◆ほのえり
◇シリアス展開有りかもしれません
◆記憶喪失ものです(死ネタはないです)
◇違和感はことりのおやつに
のんびり書いていきます
よければ最後までお付き合いください。
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ワロタ
えぇー……のぞえり書いてそれかよ……
もしかしておちょくってんのかよ、そういうのホントいいからやめろ
「絵里ちゃんが、事故!?」
「うん、今アリサちゃんから連絡きてな。余所見運転してた車との接触事故やって。頭とかは打ってないらしいんやけど、なんかおかしいらしくて。」
「おかしい…ってそれってどういうことなの希ちゃん!!!」
「まぁまぁ穂乃果ちゃん落ち着いて。今はウチらしかこのことを知らない。一応2人でえりちのお見舞いいこ?大事とって真姫ちゃんの病院で1日入院するみたいやから」
「うん、いく。絵里ちゃん大丈夫だよね?」
「大丈夫や、えりちなら。」
無事でありますように。
ただそれだけを祈って穂乃果と希ちゃんは真姫ちゃんの病院に急いだ。
ガッカリ
はやいなおい
>>3
すみません、前作とは全く違う話として見ていただけると嬉しいです
とりあえず全レスやめとけ
あほに付き合ってたらキリないから無視無視
今回も期待
どくん、どくんっと心臓が音を立てる。
穂乃果は変なところで勘が当たる。
この嫌な予感が的中しませんように、絵里ちゃんの身に何も起きていませんように。
ただそれだけを願って病室のドアを引いた。
「希?」
「えりち!起きてて大丈夫なん!?」
「えぇ、平気よ。ちょっとびっくりして転んでしまったのだけれど」
そんなたわいのない会話をしている絵里ちゃんと希ちゃんを見て、思わず涙が溢れてきた。
よかった、よかった。無事だった。
「ぅええ絵里ちゃんんんっ!!!穂乃果心配したんだよ!!なにかあったらどうしようって!もう!絵里ちゃんのばか!!」
病人にこんなことを言ってしまうなんてただの当てつけだけれど、溢れ出した安心感から口から言葉が付いて出た。
勢いに任せて絵里ちゃんに抱きつく。
ああ、いつもの絵里ちゃんの匂いだ。
いつものーー……
「希…この人は……?」
「えっ……えりち…穂乃果ちゃんやで…?μ′sのリーダーの…」
「μ′s……って…?」
頭の中がただ真っ白になって全身の力が抜けていった。
「穂乃果ちゃん!?大丈夫!?」
「……絵里、ちゃん……」
絵里ちゃん、絵里ちゃん。
穂乃果のこと、どうして覚えてないの?
「絵里ちゃん、嘘だよね?またそうやって穂乃果のことからかってるんでしょ…?」
「……穂乃果ちゃん、今日はもう帰ろ」
絵里ちゃん。嘘だって言ってよ。
どうして希ちゃんのことは覚えてて穂乃果のことは忘れちゃったの?
力の入らない腕を希ちゃんに引かれて、半ば強引に病室を出される。
穂乃果はただ、ドアの向こうにいるであろう絵里ちゃんを見つめていた。
「穂乃果ちゃん……大丈夫…?」
「……なんで…?」
「き、きっと今日混乱してるだけやって!明日になれば思い出してるよみんなのこと!」
「そうだよね、絵里ちゃんが穂乃果のこと、忘れたりなんかしないよね……」
明日になれば、また絵里ちゃんの笑顔に会える。
また手を繋いで、頭を撫でてもらって、もう穂乃果ったら、って。
またいつもみたいに名前を呼んでくれるはず。
今日のことはきっと夢なんだよ。
早くこんな嫌な夢覚めたらいいのに。
家に帰る途中、練習帰りの凛ちゃんと花陽ちゃんに会った。
「あー!穂乃果ちゃん!なんで今日練習こなかったにゃ!」
「希ちゃんも絵里ちゃんもいなくて………穂乃果ちゃん?なにかあった?」
…凛ちゃんは、花陽ちゃんはもしお互いに自分のことが忘れられたらどう思うかな。
「ううんっ、今日はちょっと用事があって!ごめんね、今日店番しなきゃだけだからもう帰るね!」
「えぇ!?穂乃果ちゃんもっと話そうよー!」
「凛ちゃん…!穂乃果ちゃんも忙しいんだよ。…でも穂乃果ちゃん元気なかったね、何かあったのかなあ」
『穂乃果は私の恋人なんだから、簡単に忘れたりしないわよ』
「……うそつき」
絵里ちゃんの、うそつき。
………………
あれから1週間。
絵里ちゃんは記憶障害の疑いがあるとしてまだ病院にいた。
あれから1週間。
穂乃果と希ちゃんは毎日絵里ちゃんに会いに行った。
あれから1週間。
穂乃果のことを名前で呼んでくれる絵里ちゃんは、まだいない。
「えーりち」
「希!毎日来てくれてありがとう…もう病院退屈で…………あら、今日も来たの?」
「あ、あはは……ごめんなさい…」
「えりち、そんな言い方はないやん。穂乃果ちゃんも毎日心配して来てくれてるんよ?」
「そうかもしれないけど…なんだか知らない人に毎日会うのは落ち着かないわ」
『今日も来たの?』
『知らない人に』
「……っ…」
「穂乃果ちゃん!?」
なんで、どうして?
