箒「もしも一夏が、私にぞっこんだったら!」(131)




 その日は、夜風が気持ち良かった。 やっとムシムシした空気が無くなり、

心地よい気候に移りつつある。

 私は、部活動の後、虫の音を聞きながら月を愛でようと、is学園の裏にある

雑木林奥の丘を目指した。



箒「・・・・・?」


箒「なんだこれは?」

箒「・・・・・・・・・・・」

箒「・・・どう見ても電話ボックスだが」

箒「どうしてこんな所に?」

箒「・・・・・・」

箒「・・・そういえば幼い頃、見ていたアニメに こんな道具があったな」 クスッ

              キィ・・・ パタン ・・・ガチャ

箒「もしも一夏が、私にぞっこんだったら!」

箒「・・・なんてn」

              ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリンッ!!

箒「・・・!?」


            バッ・・・ バタンッ!!

箒「くっ・・・なんなんだ!?」

箒「・・・・・・・・・・・」

箒「・・・・・・」

箒「・・・帰るか」




              -翌日・休日の早朝・is学園寮・箒の部屋-

              コン コン

一夏「箒、起きてるか?」

箒「・・・!? 一夏か?」

箒「なんだ? こんな朝早く?」

一夏「・・・? 何って・・・朝稽古する約束していただろう?」

箒「・・・それは、そうだが」

箒「お前は、休日の朝稽古には、乗り気じゃなかったじゃないか・・・」

一夏「・・・? 何言ってるんだよ・・・」




一夏「お前との大切な 二人の時間を ないがしろにするわけ無いだろ?」



箒「・・・!!??」 ///

箒「なっ、何を言ってるんだ! 朝っぱらから!」 ///

一夏(・・・? 箒・・・今日は、元気がいいな?)

一夏「悪い、起きているのならいいんだ。 先に道場に行ってるからな」

箒「あ、ああ・・・」 ///

箒「・・・・・・・・・・」 ///

箒(い、いったい、どうしたんだ? 一夏の奴・・・) ///




              -同・is学園・道場-

              パンッ! パパンッ! パンッ!

箒「はあっ!」 パシンッ!!

一夏「ぐうっ!」

           スルッ・・・バッ(面をとった音)

箒「・・・まだまだ、脇が甘いぞ、一夏?」 フフン

一夏「・・・!?」

一夏(・・・今、笑った)

箒「? どうした? 一夏?」

一夏「! い、いや、何でもない・・・」

箒「?」


一夏「・・・箒」

箒「なんだ?」

一夏「そ、その、なにかいい事でもあったのか?」

箒「・・・? いや、特にないが?」

一夏「そ、そうか・・・」

箒「・・・・・・・?」


一夏(・・・どういう事だろう?)

一夏(アレ以来、笑顔を見せた事なんて 一度も無かったのに・・・)

一夏(・・・・・・・・・・・・)

一夏(強いて言うなら・・・付き合い始めた頃の箒みたいだ)

一夏(・・・・・・・・・・・・)


一夏「・・・箒、そういえばこの後、予定はあるか?」

箒「普通に部活動だが?」



一夏(・・・!? 部活動だと!?)

一夏(・・・・・・・・・)

一夏(やっぱり・・・おかしい)


箒「一夏?」

一夏「・・・ああ、すまん」

一夏「もしヒマなら・・・デートでも どうかと思ってな」

箒「・・・・・・・」

箒「はあっ!?」 ///

一夏「・・・ほ、箒?」


箒「い、今、何と言ったのだ!? デートと言ったか!?」 ///

一夏「お、おう・・・」

箒「デ、デートというのは、あ、あれか? こ、恋人同士がするアレの事か!?」 ///

箒「実は出・糸でした! なんてオチじゃないのか!?」 ///

一夏「・・・なんだよ、その意味不明なオチは? というか、それ以外の何があるんだよ?」

箒「・・・・・・・・・」 ///

一夏「・・・・・・? 箒・・・さん?」

箒「・・・・・・・・行く」 ///

箒「絶対、行く!!」 ///




             -午前中・ショッピングモール-

箒「・・・・・・・・・」 ///

一夏「・・・箒?」

箒「な、なんでもない・・・」 ///



箒(・・・いったい、何なんだ? わ、私は緊張で い、今にも押し潰れそうなのに) ///

箒(一夏め・・・。 ずい分と、慣れている感じじゃないか・・・) ///



一夏(・・・こりゃいよいよもって、初めの頃の箒だな) クス


一夏「さて、どこに行こうか?」

箒「そ、そうだな・・・」 ///

箒「・・・・・・」 ウ~ン・・・///

箒「と、とりあえず、服が、み、見たいかな・・・」 ///

一夏「よし、服な」


一夏「箒、これなんて似合いそうじゃないか?」

箒「私は、丈の長いスカートは好きじゃない・・・」

一夏「・・・あ、そうだったな。 動きにくいから駄目なんだっけ・・・」

箒「・・・?」



箒(・・・あれ? どうして、その事を知っている?)

箒(無意識に話していた・・・か?)

