女魔王「クックック……殺せるものならば殺してみるが良い」(24)

勇者「ええええ……」

勇者「魔王は女だったのかあ」

女魔王「クックックッ……その通り!」

勇者「気は乗らないけど、しようがないなあ」チャキッ

女魔王「え? ちょっ、マジで殺るつもりなのか?」

勇者「そりゃ、もちろん」

女魔王「いや、だって……余は女だぞ! 女を斬るというのか!」

勇者「あはは、昔、それでトドメを刺さなかったら、仲間を一人喪ったからね。それからはどんな魔物も殺してるよ」

勇者は、『硬化の珠』を使った!

勇者の守備力が上がった!

女魔王「余は戦うつもりはない!」

勇者「うん、それなら大人しく殺されて欲しいな」にこにこ

勇者は『破魔の珠』を使った!

勇者の魔力が上がった!

女魔王「む、無抵抗の女を殺すなど、貴様は悪魔か!」

勇者「はは、魔王がよく言うよ。君のせいでどれだけ罪のない人が死んだと思っているの」

勇者は『加護の珠』を使った!

ブレス攻撃に強くなった!

女魔王「せ、世界の半分! 世界の半分をやるから魔族につかないか!? 共存の道を進もうではないか!」

勇者「あはは、断るよ。僕は、大切な仲間ともう一度、始まりの町で一緒にご飯を食べたかった。それだけが望みなんだ。あはは、もう叶わないんだけどね」

勇者は『鼓舞の珠』を使った!

勇者の攻撃力が上がった!

女魔王「く、クックックッ、憎しみに染まるその姿、むしろ魔族に相応しい!」

勇者「んー、そうだねぇ、実際に人間も魔物も食べてるしね。憎しみに染まってるかと言われたら違うと思うけど」にこにこ

女魔王「えっ」

勇者「あはは、一人旅になってからは、あまりにもやり過ぎたのか、村や町に入ることを拒まれてね、しようがないから魔物とか賊を食ってたんだ」

女魔王「ええっ」

勇者は『疾風の珠』を使った!

勇者の素早さが上がった!

女魔王「そそ、そ、そうだ!余の身体を好きにしてもいいぞ! 余は人間と比べものにならないくらい美しいだろう!」

勇者「あはは、魔物との激戦で負傷を負いすぎてね、不能になってしまったんだ」

女魔王「えっ」

勇者「それに、結婚を誓った愛する人は旅の途中で殺されてしまったしなあ、はは」

勇者は『のこぎり刀』を装備した!

勇者「じゃあ、覚悟はいい?」

女魔王「……お、お願いします。お許しください」ドゲザー


勇者「ダメ、だね」

勇者の攻撃!

女魔王の左腕は吹き飛んだ!

女魔王「ギィヤァァアアアアア!」

勇者の回復魔法!

女魔王の傷を癒した!

勇者「動かないでよ。大きく切り過ぎたじゃん」にこにこ

女魔王「いたいよぉ、いたぃよ…」

勇者「切り刻めるところがへるだろうが」

勇者「あはは、イモムシみたいになっちゃったね」

女魔王「…………ぅぅ」

勇者「んー、のこぎり刀は拷問にはうってつけだよね。僕のせいで下手な呪い装備より怨念がこもってそうだよ」にこにこ

女魔王「ごめんなさい…ごめんなさい…ゆるして……」

勇者「んー? 何を許して欲しいのかな?」にこにこ

グジュッ

女魔王「ぁぁぁ……!」

勇者「孤児院の子どもを魔物に変えてたこともあったし、人間どうしで争うように仕向けてたこともあったよね。人体実験とかもしてたなあ。あとは村や町に毒薬を散布したり、なんていっても侵攻して、人々をいっぱい虐殺したり、奴隷にしてたよね!」にこにこ

グジュッ…グジュッ…

女魔王「~~~……っ」パクパク

勇者「それともアレかな? 僕の両親を嬲り殺したこと? 兄貴分だった戦士さんを殺したこと? 魔物にすら優しかった僧侶ちゃんを食い殺したことかな? ああ、愛しい魔法使いちゃんを僕の目の前で輪姦して虐殺したこととか?」にこにこ

勇者の回復魔法!

女魔王「………」

勇者「正直いってね、僕はもう何も怒っていないんだ」にこにこ

勇者「だって僕が甘かったから、あんなことになってしまったんだものね。僕が弱かったからみんな死なせてしまったんだよ」にこにこ

ドゴオッ!

女魔王「げろっ…」

ドゴオッ!

ドゴオッ!