どうして絵里ちゃん。
穂乃果のこと簡単に忘れるわけないって、
あの時確かにそういったのに。
忘れちゃうなんてひどいよ…。
あんなの絵里ちゃんじゃない、
絵里ちゃんじゃないよ。
本物の絵里ちゃんはどこにいるの?
穂乃果はまだ夢見てるのかな。
もうどうしたらいいかわからないよ。
今の絵里ちゃんには、穂乃果は重荷でしかなくて。
知らない人で、迷惑でしかなくて。
1週間前まで、確かに穂乃果たちは恋人だったのに。
…………
『絵里ちゃん、もし、もしね?何かの弾みで穂乃果のこと忘れちゃったらどうする?』
『ふふっ、穂乃果ったら。そうねー…記憶をなくすなんてよっぽどのことがない限り無いだろうけど……でも、穂乃果は私の恋人なんだからそう簡単に忘れたりしないわよ?』
『うんっ、穂乃果もだよ!絵里ちゃんだーいすき!!』
…………
あんな会話をしたから、神様が本当にしちゃったのかな。
「はぁ…はぁ…」
さすがに、病院からここまで走ったらそりゃあ疲れるよね…。
喉、乾いたなあ。早く帰ろう。
「穂乃果?」
「海未ちゃん…」
「穂乃果!貴女は毎日毎日練習に来ないで何をしているのですか?もう1週間も来てないでしょう、穂乃果聞いてますか?ほの……穂乃果!?」
「………」
海未ちゃんごめんね、そう口にした瞬間身体の力が抜けて立っていられなくなった。
視界がぐるん、と一回転したと同時に叩きつけられるような衝撃が体を襲った。
…眠い。
そういえばここ最近ずっとご飯も食べてなかったし、眠れなかったっけ……。
また体調管理がなってないって、海未ちゃんとにこちゃんに怒られちゃうなあ…。
わたしは、μ′sのリーダーなのに……ね
………………
「ん……あ、れ…」
「穂乃果!!目が覚めましたか!?よかったです穂乃果…」
「穂乃果ちゃん……っ、大丈夫…!?」
「海未ちゃん…ことりちゃん……ここは…?」
「私の家です。あのまま帰すわけにもいきませんから、事情を母にも話したので今日は泊まっていってください」
「ことりも一緒にいるからね!」
「えへへ…ありがとうふたりとも……」
まだ目の前がぐらぐらする。
加えてひどい疲労感だった。
「穂乃果は休んでいてください、お茶を用意してきます。ことり、穂乃果を頼みます」
「うん、わかった!」
「穂乃果ちゃん……絵里ちゃんと何かあった…?」
「……!!!ど、どうして……?」
「穂乃果ちゃんずっとうなされてたから…絵里ちゃん、絵里ちゃん、どうして…って…。ねぇ何かあったの?絵里ちゃんも希ちゃんも練習来てないし、穂乃果ちゃんも…」
ほほう
支援
ほのえり大好きだから期待
「記憶喪失……ですか…」
「嘘…絵里ちゃんが…」
「嘘じゃないよ…穂乃果、毎日絵里ちゃんに会いに行ってるもん」
「穂乃果ちゃん……」
「……明日、絵里のところへみんなでいきましょう」
「そうだねっ、ことりも心配だし…」
「とりあえず今日はゆっくり休まないと。体を壊してしまっては元も子もありませんから」
「うん、二人ともありがとう…」
2人がいてくれてよかった。
穂乃果一人だったらとっくに壊れてたかもしれない。
幼馴染ってやっぱり偉大だね。
その夜穂乃果は吸い込まれるように深い眠りに落ちた。
………………
「絵里ちゃんが事故…記憶喪失……大丈夫なのかにゃ…」
「(穂乃果ちゃんの元気がなかったのはこれが原因だったのかな…)」
「パパに聞いたら目立った外傷もないしそんなに深刻じゃないみたいよ。今混乱してるだけの可能性が高いって」
「まったく…そういうことはもっと早く言いなさいよね!なんで隠してたのよ希!」
「心配かけるかなって……」
「それはそうですが、言ってもらえないほうがショックなのですよ?私達は9人でひとつなのですから」
「そうよそうよ今更にこたちに遠慮は無用なのよ!」
「にこちゃんはもうちょっと遠慮したほうがいいと思うにゃー」
「ぬぁんですって!?」
「(…………穂乃果ちゃんを連れて行くわけには…でも、それだと怪しまれる…だけど…)」
「?希?どうしたのですか?行きますよ?」
「う、うん…今行く…」
(えりち、早く「穂乃果ちゃん」を思い出して…)
◆
「着きましたね。絵里の部屋は…」
「402号室よ、私ちょっとパパのところ寄ってからいくわね、先に行ってて」
「よっし!402ごーしついっくにゃー!」
「り、凛ちゃん!病院では静かにしなきゃダメだよぉ…!」
「そうよ凛!静かにしなさい!」
「にこちゃんもうるさいにゃ〜」
「……穂乃果ちゃん、大丈夫?」
「ことりちゃん…う、うんっ平気だよ!もうさすがにちょっと慣れちゃったっていうか!えへへ」
「……ほな、いこか」
ガラッ