箒(・・・まあいいか)


箒「一夏、これとこれ、どっちが良さそうだ?」

一夏「そうだな・・・そっちの空色のブラウスかな?」

箒「ほう・・・こっちの緑のトレーナーは、似合わないか?」

一夏「いや、そんな事は無いと思う。 強いて言えば、ってだけだから」 ニコ

箒「そ、そうか・・・」 ///

一夏「両方とも試着してみろよ。 俺が見てやるから」 ニコ

箒「う、うむ。 そ、それじゃあ・・・」 ///

              シャッ・・・ ゴソゴソ・・・ シャッ・・・

箒「・・・どうだ?」 ///


一夏「うん、ブラウス、いい感じだ」

箒「うん、私も良いと思う」 ///

箒「よし、着替える、ちょっと待っててくれ・・・」

             シャッ・・・ ゴソゴソ・・・ シャッ・・・

箒「今度は、どうだ?」


一夏「おう、似合ってるぞ。 でも、やっぱり俺は、ブラウスの方が好きかな」

箒「そうか・・・」



箒(私は・・・こっちの方が、好きなんだけどな)



一夏「箒は、トレーナーの方が 気に入ってるのか?」

箒「えっ?」


一夏「あくまで俺の意見だから。 それにさっきも言ったけど」

一夏「強いて言えば、ってだけだし。 両方とも よく似合ってるぞ?」 ニコ

箒「そ、そうか・・・」 ///



箒(ど、どうするかな) ///


一夏「結局、両方買ったのか」

箒「ああ、こういうのは一期一会だからな・・・」

箒「せっかく気に入ったのだし、思い切った」 クス

一夏「良いと思うぞ」 クス

            アハハ・・・

一夏「・・・さて、少し早いけど、昼にするか?」

箒「うむ、そうだな」

一夏「どこで、何を食うかな・・・?」

箒「ふむ・・・うどんは、どうだろう?」

一夏「そうだな、軽いものがいいな」




              -昼前・ショッピングモール内レストラン-

箒「天ぷらうどんを」

一夏「俺は、かき揚げの天ぷらうどんを」

             カシコマリマシター

箒「・・・今日は ありがとうな、一夏」

一夏「ふふ・・・どういたしまして」 クス

一夏「俺も箒が喜んでくれて・・・うれしいよ」 ニコ

箒「・・・っ」 ドキ///

箒「・・・・・・」 ///


箒(・・・なんだろう) ///

箒(本当に付き合っているみたいだ・・・) ///

箒(・・・・・・・・・) ///

箒(・・・あ)

箒(もしかして、あの電話ボックス・・・!?)

箒(ほ、本物だったのか!?)

箒(・・・・・・)

箒(・・・じゃあ、この一夏は)

箒(私に・・・ぞっこん・・・なの・・・か?) ///

箒(・・・・・・) ///


箒「・・・なあ、一夏」

一夏「ん?」

箒「その・・・私達は、つ、付き合っているんだよな?」

一夏(・・・!)

一夏「ああ、もちろん」 ニコ

箒「そ・・・そうだよな、う、うん」 ///



箒(や、やっぱり!) ///


一夏(・・・箒)

一夏(もしかして・・・)

一夏(記憶を無くした・・・?)

一夏(・・・・・・・・)

一夏(だとしたら・・・)

一夏(その方が、箒の為かもしれない)

一夏(・・・・・・)

一夏(とにかく、今は様子を見よう・・・)


             アリガトウ ゴザイマシター

箒「うむ、美味かった」

一夏「ああ、一心地ついたな」

一夏「箒、この後はどうする? 映画でも見るか?」

箒「う、うむ。 それで構わないぞ?」

一夏「よし。 シネコンに行こう」


一夏「どれどれ・・・。 アクション物に ヒューマンドラマ・・・」

一夏「戦争物に、恋愛物・・・。 どれにする?」

箒「一夏に任せる・・・。 私は、そういう物に疎いから・・・」

箒「私が見ても 楽しめそうな映画を選んでくれないか?」

一夏「そうか・・・それじゃあ・・・」

一夏「これにするかな」


箒「アクション物か」

一夏「おう、面白いって評判だ」

箒「ふふ、楽しみだな」

一夏「ああ」



一夏(・・・・・・)

一夏(やっぱり、覚えてないんだな・・・)


        ソンナ・・・、ボクニ・・・ボクニ ナニガ デキルッテ、イウンダヨ!!

        オマエハエラバレタ・・・。 ソレヲウケイレロ!!

箒「・・・・・・・・・・」

一夏「・・・・・・・・・・・」

        イヤダ・・・イヤダ! ドウシテ、ボクバカリ コンナメニ!

        サイノウガアルカラダ! オオクノニンゲンハ、ソレヲノゾミナガラ

        サワルコトスラ ユルサレナイ! ソレハ、オウノシカクナノダ!!

箒「・・・・・・・・・・」

一夏「・・・・・・・・・・・」


        オネガイ・・・イキテ・・・・・・・。 アタシノ・・・ゼンブ、アゲルカラ・・・

        ・・・ドウシテ・・・・・・ドウシテ、コンナコトニ!

        ゴメン・・・ボクガ・・・ボクガ、マチガッテタ・・・

箒「・・・・・・・・・」 グスッ

一夏「・・・・・・・・・」

        ボクガ、ゼンブアツメル。 ニクシミモ、カナシミモ、ナニモカモ!

        ボクガ、オウニナル!!

箒「・・・・・・・・・」

一夏「・・・・・・・・・」


        イヤダ! モウボクハ、アキラメナイ! カノウセイガナンダ!

        ウオオオオオオオオオッ!!

