女「あんたなんて大ッ嫌い」男「……」(76)

女「視界に入れたくもない」

男「そう」

女「ちょっと。何すましてんのよ。気に入らないわね」

男「エイプリルフール」

女「………は?」

男「エイプリルフールだから、今の暴言はは好きの裏返しって事ですね」

女「……何を言うかと思えば。頭おかしいんじゃない?あ、ごめんなさいね。普通におかしかったわ」

男「酷いなぁ」

女「事実だから」

男「泣くよ?」

女「あっそ。構って欲しいならよそを当たってちょうだい。じゃあね」

男「寒いですね」

男「へくしっ」

男「寒いです」

女「……一人でブツブツブツブツ独り言を。見てて不気味なんだけど」

男「おや」

女「しかも寒い寒いって。男子ならそのくらい我慢しなさいよ」

男「女にそう言われたのなら頑張るしかないね」

女「何ソレ。気持ち悪い」

男「気持ち良いんですか」

女「エイプリルフールは終わったわよ馬鹿」

男「おや」

男「よっと ええと ここをこうして」

女「何してんの」

男「プレゼントを包んでる」

女「……」

男「おめえのじゃないからな」

女「知ってるわよ。あんたからのプレゼントなんてたまったもんじゃないわ」

男「もう少しショックな反応を期待したのですが」

女「おあいにくさま。……で?なんでお店でラッピングとかしてもらわない訳?」

男「自分でやりたいから」

女「その結果がこれじゃあね。ほら、ここシワになってる」

男「喜ばれないかなあ」

女「さあ」

男「ちょっとそちらのお嬢さん」

女「……」

男「あなたですよあなた」

女「無視してんの。そんな事も気づけないの?」

男「気づいていました」

女「タチ悪いわね」

男「自覚もあります」

女「余計にタチが悪い」

男「どこまで悪くなるんだろうね」

女「底なしよ」

男「あなたへの愛情と一緒ですね」

女「ストーカー。犯罪者」

男「なんとでも」

女「……」

女「あーあ」

女「あんなのに絡まれる私ってホント不幸よね」

女「美人ってツラいわ」

女「あーあ」

女「……」

女「……どこに居るのかしら」

男「ここです」ぬっ

女「ひぎゃあああああっ!!?」

男「驚かせしちゃったか」

女「あ、あっ、わ、こ、こしが」

男「悪気はなかった」

男「今度の社会科見学の班決め、明日らしいよ」

女「ずいぶん耳の早い事で」

男「えへへ」

女「ま、この手のグループ決めは私の所に勝手に人が集まってくるしどうでもいいわ」

男「私めもご一緒させて頂きたいですね」

女「あらあらステキな冗談じゃない」

男「これは手厳しいふふふ」

男「……ダメ?」

女「ムリ」

男「一緒になれて嬉しいです」

女「一緒になってしまい誠に遺憾」

男「そんなに?」

女「そんなに」

男「……おや。向こうで班員が一人不足しているようです」

女「ナイスタイミング」

男「凄い笑顔。可愛いけど悲しくもある」

女「いってらっしゃい」

男「そんなあ」

女「ねえ、あんたの方はルート決まった?」

男「はい大体」

女「そ。……なんでニヤついてんのよ」

男「こちらの班はみなさん優しくて楽しいんです」

女「ふーん…」

男「今どうやって罵倒しようか考えてるでしょ」

女「はん。被害妄想大好きね。そうやって周りにネガティブな感情撒き散らすから嫌われるのよ」

男「おほう」

知人「マゾですか」

男「マゾではありません」

知人「マゾじゃないですか」

男「マゾではありません」

知人「……」

男「マゾではありません」

男「マゾではありません」

知人「おめーよく女さんのアレに耐えられんなアレお前限定だけど」

男「ばっかお前アレも魅力の一つだろアハハ」

女「……」

女「……」

女「はあ……」

友「どうしたのよ元気ないじゃん」

女「べっつにぃ……」

友「分かった」

女「そういうのじゃないから」

友「男君でしょ」

女「違うっつってんだろ」

友「女ってばグレちゃってぇ」

友「こないだの社会科見学では離れ離れだったものね」

