妹「兄さま、このスレはID腹筋ですわよ」(17)

  ∧,,∧
 ( `・ω・) ようこそID腹筋休みスレへ!
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 しー-J

ここはsageずに書き込み、出たIDの数字の回数だけ腹筋を休むという、
硬派なトレーニングスレです。

例1 ID:wwh7KM12 の場合 7×12=84 なので84回休みましょう。
例2 ID:bicycle. の場合 数字がないので今日は100回腹筋。


さあ、存分に腹筋しないがよい。↓

ん?

二番煎じだな

妹「どうして踏んでしまったのですか?」

男「いやつい期待して」指スリスリ

妹「嘘ですわね。本当は、このスレがID腹筋スレと判っていた筈ですわ」

男「何を根拠に」

妹「履歴、消し忘れていましてよ」

男「…………」

妹「ふふっ、嘘です。でもその慌てようは嘘ではないみたいですね」

男「……参ったな。一杯喰わされたよ」

妹「どうしてこんなID腹筋スレなんか立てるのですか?」

男「いや、今回が初めてなんだよ」

妹「また嘘ですね」

男「いや本当だよ。信じてくれ」指スリスリ

妹「嘘を付かれる時、視線を下に落として指先を擦る癖は直した方が良いですわよ」

男「……無くて七癖――っていう諺があったっけ。意外と気付かないものだ」

妹「改めてお聞きします。どうして腹筋スレなんか立てるのですか?」

男「何でって、別に理由なんかないさ。ただ路傍の石をつい蹴るのと同じさ」

妹「その割に随分と立てているみたいですね。本当に履歴を消し忘れるぐらい」カチカチ
妹「軽く履歴を見ただけでも、スレ立てが十は下らないですわ」

男「下らないことでも、熱中することはあるさ」
男「特に引っかかった奴らのレスが面白くってね。顔を真っ赤にしている様子が思い浮かぶよ」

妹「でも立て過ぎて皆さん呆れのレスばかり。特に酷いものだとレスすらありませんわ」
妹「これは、本当に兄さまの望んだものでして?」

男「…………」

妹「兄さま、本当は如何なる理由で立てたのですか?」

男「……参ったよ本当に。俺に似ず優秀な妹だお前は」
男「理由、か。特にないよ。本当さ。初めはからかうつもりで立てたんだよ」

妹「ええそうでしょう。釣りスレ腹筋スレというのは、そういうものでしょう」

男「まあレスが多ければ楽しいけど、みんな慣れてくる。そうするとレスも少なくなる」
男「『なんだいつものか』、『タイトルで腹筋スレ余裕』、『何番煎じだよ』ってね」

妹「同じ事を繰り返すのですから当然ですわ。私も腹筋スレ踏んでも、すでに怒りも呆れも沸きませんわ」

男「ある日最後の腹筋スレにしようと思って立てた。典型的なタイトル詐欺に、いつものAAと文面」
男「何事もなく終わるはずだった。ところが、そのスレは違ったんだ」

妹「何がありまして?」

男「――レスがあった。ただのレスじゃない。タイトルに見合ったSSが書かれていた」

妹「成る程。タイトルをお題に見立ててその方は書かれたのですね」

男「そうだ。まさかそんな事が起きるとは思わなかったよ」
男「そのSS自体はそこまで面白いわけではなかったけどさ」

妹「腹筋スレを立てている方が随分な口をきかれるのですね」

男「事実そうだったから仕方がない。でも、驚きと腹筋スレが台無しになったという感情」
男「――何より、嬉しいという感情が沸いた」

男「それ以来、俺は腹筋スレを立て続けてきた。大抵は期待を裏切られて落ちていった」
男「でも、時折SSを投下する奴が現れる。その感動を俺は味わう。そう、それが俺が望んだものだ」

