女ハンター「………」(230)

モンスター「ギャオアアアアア!!」

女ハンター(以下女)「……」スッ

ザシュッザシュッ

モンスター「ギャ……」バタ

女「……ふぅ」

――ハンター案内所

案内人「あんた新入り?」

新入りハンター「は、はい!」

案内人「ここはギルドの案内や討伐の依頼を請け負うところでね――」

女「……」コツコツ

案内人「おっ、女さん。昨日の討伐もうまくいったみたいだね?」

女「……」コク

案内人「今日の依頼はないよ」

女「……」コク

女「……」コツコツ

案内人「ええっと、どこまで話したんだっけ?」

新入り「あ、その前に。あの人…誰ですか?」

案内人「あの子はギルドに入っていない数少ないハンターだよ」

新入り「ギルドに入っていないハンター…」

案内人「そっ。ギルドにいれば仕事も自動的に優先されて入ってくるし」

案内人「モンスター狩りも何人かと行くからそこまで死の危険がない」

案内人「あとはそうだね、武器の調達も便利なのかな?」

新入り「ギルドにいるより個人でいるほうが大変なんですね」

案内人「そりゃあ当たり前さ。」

新入り「まだ彼女、若いですよね?なのにどうして…」

案内人「おおっ?まさか惚れちゃったかなー?」ニヤニヤ

新入り「そ、そんなことはありませんよ!」

案内人「ま、彼女のことはオレもよく知らねぇよ」

新入り「はぁ…」

案内人「見ての通り、無口だからな。反応が返ってきただけでも進歩だよ」

新入り「そうですか」

案内人「さ、でだ。話の続きをしようじゃないか」

わくてか

――安宿

女「……」

女「」グゥ

女(お腹空いた…食べに行くか)

――街

ワイワイ

露店商「安いよ安いよー」

露店商2「うますぎてびっくり!」

女「……」キョロキョロ

露店商3「そこのねーちゃん!東洋のヤキ・ソバっての食べないか?」

女「……」コクリ

客「オヤジぃ!この赤いのなんだよ!すっぱ!」

露店商3「それはベーニショーガって言うらしいぜ!」ジュウジュウ

女「……」グー

露店商3「へーいお待ちっ!熱いから気を付けなぁ!」

女「……」チャリン

露店商3「銀貨一枚でいいよ!サービスだ!」

客2「若い女のコだからってオヤジ張り切ってやーんの」

客3「常連にはもっと優しくしろよオヤジ!」

露店商3「うるせーよ、お前らは家で女房に優しくされりゃいいじゃねぇの!」

客「優しくされないからここへ来てるんだろうが!」

ワハハハハ

女「……」ハフハフ

女「……」ズズズ-

ギャアギャア

客「なんだ?ケンカか?」

客2「まぁたギルドのハンター同士のトラブルみたいだな」

客3「いつぞやの流血沙汰にならないといいんだが」

女「……ごちそうさま、美味しかったです」

露店商3「おう!またいつでもこい!」

女「」ペコ

女(あっちか)

ワーワー ヤメロヤメロ

ハンター「あぁ!?なんつった今!」

ハンター2「言葉通りだよ!モンスターの餌となれよバーカ」

ハンター「許さねぇ、ここで死ね!」シャリン

ハンター2「てめーがな!」ガチャッ

女(あれはショットガンか。軌道次第では危険だ)

女(気乗りしないが…止めるか)

??「おい、止めろ」

ザワッ

女「……」

男「ここは街だ。人が住んでいるだろ」

ハンター「んだてめぇ?旅人か?」

男「そうだ」

ハンター2「じゃあ口を出すな、ここはおれらの街だ!」

男「あのな、全てのハンターがこの街出身じゃねぇだろ」

ハンター「うるさい!余所者は引っ込んでろ!」

野次馬「おい旅人さん!そいつら酔ってるべさ!」

男「分かった」

ハンター「うおぉぉぉ!!」

男「おっ、いい剣使いだ」キンッ

女(稽古用とはいえ、長剣を短刀で…)

男「よっ」トンッ

ハンター「あ……?」ポロッ

女(手首を叩いて落としたか。平和的だな)

男「そっちのあんたも武器をおろせ。ショットガンなんてぶっぱなしたら――」

ハンター2「うるせーよ!」ガァンッ

女「!」

男「っ」ブシュッ

ザワザワッ

ハンター「え…」

男「肩か…」

ハンター2「あはははは!!」バンバン

キャー!! ヤベェニゲロ!!

男「ちぃっ…暴走しやがった」

ハンター2「あはははっ、死ね!」

ドスッ

ハンター「あはは…は…?」

女「……」

ハンター2「」バタ

男「死角に入ってからの峰打ちだと…」

女「……手当する」グイッ

男「あっ!?おい、俺怪我人だから…」

野次馬達「」ポカーン

野次馬「…とりあえず、ハンター押さえるべ」

野次馬2「んだ」

――安宿

女将「お帰りなさ…えっ」

女「…包帯をお願いします。買って返すので」

男「」

女将「あ、はあ…」

女「……」コツコツ

男「」ズルズル

女将「何があったのかしら…」

――しばらくして

男「う……ん」

女「……」ジッ

男「」

女「…具合は」

男「え?ま、まだ肩が突っ走るけどそれ以外は特に」

女「そう」

男(なんなんだこの人)

男「あの」

女「……」

男「なんで、俺を手当したんだ」

女「理由はない」

男「ないんだ」

女「…なんだか知り合いに似ていたからだと思う」

男「知り合い?」

女「……」

男(質疑応答タイムは終わってしまったようだな)

女「……」

男「あー…明日はどうするんだ」

女「買い物」

男「そうですか」

男「じゃあ俺は自分の宿に行かないと。世話になった」

女「」ペコ

男「礼は明日する」

女「……」コク

バタン

ドタドタドタ

バッターン

男「まさかの部屋隣かよ!?」

女「知ってた」

男「知ってたんだ!?」

女「……」

男「じゃ、じゃあなんでこっちの部屋に運び込んだんだ?」

女「そっちの鍵なかったから」

男「ですよねー」

――翌朝、ハンター案内所

女「……」コツコツ

案内人「よっ、女さん。クエスト依頼が入ったよ!」

案内人「場所は南の森。凶暴なモンスターが今朝住人を傷つけたらしい」

案内人「受けるかい?金貨20枚だそうだ」

女「」コク

案内人「また一人でかい?今仲間を募集しているパーティーがいるそうだが」

女「……」フルフル

案内人「そうか…気をつけていくんだよ」

――南の森

女「……」ガサッ

女(風上から血の匂い)

女「…そっちも私を見つけたか」

モンスター「グワオ゙オ゙オ゛!!!」

女「……」シャキン

モンスター「ウギィィィィ!!」シャッ

女「……後退」ザッ

モンスター「ウウウウウ…」

女「……」シャキンッ

女(狙うは鱗のあいだ)

女(鱗は軟らかい肉を護るためにあるのだから、一番ダメージが大きい)

モンスター「ウオオオオオオ!!」

女「ふ――!」

――鍛冶屋

女「……」ボロッ

鍛冶屋「――まァ、勝ったんだろ?」

女「……」コク

鍛冶屋「しかし見事なまでに真っ二つだなァ…。どんだけ強かったんだか」

女「……」

鍛冶屋「元通り直してやるさァ。ついでに鍛えといてやる」

女「」ペコ

鍛冶屋「明日また来てくれや」

――街

子供「ねー、知ってる?きのう、ここらへんでこぜり合いがあったって」

子供2「ママが言ってた!ギルドどうしてあらそう日もとおくないねって」

男「お嬢さんたち」スッ

子供「わわっ」

子供2「かっこいいお兄ちゃんだ!」

男「はは、ありがとう。――飴をあげるから、ギルドについて分かることを教えてくれないかな」

――商店

女「包帯と、薬草を」

商人「あい」

女「…最近物騒だと聞いたが」

商人「ああそうなんだよー、なんかみんなピリピリしててさー」

女「何故?」

商人「さぁ?おおかた賞金のトラブルだろうけどねー」

女「…そうか」

商人「あ、ついでに惚れ薬買ってかないお客さん…ってもういないやー」

あ、モンスター討伐とかラブラブチュッチュとか少ないかもしれないけどいいですか
あと今から犬の散歩行きます

面白い④
待ってます

――街

男「……」

子供『ママからきいたんだけどね、えらーい人はわるーいんだって』

男『悪い人なの?』

子供2『こどもをさらったりねー、わざとモンスターをけしかけたりしてるそうだよ』

子供『わるい子はさらわれちゃうんだよ!』

男『それは…どこが?』

子供『そこまではわかんないかなぁ』

男「ちっ……街を救うのがハンターだろうが」

こんな天気に大変だな

支援

男「ぐっ」ズキッ

男(薬草のおかげで迅速に治ってきてはいるが…まだ無茶は禁物か)

男「飯でも食うか」

ガヤガヤ

男「ふーん…ラメーンっていうのか。安いしこれに――」

女「……」ズズー

男「」

本気で外でない方が良い
これは死ぬ

女「……」ズズー

男「あ、相席いいですか」

女「」コク

男「店主、このショーユ味で」

ラメーン屋店主「へい」

女「……」

男「……」

女「なに」

男「あ、いや…連れ、いないのかなと思って」

女「……」フルフル

男「ナンパされたりとかなかった?」

女「……」

男「うん、もうこの事には触れないからその顔やめよう」

店主「ヘイッ、ミソー味お待ち!」

男「ちょっと待て、俺はショーユを…」

女「……」ハッ

男「鼻で笑うのやめて地味に凹むから」

男(一人でハンターか……生半可な覚悟じゃできねーな)ズズー

女「……」ニモツセイリ

男(なによりも若い。成人前後ぐらいか)