「えりち、みんな連れてきたで」
「待ってたわ希!」
「絵里…!もう怪我はいいのですか?無事でよかったです本当に…」
「海未…心配かけてごめんなさいね。このとおりもう元気よ」
「え、絵里…今、私のこと……」
「絵里ちゃん思い出したにゃ!?」
「わ……!ちょっ、凛いきなり抱きついてきたらびっくりするじゃない!ふふ…」
「わーい!!記憶喪失になったって聞いたときは、どうしようかと思ったけど!思い出してくれてよかったにゃ……!!」
「え、絵里ちゃんこれ…っ!お見舞い…こんなものしか用意できなかったけど…」
「あら、可愛らしくて綺麗なお花。ありがとう花陽。飾らせてもらうわね?」
「〜っ…!う、うわああああんっ!よかった…!思い出してくれてよかったよぉ…!」
「ま、まったく……そんなことで泣くなんて花陽ったら…」
「あーら、そういう真姫も目が潤んでるわよー?」
「こ、これはっ!…エリーが無事で、よかったって、安心して…っ」
「真姫ちゃんも泣き虫にこっ」
「そういうにこは何故私に背中を向けてるのかしら?」
「目!目にゴミが入ったのよ!別に安心したから泣いてるなんてそんなことないんだから!」
「そうそう、このぬいぐるみことりが作ってくれたんでしょう?ありがとう、すっごく可愛いわ」
「!!!う、うんっ、絵里ちゃんが元気になりますようにっておまじないをかけて作ったの!」
絵里ちゃん、みんなのこと思い出してる。
μ′sのことも……
なら穂乃果のことももう思い出したはずだよね?
もう我慢しなくていいんだよね?
絵里ちゃんの胸に飛び込んでいいんだよね?
「絵里ちゃー…」
「……あら…貴女海未たちの知り合いだったの?」
「「「「「「!!!!!?」」」」」」
「え、絵里…ちゃ…ん…」
「(……っやっぱりあかんかった…)」
期待しまくり
期待しまくり
「え、絵里…何を言ってるのですか…?穂乃果ですよ?μ′sのリーダーの穂乃果ですよ?」
「…μ′sは希が作ったんじゃなかったかしら」
「えりち!?ウチはそんなん違うって昨日言ったやんな!?」
「そ、そうにゃ!!μ′sは穂乃果ちゃんが作ったんだにゃ!さすがに絵里ちゃん冗談きついにゃ…!」
「そうよ…!大体穂乃果のこと絵里が忘れるわけないじゃない!だって穂乃果は絵里の恋びー…」
「もうやめて!!!!」
「ほ、穂乃果ちゃん、落ち着き?な?えりちやって今混乱してるだけで…!」
「もういい!!!聞きたくない!!絵里ちゃんのうそつき!ばか!だいっきらい!!!!」
「穂乃果!待ってください穂乃果!!追いかけますよことり!」
「う、うんっ」
「な、なにがどうなってるのよ……なにこれ…エリーが穂乃果のことだけ覚えてないなんて」
「……誰か、助けて……」
◇
「…っ、っ」
「穂乃果!待ってください穂乃果!」
「穂乃果ちゃん待って……!」
悲しいを通り越して、心が空っぽだった。
絵里ちゃんにとって穂乃果はちっぽけな存在だったんだ。
みんなのことは思い出しても穂乃果のことは思い出せないんだ。
絵里ちゃんはもしかしたら実は穂乃果のこと嫌いで、早く忘れたかったんじゃないかな。
そうでもなきゃ納得できないよ。
「ずるいよ。みんな…」
「穂乃果…希の言った通り今は混乱してるだけかもしれませんし…」
「そ、そうだよ!ことりたちのことは思い出したんだしきっともうすぐ穂乃果ちゃんのことも」
「穂乃果は1週間も絵里ちゃんのところに通ってたんだよっ!?!?誰より沢山会ってたんだよ!?」
「ですが穂乃果…」
「海未ちゃんにもことりちゃんにも分かりっこないよ!恋人に最後まで思い出してもらえない穂乃果の気持ちなんて!!もう気休めはよしてよ!構わないで!」
「あっ、穂乃果ちゃん……っ」
「ことり」
「で、でも穂乃果ちゃん行っちゃったよ!?追いかけなくていいの!?」
「今の穂乃果に何を言おうと逆効果です。しばらく時間を置きましょう…不本意ではありますが…」
「う、ん…そうだね……ことりたちじゃ…」
「どうして絵里は穂乃果のことだけ思い出さないのでしょうか…あんなに穂乃果のことを好きだったはずなのに…」
「……だから、じゃないかな」
「え?」
「もしかしたらだけど…想いが大きすぎるからこそ、なかなか思い出せないんじゃないかな…」
「そうだとしても、このままでは穂乃果が壊れてしまいます……」
「うん、そうだね……穂乃果ちゃん……」
◆
「ただいま。」
「お姉ちゃんおかえり!もうすぐご飯できるよー」
「いらない」
「えっ?」
「穂乃果もう寝るね」
「……お姉ちゃん?」
暗闇の中、立ち尽くした穂乃果の頭の中で今日の情景がぐるぐると回る。
『待ってたわ、希!』