妹「兄さま……そうだったのですね。そんな想いを抱いて腹筋スレを立てていたとは」

男「ありがとう妹。俺は惰性で腹筋スレを立てていた。その意味を、もう一度知ることが出来たよ」
男「やはりお前は、俺には過ぎた妹だ」

妹「兄さま……」



妹「感動風にしてますけど、スレを乱立させて皆様にご迷惑をお掛けして、期待を裏切っていることに変わりありませんよね?」

男「…………」
男「すいませんでしたぁ!」ドゲザァ

妹「もう兄さま! いい加減釣りスレ腹筋スレを立てるのはメッ、ですよ!」

男「仰せのままに!」

妹「……本当は兄さま、SSを投下したかったのですよね?」

男「いや、俺は――」

妹「兄さまのPCの中、沢山の未完成SSが眠っていますわ」カチカチ

男「……やめて、くれ」

妹「私は面白いと思いますのきっと。だから投下してスレの皆様にご感想を――」カチカチ

男「やめてくれ!!」

妹「…………」

男「そんなSS、昔のことだ。若気の至りさ」

妹「ならば消せば良かったのですわ。残っているっていうことは未練があるということ」
妹「兄さま、いい加減目を逸らさないで」
妹「どうして腹筋スレを立てたのか、そこに至った本当の理由を、兄さまの口から聞かせて下さいまし」

男「……俺だって、書きたいと思ってSSを書いたことはあるさ」
男「ラノベやこのスレのSSみたいのなんて、簡単に書けるって思ってさ」

妹「でも、違ったのですね」

男「そうさ、簡単に見えるだけだ。間抜けな文章だと思っても、そいつは書ききっている」
男「対して俺はどうだ? 数行書いて満足して、自分は讃えられる白昼夢を見るだけ」
男「多くのSSは書ききれず、フォルダの肥やしにした。そのフォルダもどこか奥に放り込んだ」

男「けど、一つだけ書ききった」

妹「…………」カチカチ

男「書ききったという充足感、達成感! あの時は天下を取った気分だった。誇張でも何でもなく」

妹「…………」

男「もちろん投下したさ。一世一代のSS。みんなの驚く顔が浮かんだものさ」
男「でも、驚いたのは俺の方だ。投下したSSは酷評された。ボロボロさ」
男「そして何より、数十レスに及ぶ俺のSSに対して感想レスは3、4つ」

妹「……」

男「才能がなかったとまざまざと思い知らされた。内心見下していた連中より下だと言われた気がした」
男「投下した腹筋スレのタイトルは、全部俺が書きたいと思ったものばかりだ」
男「でも、あんな屈辱を受けるなら、俺はもう書かない」

妹「  」

男「ははっ……自分の惨めな思いを晴らすために迷惑をかける。とんだ屑もいたもんだ」

妹「」

男「はぁ。もう辞めようこんな愚痴。言ってて気分が鬱になる」



男「腹筋スレでも立てて憂さ晴らしするか。他に、何かする気分にならないし」



男「そういえば誰かと話していた気がする。独り言極めたかな? はは、ははっ……」

男「はぁ。糞スレ立てる気も沸かなくなった。電源落として――」

男「こんなフォルダあったか? ウィルスか何かか?」

男「ネットに繋げるだけのPCだから問題ないけどさ……何か見た事があるような」カチカチ

男「……ああ。質の悪いウィルスだな。こんなものをデスクトップに置くなんて」

『いいではないですか。やる事ないならやってしまいましょう』

男「どうせ書ききれないさ。投下しても酷評、いやレスすらつかないさ」

『男は度胸。何でもやってみるものさ、ですわ』

男「……どうせ家に居ても寝るかゲームしてるかだ。暇つぶしに触ってみるか」

男「最初は――書ききったやつを改訂して、投下してみよう。リベンジだ」

『気取る必要はないですわ。自分のペースでこなせば良いのです』

男「よし、そうと決めたら元のSSを読んで流れやキャラを把握しないと」

男『タイトルは――』



『妹「兄さま、このスレはID腹筋ですわよ」』

まずは読んでくれた人、乙
腹筋スレ乗っ取り(?)は初めての二回目です

わざわざ腹筋スレを立てる人間が居たら、心が捩れた変人だ
判っていて腹筋スレを見る人間が居たら、相当な物好きだ
そしてそんな腹筋スレにSSを投下する人間が居たら、もはや狂気である

つまり何が言いたいのか。詰まるところ「腹筋スレ自重しろ」ということです
立て逃げせず、遅くてもいいから書いてほしい。どうしても書けないというなら誰かに託してほしい
そんな事を伝えるためにわざわざSSを書く奴の気がしれないですね

それでは改めて乙です


……腹筋スレ乗っ取りした上で書ききってないの思い出したわ
今度の休みに書こう……

>>16
いつも楽しく読ませてもらってるよ
ありがとう

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