今日も、我那覇響はアイドルである。 (30)

「はいさーい!」
 事務所に響く快活な声。それに気づいた1人のアイドルが出入口の方へと目を向け、その声の主へ挨拶を返す。
「おはよう、響ちゃん」
「春香。まだ千早とプロデューサーは来てないのか?」
「ううん。千早ちゃんは私より先に来てたけど、プロデューサーさんと一緒に先にレッスン場に行ってるって」
「ってことは……もしかして自分が最後か!?」
「予定よりはだいぶ早いけどね。じゃあ、行こ、響ちゃん」
「ちぇー……折角時間より早く来たのにビリかぁ……」
 春香に微笑みかけられながら口を尖らせると、彼女はきびすを返し事務所の出入口へ向かった。春香もそれに続き、事務所を出る。
「えっと……ぴよ子も居なかったけど、鍵は大丈夫なのか?」
「社長が居るから大丈夫だって」
「ああ、そっか」
 レッスン場へは歩いて10分程度。2人は、歩みを進めながら世間話に話を咲かせていた。
 春香は響の頭を指さすと、ポニーテールを揺らして歩く響にこう聞いた。
「響ちゃん、新しいリボン買ったの?」
「ん? んー、そうそう、良いでしょ、これ! 青色が気に入ってるんだ」
「うん! 涼しげで、これからの季節に合いそうだよね」
「春香もリボン新しいの買ってみたらどうだ? もっと飾りとか付いた派手なやつとか」
「えぇ~。私はこれで良いよ~……随分前だけど、ライブの後にプロデューサーさんが買ってくれたやつだし」
「あれ!? 初耳だぞ!?」
「そうだっけ? ま、そういう訳で春香さんはこのリボンがお気に入りなのです。もうしばらくは、ね」
「そっかぁ。あ、そろそろレッスン場だな。よし、春香、競走だ!」
「えぇ!? ひ、響ちゃんには勝てないよぉ!」

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「はいさーい! ちは……あれ、居ない」
 レッスン場2階の奥から3番目の部屋、そこは3人がいつも使っている部屋だった。勢い良く扉を開けて飛び込んだ彼女が無人の部屋を見渡していると、背後から聞き慣れた声が聞こえてきた。千早だ。
「おはようございます」
「あ、おはようござ……うわ、千早か、びっくりした。なんだ飲み物買ってたのか」
「夏場の水分補給は大事だから。ところで、春香は? 一緒に来るって言って事務所に残ってたはずなのだけれど」
「ああ、春香なら多分――」
 言うが早いか、レッスン場の階段を息も絶え絶えに上がってくる春香の姿が千早の目に写った。春香はゼーハーと息を吐くと、いつも通りの笑顔を千早に見せた。
「が、頑張ったけどやっぱり響ちゃんには追いつかなかった……えっほっ!」
「春香!? ちょっと、我那覇さん!?」
「じ、自分のせいか!? ごめん春香!」
「なんだなんだ、全員揃ったと思ったら一気に騒がしくなったな」
「あ、プロデューサーさん……ごふっ」
「は、春香ーっ!」
「3人とも、とりあえず部屋入ろう」
 プロデューサーに促され、部屋へ入る。この部屋はこのレッスン場で唯一更衣室と隣接していて、それがこの部屋を毎回使う理由でもあった。今来た2人は持ってきた私物を一旦部屋に起き、練習着を持って更衣室へと向かった。

 更衣室から戻り、レッスンが始まる。今日の練習メニューはユニット曲のダンスレッスンだ。
「た、ほっ」
「ふっ……っ!」
「わっ、とと……」
 三者三様の出来栄え。それらを眺めながら、プロデューサーは適宜指示を出していった。
「春香ー、ターン直後の動きがぎこちないぞ」
「千早ー、動きは良いが顔が固いぞ。とりあえず眉間にしわを寄せないように意識しろ」
「響ー、少しテンポ速いぞ、もう少し落ち着いて動け」
 50分のレッスン、10分の休憩、50分のレッスン……そうして時刻が12時を少し過ぎた辺りで、プロデューサーがレッスンを終了を告げた。
「よし、今日のレッスンはこのくらいでいいだろう。そろそろ次の利用者も来るだろうしな」
「ふーっ、汗がとんでもないぞ……」
「ちゃんと水分補給しろよ。俺はこのままTV局の方に打ち合わせ行くから、3人は適当に昼飯食って事務所に戻っておいてくれ。2時になったら取材があるから、それまでにな」
「了解だぞ」
「お昼、どうしよっか」
「私はどこでも良いけれど……」
「あ、じゃあ自分、2人と行きたいお店あるんだけど良いかな? ここからすぐ近くなんだけど」
「じゃあ、そこにしようか。千早ちゃんもそれで良い?」
「ええ。その前に、早く着替えましょう?」
「あ、そうだね。うへぇ、汗でベタベタだ……」
 3人はプロデューサーを見送ると、話をまとめ更衣室へ向かった。シャワールームでひとまず汗を流し、着て来た服を着なおす。道中で既に汗ばんでいた布地が肌に貼り付くのを感じながら、3人は更衣室を出て店へと向かった。