女「いい加減にして」

友「うーん。もう少し愛想良くすれば良いのに」

女「あっそ」

友「ねえねえ、デートに誘ってみたら?」

女「……デート?」

友「そ。買い物とか、お茶でも良い」

女「買い物……お茶……」

友「行ってみなって!ね!」

女「…うん…」

女「ねえ」

男「あ、お久しぶりですね。大変ご機嫌麗しゅう」

女「奇人。面白いと思ってんの?ねえ。白けるだけだからやめて」

男「流石に凹みます」

女「ふん」

男「……」

女「……」

男「…それで?何の用でして?もしかしてデート?デートか!いやあ嬉しいなあ」

女「嬉しい?」

男「……は?」

男「いつも通り罵られると思ったら……大丈夫?熱ない?何かヘンな物食べた?」

女「うっさいわね。デートしてあげるって言ってんの」

男「ホ……ホント…?」

女「あ、行き先は私が指定するから。それと荷物持ちとお茶代はお願いね」

男「……それデートじゃないよね。たぶん」

女「文句ある?」

男「ないです。一緒に出かけられるだけで嬉しいもの」

女「ふん。分かってるとは思うけどくれぐれも勘違いはしないで。デート名義のパシリだから」

男「ハイッス!」

女「えへ…誘えた……」

友「この子ってば…ああ…もう…」

女「デート……」

友「ねえ。ちょっとアンタ。自分からそっちの方向に予防線張りに行ってどーすんの」

女「…うるさいわよ。あくまでパシリなんだからこれでいいの」

友「男君の事は好きじゃないと?」

女「元から嫌いよ」

友「こんなめんどくさい人を好きになった男君が可哀想」

男「デートです」

知人「デートですか」

男「そうです。パシリです」

知人「知ってました」

男「嬉しいです」

知人「嬉しいですか」

男「とっても」

知人「死ねよカス」

男「羨ましいだろ?ろ?」

女「おまたせ」

男「遅いよ」

女「…ごめん」

男「えっ…あ……うん…」

女「…行きましょ」

男「……熱ないよね。ホントに」

女「なによ」

男「ペースが崩れてしまいます」

女「……」

女「それじゃ、今日はパシリよろしく。お財布君」

男「どうぞお任せ下さい」

女「…どうして急に元気になんのよ」

男「やっぱり罵られてる方が落ち着くなって」

女「……普通に話すのは駄目なの?」

男「駄目じゃないけど、調子狂うといいますか、ねぇ」

女「……」

男「良い匂い」

女「あの屋台からね」

男「食べたいなぁ」

女「食べたいわね」

男「買って参ります」

女「あ、わ、私の分のお金」

男「え?」

女「あっ……そっか……そ、そうよね、あんたが買って来るべきよね。ふん。私がデートしてあげてるんだから」

女「……」

友「ちょっと、酷いじゃない」

女「ね、ねえ、デートなのに全然楽しくない……どうしよう…」

友「何がしたいんだお前は自業自得でしょうが」

男「買ってきたのてけなして下さい」

友「こっちはこっちでこうだし……はぁ……ま…がんば」

女「あ…ありがと」

男「……」

女「……?」

男「本当に変だよ?女が感謝の言葉を浴びせてくるなんて」

女「な、なにが悪いのよ。そもそもデートがしたいならこういうのがお望みでしょ?」

男「いや…どうだろう……」

女「…私の事をなんだと思ってんの?」

男「好きです」

女「死んで。身のほど知らず」

男「良かったいつも通りだ」

女「…………」

男「非常にシャレオツなお店が並んでいますね、カップルで賑わっています」

女「あんたとは全く無縁ね」

男「そうでしょうか」

女「今まではもちろんこれからだってあんたに恋人が出来る訳ないでしょ」

男「違いありません」

女「ん。あそこ入るわよ」

男「めまいがしますね」

女「えっ…だ、大丈夫?」

男「あはは、女物の服に囲まれてって事ですよ。私は平気です」

女「……別にあんたの心配なんてしてない。自意識過剰って言葉知ってるかしら」

男「私の自意識の大半はあなたに向けられています」

女「いい迷惑ね」

男「おや、このお洋服などはいかがでしょうか」

