男「病気のフリして募金で金集めようぜ」女「面白そうね」(23)

男「あ~あ、ラクして金儲けできる方法ないかなぁ」

女「そうねえ」

男「自分は動かず、勝手に金を恵んでもらえるような仕事ってないかなぁ」

女「そんなの、募金ぐらいじゃないの?」

男「!」ハッ

男「そう、それだよ!」

男「たまに、子供の治療費のためだとかいって、寄付を募ってる団体あるじゃん?」

女「駅前にいたりするわね」

男「俺たちもあれやろうぜ!」

女「でもあたしたち、子供なんかいないわよ」

男「俺たちが病気ってことにすりゃいいのさ!」

女「あたしたち、健康だけど」

男「なぁに、病気のフリすりゃいいのさ!」

男「そうすりゃきっと、俺たちに同情したバカどもが次々金を恵んでくれるぜ!」

女「面白そうね、やりましょう!」

男「ゴッホ、ゴッホ、ゴッホ……」

女「ゲッホ、ゲッホ、ゲッホ……」

男「俺たち、病気です!」

女「病気です!」

男「しかも、保険がきかない病気なので、多額の治療費が必要です!」

女「だけど、あたしたちにはとてもそんなお金はありません!」

男「どうか、寄付をお願いします!」

「へぇ、可哀想に……」

「少しだけど……」

「はい、100円」



チャリン… チャリーン… チャリン…



男(おほっ! さっそく!)

女(すごいわ!)

チャリン… チャリーン… チャリン… チャリ… チャリン…



男(マジかよ! 通りがかる人がみんな金を入れてくれるぞ!)

女(まさか、こんなに効果があるなんて思わなかったわ!)

作者の発想力www
安価待ってるぜ

ジャラジャラ… ジャラジャラ…

男「いやぁ~、ビックリしたな!」

男「今日だけで軽く10万円は稼げちまったぞ!」

女「ええ、世の中って善人……もといバカばっかりなのね~」

男「まったくだ!」

男「こりゃ今日だけで終わらす手はないな! 明日も続けていこう!」

女「そうね!」

チャリン… チャリーン… ジャラッ… チャリン… チャリーン…



男(あれから毎日のように、募金活動を続けてるが──)

女(お金を入れる人は決して途絶えることがないわ)

男(明らかに俺らより貧しいだろってヤツも入れてくれるしな)

男(こんなにラクな金稼ぎ方法があるとは、夢にも思わなかったぜ!)

俳優「これ、少しだけど……」パサッ…

社長「早くよくなるといいね」パサッ…

政治家「ほんのわずかであるが……」パサッ…



男「うひゃ~、万札かよ!」

女「すごいわ!」

男「やっぱり有名人ともなると、寄付金もちがうよなぁ」

猫「ニャーニャー」チャリン…

犬「ワンワン」チャリン…

ハト「ポッポー」チャリン…

カラス「カー、カー!」チャリン…



男「動物たちまで! どっかからお金を拾ったり、貴金属を持ってきたりしてるんだな」

女「いい子たちねえ……」ジーン…

ジャラジャラジャラ…

男「うひょ~! こりゃすげえ! もう軽く一千万は越えたぞ!」ジャラジャラ…

女「……」

女「ねえ、あのさ」

男「うん?」

女「もう……この辺にしといた方がいいんじゃない?」

女「だんだん大騒ぎになってきたしさ」

女「こないだなんて、マスコミの取材まで来ちゃったじゃない」

男「なにいってんだよ!」

男「まだ一千万だぞ? これっぽっち、ちょっと贅沢したらすぐなくなっちゃうよ!」

女「まあねえ」

女「でも、この短期間でこれだけ集まるのは、いくらなんでもおかしくない?」

男「きっと、これは……神様が恵まれない俺たちにパワーを与えてくれたにちがいない」

女「神様かぁ……たしかにそうかも」

男「だとしたら、とことん利用しなきゃ損だ!」

男「なあに、いざとなったら金持って逃げりゃいいさ」

女「それもそうね!」

チャリン… チャリーン… ジャリッ… パサッ… チャリン…



男(それからも、金は次々に集まり続け──)

女(ついには──)

大統領「これ、少ないけれど、ワタシのマネーデース!」

女王「わたくしからのせめてもの気持ちです」

国家主席「これで、病気治して欲しいアル」

法王「あなた方に神の祝福があらんことを……」



男「ははーっ!」

女「ありがとうございます!」

……

……

……

チャリン… チャリン… チャリーン… チャリン… チャリン…

チャリーン… チャリ… チャリン… ジャラッ… チャリーン…





男「……」

女「……どうしたの?」

男「お金、もうどのぐらい貯まったかな?」

女「さぁ……いつからか、数えるのもめんどくさくなっちゃったもん」

男「だよな……」

男「あのさ……」

女「なに?」

男「いや、なんつうかさ……さすがの俺もだんだん心が痛んできたよ」

女「!」

男「人の善意につけ込んで、金を恵んでもらおう、だなんてさ」

男「俺、決めたよ! とりあえず集めた金は、できる限り返却するなり」

男「あるいはちゃんとした団体に改めて寄付しよう!」

女「うん!」

男「そして俺たちは……やっぱりマジメに働こう!」

女「そうね! それが一番よね!」

その頃──

宇宙人A「発射したか?」

宇宙人B「おう、バッチリよ!」

宇宙人B「大部分は地球とかいう星に突入する時に燃え尽きちまうだろうが」

宇宙人B「いくらかは二人にダイレクトに届く計算になってる」

宇宙人B「だけどあの二人、うまくキャッチできるかな?」

宇宙人A「遠く離れた我々を動かすほどの強烈な思念を放てる二人組だ」

宇宙人A「黄金の隕石くらい、わけなくキャッチできるだろうさ」

宇宙人B「そりゃそうだな」







END


実に星新一的である

スケールの大きい話だったな

スケールでかいな
取り敢えず乙

乙!

あれ?バッドエンドでは…?

おつおつ

そう言えば、プラチナ隕石が来るとかニュースがあったな…

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