『red lump』(37)


なんでここにいるのかわからなかった。

深い眠りから覚めたような感覚。私は生まれたままの、一糸纏わぬ姿でそこにいた。

2m立方体程の狭く息の詰まるような部屋。壁も床も天井も黒く塗装されたコンクリート。明かりと言えば、天井の中心から細く短いロープで吊りさげられた、手のひらサイズの裸電球だけ。

唯一の救いは赤茶色に錆びた、装飾ゼロの重厚そうな扉が前後左右に4つ。
まるで私を押し潰そうと迫り来る床と天井を、四方から支えてくれているように高さいっぱいに、しかも1面につき1つ、それらは詰められていた。


なんでここにいるのかわからない。

ただ学校で嫌いな担任のつまらない授業を受けていて…そうだ、腕を枕にして寝たんだった。その後の記憶が全くない。

…あぁ、そうか。私は気付いてしまった。だからここにいるのか、と。
それなら納得できる。これから何をされるのかも当然わかっていた。
既に覚悟を決めた精神とは裏腹に、身体の震えは止まってくれない。

やがて、背後の扉が痛々しい悲鳴をあげて開いた時、私の99%の推理は100%の確信へと変わった。


お父さん、お母さん、お兄ちゃん、ごめんなさい。私は選択を間違えた。

入室者がその手に握った銀色に光る刃を振り下ろす刹那、私は走馬灯を見ていた。彼と一緒に海辺を歩いてしまった。今はその事だけが後悔の種。

それじゃ、またどこかの世界で。

・・・

刃は体にあたっておらずそこには刃を持った一人の少女がいた

少女「うぐぅ」

君は・・・

少女「ボク?ボクの名前は月宮あゆだよ」

ここは・・・どこなのだ・・・

あゆ「それは…>>5


地の文ばかりですいません

他サイトで書いていたものを投下する予定ですが、場違いでしたらこれで終わりにしようと思います


とりあえず空気を読もうか

>>6

失礼しました

自重します

空気読もうかって>>4のことだろ
まあこんなすぐ折れる豆腐メンタルじゃどうせ続けられなかっただろうけど

ありがとうございます
てっきり乱立の中での空気読め、かと

続投します

『常識=常識』


降りしきる雨の中、私は頬杖をつきながらそれを眺めていた。

運動場で体操服姿の生徒達が、鉄パイプのようなものでお互いを殴りあっていた。既に動かない者もおり、その周りに血溜まりをつくっていた。

ふと教室の前方へと目をやると、丁度黒板と十字になる形で先生がロープを首に巻き付け、青白い顔で空中に浮いていた。自習らしい。


鞄からお弁当箱を取り出して、中身を確認する。うん、いつものだ。お母さんありがとう。

私はその中からゴキブリを一匹つまんで口に含む。カサカサと蠢くその感触を楽しみながら、ガリッ、と一噛み。口の中に広がる苦くも酸味のある体液。癖になるよね。

前の席には愛しのあの子。食べちゃいたいぐらいに白くて綺麗な首。今日の教材の1つだったカッターをカチカチカチ。力の限り突き立てた。


辺りに鮮血を散らせてその子は振り向いた。ひきつり笑い、痙攣し、それでも視線は私の目線と絡みあっていた。


やがて彼女が動かなくなった頃、私は再び外を見た。校庭にはプールが完成していた。午後は大好きな水泳だ。
私は手を合わせて神に祈った。

「これからも世界が平和でありますように」

『届かぬ心』


名前も知らない剣士様へ

あなたは今どこでなにをしていますか?

私は相も変わらず花売りを続けています。

初めてお会いした時の事を覚えていますか。街で躓いて転んだ私に手をかして頂いた事、今でも鮮明に覚えています。


戦地へと赴く兵隊様の列が街路を行進していた時、その中にあなた様の姿をお見かけしました。
目が合い、私に笑いかけて下さったように見えたのは、気のせいだったのでしょうか。

今こちらでは春になり、若芽が芽吹き、鳥達がさえずりあい、優しく暖かい太陽が恵みを与えてくれています。

名前も知らない剣士様。この平和を、私にくれた優しさを、暖かい笑顔をありがとうございます。この国はさらに成長していくでしょう。

それでは、短い別れを。またいつの日か、お会いできる事を願っています。


そこまで書き終えて、私はペンを置いた。送る訳でもないのに、と溜め息を一つ。

窓ガラスからは月の光が射し込んでいる。満月の綺麗な円形を眺めていると、無性に心の奥がざわつく。
二つ目の溜め息。私は蝋燭の火に息を吹き掛け、彼と共に眠りについた。