『海未、心配かけてごめんなさいね』
『ふふ、凛、いきなり抱きついてきたら…』
『ありがとう、花陽』
『そういう真姫も目が潤んでるわよー?』
『にこはじゃあ何故私に背中を向けてるのかしら?』
『ぬいぐるみことりが作ってくれたんでしょう?』
『貴女海未たちの知り合いだったの?』
『μ′sを作ったのは希じゃなかったかしら』
痛い。
イタイ。いたい。痛い。
涙なんかこれっぽっちも出てこないのに心が引き裂かれそうなくらい痛かった。
絵里ちゃんに必要とされないのがこんなにも辛いなんて。
こんなにも呆気なく離れる日が来るなんて。
食事も喉を通らない、目を瞑るとあの情景を思い出す。
今夜も寝れそうになかった。
こういうの系も好きだなー
「穂乃果ちゃん、今日も練習こなかったにゃ…」
「学校には来てたけど、ずっと暗い顔してて…ことりたちも話しかけれなかった…」
「花陽、中庭でひとりでご飯食べてる穂乃果ちゃん見たよ……」
「穂乃果……パパに聞いてもこんな症状は珍しいっていうばかりで…ひとり"だけ"忘れるなんて…」
「希。あんた知ってたんじゃないの?」
「……う、ウチは……し、ってた…よ…」
「!?なら何故先に言わなかったのですか!!希は何故いつも大事なことを後回しにしてしまうのです!?」
「言ったってみんな信じへんやん!?穂乃果ちゃんのこと"だけ"忘れてるなんて!よりによって穂乃果ちゃんやで!?ウチだけやない、みんなやってウチと同じ立場やったら言えたん!?!?」
「ちょ、ちょっと海未も希もやめなさいよ!私達で仲間割れしてどうするのよ…!」
「凛、もう頭痛くなってきたにゃ……」
「なんでこんなことになっちゃったのよ……絵里も絵里よ!なんで穂乃果のことだけ…」
「……ごめん、みんな。今日はもうウチ帰るわ」
「それがいいですね…今日はもう、解散しましょう…」
「そうだね…ことりたちだけじゃどうにも…」
「そう言ってもう4日目にゃ…」
「……」
◇
「えりち」
「あら、希?忘れ物?」
「んーん、ちょっと聞きたいことがあってな。えりち、この写真見て?μ′sっていうえりちも所属してたスクールアイドルのみんなの写真なんよ」
「あら希、そんなご丁寧に説明しなくてもわかるわよ?」
「…えりち思い出したん?」
「ええ、さっきようやく…ええと、ことり、海未、真姫、凛、花陽、わたし、希……あら?」
「……穂乃果ちゃんやで…?」
「……こんな子いたかしら…?新しいメンバー?」
「何言うてるん…えりちも一緒に写ってるやろ?」
「……なんだか、頭痛いわ。ねぇ希ぎゅってして?」
「えりち…!それはウチの役目やない!」
「?何言ってるの?ずっとこうしてたじゃない…変な希」
「(穂乃果ちゃんとの記憶が混同してる…)」
◇
「そうですか……」
「ごめんなさいね。穂乃果ったら最近家に帰ってくるなり部屋にこもりっぱなしで…」
「ご飯も、食べてくれなくて…お姉ちゃんに何があったんですか海未さん…」
「……実は…絵里がこの間事故に遭ってしまって」
「じ、事故!?絵里さんは大丈夫なんですか!?」
「はい…幸い目立った外傷もなく命に別状はありませんでした」
「よ、よかった……あれ、でもなんでお姉ちゃんは落ち込んでるんですか…?」
「……事故の後遺症で、穂乃果のこと"だけ"を忘れてしまったのです」
「お姉ちゃんの…こと、だけ……」
「えぇ、他のメンバーのことはきちんと覚えてしいました。実際その現場を全員…穂乃果も含めて見ています。ましてや、絵里と穂乃果は恋人同士…ショックを受けないほうが難しいとは思います」
「そんなの悲しすぎる……」
「えぇ…なので雪穂。穂乃果のことよろしくお願いしますね。家でのことはもう家族の皆様に頼むしかありませんから」
「はい、お姉ちゃんが変なことしないようにちゃーんと見守っておきます!」
「ふふ、頼もしい妹を持ったものですね穂乃果も。助かります。では、私はこれで」
「はい!わざわざありがとうございます!」
「……お姉ちゃんのバカ。すぐ抱え込むんだから」
※訂正
>>24
「…えりち思い出したん?」
「ええ、さっきようやく…ええと、ことり、海未、真姫、凛、花陽、にこ、わたし、希……あら?」
「……穂乃果ちゃんやで…?」
にこの名前が抜けていました…すみません
ガサゴソ
「これと、これ……あとこれ…えへへ、やっぱり絵里ちゃんはどれも可愛いなあ」
あの日から4日目。
穂乃果は決意した。
思い出してもらえないなら、また1からやり直そうって。
出会った時はあんなに反発してたのに、今となっては恋人になれるぐらい親密になれたんだもん。
あの頃の絵里ちゃんのままなら不可能じゃないはず!
