新卒「調子こいて新卒採用蹴ったけど、正直、後悔してます」
天使「…マッチング相手、有名ブラックだもんな�・」
新卒「あんた達、誰なの?」
天使「これは失礼を」
天使2「俺たち、天国で青田買いしている天使です」
天使「…早い話、あんたを採用しようかと」
新卒「え? 就職出来るんすか?」
天使「おおよ、喜べ喜べ」
新卒「…就職活動108件受けて、唯一面接に漕ぎ着いたのがあのブラック岳だったんです」
天使「知ってる知ってる」
新卒「罵倒面接にも耐え続け…」
天使2「ごくろーさん」
新卒「やっぱり捨てる神いれば、拾う神が…」
天使「うん、まどろっこしいから、早く死んでくれ」
新卒「…え?」
天使2「ん? 良く聞こえなかったのかな?」
天使「リピートアフターミー、貴方の就職先が決まりました、だから死んで下さい」
天使2「オーケー、グッドコミニケーション」
天使「オーイエー」
天使2「hahaha...」
新卒「…………」ポカーン
天使「いやな? 最近天国で人手不足だからさ」
天使2「一足先に、青田買い」
天使「…で、お前死にたそうだし、ちょうど良っかな�・って」
天使2「うむうむ」
新卒「ええと? 要するに死ねば雇って下さると?」
天使「オーイエー!」
新卒「んじゃ死にます…」フラリ
天使「おわっ! ちょっと待て!」
新卒「何ですか? 採用前に試験ですか?」
天使「…えーと」
天使2(こいつ悟り世代だわ。プラン変更を)ヒソヒソ
天使(…悟り世代?)ヒソヒソ
天使2(過酷な現実社会と世の中の幻想の狭間で苦しみ続けてきた世代だ)ヒソヒソ
天使「…わけがわからん」
天使2「高度成長期やバブル世代を知らず、就職氷河期時代ばかり見てきた奴等だ」
天使「具体的には?」
天使2「何が幸せかを、誰からも教えて貰えなかった世代」
天使「…生きること此れ修行也、ってやつか?」
天使2「そうそう」
天使「でもさー、こいつブラック蹴ったじゃん」
天使2「ばかたれ、優等生気質で素直、でも生きること自体に希薄、って奴等だから一筋縄じゃないことに気付け」
天使「…何すか、その病んでる世代」
天使2「現実は夢も希望もないって中途半端に知ってるからな、形勢は不利だぞ
天使「……」ゴクリ
新卒「どうかしましたか? 御気分でも?」
天使2「いやいや、アイムソーリーヒゲソーリー。心配ゴム用、安心薄型」
天使「…先輩、キョドり過ぎっす」
天使2「あーあーそうそう、雇用前に課題があったのを忘れていた」
新卒「課題?」
天使2「うむ、我々が見えている時点である程度君には死ぬ覚悟があることは分かっている」
新卒「…ええ、はいまあ」
天使2「我々としては合格なのだが、採用前にもう 一度だけ、現実世界で就職活動を行って貰う」
新卒「はあ」
天使「…但し、受ける業種は他業種も必ず混ぜること」
新卒「?」
天使2「有り体に言えば、もう一回君は試されるわけだ」
天使「で、何かに就職した時に、俺らまた来るから、その時にまだ見えてたら君を連れていくって寸法」
新卒「…なるほど、わかりました」
天使2「天国は人手不足だが、誰でも良いわけじゃない。必ず全力を尽くせよ」
天使「んっじゃな�・」
バタン
パタパタ
天使2「…………」
天使「完敗っすね」
天使2「完敗だったな」
天使「…どうするんすか? あいつが就職したら本当に行くんすか?」
天使2「行くしかあるまいよ、堕天は御免だ」
天使「…うっわー、気が重い」
天使2「んなこと言うな、これもノルマ達成のためだ」
天使2「…お前、頭ごなしに叱りつけられたらどう思う? 」
天使「なにくそ! ぶっ殺してやる?!、っす」
天使2「…ところが先刻みたいな人間は、叱られても寂しそうに微笑むんだわ…」
天使「え? 理解出来ない
天使2「…思考回路が違いすぎるだろ?」
天使「根性情熱じゃなく、ひたすらシュールな人生観なんすかね」
天使2「…さてな? さーて、次行くぞ次!」
天使「うぃーっす!」
おわり
ゆとり「悟り世代怖ぇ」
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