違いが大きな誤解を生むが、大きな誤解は小さな気遣いで解消する場合もある。

かくて鎮守府はこの日も平常運行だった。

今日は酒も飲んでないのにバカなことを書いたと反省してる。本当です、信じてください!

パンジャンドラムの行き着く先はバトルシップのあれかガンダムのバグか……どっちにしろ使われる方には恐怖にしかならないと思ってる
今夜は休みますが、もう少しやれそうな気がするので安価を出しておきます

下1 艦娘
下2以降 その艦娘のお悩み

ジャニーズの嵐のネタをよく振られて困っている

出先から失礼するのとテスト


古鷹「早速ですけど、今回は嵐ちゃんから。ジャニーズの嵐のネタをよく振られて困っているそうですよ」

筑摩「これは那珂ちゃんに任せましょう。なんといっても艦隊のアイドルですから」

古鷹「投げるの早くないですか?」

筑摩「姉さんにしか興味がないので……さすがに嵐に振られるのが薬物どうこうなら別ですけど」

自分のアンテナが短くて申し訳ない

安価直下 艦娘
安価下2以降 そのお悩み

卯月

いたずらのネタをください


筑摩「大体、私がアイドルに詳しいはずなんてないのに……」

古鷹(結構気にしてますね……今までが順調すぎただけの気もするけど)

古鷹「気を取り直して次にいきましょう。今の筑摩にはちょうどいいかも」

卯月「うーちゃんだっぴょん!」

筑摩「……どうしたの、うーちゃん?」

卯月「イタズラのネタがほしいっぴょん」

筑摩「イタズラをやめなさいって言いたいけど」

卯月「イタズラしないうーちゃんなんて24時間起き続けてられる加古さんだっぴょん!」

古鷹(加古っぽくないな、それだと。らしくないってこと?)

筑摩「姉さんのいない私みたいなものですか」

卯月「それは違うっぴょん!」

筑摩「……たまには私もイタズラしてもいいのかもしれませんね。うーちゃんは誰にイタズラしたいの?」

安価下2まででターゲット。
複数、重複可。鎮守府にいる者限定。
相手見て何するか考えます。

龍田

提督

香取


卯月「龍田と司令官ぴょん」

筑摩「この際だから理由は聞きませんけど命知らずな相手を……」

卯月「うーちゃんだって普通のイタズラには飽きたぴょん。もっと攻めのスタイルが必要ぴょん」

筑摩「それなら……まずは二人を執務室に閉じこめて」

卯月「ふむふむ」

筑摩「それから窓や天井から何か……シッパイペンギンと謎綿をたくさん入れてみるとか」

卯月「執務室に屋根裏はないし、あそこの窓はそんなに開かないぴょん」

筑摩「……何か備品を貴重な装備にすり替えておくとか。机の上に電探とか」

卯月「ぷっくぷー! それはサプライズでもイタズラじゃないぴょん!」

筑摩「じゃあ提督に夜戦したくなるような薬を盛っておくとか」

古鷹(さらりと物騒なこと言うなぁ……)


卯月「ぴょんぴょん、他にはどうするぴょん?」

筑摩「提督には十分でしょうし、龍田さんには人に見られたくないような物を提督のそばに置いておくとか」

卯月「そんなの……あるぴょん! 龍田の日記ぴょん。仕掛けるぴょん!」

筑摩「よかった、これで解決ですね」

卯月「何言ってるぴょん? うーちゃんが司令官になかなかイタズラできないのは秘書艦がいるからぴょん。筑摩にはちょっとの間、鳥海を連れ出してほしいぴょん」

筑摩「ああ……もうすっかり共犯ですね」

卯月「失敗しても筑摩の名前は出さないぴょん!」

筑摩「……ありがとぴょん」

古鷹(口癖が移ってるぴょん)