「へぇ~、お洒落な店だね」
「だろ? この間見つけて来てみたかったんだ」
「でもさっき、我那覇さん「2人と」って」
「え、あ、いや、ひ……そう! 1人じゃ入りくくて!」
 落ち着いた内装のイタリアンレストラン。入り口近くの4人テーブルに座り、3人はメニュー表を広げた。スパゲティやピザの写真がでかでかと載っていて、誰からともなくアレがいいコレがいいと口々に言い合った。
「うー……迷うぞ、カルボナーラか……それともペペロンチーノか……」
「私ナポリタン~♪」
「じゃあ私はたらこスパゲッティにしようかしら」
「あれ!? 二人とももう決まったのか!? うぎゃー! 早く決めないとー!」
「良いよゆっくりで。時間はあるしね」
「……よし決めた! カルボナーラでいくぞ!」
 店員を呼び、注文を伝える。それから3人は、取り留めもない話を始めた。珍しく律子がデスクで寝ていた時に、これまた珍しく伊織がタオルケットを用意していただとか、やよいが貴音と一緒にかさ増し料理について勉強してただとか、雪歩が最近紅茶にも手を出したとか。
 そんなこんなで話に花を咲かせていると、しばらくして店員がスパゲティを運んできた。
「おー、美味しそうだな!」
「それじゃ、いただきます!」
「我那覇さん……クリームがはねそうだけれど」

「いやぁ、美味しかったな!」
「ね。また行きたいなぁ」
「そうね。次はプロデューサーも誘ってみる?」
「あ、良いかも」
 食事を終え、3人は事務所へ向かう。寄り道しようかという話も出たが、意外と食事に時間がかかってしまった。
それもこれも春香がデザートを食べるかどうか悩みあぐねていたせいなのだが、結局パフェに手を出した春香の満面の笑みが素晴らしかったからか、2人も特に何も言わなかった。
「ただいまー!」
「……あふぅ。あ、おかえりなさいなのー」
 事務所に帰った3人を迎えたのは、ソファでまさに今昼寝をしてたであろう寝ぼけまなこの美希だった。
「美希……またソファで寝てたの?」
「千早さん。このソファを侮っちゃイケナイの……! あの律子が「ダメになる」ソファなの……!」
「千早ちゃん、私もこのソファは舐めてかかったら駄目だと思うよ……腰を下ろしたら2秒でダメになるよ……!」
「2人とも、大袈裟なんだから……」
「おや、帰っていたのですね。おかえりなさい」
 美希たちがごちゃごちゃと騒いでいると、給湯室から銀色の髪を揺らしながら顔を覗かせる者が居た。貴音だ。
「たかね」
「響。偶然にも戸棚から「じゃすみんてぃ」なるものを見つけたのですが、一杯いかがでしょうか」
「さんぴん茶だな! もらうぞ!」
「春香、千早、美希。3人も、いかかでしょう」
「あ、じゃあ、いただきます」

「天気予報によると、今日は夏日だそうです。氷を入れて、冷やしてみました。どうでしょう」
「んー、美味しいなぁ。外から帰ってくるとこの冷たさが気持ちいいぞ」
「あっ、冷蔵庫の中からアイス発見!なの!」
「美希! 勝手に食べたら駄目じゃないかな……」
「むぅ……でも律子に見つかって怒られたら面倒だからやめておくの」
「それが良いと思うけど。……四条さん? よだれ出てますけど……」
「……いえ、なんでもありません」
「ただいまー。ふぅ、スーツだと流石にこの暑さは堪えるわね」
「あっ、律子! 冷蔵庫のアイス食べていい!?」
「さんを付けなさい! おかえりくらい先に言いなさいよ……多分それ、小鳥さんが買ってきたやつね。1人1本分あるはずよ」
「よっし食べるの!」
「美希、私は葡萄味が良いです」
「じゃあ自分はブルーハワイ!」
「私はイチゴかな」
「……私は、なんでもいいけれど」
「……美希、私メロンね」
「律子さんまで!? ミキのシゴトじゃないのー!」

