妖精さん「にんげんさんをりょうじょくするです」わたし「…」(51)

わたし「あ…あははは…ダメ!くすぐったい!」

妖精さん「もっともみもみするです?」

妖精さん「なめなめもするです!」

わたし「や…だめ!…そんなところを舐めてはいけません!」

妖精さん「入れそうなところがあるです…」ジー…

妖精さん「探検するです!」グィッ!

y「ちょ…!そこはおしりの…!…だめぇ!…入ってこないでぇ!!」ジタバタ…

妖精さんナデナデしたい

私「………」

妖精「叩かないでくださいです……」

私「今度やったらキンチョールだからね……」

妖精「……キンチョールです?」

私「窓の外に虫見える?」

妖精「美味しそうです」

私「………」ガラガラッ!プシューッ!

妖精「………」

私「……わかった?」

妖精「………」ガタガタガタ……

私「ふふふッ……」

妖精 (に、人間は……ついに神殺しの業を起こしてしまったですか……)

私「ところでさ……貴方何者なの?何故私の所に……」

妖精「何者とです?アタクシ、エインセルですよ」

私「エインセル……?聞いた事無いなぁ……」

妖精「………」

私「エインセル……エインセル……」グーグルッ!

妖精「何をやってるです?」

私「へぇ、イングランドに住んでる妖精なんだ。好奇心旺盛な少女の妖精ね……」

妖精「な、なんでアタクシの誕生の地がわかるです……」

私「………」

妖精「………」

私「……私、魔法を使えるの」

妖精「なッ!?ですッ!?」

私 「………」

妖精 (人間は神との約束事を反古したですかッ!)ガタガタガタ……

私 (なんか凄いビビってるぅ可愛い!)

妖精「人間す、凄いっスネです……アタクシ程じゃ無いけどです!」

私「へぇ、エインセルは何か出来るの?」

妖精「人間をりょうじょくする事です!」

私「………」

妖精「エッヘンです!」

私「……意味わかってる?」

妖精「嘗めるなよ人間ですッ!」

私「意味言ってみて」

妖精「………」

私「………」

妖精「……アレです」

私「あれ?」

妖精「人間の体を島に見立てて

私「それは上陸じゃないの?」

妖精「一年中緑のハッパを付けてる

私「それは常緑樹じゃないの?」

妖精「相手の

私「了承かな?」

妖精「………」

私「………」

妖精「そんな感じですよ……」

私 (わかって無いんだ……)



私「で、何でこんな所にいるの?」

妖精「さぁ?気が付いたらいたです」

私「………」

妖精「それにここは過ごしやすいです。森の中の一軒家ってやつです?」

私「そうだね。おじいちゃんがくれたの」

妖精「家をくれるなんて太っ腹です!」

私「そうなんだけど……」

妖精「……?」

私「………」

妖精「何です?」

私「何でも無い。エインセルは一人なの?」

妖精「違いますです。ほらあそこにいるですよ」

私「……え?」

……「………」

私「ななないつの間に……」

妖精「最初からいたですよ」

私「は?」

妖精「気が付かなかったですか……?」

私「全然……」

妖精「………」

……「影は常に闇にあり……」

妖精「です?」

……「人間に我を気付くなど不可……」

妖精「今は気付かれてるよです?」

……「……滅せり」ズガッ!

妖精「ギハァッ!い、痛いですッ!」

……「………」

妖精「何するですか!エアリアル!」

エアリアル「………」

私「エアリアル……エアリアル……」グーグルッ!

妖精 (あの板みたいなのをまた押してるです……)

私「へぇ……シコラックス」

エアリアル「……ッ!」ビクッ!

私「………」

エアリアル「……貴様」

私「プロスペロ……」ボソッ……

エアリアル「ッ!?」ビクッ!

妖精「……?」

私 (反応が面白いなぁ……ププッ)

エアリアル「………」

妖精「エアリアルです?」

エアリアル「……人間何者だ」

妖精「魔法使いだってです」

エアリアル「………」ガタガタガタ……

私「……私は監禁とかこき使ったりしないから大丈夫よ?」

妖精「そんな事言ったらエアリアル怒るです……」

エアリアル「……ならばよい」

妖精「……ええ?怒らないです?」

エアリアル「………」

私 (魔法使いに監禁されてプロスペロって人にこき使われて……可哀想な妖精さんだなぁ……)



私「………」

妖精「エアリアルそれはアタクシのですよ!」

エアリアル「………」バババッ!