『鉄の町』


それは唐突だった。

空が赤い。

周りを見渡すと、いくつもの腐ったコンクリート製のビルが傾いて建っていた。
人の気配はなく、虫さえいる気がしない。まるで映画で見るような人類滅亡後の未来。

そんな中で、僕はリボルバー式の拳銃を片手に立ち尽くしていた。

僕は人を待っている。いや、人なのかもわからない。ただ漠然と、待っているという事だけが意識の中に擦り込まれている。

突如、黒い雨が天から降り注いだ。それに触れる度、僕の体と心は溶かされていき、同時に満たされていった。

そして、ついに僕という存在は消えた。

ここは寂れた駅のホーム。

僕は有名なサーカス団のピエロ。

そう、僕が待っていたのは…。

『夢』


ただ、あなたの事が好きなだけ。

そんな言葉など絶対的なリアリストである彼には届くはずもなく、絶対的ドリーマーの私の思いは思考の海に沈んでいった。

私に全てを委ねてくれれば、私を見てくれさえすれば、私はあなたを満足させる自信がある。
…少し疲れちゃうかもしれないけどね。


でもいくら思いを募らせても、あなたは否定する。
存在理由を否定し、現実だけを直視して私を見ようともしない。

昔はあれだけ情熱的に求めてくれたのにも関わらず、今は冷めた目で日々を過ごしている。

諦めない。お互いにそう誓ったはずなのに。あの頃は2人で1人、切り離せない程にまでお互いドロドロに溶けあっていたはずなのに。


私はあなたが朽ちゆくその時まで待つ。深い闇の底で、あなたが光で照らしてくれるのを待っている。

あの暖かくも眩しい笑顔が見たい。私を動かす理由はそれだけで充分。

だから今はゆっくりおやすみなさい。

あなたが良い夢に魅られますように。

ごめん、乱立の中での空気読めって意味だったんだ…
別に場違いだなんて言うつもりもなくて、荒らしに台無しにされそうだったからさ

そうでしたか…
ありがとうございます

なんかすいません

続きます

『下り坂エンドロール』


春先の、まだ少し寒さの残った季節を肌に感じながら、私はこの彼岸桜の並木通りを息を弾ませて駆けていた。

まだ蕾だらけの寂しい遊歩道だが、全ての木々に垂れ下がる首吊りの彼らのお陰で、朝から嬉しい気分になる。
それらの味を確かめたいという欲求を抑え、私は学校と家の中間地点である横断歩道へと辿り着いた。


長い行列ができていた。

此処の所毎日この調子で、車やトラックが通る度に1人ずつ、順番に道路に飛び出しては自らの内蔵物や液体をそこら中にぶち撒ける。
実に献身的だ。

不規則にやってくる猛スピードの車両達は、人を撥ねる度に舵を取られ、近所の民家や電信柱に突っ込み、大破していった。


やがて信号が青から赤になり、私は優雅にレッドカーペットを踏みしめた。
靴の裏に柔らかい物を感じるが、走るのに疲れ、呼吸困難気味の私は気にしない。

腕時計で時間を確認すると、既に1限目の開始時刻になっていた。私は歩みを止めて少し引き返す事にした。


心を踊らせながら、まだ続くであろうその行列に加わり、私の魔法の言葉…幸せの呪文を呟いた。

「これからも世界が平和でありますように」

『時機』


「包丁ってさ、人を刺し殺す為の物じゃないと思うんだよね」

何を今更そんなわかりきった事を。

「バットってさ、人を殴り殺す為の物じゃないと思うんだよね」

…………そうだね。

「でも刀や銃は人を殺す為の物なんだよ」

どう作りあげるかの違いだね。後は考え方や目的、そしてその世界の常識。

「それじゃあ人間は何の為に存在するのかって考えてみたんだけど」

うん。

「やっぱり人を殺す為に創られたんだと思うんだよ」

…………。

「だから、さようなら」

奇遇だね。

僕も丁度同じ事を思っていたよ。

『blue blue』


今日は将来の為に料理を覚えます、と心の中で高らかに宣言した。
普段、私の事を見下している弟も今回ばかりは協力してくれるらしい。
まずは下準備の為に、リビングのテーブルに横になってもらう事にした。


震える手で弟の左親指を掴み、ペンチで思い切り爪を挟んで捻りあげた。
すると、兎の首をくびり切ったような音と共に、粘性のある赤い糸をいくつか引きながらそれは剥がれた。

それを左右合わせて10回繰り返す。弟はニタニタ笑いながら私を小馬鹿にする。


次はノコギリと熱したコテ。ここからが正念場だ。弟の左肩にノコギリをあてがい、行くよ、と声をかけてから手前に力強く引く。

ギザギザに乱れた歯が服と肉を乱雑に千切る。霧状の紅を浴びたのは言うまでもない。

奥に手前に。なんだか楽しくなってきた。弟も、叫び声と呻き声を綯い交ぜにしたような奇妙な声でbgmを奏でてくれている。

そんな楽しい時間も、やがてゴトッ、という音と共に終わりを迎えた。


相変わらず血を吐き続ける弟の左肩の断面に、赤く光るほどに熱を帯びた焼きゴテを押し付けた。

肉の焼けるいい音、匂い、そして弟の大きな金切り声。それら全てが私を恍惚とさせた。

後は簡単。少しずつ切り取って盛り付けるだけ。

私、いいお嫁さんになれそうです。

『puppet show』


それでね、鏡子ちゃんが言うの。人は争い好きの生き物だって。

うん、そういう考え方をする人もいるよ。

あと私、礼美が嫌い。自分が1番だと思っているんだもの。

うん、そういう人もいるよ。

それと、お母さんが女の子は淑やかじゃないと駄目って言うの。

うん、そう思うのも自由だね。人によるよ。


……………………。

うん、人によるんだよ。人それぞれ。個人の自由。どんな考え方をしてたって、どんな生き方をしてたって、どんな言葉を発してたって。




なんで………。

私なにも言ってないよ?

本当はそんな事思ってない癖になんで? 心の中では人に触れたいって我執に捉われているだけの癖に。


クールぶって自分だけ蚊帳の外で、私は大人だから人の考えには干渉しない? 個性を尊重する冷静な大人?
うそつき。

人それぞれ、そんなの逃げでしかないよ。

その言葉を使うだけで、どんな会話も意味を無くして沈黙する。
不自由な意識は更に行き場を失くし、自らのアイデンティティーに自傷の跡を増やしていく。
不可逆的な思想に追い込まれ、いつしか周囲の変化に興味を持たなくなっていく。


もう見て見ぬ振りはもうやめようよ。中途半端なロボットを演じるのはたくさん。
つまらない事に一喜一憂して、子供らしく感情的に生きたいの。

そうだよね。

私。


ここらへんで切り上げたいと思います

投下しながら改めて読むと稚拙な文章で申し訳ないです
また勉強してから出直します

ありがとうございました



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