ツバサ「あら、おかしいわね?」 (32)

あんじゅ「どうしたのつばさ?」

ツバサ「エレベーターが下りてこないのよ」ポチッポチッ

あんじゅ「故障?」

英玲奈「…いや、これを見てみろ」



【只今メンテナンス中。西側エレベーターをご利用ください】



英玲奈「ここは使えないようだ」

あんじゅ「タイミング悪いわねぇ」

ツバサ「今日は休日ですもの。仕方ないわ」

あんじゅ「ならどうして私たちは学院に?」

英玲奈「A-RISEだから」

あんじゅ「これ以上無い理由よねぇ」クルクル

ツバサ「日々是精進ってことよ。……ん?」チラッ

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英玲奈「どうしたツバサ」

ツバサ「ねえ、せっかくだしあそこから行きましょうか」チョイチョイ

あんじゅ「あそこって…」

英玲奈「非常階段?」

ツバサ「そ♪」

あんじゅ「いやよ、レッスン室が何階だと思ってるの?」

英玲奈「15階だな」

あんじゅ「レッスン前に疲れることするなんてナンセンスだわぁ」

ツバサ「良い鍛錬になるじゃない」

英玲奈「時間はいいのか?」

ツバサ「自主練だから平気平気、さっ2人とも行きましょ♪」グイグイ

あんじゅ「ちょっと引っ張らないでってばぁっ」

英玲奈「諦めようあんじゅ、ツバサは言い出したら聞かないからな」

~~~



ツバサ「ここ登るのも久しぶりね」

英玲奈「最後に利用したのが一年程前か」

あんじゅ「普通は来ないわよこんなところ」

英玲奈「ふむ…この独特の静けさ、灰面一色のコンクリート壁、そして上へ延々と続く階段」

ツバサ「窓も無いし、声も響くわよ。ら~♪」

あんじゅ「やめなさいよ恥ずかしい。誰かいたらどうするの」

ツバサ「せっかくだからグリコじゃんけんで登りましょうよ!」

英玲奈「テンション高いな…グリコじゃんけん?」

ツバサ「勝った手の文字数だけ登るやつ。知ってるでしょ?」

英玲奈「それはまあ知ってるが」

あんじゅ「子供じゃないんだか……あぁ」

ツバサ「身長は関係ないでしょっ」

あんじゅ「なにも言ってませーん」ペロッ

ツバサ「もうっ。…ちょっとしたレクリエーションよ、息抜きも大事ってこと!はいじゃーんけーんぽいっ」チョキ

英玲奈「急だな…ぽい」パー

あんじゅ「ぽい…あら?」パー

ツバサ「私の勝ちね」ニコニコ

英玲奈「しまった、あんじゅと同じ手を出してしまうとは」

あんじゅ「何が気に食わないのよっ」

英玲奈「冗談だ」

ツバサ「じゃ行くわね。ち、よ、こ、れ、い、と…」タンッタンッ…

ツバサ「…」

えれあん「?」





ツバサ「…み、た、い、に、あ、ま、い、ま、ほ、う、で「うわあああああああっ!!!???」

英玲奈「うるさいぞあんじゅ」

あんじゅ「ああ、あんたなんで覚えてんのよっ!?///」

ツバサ「懐かしいわよね、あんじゅが考えた自己PR」

英玲奈「ああ、甘い魔法であんじゅの園にご招待(はあと)ってやつか」

あんじゅ「あああああああやめて鳥肌立っちゃうからぁ!!」ジタバタ

ツバサ「初々しくていいじゃない」

英玲奈「そうだな、おかげで一発で名前を覚えられた」

あんじゅ「か、課題で考えただけだしっ、今そんなだっさいの使うわけないでしょ!!///」

あんじゅ「というかツバサ長すぎよ!もう踊り場まで行ってるじゃない!」

ツバサ「地方ルールよ地方ルール」

あんじゅ「あるかそんなもんっ!」

英玲奈「まあまあ落ち着け、いいからさっさと再開しよう」

あんじゅ「ふー…ふー…覚えてなさいよ。じゃんけん…ぽいっ」グー

ツバサ「ぽい」チョキ

英玲奈「ぽい……あ」チョキ

あんじゅ「…」グー

英玲奈「やめろよ」

あんじゅ「…」グー

英玲奈「絶対やめろよ」

あんじゅ「…」







あんじゅ「ぐ、れ、え、と、あ、い、ど、る、え、れ、な「わあああああああ!!!???」

英玲奈「やめろと言った!私はやめろと言ったぞ!!」

あんじゅ「地方ルール地方ルール」

英玲奈「ふざけるなっ!!」

ツバサ「正しくは『今日からこのクラスのアイドルになるグレートアイドル英玲奈!夜露死苦!!』だったかしら」

英玲奈「あああああやめろやめろやめろおおおおぉぉ!!!」ゴロゴロゴロ

あんじゅ「これで仲間入りね」フッ

英玲奈「だって思いつかなかったんだもん!直前に読んだ漫画しか頭に残ってなかったんだもん!!しょうがないじゃないか!!!/////」ウワーン

つばあん(かわいい)

英玲奈「ふ…ふふ…もういい。さっさとツバサを辱めて先を急ごうじゃないか…」

あんじゅ「目的を見失ってるわね…」

英玲奈「じゃんっけんっぽい!」パー

あんじゅ「ぽい」パー

ツバサ「ぽい…ふふ、また私のかち~」チョキ

英玲奈「くそうくそうっ」ダンッ

あんじゅ(熱くなりすぎよぉ)

ツバサ「安心しなさいな、このままじゃ不公平ですものね」

あんじゅ「まさか自らさらけ出す気?」

英玲奈「とんだドMだな」

あんじゅ「うるさいわよGIE」

英玲奈「やめてくださいマジで」

ツバサ「えーと、私のときは……そうそう!」

ツバサ「ち、よ、う、て、ん、は、こ、の、わ、た、し…」タンッタンッ…





ツバサ「頂点はこの私、綺羅ツバサよ!!」ピース








英玲奈(………ああ)

あんじゅ(………そうだったわ)



えれあん(昔っから、ブレないんだよなぁ)