「ただいま帰りましたぁ」
「うっうー! たくさん写真撮ってもらいましたー!」
「ん、雪歩とやよいか。おかえりー」
「はわっ、響さんの口の中が青いです!」
「ああ、これ? さっきまでアイスキャンディー食べてたからな。2人の分もあるぞ?」
「あ、じゃあ、もらおうかな……」
「良いんですか?」
「ぴよ子が皆の為に持ってきたらしいからな。食べた後にぴよ子に美味しかったって言っておけば良いと思うぞ。はい、好きなの取るといいぞ」
「ただい……ちょっと、入り口のとこに固まってないでよ」
「伊織ちゃん。ってことは……」
「あぢ~、これじゃ亜美どろどろに溶けちゃうよ~」
「あらあら、そしたら踊りにくいわね~」
「およ? やよいっち何食べてんの?」
「アイスキャンディーだよ。小鳥さんがみんなの分用意してくれたんだって」
「伊織たちも食べるよな? はい、これ」
「外から帰ってきたばっかりなんだから手くらい洗わせなさいよ……」
「……やよいちゃん、私たち」
「……はわっ! 手洗う前にアイスもらっちゃいました!」
「おやおや~? やよいっちは悪い子ですなぁ~」
「ふふ、手洗い場が大渋滞ね~」

「真美参上! ズルい! ズルいぞひびきん!」
「うわ、なんだ真美、帰ってきて突然すぎるぞ」
「真美とまこちんがお仕事してる間にアイスを食べてた奴はみんな敵じゃーい! 密告してくれた亜美隊員は特別に許す!」
「理不尽すぎるぞ!」
「まあまあ真美、ボクたちはこれから食べられるんだから良いじゃないか。ってことで、ボクたちにも頂戴、アイスキャンディ!」
「運がいいな、2人とも。まだ全部の味が残ってるぞ」
「やーりぃ! じゃあボクは……っと、先に選んでいいよ、真美」
「ほほう、ファーストレディーってやつですな?」
「……それを言うなら、レディファーストじゃないか?」
「っていうか、それじゃあボクが男の人みたいじゃないか!」
「んー、真美はこの黄色いのにしーようっと!」
「じゃあボクはイチゴ! へへ、いっただっきまーす」
「真……ものすごい齧りっぷりだな……」

「ふー、まさかこんな日に限って輪ゴムが無くなるなんて……お陰でこのカンカン照りの中買出しにピヨヨヨヨ……」
「ん、おかえりぴよ子。アイスもらったぞ」
「あっ、みんな食べてくれたのね。朝の内に買って冷やしておいたんだけど、買出しに出ちゃったから誰か気づくかなと思ってたのよ」
「まだ何本か残ってるぞ」
「もちろん、プロデューサーさんと社長の分も考えてあるのよ?」
「なるほどなぁ」
「プロデューサーさんはまだ帰ってない?」
「んー、でもそろそろ2時前だし、帰ってくるんじゃないか?」
「ただいまー、っと、音無さん」
「……噂をすれば、だな」
「おかえりなさい、プロデューサーさん。冷たいアイスがありますけど、どうですか?」
「アイス。良いですね……でも、それより先に」
「?」
「響、春香と千早を呼んできてくれ。もう外で記者の人と鉢合わせちゃってな、ちょっと早いけど取材始めよう」
「分かったぞ。おーい、春香ー、千早ー!」
――――――――――――
――――――
―――

 取材を終え、しばしの休憩の後、夜にはTV局へ向かい歌番組の生放送収録。万全のパフォーマンスを終えた3人は、プロデューサーの車で自宅まで送ってもらうところだった。
「良かったんですか? 送ってもらってしまって」
「んー? まあ、俺も直帰だしな。一番遠い春香が一番遅くなっちゃうけど」
「えへへ……そうしたらちょっとだけ2人きりに……」
「春香……顔がにやけてるぞ」
「に、にやけてないよ!?」
「春香、鏡を見てから言った方が良いわ」
「千早ちゃんまでぇ」
「……とかなんとか言ってたら着いたな。響、じゃあまた明日」
「…………」
「響?」
「うぇ? あっ、とと、ちょっとボーっとしてたぞ! また明日ね!」
「大丈夫か。ちゃんと帰って休めよー」
「うん。じゃあ、ばいばーい」
 プロデューサーの車が遠ざかる。遠くへ向かう。
「……帰ろう」