またお友達から始めて、一緒に歌って踊って。穂乃果を知ってもらって絵里ちゃんと近づけたら結果オーライだよね?
暗くなるのはもうおしまい。
こんなことしててもきっと絵里ちゃんは思い出してくれないもん。
前みたいに、穂乃果らしく笑顔で絵里ちゃんに接すればいい。
突き放されたってめげないで、笑顔で。
そんな穂乃果を絵里ちゃんは好きになってくれたんだから。
「穂乃果、もう泣かないから」
手の中には絵里ちゃんが写ったたくさんの写真。
それを1枚ずつ壁に貼る。
「えへへ…よ〜〜しっ!!がんばるぞ!……っとお腹減っちゃった…雪穂ーー!!!ご飯できてるー!?」
「お、お姉ちゃん!?…元気になったの?」
「うん!!もうへーき!元気100倍だよ〜〜!!」
「そっか、よかった、ご飯出来てるよ。お姉ちゃんの好きな苺付きで」
「やったあ!!ほら雪穂も早く早く〜!」
「引っ張らないでよー!!……がんばれ、お姉ちゃん」
◇
「ふふっ……穂乃果らしいですね」
「それでこそことりの大好きな穂乃果ちゃんっ」
「凛も応援するにゃ〜!!」
「花陽も出来る限りお手伝いします!」
「当然でしょ。一応こっちでも解決方法探してるから何かあったら頼りなさいよね」
「にこなら穂乃果がそうするって信じてたわ、やるからには最後までやるわよ!」
「大丈夫、明るい未来が開けるってカードもそう言ってる。ウチも頑張ろうやん」
◇
To.海未ちゃん、ことりちゃん、花陽ちゃん、凛ちゃん、真姫ちゃん、にこちゃん、希ちゃん
『穂乃果は絵里ちゃんがまた穂乃果と仲良くしてくれるようにまた1から頑張ります!みんな応援よろしくね!!』
「よぉーーっし!やる!やるったらやる!待っててね絵里ちゃん!」
ガラッ
「えーりちゃんっ!」
「…はぁ…またあなたなの…」
「えへへーっ、穂乃果の日課だよ!今日はね、お見舞い持ってきたんだ〜!」
「あなたのことは知らないって言ってるじゃない。毎日、毎日…いい加減にしてほしいのだけれど」
「……はい、絵里ちゃん!」
「これ…私の好きなメーカーのチョコ……?」
「絵里ちゃん好きだったよねっ」
「私あまり人に好物とか教えたことないのだけど…希にでもきいたの?」
「え、えっと……」
「図星?…ストーカーみたい」
「…!」
◆
『穂乃果、はいあーん』
『あーんっ!もぐもぐ……ぅえええ絵里ちゃん!?これすっっごく美味しい……!』
『でしょ?ふふっ、私の大好きなメーカーのチョコなのよ♪今日穂乃果、生徒会頑張ってたからご褒美・』
『うう…絵里ちゃん嬉しい…!だいすき!』
『もう穂乃果ったら』
◆
「また、持ってくるね絵里ちゃん!穂乃果今日は帰るね!」
「え、えぇ……」
ーー"高坂穂乃果"
「なんなのかしらこの感じ…」
さっきまで彼女が立っていたところ、出て行った病室の出入り口を見つめる。
「心に穴が開いた感じ…」
見舞いに、と彼女が差し出した私の好きなメーカーのチョコレート。
……メーカーまでは希にしか言ってなかったと思ったのに。
『ストーカーみたい』と言った時のあの涙を堪えて無理やり作った笑顔。
彼女のあの表情を見ただけで胸がざわついた。
『絵里ちゃんのうそつき、ばか、大嫌い』
そうヒステリックに叫んだ後4日間彼女が病室に来ることはなかった。
その間も毎日μ′sのメンバーが来てくれていたから気にしてはないなかった。
…けれど。
今日。私の病院に入ってきた彼女は、見たこともない笑顔でいつものように私を呼んだ。
『絵里ちゃん!』
…あの子に呼ばれると胸が苦しい。
自分がとてもいけないことをしている気になる。
あの子の声が、言葉が、表情が。
チクチクと心に刺さるようだった。
みんな何故彼女を覚えてないのかと私に詰め寄った。
私の記憶に問題があるのは確かみたいだ。
でも、そんなの関係なしに今の私にとってあの子は苦手な存在だった。
「少し、横になろう…」
思い出すことを拒否し始めた頭はズキズキと痛み出す。こうなるともうなにも考えられなくなるので、希がくるまで眠ることにした。
「…こうさか、ほのか……」
不意に口にした彼女の名前。
なぜか、懐かしい響きだと思った。
余りにも冷たすぎるからわざとやってんのかとおもた