女「どれ?あんたのセンスなんてたかが知れてるけど一応見てあげるわ」

男「一店目からこの量ですか」

女「黙ってついてきなさい」

男「ハイ」

女「……」

男「……」

女「……ねえ」

男「ハイ?」

女「あんたはこんなので楽しいワケ」

男「勿論!」

男「女の為なら何でも」

女「……私は、こ、こんなの、やなん…だけど……」

男「……?」

女「だ、だってそうでしょ!二人で来といて黙々と買い物なんて!」

男「私はパシリです。あなたの恋人ではありません……って決めたのはあなたですから。ややこしいなぁ」

女「い、いいから、一応形だけでもデートでしょ。こ、恋人のフリしてよ……」

男「あ、いいの?」

女「いいわよもう……!」

男「じゃ、行こうか女」ぎゅっ

女「っ!?」

男「~♪」

女「きゃ、きゃっ、いきなり何を、あっ、て、手がっ手が」

女「ねっねえっ離してっはっ恥ずかしいよお」

男「照れ屋さんだなあ女は。昨日はあんなに激しくしたのに」

女「してない!!そんな所まで役作り込むな!!」

男「まあ……そんなに嫌がるなら……」ぱっ

女「……」

男「どうしたのですか」

女「……」きゅっ

男「おやおや服のすそを掴むなんて随分あざとらしい」

女「うるさい馬鹿、馬鹿」

女「ね、ねえ、そろそろ食事にしましょう?」

男「良い提案です」

女「美味しい所があるから、きっと、あ、あなたも気に入ってくれるんじゃないかしら!」

男「女と一緒ならなんだって美味しいですよ」

女「~……!」

男「私は素でも恋人演じられますけど、あなたの方が少々心配です」

女「も……もう…あぁ……」

はよ

期待

女「どう?ここ、とっても美味しいでしょ?」

男「美味しいです」

女「ふふん。こういうお店はキッチリおさえてあるんだから」

男「流石。では、例えばオシャンティーな喫茶店なども?」

女「当たり前じゃない」

男「それはぜひとも名前を教えてもらいたい」

女「べ、べつに、あとで連れてってあげるわよ……うん……」

男「よっしゃ」

女「やっぱりなし。取りやめ」

男「そんな鬼畜な」

女「そんなに行きたい?」

男「はい。命に代えても」

女「そうねー……どうしようかしら?ふふふ……」

男「いーじゃん行こうよぉ女ちゃ~ん」

女「今すぐ帰りましょ」

男「申し訳ございません度が過ぎました」

女「……ん。いずれにせよそろそろここを出るわよ」

男「了解了解……うっわ重っ」

女「まだまだ買うから」

男「どうかお手柔らかに……」

男「こんな騒々しい所を歩くなんて久しぶりです」

女「そうよね。あんたは一緒に来る友達が居ないもの。しょうがないわよね」

男「なんと私の交友関係まで把握しておられましたか。感激の極みです」

女「その都合の良い頭も気持ち悪いことこの上ないわ」

男「あと最後の鼻で笑うような表情がとってもステキでした。結婚して下さい」

女「最低最悪のプロポーズね」

男「えへへ。嬉しいなあ」

女「頭が痛くなってきた」

男「わっ」

女「あっ!」

男「う……すみません……」

女「……大丈夫?」

男「恥ずかしながら躓いただけです……いやあしかし女に抱き止められるなんて幸せです…」

女「……あっ!?っ!!」

男「痛ッ」

男「い、いきなり離すなんて乱暴ですね…。けど嫌いじゃないよそういうプレイ」

女「うるさい黙りなさいこのクズが、ゴミ、変態」

男「沢山の荷物を抱えた俺を受け止めるとか何気に凄いっすね。逞しい」

女「死にたい?」

男「あなたに殺されるなら本望です」

女「いいの?」

男「ウソ。やめて」

女「あんたと居ると疲れるだけね」

男「あんまりマジトーンで言わないで欲しいです。凹んでしまいます」

女「はぁ…」

男「……」

男「あっ!」

女「えっ?」

男「急用が出来ました。帰らなくちゃ。さよなら」

女「は?えっ、ちょっと!待ちなさいよ!」

女「どうしたの!?」

男「急用ですって」

女「わざとらし過ぎるって言ってんのよ!」

男「だってあなたがあんまりにもつまらなさそうな顔をしていましたから」

