前作
【がっこうぐらし】ゆき「くすんッ……う……あ……うあああ――っん」
【がっこうぐらし】ゆき「くすんッ……う……あ……うあああ――っん」 - SSまとめ速報
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ゆきとくるみ
百合
たぶんエロ
亀更新
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1439639212
あの人か期待
※7巻までのネタバレあり
ゆきの夜泣きがだいぶ落ち着いた頃、
学校で大きな火事があった。
同時に一つの分岐点に差し掛かった。
住居としてあまり意味をなさなくなったそこをいったん離れ、
私たちは「大学」を目指し車を走らせることになった。
この頃、ゆきは幻覚を見ることがほとんど無くなっていた。
くるみ「なあ、部員募集ってのはなんかちがくないか?」
車の広報に、以前張った張り紙を指差す。
運転中のみきが苦笑していた。
※6巻までのネタバレの間違い
みき「まあ、部員というか、正気な人間であれば」
ゆき「多い方が楽しいよねえ!」
くるみ「こんな煩いのが増えるのは勘弁だけどなあ」
ゆき「も、もう大丈夫だもん! 泣かないもん!」
ゆーり「そうよね、最近ゆきちゃん、よくお手伝いしてくれるしね。助かってるわ、ありがとう」
※6巻までのネタバレの間違い
くるみ「りーさん、褒めると調子乗るから」
ゆき「そんなことないもん、たぶん」
みき「二人とも、余所見してると舌噛んじゃいますよ」
車体が跳ねる。
互いに後部座席でキョロキョロとしていた私とゆきがぐらりと傾いた。
ゆき「いひゃっ」
くるみ「何だ? 早速か?」
ゆき「ひはかんら……」
くるみ「どれ、見せてみろ」
ゆき「ん」
ゆきの舌から血が出ていた。
赤く鮮明な液体。
くるみ「……」
ゆき「ろしたの?」
くるみ「あ、いや、バカだなって」
ゆき「バカって言った方がバカなんですー!」
くるみ「バカバカバカバカ」
ゆき「あー! ひどい! 今、何回言ったの?!」
みき「小学生ですか……」
ゆうり「ふふっ、もう何やってるの……」
くるみ「べー、してみろ」
ゆき「べー」
くるみ「ふー、ふー」
ゆき「いひゃい……」
くるみ「気休めだよ」
ゆきは舌を引っ込める。
鉄の味に顔を歪めていた。
つい、世話を焼きたくなるのは、何でなんだろうな。
みき「あれっ」
ゆうり「前に、車両が!」
二人が声をあらげた。
私はとっさにスコップを掴み、前方を凝視した。
くるみ「トラック……?」
トラックは速度を緩めつつ、横を通り過ぎる。
ゆき「男の人と小さい女の子が乗ってたよ!」
みき「停めますか!?」
ゆうり「くるみっ」
私がりーさんへ話しかける前に、後方でゴムタイヤと路面が擦れあう音がした。
耳に残る。
瞬間的に振り返った。
くるみ「なっ……」
車の恐らく左の前輪が、小さな溝にはまっているようだった。運転席にいたらしい男が、外に出てトラックを押し上げようと試みるも、バスはびくとも動いていない。
ちょっと携帯の電池ないので、
続きは2時間後くらいです
果たしてゆきくるみがエロになるか……不安
くるみはもうアレだからね仕方ないね
バスじゃなくてトラックですね……
ちょっと、今日は難しいのでまた明日
この頃はもうくるみは...
良いね
くるみ「……やばいぞッ」
そのトラックを囲むように、奴らが近づいてきていた。
男はそれに気づいてない様子だった。
ゆうり「くるみ、今ならまだ……」
くるみ「あ、ああ!」
スコップを握りしめて、
私は車から転がるように降りる。
ゆき「……待って!」
みき「だめですッ!」
ゆきの声に、振り返る。
今にも一緒に降りんばかりだ。
残りの二人がゆきの腕をしっかりと握っていた。
私はとっさに後ろ手で扉を閉めた。
くぐもった声がしゃないから聞こえた。
――くるみちゃん、一人じゃ危ないよッ
――何言ってるんですかッ。先輩が行ったら、さらに危ないですから!