妖精「ズルいですッ!ぐぬぬ!」

私「まだクッキーはあるから……」

妖精「それでもです!」

エアリアル「……のろま」

妖精「………」ムカッ!

エアリアル「………」

妖精「アタクシを嘗めるなですッ!エアリアル!」バババッ!

エアリアル「ぬ……」バババッ!

私「………」

妖精「ほうですふぁわさくしのがちてすよ!」

私「クッキー頬張りながら喋らないの……」

妖精「そんばこ……ングッ!」ドンドンッ!

私「……はいお水」

妖精「ぐぅ!」ゴクゴク……

私「………」

妖精「ぷはぁッ!はぁ……死ぬかと思ったです……」

私「………」

妖精「エアリアル!アタクシの勝ちですよ!」

エアリアル「………」

妖精「卑しい悪鬼打ち砕き候う……です!」

私「お口にいっぱいに頬張って喉詰まらせてコップに頭突っ込んでお水飲むのは卑しく無いの……」

妖精「………」

エアリアル「……隙あり……滅せり」ズガッ!

妖精「ギャブアッ!」

人類は衰退してないですか?



妖精「スーピー……zzz」

私「寝ちゃったよ……」

エアリアル「………」

私「貴方は寝ないの?」

エアリアル「影に休息は不要……」

私「へぇ……」

エアリアル「………」

私 (それにしては凄い眠そうな顔してるけど……)

エアリアル「………」ウツラ……ウツラ……

私「………」

エアリアル「……!」ブンブン!

私 (眠いなら寝ればいいのに……)

エアリアル「………」

私「……ずっとそうしてると疲れるでしょ?横になって警戒してたら?」

エアリアル「……ならば」

私「………」

エアリアル「……zzz」

私「早いな!もう寝ちゃったよ……」

私「そんなに警戒しないでもって言っても無理なのかな……エアリアルって子は人間に色々されたみたいだし……」

私「それに引き替え……エインセルって子は遠慮が無いなぁふふっ」

私「………」

私「この子達は何で私の所に来たんだろ……」

私「……私が一人だから?私が向こう側へ行こうとしたから……」

私「………」

私「この子達はずっとここにいるのかな……」



私「お留守番……出来る?」

妖精「馬鹿にするんじゃありません人間ですッ!」

私「あそこ、鍋とかある所は近寄っちゃ駄目だからね?」

妖精「……何故です?」

私「何て言うかな……あそこには火の精霊が寝てるから?」

妖精「……ウソぉ?です?」

私「本当!コンロって名前の子がいるの。だから近寄っちゃ駄目だよ!」

妖精「………」

私「……エアリアル」

エアリアル「……何か」

私「エインセルがあそこに近寄ったら打っていいから」

エアリアル「承知した……」

妖精「……ち、近寄らないですよ」

私「私の目を見て」

妖精「………」キョロ……

私「………」

妖精「何ですか人間です……」キョロ……

私「はあ……ちゃんとお留守番してたら美味しい物買ってきてあげるからね」

妖精「……ヘラクレスオオカブトの幼虫がいいです」

私「そんなのは買わないから!昨日のクッキーより美味しい物!」

妖精「仕方無いですね……それで手を打ってあげますです」

私「………」

エアリアル (クッキーより美味しい物……メキシコサラマンダーかッ!)

私「お願いだから静かに待っててね……」

妖精「心配しないでも大丈夫ですッ!」



妖精「さぁ!鍋の置いてある所にです!」

エアリアル「………」

妖精「あの人間、きっと凄い美味しい物をそこに隠してるからあんな事言ったんです!」

エアリアル「………」

妖精「早くエアリアルです!」

エアリアル「滅……」

妖精「……やめてです」

エアリアル「………」

妖精「何でです!エアリアルは早くもあの人間に手懐けられたですか!」

エアリアル「………」

妖精「犬ですか!エアリアルは犬

エアリアル「滅せり」ズガッ!