箒「・・・・・・・・・」 ハラハラ

一夏「・・・・・・・・・」

        コレデ・・・イインダヨネ。 コレガ、キミノノゾンダ

        セカイ ナンダカラ・・・

箒「・・・・・・・・・」

一夏「・・・・・・・・・」




箒「なんだ! あの主人公は!」 プンプン!



一夏「ハハハ・・・」

箒「ヘタレで意気地なしで・・・なすがまま行動していたくせに」

箒「ここぞという時に、徹底して逃げ出して ばかりいた!」

箒「ここまで腹の立つ主人公は、初めてだ!」 プンプン!

一夏「最後は、頑張っていたじゃないか」

箒「む・・・。 確かにそうだが・・・」


箒「それにしたって幼馴染の扱いが、あんまりじゃないか!」 プンプン!

箒「主人公の気持ちを知りながら、健気に尽くしていたのに・・・」

箒「あんな最後は、酷すぎる!」 プンプン!

一夏「ああ、それについては反論できないな」

一夏「生き延びて欲しかったキャラが、全部死んでしまったし・・・」

箒「まったくだ!」

箒「生き延びたのはビッチに、裏切り者に・・・」

箒「とにかく、主人公を利用したか、ひどい目に合わせた連中ばかりだ!」 プンプン!

一夏「いくら主人公が覚醒して、心が広くなったと言っても」

一夏「あれは寛容になりすぎだよな・・・」


箒「まったく・・・どうしてくれるんだ、一夏!」

箒「私は、気分が悪くなったぞ!」 イライラ

一夏「ハハ・・・すまん。 評判なんて当てにならないな」

一夏「じゃあ・・・体を動かして、うさを晴らすか」

箒「ふむ・・・それには賛成だ」

一夏「よし、ボウリングなんてどうだろう?」

箒「うむ。 いいぞ!」




             -午後・ショッピングモール内・ボウリング場-

             ゴロ ゴロ ゴロ ゴロ・・・ ガッコーン!

一夏「くあっ! 取り切れなかったか・・・!」

箒「惜しかったな」 クスッ

一夏「これで150にも届かないな・・・」

箒「なかなかの成績じゃないか」

一夏「箒は、180オーバー確定だろ・・・」

箒「ふふん♪」

一夏「くっ・・・!」

一夏「箒! もう一回! もう一回、勝負だ!」

箒「ああ、構わんぞ?」 クスッ


箒「では・・・」 スっ・・・

一夏「箒!」

箒「? なんだ?」

一夏「愛してる・・・」 キリッ☆

箒「!!?」 ドキッ///

箒「なななな、何を、突然!?」 ///

一夏「ほら、早く、投げろよ?」

箒「くっ・・・!」 ///

箒「・・・・・・ふんっ!」 ゴロ ゴロ ゴロ ゴロ・・・

箒「ああ・・・・・・」 ガター・・・


箒「一夏! 貴様、ずるいぞ!」 ///

一夏「なんでだよ?」 クスクス

箒「! あ、あんな事を、こ、公衆の面前で言うなんて!」 ///

一夏「おう、それは すまなかった」

一夏「ぜひ、仕返し してくれ?」 ニコ

箒「!?」 ///

箒「くっ・・・よ、よし、やってやる!」 ///


一夏(・・・ふふふ、できるかな?)



一夏「・・・・・・・」 スっ・・・

箒「!・・・あ、あいっ・・・・あいし・・・」 シドロ モドロッ///

一夏「・・・!?」 ゴロ ゴロ ゴロ ゴロ・・・

一夏「あ・・・・・・」 ガター・・・


箒「!」

箒「・・・そら! 見たことか!」 フフン!

一夏「・・・・・・」



一夏(顔を真っ赤にして必死な箒・・・可愛いすぎる) ///

一夏(反則だろ、こんなの・・・) ///


箒「どうだ! 三戦全勝!」 ドヤ!