――ゆきちゃん、くるみなら大丈夫だから……
私は、窓に手をついて悔しそうにこちらを見つめるゆきに微笑んだ。
くるみ「大丈夫だって!」
ピース。
首を鳴らし、私はトラックへと急ぐ。
くるみ「ちょっと、おじさんッ」
男「うわッ……?!」
男は怯えた顔つきで私を見た。
くるみ「囲まれてるッ。この車は捨てて、こっちにッ」
私は助手席にいた、男の娘らしき少女に手を伸ばす。
はっと息を飲んだ。
少女は血だらけだった。
少女「……うッ……ァ」
噛まれている。
男「だ、だめだ……一緒にはいけない」
くるみ「何言って……」
男「この中に……妻が」
男はトラックの荷台の方を指さした。
わずかに、うめき声が聞こえた。
少女のものではない。
くるみ「……なんだ?」
アルミ製の箱型の荷台。
男「もう、手遅れだ……」
くるみ「だったら、あなただけでも……」
少女「お父さん……行かないで……」
くるみ「……っ」
私はほとんど虫の息のような少女を引っ張って、担ぎ上げる。
男「や、やめてくれ……」
くるみ「治す薬が、ある!」
男は弾けるように顔を上げた。
男「……本当か?!」
くるみ「ああ……」
それは、半分嘘だった。
少女の症状は明らかに進行しすぎていた。
手の施しようがない。
男「だ、だったら娘だけでも助けてくれ……頼む」
助けたいのはやまやまだった。
しかし、今救うべきはこの男性の方だ。
男「妻を残して……いけない」
くるみ「もう、その人は手遅れなんだろ? さっき、自分で言ってたじゃないか……」
男「いいからッ、お願いだッ……」
差し伸べた手を払いのけ、
男はトラックの後方に回って、
荷台のカギを開けた。
くるみ「お、おいッ……」
バタン。
と、空しい音が響いた。
少女「おと……さッ……」
父親を説得している時間はなかった。
私はやむをえず、少女を担いでそこから離れた。
くるみ「ちくしょッ……」
見る見るうちに、トラック周辺が奴らに埋め尽くされる。
あの扉が開けられることはないと思うが。
荷台の中で、あの男は――。
少女「……がッ……ァ」
父親の傍を離れた少女の体温が、
みるみるうちに下がっていくのが分かった。
くるみ「ごめんな……」
私は、トラックから十分に離れた所で、
その少女を降ろす。
奴らに注意しながら、スコップを振り上げた。
せめて、人間の内に殺してやるよ。
少女「お母さ……お母さん」
血だらけの口元から呟かれた言葉。
手元が狂った。切っ先がわずかに翻る。
ゆき「だめえッ!」
ガアアアンッ!
スコップが戦慄いた。
突然の衝撃。
手首にわずかな痛みが走った。
しかし、そんなことを気にしているどころではなかった。
くるみ「ゆきッ!?」
スコップを無意識に投げ捨てる。
ゆき「いッ……っぁ」
肩の下辺りを抑えながらも、少女を庇うようにゆきが四つん這いになっていた。
くるみ「な、なんだッ……何してんだお前は」
ゆき「まだ、まだ、諦めちゃだめだよッ」
くるみ「その子はもう……」
案の定、少女が暴れだす。
私はすぐにゆきを押しのける。
ゆき「やぁッ……」
くるみ「下がってろ……」
スコップをすぐに拾い上げる。
握りなおして、切っ先を真っすぐに少女へ。
ゆき「だめッ……ねえ、助けてあげて、くるみちゃん!」
もしかしたら。
助かるもしれない。
あの薬を使えばね。
でもそれって、幸せなことだろうか。
くるみ「……」
私は、スコップを振り下ろしていた。
私は、諦めたのだろうか。
勝手に人の人生の幕を降ろしてしまったのだろうか。
あの後、すぐにりーさんとみきがゆきを車内に引き戻した。
それから、血塗れになった私は、その町から少し離れた川原で服を洗っていた。
りーさんも隣に腰掛け、スコップを洗っていた。
ゆうり「……くるみ」
くるみ「なに」
ゆうり「気にするな、っていうのも無責任だけど。薬にも限りがあるわ……意味がなければ、無駄遣いもいい所」
くるみ「ああ、分かってる。ゆきがああいう行動に出るのも仕方が無いさ」
あいつはいつだって、正しい選択を持ってくる。
だから、もしかしたら、あの少女は助かっていたかもしれない。
だから、これは自分のエゴ。
あの薬を使って生き延びて欲しくなかった。
ゆうり「ゆきちゃんも少し落ち着いたみたいよ……めぐ姉が介抱してくれて」
くるみ「え?」
ゆうり「……え?」
聞き間違いだったのか。
ゆうり「あ、ごめんなさい……みきさんがね」
言い直す。
疲れているのだろう。
最近、あまり眠れてなかっただろうし。
ゆきに一番合わせていたのも、りーさんだったから。
みんなそうだ。
私だって。
正しい選択があるからって、
正しい判断ができるわけじゃないんだ。
できない時だってあるさ。
くるみ「少し、仮眠とりなよ」
ゆうり「ええ……スコップ、置いておくわよ」
くるみ「サンキュ」
私もちょうど服を洗い終えた。
絞って、しわを伸ばす。
手首が少し痛い。
少し前は、身を守るために振っていたスコップ。
今は、仲間を守るために振っている。
くるみ「……ほんとうに?」
問いかける。
では、どうしてゆきを傷つけた。
くるみ「なんでだ……」
(アカン)
私は、人殺しか。
屋上で、何度も何度も彼の身体を突き刺した。
その感触は未だに残っている。
あの時、私にしか、きっとできなかった。
確か、ゆきが止めに入って――。
くるみ「おせーよ……止めるなら、もっと早くに止めろ、バカ」
手遅れだ。
もう。
慣れたのだ。
慣れすぎて、
同じものになってしまったのか?