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


イタズラ決行の日、筑摩は遠征帰りの龍田が提督の元に報告に行く頃を見計らって鳥海を連れ出していた。

一方、昼食に一服盛られていた提督はこの時すでに悶々としていた。

下半身は甘い疼きを絶え間なく訴え、集中していた血流が見栄えよく歩くのを不可能にしている。

幸運と言うべきか提督は仕事中に立ち上がる必要が少ない。

彼は耐える。理性と倫理を総動員して第一線を死守していた。

だが龍田の登場によって、それも瓦解しようとしていた。

彼女の声は甘い。一度聞けば簡単には忘れられない深い味わいがあるのだ。

加えて龍田という艦娘は着衣の上からでも肉付きのいい体をしているのが分かる。

露出が控えめであるからこそ、それは提督の雄を刺激した。


しかし提督は最後まで踏みとどまる。

彼の理性が衝動を抑え込んだわけではない。

本能が彼の欲求を留めたのだ。

矛盾が起きたのは今朝方から提督の机に置かれていた私物が理由だった。

その私物は日記だった。提督は知らないが龍田の日記で、彼は最初の数ページを読んで悟った。

それを読むのは危険だと。

龍田の反応から、それが龍田の私物だと気づいた提督はそれをすぐに返した。


龍田も龍田で、仮に日記を読んでいた場合に反応する単語をいくつか投げかけたが、提督が特別な反応を示さないのを見届けた。

もちろん提督の様子が普通でないのには気づいているが、彼女には自分の日記が執務室に置かれていることの方が一大事だった。

結局、微妙な均衡を保ったまま龍田は報告を済ませ部屋に戻っていく。

入れ違いに鳥海が戻ってくると提督は即座に部屋に鍵をかけるよう命じた。

彼の我慢は限界だった。

昼に夜戦をしてはならない理由はない。


─────────

───────

─────


龍田「あらあら……」

彼女と天龍の部屋にはシッパイペンギンの群れと謎綿の山で溢れかえっていた。

龍田は日記を秘密のはずだった隠し場所に戻すと、近くにいたシッパイペンギンを掴み上げる。

彼女は最高にクールな微笑みを浮かべていた。

龍田「うふふ、死にたい艦はどこかしら♪」

こんな感じでよかったのだろうか……

安価直下 艦娘
安価下2以降 その艦娘の悩み

天龍

天津風

みんなが怖がらない

ずっと眼帯付けてたらものもらいができて痛い

なんという時間差…ともあれ天龍でみんなが怖がってくれない、でいきます


筑摩「うーちゃんはすぐに捕まりました」

古鷹「龍田さんの笑ってるのに笑ってない目が印象的でしたね」

筑摩「うーちゃんはイタズラするぴょん! でも迷惑はかけないぴょん!」

古鷹「それが弁解の言葉でした」

筑摩「うーちゃんは私が関わっていたのを決して言おうとしませんでした。だから私はうーちゃんなりに筋を通しているのを決して忘れないでしょう」

古鷹「トイレ掃除一ヶ月ですか。提督はあまり追求する気がなさそうでしたね」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


古鷹「ええと、次はこの方ですね」

天龍「天龍だ。フフフ、怖いか?」

筑摩「おはようございます、天龍さん」

天龍「お、おう……おはようございます」

古鷹「天龍さんは何をお悩みに?」

天龍「それだよそれ、今の筑摩みたいな態度だよ」

筑摩「何か粗相が?」

天龍「誰もオレを怖がってくれねーんだよ」

筑摩「怖いかと聞かれて怖いなんて言う人がいますか」

天龍「す、すまねぇ……じゃなくて頼むよ! 本当は怖そうな艦娘ランキングで必ず上位に入ってくる筑摩ならいい方法を知ってるはずなんだ!」

筑摩「私って怖いんですか……?」

天龍「ああ、いや……あくまで印象の話だからな?」

古鷹(こういうフォローができちゃうところが怖がられない理由なんでしょうね)


筑摩「それじゃあ天龍さんはもっとみんなから怖がられたいんですか?」

天龍「おうよ!」

筑摩「怖がられてどうするんです? みんなから色目で見られたいんですか?」

天龍「いや、それはほら……かっこよさそうだし?」

筑摩「そういうこと言ってるから怖がられないんですよ」

天龍「お、おう……」

筑摩「大体ですね、天龍さんは先輩じゃなければ天龍ちゃんって呼びたいぐらい、天龍ちゃんが似合ってるんですよ」

天龍「ちゃ、オレのどこにちゃんの要素があるんだよ!」

筑摩「どこって、どこからどう見ても天龍ちゃん要素ばかりじゃないですか。強がってるくせに微妙な戦闘能力、駆逐艦の子たちには大人気、そのメリハリの利いたボディ、夏には真っ先に水着で遊びに行くところとか実に天龍ちゃんじゃないですか」

天龍「それでもオレは……」

筑摩「それでもまだ怖がってもらいたいなら、龍田さんを本気で怖がらせるようになってください。そうなれば誰もがあなたを怖いと思ってくれますから」

天龍「言ったな? 絶対に龍田を怖がらせてきてやるからな!」


─────────

───────

─────


古鷹「行っちゃいましたね。よかったんですか、あれで?」

筑摩「ええ。天龍ちゃん……さんはあれでいいんです。もし本当にみんなから怖がられるようになってしまったら、もうそれはきっと私たちの知らない天龍さんでしょうから」

古鷹「あ、龍田さんを怖がらせられない前提なんですね」

筑摩「天龍さんにできると思いますか?」

古鷹「私個人は物事に絶対はないと思いますけどね。十中八九無理だと思いますけど」

筑摩「では少しは可能性が?」

古鷹「ないですね」

向き不向きってあると思います。
今夜はここまで。そして、そろそろ畳み時なのだろうかと思案中。

ともあれ今回も安価を取ります
安価直下 艦娘
安価下2以降 その艦娘の悩み

まるゆ

もっと皆の役に立ちたい

20時頃に投下するので、その前に告知
キャラ安価は今回終了後の分でラストとします
その後は最後に利根からの悩みに答える形で締めたいと思います
もう少しだけお付き合いいただければと願う次第