男(いきなり旅に出ても野垂れ死ぬだけだから、ある程度準備してから来たんだろうが)ズズー

男(謎だ)ウーン

女「」ピクッ

女「ごちそうさま。釣りはいりません」チャリン

店主「え、でもこんなに」

女「彼の分も含めてです」

男「…え、俺?」

女「そのかわり、私たちがここにいなかったことにしてください」

店主「あ、ああ」

男「ちょ、どこに行くんだよ」

女「退却」タッ

男「…?ごっそーさん」タッ

店主「なんだったんだ…」

バタバタ

ハンターa「今ここに黒い短髪の背の高い男が来なかったか」

店主「ん?背の高い男?」

ハンターa「それと肩ぐらいまでの髪の女性ハンターだ」

店主「あー、その二人なら繁華街に行ったかなぁ」

ハンターa「協力感謝する」ダッ

店主(本当は逆方向だけどね)

店主「……またなにが起こるんだか」

――裏路地

タタタタ

男「おい」

ピタッ

女「……」

男「何があったんだ」

女「…あなた、何かしてはいけないようなことをした?」

男(長く喋った)

男「いや?犯罪行為はしていないはずだ」

女「そう……」

男「なんなんだよ。追っ手でもいたのか?」

女「もしかしたらあなたのが」

男「……俺の?」

女「ここに来る前とかなにか、なかった?」

男「ないはずだ」

女「本当に?他の街で、ハンターと…ギルドといざこざは?」

男「…待てよ。身に覚えがあるかもしれない」

女「……うろ覚えのフリをすることはやめて」

男「……」

女「あなたを追いかけてきてるか、伝達されているんだと思う」

男「…あんたには関係ねぇよ。巻き込んで悪かったな」クルッ

男「手当サンキュ。礼は部屋の前に置いとくぜ」

女「……出ていくつもり?」

男「追われてると分かったならな。この街の雰囲気は好きだったが」

女「……」

女「……」

女「」クルッ

――表路地

ハンターa「くっそ、いねーな」

ハンターb「あ、あれって女性ハンターじゃね?」

ハンターa「あれは長髪だろ。一ヶ月であそこまで伸びるか」

ハンターb「確かに」

女「……」

ハンターb「ナンパしてみようかな」

ハンターa「やめとけ。ああいうのは一番痛いフりかたするぞ」

――安宿

女「これ、ありがとうございました」ホウタイ

女将「ど、どうも…」

女「」ペコ

女将「そういえば昨日の男性、出ていったわよ」

女「分かりました」

女「……」コツコツ

女将(一体どういう関係だったのかしら…)

女「……」

女(ここに来たのは三ヶ月前)

女(だからしばらくは他の街の噂を知らなかったが…)

『隣の隣の街のギルドが壊滅寸前らしいぞ』

『マジで?なんで?』

『なんでも部外者にボコボコにされたらしい』

女(近い街のことだからか、これは最近よく耳にする)

女(ギルドを不意打ちとはいえ壊滅寸前までおいやる腕前…)

女(名前も知らない彼かもしれないし、違うかもしれない)

女(どちらにしろもう会わないだろうし)

女(それより、私はもっと強くならないといけない……)

―――

「神父さま神父さま、わたしハンターになる!」

「殺生に携わる仕事には、生半可な気持ちでついてはいけませんよ」

「すいませーん…」

「しかし、何故ハンターになりたいのですか?」

「モンスターでるとみんな困るでしょ?だから、退治するの!そしたらみんな幸せ!」

「みんなのために、ですか。あなたは優しい人ですね」

「うん!みんなを守れるハンターになりたい!」

「ふふ、そのためには努力をしないといけませんよ」

「えー」

―――

本当に守りたかったのは、あなただったのに。

私は結局、守れなかった。

――朝

女(夢見たような。覚えてないけど)

女(今日はモンスター狩りを休もう)

女「……」ヌギヌギ

女「……」シャワー

女「……ふう」フキフキ

――鍛冶屋

鍛冶屋「できてるよォ」

女「」ペコリ

鍛冶屋「しかしいい剣だなァ。どこで買ったんだ?」

女「…貰いものです」

鍛冶屋「ふぅん。いーなー、こんなの貰えるっていーなァ」

鍛冶屋「こっちなんか親父からこんなボロボロの工房を…」

鍛冶屋息子「またか…もう帰ったほうがいいぞ」

女「……」コク

しえん

――街の噴水前

ザーーー

女「……」

女(噴水は豊かさの象徴だな)

女「……」

子供「わっ、お姉さんハンターさん?」

女「……そう」

子供「大きな剣だねー!重くない?」

女「慣れた、から…」

子供「力持ちだねー」

女「…大きくなれば、持てるようになるよ」

子供「本当に!?じゃあおっきくなったら持たしてくれる?」

女「……」コク

子供「じゃあお姉さん、指切りしよ!」

女「え」

子供「ゆーびきーりげーんまんうそついたーらモンスターにくーわすっ!」

子供「指切った!」

女「あの」

子供「約束だからねーっ!」

女「……」

女「指切り……」

女(見ず知らずのハンターとやるもんじゃないだろうに)

女「……」

女(まあ男の子なら一度は憧れるしな、ハンターは)

女(……本当にモンスターに食べられるのかな)

ふむ。支援

――街の外

男「あー、失敗した。敗因は気の抜きすぎか」ボリボリ

男(まさかこんなに早い時期に追っかけられるとはな)

男(無理はないか。ギルドと個人の二重の意味での生死に関わってるとなっちゃ)

老婆「そこ、お若いの」

男「あ?なんだばーちゃん。最寄りの街ならそっち…」

老婆「孫がの」

男「孫?俺は託児所なんかやってないが」

老婆「孫がいなくなったんじゃ」

男「……」

老婆「孫がみつからのうて」

男「…どこにいったとかは、分からないのか?」

老婆「モンスターじゃ」

男「はい?」

老婆「暗くて分からんかったが、ありゃ確かにモンスターを退治する道具を持っておった」

男「そいつが孫の居場所を知っていると?」

老婆「そうじゃて。あれが連れていったんだから、知っておるだろう」

男「ええっと……」

男(会話がバラバラだな)

男「その、変な奴に孫が連れられているのをばーちゃんは見たと」

老婆「そうじゃそうじゃ。ワシが目をはなした隙にのう」

男「誰かにいったのか、そのこと」

老婆「いったとも。しかしボケとるからって誰も信じてくれん」

男「…俺は信じよう。その上で、ひとつ聞きたいことがある」

老婆「なんじゃ、お若いの」

男「変な奴の襟にバッチはなかったか」

老婆「おお、あったあった。月に照らされての、綺麗だった」

男「そうか…」

老婆「二つぐらいつけていたが、ありゃ流行ってるのか?」

男「は?二つ?」

男「二つって…どういうことなんだ……」

義娘「あーっ、またお義母さんそこにいるっ」

老婆「だってのう、孫が…」

義娘「…大丈夫よ、すぐ帰ってくるから…」

男「……」

義娘「ごめんなさい、お義母さんボケてるところがありまして。何か迷惑は?」

男「いえ、何もないです」

義娘「ああ良かった。さ、帰りましょお義母さん」

男「……」

男「やることが積み重なっていくな…」

――安宿

女「……」コツコツ

ガチャ

男「あ、お邪魔してます」

女「……」スッ

男「いやちょっと待て、いきなり斬ろうとするな」

女「何の用」

男「頼みたいことがあるんだ。報酬は出す」

女「報酬はこちらの指定でいいなら」

男「まあいいだろう。ちょっと長い話だが聞いてくれ」

--説明中--

女「…ギルドが良からぬことをしていると」

男「まだ確定じゃないが」

女「それで」

男「俺が気になっているのはそのばーちゃんの話だ。バッチが二つ」

男「バッチはなんなのか分かるな?」

女「ギルドメンバーの証」

男「そうだ。普通なら一人一つなんだよ、ギルドなんて理由ないかぎり複数入れないから」

女「」コク

男「だからそいつを尋問すりゃあ俺の疑いは晴れるか深まるかするんだ」

女「……」

男「この話、のってくれるか?」

女「のる」

男「よかった。俺は信じていたよ」

女「報酬だけど」

男「おう、なんだ。可能な範囲ならいいぜ」

女「追われる理由を教えて」

男「―――………」

男「あー……」

女「……」

男「実は滅びた国の王子なんです」

女「……」ハッ

男「だから鼻で笑うのやめて」

女「仮にそんなことがあったら警察団もハンターも総力あげて捜している」

男「…ですよねー」

女「……」

男「どうしても言わないと駄目か?」

女「」コク

男(こうなったら適当にでっちあげるか)

女「嘘言っても分かるから」

男「」

男(そうだよな、若く見えてもハンター、しかもギルドに入っていない)

男(今まで様々な場面で騙されることも多かっただろうから、そういうスキルはあってもおかしくない)

女「……」ジッ

男(あれ、俺ってなんかヤバいの相手にしてないか?)

