花陽「A-RISEセンターの綺羅ツバサさん!?」 ツバサ「はい?」 (14)

―とあるカフェ―

花陽「き、綺羅さん!?」

ツバサ「はい?」

花陽「ど、どどう、どし(どうしてここに!?)」

ツバサ「あの・・・?」

花陽「A-RISEセンターの綺羅ツバサさんですよね!どうしてここに!?」

花陽(ハッ!嬉しさのあまり声かけちゃった。恥ずかしい・・・。)

ツバサ(ファンの人かしらね。)

ツバサ「今日はお休みなので、お茶をしに。・・・ってあら?あなたもしかして・・・μ’sの?」

花陽「ふええ?!は、はい!」

ツバサ「ふふ、やっぱり。」

花陽(綺羅さんが私のことを!?なんで!?どうして!?あうぅ・・・ダレカタスケテー。)


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ツバサ「ライブ映像見たよ。人気急上昇中の9人組ユニット、μ’sよね。」

花陽「はい・・・。」

花陽(うわー、A-RISEも私たちの見てくれてたんだ!感激だよ~!)

ツバサ「ごめんなさいね、えっとお名前は・・・?」

花陽「あ、小泉花陽です。音ノ木坂学院1年です。」

ツバサ「小泉・・・花陽さんね・・・。花陽さんって呼んでもいいかしら?」

花陽「ふえ?は、はい。嬉しいです!」

花陽「あの・・・私も・・・ツバサさんと呼んでも・・・。」

ツバサ「ええ。」

花陽(うわーわー///。)

ツバサ「ここは花陽さんのお気に入りのカフェだったりするのかしら?」

花陽「は、はい!ここは私がよく来るカフェで・・・。午後から練習があるのでその前に寄ったんです。」

ツバサ「μ’s・・・祝日だけど今日も練習なんだ。」

花陽「はい。それにしても感激です。まさか私のこと――μ’sのことを知っててくれていたなんて。」

ツバサ「・・・印象に残ったからね。」

花陽「印象・・・?ハッ!まさか私何かトチってて――」

ツバサ「ふふ、違うわよ。μ’sのライブ見させてもらったんだけど、統一感があったわ。互いの気持ちが一つになっている感じ。あなた達、かなり仲いいでしょ?」

花陽「え、はい。仲はいいと思いますが・・・。」

ツバサ「羨ましいわ。」

花陽「あの・・・もしかして仲悪いんですか・・・?――って、す、すみません!失礼なことを・・・」

ツバサ「ふふ、大丈夫よ。・・・仲は決して悪くないわ。ただ、仲間同士でライバルというか・・・。」

花陽「仲間同士で・・・?」

ツバサ「A-RISEはね、芸能科のメンバーから構成されているんだけど。」

花陽「あ、オーディションを勝ち抜いた優秀なメンバーだけが加入できるんですよね!」

ツバサ「よく知ってるわね。そう、私達3人は厳しいオーディションで選ばれた仲間であり、ライバルなの。」

花陽「やっぱりツバサさんは凄いです!その中に選ばれてしかもセンターなんて!」

ツバサ「ありがと。ただ・・・。」

ツバサ(これ以上は言っても仕方ないわね・・・心配させるだけだわ。)

花陽「?」

ツバサ(互いが互いを高め合えているこの環境が悪いとは思わない。ただ・・・個人個人が自分の練習をするものだから・・・まとまりがないというか、バラバラになっている感じがするのも事実。)

ツバサ「そうだ。花陽さん、練習見に行ってもいいかな?」

花陽「ふえぇ!?」

ツバサ「ダメ・・・かな?」

花陽「え、あ、いや。ダメってことはないと思いますけど・・・。どうして急に・・・?」

ツバサ「えっと、それは・・・」

ツバサ(このユニットには必ず何かある。それが何なのかまだわからないけど――私の勘がそう言っている。)

ツバサ「せっかく花陽さんと仲良くなったのだもの。他のメンバーの子達も気になってきちゃって。」

花陽「・・・私は嬉しいですけど、私の判断だけじゃ何とも・・・。他の人に確認してもいいですか?」

ツバサ「ええ、それはもちろん。」

花陽「ちょっと電話してみます。」

花陽(誰にかけよう・・・。ここは部長のにこちゃんかな・・・。)