筑摩「天龍さん、あれからどうなったんです?」

古鷹「最近聞いた話だと、龍田さんを怖がらせようとして逆に怖い目に遭わされたとか」

筑摩「やっぱり天龍ちゃんでしたか」

古鷹「得てして、人には向き不向きがありますからね。今回のお悩みもそういう話かもしれません」

筑摩「というと?」

古鷹「まるゆちゃんが、もっとみんなのお役に立ちたいと」

筑摩「十分すぎるほど今でも欠かせない存在だと思うんですけどね」

古鷹「もうお気づきだと思いますけど、本人がそう考えてない、それか今に不満があるから悩みなんですよ」




筑摩「資材回収のスペシャリストと言えば潜水艦。まるゆさんは特に燃費がいいじゃないですか」

まるゆ「ありがとうございます。でも、それだけじゃダメなんです!」

筑摩「……何があったかは聞きません。それなら、まるゆさんが何か新しいことや今までできなかったことを覚えてみるとか」

まるゆ「できれば何か戦闘で役立つことを……」

筑摩「瑞雲の飛ばし方でも覚えてみますか?」


─────────

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─────


筑摩「この作りの艤装だと雷装を外して改造もしないと瑞雲は積めなさそうですね」

まるゆ「後で頼んでみます。どうせ、まるゆの魚雷は当たっても貧弱ですし」

筑摩「飛ばすには念じれば、後は瑞雲のみんながやってくれるんだけど」

まるゆ「……ダメです、飛んでくれません!」

筑摩「まあ、そうなっちゃいますよね」

まるゆ「こうなったら直接相手に投げつければ!」

筑摩「やめてください。壊れてしまいます」

まるゆ「練習してればいつか飛ばせるようになりますか?」

筑摩「できないなんて断言はしませんよ。ゴーヤちゃんたちだって飛ばせるようになるまで時間がかかってましたし」

まるゆ「……とにかく続けてみます」

筑摩(でも厳しいでしょうね……根本的に彼女にはセンスが欠けてる)


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───────

─────


まるゆ「今日は一日ありがとうございました」

筑摩「ううん、気にしないで」

まるゆ「これでもっとお役に立てるようになれるかも」

筑摩「……あのね、まるゆちゃん。適材適所ってあると思うの。私は基本的に遠征には向かないでしょ? だからまるゆちゃんも……」

まるゆ「まるゆに戦闘は無理って言いたいんですか?」

筑摩「そうは言わないけど、向いてないことで役に立とうとするよりは、もっとできる方面から挑戦していった方がいいと思うの」


まるゆ「まるゆは戦闘でもお役に立ちたいんです。そうすれば、もっとみんなの危険も減らせるのに」

筑摩「そうね、そうかもしれないわね」

まるゆ「筑摩さんはお役に立ちたいから、こうして相談に乗ってくれてるんじゃないんですか?」

筑摩「……違いますよ。もし私が誰かに力添えできているなら、それは結果です。目的じゃなくて」

筑摩(私はただ姉さんの素晴らしさをもっと知ってもらいたかっただけ……本当は悩んでるみんななんて、どこかで二の次だったのかもしれない)

筑摩「だから私は……きっとズルい女なんです」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


古鷹「嫌な言い方すると期待とか希望って誰にでも必要なんですよ。願いがないと辛いでしょ」

筑摩「……はい」

古鷹「今回で最後にします?」

筑摩「……そうします。きっと下心で始めちゃいけなかったんです」

古鷹「願いも見ようによっては下心だと私は思いますけどね」

安価直下 最後の艦娘
安価下2以降 そのお悩み

阿賀野

天津風

最近目が悪くなった

痩せたい

メガネっ娘になるのか阿賀野

阿賀野で目が悪くなった、了解です
今日のうちはおそらく投下できません

風邪の引きはじめでしんどい
ともあれ投下してしまいます


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


古鷹「最後のお悩みはこの方」

阿賀野「最新鋭軽巡の阿賀野でーす! よろしくっ、きらりーん!」

筑摩「よろしく……」

阿賀野「ちょっとちょっと、暗いよ筑摩さん!?」

筑摩「大丈夫です。悩みにはちゃんと向き合いますから」

阿賀野「いいの?」

古鷹「筑摩ならご心配なく」

阿賀野「じゃあ、ちょっと気が引けるけど聞くよ? 阿賀野ね、目が悪くなっちゃったみたいなの」

筑摩「目が悪いなら眼鏡かコンタクトしかないと思いますけど」

古鷹「それか私みたいに探照灯に改造しちゃうとか」

阿賀野「それなら眼鏡かコンタクトかな~。でもな~」


筑摩「何か気になることが?」

阿賀野「どっちも戦闘中に邪魔になりそうだから、あんまりかけたくないの」

筑摩「でも、うちの鎮守府だと眼鏡組って精鋭揃いですよね」

阿賀野「そっか! それなら最新鋭の阿賀野にぴったりじゃない!」

古鷹(精鋭は精鋭だけど、根っからの武闘派揃いでもあるような……)