 マンションの階段を登る。響の部屋の前まで来た彼女は、ドアノブに手をかけ、扉を開けた。鍵はかかっていない。彼女も、鍵は持っていない。
「ただいま」
「おかえり」
 彼女を出迎える、彼女と瓜二つの少女。我那覇響。この家の主。
「どうだった? 今日1日」
「楽しかったよ」
 満面の笑みで答える、響と瓜二つの少女。
「そうそう、生放送ちゃんと見てたぞ! ちゃんと踊れてたじゃないか!」
「ふふん、まあ、「自分完璧」だしね?」
「うぎゃー! それ自分のセリフだぞー!」
 同じ顔の少女が2人。しばらく笑い合った後に、響は自分そっくりの少女に向かって落ち着いた声で話した。
「……本当に、今日1日だけで良いのか?」
「うん。というより、実はそんなに時間が残ってないんだ。元々この世界には居ないはずだから」
 響は思い返す。彼女と初めて会ったのは、今から2週間前。最初は、自分の生き写しのような彼女に驚いたものの、彼女の話を聞いている内に、自然と助けになりたいと思い始めた。
 彼女の名前はひびき。本人曰く、こことは違う世界から迷い込んだらしく、1日だけ響と入れ替わってアイドルをしたかったのだと言う。響はそんなファンタジーな話があるのかと思いつつも、彼女の言う別の世界の話や、彼女が響になりきるためにしてきた努力を見て、今日1日、ひびきに事務所へ行かせる約束をしたのだった。
「時間がない、って?」
「多分、ひびきの友達がひびきのことを探してるんだ。ほら、今ひびきは迷子みたいなものだから。そろそろこっちの世界に来て3週間くらいかな。多分、友達のこと見たら響もびっくりすると思うぞ」
「……もうお別れなのか?」
「どのみちここには長く居られないよ。もし記者の人かなんかに感づかれたら、響に迷惑がかかる」
「そうかもしれないけど……」
 家のチャイムが鳴る。響がはっとしてインターホンに出ると、受話器の向こうから聞き慣れた親友の声そっくりの、しかし口調の異なる声が聞こえた。
「我那覇響さんのお宅でしょうか」
「そうだけ……そうですけど」
「私の友人が訪ねている筈なのですが、会わせて頂いてもよろしいでしょうか」
「あ、うん、えっと……ひびき」
 響に言われ、ひびきが扉の鍵を開ける。扉を開けると、その向こうに立っていたのは金髪の女性――たかねだった。
「迎えに来ましたよ、ひびき」

 親友、貴音そっくりの女性を見て、響は息を呑んだ。リビングから玄関の方を覗いているため、2人の会話はよく聞こえない。響は思わず2人に歩み寄っていった。
「……もう、満足ですか」
「うん、大満足だよ。事務所の皆には、気づかれないかちょっとドキドキしたけどな」
「な、なあ2人とも」
「なんでしょう、我那覇響さん」
「うう、その顔でそう呼ばれると違和感があるな……。その、2人は……これからどうするんだ?」
「どうにかなると思うぞ。こっちに来た時も、気づいたらこっちに居たからな」
「私も、ひびきが居なくなっていることに気づいた翌日にはこちらの世界に。根拠はありませんが、私とひびきが揃えば、元の世界に戻ることになると確信していました」
「そうか……」
 寂しげに俯く響に、ひびきは苦笑した。
「そんな泣きそうな顔することないじゃないか~。ひびきと同じ顔で泣かれたら、ひびきまで悲しくなってくるぞ」
「だって、ひびき言ってたじゃないか。ずっとアイドルになってみたかったって。元の世界じゃ、ひびきはアイドルじゃないんだろ?」
「ん、まあね。でも良いんだ。今日1日、すごく楽しかったから。そうそう、ひびきたちの元居た世界にも春香とか千早にそっくりの子は居たんだけど、美希みたいな子は居なかったから新鮮だったぞ」
「ふふ、私も会ってみたかったですね」
「……響、正直言うと、ひびきもちょっと名残惜しいぞ。2週間も泊めてもらって、毎晩色んなコト話して、響と仲良くなれたのにサヨナラだからな」
「……ひびき」
 潤んだ瞳で自分を見つめる響をまっすぐ見つめると、ひびきは背筋を伸ばして右手を差し出した。
「この2週間の響との思い出と、今日1日の事務所のみんなとの思い出があれば、これから何があったってなんくるないさー! さ、お別れは握手にしよう」
「……ああ! 元気でな! ひびき!」
 響とひびき、2人のヒビキが固く手を握り合う。たかねは静かに、それを微笑み見つめていた。
「そうだ、響に……これ」