女「それは……」

男「俺は引き止めてもらいたくて言ってる訳じゃないよ。これ以上迷惑かけたくない」

女「そ、そんな…迷惑って」

男「せっかくの休日をふいにしてごめんなさい。それじゃ」

女「え、あ、わ、あっ、あっ……」

友「ちょっと、帰ってったわよ!どういう事?!」

女「あっ……ああ、ど、どうしよ、帰っちゃった、帰っちゃったあ」

友「……まさかとは思うけど……アンタの態度が駄目だったって話?」

女「」こくこく

友「ちょ…そう思うなら謝って引き止めてきなさいよ!」

女「やだよぉ、無理よそんなの……!」

友「行け!アホ!!アマノジャク!!」

男「まったく騒々しい所ですね」

男「むなしいです」

男「はぁ……」

男「……」

女「はぁ、はぁ、居た!ちょっと!!」

男「はっ!?」

女「待ち……なさい……!」

女「はっ、はぁっ、はぁっ、ぜえ、ぜえ」

男「……驚きました。びっくりです」

女「帰ったら、はぁ、ゆ、許さないから……!」

男「……」

女「はーっ、はーっ……」

男「俺と居るよつまらんよ?」

女「知ってる」

男「気苦労が多くなんよ?」

女「知ってる」

男「セクハラされんよ?」

女「知ってる!というかそれは分かってるならやめなさいよ!」

男「ですね」

男「あれだけ私の事を嫌がっていたのに引き止めるなんて理解出来ないです」

女「それは……あ……その……」

女「……一緒に……い、一緒にっ……あの……あっ…その…」

女「そのっ、あんたは!こーんな大荷物押し付けて!自分は手ぶらで帰るつもりだったの!?」

男「えっ……あっ」

女「そんなの絶対許す訳ないじゃない!荷物持ちをするって言ったなら最後まで付き合いなさい!!」

男「……あはは。確かにそれは紳士的ではありませんでしたね。私らしくない」

女「あんたのどこに紳士の要素があるのかしら……」

男「一途な所とか」

女「犯罪者予備軍の間違いでしょ」

男「すっかり暗くなりましたね」

女「ふん」

男「少々肌寒いです」

女「……」

男「大丈夫ですか?そちらは」

女「…………っ」ぎゅっ

男「……」

女「私も寒いから……暖めなさい……」

男「喜んで」ぎゅっ

女「ん……」

男「なんだ。寒いと言っておきながらあなたは十分暖かいじゃないですか」

女「かっこつけた事言おうとして滑ってるわよ。白けるわ」

男「顔が赤いですよ」

女「~……」

男「……」

女「……」

男「……」

女「……ねぇ……」

男「それは……」

女「これも恋人の演技よ……思い上がらないで」

男「演技……」

女「そう……演技だから……ね……?お願い……」

男「………」

女「んっ……」

男「…………っ……」

女「はぁ……あぁ……大好き……」

男「俺も……好き」

女「ふふふ……えへへへ………ねーえ、こんな捻くれた女で良いの……?」

男「そんな所も大好きです」

女「嬉しい……幸せ」

男「あなたこそ…私などで?」

女「いつもは言えなかったけど……好きよ…」

男「……」

男「昨日はまるで夢を見ているようでしたね」

女「何の話よ」

男「またまたぁ。あんなにイチャイチャしたのに」

女「ふん。演技っつったでしょ。もう忘れたの?ほんと脳の容量小さいわね」

男「うーんなかなか手ごわい」

女「勘違いしてるようだけど、私はべつにあんたのことこれっぽっちも好きじゃないから」

友「このコね、昨日の夜電話でベラベラベラベラノロケ話してきたのよ。あーホントムカツク」

男「そうなのですか。ありがとうございます」

女「わっ、わー!わあああ!ウソ!デタラメ言わないで!!」

友「そーんな態度だといずれ他の人に取られるわよ」

女「…………あ、あっそ。知らない」

友「呆れた」

男「私は女一筋ですから平気です」

女「……ほんと?」

男「もちろん」

女「…そう……そっか……えへ…」

男「あああ可愛い抱きしめたい」

女「いいよ……んっ…!ちょっとぉ…そんな強く…あっ…」

友「ケッ!」

乙!