阿賀野「筑摩さんならどっちがいい?」

筑摩「眼鏡でしょう。ファッションにもなりますし」

阿賀野「うんうん、そういうのもいいじゃない!」

筑摩「それと視力が悪化した原因を取り除かないと、また目が悪くなると思いますよ。何か心当たりは?」

阿賀野「ないんだよね。暗いとこでゲームしないし本も読まないし、どっちも大してって感じだし」


筑摩「じゃ、どんな風に悪くなったんです?」

阿賀野「なんか遠くはよく見えるのに近くが見えないんだよね。日誌とか読もうとすると」

筑摩「老眼でしょうか?」

古鷹「老眼だと思いますよ」

阿賀野「待って待って、最新鋭軽巡なのに老眼っておかしいでしょ。おばあちゃんじゃないんだよ?」

筑摩「老眼は遠くばかり見ているとなりやすいので、いつなるかに年齢はそこまで関係ないような」

古鷹「考えようによっては遠くを見ているのは、見張りを怠っていないからでは」

阿賀野「もちろんだよ! それで酷い目に遭った気がするし」

筑摩「戦闘に関しては今のままでいいのでは? 日常用に老眼鏡など用意すればいいかと」

阿賀野「そうするよ。今度、能代と酒匂誘って見てくるね」

筑摩「お役に立てたようで何よりです」

阿賀野「ほんとにほんとにありがとね!」

筑摩「……こちらこそ」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


古鷹「終わりましたね」

筑摩「ええ……」

古鷹「達成感に欠けてる、なんて考えてません?」

筑摩「そうですね。良かれと思って始めたのに、応えられた気がしてないせいかもしれませんね……」

古鷹「……私たちはいつだって模索するしかないんですよ。最善を尽くそうとして、最善の結果になったことがありますか?」

筑摩「そうですね……今はただ姉さんに会いたいです」

今夜はここまで
最後の安価
下1~3で利根の悩み、もしくはお願い
なるべく全部反映させる方向で行きたいですが
投下は金曜以降になります

筑摩が好き過ぎて胸が痛い

もっと頼りになる姉になりたい

筑摩は筑摩なりに他の艦娘と交友を深めてほしい

>>171-173
ありがとうございます
もう少々だけお付き合いいただければ幸いです

先週木曜にひいた風邪がこじれて、肉体的にも精神的にも荒んでます
今日からやっと書けるようになってきたので20日までには最終分を投下します

なんかもうもっと痛い作者になりたいし愚痴りたいというかいっそかなぐり捨てたい

その一文で十分痛いし愚痴ってるよ
あとはかなぐり捨てれば完璧だね。でも書き上げるの期待してるよ

待ってる

そういう愚痴は愚痴スレでどうぞ
読者は愚痴を読みに来るんじゃなくてSS読みに来てる訳だし

>>1はどうなりたいん?
信者に囲われて絶賛されていたいの?それとも雑談メインで外野が盛り上がるスレにしたいの?
痛い作者になれたんだから捨てるのは見栄にしといて本音を書いてもいいんだよ
でもエタるのは待ってほしい。それは惜しいと思ってる