~~~~~



タン…タン…タン…



あんじゅ「さすがにグリコじゃんけんも飽きたわね」

英玲奈「文字数がインフレしてたからな。もうじゃんけん関係なく歩いてたし」

ツバサ「ただの楽しいおしゃべりになってたわね」

えれあん「いやそれはない」

ツバサ「そう?……それにしてもキレイよねここ」

英玲奈「誰も利用しないからだろう、ウチにはエレベーターにエスカレーターもあるんだ。わざわざこんなところを使う生徒はいないさ」

あんじゅ「掃除も行き届いてるしね。見えないところにも気を配る、まさに新進気鋭の芸能学校って感じ?」

ツバサ「そうね、私たちくらいじゃない?よく利用してたのって」

英玲奈「かもな」

あんじゅ「褒められた使い方じゃなかったけどね」クルクル

ツバサ「でも割と楽しかったわよ、あの頃も」ニコッ

あんじゅ「…なによぉ、私はべつに

英玲奈「まて、足音が聞こえる」

タンッタンッタンッ




ツバサ「あら、利用する人もいるものなのね。しかも休日に」

あんじゅ「ちょ、ちょっとどうすんの?」

英玲奈「なにを焦ってるんだ。適当に会釈でもすればいいだろう」

あんじゅ「だ、だって私たちA-RISEよ?こんな地味な階段使ってるなんて知れたらイメージが…」

英玲奈「それはプロ意識という名の自意識過剰だ。お前はまだプロ(笑)だぞ」

あんじゅ「(笑)ってなによ!?そこは(仮)でしょ!?」

英玲奈「いや(卵)だろう常識的に考えて」

あんじゅ「あんたが言ったんじゃないの!!」

ツバサ「もーわかったから。じゃあ一旦出ましょうか」

英玲奈「だがここはちょうど扉の無い踊り場だ」

あんじゅ「もうそこまで来てるわよぉ…!」アセアセ

ツバサ「うーん、じゃあ壁の方を向いてやり過ごしましょ。ほら早く早く」クルッ

タンッタンッタンッ



「……?」




ツバサ「」

英玲奈「」

あんじゅ「」




タン…タン…




「…」ジー…




英玲奈(おい速度緩めてきたぞ)ヒソヒソ

あんじゅ(絶対こっちガン見してるわよどうすんの?)ヒソヒソ

ツバサ(声色変えて適当に雑談でもしましょ)ヒソヒソ

ツバサ「イヤーキレイナカベネー(裏声)」

あんじゅ「イイシゴトシテルワー(裏声)」

英玲奈「だぐみのわざ~(ダミ声)」

ツバあん「ぶほっ!?」




「??」ジー…




ツバサ(ちょっとなんでドラえもんなのよっ)プルプル

あんじゅ(真面目に、ック…やんなさいよぉ)プルプル

英玲奈「じょう”がな”い”な”~(ダミ声)」

ツバあん「ぶほぁっ!?」






「???」ジー…





タンッタンッタン…

ツバサ「フー…フー……行ったみたいね」

あんじゅ「…ちょっっっと英玲奈ぁ!!」

英玲奈「すまない、悪気はあった」

あんじゅ「最悪じゃないっ!!」

ツバサ「なかなかスリリングだったわね。はー可笑しかった♪」

英玲奈「バレずにやり過ごせてよかったな、あんじゅ」

あんじゅ「というか挙動不審すぎて関わりたくなかったんじゃない…?」







先生(A-RISEはあそこでなにやってたんだ…?)タン…タン…

~~~



タン…タン…



あんじゅ「今何階?」

英玲奈「13階だ」