プルル、プルル、プルル

・・・ガチャ

にこ『はい、もしもし?花陽?』

花陽「あ、にこちゃん。今日の練習なんだけど、連れて行きたい人がいるの。」

にこ『連れてきたい人?誰よ?』

花陽「えっとそれは・・・。」

ツバサ「花陽さん、代わってもらえるかしら?」

花陽「え、あ、はい。」

にこ『?』

ツバサ「あ、もしもし。お電話代わりました。綺羅ツバサといいます。」

にこ『綺羅ツバサ・・・!?A-RISEの・・・?』

ツバサ「はい。」

にこ『・・・。』

ツバサ「突然のお願いで申し訳ないんだけど、花陽さんに頼んでμ’sの練習に・・・」

にこ『どうぞ。』

ツバサ「え?」

にこ『練習、見に来てもらっていいです。』

ツバサ「本当?・・・じゃあ、ぜひお願いします。」

にこ『・・・それじゃ・・・。』 ブツッ

ツバサ「許可もらったわ。ありがとう、花陽さん。」

花陽「いえいえ・・・。それじゃあ、これ飲み終わったら行きましょう。」

―屋上―

穂乃果「A-RISEのメンバーがなんでここに!?」

ことり「ほぇー。」

海未「失礼ですが、どうしてここに・・・?」

ツバサ「カフェで花陽さんにナンパされちゃって。」

花陽「な、な、ナンパ?!」

凛「かよちんがとられちゃったニャ・・・。」

花陽「凛ちゃんー!違うよー!もー、ツバサさんのいじわる・・・。」

真姫「・・・で、なんなの?」

絵里「今日は、皆もご存じ、A-RISEの綺羅ツバサさんが私たちの練習を見学して行くことになったそうよ。」

希「思いがけない出会いに恵まれる――カードに出とったけど、こういうことやったんか。」

にこ「・・・。」

絵里「まあ、そういうことだから。そろそろ練習を始めるわよ。」

にこ「あの・・・。練習を始める前に言っておきたいことがあるわ。」

花陽(にこちゃん・・・?)

ツバサ「なにかしら?」

にこ「私たちμ’sはA-RISEにだって負けない。必ずトップに立って見せるわ。」

にこ「・・・それだけ。」

ツバサ「ふふ・・宣戦布告ね。受け取っておくわ。」

穂乃果「おー。にこちゃんかっこいいー。」

にこ「マ、マアネ!」

真姫「でも、にこちゃんにしては、いつもより緊張気味というか、声が震えてたわね。」

凛「あー!にこちゃん、ツバサちゃんに会えて本当は感激してるんだニャー!」

にこ「う、うるさいわね!!」

絵里「ほーら、綺羅さんが待ってるわ。いつも通りの練習でいくわよ。海未、音楽をお願い。」

~♪
・・・

タララー♪

絵里「花陽!今のところズレてるわ!」

花陽「はい!」

絵里「凛!そこはしっかり指まで伸ばしなさい!目線も指先に合わせる!」

凛「はい!!」

タララッタ♪

・・・

海未「はい、それでは、15分休憩とります。」

ツバサ(・・・すごい、あの絵里って人。歌もダンスも上手。特にダンスはスクールアイドルのレベルを超えている。金髪碧眼でスタイルも抜群。リーダーシップもあり、人に指示を出すのも慣れているわ。おそらく、この人がμ’sの原動力。うちに引き抜きたいくらいね。)

ツバサ「絵里さん。」

絵里「はい?」

ツバサ「素晴らしいダンスでした。色々と学ばせていただきました。」

絵里「学ばせてなんてそんな・・・。学ばせてもらってるのはいつも私たちのほうです。」

ツバサ「練習の指示もいつも絵里さんが?」

絵里「ええ、まあ。大体は。」

ツバサ「なるほど・・・。絵里さん指導のダンスならμ’sの振り付けもより良いものになりそうですね。でも、同じリーダーとして、絵里さんには負けたくないと思いました。」

絵里「ふふ、ありがとうございます。・・・でも、リーダーは私じゃないの。」

ツバサ「あら?私はてっきり――じゃあリーダーは・・・。」

穂乃果「はい!それは、私であります!」

ツバサ「え、あなた?」

ツバサ(い、意外ね・・・。歌もダンスも上手だけど、このメンバーの中じゃどっちも中くらい。練習の指示してたのも絵里さんと海未って子だし。特に目立ったところもないような。というか・・・。)

穂乃果「そういえば私、一応リーダーだったんだっけ。」ポケーッ

ツバサ(なんか・・・アホそう。)

にこ「やっぱりあんたリーダーに見えないのよ!ここはやはり部長である私g・・・」

真姫「はいはい。」

にこ「ちょっとぉ!ちゃんと聞きなさいよぉ!」

にこ「そもそもアイドルのリーダーというのは・・・」グチグチ

真姫「また始まった。」

ツバサ「・・・。」

花陽「あの・・・、ツバサさん。ちょっといいですか。」

ツバサ「花陽さん・・・。なにかしら?」

花陽「もしかしたら穂乃果ちゃんがリーダーなことに疑問を感じてるのかなって思って。」

ツバサ(正直、不可解ね。)

花陽「穂乃果ちゃんは、μ’sを作った張本人で――こんな地味で冴えない私をμ’sに誘ってくれたのも穂乃果ちゃん。他の皆だってそう。穂乃果ちゃんがいなかったらμ’sはなかったし、こんな楽しくて充実した毎日はありませんでした。口ではみんな恥ずかしがってあまり言わないけど、皆、穂乃果ちゃんに感謝してるんです。」

ツバサ(へぇ・・・。)