sage忘れすまん。上から目線みたいなのもごめん

くっさ

愚痴ったことは反省してるけど、書き込んだことには後悔してない
頭に何を飼ってるかも分からないのに、機械のように振る舞えというのは無茶というもの



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


利根「たまには吾輩が筑摩の世話をしようと思うのじゃ」

筑摩「嬉しいような申し訳ないような、複雑な気分です」

利根「なんのなんの。何せ吾輩は筑摩のお姉さんだからな! 妹の世話もできずして何が姉なのじゃ」

筑摩「私はそんなの一切気にしませんけど」

利根「吾輩が気にするのじゃ。もっと筑摩に姉として頼られたいのじゃ!」

筑摩「では何かある時は遠慮なく言ってくださいね」

利根「任せておけなのじゃ!」



利根「まずは掃除からじゃ。がーがー……む、掃除機の効きが悪いようじゃ? 袋の替え時か?」

筑摩「姉さん、コンセントが抜けてますよ」

利根「わ、分かっておるのじゃ! 今のはこっそり見てた筑摩を試しただけだから!」

筑摩「もう姉さんったら」

利根「ほ、本当じゃぞ! さては信じておらんな!?」



利根「ちくまぁ、ちくまぁ! 鍋が、鍋が爆発したぞ!」

筑摩「まあ、きっと不良品だったんですよ」

利根「いつも使ってる鍋なのに……」

筑摩「きっと経年劣化してたんですよ。後片付けは私がやりますね」



利根「気を取り直して洗い物じゃ。洗剤は多めにして……あっ!?」

ツルッ パリーン

利根「こ、これは筑摩のお気に入りの茶碗……欠けてしまったではないか!」

筑摩「それは姉さんとお揃いの……」

利根「ち、筑摩! すまん、許してくれ!」

筑摩「形ある物はいつか壊れますし仕方ありません。それより姉さんこそ怪我はありませんか?」



利根「ちくまぁ、ちくまぁ! ご○ぶりじゃ! ごき○りが現れたのじゃ!」

筑摩「困りましたね」バンッ!

利根「ひっ」

筑摩「ちゃんと捨てておきますからご安心を」

利根「まるで能面のように動じてない……さすがは筑摩じゃ」


利根「いかん、スコールじゃ! 早く洗濯物を取り込まないと……」

筑摩「姉さんは右側から取り込んでください。私は左から」

利根「分かったのじゃ! いや、吾輩一人でもできるぞ!」

筑摩「ごめんなさい、もう取り込み終わってしまったので……」

利根「……むぅ」



筑摩「今日は一日お疲れ様でした」

利根「姉らしいことが何一つできたかったぞ……」

筑摩「私はそんな姉さんの姿を見られただけで今日はいい日でしたよ」

利根「本当にすまんと思ってるのじゃ……」



利根「……やはり吾輩には筑摩の姉は務まらんのか? それならそれでなんとかせねば……」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


利根「筑摩よ、次の休みは何か予定が入っておるのか?」

筑摩「特にこれと言っては。姉さんと過ごせるのなら、それで筑摩には十分ですよ」

利根「気持ちは嬉しいのだが、それは筑摩のためにはならんのではないか? もっと吾輩以外の艦娘とも交友を深めた方がよいというか、あまり吾輩にばかり構わずとも……」

筑摩「なるほど。では姉さん、次の休みは私に付き合ってもらえませんか?」


古鷹「それで私の所へ?」

筑摩「今日は以前の皆さんに挨拶していこうと考えていて」

古鷹「ははあ、それはいい考えだと思います」

利根「筑摩が世話になったようじゃな。感謝するぞ」

古鷹「いえいえ、私はこれと言って何も。利根こそいい妹さんをお持ちで」

利根「まったくだ。筑摩は自慢の妹じゃ!」

筑摩「もう、姉さんったら」

古鷹「いいですね、なんだか。あ、加古も呼んできますね」

加古「もう起きてるよ。おはよーさん……ふぁぁ」

利根「なんじゃ、まだ眠り呆けておるのか?」

加古「うん。またすぐ寝るけどね」

筑摩「眠れるようになったんですか?」

加古「お陰様でね。最近は古鷹を遠ざけた方が眠れるって分かったけど」


古鷹「加古は私がいやなの?」

加古「だから引っ付かないでってば。それとこれは別なんだよー」

利根「乳繰り合うなら、二人だけの時にしてほしいのじゃ」

加古「私たち、そんなのじゃないってば」

古鷹「そうなの?」

利根「どっちでもいいのじゃ。仲良くの」

加古「うん? それはそーだね。じゃあお休み?」

筑摩「まだ寝るんですね……いい夢を」

古鷹「はい、ではまた今度」



利根「猫に構い過ぎたら避けられるようになったものかの、あれは」

筑摩「そうかもしれませんね。スキンシップも程々が肝要ということでしょう」

利根「筑摩もやはりそうなのか? 程々がよいのか」

筑摩「そうですね……今度試してみますか?」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


利根「さて、照月は……肩車しておるようじゃな」

筑摩「私でよろしければしましょうか? 肩車」

利根「なんと! いや、いくら吾輩でもそれはいいのじゃ」

筑摩「そうですか……残念ですね」

利根(筑摩のやつめ、なんという顔をするのじゃ。吾輩だって本当はしてもらいたいのに!)