ひねくれとかいうレベルじゃないな
あんまりにも心に余裕がなさすぎるだろ
男の性格が寛容じゃなかったら、無理だったな

友「ずいぶん豪勢なお弁当」

男「女特製の愛妻弁当です」

友「へーえ。羨ましい限りねぇ。けどアイツが素直に渡したとも思えないんだけど」

男「彼女いわく残飯処理らしいです」

友「残飯?それが?」

男「どう見ても手間ひまかけた手作りだよなアッハハッ」

友「ハハハ」

男「よく見たら残飯っぽいです」

友「あ、確かに」

女「~!!ちゃんと作ってるわよ!!」

男「ところで相談があるのです」

友「うん?何かしら」

男「ちょっと大事な話で。ここでは少々」

友「場所変える?」

男「はい、こちらに……」

友「ついてきてるついてきてる」

男「本当だ」

女「手を洗いに行くだけよ。妄想も大概にしたら?」

男「お手洗いなら既に通り過ぎましたが」

女「それは……ち、ちょっとぼーっとしてたの!ふん」くるっ

男「かわいい」

友「あれが?」

男「はい」

友「で?それで?」

男「女の俺に対する本心を探ってもらいたい」

友「絶対イヤ」

友「そんなの面倒過ぎるし」

男「一理ありますね」

友「でしょ?」

男「はい」

友「……ま、考えといてあげる」

男「!本当ですか」

友「期待はしないでよ」

友「でもさ、二人ともなんだかんだ仲良くしてるじゃない。どうしてそんな事を今さら聞くのよ」

男「情けない話ですが、少し自信がないのです」

男「もしかしたら…と思ってしまう事がありまして」

友「あー、あー……」

男「……いやあ。すみません忘れて下さい。こんな事人に頼むべきではありませんでした」

友「いや、女は色々難アリだからね……確かに男君一人だとねー。気持ちは分かるよ」

男「アハハ、相談したらスッキリした。よく考えたら私が全力で惚れさせれば良い話ですよね」

友「え?あ、えー?そう……だけど……えっ、そう?」

男「半ば一方的に話を聞いてくれてありがとうな!ごめんな!じゃな!」

友「あっ……行っちゃった。大丈夫かな」

友「男君もよく分からないなぁ。悩むくらいなら諦めりゃ良いのに」

女「……二人でヒソヒソ、何してたのよ」

友「男君がアンタに愛想つかしたって」

女「……、は…?」

友「性格に問題あるから飽きられたんじゃない?」

女「ち……ちょっと、男」

友「(こうするしかないわよ!!)」

男「(気が進みません)」

男「………」

女「ね、ねえ。この私がわざわざ話しかけてあげてんだから返事しなさいよ」

男「……」

友「ほーら」

女「………」

男「(愛を思いっきりぶつけようと決意を新たにしたのに)」

友「(いいから従っとけって)」

男「(……分かりました)」

友「(素直でよろしい)」

女「分かったわ!あんたが男に何か吹き込んだんでしょ!」

友「私?」

男「無関係な人間を巻き込むのはやめてください」

女「あんたもね…何考えてんのかは知らないけど……」

男「今までストーカーまがいの事をしてきて申し訳ありませんでした」

男「これからはもうあなたに近づきません。さよなら」

女「あっ……待ちなさい!ちょっと!いきなりおかしいわよ、こんなの!」

友「いきなり?女ってば男君にずっとキツく当たり続けてきたのに」

女「っ……ねぇ!待って!説明しないと許さないんだから!!ねぇ!!」

女「……ふん」

友「ずいぶん余裕そうな態度ね。良いの?」

女「別に。要はあのストーカーがいなくなってくれたんでしょ。最高じゃない」

女「あんたが何したのかは知らないけど、結果的にはありがとね」

友「へー。もしかして信じてない?」

女「さあ。ま、どーせ懲りずに元通りになるのが目に見えてるわ」

友(信じてねーな)」

