男「人間乗馬!」
女「新ジャンルね」
男「世界初だな」
女「ギネスに乗るかも」
男「さっそく試そう」
女「まず、二足歩行と四足歩行どちらにするかだけど...」
男「乗馬と言っても人間だからな。二足歩行だろう」
女「いえ、人間と言っても乗馬なのだから四足歩行よ」
男「.....落ち着こう。僕の趣味ランニングは四足歩行では走らない」
女「当然ね。でも乗馬よ?二足歩行で上に乗ってもおんぶか肩車にしかならないわ。私達は新ジャンルを編み出そうとしているのよ」
男「騎乗位というものを知っているか?」
女「いいえ」
男「知っているな?」
女「知らないわ」
男「そう。あれは乗る側が乗馬をしているように見えるから騎乗位と言う。乗られる側の体制は関係ない」
女「ちょっと、知っている前提で話を進めないでちょうだい」
男「真っ赤な顔で何を言う。要するに乗っている側が乗馬をしているように見えるかが問題なんだ。理解したか?」
女「....仕方ないわね。四足歩行は諦めるわ。けど乗馬には他にも必要な物があるわよね」
男「ああ。許しがたい現実が目の前立ちはだかっている。どっちかと言えば攻めたいタイプなんだ僕は」
女「あら、磁石のSとSは反発しあうものよ。私達が仲良しなのはあなたがSじゃないからのはずよね」
男「間にNがあればSも反発せず共存できる。今はN...いやMは居ないが。」
女「妹ちゃんはまだ帰らないわね」
男「そろそろ部活も終わる頃だ。それと、女はSと見せかけてドMの淫乱酢豚だと僕は睨んでいる」
女「いやん。そんな乱暴な言葉遣いされるとワタシ、ワタシーー」
男「棒読みが上手いな。そして酢豚をスルーされるととてつもなく恥ずかしいんだが」
女「あなたの感情なんてどうでもいいわ。だって私Sだから」
男「Sはサービス精神のSとも言う。その認識は間違っている。突っ込んでこそのSだ」
女「めんどくささに拍車がかかってるわね。そんなんじゃ女の子が寄り付かないわよ」
男「別にいい。女で足りている」
女「......何の話をしていたっけ。話題が逸れたわね」
男「女が僕に騎乗位をすれば人間乗馬の完成だって話だな」
女「いいえ。違うわ」パチーン
男「何でそんな物持っているんですか」
女「縄跳びを切って作ったの」
男「あらかわいい」
女「人の意志を馬に伝えるためにはこの鞭が必要でしょう。速度調整は重要よ」
男「人類には言葉という偉大なコミュニケーションツールがあってだね」
女「これがなければ乗馬とは言えないわ。ギネス狙うなら万全を期したいもの」
男「一理ある」
女「理解が早くて助かるわ。うふふふ。じゃあさっそく予行演習といきましょうか。うふふ」
男(この用意の良さ...嬉しそうな顔。色々理屈をつけて僕をいじめたいだけなのでは...)
女「やん。そんな真顔で見つめないでよ。照れるじゃない」
男「かわいい」
女「」ピクッ!
男「とでも言うと思ったか?」
女「....予行演習を始めましょう。念入りに」
男「ここで女に急がば回れという素晴らしいことわざを教えたい。教えなければならない気がする」
女「気のせいよ。まずは膝まずいてそれから」
バンッ!
妹「たっだいまー!!」
男「おかえり!!部活疲れただろう。ささ、座ってお茶でも飲んで」
妹「うへぇ。なんか今日はやけに優しい...あやしー」ジー
男「いやいやいつも通りだろう。」
妹「そんなことないもん!いつもだったら「うるさいやつが帰ってきたな」キリッって言うじゃんか」
男「キリッって口に出す奴初めて見た」
女「妹ちゃんお座り」
妹「はい!」シュタッ
女「お手」
妹「わんっ!」ポンッ
女「男を拘束」
男「え?」
妹「拘束完了です!お姉さま!」
男「くっ、やはり女に付くか」
女「うふふふふふ。いい子ね妹ちゃん。後で飴ちゃんあげる」
妹「ありがとうございます!!!」
男「相変わらずのようで」
女「.....じゃー乗るわよ」
妹「の、乗る...?//」ドキドキ
男「あー、たった今いい事を思い付いてしまった。やばいなこれは...」
女「ろくでもないことの間違いではなくって?」
男「いい事だ。妹の部活はなんだ?」
女「弓道......はっ!」
男&女「人間流鏑馬!!」
女「素晴らしいわ。こんなの誰も思い付かないでしょうね」
男「ふふ、だろうな。自分の頭が柔らすぎて心配になる程だ。馬に乗り弓を射って的に当てる。それを人間だけでやるなんて誰もやったことないはずだ」
妹(なんかまた馬鹿な事やろうとしてるって事だけは分かる....ま、いっかノっておこう)
妹「よっさすがにーちゃん!」
男「いやおまえよく分かってないだろ」
妹「わ、分かってるもん!」
男「では答えてみろ。人間流鏑馬とは何か!!」
妹「え、えぇ?えーと.....馬を人間がやる......とか」
男&女「ッ!!!!???」
ドサッ
男「そんな...誰も思い付かないと思ってたのに」
女「..ふふっ..あなたの考える事なんてその程度だったってことよ」
妹(今にーちゃん自分で言ってたよね...)
男「女...!!裏切るのか!」
女「私、勝ち馬に乗りたいの」
男「く、くそぉぉぉぉぉぉ!!僕は負け馬だっていうのかぁぁぁぁ」壁ドンッ
妹(なんかめんどくさいことになりそう...外しといたほうがよかったかな)
男「い、いや待てよ。妹は僕の血縁者だから発想が似ているだけで常人では思い付かないはずだ。きっと」
女「そうかしらね...」
男「試してみる価値はある。新ジャンルを編み出すんだろう。僕たちは」
女「そんなにこの鞭で叩かれたいのなら試してみてもいいわよ」
男「へへっ...流鏑馬は鞭を使わない」
女「!!」
女「そ、それじゃやる意味がないじゃない...」
男「え?」
女「あ、いえ何でもないわ。それよりも私が騎手で妹ちゃんが弓を射つのならあなたは二人を肩車することになるけれど」
男「あーそれは無理だ」
タッタッタッタッタ シュパーン
妹「やった当たったぁ!」
女「...ねぇ、これ流鏑馬なの?」
男「さぁ....」
男「僕が女を肩車して走って妹も後ろから着いてきて矢を射つ」
女「これを見た人は訳がわからないでしょうね」
男「そもそも人間乗馬ってなに?」
女「さぁ.....」
ー完ー
乙面白かった過去作とかあるの?
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