女「……」

男「誰にも言わないか?」

女「約束する」

男「信じよう」

男「前はさ、別の街でハンターやってたんだよ、俺」

男「その時は小さなギルドでちまちまモンスター倒していたんだけど」

男「ある時突然別のギルドに潰された」

男「リーダーも副リーダーもあっさり死んじゃって」

男「これは後から聞いた話なんだが、俺んとこと他んとこのリーダーが討伐料金で揉めてたんだと」

男「…馬鹿みたいだよな。俺全然知らなかったんだぜ」

男「俺のリーダーはあくまでも良心的な値段にしようとしていたみたいだが」

男「他んとこのリーダーはがっぽり儲かりたかった訳だな」

男「話すよりも力で組伏せようとした結果がこれだ」

男「ああ、ギルド壊滅の理由は賊に襲われたせいってなっていたな」

男「しばらく生き残ったやつと潜んでいたんだが、まあすごかったな」

男「討伐依頼、最低で金貨60枚だぜ。頭おかしいだろ」

男「だからといってモンスターに畑荒らされたり最悪死ぬから依頼せざるを得ないし」

男「だから、生き残った奴と復讐することにした。ギルドとリーダー達のな」

男「…それに、そいつの身内がリーダーだったんだよ」

男「たっけー火薬買って、慣れない爆弾作って」

男「いつも以上に鍛錬しまくって技を鍛えまくって」

男「準備が終わって、とうとう夜襲をしかけた」

男「同胞殺しなんて初めてだったよ」

男「もしかしたらモンスターより簡単だったかもしれない」

男「それから、破壊して破壊して破壊して」

男「皆殺しにした」

男「相方は…ああ、生き残りの奴。相方は重症負っちまって」

男「もしもハンターが横暴な振る舞いをしていたら潰してくれって物騒な遺言を最後に死んだ」

女「……」

男「以上だ」

女「そう。でもひとつ」

女「あなたはその人に縛られている。自覚は?」

男「あるよ。望んで縛られているんだ」

女「……」

男「笑うか?」

女「」フルフル

女「私も似たようなものだから」

男「そうなのか…」

女「私も私の用がある。だからすぐとは言えない」

男「ああ。それでもいいよ」

女「それで、どうするの。宿は」

男「それなんだよなぁ…ここの女将がどんな情報もってるかなんだよ」

女「明日探りを入れておく」

男「よろしく頼む。…で、今夜は俺どこで寝よう」

女「……………」

男「……」

女「まさかここで寝るつもり?」

男「今までで一番感情こもっていたな!すごく嫌そうなのが伝わった!」

男「一夜だけ!一夜だけでいいから!」

女「ベッドは渡さない」

男「寝袋あるので床で寝れますお願いします今日の外は寒いんです」

女「……」ハァ

女「静かにしていれば」

男「ありがとうございます!」

――ギルド寮

新入り「うう、明日からモンスターの討伐の練習かぁ」

新入り「うまくいくといいなあ」

新入り「眠れない…」モゾモゾ

新入り「今日は月が明るいや」シャーッ

新入り「あれ?こんな夜中にも走り回ってる人っているんだ」

新入り「大きな包み持って忙しそう」

――安宿

女「」スースー

男(寝たのか)

男(…彼女の枕の下にはナイフ。扉には椅子が置かれている)

男(侵入者対策としてはばっちりだな。半分俺への警戒もあるだろうけど)

女「」スースー

男(いったいこいつに何があって、こんな道を歩いているんだろう…)

男(聞いても教えてくれないだろ…う…な…)

男「」スピー

チュンチュン

男「ん……朝か……」

女「」スースー

男(太陽昇ってそうしばらくたってない…早く起きすぎたようだな)

女「」スー

男(枕に手を突っ込んだままだよ…信用されてないよ俺…)

女「…やだ…」

男「え?」

女「ひとりに……」

男「……」

女「」スースー

男(泣いてる……)

男(ここは…なんだ、どうすればいい?)

男(下手なことして殺られるのは避けたい)

男「うーん…」

男(ひらめいた)ピコーン

男「見なかったことにしてもう一度寝れば良いんだ」

チュンチュン

女「……ん」ゴシゴシ

女(また泣いてる…一体何の夢を見ていたんだ、私は)

男「」クカ-

女「……」

女(なんだか捨て犬を拾った気分だ)

女(今日は…小さめの討伐依頼があるならそれをうけて)

女「」チラ

男「」スピー

女(軽く聞き込みをするか)

女「……」キガエキガエ

女「…いってきます」

ガチャ バタン

――案内所

女「」コツコツ

案内人「やあ、女さん」

女「」ペコ

案内人「今日は特にないかな」

女「…そうですか」

案内人「んー…最近来たばかりの女さんに愚痴いうのもなんだけど、暇なら聞いてくれる?」

女「……」コク

案内人「なんというか、変なんだよね。この半年」

案内人「小型のモンスターが定期的に街の外れを襲うんだ」

女「……」

案内人「しかもそういう依頼は決まってギルドに回されている」

案内人「ギルドと住人が契約を結んで、モンスターが出たときに速やかに討伐するという仕組みは知ってるかい?」

女「」コク

案内人「なんというかね……その契約している地域に良く出ている気がするんだ」

女「……」

案内人「ま、ただの偶然だろうけどね」

案内人「ただ大量発生しているぐらいならこっちにも回してくれればいいのにって話」

案内人「少ないとは言え女さんみたいなハンターもいるんだからさ」

女「……」

案内人「それに暇でしょうがない」フワァ

女「……一つ聞いていいですか」

案内人「おおっ?なんだいなんだい、分かることならなんでも答えるよ」

女「バッチを二つつけている人、見たことは?」

――街

女「はー……」

女(ここのハンターも横暴な振る舞いをしていたら、彼はどうするのだろう)

女(また皆殺しにするのだろうか)

女(まあ、彼やギルドがどのような末路を辿ろうが私には関係無いこと)

女(私はあの街に戻ってあの憎きドラゴンを倒す。それだけだ)

女(私は自分が強くなることを考えていればいい)

女(しかし………)

案内人『二つつけている人?いや、普通ならありえないね』

案内人『そもそもこの街のαギルドとβギルドは仲が悪いからね』

案内人『例え両方に所属していても二ついっぺんにつけるアホはいないだろう』

案内人『別のバッチか、何かの集まりに必要な証明か、それとも二つのギルドの間で何かをしているひと』

案内人『最後はちょっと考えにくいけど。あ、二重スパイならあり得そうかな』

案内人『そんな感じ。普通ならバッチ二個なんておかしいよ』

ほほう期待

女「……」

女(人里へ頻繁に小型モンスターが来ることはあまりない)

女(人の味を覚えた大型モンスターなら分かるが…)

女(それに、大量発生。ここ最近は生態系のバランスが崩れるような気候ではない)

女(何かが、おかしい)

女「っ」ドン

チンピラ「うわ、いってー」

女「…すみません」

チンピラ「肩折れたかもしれないんだけどー」

女「……」ハァ

チンピラ「オレ仕事できなくなっちゃうんだけど?どうしよっか?」チラッチラッ

女「奇遇ですね」

チンピラ「は?」

女「私も肩が折れてしまいまして」ブラン

チンピラ「」

女(まさか気絶するとは。関節外しただけなのに)ゴキッ

女(…おんなだから舐められているのだろうか)

女(いっそのこと短く髪を切ってしまおうか)

女「」ドン

女(また…)

男「あ、すみませ…」

女「……」

男「……」

女「馬鹿」

男「ストレートな罵倒来た!?」

女「それ以外言葉が見つからない」

男「いやほら、フード被ってるし!バレにくいと思うんだ!」

女「……」

女「だからと言って真っ昼間から出歩く大馬鹿がいるか」

男「俺の評価が駄々下がりだ…!」

女「仮にあなたが捕まったら私まで捕まりかねない」

男「ああ…犯罪者と行動していたとかそういう理由でか」

女「」コク

男「でも俺にも出歩かないといけない理由があったんだ」

女「?」

男「腹減っちゃって……」

女「…………」

男「真っ昼間から街ん中で殴る奴がいるか」ジンジン

女「つい」

男「つか、マジでいてぇ…たんこぶできそう」

女「……」ガサッ

男「? なんだ、この紙袋」

女「あなたがまだ宿にいたらあげるつもりだった」

男「え……あ、パン」



男「あ…あんがと」

女「……」

男「優しいんだな」

女「別に」

男(素っ気ないなあ…)モグモグ

男「…じゃあこっちからも、礼をするよ」

女「?」

男「礼というか自分の尻拭いだけどな。お前が被害被らないようにする」

女「……」

男「また会えたら会おうぜ」ダッ

女「あ、」ピク

女(この気配…同業者か?)

――裏路地

男「で?なんか用か?」

ハンターc「」ピクピク

ハンターd「こ、これ以上はやめてくれぇ!」

ハンターe「ゆ、許して…」

男「お前らが武器ぶん回して襲いかかって来たからだろう?」

男「質問に答えたら殺してやらなくてもいいが」

ハンターd「言う!言うから命だけは!」

男「よーし、じゃあ最初の質問な」

男「そっちは誰を捜している?」

ハンターd「長身で黒髪の男と短髪の女ですぅっ!」

男「…ははぁん。なるほどなるほど」

男「ふたつめー。お前らギルドでは何してる?」

ハンターd「も、モンスターをかってます…」

男「子供を誘拐とかは?まさかしてないよな?」

ハンターd「はい!してません!」

男「……」ギロ

ハンターe「で、でもβギルドでは子供を誘拐していると聞いたことがあります!」

男「お前たちは?」

ハンターd「αギルドです!」

男「そうか…最後にひとつ良いことを教えてやる」

ハンターd「ふぇ?」

男「幼なじみ…いや、短髪の女のことだが……」



男「死んだよ」ザンッ

――街

バタバタバタ

「おい、あっちで気絶しているハンターがいたらしいぞ!」

「まさか返り討ちか!?」

「とりあえず辺りを警戒しろ!」

新入り(忙しそうだなぁ…モンスターでも来たのかな?)