利根「しかしなんじゃ。よく見ると天津風の連装砲と入れ替わっておるようじゃ」

筑摩「そうみたいですね。天津風の方には長10cm砲ちゃんがいますし」

照月「あ、こんにちは!」

筑摩「こんにちは。今日は逆なんですね、長10cm砲ちゃんと連装砲君」

照月「何日か交換してお泊まりさせてみようっていうことになったんです」

天津風「そうなの。この子には私のとこの方がいいって分からせてあげるんだから」

照月「私だって連装砲君には帰りたくないって思わせてあげますから!」

天津風「……まあ、今はそういう風が吹いてるのよ」

筑摩「上手くやっていけそう?」

照月「もちろんですよ! 背中を押してくれた人もいますし」

筑摩「そう、それならよかった」



利根「張り合える相手がいるのはいいものじゃ。きっと素晴らしいことじゃな」

筑摩「筑摩もそう思います」

利根「筑摩にはそのような者がおるのか?」

筑摩「いえ、私は特には」

利根「なんじゃ、そうだったのか……」

利根(吾輩では不足なのか?)

筑摩「でも、この人の為にならというのはありますよ」

利根「……むぅ。それも尊いのじゃろうな、きっと」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


涼風「じゃあ……ここで八角?」

春雨「うん、ちょっとでいいからね。癖が強くなりすぎるから」

利根「なんだかいい香りがするぞ」

春雨「あ、筑摩さんたち、こんにちは」

涼風「ちわー!」

筑摩「二人で料理ですか?」

春雨「ええ。涼風と二人でさらなる高みを目指して!」

涼風「やるからには突き詰めたくなるってのが人情でさあ」

春雨「一口どうです?」

利根「いただこう……うむ、こいつはうまいぞ!」

筑摩「ええ、白いご飯がほしくなります」

春雨「辛さはどうです? 控えめにしてみたんですけど」


利根「程よい塩梅じゃな」

筑摩「私はもう少し辛くても」

利根「む、では辛い方がよいな」

筑摩「私に合わせなくてもいいのに」

利根「すまんすまん」

涼風「辛みは好みがまちまちだから、調節できる手立てが必要かもなぁ」

春雨「うーん、控えめに作っておいて要望があったらスパイスを後から入れてみるとか?」

涼風「それだと味に馴染むのが遅くなるかも」

春雨「うーん……まずは一回やってみようか?」

利根「邪魔をしては悪いから吾輩たちは行くぞ」

春雨「あ、はい。また今度食べてくださいね」



筑摩「あんなに真剣に作る料理を食べられる方は果報者でしょうね」

利根「そうじゃな。じゃが吾輩には筑摩の料理が一番口に合うぞ」

筑摩「姉さんったら、褒めたって今晩は奮発しませんよ?」

利根「吾輩は正直な感想を伝えたまでじゃ」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


朝潮「こんにちは、お二方」

筑摩「こんにちは、朝潮姉さん」

利根「筑摩?」

筑摩「すいません、つい気が揺るんで……」

朝潮「ちょっと嬉しいですね、筑摩に姉と呼ばれるのは」

利根「むぅ……その気持ちはよく分かる。分かるのだが、なんだか釈然とせんぞ!」

朝潮「まあ一種の暗号だと思っていただければ」

利根「どんな暗号なのじゃ……」

筑摩「あれから皆さんは朝潮の言うことを聞くように?」

朝潮「手探りですね。あれから姉妹みんなで妥協できる点、譲れない点を話し合って、今はすり合わせています」

筑摩「……そうですか」

朝潮「筑摩がいなければ、話し合う機会もなかなか来なかったかもしれない。ありがとうございます」

筑摩「いえ、お力になれたのならよかったです」

朝潮「これはその件とは関係ないですが、また妹になりたくなったらいつでも来てください。霞が特に喜ぶので……今のは内緒の方向で」

筑摩「ええ、分かりました」



利根「……行きたいのか?」

筑摩「そうですね。みんないい子ですし、もし姉さんとケンカしたらその時には」

利根「そ、そんなことを言っても吾輩は寂しがらんぞ!」

筑摩「心配しないでも大丈夫ですよ」

利根「……ならば手を繋いでほしいのじゃ」

筑摩「いいですよ。姉さんのお望みのままに」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


利根「……はっ!? いかん、これではいかんのじゃ!」

筑摩「姉さん?」

利根「やっぱり手を繋ぐのはなしじゃ!」

響「手は繋げる内に繋いだほうがいいと思うけどね」

利根「のわっ!? なんじゃ、響か……」

響「やあ、驚かせてしまったようだね」

利根「どこから出てきたんじゃ、お主?」

響「今日はいい天気だからね。酔い覚ましも兼ねて日なたで寝てたんだ」

利根「……風邪を引いても知らんぞ」

響「ウォッカのアルコールが殺菌するから問題ないよ。それでも引いたらウォッカに胡椒を入れて飲めばいい」