一夏「・・・負けました。 完敗です・・・」 クスン・・・

一夏「おまけに肩は、痛いし・・・」 シクシク・・・

箒「情けない・・・。 普段から鍛えていないからだ」

一夏「ごもっともでございます・・・」


箒「・・・もう、夕方か。 日が落ちるのが早くなって来たな」

一夏「そうだな」

一夏「・・・・・・・・」

一夏「箒、良かったら・・・少し歩かないか?」

箒「・・・!」

箒「・・・う、うむ、構わないぞ、私は」 ///

一夏「そうか・・・」




             -同・ひとけのない公園-

一夏「おっ、ベンチがある。 座ろうぜ?」

箒「・・・あ、ああ」 ///



箒(こ、こ、これは・・・! も、もしかして・・・) ///

箒(・・・ふ、雰囲気もあるし、や、やっぱり・・・) ///

箒(こ、心の準備がっ・・・!) ///



一夏「・・・箒?」

箒「!? ・・・と、す、すまない。・・・なんでもない」 ソソクサ・・・ストン///

一夏「・・・・・・・・・・」


一夏「箒、今日は、ありがとうな」

箒「い、いや、そんな事無い。 私も楽しかった」 ///

一夏「映画は、ミスったけどな・・・」 クスッ・・・

箒「・・・・・・・」

箒「・・・ふふ、確かに」 クスッ

一夏「・・・・・・」




 ・・・言葉は、無かった。 私の右隣に座る一夏は、私の肩に手をやり

そっと自分の方へ抱き寄せる。

手馴れている感じがした。



 私の緊張は、限界を突破していて・・・ブルブルと無様に体を震わせていた。

そんな私を察してか、一夏は急がなかった。




 一夏の肩に頭を載せ・・・私は、どこともなく虚空を眺めていた。

一夏の呼吸音が聞こえる。 一夏の体温を感じる。 一夏の匂いがする・・・。

私は・・・いつしか、安心していた。



 ころあい、と見たのか。 一夏が、私の名を呼んだ。

・・・私は、ゆっくりと一夏の方へ顔を向けると、彼の顔を見ながら

静かに目を閉じた。




 それは、聞いていたのとは、少し違っていると思った。

「甘酸っぱい味」なんてものじゃない。



 もっと・・・優しくて、体中が溶けそうになる様な・・・、そんな「感覚」しかない・・・。

適当な言葉が、思いつかない・・・。



 一夏の感情すら、そこから流れてくるような気がした・・・。


箒「・・・・・・・・」 ///

一夏「・・・・・・・・」 ///

箒「・・・・・・・・」 ///

一夏「・・・・・・・・箒」 ///

箒「・・・・・・・・」 ///

一夏「・・・・・・・箒?」

箒「!? ・・・な、なんだ?」 ///

一夏「・・・大丈夫か?」 クスッ

箒「・・・う、うむ。 こ、これぐらいなんでもない」 ///


一夏「・・・・・・・・」

一夏「箒、聞きたい事があるんだけど・・・」

箒「?・・・なんだ?」

一夏「・・・違っていたら謝るけど」

一夏「もしかしたら・・・記憶を無くしているんじゃないのか?」

箒「!?」

箒「・・・・・・・どうして、そう思う?」

一夏「今日の箒、いつもと違っていたからな・・・」

一夏「確信したのは、一度見た映画を見て、普通だった事だ」

箒「・・・・・・・・・・」


箒(・・・私は、記憶を無くしたわけではないが・・・)

箒(私の事情を説明するのも手間だな・・・)

箒(・・・・・・・・・)

箒(よし・・・ここは話を合わせよう)


箒「・・・そうか。 バレていたのか」

箒「私は、相変わらず隠し事が下手だな・・・」

一夏「ふふ・・・言えてる」

一夏「今のキスも、初めて、と言ってる様だったしな」 クス

箒「・・・なっ!?」 ///

一夏「ハハハ・・・」


一夏「・・・まあ、冗談はこれくらいにして、だな・・・」

一夏「・・・箒」

箒「うん?」

一夏「無くした記憶を、取り戻したいと思うか?」

箒「・・・・・・?」

箒「それは・・・そうだろう? 普通・・・」

一夏「・・・・・・・・・・」

一夏「・・・・・・・だよな」


一夏「でもな・・・箒。 あえて言う」

一夏「止めておくんだ・・・」

箒「!?」

箒「・・・なぜだ?」

一夏「・・・・・・・」

一夏「お前にとって・・・辛いことだからだ」

箒「・・・・・・」


一夏「きっと・・・」

一夏「これから先、疑問に思う事がたくさんあるだろう」

一夏「誰かが居ないとか、ここが違う、とかな・・・」

一夏「でも、それらすべてを無視するんだ」

一夏「・・・・・・」

一夏「頼む・・・」

箒「・・・・・・・・・・」



箒(・・・いったい、何があったんだ?)




             -翌日の朝・is学園・1組教室-

箒「・・・・・・・・・・・・・・・」

箒(居ない・・・)

箒(セシリアが、ラウラが、シャルロットが・・・)

箒(・・・・・・・・・)

箒(しかし・・・シャルロットの席には人が居るが)

箒(セシリアとラウラの席は、空席のまま・・・)

箒(・・・・・・・・・)

箒(一夏の話し方から推測すると・・・)

箒(・・・・・・嫌な予感しかしない)




             -昼休み・食堂-

箒「・・・・・・・・・・・」 モグモグ・・・

箒(気のせいか・・・)

箒(クラスの皆も 私に対して、よそよそしい感じがした)

箒(・・・・・・・・・・)

箒(・・・私は、何かしたのだろうか)

一夏「・・・箒」

箒「・・・!」

箒「一夏か・・・」


一夏「・・・・・・・・・」

一夏「つ、次の授業、なんだっけ?」

箒「・・・・・・・」

箒「・・・現国だ、一夏」

箒「それに、私は大丈夫だ。 心配するな」 ニコ

一夏「・・・そうか」




             -数日後・放課後・is学園・図書室-

箒(・・・・・・・・・・・・)

箒(・・・とは言うものの、やはり気になる)

箒(一夏は、あから様に話題をそらそうとするし・・・)

箒(合同授業の際に分かったが)

箒(鈴と千冬さんまでいないなんて・・・)

箒(・・・・・・・・・・・・)


箒(図書室の端末からなら・・・行けるだろうか?) ピピ・・・ピ・・・ピ・・・ピ

箒(・・・・・・・・・・・・) ピ・・・ピ・・・ピピ・・・ピ

箒(・・・!!)

箒(アクセスできた・・・!)

箒(・・・全学園生徒の名簿)


箒()

箒(・・・抹消!?)