新入り(あ、あの時のハンターさんだ。誰か探しているのかな)

新入り(……ちょっと怖くて話しかけられないけど)

女「……」ハッハッ

女(どうして赤の他人のために走らなくてはならないのか)

女(――赤の、ではないか)

女(まだ聞いたことを話していない)

女(これは契約違反だ。依頼は果たさなくては)

女(それに――)

女(この数日間で感じた以上にかなり嫌な予感がする)

今日は無しなの?

――αギルド内

α副リーダー「――というわけで、今もコソコソ動いているようで」

αリーダー「かぎまわっている奴は潰せ。邪魔だ」

α副リーダー「はい」

αリーダー(まあ…誰もαギルドとβギルドの頂点が兄弟だとは思わんだろう)

αリーダー(問題はあいつが隠しとおせるかだが……)

ズズンッ

α副リーダー「!?」

αリーダー「な、なんだ!?」

――αギルド外

男「ここは…βギルドじゃないっぽいな。迷ったか…」

男(αギルドも色々ありそうなんだけどなー)

男「まあいいや、もう一度位置を調べ直そう」クルッ

ズズンッ

男「なんだ、この地響き――」

ワーワーギャー

男「あ?ギルドの中が騒がしいな……」

男「何が――」

バキャアッ

男「あ、ドアが壊れた……って、」

男「モンスター!?」

――βギルド外

女(ここは――βギルドか)

女(彼が来ると思ったがまだのようだな)キョロキョロ

クイクイ

女「?」

少女「たすけて…」

女「え…?」

少女「みんなあそこで捕まっているの…お願い、たすけて…」

女「βギルドで?」

少女「うん…」

女「ここは…なにを」

少女「売るの。わたしたちを売るんだって」

女「人身販売か」

少女「うん」

βハンター「おっと、お話はここまでだ」

女「!」

少女「」ガタガタ

βハンター「聞かれたからには仕方がない、口を塞がないとな」

女(ちっ、へんぴな所にあるせいで人がいない)

女「…バッチがふたつ…」

βハンター「これか?これわ限られた者しかつけられないのさ」

女(限られた者しか…ふむ)

βハンター「あんたも売れば高くなりそうだ」

女「ほう。売るなら五体揃った状態のほうがいいだろうな」

βハンター「それはあんたが抵抗しなかった時の話だ――!!」タタタ

女「……」シャリン

ガッ

―――

βハンター「あはははーお星さまー」

少女「しゅ、瞬殺……」

女「」ゴソゴソ

女(ギルドに属することを示すバッチと――見慣れないバッチ)

女(人身販売だとか、そういうものに与えられるものと考えたほうがいいな)ムシル

女「他にも中に?」

少女「は、はい!」

女「その子達のいる場所を教えて。あなたは近くの民家に助けを――」

ドスンドスン

少女「なに……?」

女(……最悪のタイミングだ)

女(なぜ街に数十体もモンスターがいる!)

――案内所付近

キャーワーワー

新入り「ぎゃー!ぎゃー!」

案内人「はい、慌てない新入りくん!君はハンターだよね!」

新入り「ああっ、案内人さん!何が起こったんでしょうここ!」

案内人「さぁ?モンスターが突如大量発生としか言えないね――っと」バシュン

新入り「ナイッシュー!」

案内人「一応ライフル買っといて良かったけど…」ガシャン

案内人「いつまで持つかは時間と弾の残量の問題だなぁ…」

人身販売ってなんだよ、人身売買だろうが…
支援してくださる方ありがとうございます

――αギルド周辺

男「オラァァァァァ!!」シャキン ザクッ

モンスター「ギャオゥゥゥゥゥゥス!!」

αハンター「ひゃあっ!」

男「てめーらもハンターなら手伝いやがれ!」ザクッ

男「ああちくしょう、切っても切っても沸いてくる」ザクッザクッ

タスゲデェェェェェ…

αハンター2「うわぁっ…!く、食われたぁっ!」

αハンター3「もう戦っても駄目だ!逃げるぞ!」

ガシッ

男「こちとら忙しくてハンターの手も借りたいぐらいなんだがなーあ?」

αハンター2、3「はい、お手伝いさせていただきます」

いいね

――βギルド周辺

女「……」ザシュッ

モンスター「ウゴォォォォ!!」ブンッ

女「……」サッ ザシュッ

モンスター「ギャアアアア!!」

女(不利だな)チラッ

少女「うぅぅ…」

女(彼女を守りながらこの数を斬り伏せていかなくてはいけないのか)

女(何匹か人間の味を覚えたやつがいる。あちらから退くことは期待できない)

女(雑魚レベルなのが幸いだが、体力がいつまで続くかも問題だ)

女「……」ザシュッ

女()

ワーワー

女(モンスターがギルド内に……?)

女「!」

女「聞きたいことが」

少女「は、はい!」

女「あそこには何人子供が?」

少女「くわしくは分かりません…二十とかそのぐらいでしょうか」

女「あなたが出てきたとき、入れられていた部屋の扉は開いていた?」

少女「ちょっとだけ…だから隙をついて逃げてきたんです」

女「……」

女(この種は嗅覚が鋭いから人間の匂いを感じたのか)

女「街へ行きなさい。これを貸すから」シュッ

少女「大振りのナイフ…」

女「そして匂いの強いところへ行ってどこかに隠れて」

少女「匂いが強いところって…」

女「例えば薬草屋、香水屋、露店」ザシュッ

女「こいつらは匂いを追跡して獲物をとるタイプだから、さらに強い匂いの中に行って撹乱させるといい」

少女「分かりました」

女「襲われたら眼球か眉間を刺しなさい。その後は暴れるから必ず逃げて」

少女「あの、あなたは?」

女「残っている子供達に危害が及ばないようにここに残る」

少女「あ…う…じゃあわたしも」

女「気遣いは嬉しいけど、足手まとい」

少女「うっ」

女「あなたの家族がいるなら、そちらを優先しなさい」

少女「……あとでコレお返ししますから!」ダッ

女「……」

モンスター「ウガォォ」

女「行かせない」ザンッ

――βギルド内

女(混乱に紛れて簡単に入れた)ヒョイ

女(あちこちが血まみれ…まさに地獄絵図だ)

βハンター「ぐぅぅ…」

女(襟の内側にあのバッチがある)

女「……」ゲシッ

βハンター「つぅっ!?」

女「教えなさい。子供たちはどこ」

βハンター「い、いきなり怪我人蹴るなんてなんなんだアンタ!」

女「二度もいわせないで。子供たちはどこ」

βハンター「こ、ここここに誘拐した子供なんかいねーよ!」

女「……」

女「おや、モンスターが来てしまった」

βハンター「!?」

女「まあいいか。子供がいないならここにいる意味はない」

βハンター「ちょ」

女「あとは自分で頑張って下さい」スタスタ

βハンター「ま、あ、足を怪我して歩けないんだよ!」

女「関係ない」

βハンター「見捨てるのか!?」

女「全くの他人であるあなたを私が助ける?冗談じゃない」

女「ああ、でも」

女「子供たちの居場所を教えてくれるなら顔見知り程度にはなれると思う」

βハンター「そ、そうすると?」

女「あと十メートルに近づいたモンスターを倒してもいい」

βハンター「いう!いいいます!」

女「倒す前に言いなさい。ものの数秒で済むでしょ?」

βハンター「ぐっ…に、二階の奥に…」

女「……」クルッ コツコツ

βハンター「!?なんでモンスターを倒さないんだよ!」

女「虚偽の情報だったから。嘘は分かる」

βハンター「え」

モンスター「ガァァァオ」

βハンター「地下だ!!あの廊下の突き当たりに地下へ続く階段があるんだぁぁぁ!」

女「そう」ザシュッ

βハンター「」ジョロロ…

女(恐怖で気絶したか)コツコツ

女(廊下の突き当たり…)コツコツ

女(ここか……半開きになっている)ギィ

コツーン…コツーン…

子供a「お、お姉さん誰……?」

女「あなたたちを外に出しに来た…と言えたらいいんだけれど」

子供a「え?」

女「外でモンスターが大騒ぎしている。しばらくは出られそうもない」

子供b「モンスター?」

子供c「やっつけられないの?」

女「数が多くて倒しきれない」

子供a「確かここのどこかに爆薬があったって、ここの人が話してました」

女「どこ?」

子供a「さぁ……湿気った場所にはおいてないとは思いますが…」

女「ここを動かないで」スクッ

女「……」タッタッタッ

グチャグチャ

女「……」

女(隅に避難させたつもりだったけど、見つかってしまったか)

女(もう質問はできないな)

女(あっちの廊下の奥にもさっきと同じような扉が……)

女「」コソコソ

女(丈夫そうだ)

ガンッガンッガンッバキッ

女(しかし、大剣で壊れる程度。管理が甘いな)

コツーン…コツーン…

女「……火薬か」

――αギルド周辺

男「クソッタレ!!あと何匹だ!」ザシュンッ

αハンター2「分かりませんよぉ!!」バシッ

αハンター3「ただひとついえるのが、ここ数日餌を与えてなくて…」

男「それめちゃくちゃ凶暴になってるよな!」ザシュッ

ボーン

男「あっちから爆発音…?」ザシュッ

男(一体誰が……)