「えーりち」
「希!」
あれから1時間ほどたって。
聴き慣れた声に嬉しくなる。
ああ、やっぱり希は落ち着く。
「えりち、今日も穂乃果ちゃん来た?」
ぴくっ、とこめかみが動くのが自分でもわかった。
希の口からあの子の名前を聞くと、心がもやもやして落ち着かなくなった。
「えぇ……まぁ…あの、希、あの子にわたしの好物教えたりした?」
「好物?チョコレートやろ?」
「それはそうなんだけど……メーカーとか」
「ウチはなんにも教えてへんよ?」
「そう…」
なら、たまたまよね。
そう、偶然。偶然なんだから。
「今日見舞いに、ってそれ持ってきたからちょっとびっくりしたのよ。それ、普通のコンビニじゃ売ってないんだし」
「買いに行ったんやと思うよ、えりちのために。」
「そ、そんなことあるわけないじゃない!偶然でしょ!」
「んーん。そんなことない。穂乃果ちゃんはいつだってえりちを大切に思ってるし、笑顔にしたいって思ってる。…まぁ、それはウチもほかのメンバーも一緒やけど。穂乃果ちゃんにとってえりちは特別なんよ」
そうやって全部わかったように微笑まるのは正直何回されてもなれないし、少し不快だった。
「と、とにかく。私あの子が苦手なの。だからもう来ないようにあの子に行ってくれないかしら」
「……本気?」
「本気も何もあの子が来ると疲れるのよ、いらいらするの。」
「なんでなんえりち……」
希の失望したような顔を見て、
ああまた私は選択を間違ったんだろうなって悟った。
けど、希に言った言葉だって決して嘘なわけでもなかったし。
その時、バサッと何かの束が落ちた音がした。
希の足元に散らばるそれにわたしはベッドから身を乗り出して見る。
「写真……?」
「μ′sが活動してる時のね」
床からかき集めた写真をはい、と私に手渡す。
何気なく目をやるとそこには彼女と楽しそうにハイタッチをする私が映っていた。
「……私なの?これ」
「正真正銘のえりちや。ほら、この写真も穂乃果ちゃんとこんなに楽しそうにしてる」
希が指差した写真には、確かに満面の笑みで笑いあっている私と彼女が。
穴が開いている。それだけは直感的に分かった。
「穂乃果ちゃんとおるとな、えりちすーっごく楽しそうなんよ?」
「そんなこと言われても困るわよ……今の私はその頃の私とは違うもの。今はあの子は苦手なんだもの。」
悲しそうな顔は見ないふりをして窓の外に目をやる。
「えりちは、思い出したくないだけや。……思い出すのが怖いだけや…!」
そう吐き捨てると希は帰ってしまった。
希の瞳にもまた涙がたまっていた。
私自身ももう心も頭もぐちゃぐちゃだった。
「絵里ちゃん…チョコ食べてくれたかなあ」
病院帰りに路地を歩きながらふと呟く。
あまり自分のことを話してくれない絵里ちゃんが教えてくれた大好きな食べ物。
それを見たら少しは穂乃果に興味を持ってくれるかなあなんて思ったんだけど……
『ストーカーみたい』
「……そんな上手くはいかないよね」
吐き捨てるようにぼそっと言った絵里ちゃんの瞳は、生徒会長としてしか面識がなかった頃の、穂乃果たちのことを敵対視していた頃の……ううん、それよりずっと前の絵里ちゃんで。
正直、あんな状態の絵里ちゃんと友達になれた希ちゃんは凄いなあなんて思っちゃって。
「…諦めるのは、早いよね」
無理に思い出させるんじゃなくて、新しい思い出を作るって決めたんだから。
まずは友達になるところからスタートなんだから、これぐらいで挫けてちゃダメだよね。
…絵里ちゃんは押しに弱いし。
そこは変わってないといいんだけど、ね。
また恋人になりたい、なんて。
そんな贅沢な願いは言わないから、せめてまたμ′sで、9人で歌って踊りたい。
そのためにはやっぱり絵里ちゃんと仲良くならなきゃ!
……うん、頑張ろうっ
「希、言ってくれた?」
「んー何を?」
「とぼけないでよ、あの子にもう来ないでって言ってくれた?」
わざとらしくおどけてみせる希に少し気が立って身を乗り出す。
と、同時に剥かれた林檎がしゃくっ、と口に入る。
「言えるわけないやん?えりちも穂乃果のことこーんなに気にしてるのに」
ゆっくりと片目を瞑って微笑みかける。
……私があの子を気にしてる?