勇者「んん? なんか、後悔してるみたいに聞こえるね。あはは、事実を述べているだけなのにね」

ポワアアッ

女魔王「ヒュゥ…ヒュゥ…」

勇者「あ、ごめん、声帯も治さないとね。最初みたいに面白いこと言って欲しいな」にこにこ

女魔王「…クックックッ、余をいたぶって少しは気が晴れたか。惨めな人間よ」

勇者「いやあ、全然だよ。でも、今まで出会った人の憎しみの分も魔王を嬲るって決めてたからさ」にこにこ

女魔王「ふっ、好きにしろ。だが、貴様には救いはないぞ」

勇者「あはは、今更だなあ」にこにこ

バンっ

魔王女「おかあさまっ!」

女魔王「ば、ばかっ、出てくるなっ!」

魔王女「おかあさまを放せっ!」

勇者「へえ、娘さんがいたの?」にこにこ

女魔王「ち、違うっ!」

勇者「そっかあ、子どもがいたのか」にこにこ

女魔王「や、やめてくれっ!」

魔王女「えやぁっ!」

魔王女の『爆裂魔法』!

勇者には効かなかった!

勇者「わあ、すごいっ! 強いんだなあ」にこにこ

勇者「魔法使いちゃんなんて、旅に出てからしばらくしてようやくその魔法を使えるようになったのに、そんな幼い姿でも使えるんだね」

勇者「あはは、危険だなあ」

女魔王「た、頼むっ! 娘は見逃してくれっ!」

グサッ

女魔王「ううっ…!」

魔王女「おかあさまっ!」

がしっ

勇者「捕まえた」にこにこ

魔王女「は、はなせ、ニンゲン!」

ボコォッ

魔王女「うっ…」ゲロゲロッ

勇者「わー、良いもの食べてるんだね。僕の方が魔物っぽいもの食べてるよ」にこにこ

女魔王「や、やめろ」

勇者「ん、上から言うんだねぇ」にこにこ

女魔王「お、お願いします。娘に手を出さないでください」

勇者「これが親が子を想う姿かあ。何度みてもいいよなあ。そういうの憧れてたんだよなあ」にこにこ

女魔王「ごめんなさい、ごめんなさい…」ポロポロッ

勇者「あはは、この子を犯したらどう思う?」

女魔王「や、やめてください…っ」

勇者「僕もそうやって懇願したことがあったんだよ? でも、魔物たちはやめてくれなかったんだ」にこにこ

女魔王「ごめんな…さいっ…」

勇者「あはは、大丈夫、大丈夫。僕は不能だからね」

魔王女「うう…はなせっ!」じたばた

勇者「あはは、お母さんに似て綺麗な顔してるね。目玉と歯だったら、どっちからがいい?」

女魔王「……これ以上、娘に手を出さないでくれ。余だったら、どうしてくれたって構わないから…」

勇者「でも、魔王の血族は殺さないといけないからさ」チャキッ

女魔王「やめてっ…やめてください…っ!」

魔王女「おかあさまっ…」

勇者「あはは、ごめんね?」

女魔王「やめてええっ!」


ドオォォンッ‼︎

勇者「んん?」

ザッザッザッザッ‼︎

兵士「魔物を討ち取れ!」

兵士「生きている者は残さず殺せ!」

勇者「おお、僕の国の兵士だ」

女魔王「くっ…!」

勇者「僕の突撃に合わせたのかな? あはは、どうして分かったのかな?」

側近「私が教えたからですよ」

女魔王「き、貴様…っ!? 裏切ったのか!?」

側近「ふふ、貴女は甘すぎる。人間との共存を目指すなど大魔王さまの意思に反するのでね。まずは貴女を葬った後、再び地上界を征服することにしますよ」

勇者「そのつもりなら、僕の前に姿を出しちゃダメだったよ」にこにこ

勇者の攻撃!

側近「えっ」

側近を倒した!

勇者「弱いなあ」にこにこ

兵士「勇者殿っ! ご無事でしたかっ!」

勇者「あはは、お陰さまで」

兵士「単身で乗り込んで無傷とは…」

兵士「……さぞ、お疲れでしょう。後は私たちにお任せを」

兵士「勇者殿は安心して休んでください」

勇者「あはは、そしてあなたたちに殺されろと?」にこにこ

兵士「……」

勇者「英雄に対して、ひどい仕打ちだなあ」にこにこ

兵士「……うるせえ、人喰いめ。てめえみたいなバケモノを生かしていられるか」

勇者「そんなことないよ。魔物が滅んだ後に、世界征服を企んでいるウチの王よりもマシだよ」にこにこ

兵士「…これ以上、気持ち悪い笑顔を見せるな!」

勇者「あはは、バケモノになんてなりたくなかったんだけどね」

兵士「……全員でかかれ!」

兵士「所詮は一人!」

兵士「生命もらうぜ!」


勇者「失せろ、雑魚が」


勇者の『真空魔法』!

勇者の『氷雪魔法』!

勇者の『火炎魔法』!

勇者の『閃熱魔法』!

勇者の『爆裂魔法』!

城内の兵士たちを倒した!