――βギルド内

子供達「うわぁ………」

ボーンボーン

女(人に被害がいかないようにするのには気をつかわなければいけないが…)ポイポイ

女(それさえクリアできればあとは火をつけて投げるだけだ)ポイポイ

女「ちょっと楽しいなこれ」ボソ

子供a「!?」

――鍛冶屋

鍛冶屋「ヒィヤッハァー!!オレもとうとうハンターになれる!」ドスッガスッ

モンスター「ギャオオォォ…」バタ

鍛冶屋息子「親父ィー!馬鹿やってねーで逃げろー!」

鍛冶屋「見ろ!最新作のボウガンだァ!」ビシッ

モンスター「ギャ…」

鍛冶屋「あっはっはっ!試作品がまだ大量にあるぞ!」

鍛冶屋息子「もう誰か助けてぇっ!親父をとめてぇっ!」

――露店

露店商3「あっつあつの麺をくらえー!」バッサァ

モンスター「グルルル……」

露店商3「あ、やばい怒らせちゃった」

客「うちの母ちゃんとどっちが怖いかなぁはははは…」

モンスター「グォォォォ!!」

露店商3「ぎゃー!」

客「わー!」

ザクッ

少女「め、目玉なんて高すぎてさせませんよ…」ブルブル

客「すげぇ…胸に刺した…」

モンスター「ガァァァァ!」

少女「きゃあっ!」ドサッ

客「こうかはないようだ」ガシリ

露店商3「お嬢ちゃん、目玉がなんだって!?」

少女「そこを刺せばた、倒せるようです!」

露店商3「今ならいける!いっけぇ、商売道具!」グサッ

モンスター「ギィァァァアアア!!」

少女「離れて!離れてください!」

モンスター「グァ…ァ…ァァ…」バタ

露店商3「あ…やった…」ハァハァ

――案内所

案内人「終わった」ガシャン

新入り「まだモンスターいますが…」

案内人「いんや。弾が終わった、ということだよ新入りくん」

新入り「……」

案内人「……」

新入り「思えば短い人生だったなぁ……」

案内人「なに、人生なんてあっという間に過ぎていくもんさ」

新入り「痛いのはやだな……あはっ、ははは…」

案内人「…モンスターの口の中をみるのは初めてだなー…」

ザグッ

案内人「あれ?」

女「……どうも」

案内人「お――女さん?」

女「……」コク

新入り「一撃で倒した…」

女「」チラッ

新入り「?」ドギマギ

女(あのバッチはないか)

案内人「モンスターの話題等は一旦置こうか」

案内人「…女さん、君は笛吹き男にでもなったのかい?」

子供達「」ゾロゾロ

女「成り行きで。話せば長くて」

案内人「はぁ」

女「この子たちをお願いできますか」

案内人「でも、もう弾が」

女「これを」

案内人「これは…爆薬!?なぜ?」

女「ちょっとした手間賃です。破壊力がすさまじいので気をつけて下さい」クルッ

案内人「待って、君はどこに?」

女「……」

女「逃げた野良犬を探しに」

案内人「……?」

女「では。ご無事で」

案内人「女さん!」

女「?」

案内人「死ぬなよ」

女「………ありがとう」

新入り(…笑った?)

そろそろ最終回
ぐだってきたけど頑張る

紫煙

――αギルド周辺

男「ちぃ――」ザシュッ

男(体力の限界が近い)

男(今は精神力でギリギリなんとか持っている状態だ)

モンスター「グォォォォ」

男「ん?あー…あいつら逃げたのか…」

男「だらしねぇやつだ、全く…なんのためにハンターになったのやら」チャキッ

モンスター「ガウァァァ!!」

男「!」ズキッ

男(今更肩の痛みが……!)

モンスター「ガオオオオ!」ブンッ

バシッ

男「ぐ…あ…」

男(折れたところはないみたいだが…ダメージがでかすぎる)

モンスター「」ノッシノッシ

男「…ハッ、俺を食うつもりか」

男「しばらく下痢ピーだ、ざまぁみやがれ」

モンスター「」ピタッ

男(ああ。終わった)

男(…もし死んだら、あいつに会えるのだろうか)

『わたし決めた!ハンターになるっ!』


『お、男もここなの?へぇ……』


『リーダーの指示には従いなさいってっ!』


『ま、まあ……ありがとう?みたいな』


『みんな死んじゃったっ……!』


『敵討ちすることにした。男はどうする?』

『もう長くないや。ねぇ、聞いてくれる?』

『間違ったギルドに、誰かが苦しめられていたら――壊してほしいな』

『なんて。ごめんね、こんなこと言って。気にしないで』

『これから会う君の伴侶とお幸せに、ね…』



『あと最後に』



『ずっと大好きでした』

男(今のは…走馬灯ってやつか)

男(せめて墓参りぐらいは行ってやりたかったな)

モンスター「」グワッ

男(地獄にでもいるのか?幼なじみ――)

男「……」

男「……?」

女「……」

男「!?」

男「い、いつの間に目の前に!?」

女「……」

男(モンスターの喉に大剣を一突き…こいつ、事切れたのか?)

女「……」ズッ

モンスター「」ドシャッ

女「…抵抗のひとつもせず死を選ぶ程度のハンターだったのか」

男「は?」

女「」ポイ

男「バッチ?これは…なんだ?」

女「ギルドがしていた裏商売に携わるハンターたちの身分証明みたいなもの」

男「なっ!?」

女「人が苦労して聞き込んだのに、本人があっさり死のうとするとはいいご身分だな」

男(怒ってる!?怒ってると発言増えるのか!?)

男「あの、もうダメかなとか思いまして」

女「ふん」ポイ

男「っとと…回復薬?」

女「勘違いするな」

女「私一人でどうこうできない相手が来たから手伝ってもらいたいだけだ」

男「えっ?どうこうできないって」

女「……」スッ

男「…さっきまでのとそんな変わらないモンスターじゃないか」

女「この距離で、あの大きさ。つまり?」

男「おお、巨大だな」

女「……」コク

男「」

女「…私の剣の長さなら胸から心臓まで突き刺せるだろう」

男「」

女「ただそこに行くまでの過程が困難だ」

男「」

女「ある程度弱体化させるか、気をそらせるかしなくてはいけない」

男「」

女「放っておいたらさらに酷いことになる」

男「」

女「暴れモンスターをなんとかすることはハンターの仕事だ」

頑張れ!

男「ヘタシタラ、シヌヨ?」

女「……」

女「少数の死か、多数の死だ」

男「……」

ノッシノッシ

女「とはいえ、安々とこの命を手放すつもりはないが」

男「分ぁかったよ、覚悟があるなら協力しよう。一泊の礼だ」

女「……」

男「そうだ、名前を教えろ。俺は男だ」

女「私は女」

ノッシノッシ

男「じゃ、いっちょやりますか」

――案内所内

案内人「落ち着いたみたいだね」ヒョコッ

新入り「みたいですね」ヒョコッ

案内人「あーあ、案内所が…まあ自分たちは無事で良かったけどさ」

子供e「ねー、ハンターのおねーちゃんどこー?」

子供f「おれいいうのー」

案内人「どっか行っちゃったねえ」

子供a「あの人、大丈夫でしょうか?どこかで怪我していたら…」

新入り「確かに…」

案内人「疲労もだいぶ蓄積しているはずだからね」

案内人「ボスモンスターに会ってないといいんだけど」

新入り「僕、探してきます。囮ぐらいにはなれるかもしれない」

案内人「ずいぶんと考えがネガティブだね…」

子供a「駄目ですよ、まだモンスターが彷徨いているかもしれないのに」

案内人「そうだよ。彼女にたどり着く前に倒されたらどうするんだい?」

新入り「うっ」

老婆「行くなら今じゃて」

案内人「」ビクッ

新入り「」ビクッ

子供達「」ビクッ

老婆「あの二人は窮地にたつじゃろう」

案内人「…お婆さん、占い師?」

子供a「自分の婆ちゃんです」

案内人「えっ」

老婆「おお、帰ってきたか孫」

子供a「それよりどういう意味なんだい婆ちゃん」

老婆「女の勘じゃ」ドヤ

全員「……」

新入り「一応探します?」

案内人「そうしよっか」

支援だぞ

――対ボスモンスター

女「ふっ」シュッ

モンスター「」サッ

男「そっちはフェイクだよバーカ!」ザクッ

モンスター「ガァァァァァァ!!」

女「右前足損傷」

男「もう少し動けないようにしないと駄目だな」

女「次は左前足」

男「りょーかいっ」タタッ

モンスター「ウウウウガァァァァ!!」ブンブン

女「」サッ

男「うわっ」サッ

女「警戒してきたか」

男「…あそこまで警戒しはじめちゃ近寄るのが少し難しくなったな」

女「ならばあちらから近寄るよう誘う」

男「え?あのモンスターをこっちに来させるのか?」

女「そう」

男「」

女「そこから間合いを詰めて心臓を一突き…といきたいところだが」

男「だが?」

女「挑発するとどのような行動にでるか分からない」

女「だからこちらへ真っ直ぐにこない可能性も十分ある」

男「下手なことして行動が読めなくなると困るってことか」

女「」コク

男(あのモンスターがこっちに猛スピードで迫ってきたら泣く自信がある…)

男「どう近寄らせるんだよ?」

女「……」スッ

男「モンスターを?」

女「……」ススッ

男「俺に向かわせる?」

女「」コクリ

男「嘘だろ?」

女「本気」

男「お、鬼っ!悪魔っ!!お前には血が流れていないのか!?」

女「流れている」

男「そういうことじゃないんだよォォォォォォ!!」

女「私を」

男「あ?」

女「私を信じて」

男「信じるって……」

女「策はある」

男「…仮にその策とやらが失敗したら恨むからな。分かってるか」

女「」コク

男「よーし……こいよ、馬鹿デカイだけのモンスター!」

モンスター「ウオォォオオォォォォ!!」

男(どうしよう、怖くてちびりそう)

女(先ほど目星をつけた建物に不法侵入)

女(おじゃまします)

女(二階へ)タタタ

女(通行路ぞいにある窓がある部屋……ここだ)ガチャッ

ドスドスドス

女(まだだ。まだ早い)

女(タイミングを計れ)

男(なんで建物の中に入ったんだ?)