妖精「痛いッ!です……」

エアリアル「………」

妖精「……何でなんです?」

エアリアル「メキシコサラマンダー……」

妖精「………」

エアリアル「………」

妖精「それが……です?」

エアリアル「買って来るから……」

妖精「なるほどです……」

エアリアル「クッキーより美味しい物はあれしか無い……」

妖精「ヘラクレスオオカブトノの幼虫の方が美味しいです」

エアリアル「……滅

妖精「そ、そっちの方が美味しいかもですね!」

エアリアル「………」



私「失敗したかな……」

私「なんか凄い不安になってきた……」

私「………」

私「早く買い物済ませて帰ろ……取りあえずはあの子達が使えそうな食器類かな」

私「今は凄いなぁ、こんなのがあるんだ。……小さいコップ」

私「………」

私「玩具なんて何年ぶりに手にしたかな……」

私「……やだなぁ。未練たっぷり……こんなんじゃ行けないよね……」

私「想い出って邪魔になるんだよね……」

私「………」



私「……ただいま」

妖精「……おかえりです」

エアリアル「………」

私「ちゃんと静かにお留守番してた?」

妖精「してましたですぅ。子供じゃあるまいし嘗めるな人間ですぅ」

私「………」イラッ……

妖精「さっさとクッキーより美味しい物寄越すですぅ」

私「……その喋り方……やめてくれるかな」

妖精「何でですぅアタクシの勝手ですぅ」

私「エアリアルお願い……」

エアリアル「………」バッ!

妖精「ややややめてですエアリアル!」

私「じゃあ止めるね?」

妖精「ぐぬぬ……わかったです……」

エアリアル「………」

妖精「……何でそっちの見方するです」

エアリアル「………」グゥゥ……

私「あぁぁぁごめん!」

妖精 (駄目だ……既に手懐けられてるです……)

私「はい、これ食べていいよ」

エアリアル「………」

妖精「………」

私「……?」

妖精「人間……木を食え言うですか……」

私「それは木じゃないよ。ミルフィーユってお菓子なんだけど」

エアリアル「………」ガクゥッ!

妖精「え、エアリアルしっかりです!」

私「なななな何で膝から崩れ落ちたの!?」

エアリアル「メ……メキシコサラマンダーじゃ無い……」

妖精「エアリアルはメキシコサラマンダーが食べたかったんですよ!」

私「メキシコ……サラマンダー?」

妖精「そうです!エアリアルの中だとクッキーより美味しい物はそれしか無いです!」

私「………」グーグルッ!

妖精「……可哀想なエアリアルです」

私「………」

妖精「人間、何とか言ったらどうです!」

私「………」

妖精「おいッ!ですッ!」

私「……メキシコサラマンダーって白くてヌメヌメしてる?」

妖精「してるですよ?」

私「顔に枝みたいなの付いてる?」

妖精「……付いてるです」

私「体が半透明で中身見えちゃってる?」

妖精「黒っぽい奴もいますからね!見えないのもいるです!」

私「………」

妖精「……?」

私「無理無理無理無理ッ!」

妖精「は?です?」

私「ウーパールーパーじゃない!爬虫類じゃないぃッ!」

妖精「……それがです?」

私「………」

妖精「……こう噛んだ時、お汁

私「嫌あぁぁッ!それ以上言わないで!」

妖精「お腹をガブリと

私「おおおお願いだから……」



私「………」

妖精「なはなはやりはふねてすッ!」モグモグッ!

エアリアル「………」ガツガツッ!

私「だから頬張りながら喋らないの……」

妖精「ぐぅ!ぐぅ!」ドンドンッ!

私「……はいお水」

妖精「ングング……ぷはぁッ!」

私「………」

妖精「再び死ぬかと思ったです」

私「そんな慌てて食べなくても大丈夫だから……」

妖精「……ん?これ……です」

私「貴女達に丁度いいと思って買ってきたの」

妖精「………」

私「人間のコップだと大きいから……貴女達のサイズに合った物がいいかなって」

妖精「………」

私「エアリアルとお揃いにしておいたけど……どうかな?」

妖精「べ、別に嬉しくは無いです!」

私「そう……」

妖精「………」

私「………」

妖精「……しょうが無いですからアタクシが貰ってやるです。アタクシ以外使わないようにしとけ人間です!」

私 (素直じゃ無いな……もう少し落ち込んでみようかな……)

妖精「………」モグモグ……

私「はぁ……しょうが無いのか……」

妖精「………」モグ……

私「……喜んで貰えると思ったのに。残念だな……」

妖精「………」

私「……うぅ」

妖精「ち、ちょっと人間です……」

私「エインセルの為に買って来たのにぃ……えーん!えーん!」

妖精「悪かったです……」

私「………」

妖精「本当は嬉かっ

私「なんて」

妖精「がッ!ですッ!」

私「ふふふ……」

妖精「………」

エアリアル「……ごち」

私「え!?あれ全部食べちゃったの!」

エアリアル「………」ケフッ……

私 (自分と同じ大きさだったのに、この小さい体の何処に入ったの……)

妖精「しまったですッ!人間とじゃれついてたらですッ!」ガツガツッ!

