飛鳥「──悪い子だ」 (13)

飛鳥「こんな良い夜に出歩くのは、もっとオトナになってからでないといけないよ、ありす」

ありす「……いや、飛鳥さん。貴方、私と二つしか違いませんよね?」

飛鳥「おっと、こいつは一本取られたね」

ありす「それに、確かにもうすっかり夜も更けてますけど、別に寮の外を出歩いている訳じゃないですし……貴方にどうこう言われる筋合いはないはずです」

飛鳥「こんな夜遅くに起きている、という点については咎められて然るべきだと思うけどね──……体調管理だって、アイドルにとっての大切な仕事の一つなんだから」

ありす「まあ、それはそうですが……」

飛鳥「…………」

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飛鳥「……ボクが見たところ、随分と浮かない顔をしているようだけれど……何か悩み事でもあるのかい?」

ありす「いえ、別に……ないわけではない、ですけど、悩み事と言うほど大げさなものでは……」

ありす「そういう飛鳥さんこそ随分と顔色が悪いみたいですけど……何かあったんですか?」

飛鳥「…………」

飛鳥「──ふう、茶番はここまでにしておこう。どうせ、互いに互いの事情について、概ね察しがついているのだろうから」

ありす「……そうですね。それじゃあ……」

飛鳥「──……答え合わせ、といこうか」


『──今日、小梅(さん)の部屋で行われたホラー映画鑑賞会のせいで寝れなくなった……んだね(ですね)?』

飛鳥「…………」

ありす「…………」

飛鳥「……やっぱり、か」

ありす「……しかし、意外ですね。飛鳥さんって、ああいうのは結構得意な方かと思っていましたが……」

飛鳥「苦手、という訳ではないけど別に得意ではないよ……いや、鑑賞会の途中で気絶してしまった蘭子ほどではないけれどさ」

飛鳥「まあ……正直、小梅の事を舐めていたとしか言いようがないね」

ありす「……いくらホラー映画好きとは言え、所詮は13歳の女の子のチョイス。そんなハードなものが出てくるわけがない」

飛鳥「そう思っていた時期がボクにもありました……ってね」

ありす「まさか、あそこまでガチなのを選んで来るとは思いませんでした……今思い出すだけで、身震いが止まりません」

飛鳥「あれでも小学生組に配慮して手加減したつもりだっていうんだから、本当に末恐ろしいよ」

ありす「……みりあさんだけは終始ニコニコ顔でしたけどね」

飛鳥「……以前から思っていたけれど、彼女の肝の太さは一体どうなってるんだろうね」

ありす「全くです。……あの子には、何か苦手なものとかないんでしょうか」

飛鳥「少なくとも、幽霊やらゾンビやら、スプラッタやらが大丈夫なのは間違いないだろうけど……」

ありす「……晴さんや梨沙さんのリアクションは、如何にも歳相応って感じでしたね」

飛鳥「ああいうのが本来正常な反応なんだろうね……まあ、そういうキミも、少なくとも表面上は目立ったリアクションを取っていなかったような覚えがあるけど」

ありす「それは貴方だって同じでしょう……ほら、あれですよ。露骨に怖がっている人の姿を見ることで、自分は冷静になる事ができるって、割とよく聞く話じゃないですか」

飛鳥「結局、後でこういう風にぶり返してるんだから様はないけどね──……こうやって一人恐怖に震える夜を過ごすくらいなら、あの場で発散できた方が幸せだったろうに……」

ありす「……同感です」



ゴーン……ゴーン……


飛鳥「……おっと。もうこんな時間か。仕方がない、あまり気は進まないけど、そろそろ部屋に戻るとしようか。明日……いや、暦の上ではもう今日だけれど……とにかく、朝早くからレッスンが入ってた筈だし──……」

ギュッ

飛鳥「……どうしたんだい、ありす?」

ありす「あ、いや……これは……その……」

飛鳥「……?」

ありす「その……飛鳥さんが迷惑でなければ……今晩、飛鳥さんの部屋に、泊めて欲しいんですけど……」

飛鳥「…………」

ありす「……ダメ、ですか?」

飛鳥「いや……別に構わないよ」

飛鳥「むしろ、こっちからお願いしたいくらいだね。曲がりなりにも歳上であるボクからお願いするのは、あまりにも格好が付かないから、何も言わなかったけどさ」

ありす「…………」

ありす「ふふっ……何ですか、それ……本当に意地っ張りなんですね、飛鳥さんは」

飛鳥「フッ……キミにだけは言われたくないよ」

──そういえばこの間、紗南から零というゲームの最新作を借りたのだけれど……次の鑑賞会に備えて耐性を付ける為に、今度一緒にプレイしないかい?

──そんなこと言って、一人で遊ぶのが怖いだけなんじゃないですか?

──…………

──ふふ、どうやら図星みたいですね?

──……全く、本当に賢しいね、キミは……


…………
…‥


翌朝、二人は仲良く揃ってレッスンに遅刻し、トレーナーさんにこってり絞られたとさ。


おわり

あすありがもっと流行りますように

零はエロゲだと何度言ったら

飛鳥に甘い声で悪い子だって言われてぇ……


可愛いな

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