男(逃げた…いやそうじゃないだろうが)

ドスドス

男(うわ。こいつ、近くでみると口回りが血にまみれてる)

男(全く――教育に悪いこった)

男(?なんであいつ、窓際に立ってるんだ?)

女(早すぎたら骨折、遅すぎから彼が食べられる)

女(今だ)

女「はぁぁぁぁぁああ!!」ダンッ

男(剣の届く距離まで引き寄せて、刺す)

男(今だ)

男「うらぁぁぁぁぁぁあああああ!!」

男(なんでモンスターの上に落ちてきたんだ?)

女「……」

男「…まさか、首の後ろを刺したのか?」

女「そう」

グラッ

女「おっと」ピョン

ドサァッ

男「俺は喉元、お前は頚椎か」

女「ずれていたら非常に危うかったけれど。良かった」

男「呆気なかったな。ま、苦戦は嫌だけど」

女「……」

男「残りがいないか見回ってから皆のところへ行こう」

女「」コク

男「お疲れさん。でもまだまだこれからなんだけどな」

女「片付けになにから。まずは休みたい」

男「ははは、だよな」

女「――!」

男「!」

パァンッ

女「がふっ…」ガクッ

男「女!?」

パチパチ

男「!」

αリーダー「いやぁ、君たちの活躍は素晴らしかった」パチパチ

男「んだ、てめーらは!」

αリーダー「αギルドのリーダーさ」

βリーダー「βギルドのリーダーっすよぉ…」

男(このリーダー達はともたく、ライフルを持っている二人はなんだ?護衛か?)

αリーダー「ああ、この二人は副リーダーだよ。ライフルの扱いに長けている」

男「ご丁寧なことで」

女「……」

男「それで、なんで女を撃った。彼女は悪いことをしていないはずだ」

βリーダー「き、君はしまくってたみたいだけどねぇ…」

男「」ギロッ

βリーダー「ひゃぃっ」

αリーダー「もうお前は静かにしていろ。撃った理由?決まっているじゃないか」

αリーダー「邪魔なんだよ。ギルド以外のところに依頼されたら儲からないんだ」

女「は…ハンター業、を…金のなる木、だと、思っているのか…」

男「おい喋るな!無理をするなよ!」

αリーダー「その通りだが、何か問題でも?」

女「…モンスターに、苦しめられている人を助けるのが…ハンター、だろう」

αリーダー「はっ、馬鹿馬鹿しい。だいぶん昔の話じゃないか?それは」

女「……」

αリーダー「技術のない人間はできない、なおかつったくっても文句をいわれない天職なんだよ」

男「てめぇっ…言わせておけばベラベラと!」

αリーダー「黙れよギルド潰し」

男(カッコ悪いネーミングだなぁ…)

αリーダー「まったく、ギルドの危険因子である君を見つけ出すためにハンターの数を割いたらこのざまだ」

女「…なぜ、モンスターを」

αリーダー「簡単だよ。ああやって飼育しといて定期的に放てば、定期的に大金が手に入る」

女「……」

男「子供を誘拐してるとか聞いたな。あれは?」

βリーダー「だ、だって…子供は奴隷として価値が高いからぁ…」

女「子供を売っていたのか…予想は、していたが…」

男「結局お前ら金か」

αリーダー「そうだよ。何が悪い?」

男「悪くないさ。悪くないが」シャキッ

α副リーダー「!」ジャキッ

男「自作自演して、ここの住民を悲しませていることに腹が立つ」

αリーダー「何を言ってるんだか偽善者」

男「ハンターなんて早い話、生き物殺して収入得てるんだから偽善者そのものだろ」

女「……」コク

βリーダー「ひ、開き直りぃ…」

女「」ジロッ

βリーダー「ひぃやっ」

男「しかし、これからお前達はここにいれないんじゃないか?」

αリーダー「何故?」

女「モンスターに、誘拐…街の人が許してくれるなんて、考えられない」

αリーダー「君たちはそんなにこっちの頭が弱いと思っていたのかい?」

女「……」

αリーダー「昔から、責任転嫁っていう便利な言葉があるだろう」

女「まさか、私たちに責任を、なすりつけるつもりか」

αリーダー「その通りだよ、一匹狼のハンターさん」

男「はぁっ!?なにいってやがんだ、ちゃんと全員の前で無実を証明してやるよ!」

βリーダー「し、死人に口なし、って良くいうよねぇ……」

男「……」

βリーダー「分かったみたいだねぇ…?」

αリーダー「モンスターの一件と、誘拐は君たちのグルの犯行ってとこでいいかな」

男「なっ…」

女(子供たちを連れ出したことは知らないみたいだな)

女(…言わないほうが子供たちも安全、か)

αリーダー「死んだら罵詈雑言も聞こえないよ。安心しな」サッ

α副リーダー「」チャキン

β副リーダー「」ジャキッ

男「この腐れ外道が!」

女「…男」

男「どうした?傷が痛むか」

女「逃げろ」

男「は?」

女「私を置いて逃げろ。時間稼ぎぐらいはできる」

男「馬鹿、できるわけがないだろ」

女「最近会ったばかりの他人だというのに?」

男「他人というには世話になりすぎてるんだよお前には」

女「はは…そうだな」

αリーダー「やれやれ、感動のお別れは終わった?」

βリーダー「む、胸やけするぅ…」

αリーダー「じゃ、さよな」

新入り「ちょっと待ったァーーー!!」

αリーダー「!?」

男「なんだ!?」

ゾロゾロ

案内人「いやぁ、タイミング良かったみたいでホッとしたよ」

老婆「な?ワシの言った通りじゃろ?」

子供a「分かったから婆ちゃん前向いて前」

少女「ナイフお返しに来ました!」

鍛冶屋「見ろよあのライフル!いいなァうらやましいててて」

鍛冶屋息子「無理すんな」

女「なんで…?」

案内人「お礼言いたいとか危険だとか色々言われてね」

新入り「怪我もしてないか心配でしたし」

案内人「おかげで良い場面に出くわせたよ」

βリーダー「あわわ……」

少女「きゃっ、だ、大丈夫ですかその傷!」

女「あまり」

少女「誰か緊急セットを!」

案内人「で?女さん達になんでライフル向けてるんだ」

α副リーダー「え、いや…」チラ

αリーダー「そいつらがこの事件の大元なんだ、だから……」

男「誰も信じてないみたいだぜ、リーダーさん?」

案内人「ギルドを調べた人がいてね。結果は、君達は黒だった」

新入り「自分の入ったギルドがってショックでしたけど」

αリーダー「あ…ああ…」

女「」ポイ

ポト

女「…それが、誘拐に携わっていたハンターに、つけられていたバッチ」

女「あなたにも、あるんじゃない?」

αリーダー「ああああああ……」ガクリ

男「悪いな。今度はこっちが優勢だ」

――倒壊した案内所

案内人「良かったね。女さんが色々やってくれたからみんな無実を信じてくれた」

男「俺も色々しましたー」ムスッ

案内人「損な役回りだよね君も。人の居ないところでばっかり活躍してたんだって?」

男「まあな」

案内人「あのお婆さんがやけに熱心に君を庇っていたけど、どうやって落としたんだい?」

男「落としてねぇよ!話を聞いてやっただけだよ!」

案内人「そんな怒鳴らなくても」

案内人「それで、女さんは」

男「……あのあと気絶してから、ずっと寝たままだ」

案内人「医者は大丈夫だって言ってたんだろ?」

男「内臓は無事だが血を流しすぎだってさ」

案内人「ああ…そうなんだ」

男「…もう夜だし疲れたし帰るわ。泥棒に気をつけて」ヒラヒラ

案内人「彼女と仲良くねー」バイバイ

男「ああん!?」

支援

――安宿

男「……」ガチャ

女将「あら」

男「見ていてくれたんですか」

女将「ええ。心配だったからつい」

男「家を壊された人たちの対応で疲れているでしょう。俺が見てます」

女将「そう…じゃあ、頼むわ。何か必要だったら言って」

男「はい」

パタン…

男「……。なぁ」

女「」スースー

男「明日になれば起きるんだよな」

女「」スースー

男「ずっと寝たままだとか止めろよ。心臓に悪いから」

女「」スースー

男「お前の服は血まみれだったから一応洗うってさ。ダメだったら買ってくれるって」

男「大剣はもう一度鍛え直すって鍛冶屋が持ってった。明後日までかかるそうだ」

男「それから……」

女「」スースー

男「なんなんだよ、その傷」

男「長袖だったから気づかなかったが、胸も腹も背も足も、傷だらけじゃねぇか」

女「」スースー

男「同世代の友達と遊んで笑って恋をするような歳なのに」

男「どうしてたった一人でハンターなんかやってるんだよ」

男「あと」

男「何で眠りながら泣いているんだよ、女」

―――

「もう少ししたらあいつらが来る。その前ににげるんだ」

「師匠?何故ですか」

「どうやら冤罪を被せられたみたいだ。君まで犠牲にできない」

「冤罪って、なんの」

「おおかた教会火災事件のことだろう」

「教会……師匠、前に私が教会と関係があると言っていましたね」

「いつか思い出す時が来る。さぁ、行け」

「そんな、私一人じゃ生きていけません」

「君には教えることは全て教えた。大丈夫、もう一人でも生きていける」
「師匠――」

―――

続きます
最終回近い

おつおつ

ふおぉぉぉ

――安宿

男「朝か」

女「」スー

男「体調も安定しているようだし…ちょっと寝ようかな」

男「いや、俺が寝てしばらくしたらこいつ起きてどこかに行きそうだな」

男「よし、じゃあドアの前で寝ればいいんだ。名案」

男「へへへ、俺を乗り越えないと出れないぜ」

ガチャッ ドンッ

女将「おはようございます。どう、調子は」

男「」プルプル

女将「頭抱えるほど!?」

――街

男「すっかり眠気がさめちまった…昼頃帰って寝よう」

住人達「せーのっ」ズルズル

住人「そこまだ血が残ってるよー」ジャー

男「モンスターの後始末か。大変だな」

男(手伝いたいが身体が軋んでて辛いんだよな今…)