男「まさかあれほどの棒読みになるとは思いませんでした」

友「ねー」

男「それにしてもこれはモヤモヤします」

友「いーからいーから。私としても女にはちょっとお灸をすえた方が良いと思ってたし」

男「私がお灸と?」

友「そうそう」

女「愛想って……」

女「…」

女「……どうせ気を引きたいだけよね」

女「ホント仕方ないんだから。ふふふ」

翌朝

女「……居た」

女「よし……!」


女「ね、ねえ」

男「………」

女「……あんたに言ってんのよ、男」

男「………」

女「……無視する気?………ふーん?ずいぶん良いご身分ね。それとも遂に耳が壊れたの?」

男「………」

女「……いい加減に…」

知人「おまたせしました」

男「おまちしておりました」

女「っ…!」

知人「お前女さん後ろに居んぞ」

男「誰それ」

女「この……っ!」

男「触んなよ」

女「」

知人「お、おい」

男「行きましょう」

知人「良いのかよ」

男「良いのです」


女「………」

女「…………触ん……な…よ…?」

女「…………」

女「なに、それ」

女「…………」

友「よ」

女「……」

友「……女?」

女「あっ、う、うん、おはよ」

友「何かあった?」

女「べつに」

友「?そう」

女「……」

男「……」

女「………」

友「男君はもうアンタに寄らないっての」

女「な、何よ」

女「私があんな奴の事なんて考えてる訳ないでしょ」

友「そうですか」

女「……」

友「ガン見してるし」

女「(今日一日、話しかけられなかった…)」

女「……」

友「元気ないなあ」

女「友……」

女「ちょっと、本当に何をしたの……?」

友「私は何もしてないってば」

女「じゃあどうすれば良いのよ…!」

友「今までさんざん暴言吐いたんだから、言う事あるでしょ?」

女「それは……」

友「男君も限界だったのよ。今ならまだ間に合うかもよ?」

女「……わ、私が謝る事なんてないわ」

友「ヒネてんなあ」

女「…………」


男「あれから結構経ちましたが」

友「効いてるみたいね」

男「そろそろ限界です」

友「お前がかい」

男「結局女は私の事をどう思っているのでしょうか」

友「んー、どうだろうね?あの顔見てみ」

男「疲れていますね。目の充血に目元のクマ。顔色も悪い。見るに耐えません」

友「眠れなくなるくらい男君の事で悩んでると見た」

男「ウソ」

友「ホント」

知人「顔色がよろしくありませんね」

男「おや」

知人「フラついていますよ」

男「これはこれはご指摘ありがとうございます」

知人「何かお悩みがございましたら何なりと」

男「女を抱きたい」

知人「自分で女さん突き放しといてよく言うぜこのクソ野郎」

男「ルセー仕方ねえんだよ!」

はよ

女「……」

女「…………」



女「……」

男「……」

女「……ちょっと」

男「えっ?あっ 女」

女「ごめんなさい」ぺこり

男「…………………」

男「!!?」

女「今まで、酷い事ばっかり言って、ごめんなさい」

男「ちょっといきなりどうしたのえっえっ」

女「その!これからは、そういうの、やめるから……もう……許し…て……」

男「」

男「あ、あのですね」

女「………」

男「実はですね、私も、というより…私の方こそ謝らなくてはいけない訳でして」

女「……なに」

男「ここずっとあなたを無視していた理由
が非常にちっぽけなものなんですよ」

男「ただあなたの気を引きたかっただけなんです」

女「………」

男「いやはやまるで小学生のような幼稚さで……本当に、こっちこそ、ごめん」

女「……愛想が、つきたってことじゃ……ない?」

男「まさか」

女「でも、こんな事になったのは、全部私が冷たく当たってきたせいよ…」