いや、どっちつかずだ。
まだ、良い人面しておきたいんだ。
誰に?
誰に――。
夜。ゆきと口を聞かないまま、就寝の時間となった。
りーさんも、みきも口数は少なく、私たちは気まずい雰囲気で朝を待つことになった。
虫の声が、わずかに季節感を感じさせる。
バイクのエンジン音も、
犬の遠吠えも聞こえない。
電車の踏切の音だってない。
頭の中に、昼間の少女の言葉が反芻される。
父親の少し安堵した表情。
私に期待していた顔。
くるみ「……ッ」
殺さなくて良かったのに。
誰のために殺した。
彼らのために、何人殺した。
いやじゃないのか。
逃げたくならないのか。
病気だ。
そういう、病気。
注射じゃ治らない。
からん。
車外から、金属音がした。
私はとっさに、枕元にあったスコップに手を伸ばす。
くるみ「……え」
ない。
周囲をぐるりと見渡す。
くるみ「ゆき……?」
ゆきがいなかった。
私はベッドから降りて、外に向かう。
りーさんとみきが後ろで起き上がる気配を感じた。
ゆうり「くるみ……どこに」
みき「……っ?」
車のフロントガラスの向こうに、人影を捉えた。
くるみ「ゆきが、外に出かけた。連れ戻してくる」
言い残して私は扉を開ける。
夜風が生暖かい。
くるみ「……」
人影はゆきだった。
スコップを持って、素振りしていた。
が、重さに耐えきれずよろめいていた。
ゆき「……っわ」
尻もちをつきそうになって、なんとか踏ん張っている。
くるみ「……?」
野球の練習。
まさか。
じゃあ、なんだ。
ゆきが突然うずくまる。
肩を抑えていた。
くるみ「ゆき……」
何やってんだ。
ゆき「……っ」
後ろから声をかけられ、
少女がびくりと体を震わせた。
くるみ「また、りーさんに説教を食らうぞ」
ゆき「……私も、私も……一緒に戦おうと思って」
くるみ「戦うって……」
ゆき「くるみちゃんに、色々なことをさせてたの思い出した」
くるみ「みんなのためにやってきたんだ。私の役割だったんだから……」
ゆき「だったら、私も」
くるみ「いいよ。お前にはまだ難しいよ」
ゆき「できるよ。私、もうできる」
私は肩に置かれていた手に触れた。
ゆきがこちらを振り返る。
星と月明かりが、彼女を映し出す。
くるみ「昼間のこと気にしてるのか……」
ゆき「くるみちゃんだけに辛い思いはさせないよ」
くるみ「いいんだよ、それは」
ゆきの持っていたスコップを取り上げる。
ゆき「……」
くるみ「まだ、守らせてくれ……頼むよ」
と、ゆきがスコップごと私の手を握ってきた。
何か、確かめるように。
握る。
こする。
頬に寄せる。
目を瞑って。
感じている。
私の手を。
ゆき「いや……」
くるみ「……じゃあ」
私はゆきの足を払う。
バランスを崩して、
ゆきは尻餅をついた。
ゆき「ひゃぁッ」
そこに、馬乗りになる。
スコップを後ろに置き、
ゆきを見下ろした。
くるみ「こっから抜け出せたらいいぜ」
ゆき「こ、このくらい」
身をよじる。
太ももでしっかりと胴体を挟んでやった。
ゆきはか弱かった。
くるみ「こんなのでどう戦うんだ。笑えるよ……」
ゆき「うぅッ……ふぅ……」
顔を歪ませる。
と、ゆきが振りかざした腕が私の頬に向かってきた。
ぺちん。
乾いた音。
くるみ「いって……」
力無い。
私も、ゆきの頬を叩いた。
ぺちん、と鳴った。
ゆき「……ッ」
今度は少し強いのが一発。
ぱん、と弾けた。
くるみ「へッ……」
こちらも同じく。
平手の応酬が続いた。
互いに息が上がっていった。
くるみ「もお、やめろ……無意味だ」
肩が痛いのに、何度も手を上げてふらふらになっていたゆきを諭す。
ゆき「だって……くるみちゃんに勝たないと……守ってあげられない」
本気か。
馬鹿か。
こんな風に、無鉄砲なことを考えるようなら、
思い出さない方が良かったんじゃないか、とさえ思えた。
ゆき「めぐねぇが……」
くるみ「……」
ゆき「最後に……助け合いなさいって……」