箒(・・・・・・・・・・・)

箒(全員・・・在籍を抹消されている)

箒(・・・・・・・・・・・)

箒(・・・・・・一夏)

支援、願います。

紫煙

支援サンクスです。




            -同・is学園寮・一夏の部屋-

            コン コン

一夏「は~い」 ガチャ・・・

一夏「!」

箒「・・・一夏」

一夏「箒・・・」


一夏「・・・ほら、お茶」

箒「・・・ありがとう、一夏」 ズズッ・・・

箒「・・・ふう」

一夏「・・・・・・・・・・」

一夏「・・・それで? 何の用かな?」

箒「・・・・・・・・」

箒「・・・わかって いるのだろう?」

一夏「・・・・・・・・」


箒「一夏・・・お前が、私の為を思って」

箒「過去を探るな、と言ってくれた事は 感謝している」

一夏「・・・・・・・・」

箒「・・・でも、やはり気になって仕方ないんだ」

箒「・・・・・・・・・」

箒「頼む」

箒「教えてくれ、頼む・・・!」

一夏「・・・・・・・・」


一夏「・・・・・・酷い状態だったんだ」

箒「・・・え?」

一夏「あの時以来、箒は目に見えて元気が無くなっていった・・・」

一夏「食事もほとんど取らなかったし、いつも泣き腫らしていた」

一夏「・・・かわれるものなら、俺がかわってやりたかった」

箒「・・・・・・・・・・」


一夏「それでも最近は少しずつ持ち直して、良くなっていると思ってた」

一夏「・・・・・・そんな時」

一夏「お前は、記憶を無くして、劇的に元気になっていたんだ」

一夏「・・・嬉しかった」

箒「・・・・・・・・・・」


一夏「だから・・・俺は怖い」

一夏「また、元の様に、生気を失う事になるんじゃないかって・・・」

一夏「出来るなら、あんな箒は・・・もう、見たくない」

箒「・・・・・・・・・・」

一夏「今からでも、遅くない。 考え直してくれないだろうか?」


箒「・・・・・・・・・・」

一夏「・・・・・・・・・・」



箒「一夏・・・」

箒「余程・・・恐ろしい事、なのだろうな・・・」

箒「私にとって・・・」


箒「・・・でも、一夏が居てくれるのだろう?」

一夏「・・・!」

箒「それなら・・・きっと私は大丈夫だ」

一夏「・・・・・・・・」

箒「一夏が迷惑に感じるのなら・・・諦める」

一夏「・・・・・・っ」

箒「・・・・・・・・・」


一夏「・・・・・・・・」

一夏「わかった・・・」

箒「・・・!」

一夏「・・・・・・どこから話すかな」

一夏「・・・・・・・・・」

一夏「まず、シャルロットから始めるか」

箒「・・・・・・・・・」

一夏「シャルロットが、女の子だったのに 男装して転入して来た事は」

一夏「覚えているだろうか?」

箒「ああ・・・」


一夏「・・・俺は、彼女に同情しつつも 産業スパイである事実を見過ごせず」

一夏「千冬姉に相談して・・・できるだけ穏便に強制送還してもらった」

箒「・・・・・・・・・」

箒(この一夏は、is学園特記事項を使わなかったのか・・・)

一夏「・・・・・・・・・そして」

一夏「ラウラの事件が起こった・・・」


一夏「ラウラの事は?」

箒「・・・転校初日に一夏を平手打ちしてたな」

一夏「そうだったな・・・」

一夏「理由は分からずじまいだけど、ラウラは俺を嫌っていた」

一夏「・・・いや、憎んでいた」

箒「・・・・・・・・」


一夏「ある日、鈴とセシリアが、ラウラに一方的にヤられていた」

一夏「俺は、二人を助けに入ったけど・・・」

一夏「逆にコテンパンにされてしまう」



箒(・・・私の方は、あの時、シャルロットも助けに入ったな)


一夏「はっきり言って、殺されると思った」

一夏「・・・そこに、千冬姉が助けに入ってくれたんだ」

箒「・・・・・・・」

一夏「・・・だが、ラウラは、何かに火が付いていた」

一夏「尊敬しているはずの千冬姉の制止を振り切って、俺に止めを刺そうとした」

箒「・・・・・・・・・・」

一夏「もちろん千冬姉は、ラウラを止めた。 力ずくでな」

一夏「だけど・・・ラウラは暴走してしまう」

箒「・・・・・・・・・・」


一夏「千冬姉は、それをも切り伏せたけど・・・」

一夏「あいつは・・・ラウラは・・・何度も立ち上がっては、俺を殺そうとした」

一夏「そして、千冬姉もラウラが立ち上がる度に 切り伏せ続けた・・・」

箒「・・・・・・・・・・」


一夏「・・・どのくらい時間が経ったのか・・・」

一夏「突然・・・ラウラは、パタリと倒れた」

箒「・・・・・・・・・・」

一夏「・・・ラウラは死んでいた」

一夏「直接の死因は、折れた肋骨が 肺に刺さった事による 窒息死だそうだが・・・」

一夏「体中の骨が何十箇所も折れていて・・・酷い状態だったらしい」

一夏「千冬姉がラウラを救おうとして、何度も峰打ちを繰り返したせいだとか・・・」

箒「・・・・・・・・・・」


箒「・・・千冬さんが学園に居ないのは、そのせいか?」

一夏「いや、違う・・・」

一夏「ラウラの事は、『事故』として処理されたから」

一夏「表向きは、お咎めなしだった・・・」

一夏「もっとも・・・本人は相当ショックを受けていたけどな」

箒「・・・・・・・・・・」




一夏「・・・さて、ここから いよいよ佳境に入る」



箒(・・・! ここから、だと!?)