利根「なんという飲んべえ論理じゃ……」

響「そうそう、筑摩さん。阿武隈さんだけど今日は姉妹みんなでお休みもらったって街に遊びに行ったんだよ」

筑摩「よかったじゃないですか」

響「うん、すごく楽しそうでね。やっぱり姉妹はああいうのが一番だよ」

利根「そう思うなら、お主もこんなとこにいないで六駆の所にいればよかろうに」

響「まあ、そうなんだけど私たちは普段から頻繁に顔を合わせるからね……」


利根「なんじゃ、気乗りしとらんのか?」

響「いや、別に?」

利根「ほーん」

響「……もう、そうだよ。私と暁は改二改装が施されてるけど、雷と電は目処も立ってないから最近は一緒にいると引け目を感じるんだ」

利根「そうやって一人でいる方がよっぽど気を遣わせるだろうに」

響「そうかもね……うん、確かにそうだ」

利根「分かったら休みの日ぐらい一緒に過ごしてやらんか」

響「いや、だから普段から……でもまあそうなのかな。ありがとうね、利根さん」

利根「なんのこれしき。それと酒も程々にな」

響「そっちは難しい相談だね」



利根「吾輩もじゃ」

筑摩「何がです?」

利根「筑摩の方が一ヶ月ほど改二改装が早かったじゃろ」

筑摩「そうでしたね……勲章や設計図がどうとか提督は言ってましたが、何を考えて姉さんより先に私を改装したのか」

利根「さあの。案外、筑摩で安全確認をしたつもりなのかもしれんな。艦娘によっては改二艤装に過剰反応を示すと聞いておるし」

利根「しかし、それはよいのじゃ。あの一月、筑摩はなんとなく吾輩を避けていたの」

筑摩「姉さんより先はなんだか申し訳なくて……」

利根「そんなことで目くじらを立てたりはしないのじゃ。吾輩の方が筑摩より少しだけお姉さんだからな」


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


利根「しかし、こう顔が広いなら吾輩に何かあっても筑摩は心配なさそうじゃな」

筑摩「……どうして、そんなことを言うんです?」

利根「次の大規模作戦は真珠湾かミッドウェーか、あるいは南方のポートモレスビーが目標になるはずじゃ。今までは上手く切り抜けてきたが、どこになるにせよ今度ばかりはただではすまんじゃろう」

筑摩「筑摩を案じてくれているんですか?」

利根「平たく言えばそうじゃが、そういうことは言わせんでくれ」

筑摩「ありがとうございます。でも姉さん、嘘はよくありませんよ」

利根「嘘とな?」

筑摩「筑摩を侮らないでください。姉さんが今後の作戦に懸念を抱いているのは本当でしょうけど、それと私のことは別ですよね」

利根「そんなことはないぞ」

筑摩「ダメです、分かっちゃうんですから。私がどれだけ姉さんを見てきてると思ってるんです?」

利根「……敵わんな」

筑摩「さあ、どうしてです?」

利根「……嫌じゃ、言いたくない。筑摩には何も言いたくない」

筑摩「どうして……私では姉さんの役には立てないんですか?」

利根「そうではない。お主が筑摩だからじゃ。吾輩は筑摩のお姉さんなのに、これではあべこべじゃ」


筑摩「そんなことありませんよ。姉さんは優しい人だから気にしてしまってるだけで」

利根「そう言われても、言いたくないものは言いたくないのじゃ」

筑摩「でも私は姉さんのことならなんでも知りたい……私はきっと姉さんに依存してしまっているから」

利根「依存? 吾輩に?」

筑摩「そうです。私には姉さんが全てだから知っておきたくなるんです」

利根「ふむ……」

筑摩「筑摩は姉さんさえ無事なら他の誰だってどうなっていいと……よくない考えなのは分かっていても、時々そう考えてしまうのを止められなくて」

利根「……その他の誰かには筑摩自身も入っておるのか?」

筑摩「ええ……」

利根「それは悲しい考え方じゃ……吾輩にもし将来像を語らせたら、そこには必ず筑摩もいるのと言うのに」

筑摩「……本当ですか?」

利根「……本当じゃとも。だが一緒にいるとは限らんやもしれん」

筑摩「そうですか……」

利根「筑摩の理想像はどうなのじゃ?」

筑摩「姉さんが望む形を筑摩は受け入れます。それが姉さんと離れる結果になっても」


─────────

───────

─────

――その夜、ベッドで眠る筑摩の上に利根の体が覆い被さる。

馬乗りになった利根は筑摩の顔を見下ろし覗き込んでいた。何をするわけでもなく、ただただ見る。

筑摩「……何もしないんですか?」

利根「どうしていいのか分からん。男のように唇を奪い体を弄べばいいのか、それとも一晩中こうして見つめておればよいのか」

筑摩「姉さんの好きなようにされては?」

利根「吾輩が本当に迷ってるのに、そんな吾輩に決めろと?」

筑摩「本当の答えというのは、きっと外から与えられませんから……もちろん解決のお手伝いはできますけど、準備だったり背中を押してあげるとかきっかけぐらいですよ。しばらくみなさんの悩みと向き合ってて分かったんです」