くるみ「なあ、ゆき。……お前が、いるだけで、私たちは十分救われていたんだぜ。焦らなくていいから、な?」
ゆきに覆いかぶさるように、抱き締める。
自分の頬をゆきの頬にすり寄せる。
ゆき「……いたッ」
くるみ「どした」
ゆき「さっき、舌、噛んだ……」
ちょっと、強く叩きすぎたか。
くるみ「わ、わり……べーして」
ゆき「んべ……」
昼間と同じ所から血が出ていた。
くるみ「ふー……」
ゆき「……いひゃい」
くるみ「……」
どんな味がするのか。
舌を伸ばした。
ざらりとした。
ゆき「あ……あッ……の……」
くるみ「……わッ」
何をした。
美味しい。
違うんだ。
そういうことじゃ。
くるみ「……っ」
私は、誤魔化すようにそのまま口づけた。
ゆきの吐息が口内をくすぐった。
ゆき「や、やだ……っぁ」
くるみ「静かに……」
口を離す。
ゆきは怯えていた。
なのに、私の体をしっかりと抱き寄せていた。
口内に、ゆきの血の味が残っていた。
くるみ「な、なんてな……びっくりしたか? さっきいいのもらったからな、お返しだぞ」
ゆき「……」
私はゆきから身を離す。
お守りのように、スコップを掴み上げる。
彼女に背を向けた。
ゆき「どうして、うそ……つくの」
くるみ「うそって、なんだよ」
ゆき「……」
ゆきは立ち上がって、2、3歩前を行く。
唐突に、拳くらいの石ころを地面から拾い上げた。
そして、それを腕に叩きつけた。
突然のことで、私は一瞬動けなかった。
くるみ「……やめろ!」
石を取り上げる。
すでに、腕からは血が出ている。
私は喉を鳴らした。
みずみずしい香りがした。
ゆき「ん……」
腕を突き出す。
なんの真似だ。
くるみ「車に戻って、手当てするぞ……」
ゆき「……」
くるみ「ほら、何やってんだ」
ゆき「……」
くるみ「……ゆき、なんでこんなことしたんだよ」
ゆきは答えない。
私は、自分の問うた質問の答えを聞きたくはなかった。
だから、何も言わないゆきに内心ほっとしていた。
ゆき「……ほら、くるみちゃんアームカバーしてるから……私も、包帯巻いてお揃いにしようかなって」
くるみ「なんだよ、それ……頭おかしいんじゃんか」
ゆき「へへえ……」
ばかやろう。
そんなことされて、
嬉しいわけない。
いつも、唐突なんだよ。
なんて言えばいいんだよ。
くるみ「体……大事にしろ」
ゆき「……ん」
くるみ「頼むよ……」
ゆきのポケットから変てこな猫耳の帽子がはみ出ていた。
それを引っ掴んで、ゆきに被せた。
ゆき「わぷッ……」
目元までしっかりと。
くるみ「ちょっと、じっとしてて」
ゆき「うん……」
言われた通り、彼女は待ってくれた。
無防備で無垢なまま。
そこに立っていた。
くるみ「なあ……今、お前の手を取って、ここを離れたらどうする?」
ゆき「……手、離さない」
くるみ「そっか……」
ゆき「その後も、一緒なんだよね……」
くるみ「……そうだな」
ゆき「なら、大丈夫!」
小さく鼻息をもらす。
その自信はどこからくるんだ。
くるみ「悪い、変な質問した……」
帽子をずらすため、彼女の方に手を伸ばす。
小さく開いた口。
顔を近づける。
唇に触れるだけのキス。
帽子を上にずらす。
丸い瞳と交錯する。
ゆき「私が、守るよ……」
くるみ「ぬかせい……」
でこぴんしてやった。
ゆき「あうッ……」
くるみ「その前に車の運転できてから言え」
ゆき「が、頑張ります!」
真っ暗な夜が続く。
虫の声くらいしかしないんだ。
夢も希望もないんだけどさ。
こいつが色んな未来を見せてくれるような気がする。
こいつが。
おわり
くるみ編おわり
くるみは抱え込むタイプなだけに難しい
あんまエロくならんかったね
すまんね
良かった
乙
次はめぐねぇですか(小声)
りーさんとるーちゃんの姉妹丼でしょ
>>39
基本自己完結だからなあ。難しいと思う
とてもいいくるゆきだった
乙乙
乙
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