一夏「・・・覚悟はいいか?」

箒「・・・あ、ああ」

一夏「・・・よし」


一夏「ラウラの事件の後・・・」

一夏「福音事件が発生した」

一夏「覚えているか? 箒?」

箒「臨海学校の時だったな」

一夏「そうだ・・・」

一夏「当初の作戦は、俺と箒で福音を仕留める手はずだった」

一夏「ふふ・・・俺も箒も、息巻いていたっけ・・・」

箒「・・・・・・・・」


一夏「でも・・・、俺は自分のドジのせいで、死にかけてしまった」

箒「・・・お前は、悪くない」

箒「私の方こそ、専用機を与えられて・・・浮かれていた」

一夏「・・・・・・・・・」


一夏「・・・ここから先は、お前から聞いた話だ」

箒「う、うむ」

一夏「・・・お前は、先の戦いで負傷した 俺のかたきを打つ為」

一夏「千冬姉に無断で、しかもたった一人で福音に向かおうとした」

箒「・・・!?」

箒(あの時、私は・・・一夏の傍にいる事も、何かをする事も出来ずにいたはず・・・)

一夏「・・・そんな時、二人の協力者が現れた」

一夏「鈴とセシリアだ・・・」


一夏「二人は、こう言ったそうだ」



鈴「別にあんたの為じゃない」

鈴「あんたが死ぬと、一夏が悲しむ・・・それが嫌なだけよ」

セシリア「それに・・・ドイツの代表候補生から救っていただいた 御恩を」

セシリア「わたくし達は、一夏さんに お返し していませんしね」



箒「・・・!!」


一夏「・・・お前は、心から二人に感謝したそうだ」

一夏「・・・・・・・・・・・」

一夏「・・・・・・でも」

一夏「・・・それが」

箒「・・・・・・・・・・」



一夏「二人の・・・最期の言葉になった・・・」



箒「!!!!!!!!」


一夏「・・・福音との戦いは熾烈を極め・・・」

一夏「二人共シールドエネルギーが尽きかけていたのに」

一夏「上空1000m付近で戦い続け・・・」

箒「・・・・・・・・・・」

一夏「isが強制解除され・・・そのまま落下・・・」

箒「・・・!!!!」


一夏「俺が、白式の力で怪我を治し、駆けつけた時に見たものは」

一夏「箒が半狂乱になって戦っている姿だった・・・」

箒「・・・・・・・・・・・」

一夏「その時、俺は、よく分かっていなかったので」

一夏「とにかく箒をなだめて、目の前の敵を殲滅させる事に集中させた・・・」

一夏「事の真相を知ったのは・・・福音を倒した後だった」

箒「・・・・・・・・・・・」


一夏「その直後、俺たちは 学園の教師部隊と共に、二人を捜索したけど」

一夏「鈴は遺体で見つかり・・・セシリアは・・・行方不明のまま」

一夏「死亡認定された・・・」

箒「・・・そう・・・だったのか」

一夏「・・・大丈夫か? 箒?」

箒「・・・・・・・・・・・・・」

箒「・・・ショックを受けている」

一夏「・・・そうか」


一夏「本当は謹慎と減俸処分で済むはずだったんだけど・・・」

一夏「千冬姉は、その責任を取って辞職した」

箒「・・・!」

一夏「まわりは、俺を含めて、みんな止めたけどな・・・」

一夏「千冬姉の決意は、硬かった」

箒「・・・・・・・・・」




一夏「・・・これですべてだ」

箒「・・・・・・・・・・」



箒(・・・きっと、こっちの私は)

箒(とてつもない自責の念に囚われたのだろうな・・・)

箒(・・・・・・・・・・)

箒(一夏が話したがらなかったわけだ・・・)


箒「・・・・・・・・」

箒「一夏」

一夏「うん?」

箒「ありがとう。 真実を話してくれて」

一夏「・・・・・・・・」

箒「・・・だけど」

箒「もしかしたら・・・また私は、迷ってしまうかもしれない」

箒「だから・・・頼まれてくれないだろうか?」

一夏「!・・・うん」

箒「・・・その時は」


箒「優しく・・・抱きしめて欲しい」 ///



一夏「・・・・・・・・・」

             ガバッ・・・

箒「!!!???!?!!?」 ///

一夏「ああ・・・! わかった・・・!」



箒(こ、こら、い、今は・・・違っ・・・) アタフタ///


一夏「・・・箒、覚えているか? 教室で再会した時の事を」

箒「・・・えっ?」

一夏「俺・・・びっくりしたよ」

一夏「幼馴染の箒が、こんなに綺麗になっていた・・・」

箒「・・・!!!」 ///

一夏「・・・ふふ、そういえば、男女なのに同室にされてお互いびっくりしたよな?」

箒「・・・・・・う、うむ」 ///

一夏「最初は、身構えていたけど 昔の話や、近況報告で盛り上がって」

一夏「いつの間にか打ち解けていた・・・」

箒(・・・そこは、違うな)