男「更にさかのぼるならそれは私がストーカー気味だったせいですね」

女「……」

男「おっと黙ってりゃ良かった」

女「………ん」

男「……はい?」

女「あんたが悪いなら、罰。……………して」

男「」

男「すすすするってするっちょっ」

女「……………男」

男「はっはいっはい何」

女「私のこと、まだ、好き?」

男「はい!勿論!」

女「……私で良いの?」

男「むしろ喜んで!………え?」

女「」ちゅっ

男「」

女「ー………………」

男「ー……、………~!」



女「」ぎゅーっ…

男「おはようございます」

知人「おはようございます」

男「良い天気ですね」

知人「まったくです。気分は最悪です」

男「ハハハ」

知人「ハハ」

女「ねーえ、こっち見て…」

男「なんかもう昇天しちゃう」

知人「ハアアアアアアアア!!」

知人「なんで!?お前絶縁したんだろ!?」

男「昨日和解したんです。女ってば優しい」

知人「ハアアアアアアアア!!」

女「好き…大好き」

男「俺も愛してる」

女「~……」かああ

男「幸せ」

女「あっ…ちょっと……やだあ……こんなところで……ぁっ…♪」

女「……」

友「……」

女「…ねぇ。友」

友「んー?」

男「女、一緒に外歩きませんか」

女「あっ!男!えへへ、うん、うん」ぎゅっ

友「 」

友「あ あんた」

女「へへへ、うん、好きって、いえたの、えへへ」

友「 」



女「うん、後でね、へへへへ ふへへへ」

友「……」

女「~♪」

友「……ずいぶん変わったね……」

女「そうかな。うふふ」

友「………」

女「……何?さっきからどうしたのよ」

友「いや、あのね……話を蒸し返すようで申し訳ないけどさ」

友「ほんとは私が男君をそそのかしたりして」

女「……まあ、薄々気づいてたわ」

友「な、なんかね!ちょっと引っ掻き回し過ぎたから、謝りたくて!」

女「……私、謝られてばっかり」

友「ごめんね!パフェおごるからそれで!」

女「ん、約束よ」

友「確かに!」

女「…………色々、ありがとね」

友「えっ……?はぁ……」

女「…あっ!メール!へへへ」

友「……にしてもほんと変わったなぁ。前々からそーいうフシはあったけど」

男「お待たせしてしまいました」

女「遅かったわね。ノロマ。どこで油売ってたのかしら?グズ」

男「あぁ……やっぱり女から罵倒されると安心感があります」

女「もう。このヘンタイ。馬鹿。そんな所も大好き」

男「夢みたい」

友「まだ口の悪さが抜け切ってないのね」

男「合意の上でやっておりますのでご安心下さい」

女「ねー♪」

友「ケッ!!」

まだ続くの?

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年12月16日 (水) 23:04:56   ID: kt1wvlM6

素晴らしい

2 :  SS好きの774さん   2016年08月14日 (日) 22:18:22   ID: xe8PhmNn

この方のssは、ドストライク!

3 :  SS好きの774さん   2016年09月22日 (木) 22:06:51   ID: DE8MNBzK

素晴らしい

4 :  SS好きの774さん   2016年12月07日 (水) 21:52:45   ID: 7YYGCKwY

ええやん。

5 :  SS好きのあんぽんたん!!   2017年04月26日 (水) 19:40:20   ID: 3RliDm_K

もしかしてだけどさ。このssの作者って天邪鬼さんと純愛くんと同じ作者?

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