女魔王「つよっ…え、勇者ってそんなに魔法使えないでしょ」

勇者「あはは、もはや精霊さまに見捨てられてるからね。勇者専用の光の装備はもう装備できなくなってるくらいだよ」

女魔王「それもう勇者じゃない…。よく見れば、装備全部呪われてるじゃん…」

勇者「あとは外の兵士たちかあ。あ、聞きたいんだけど」にこにこ

女魔王「な、なんだ」

勇者「大魔王って何かな?」にこにこ

女魔王「…魔界を統べる王だ。他の世界にも侵攻していて、余は地上の征服を命じられてここにいる」

勇者「じゃあ、あなた魔王というか、ただの尖兵じゃないか」にこにこ

女魔王「いや、余は征服後の行政政策を命じられて赴任してきたんだ」

勇者「へー」にこにこ

女魔王「軍部への権限は殆んど無いもののなんとか共存の道を探していたのだが、この様だ」

勇者「あはは、無力は辛いね」

魔王女「ふざけるなっ! おかあさまは強いんだぞっ」

勇者「あはは、それなら四肢切断でも足りないかな?」

魔王女「や、やめろ! これ以上、おかあさまにヒドいことするなぁっ!」

勇者「うるせえ、殺すぞ」

女魔王「ごめんなさい、ゆるしてくださいっ」

勇者「あはは」

女魔王「いい子だから、静かにしていてね…?」

魔王女「うぅ…」

勇者「なんで、僕が悪者みたいになるのかなあ」にこにこ

勇者「まあ、そんなことより、大魔王はどこにいるの?」にこにこ

女魔王「どうして、そんなことを訊く? あ、ごめんなさい、質問の余地はないですよね。魔界にいます」

勇者「魔界かあ。どうすればいけるのかな?」にこにこ

女魔王「奥に魔界への扉があります。多分こちらにはもうら帰ってこれないですけど」

勇者「あはは、これはもう魔界に行くしかないなあ。元々魔王を殺したら死ぬつもりだったからこっちに未練もないしね」

魔王女「ふん、ニンゲン風情が魔界にいくなど…ごふぉっ!」げろげろ

女魔王「余の娘はアホなんです。どうかお許しください」

勇者「あはは、この子がアホなのは大魔王の血かな?」

女魔王「ななな、なんのことじゃ?」

勇者「いやあ、君の血だね。ふうん、大魔王の妻と娘か。人質に使えるかな」にこにこ

女魔王「あ、それはあまり役に立たないと思います、ハイ。多分、余とか娘のこと愛してたりしてないですから」

勇者「あはは、魔物はそういうものなんだ?」

女魔王「ええ。特に魔界では強さが全てなので、屈服させられたら服従するしかなくて…」

勇者「あはは」

女魔王「むりやり孕まされて、いや、娘は愛してますけど、正直あの方には死んでもらったほうが嬉しいです、ハイ」

勇者「つまり?」にこにこ

女魔王「勇者さまに親子共々、協力させてください」

勇者「お母様がそういってるけど?」にこにこ

魔王女「ふんっ、大魔王を倒すのは妾じゃ!」

ボコオッ!

魔王女「」ピクピク

女魔王「我が娘ながら学ばねえな」

飽きてるだろ

勇者「まあ、いいか。じゃあ協力してもらおうかな」にこにこ

勇者の『超・回復魔法』!

女魔王は全快した!

魔王女は全快した!

女魔王「いででででっ! 手足はえんの超いてえっ!」

勇者「じゃあ行こうか」にこにこ

女魔王「え、もうですか。あ、はい行きます、ごめんなさい」

勇者「あ、でも最後に、挨拶でもしていこうかな」にこにこ

魔王女「どっか行くのか?」

勇者「いや、ここからね」にこにこ

勇者の『真空魔法』!

勇者の『氷雪魔法』!

勇者の『火炎魔法』!

勇者の『閃熱魔法』!

勇者の『爆裂魔法』!

勇者「放たずに留め、勇者の力を重ねる」

勇者の『雷電魔法』!

6つの力が一つになる!

『極大六芒星・ギガンテ』‼︎

城外の兵士たちを山脈もろとも消し飛ばした!


魔王女「おぉ…」

女魔王「やべえ」

勇者「さ、大魔王になる旅に出よう」にこにこ

女魔王「えっ、大魔王になるの?」

勇者「魔物は力が全てなら、大魔王になれば、魔物は僕の言うことを聞くんでしょ?」にこにこ

女魔王「はい」

勇者「それなら、僕は大切な仲間たちとの約束を果たすために大魔王になるさ」にこにこ


勇者「世界を救わないとね」

魔王女「お主、なかなか見所があるではないかっ。妾が妻になってやろう!」

女魔王(どうして、うちの娘はこんなにバカなの? ドMなの?)

勇者「あはは、ませてるなあ。僕はインポなんだけどね」ぽんぽん

女魔王「お、怒らないだとっ!?」


女魔王「…………」


女魔王「クックック……殺せるものならば殺してみるが良い」

女魔王「あ、冗談です。のこぎり刀を向けないで、ごめんなさいっ!」

こうして勇者と女魔王(とその娘)の新たな冒険が始まった!

【打ち切り】

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