男「えっ〇〇の携帯じゃない...んですか?」
女「はい。この番号の前の所有者でしょうか」
男「あっごめんなさい!本当にごめんなさい!失礼しました!!」
女「構いません。では。」
プチッ
間違い電話と言うより、相手が前からこの番号を知っていたような様子だった。買い換えて1年立つが、こんな事は初めてだ。
電話が来ること自体珍しいが。
それにしても、この電話のせいで貴重な休日の貴重な睡眠が中断されてしまい、思い出したかのように倦怠感が体を飲み込んだ。
ピロン♪
すまんな
なんで名前教えちゃうんだよ
危機感なさすぎ
ボロン♪(オチンチン)
すげぇ親しそうに話されて途中まで聞いてて誰ですか?と
聞いたらすみませんと謝ってきた間違い電話なら数年前に合ったな
親だったのだろうか?友達いないし
話を長引かせて仲良くなればよかった
切ったばかりの携帯が再び音を鳴らした。またもや珍しい、メッセージが入ったようだ。
?『先ほどは本当に申し訳ありませんでした。私は△県在住の男と申します。朝からご迷惑をおかけしました。』
先ほどの奴が、電話番号からメッセージを送ってきたようだ。声だけで若い女と判断したのだろうか?わざわざ住まいと名前まで名乗るあたり、そして△県がすぐ隣であるあたりに気持ち悪さが増す。
返事しなくてもいいか。
携帯を放り、ゴロンとベッドに横たわり、引き続き惰眠を貪ることにする。
SSか何かなのかこれ
初めて書き込みます!
ご覧いただきありがとうございます。
SSも初めてで、ペースは遅いかも知れませんが、
よろしくお願いします。
>>8
わざわざSSが初めてとか言い出すあたり、気持ち悪さが増す
ファッ!?SSだったんか!
携帯を放り、ゴロンとベッドに横たわり、引き続き惰眠を貪ることにする。
文面、一人称が『私』なあたり、社会人だろう。
住まいと名前を名乗ってメッセージを送ってくるということは、俗に言う出会い厨という奴だろうか。
寝転んだのに、先ほどのささやかにレアな体験で気が落ち着かない。
社会人生活3年目、寝て起きて仕事して、オフの日に会う友達もおらず、休日は寝貯めする生活を、退屈に感じていた。
...返事、してみる?
放った携帯をたぐり寄せる。倦怠感が覆っていたからだは、地がめぐり始め、久々に自分が高揚しているのを認めざるを得なかった。
返事するだけ。大丈夫。何かあったら連絡を止めればいいだけ。
『全く気にしていないので大丈夫です。前の所有者の方に連絡取れそうですか?』
変に思われても、知らない人だしいっか。隠れていたずらをしている子供のような、そんな気持で返事を待った。
ピロン♪
女「って返事早!」
男『新しい連絡先は知りませんが、大したことでは無いので大丈夫です。ご心配ありがとうございます。』
確かに、男は「久しぶり」と言っていた。しばらく連絡とってない相手に、いきなり電話することがあるんだな。
コミュ障な私ではそんなこと絶対出来ない。さぞコミュ力の高い奴か、何も考えてない奴か。
相手の人間像を想像するのは楽しかった。
女『電話をするのは久しぶりだったので、驚きました。』
男『確かに、最近はLINEなどで片付きますもんね。僕も久しぶりに知人に電話をしたと思ったら、別の方だったので驚きました。』
女『がっかりさせてしまって申し訳ありません。』
男『そんなことないですよ!こうして誰かとやりとりするのも久しぶりなので嬉しいです。今日はお休みなんですか?』
ここで、魔が指した。
このままやり取りを続けると、どうしても私個人のことを話してしまうだろう。
ならいっそ、別人を演じてしまえばいいのではないか?
知らない人だし、どうせ分からないだろうし。
女『はい。明日から学校です!月曜日いやだなぁ』
自分でも笑えた。独りで笑ってる私は自分でも痛々しいと思う。おばさんに偽装するか若く見せるか迷ったが、どうせ化けるなら若い方がいい。
男『えっ学生さんだったのか!25歳くらいだと思ってました。すみません。』
だ、だいたい合ってる...声とメールの文面だけでよく分かるな。
女『子供らしくないとよく言われます。男さんは何歳ですか?』
男『22です。学校は楽しいですか?』
女『普通です。何の代わり映えのない毎日です。』
男『学生時代思い返すと、好きなことばっかやってたなぁ。若いんだから、退屈なら色々やってみたらいいと思うよ。』
いや、あんた私より年下だからね。と内心ツッコミを入れる。
まぁでも確かに、退屈だ。
女『色々って、何やればいいんですか?』
男『盗んだバイクで走り出すとか?』
女『15の夜ですか。犯罪はしたくないですね(笑)』
男『今時の子も15の夜知ってるんだね!さすがに僕も犯罪はしてないけれど。よく親を困らせてたな』
ぎく。い、いや、有名な曲だし、知っててもおかしくないよね?うん。
思えば、私は学生時代からつまらない奴だった。何にも本気になれなくて、それは今でも同じなのかもしれない。だから、人生退屈なんだろう。
本気になれるものを、探す努力をすればよかった。
女『じゃあ、男さんは何をしていましたか?』
男『ピアノを、ちょっとね』
ピアノか。私も小さいころさせられていたけど、そこまで上達せずやめちゃったな。部活でも続けていたのだろうか。
女『何かに熱中できるって、すごいです。』
素直な気持ちでそうメールした。
その返事は、夜になっても返ってこなかった。
~翌朝~
女「は?ダンス?」
上司「べ、別にダンスじゃなくてもいいんだけどさ。うちの課、忘年会の余興を若手にやってもらっててね。新人ちゃん1人じゃ可哀想だし...」
新人「す、すみません...女さんお忙しいですよね...難しければ私1人でやりますので...」
今年から人手不足で急遽配属された課では、何故か周囲から怖がられている。去年、前の配属でちょっと問題を起こしたことが、耳に入っているんだろう。
新人も、怖がって近づいてこなかったし、私も面倒くさくて人間関係を疎かにしていた結果だろう。
女「いや、やってみます」
周囲「えっ!!?」
上司と新人以外も一緒に驚いていた。そこまでか?確かにそんなキャラでは無いが。
なんとなく、新しく何かやってみたい気持ちがあった。退屈な日々が、少しはマシになるかもしれない。
~夜~
新人「お、女さん!今よろしいですか?」
女「いいよ。ダンスのこと?」
新人「はい!引受けて下さってありがとうございます。早速なんですが、打ち合わせしておきたいなと思いまして...」
女「もうちょいで片付くから、ちょっと待ってて」
そういえば、こうしてまともに会話するのも初めてかもしれない。新人にとっては初めての職場、私が唯一の年の近い先輩だ。もっと、早く接してあげれば良かった。
女「おまたせ。どっか店入る?」
新人「はい!夜ご飯まだなので...あと、女さんとご飯行くの初めてで、嬉しいです」
大げさだな。でも、悪い気はしなかった。話してみると、内気だけど裏表の無さそうな、愛嬌のある可愛い子だった。
ダンスは、週に1回新人の家で練習することになった。
続いてて草
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