「バカ言わないで、わたしがいつあの子のこと気にしてるっていうのよ」
「だってさっきからずーっとドアの方見っぱなしやん、穂乃果ちゃんいつもより遅いな〜なんて思ってるんやろ?」
「そ、それは……」
思わず口ごもってしまう。
事実、そうだからだ。
いつも来ていた時間に彼女はまだ来ていない。
今日は来ないのだろうか、とか
もしかしたら彼女にも何かあったのだろうか、とか……ってなんで私あの子の心配なんかしてるのよ。
苦手なはずなのに、いつも何処かであの子を気にしてる…ああ、もうこの感じはとてもとても苦手で嫌い。
分かるはずなのに分かりたくないような。
すぐそこまで出てきてるのにあと1歩足りなくて思い出せないような。
「……希、ハグしましょ」
「なぁにえりち、誤魔化してるん?だめやって、えりちにはちゃんと特別な人がーー……」
コトン、と希の手から落ちた林檎が音を立てる。
腕を引いて私の腕の中に希を閉じ込める。
安心を求めてしたはずの行為は、反して私に行き場のない罪悪感ともやつきを植え付けた。
「……何か変わった?ウチを抱きしめて」
いつだって私の心を希は見透かす。
それでも何か抗いたくて私は嘘をついた。
「えぇ、とっても安心するわ。ねぇ、希。特別な人って私にとってはあなたよ。私には希がいればいい」
「……そんなこと言って後悔するのはえりちやで」
「あら、何故?」
「えりちの特別な人はウチやないからや」
あくまでも冷静に口を紡ぐ希に腹が立った。
いつまでも自分の思い通りにならない希に、図星を突かれて苛立ってる私に。
なら、いっそ全部壊したい。
「!!えりち、」
「こうすれば分かるわよ、本当かどうか」
お互いの顔が近づく。
しかし、一切の音も立てずに希はこちらを見据えていた。
気迫負けしてしまうほど強い瞳で。
「キスしたいなら、したらええ。やけど、後悔するのはえりちや。今のえりちはウチにキスなんか出来へん」
「……私に希じゃない特別な人がいるから?」
「そうや」
お互いの距離が後数センチのところで言い合う。
このまま希を遮って無理やりすることも、私には出来たはずなのに何故か身体が動かなかった。
もう、やめよう。こんなの意味がない。
諦めて体を離そうとしたその時。
ドサッと重たいものが床に叩きつけられた音がした。
「え、…りちゃん……希ちゃん……」
「穂乃果ちゃん……!」
……絶好の機会のはずなのに、最悪のタイミングだと思った。
「……っ」
「穂乃果ちゃん!待って!……っえりち!手離して!」
私の腕を抜けてあの子を追いかけようとする希の腕を掴む。
「えりち、」
「私は……あの子を思い出す気はないわ」
「……!」
希と同じように、真剣に希を見据えて告げる。
私は自ら記憶を遮断する道を選んだ。
…面倒なのだ、あの子が。
あの子の笑顔が、声が、表情が。
さっきの泣いているけどそれを我慢して無理やり作った笑顔も。
頭に焼きついて離れない上にひどい罪悪感に襲われる。
正直もううんざりだった。
…乾いた音がして、じわじわと頬が痛む。
希に平手打ちされた、と気づくには時間がかかった。
誰かにぶたれたのなんて初めてで、私は暫く呆然と希を見ていた。
「…見損なったでえりち」
顔も見ずにそう言って、希は病院を出て行く。
ひりひりと痛む頬を抑えながら窓の外に目を向ける。
「……仕方ないじゃない」
何故か気になってもう一度ドアの方を見る。
視界に入ったのはあの子が落としていったビニール袋。
「……!」
落ちた衝撃によって袋から飛び出していたのは、わたしの好きなメーカーのチョコレート。
それもたくさん。
それだけじゃない。
希にも言っていないはずの好物がそこにはあった。
いつ、どこで好きになったかも覚えていない。
だけれど確かに私はそれが大好きだった。
見るだけで幸せになれるような。
「穂むらの…苺チョコ大福……」
頭の片隅であの子の笑顔がちらついた。
……キス、してたのかな。あれは。
病院の中は走っちゃダメって、バカな穂乃果でも分かるけど、でもそんなの今は気にしてないぐらい走った。
見たくなかった、病院に行くんじゃなかった。
だけど、どうしても作っていきたくて。
出来立てを持って行きたくて。
学校が終わってすぐ、こうして走って家に帰って穂乃果はある物を作ろうと厨房に入った。
穂乃果しか知らない、絵里ちゃんの好きな食べ物。
それは同時に絵里ちゃんしか知らない穂乃果の好きな食べ物でもあった。
ーー苺チョコ大福。
穂乃果の好きな苺と、絵里ちゃんの好きなチョコ。
そして穂乃果の家の和菓子の中の1つ大福。
それらが合わさったお菓子。
これは、穂乃果が絵里ちゃんの誕生日に作ったもので、食べたのは絵里ちゃんと穂乃果だけ。
そして、きっとこれからも食べられるのは絵里ちゃんだけ。
それぐらい大切な思い出の食べ物。
絵里ちゃんの味覚が変わってないとしたら、きっとまた好きになってくれるだろうって。
そうして、作りたての苺チョコ大福と絵里ちゃんの好きなチョコレートをたくさん買って病院に急いだ。
いつもより1時間以上遅いお見舞い。
まぁ、そんなこと絵里ちゃんは気にしてないはずで。
でも、毎日通っていたらもしかしたら、ちょっとは遅いなーなんて思ってくれるかなーなんて期待を込めたりして。