花陽「あ、す、すいません!こんな話いきなりしてもわかんないですよね。」

ツバサ「いえ。・・・慕われてるのね、穂乃果さんは。」

花陽「! は、はい!」

穂乃果「なになにー?穂乃果の話が聞こえたけどー?」

花陽「あ、えっとね。」

にこ「穂乃果はホント、アホよね。って話をしてたのよ。」

穂乃果「えぇ!?花陽ちゃん・・・穂乃果のことそんな風に思ってたの・・・?」

花陽「違うよ!にこちゃんは、私たちの話聞いてなかったでしょ!」

穂乃果「うえーん。花陽ちゃんはやっぱり、かしこい海未ちゃんとかことりちゃんとか絵里ちゃんがいいんだー!」

花陽「ち、違うってばー!」

ツバサ(うーん、やっぱりリーダーには見えない・・・かな・・・。)

ツバサ「あ、そういえば、あんなに好調だったのに・・・なんでラブライブの参加取り消したの?」

花陽「それは・・・。」

・・・

ツバサ(あっ、やばっ。地雷踏んだかしら。)

穂乃果「ラブライブ出場辞退したのは私のせい・・・。」

海未「穂乃果!あれは穂乃果だけの責任ではないと!」

穂乃果「あ、うん。ごめん、海未ちゃん。もう大丈夫。・・・出場辞退したのは、私がライブ中に倒れてしまったからです。」

穂乃果「その曲は私がセンターを任されていて。廃校の問題もかかっていたからなりふり構わず練習していました。だって、私が何とかしないと!センターの私が頑張らないと!って。そう思ってた。」

穂乃果「でも、そもそも私、センターに向いてないの。歌は真姫ちゃんより下手っぴだし、ダンスも絵里ちゃんに敵わない。作曲もできなければ衣装も作れない。みんなそれぞれスキルがあるのに、私にはなくって、全然役に立ててない。」

穂乃果「だからせめて、センターを任されたからには失敗はできない。せめてこの新曲だけは私が一番に盛り上げて見せるって思って。でも・・・そうじゃないってことに気づきました。μ’sは私だけじゃない。海未ちゃんやことりちゃん、それに皆がいる。本当に見てもらいたいのは、私達9人全員の一体感。絆です。」

穂乃果「私、バカだからそんな簡単なことにも気づかなくって・・・。大切なのは個人の力だけじゃない。」

穂乃果「プロのアイドルから見たら甘い考えだって言われるかもしれない。でもね、同じ学校で共に生活しているメンバーだからこそ、スクールアイドルだからこそ出せる一体感があると思う。そういうのを伝えることができるスクールアイドルになりたい。」

穂乃果「私達μ’sはこれからもそうあり続けたいって。そう、思います。」

ツバサ「・・・。」

絵里「穂乃果・・・。」

ことり「穂乃果ちゃん・・・。」

ツバサ(センターポジションは一番実力があり、人気もある人がやるものだという考えにとらわれていたけど・・・。こういうセンターポジションもあるのね・・・。――そうか、これがμ’sの魅力であり、原動力・・・。そして、私たちに足りないもの――。)

穂乃果「えへへ、なんか辛気臭くなっちゃったね。ごめんなさい、ツバサさん!」

ツバサ「いえ。いい話を聞かせてもらったわ。」

穂乃果「柄じゃないこと言っちゃったなー。まあ、気を取り直して!」

穂乃果「さあ、海未ちゃん!ことりちゃんが作ってきてくれたお菓子を食べる時間だよ!」

海未「穂乃果・・・もう休憩終了の時間です!」

穂乃果「ってあれー!?海未ちゃんもう10分休憩~。」

海未「ダメです!」

穂乃果「うわーん。」

ツバサ(ふふ。私ももう少し・・・バカになってみようかしら。)

~数か月後~

モブA「最近、A-RISEすごいよねー!」

モブB「うんうん。なんでかなっ、前から凄かったんだけど、最近のは見てるだけでこっちまで楽しくなっちゃう!」

ことり「どこもかしこもA-RISEの話題ばっかりだよー。」

海未「不動の一位ですしね・・・。」

にこ「ぐぬぬぬ・・・!」

希「まとまってきたって感じやなぁ。前よりパワーアップしとるやん。」

にこ「ふ、ふん!ライバルはこうでなくっちゃね!」

真姫「ライバルって・・・。まあ、私達からしたらそうかもしれないけど。」

凛「にこちゃんは前、宣戦布告しちゃったから後に引けないんだにゃ!」

絵里「ふふ。その宣戦布告も受け取ってもらったことだし、ライバルと認めてもらったということでいいんじゃないかしら。」

花陽「ライバル・・・A-RISEがライバル・・・。ずっと憧れだったA-RISEが私たちの・・・」ブツブツ

真姫「花陽が何かブツブツ言ってるわよ・・・。」

凛「凛はこういうかよちんも好きだよ!」

穂乃果「よし!私たちも負けてられないよ!さあ、練習を始めよう!」

おわり

初SSでした。
話はベタですが、読み直してるバクマンのライバル関係に影響を受けて書いてみました。

見てくださった方、ありがとうございます。

いくつか書きたいネタはあるので、暇なときにでも書いておきます。

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