ツバサ「不吉ね、生きて抜けられるかしら」

英玲奈「それは13階段だ」

あんじゅ「英玲奈は無理ね、さっきの罪があるし」

英玲奈「まだ言うか、泣き虫あんじゅ」

あんじゅ「な、なによ突然…」

ツバサ「あら、一年生のときのこと覚えてない?」

あんじゅ「…」

英玲奈「13階のレッスン室…別名地獄の13階」

ツバサ「そんなあだ名あったの?」

英玲奈「今考えた。あながち間違いでも無いしな」

あんじゅ「…忘れるわけないじゃない、いやな思い出ばっかりだけどねっ」

ツバサ「レッスンが終わったあとはいつもここに来てたわよね」

英玲奈「こうやって階段の端にうずくまって」ストン

英玲奈「『うえ~んもうむりよぉあんなの出来っこないわ~グスグス』って」

あんじゅ「そんなに泣いてないわよっ」

ツバサ「まああのころはほんと大変だったわね」

英玲奈「あそこでふるいにかけられ、脱落する者も多かったな」

あんじゅ「あんたたちは涼しい顔してたじゃない」

英玲奈「そうでもないさ、私だって人並みに落ち込むこともあった。ま、そんなときは…」フフッ

ツバサ「ここで泣いてるあんじゅをあやして、励ましあって気を紛らわしてたわね~」クスッ

あんじゅ「…ふん、つくづく疑問だったわ」

あんじゅ「なーんで私みたいなオチコボレに構うのかって」チラッ

ツバサ「チームだからね」

英玲奈「チームだからな」

あんじゅ「………そうよねっ」プイッ

英玲奈「おやおや、あんじゅちゃんは『友達だから』と言ってほしそうな目でこちらを見ていたぞ」

あんじゅ「みてないわよっ」

ツバサ「そうね、友達というより…」



ツバサ「戦友、じゃない?」

あんじゅ「戦友…」

英玲奈「友達のような馴れ合いでもなく」

英玲奈「親友というのも胡散臭い」

英玲奈「戦友か、そうかもな」

ツバサ「まさに一蓮托生、私たちは運命共同体なのよ!」

えれあん「それはちょっと…」

ツバサ「なんで!?」

英玲奈「今はA-RISEという立場に甘んじているが」

あんじゅ「最後に頂点に立つのは私だしぃ?」

ツバサ「プロデビューを前にしてもう軋轢が!?」ガーン

英玲奈(だってそうしないと)

あんじゅ(ツバサのワンサイドゲームだしねぇ)クルクル

ツバサ「う~…なら勝負よ!ここから先に着いた人が優勝!」

あんじゅ「優勝て」

英玲奈「もう15階に着くのだが…」

ツバサ「なら屋上までね、あと5階くらいだからちょうどいいでしょ?」

あんじゅ「これ以上疲れることしてどうするのよ…」

英玲奈「私には勝てないからやめたほうがいいぞ」

あんじゅ「英玲奈ってそういうの得意だっけ?」

ツバサ「試しにちょっと登って見せてよ」

英玲奈「いいぞ」タタタタタ…

あんじゅ「わ、速いわね」

ツバサ「今度は下りてみせてー!」

英玲奈「わかった」シュタタタタタ

あんじゅ「すごいわ、登りの3倍は速い!」キャッキャッ

ツバサ「よっ、現代の忍者!もっと速くー!」キャッキャッ

英玲奈「ふははははははは」シュタタタタタ




シュタタタタタ…




ツバえれ「よし今だ!」ダッ





英玲奈(10階)「おまえらぁ!!!」

ごめんなさい>>19はツバあんです

