剣士「じゃあ行ってくるね、母さん」
母「はい、いってらっしゃい。たまには顔見せに帰ってきなさいね」
剣士「分かってる、落ち着いたらまた手紙出すよ」
犬「ワンワン!」
剣士「ああうんうん・・・お前も元気でな」
犬「ワン!」
剣士「ふぅ、それじゃ出発するか」
父「ほら持ってけ」
剣士「わっ・・・と、父さん」
父「使いどきは間違えるなよ」
剣士「これは・・・今試しに使ってみたらダメ?」
父「ダメだ」
剣士「ホントにこれ使えるの?」
父「なんだお前父親を信用してないのか」
剣士「そういうわけじゃないけど・・・」
父「まあヤバくなったらまずは逃げろ」
剣士「うん」
父「よし、それじゃ頑張ってこい」
剣士「いってきます!」
剣士「王都まではそこまで距離はないけど・・・父さんも母さんもどうしてあんな外れに住んでるんだろ」
剣士「幸い道は整備されてるから行き来に不便はないみたいだけども」
剣士「それにしても王都ってどんなとこなんだろう」
剣士「王国の屈強な戦士が町中を闊歩してたりするのかなあ、あー楽しみ」
剣士「・・・・・・」
剣士「あっ、俺が住んでた村遠くから見るとあんな風なんだな」
剣士「もう、結・・・わっ!」
女「きゃっ!」
剣士「ごめんなさい!大丈夫ですか?」
女「は、はい。大丈夫です」
剣士「ちょっとよそ見しちゃってて・・・散らかしてすみません」
女「いえ、こちらこそ。お荷物私も拾いますね」
剣士「どうもありがとうございます!ああ、王都の人って優しいんですね」
女「えっ?」
剣士「あ、ちがいました?」
女「い、いえ・・・王都ですよ」
剣士「わー、やっぱり!」
女「はい、どうぞ」
剣士「なんかほとんど拾ってもらっちゃってすみません」
女「ふふっ、あと少し行ったら王都ですから。気をつけてくださいね、それではごきげんよう」
剣士「ご、ごきげんよう・・・」
剣士「・・・・・・」
剣士「ごきげんようってなんだろ」
剣士「はい着いた」
門番「はいストップ」
剣士「はい紹介状」
門番「はい通ってよし」
剣士「はいありがとうございます」
剣士「あ、アカデミアってどこにありますか?」
門番「まっすぐ行けばあるよ」
剣士「こ、ここがアカデミア・・・」
剣士「あれ?絵で見たのとなんか違う・・・というかこれ城かってくらい大きいな」
受付「どうしたのかなボク?」
剣士「もうボクって年じゃないですよ」
受付「いやねえ、あまりにも田舎モノ丸出しだったから」
剣士「これ紹介状です」
受付「ああはいはい、うーんと?」
剣士「・・・・・・」
受付「げっ・・・ちょっと待っててもらえる?」
剣士「はい」
剣士「うーん、さすがに半日歩きっぱなしは辛い・・・眠くなってきた」
隊長「お、見ない顔だな?」
剣士「新しくここに入ることになりました!よろしくお願いします!」
隊長「へー、この時期にねえ。こりゃ直轄か?」
剣士「チョッカツ?えっと父の紹介状で・・・」
隊長「父の紹介状!?やっぱ直轄入るやつは違うねえ」
剣士「えっとチョッカツ?ってなんですか?」
隊長「お前直轄知らないのか?だとすると・・・」
受付「お、お待たせしました・・・って隊長じゃん」
隊長「こいつどこ入るの?」
受付「王国隊ですよ」
隊長「おいおいマジか」
受付「あんたの隊でしょ・・・」
隊長「いやあ、みんな直轄行っちゃうしねえ」
受付「えっと、この人についてけばいいから」
剣士「あ、はい」
受付「後はまかせた」
隊長「まかされた」
隊長「ほうほう、そんなところからなあ。しかしそんな村あったんだな」
剣士「ご存知ないですか?」
隊長「おう、多分ほとんどの人間が存在しらないぞ」
剣士「そんなヘンピなところだったのか・・・」
隊長「・・・・・・」
剣士「あ、あれ・・・もしかして疑ってます?」
隊長「そういう心配はしてない、そもそも紹介状があって通れてきたんだろ」
剣士「そう言われればそうですね」
隊長「しっかしそれなら尚更直轄にいれなかったのが分からんな、まあどのみち同じか」
隊長「ああ悪い、直轄ってのは王子の肝いりだよ。ほぼ親衛隊と言っていいだろうな」
剣士「王子様はアカデミアにいらっしゃるのですか?」
隊長「いるぞ、ちなみに俺と同い年だ」
剣士「なるほど、今のガーランドには王国隊と親衛隊の二本の剣があるんですね!」
隊長「お、おう。まあそういうことになるな・・・」
少年「たいちょー、おかえりー!」
隊長「おう、新入り連れてきたぞ」
少年「ええっ!?」
剣士「こんにちは!・・・って一人しかいませんね」
隊長「今はな」
剣士「しかし100人くらいは簡単に入りそうな広さです」
隊長「200人くらい訓練してたぞ」
剣士「俺、今まで親としか訓練したことなかったんで200人もの人といっしょにやれるなんて楽しみです!」
隊長「そうか」
少年「いや、今は3人しかいないから」
剣士「えっ」
隊長「うっ」
剣士「これアレですよね、王都で流行ってるどっきりとかいう遊び。俺知ってますよ」
少年「現実見ろって」
剣士「それでは200人というのは・・・?」
少年「数年前まではいたらしいぞ、王子が来て1年経つくらいまでだな」
隊長「・・・・・・」
少年「・・・・・・」
剣士「・・・分かりました」
隊長「いやちょっと待ってくれ、せっかくの3人目が」
少年「僕がいるだろ」
剣士「あの・・・」
隊長「もう少し考えてからでも」
剣士「今残ってるのは少数精鋭なんですね!」
隊長「うん?」
少年「まあそうとも言う」
剣士「やっぱり!」
隊長「いやいや」
少年「間違ってないじゃん」
隊長「ほう?」
少年「す、少なくとも僕以外の2人は向こうの3人には入れるし!」
隊長「・・・それはどうかな」
剣士「しかし父から聞いていた王国隊がほとんど親衛隊に吸収されていたとは」
隊長「残されたのは単に政治的理由ってやつだ」
剣士「政治的理由?」
隊長「それはまた今度な」
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