男(ここらへんは全壊か…しばらくどうするんだろう)

紫煙

少女「あっ!あの!」

男「ん?確か昨日の…」

少女「あの人どうですか?出来ればお見舞いにいきたいんですけど」

男「まだ体調が悪そうだな。明日ならちったぁ回復してると思う」

男(そもそも起きていないけど)

少女「そうですか…あなたは大丈夫なんですか?」

男「まあまあってとこかな。薬草と薬でカバーしてる」

少女「ダメですよ、ちゃんと自分の力で治癒しないと」

男「へいへい」

男「家族とは会えたのか?」

少女「お陰様で!家は半壊してましたけど…」

男「そうか。悪いな」

少女「なんで謝るんですか?」

男「もうちょい早く行動していればこんなことにならなかったのに」

少女「そんなことありません!みんな感謝していますよ!」

少女「あの人が助けてくれなかったらわたし、食べられていたかもしれませんし」

男(あいつは俺のところまで来る間に何人助けてたんだよ…)

少女「あ、呼ばれてる。それでは!」

男「気をつけて」フリフリ

少年a「ばーちゃーん!!」

男「なんか忙しいな今日」

少年a「ああっ、ハンターさん!うちの婆ちゃん見ませんでした!?」

男「いんや」

少年a「また勝手にフラフラと……」

男「大変だなぁ…」

少年a「そうだ。昨日はありがとうございました」

男「礼なら女に言ってくれ。俺はなんもしてねぇよ」

少年a「陰で頑張っていたと聞きましたけれど。案内人さんに」

男「あいつめ」

少年a「では、ここで。婆ちゃーん!!」タタタ

男「人騒がせな婆さんだな…」

男「帰ろ」スタスタ

案内人「あんないにんが あらわれた!」シュタッ

男「疲れすぎて幻覚まで見えてきやがる。あぶねーあぶねー」

案内人「ちょっと待とうか」

男「なんだよ。茶話には付き合わねぇが」

案内人「落とし物」チャリ

男「なんだこれ、ペンダント?クロスがついてるが」

案内人「首にぶら下げていた紐が切れたみたいだね」

男「これがなんだ」

案内人「この街には毎日これを身につけるほど熱心な信者はいないんだ」

男「はぁ」

案内人「だから君か女さん、どちらかのものだろうって」

男「俺のじゃない。…女がつけるようなタイプには見えないがな…」

案内人「ぶっちゃけ彼女信じなさそうだもんね。でもだいぶ年期が入ってるんだ」

男「誰かから貰い受けたとか」

案内人「そう。女さんのだったなら形見じゃないかとおもうんだがね」

男「形見か」

案内人「ま、憶測だけど。ただの趣味の悪い思考遊びだ」

男(あの寝言と涙…なにかしら過去にはありそうだが)

男(詮索するのはヤボだな)

男「渡してみて、違ったらここへ戻しに来る」

案内人「そうしてくれ。あと彼女は怪我人だから刺激しないようにね」

男「俺も一応怪我人なんだが…」

案内人「頭が重病なのは知っているけどね?」

男「ちょっと表でろや」

案内人「ここはすでに表だよ。そうだ、いい忘れるところだった」

男「なんだ?」

案内人「西の広場はいかないほうがいい。気分を悪くしたくないならね」

男「なにがあるんだ?」

案内人「私刑。誰がボコられてるかは分かると思うけど」

男「……」

案内人「助けたいならお好きに。殴りたいなら勝手にどうぞ」

男「助けねーし殴らねぇ。他人を構っている暇があるなら寝てる」

案内人「ですよねー」

男「あーもー、なんでこんなに引き留められるんだか。寝よ寝よ」

案内人「最後に一つだけ」

男「あん?」

案内人「女さんに『資料を揃えた』といっといてくれ」

男「資料?――分かった伝えとく」スタスタ

案内人「……」

案内人「この資料の内容見たら彼はなんて言うんだろうね」ペラ

続く
あと、女の過去語りと続きのストーリーは別スレを立てると思います

おつおつ期待

男と女はくっつくんだよな?な!?

――安宿

女「……」パチ

女(夕方、いや夜か…何時間眠っていたのだろうか)

男「」グースカ

女(まだ身体が痛むな…)ムクリ

女「……」半裸

男「」グースカ

女「…………」

男「」グースカ

女「……………」

女(…帰り次第尋問だな)

男「」グースカ

女(着衣の乱れはなかったが…さらしを外す必要はあったのか?)

女「!」

女「クロスの紐が切れてる……」チャリ

女(…これで何か思われたか?いやでも大丈夫か、鈍そうだし)

男「」ウーンウーン

――街

女「……」コツコツ

女(まだ血の臭いがすごい)スン

女(だいぶ片付けは済んでるようだが…元通りになるまでは)

老婆「もし」

女「…ああ、昨日の」

老婆「お若いの、何処へ向かう」

女「案内所へ…」

老婆「これからの話じゃて。お若いの、無理をするでないぞ」

女「え?」

老婆「なんとなく分かる。お前さんは無茶をするタイプじゃて」

女「はぁ…」

老婆「それが祟って死ぬかもしれんぞ」

女「……」

老婆「これから先、きっと一人では厳しいことが起こると思うのじゃ」

女「……」

老婆「助けを求めることは恥ずかしいのかの」

女「……そんなことは」

老婆「一人より二人じゃ。あの若者もお前さんを拒みはしないだろう」


女「男のことですか?…彼は巻き込めない」

老婆「あの若者、お前さんとなら喜んで巻き込まれると思うんじゃが」

女「…お婆さんはなんですか?占い師?」

老婆「魔法使いじゃ」

女「……」

老婆「なんちゃっての。勘じゃ」

女「……」

――倒壊した案内所

案内人「あれ、女さん。彼とは会わなかったのかい?」

女「寝ていて」

案内人「じゃあ聞いてないのかな。はい、資料」パラ

女「ありがとうございます」

案内人「数ヶ月待たしてごめんね。あの街、変に情報提供嫌がっててさ」

女「大丈夫です」

案内人「んで…本当にそこに行くのかい、女さん」

女「…はい。知りたいこともありますし」

案内人「知りたいことねぇ。どっちが本命なんだい?」

女「……」フルフル

案内人「どちらも大切なことなのか。でもなぁ、止めときなよ」

女「……」

案内人「いくら君が強くても敵わないんじゃないか?」

女「…承知してます」

案内人「アレ、なんて言われているか知ってる?」


案内人「百人殺しのドラゴン」


案内人「それも人の味を覚えた、長生きなドラゴンだ」

案内人「凶暴すぎる」

女「でも私はいかなくてはいけないんです」

案内人「どうして?」

女「理由は分かりません」

女「でも――呼ばれているんです、何かに」

女(それに、もしかしたら小さい時の記憶がもどるかもしれない)

女(私がどうしてクロスを持っているのか。教会で何があったか)

案内人「オレには止める口実がないからなんともなぁ…」

案内人「やりたいこと終わったらまたこの街に、ぐらいしか言えない」

女「……それで結構ですよ」

女「帰れるところがあるというのは、幸せなことだから」

案内人「……」

女「アイツを無事に討伐したら、ここに住むのもいいかもしれない」

案内人「歓迎するよ。この街は移住手続きがややこしいけどね」ハハハ

女「そうですか」

案内人「…さすがに今すぐあの街にはいかないだろう?」

女「はい。傷が癒えるまで復興の手伝いをしています」

案内人「偉いね」

女(やりたいほうだいやってしまったしな…)

案内人「無理しない範囲でやりなよ。それで身体壊しちゃどうしようもない」

女「」コク

案内人「そろそろ彼のところに戻ってあげたら?」

女「?」

案内人「今頃大暴れしていると思うよ」

案内人(女さんが気絶して倒れたときなんかしばらく手に負えなかったしね…)