一夏「・・・再開して数日だったけど、俺、思い切ってお前に告白したら」

一夏「okがもらえて、信じられないくらい嬉しかった・・・」

箒(・・・そ、そんな早い段階で!?) ///

一夏「・・・・・・でも」

箒「・・・?」

一夏「千冬姉もそうだけど・・・箒も俺を・・・」

一夏「『守るべき者』と認識していた」

箒「・・・!?」

箒「そ、そんなことは無い!!」

一夏「・・・・・・絶対に無いか?」

箒「ああ!」


一夏「そうか・・・」

一夏「気のせいなら謝るけど」

一夏「箒が・・・俺を頼ってくれたことは、あるか?」

箒「・・・え?」

一夏「そりゃ、デートとか、一緒に過ごした事は、たくさんあるけど・・・」

一夏「俺が箒に『何か』を頼られた事は 一度もなかった」

一夏「勉強も、isも、料理も・・・何一つな」

箒「・・・・・・・・・・・」

箒(・・・そう言われてみると・・・確かに・・・)


一夏「もちろん・・・ただのわがままかもしれない」

一夏「頑張って、実力をつけて、それからだ、とも思った」

一夏「しかし・・・現実は待ってくれなかった」

一夏「福音の時も、その後の箒も・・・俺は・・・守る事が出来なかった・・・!」

箒「一夏・・・」


一夏「・・・だけど」

一夏「今、箒は、俺に頼み事をしてくれた・・・!」

箒「・・・!」

一夏「俺は・・・嬉しい・・・箒」 グスッ・・・

一夏「俺を・・・初めて・・・頼ってくれた・・・!」 ギュッ・・・

箒「・・・・・・・・・」


一夏「・・・どんどん頼ってくれ、箒」

一夏「どこまで役に立てるか 分からないけど・・・」

一夏「お前が笑ってくれるなら・・・」

一夏「どんな重みも、辛さも、痛みも・・・俺が背負うから」

一夏「背負ってみせるから・・・!」

箒「一夏・・・」


箒(・・・伝わる)

箒(伝わってくる)

箒(一夏の・・・気持ちが・・・)

箒(とても・・・暖かい・・・)

箒(・・・・・・・・・・)

箒(・・・いや)

箒(この一夏の想いを受けるべきなのは・・・)

箒(私では無い・・・)

箒(・・・・・・・・・・)




             -夜・is学園寮・箒の部屋-

箒(・・・・・・・・・・) カリカリ・・・

箒(・・・・・・・・・・) カリカリ・・・

箒(・・・・・・・ふむ)

箒(・・・こんなものか)

箒(・・・・・・・・・・)

箒(読んでくれるといいが・・・)




             -深夜・is学園裏・雑木林奥-

箒「・・・・・・・・・・」 ザッ ザッ

箒「・・・確か、この辺り」 ザッ ザッ

箒「・・・!」

箒「あった・・・」

箒「・・・・・・・・」




 私は、電話ボックスに入ると、受話器を取ろうとした。



箒(・・・・・・・・・・・)

箒(・・・どうして私は、もっと早く こうしなかったのだろう?)

箒(・・・・・・・・・・・)

箒(好奇心に負けた・・・)

箒(人の性・・・)

箒(いや・・・業、と言うべきか・・・)

箒(・・・・・・・・・・・)




 私は・・・止めていた手を動かして受話器を取った。



箒「・・・・・・・・・」

箒「元の世界に・・・もどれ!」

             ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリンッ!!

箒「・・・・・・・・・」

             キィ・・・パタン

箒「紅椿!」 スウウウウウウンッ!


 私は、isを起動すると電話ボックスを持ち上げ、湖の中央まで運び

それを思い切り放り投げた。



箒「カラワレ! アマヅキ!」 ズバァ! ズバァ!

             ボウンッ!!




 砕け散る電話ボックス・・・。 それは、静かに湖面へ消えていった・・・。



箒「・・・・・・・・」

箒(これでいい)

箒(あれは、在っては いけない物だ・・・)




            -翌日の朝・is学園・1組教室・-

箒「おはよう!」

一夏「!・・・お、おう! おはよう!」

セシリア「お、おはようございます、箒さん」

シャル「おはよう、箒」

ラウラ「おはよう」

一同(珍しい・・・箒(さん)から挨拶してきた・・・)




            -休み時間・is学園・1組教室-

箒「・・・あ、一夏」

一夏「ん? どうした?」

箒「少し頼みがあるのだが・・・」

一夏「? なんだ?」

箒「なに、大した事じゃない」 クスッ


箒「職員室に、このプリントを届けてくれと 山田先生に頼まれていたのだが」

箒「代わりに届けてくれないだろうか?」

一夏「なんだ、そんな事か。 いいぜ、お安い御用だ」 ニコ

箒「すまないな、恩に着る」 ニコ

一夏「いいって事さ」 クスッ


セシリア(むむ・・・なんですの?)