~~~

タン…タン…


あんじゅ「もうっ、思ったより長いじゃない!」ハァハァ

英玲奈「遅れてるな、あんじゅ」タッタッ

あんじゅ「ツバサが速いのよ、もう着いてるんじゃない?」

英玲奈「やはりあいつが優勝か」

あんじゅ「あ~あ、結局ツバサの魔の手からは逃れられないのね」

英玲奈「満更でもなさそうだが?」

あんじゅ「あんたもでしょ」

英玲奈「ふふっ…運命共同体か。まあそれでもいいさ」

あんじゅ「セコい手まで使っちゃって」

英玲奈「それはお前もだろ」

あんじゅ「…あら、ツバサなにやってるのかしら?」





ツバサ「…」

あんじゅ「ちょっとぉ、勝者の余裕ってわけ?」

英玲奈「早く屋上に……おや?」




【屋上閉鎖中】




あんじゅ「あー…そうだったわ」

英玲奈「イベント時以外は基本立ち入り禁止だったな」

ツバサ「そうね」



ツバサ「優勝はお預け」

あんじゅ「…」

ツバサ「すぐそこにあるのにね」

英玲奈「…」

ツバサ「μ’sと踊ったあのステージが」

あんじゅ「…」

あんじゅ「………ねえ」






あんじゅ「私たちって、どうして負けたのかしら?」

あんじゅ「高校生活3年間の青春全てを捧げた、この私たちが…」


あんじゅ「彼氏も作らず、友達とも遊ばず、勉強時間も睡眠時間も、何もかも犠牲にしてさ」


あんじゅ「…どうしてかしら?」


あんじゅ「なにが…劣っていたっていうの?」








英玲奈「………」

ツバサ「…私もずっと考えてたわ」

ツバサ「答えは多分…そう」






ツバサ「運が良かったのよ、彼女達」

あんじゅ「…なにそれ、まるで三下の台詞じゃない」

ツバサ「そうでも言わないと納得しないでしょ?」

あんじゅ「むぅ…」

英玲奈「テクニック、経験値、完成度、どれをとっても我々が有利だったはず」

ツバサ「だったらもう、時の運なのよ」



ツバサ「彼女たちはいくつもの幸運に恵まれた」


ツバサ「私たちは運を引き寄せられなかった」


ツバサ「それだけのことよ」



あんじゅ「…ツバサは納得してるわけ?」

ツバサ「さあね、穂乃果さんに聞いてもわからないって言われたし」

英玲奈「因縁つけに行ってたのか…」

あんじゅ「A-RISEのイメージ悪くしないでよぉ」

ツバサ「そんなんじゃないわよっ」



ツバサ「……いや、最初はそうだったのかもね」クスッ…

英玲奈「……戻ろう、練習の時間だ」

あんじゅ「わっ、けっこう経ってたのね」

ツバサ「貴重な練習時間がもったいないわっ、下りましょう」

えれあん(言いだしっぺが何を)

ツバサ「でも、ここに来て再確認したわ」

あんじゅ「?」



ツバサ「私たちはまだまだ強くならなくちゃいけないってこと」

ツバサ「さっきは運がどうこう言ったけど」

ツバサ「運も実力のうち」

ツバサ「なら、もっともっと強くなって、幸運すらモノに出来なくっちゃね♪」ピース



えれあん「…」



えれあん「当然っ」ピース

英玲奈「目指すは頂点、だな」

あんじゅ「我々はひとつ、ね」

英玲奈「私のセリフをパクるな」ツンッ

あんじゅ「ピースで胸突っつかないでよっ///」

英玲奈「摘もうとしただけだ」チョキチョキ

あんじゅ「どこを!?」

ツバサ「アハハッ、またひとつ再確認ね」クルッ





ツバサ「私たちは、やっぱり最高ってこと!」タンッタンッ…




英玲奈「乳繰り合ってないで私たちも下りよう」タンッタンッ…

あんじゅ「あんたが仕掛けてきたんでしょっ」タンッタンッ…

英玲奈「こういうのでファンは喜ぶと聞く」

あんじゅ「百合営業なんてお断り!さっさと下りれば?忍者さん」

英玲奈「忍者だってたまには歩調を合わせるものさ」

あんじゅ「…あっそ」クルクル

~~~



英玲奈「15階か」

あんじゅ「やっと地味な場所ともおさらばね」

ツバサ「あら、ここを出たらさらに地味で地道な練習が待ってるわよ?」

あんじゅ「上等よ」フンッ

英玲奈「私も今気持ちが昂ぶっている、やるぞっ」ウズウズ

ツバサ「ふふっ、やる気は十分ね」

ツバサ「さあ、プロデビューに向けて更なる特訓よ!!」ガチャッ

えれあん「おーっ」タタッ

【A-RISE専用レッスン室、只今清掃中】








つばえれあん「」



つばえれあん「タイミング悪っ!!!」

おわり

ちょっとミスってごめんなさい

おつ

おつ すきよこのかんじ

ハラショー

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