利根「そうじゃったか……偉いぞ、筑摩」

筑摩「ありがとうございます。だから、どうするかは姉さんが決めてください」

利根「その代わりに何をされても受け入れると?」

筑摩「はい、それが私の答えですから」

利根「筑摩を好きにできるのは、すこぶる魅力的じゃな」

筑摩「改めて口に出されると恥ずかしいですね」

利根「だからこそ筑摩にはもっと自分を大切にしてほしいのじゃ。筑摩は吾輩さえ無事ならと言うが吾輩がそれを望んでおらん。筑摩が満たされても吾輩は満たされないではないか」



筑摩「姉さんは私をどう見てくれているんです?」

利根「吾輩は筑摩が好きじゃ。何故だかお主のことを考えてしまうと胸まで苦しくなることもある」

筑摩「姉さん!」

利根「ちょっ、筑摩から抱きついてきてどうするんじゃ!」

筑摩「すいません、どうしても抱きしめてしまいたくなって……」

利根「まったく……だが吾輩も満更ではない。むしろ歓迎ではあるのじゃ」

筑摩「姉さん!」

利根「だからハグはやめるのじゃ! まったく筑摩は甘えんぼうじゃな」

筑摩「そうですよ、私は甘えんぼうなんです。一人が怖いだけの」

利根「……バカ者」

筑摩「本当の私をみんな分かってくれない……でもいいんです。姉さんだけが分かってくれるなら」

利根「吾輩しか知らぬ秘密の顔か……女は秘密を持ってなんぼだが吾輩しか知らぬのは感心できんぞ」

筑摩「姉さんだけで十分です」

利根「たわけを言うでない」

筑摩「何故です?」

利根「筑摩が自分で言ったのではないか。これは依存だと。依存ならば断ち切らねばならぬ」


筑摩「私に全面的に甘えてくれる姉さんがそれを言うんですか?」

利根「……確かに吾輩も筑摩に頼りっぱなしじゃ。こちらとて筑摩に依存しているのやもしれん」

筑摩「私は姉さんを責めるつもりで言ったわけではありませんよ?」

利根「分かっておるさ。しかし筑摩が欠けてしまったら、この利根には何が残るのかの?」

筑摩「姉さんが残ります。何も問題はないはず、です」

利根「ふふ……これでは互いに噛み合わんな。筑摩よ、どうすればよいと思う?」

筑摩「……私の答えを聞いても姉さんの答えにはなりません」

利根「安心せい。吾輩の答えはすでに決まっておる」

筑摩「筑摩は考えたくありません」

利根「じゃが吾輩たちの道はいずれ分かれてしまうはずじゃ……死に別れとか複雑な話でなくとも、もっと単純にじゃ」

筑摩「ありえません、そんなことは」

利根「本当にそう言えるかの……まあよい。吾輩は本当に筑摩が大切じゃ。この言葉に偽りはない」

筑摩「信じます。今までも、これからも」


利根「吾輩は決して立派な姉ではないが筑摩を想う気持ちならば誰にも負けはせん。だから筑摩には幸せになってほしいのじゃ」

筑摩「そう言われて……嬉しいはずなのに嬉しくないんです」

利根「すまん。そして筑摩にはお願いじゃ。吾輩たちはお互いを言い訳にしないようになりたいのじゃ。もっと吾輩たちは周りに目を向けねばならん」

筑摩「……姉さんが、そう望むのなら」

利根「すぐにとは言わんのじゃ。というか吾輩だって今はまだ筑摩なしの生活など考えられんし」

筑摩「……そうですよね。姉さんったら私がいないと生活能力が皆無ですから」

利根「そこまで言うことなかろう!?」

筑摩「うふふ、でも姉さんのすごいところはちゃんと知ってますからね」

利根「当然じゃ。吾輩は筑摩のお姉さんだから、できんことなどないのじゃ!」

筑摩「それでこそ私の大好きな姉さんです」


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「姉さん、今夜は一緒に寝てくれませんか?」

「うむ、お安い御用なのじゃ」

「寂しい夜にはあなたが側にいてくれる」

「筑摩?」

「姉さんがそうと決めたのなら別々になるのにも耐えられると思っていたのに……」

「……ほれ、もっと寄らんか」

「はい……」

「もっとじゃ……ええぃ、まどろっこしい!」

「姉さん……」

「先は先、今は今じゃ。まだ吾輩はここにおるぞ」

「姉さんは温かいですね……」

「うむ」

「姉さん」

「なんじゃ」

「お休みなさい」

「お休みなのじゃ」




おしまい

途中、間が開いてしまったりお目汚しもありましたが以上となります
安価で取ったキャラも最後は全員出したかったんですが力尽きてしまった。申し訳ない
では依頼を出してきます

乙~
とねちくスキーの俺には最高でした……
なんか……何気ないところも深く掘り下げてて……いいっすな~

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