私「………」

妖精「エアリアルに負けるなんて不覚ですッ!」モグモグッ!

私「……ゆっくり食べなよ」

妖精「ほうはいかないてす!」ガツガツッ!

エアリアル「………」ソゥ……

妖精「駄目ですッ!これはアタクシのです!」

エアリアル「チッ……」

私 (まだ食べようって言うの……)

妖精「絶対あげないですよ!」

エアリアル「………」

私「………」



妖精「暇です」

私「……で?」

妖精「何とかしろです!」

私「エアリアルと遊んでればいいじゃない……」

妖精「嫌です。エアリアル直ぐに殴るですから!」

私「エインセルが殴られるような事をするからじゃないの?」

妖精「……い、いいからです!何か無いです?」

私「ん……そこの箱の中に絵が描いてある小さい箱が入ってるから気に入った物を持ってきて」

妖精「箱の中の箱を持ってくるです?……それでです?」

私「取りあえず持ってきて。あ、エアリアルと一緒に選んでね」

妖精「はぁ……です」



妖精「何ですかこれ……です」

エアリアル「………」

妖精「何か人間が気に入った絵を持ってこい言ってたですけど……」ゴソゴソ

エアリアル「………」ゴソゴソ

妖精「つまらない絵ばっかりです。……これは人間の文字も書いてあるですかね」

エアリアル「……ッ!」

妖精「……こ、これはッ!」

エアリアル「……これ」

妖精「え?こっちの方がいいです!」

エアリアル「………」

妖精「ほら!何か筋肉質な人間が抱き合ってるです!」

エアリアル「………」

妖精「……何か見ててドキドキしないですか?」

エアリアル「………」

妖精「いけない物を見てるようなです!」

エアリアル「……それは冥腐魔道へ下落させる物」

妖精「………」

エアリアル「見てはいけない」

妖精「……そうなんです?」

エアリアル「………」コクッ

妖精「わかったです……」

エアリアル「だからこれ」パッ!

妖精「……それって」

エアリアル「………」

妖精「エアリアルです……」

エアリアル「………」



私「決まった?」

エアリアル「………」パッ!

私「渋いの選んだね……時代劇なんて」

妖精「アタクシはこれが良かったんだけどです」パッ!

私「………」

妖精「……なんです?」

私「これは絶対駄目……」

妖精「人間もそう言うですか!……そう言われると余計に見たく

私「本当に駄目だから!いい!わかった!?」

妖精「はいです……」

私 (ななななんなのこれは!おじいちゃんが残してったdvdでもって思って選ばせたのに……)

エアリアル「………」

私 (時代劇はわかるけど……ガチムチパンツレスリングって……)



妖精、エアリアル「………」ポカーン

私「ふふっ」

妖精「箱の中に人間がいるです……」

私「はいはい魔法魔法」

妖精 (この人間……です……)

私「それ見ててね」

妖精「人間……フェイですか!」

私 (また謎な言葉を……)グーグルッ!

妖精「………」

私「うん、違う」

妖精「またまた隠さなくてもわかるです!」

私「違うから……」

妖精 (こんな事出来るなんて……フェイ以外ありえないです!)

私 (シンデレラとかに出てきた魔女らしいけど……)

エアリアル「……あおお」

妖精「おおおッ!」

私「………」

妖精「蛇骨長屋ですよ!」

エアリアル「………」コクッコクッ!

妖精「ああ……」

エアリアル「……グスッ」

私「エアリアル……どうしたの?」

エアリアル「ここにいた……」

私「……え?」

エアリアル「うぅ……うぁぁ……」

妖精「エアリアルが泣くとアタクシまで……うぅ……」

私「………」



妖精「風車の弥七の方が強いです!」

エアリアル「拓殖の飛猿の方が上……」

妖精「ああ?エアリアルはどこ見てたですか!」

エアリアル「エインセルの目は節穴……」

私「………」

妖精「言わせておけばです……」

エアリアル「でも、かげろうお銀が一番……」

妖精「それは同意です」

私「ねぇ?」

妖精「なんです?アタクシ達うっかり八兵衛がどのくらい強いのか談義に入ろうとしてたですが!」

私「……貴女達、本当にこんな所にいたの?」

妖精「本当ですよ。何かちょっと違う感じでしたですけど」

私 (江戸時代……だよね?)