――安宿

男「やっぱりだよ!やっぱり寝ているときに出ていっちゃうパターンだよ!」

女将「うるさい!他にも客がいるんだから!」

男「あいつは猫か!気配も音もなく出てくとかどんだけだ!」

宿泊客「それはただ単にあんたさんが気がつかなかっただけじゃ」

男「眠りこけてた俺の馬鹿ー!」

女将「うるさい…」

女将「あのねぇ、怪我した旅人、ましてやハンターがすぐ旅なんか無謀すぎるでしょ」

男「うん…」

女将「軽装で出掛けていったし、夜の散歩にでもいったんじゃないの?」

男「そうか…」

宿泊客「恐るべきはその回復力だよな。大怪我って聞いたけど」

女将「みんな必死で薬草とか薬とかぶっかけたから」

宿泊客「大丈夫なのかそれ…」

男「どこかで倒れていたら大変だから探してくる」ダッ

女将「過保護すぎ――もういないし」

宿泊客「自覚してんのかなぁ、あれは」

女将「いやー、まだはっきりとは自覚していないでしょ」

宿泊客「でも傍目から見ると」

女将「ベタ惚れ」

宿泊客「ですよねー」

――川辺

女(こんなところに川が)

男「女!」

女「……?」

男「おまっ、さがし、怪我、なにかあったら」ゼェゼェ

女「……」

男「探したんだぞ。怪我が開いたりしたら不安だから」

女「そんなに激しくは動いてないから大丈夫」

男「あんなに血流しといて大丈夫なのかはなはだ疑問だが…」

女「たまに目眩があるぐらい」

男「安静にしとけよ!」

支援モーラン

女「じっとしていると、嫌なことを考えてしまうから」

男「嫌なことか…」

女「……」

男「そういやさっき、案内人に資料が云々って聞いたんだが」

女「済んだ」

男「あ、そう」

女「……」

男「…資料ってなんだ?」

女「……」フルフル

男「俺には関係ないと」

女「」コク

男「水くせぇな、何だかんだで窮地を抜けた仲だろ」

女「最初らへんはあなたのせいだけど」

男「すいませんでした」

女「……」

『助けを求めることは恥ずかしいかの』

女「ねえ」

男「おう」

女「聞いてくれる?とある子供の話を」

男「いいぜ、聞いてやるよ」

女「……ありがとう」

女「うまく話せるか、分からない。人に話すのははじめてだから」

男「ああ」

女「ある日、とある教官の家で保護された子供が目覚めました」

女「しかしその子供には、過去の一切の記憶がありませんでした」

女「教官はその子供の過去を少し知っていたみたいですが何も話しません」

女「孤児であった子供を教官夫婦は実の子として育てることになりました」

女「教官はハンターを育成する教官でした」

女「子供もハンターになりたいと彼にせがみ、個人レッスンが始まりました」

女「それは、望んだことですが、…辛かった」

男「……」

女「素質があるのだと慰められつつ、それから五年が経ちました」

女「…教官の奥さんは二年目に病気で亡くなっていました」

女「ある夜、教官は旅に出ても数日は生きられる金と食料を入れたバックを子供に渡しました」

女「そして、旅に出ろと。ここにいたら危険だと言って、子供を追い出しました」

男「いきなりか?」

女「そう」

女「真意が掴めなくて物影から教官の家を伺っていると、治安委員が彼の家へと入りました」

男(治安委員…でっかい街に一つはある組織だったか)

女「何やら会話があったあと…教官は大人しく引きずり出されてきました」

女「そして連行されようとしたとき、アイツが――」ギリッ

女「ドラゴンが森から出てきました」

男「ドラ…!?」

女「数年前から暴れまわっていましたから、出てきてもおかしくはありませんでした」

男(森の奥で暮らすやつがどうして人間の住むところに…)

女「そしてドラゴンは、そこにいた人間に襲いかかり――」

女「……――残らず食べました」

男「え…その教官も?」

女「そう」

男「おま…子供は?」

女「…逃げた。ドラゴンはハンターが十人でやっと倒せるぐらいのものだと聞いていたから」

男「……」

女「子供には帰る家が無くなりました」

女「ソイツに復讐することを目的に、子供は旅をしながらモンスターを倒していきました」

女「いつしか子供は大人になり」

女「そして―――…続きは、ない」

男「続くだろ」

女「……」

男「その子供だった大人がドラゴンを倒すって続きがよ」

女「そこまで楽観視できない。そのドラゴンはその気になれば一日で街ひとつ滅ぼす」

男「…そりゃ強いな」

女「でも戦わなくてはいけない。倒さなくてはいけない。何かがそうさせる」

男「一人でか、子供さん?」

女「……名前伏せた意味がない」

男「いや分かるだろこの流れで」

女「秘密にしようと思っていたのに」

男「女性は秘密を抱えて綺麗になるってほんとだな」

女「……」

男「そこ照れるところだよ?」

女「はぁ…私はドラゴンを倒しに行こうと思う」

男「馬鹿か」

女「馬鹿で結構。ずっと考えてきたことだから」

男「死ぬぞ。ただでさえドラゴンは強い」

女「あなたも。ギルド襲撃するとき、死ぬとは思わなかったの?」

男「なるほどな。…決心は固いのか」

女「」コク

男(じゃあ止められない)

男(あの時の幼なじみと同じ目をしやがってる)

男「終わったらどうするんだ?」

女「?」

男「ドラゴンが倒せたらだよ」

女「案内人さんには、ここに住んだらと言われた」

男「いいなそれ」

女「男はどうする」

男「まずは所属ギルドの墓参りに行くよ。捕まんないよーに気をつけてさ」

男「それから…お前の援護しに行こうかな」

女「私の」

男「一人より二人だろ?」

『あの若者、喜んで巻き込まれると思うんじゃが』

女「……」

女(相手はなんであれ、これは復讐だ)

女(やはり巻き込めない)

女(来る前に終わらせてしまえば、いいか)

女「そう…だな」

男「だろ?」

女「…帰るか。女将さんを夜更かしさせては悪い」

男「だな」

女「……」ピタッ

男「どうした?」

女「川の水に星が映ってる」

男「おお。へぇ、お前ロマンチストなところがゴファ」ドス

女「……」カツカツ

男「ちょっと待てよー!冗談じゃな、あ、すげー痛い」

――安宿

女将「おかえ…」

男「こ、拳の威力強すぎね?」ヨロヨロ

女「……」ツーン

女将(何があったのやら…)

女「そうだ。まだ空き部屋ありますか」

男「そんなに俺と一緒がいやか」

女将「悪いんだけど…」

女「……」

男「まさかの満室だったな」

女「あんなに住居壊されているんだから予想すべきだった」

男「だよな」

女「同じ部屋に他人の気配がするのはなんか嫌だ…」

男「一人に慣れすぎだろ!」

女「寝る」

男「おう。今寝ないと起床時間狂うしな」

女「おやすみ」モグリ

男「おやすみ。…良い夢を」

女「…ん」

――二ヶ月後、街の外

男「別れ道か。お前はあっち、俺はそっちだ」

女「」コク

男「気をつけてな。××街までは遠いんだからよ」

女「あなたも」

男「心配すんな。お前には劣るが一応強いから」

女「そう。…じゃあ、元気で」

男「じゃあな」

スタスタ

男「~~~!」クルッ

男「女!」

女「…?」クル

男「また会えるよな!」

女「……」

女「」コクリ

男「だよな。悪い、立ち止まらせて」クルッ スタスタ

女「……」クル カツカツ



女「…会えると、いいな」



―――

―――――

――××街、治安委員本部

「ドラゴンが再び暴れだしました!」

「またか…一体なにが原因なのか…」

「被害は広がる一方です。どうします?」

「決まっているだろう。――生け贄だ、用意しろ」

「…はい」パタパタ



「何を探しているんだ、ドラゴン……」

「狙った獲物は食べるまで執着して追い回すと言うが」

「じゃあなんだ、逃した餌を探しているのか?」

「逃した……まさか」

女と男は交差した。
しかしそれは始まりにしかすぎない。

一旦ここで区切りをつけておこう。
次の物語のために。



女ハンター「………」 了

終わりです

言い訳させてもらうとろくにプロットとか設定考えていなかったんです
だから案内人のキャラがブレブレに
次もその場勝負で行くとは思いますが、楽しめてもらえるように頑張ります

あとで小ネタかなんか投下します

ありがとうございました

乙!

おつおつ


次があるなら楽しみにしてる

小ネタ1


男「ちょっと聞きた――」ガチャッ

女「……」

男「わー!着替えているところに入ってしまった!?」

女「……」

男「わざとじゃないんです、本当にわざとじゃないんです」

女「……」キガエゾッコウ

男(助かった…?)

女「閉めて」

男「あ、はい」

女「……」チャキッ

男「…その大剣で何をするつもりですか」

ギャアアアア

女将「部屋が別々になってもよくやるね…」

小ネタ2


女「聞きたいことが」

男「あん?」

女「なんでさらしを取った。私が負傷した箇所は脇腹だったのに」

男「」

女「理由さえ言えば怒らないこともない」

男「えっと……」

男「さらし外したらどんくらい大きいかなーって」

女「……」

ゴツッ ゲシッ

ギャアアアア

案内人「仲良しだねー」

女将「いやあれは仲良しとは言わないでしょ」

小ネタ3


女「そこの瓦礫はあちらに」テキパキ

子供「ねぇねぇ」

女「?」クル ホッペプニ

子供「わぁい引っかかったー」ケラケラ

女「こら」クス

―――

男「なあ」

女「?」クル ホッペプニ

男「引っかかったー」

女「……」

男「え、なんで俺には怒るの!?」

女「…歳を考えろ」

ギャアアアア

新入り「!?」

微妙に男がひどい目にあってなくもないですがこれで終了です
では

支援

続きこないなー

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