ラウラ(そこはかとなく)

シャル(いい雰囲気・・・)


箒「・・・なあ、みんな」

シャル「・・・!?」

セシリア「は、はい、なんでしょうか?」

ラウラ「何か用か? 箒?」

箒「まあ、用・・・というか、お昼なんだが」

箒「たまには一夏抜きで・・・」

箒「私達だけで、食べないか?」

シャ・セシ・ラウ「「「・・・?」」」

箒「鈴には、私から声を掛けておく」 ニコ




             -昼休み・屋上-

箒「すまないな、急に誘って・・・」

シャル「ううん、別に構わないよ?」

鈴「ま、たまには、いいんじゃない?」

鈴(ちょっと驚いたけどね・・・)

セシリア「そういえば、こうやって女の子だけで集まるのは、初めてかもしれませんわね」

ラウラ「いつも一夏中心で行動していたしな・・・」

ラウラ「それで? いったいどうしたのだ?」


箒「う、うむ・・・・・・」

箒「・・・・・・・・・・実は、な」

シャル「うん?」

箒「・・・恐ろしい夢を見た」

ラウラ「ほう?」

箒「その夢の中での一夏は、私にぞっこんでな・・・」


セシリア「・・・どこが恐ろしい夢ですの?」

鈴「うらやましい夢見てんじゃないわよ・・・」

箒「それだけですめば・・・そうだったんだけどな」

シャル「・・・と言うと?」



箒「結論から言うと・・・」

箒「ここにいる全員と千冬さんがいなかった」

セシリア「・・・・・・・!?」


箒「ある者は、強制送還され」

シャル(・・・ボク?)

箒「ある者は、暴走で命を落とし」

ラウラ(・・・私のことか?)

箒「残りは・・・福音との戦いで戦死していた」

鈴「・・・なんか・・・リアルね」

箒「ああ・・・本当にリアルだった。 だから・・・目を覚ました時」




箒「心から、夢で良かったと・・・私は思った」



セシ・シャ・ラウ・鈴「「「「・・・・・・・・・・・」」」」

箒「・・・どうしてそんな夢を見たのか、わからないが」

箒「みんなと・・・話がしたくなってな・・・」

箒「わざわざ来てもらった、というわけだ」

鈴「・・・・・・・・・・」


鈴「コメントに困るわね・・・」

シャル「そう? ボクは・・・嬉しく思ったけど」 ニコ

セシリア「わたくしもですわ」 クスッ

ラウラ「私は、鈴と同意見だ・・・」

箒「ふふ・・・さ、私のくだらない夢の話は、これで終わりだ」

箒「これからの事を話さないか?」


鈴「これからの事?」

箒「そうだ。 例えば・・・みんなでボウリングとかどうだ?」

箒「もちろん一夏も誘って」 ニコ

セシリア「まあ! それはナイスアイデアですわ! 箒さん!」 キラキラ

シャル「うん、いいね! それ!」

ラウラ「・・・ボウリング? 地質調査でもするのか?」

鈴「ラウラ・・・お約束のボケはいいから・・・」

箒「ハハハ・・・」




 こうして・・・私の不可思議な体験は、幕を閉じた。

まるで本当に夢だったかの様に・・・。



 しかし、そうではない事を示す証拠が 手元に残っていた。



          -夜・is学園寮・箒の部屋-

箒(あの時買ったブラウスとトレーナー・・・)

箒(なぜ・・・?)

箒(・・・・・・・・・)

箒(・・・考えても無駄だな)

箒(そして・・・)



箒(あの手紙は無い)

箒(・・・読んでくれただろうか?)

箒(向こうの私・・・)



            篠ノ之 箒へ

 お前は、一人では無い。

お前には、一夏が居てくれている。



 過去の過ちに囚われて、今を生きる自分を殺しても・・・

一夏をも巻き込んで悲しいだけだ。



 抱え込むな。 吐き出せ。 一夏は、お前の苦しみを受け止めてくれる。

一人では辛いことも、二人でなら重みは半分になる。



 恐れるな。 幸せになる事を。 お前が不幸になる事を一夏は望まない。

一夏の幸せは、望む事は、お前が幸せになる事なのだから。

            もう一人の 篠ノ之 箒 より


箒(・・・身勝手な事を書いたかな)

箒(だが・・・)

箒(偽ることのない、私の本心だ・・・)

箒(・・・どうか・・・幸せに)

箒(・・・・・・・・・・・・)


箒(さて・・・)

箒(私の方は、前途多難だな・・・) フウ・・・

箒(・・・・・・・・・・・・)

箒(でも・・・)

箒(いつか、こっちの一夏と あ、あんなキスを・・・) ///

箒(~~~~~~~!!) ジタバタ ジタバタ ///

箒(・・・・・・・・・・) ///


箒(・・・よし) ///

箒(ボウリングには、あのブラウスを着て) ///

箒(気合を入れるぞ!) ///



             おしまい

お疲れ様でした。 箒編、終了です。
正直、箒の魅力を出せたかな? と、>>1は、疑問に思っております・・・。
楽しく読んでもらえたのなら、幸いです。

いつもながら、支援してくださった方、ありがとうございます。

乙です。
簪待ってます。

乙ー



>>123
申し訳ない・・・。 >>1は、isをアニメでしか知りませんです・・・。

待ってた甲斐があった
>>1


読んでるほうはラノベもアニメも見てないがww

出来ればセシリア編も読みたいな
欲を言えばシャルとラウラも

>>127
そ、それは、凄い・・・! ありがとうございます。

>>128
実は・・・シャル編だけ、すでに出来てます。
鈴編で、シャルの需要が無いのかな?と思ったので遠慮してました。
近日公開しますね。

良かったら、鈴編も読んでくださると うれしいです。

ラウラ、セシリア編は まだ書いていませんが・・・
書く意思は ありますので、気長に待っていてください。

おつおつ  鈴は?

>>130
鈴編  鈴「もしも一夏が、あたしにぞっこんだったら!」

このタイトルで、ここ(ss深夜)のスレッド欄にあると思います。

こんな事して、また自己主張しすぎ、とかレスられるかなぁ・・・。

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