妖精「うっかりしてるから格さんを一撃で始末してしまうんです!」

エアリアル「八兵衛だから助さんをなぶり殺しにする……」

妖精「……なるほど、一理あるです」

私「うっかり八兵衛はそんな事しないから……貴女達どうやってこの世界に来たかわかるかな?」

妖精「言ったですよ?気が付いたらいたです」

エアリアル「一緒に来た」

私「……え?」

エアリアル「一緒に来た……」

私「誰と……?」

エアリアル「宗俊と」

私「………」

エアリアル「………」

妖精「……?」




妖精「この桜吹雪……散らせるもんなら散らしてみろぃッ!です!」バッ!

エアリアル「ぬふふふ……またぞろ退屈の虫が疼き出したわ……」バッ!

私「………」

妖精「ひとーつ!人の世の生き血を啜り……です!」

エアリアル「ふたつ……不埒な悪行三昧……」

妖精「みいーつ!醜い浮き世の鬼を退治してくれよう!です!」

エアリアル「火付け盗賊改……長谷川平蔵である」

私「……混ざってるよ」

妖精「エアリアル!長谷川は卑怯ですよ!」

エアリアル「早い者勝ち……」

妖精「ぐぬぬ!ならアタクシは貧乏旗本三男坊ですッ!」

私「ちょっといいかな……」

妖精「なんです?」

私「……宗俊って人と一緒に来たんだよね?」

妖精「そうです」

私「名字とかわかる?」

妖精「名字って何です?」

私「あ……その人、宗俊って名前だけで呼ばれてたかな?」

妖精「ん……胡散臭いとかインチキくそ坊主とか呼ばれてたです」

私 (それじゃわからないな……)

エアリアル「河内山……」

私「その人はそう呼ばれてたの?」

エアリアル「………」コクッ

私「………」グーグルッ!

妖精「へぇ!宗俊はくそ坊主とか胡散臭い坊主以外の呼ばれ方もあったですか」

エアリアル「………」

妖精「知らなかったです」

エアリアル「滅せり……」スガッ!

妖精「イタッ!な、何するです!」

エアリアル「宗俊は河内山宗俊って名前……それ以外は呼んではいけない……」

妖精「ほう……です」

エアリアル「………」

妖精「なるほどなるほど……です」

エアリアル「………」

妖精「やっぱりエアリアルさんは宗俊にぞっこんラブだった

エアリアル「滅せりッ!」スガンッ!

妖精「ギャァスッ!」

エアリアル「………」カァ……

私 (河内山宗俊……天保六花選?奥坊主?)

妖精「ギブギブですッ!羽が極ってるですう!」バタバタ!

エアリアル「………」グイッ

妖精「は、羽がもげるですぅぅぅ!」

私「……エアリアルいいかな?」

エアリアル「……?」パッ

妖精「ぐぁぁぁ……です……」

私「本当に……その人と来たの?」

エアリアル「………」コクッ

私「本当に本当?」

エアリアル「エインセルじゃないから嘘は言わない……」

妖精「何ですかそれ!アタクシだって嘘はつかないですよ!」

私、エアリアル「………」ジー……

妖精「……ま、まぁちょっとは嘘言うかもしれないですけど」



私 (河内山宗俊って人……もう亡くなってるみたいなんだけど……)

私 (江戸時代の人だから当たり前なんだけど……その人と来たってどう言う事なんだろ……)

私「エアリアル……宗俊って人の事教えてくれないかな?」

妖精「アタクシが教えてやるです」

私「エインセルは黙ってて」

妖精「な!?ですッ!?」

エアリアル「……優しくて頭のいい人間」

妖精「宗俊は優しく無いです!いつも悪い事ばかり考えててです!」

私「………」グイッ!

妖精「な、何する人間です!離せです!」

私「……ちょっと向こうの部屋にいてね。こっちの話が進まないから」カチャッポイッ

バタンッ!

……「人間んんッ!アタクシと除け者にするとはいい度胸ですッ!」

私「……なんて言うかな」

エアリアル「………」

私「その宗俊って人がね生きてた時代と今あなた達がいる時代って違うんだよ……」

エアリアル「………」

私「そのね……もう宗俊って人がいない時代にあなた達はいるの」

エアリアル「………」

……「ここから出せですブス人間!デッカイ毛穴拡げて恥ずかしく無いですか!」

私「………」イラッ……

エアリアル「………」

……「よく見たら皺も沢山あったですね!」

私「………」ブチッ……

エアリアル「………」

私「ちょっと……待っててね……」

ダダダッ!ガチャバタンッ!