「はいさーい!」
 事務所に響く快活な声。それに気づいた1人のアイドルが出入口の方へと目を向け、その声の主へ挨拶を返す。
「おはよう、響ちゃん」
「おはよう、我那覇さん」
「げげ、また2人より後だったー! いつもより早く来たのにー!」
「でも今日はプロデューサーがまだ来てないわよ」
「ビリじゃなかったね、響ちゃん」
「うう、喜んでいいのか困るぞ……」
「うっす、おはようございます……っと、おはよう響、春香、千早」
「あ、プロデューサーさん」
「はいさい、プロデューサー!」
「おはようございます」
「もう3人揃ってるのか。じゃ、ちょっと早いけどもうスタジオ向かうか」
 プロデューサーに促され、駐車場へ向かう3人。
(良かった、昨日入れ替わってたのはバレてなさそうだな)
 安堵する響のポニーテールは、青いリボンで結ばれいていた。
「さあ、今日も1日、頑張るぞー!」
「気負い十分だな、響」
「へへ、今日も完璧な自分を見せてやるぞ」
 今日も、我那覇響はアイドルである。

ひとまず完結。夕方頃に余談を1レス投下して〆ます。

読みにくいから
一行下げた方がいいよ

>>15
数レス投下してから気づきました。なんかもう後に引けない状態だったのでそのままにしましたが、余談1レスは行開けます。

元の世界ってどんなところなんだろう。春香の歌が上手かったりするんだろうか?

千早さんが巨乳で家族仲良し

なるほどこれか
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira080556.jpg

なるほどこれか
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira080556.jpg

1レスと言っていましたが、行間開けたら2レスになりそうです。投下して〆たいと思います。

「なぁ、たかね」

「なんでしょう」

 夜の街をあてもなく歩く2人。ひびきは頭の後ろで手を組み、前を向いて歩きながらたかねに話しかけた。

「たかねは、アイドルしたいって、思ってる?」

「多少は思っています。けど、それは叶わぬ願いでしょう」

「どうして?」

「そう思うだけです」

「そっか」

 そんな2人の前に、1台のタクシーが停まる。扉が開き、運転手が話しかけた。

「そこのお2人さん、乗って行かないかい」

「いえ、生憎行く宛はありませんので」

「この世界には、でしょう?」

「……どうしてそのことを」

「まあ乗りなさいな。悪いようにはしないさ」

 2人はしばらく顔を見合わせ、この奇妙な運転手に誘われるがままタクシーに乗り込んだ。

「夜に単調な道路を走ると、途端に眠くなっていけない。お客さんと話してる間は事故なしの自信があるんだけどね」

「貴方は、一体?」

「ただのタクシードライバーさよ。ところで、隣のお客さんはお疲れかい? もう眠っちゃって」

 たかねが隣を見ると、気づかぬ内にひびきはたかねに寄り添って寝息を立てていた。と同時に、たかねも急な睡魔に襲われた。

「疲れたなら眠るといい。目が覚めれば目的地さ。なぁに、お代は取らない、心配しないで」

 意識が遠退き、たかねはそのまま眠りに落ちた。

 気がつくと、たかねは昼下がりの公園のベンチに座っていた。隣には相変わらず寝息を立てる響。タクシーなど影も形もない。

「……はて、夢……だったのでしょうか?」

 そんなたかねの前を横切る、1人の少女。茶色いショートヘアと頭頂部のアホ毛を揺らし、公演名物の鴨池へと近づいていく1人の少女。

 たかねとひびきが、再び「別の世界」に来てしまったと気づくのは、まだ少し後の話であった。

これにてお終いです。

最後の最後に露骨な誤字orz

行間開いたの読みたいな
おじさんだから読めなくて

ニートじゃない
おっさんだ

26 名前:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage] :2015/06/27(土) 16:33:07.29 ID:89L0KZI50
行間開いたの読みたいな
おじさんだから読めなくて

誤爆
ごめんね乙

乙!中々面白かった。読みにくかったけど

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