エアリアル「………」

……「誰がデッカイ毛穴で皺があるってぇぇぇぇッ!?」

……「に、人間ですよ!」

……「あああ?この口が言ってるのかぁぁぁッ!」

……「やめへへす!いたあてす!」

……「おのれは同じ女なら言っていい事と悪い事がわからんのかぁぁぁッ!」

……「おおお女はそんな言葉使いしないです!」

……「うるさいわ!」

……「ひぃぃぃですぅぅぅッ!」

……シーン……

エアリアル「………」ゴクリッ……

ガチャ

私「……お待たせ。ごめんね」

エアリアル「……エインセルは?」

私「いい子だから静かにしてるって」

エアリアル「………」

私「で、宗俊って人もこの時代にあなた達と来たの?」

エアリアル「……そう」

私「……あのね、その宗俊って人……もう亡くなってるんだって」

エアリアル「………」

私「………」

エアリアル「そんな……事は無い……」

私「文政六年……今から役二百年前にね」

エアリアル「………」

私「だから……」

エアリアル「宗俊は何で死んだ……?」

私「………」グーグル……

エアリアル「………」

私「水戸家?の悪事を暴き投獄、牢屋で毒を盛られて牢死……なんだって……」

エアリアル「………」

私「この奥坊主の宗俊って人……悪い事も沢山してるけど、不祥事件とか暴いたりしていい事もしてるんだね」

エアリアル「……?」

私「巨悪に立ち向かうって事で民衆から凄い人気だったみたいね」

エアリアル「宗俊は奥坊主じゃ無くて御数寄屋坊主の筈……」

私「……?」

エアリアル「その話……おかしい……」

私「そうなの?……でもこう伝えられてるよ?」

エアリアル「………」

私「本当なのかは私じゃわからなんだけど……」

エアリアル「………」



妖精「もう食べられないです……zzz」

私「ベタな寝言を……」

エアリアル「いい……?」

私「ん?なに?」

エアリアル「さっきの話……嘘だと思う」

私「信じられないのはわかるけど……」

エアリアル「風に乗って宗俊の匂いがしたから……今、宗俊はこの時代にいる筈……」

私「……匂い?」

エアリアル「凄く遠い所からの匂い……」

私「……そんなのわかるの?」

エアリアル「ワタシは大気の妖精だから」

私 (じゃあ……宗俊って人は過去から未来に来たって事?まさか……)

エアリアル「………」

私「………」

エアリアル「エインセルは貴女」

私「へ?」

エアリアル「エインセルはワタシ。エインセルは宗俊……」

私「……?」

エアリアル「エインセルは己の光と闇……惹かれ反発し遠しき近い者……」

私「何を言ってるのかわからないんだけど……」

エアリアル「灯火が塵の世で消え去ろうとした時……エインセルは呼ばれる」

私「………」

エアリアル「……貴女は命を断とうとしている」

私「………」

エアリアル「現世から常世への旅立とうとする匂いがする」

私「……うん。そうだね」

エアリアル「………」

私「知ってたの?」

エアリアル「……ワタシと貴女は同じだったからわかる」

私「同じ……?」

エアリアル「ワタシも命を断とうとしていたから……」

私「………」

エアリアル「……宗俊も同じ」

私「そうなんだ……」

エアリアル「………」

私「エインセルは知ってるの?」

エアリアル「エインセルは知らない。ワタシが気付かせないから
……」

私「………」

エアリアル「………」

私「……それとあなた達がこの時代に来たのと関係あるの?」

エアリアル「ある。……貴女がエインセルを引寄る引き金を引いたから」

私「………」

エアリアル「ここに来たのは別の力によるもの。貴女はその道標になった」

私「別の力?」

エアリアル「時空を超える力……ワタシにもよくわからない」

私「時空を超えるって……タイムスリップとかそう言うの……だよね?」

エアリアル「………」

私 (あ、頭痛くなってきた……何時空を超えるって!そんなの有り得るの……)

妖精「………」

私 (嘘……付いたって意味無いよね……。この子達の存在が既に信じられないものだし……)

妖精「………」



エアリアル「……zzz」

私「………」

妖精「……人間」

私「起きちゃった?」

妖精「死んじゃおうとしたですか……?」

私「聞いてたんだ。うん、そうだね」

妖精「……何故なんです?」

私「ちょっと言いたくないかな……」

妖精「………」

私「………」

妖精「なら言わなくていいです」

私「ごめんね……」

妖精「いいえです。んん!はぁ……アタクシは後どれくらいそんな顔を見ればいいんですかね……」

なんか勘違いしてるぞこいつ

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