もし寝てたら起こしたくないから、そろっとドアを開けた矢先に視界に飛び込んできたのは希ちゃんに"絵里ちゃんから"キスしようとしていたところで。
友達ならぎゅーぐらいするかもしれないけど、キスはいくらなんでもただの友達じゃしない。
絵里ちゃんの特別はもう、穂乃果じゃなくて希ちやんなのかな。
そう思ったら涙が溢れてきて、
でもこのまままた泣いたらきっと呆れられて嫌われて……そんなの絶対やだって無理に笑顔を作る。
だけど、真っ直ぐ穂乃果を見る絵里ちゃんの瞳が怖くて辛くて、持ってきたお見舞いも手渡せないまま穂乃果は病室を飛び出していた。
「ほ、穂乃果、ちゃん……っ」
はぁはぁと息を切らして希ちゃんが追いかけてくる。
今、希ちゃんから何を聞いても穂乃果には受け入れられない気がした。
だって、あんな場面を見ておいて希ちゃんの言うことを素直に聞く方が無理だよ。
そう思いながら希ちゃんの次の言葉に耳を傾ける。
けれど、飛び込んできた言葉はどれも穂乃果の予想していなかった言葉で。
「えりち、きっともうすぐ穂乃果ちゃんのこと思い出すと思う」
意味が分からずに…いや、意味はわかるんだけど……うまく理解ができなくてただ希ちゃんを見つめる。
気休め、として受け取ってしまえばそれまでなんだろうけど希ちゃんの表情からそうでないことは察しがついた。
「きっと、思い出しかかってる。でもえりちはそれを拒んでるんよ。怖がってる。」
「……穂乃果を思い出したくないってこと?」
そう質問を投げかけると、希ちゃんはバツが悪そうに「そうなるやんな」と呟いた。
……手当たり次第にネットや本で収集した記憶喪失についての情報が頭に浮かんだ。
本人の思いで思い出せるか思い出せないかが決まること、その人にとって必要のない存在なら思い出す確率は低いこと。
もしそれが本当なら。
絵里ちゃんが、穂乃果を思い出すことを拒否したら穂乃果がどれだけ頑張ってもこの先絵里ちゃんが穂乃果を思い出してくれる可能性はほぼない。
今やっていることも全て無駄になるということ。
……思い出してくれなくていいなんて嘘だった。
確かに1から始めて友達になれれば、とは本気で思って今までやってきた。
けれど、穂乃果にはあるのだ。
絵里ちゃんにはない、絵里ちゃんと過ごした日々の記憶が穂乃果にはある。
穂乃果も一緒になって1から始めるなんて到底無理なことだった。
最初はよくてもいずれ歪みが生じる。
絵里ちゃんには初めての光景でも穂乃果にとっては何度も見た光景になることもある。
そんなの耐えられるわけなかった。
思い出してもらわなきゃ、進めないのだ。
穂乃果も絵里ちゃんも。
思い出してくれなくていいなんて。
そんなの強がりでしかなかった……。
「ごめんね」
そう言って、希ちゃんは帰っていった。
穂乃果を気遣ってくれたんだろう。
でも、希ちゃんの言葉は深く心に刺さって一向に抜けそうもなかった。
今までのことが全て水の泡となった絶望。
思い出して欲しいとどんなに強く願っても、結局は絵里ちゃんの意思次第で。
もう打つ手立ては穂乃果には思いつかなかった。
どれだけ時間が経ったかわからないけど、日はとっくに沈んでた。
それでもここから動く気にはなれなかった。
今までやってきた反動なのかわからないけど、電池が切れたかのように穂乃果のやる気は全て失われていた。
その時、穂乃果、と呼ぶ凜とした声が鼓膜を揺らした。
それは幼馴染の聞き慣れた声。
長くて綺麗な髪を揺らしながら、心配そうな顔つきで穂乃果の側に寄って来る。
「海未ちゃん……」
あぁ、海未ちゃんだ。
どうしてだろう酷く安心する。
泣きたくなる。
……だめだ、こんなところで泣いたらもう穂乃果は頑張れなくなってしまう。絵里ちゃんを諦めてしまう…。
「穂乃果その顔はどうしたのですか、ひどくやつれて…食事はきちんと3食とっているのですか?睡眠を削ったりしていませんか?」
海未ちゃんから言われて思い返してみる、確かにここ最近はろくに食事も睡眠もとらずに記憶喪失についての情報をかき集めるのに没頭していた。
図書館や学校の本棚、本屋さんに赴いては記憶喪失の本を探し、数冊購入して穴が開くぐらい、よれよれになるぐらい熟読した。
ことりちゃんからパソコンを借りたり、携帯をネットに繋いだりして検索ワードを何個も打ち込みヒットした記事を何回も読んだ。
けれど、結果はこれなのだ。
穂乃果は穂乃果なりにここまでやってきたけれど、これではもう心が折れそうだった。
「いろいろ頑張ったんだけどね……絵里ちゃん、穂乃果のこと思い出したくないんだって……えへへ、全部水の泡だよね……」
最早もう泣くのにも疲れて、乾いた笑いしかでなくなった。
そんな穂乃果を見て海未ちゃんは、少しため息をついた後優しく抱きしめた。
「泣いていいのですよ、穂乃果。穂乃果はよく頑張りました。少し、休憩しましょう」
普段は厳しい海未ちゃんの優しくて暖かい言葉が身体中に染み渡る。
認められた気がして、全身の力が抜けていく。
その途端に次から次へと涙が溢れてきた。
「……っひ、っく、…ぅ、あ……うぅ…うあぁあああん!!!!」
海未ちゃんの温かい手が、穂乃果の頭を撫でる。
穂乃果は強く強く海未ちゃんを抱きしめながら声の続く限り大声で泣き喚いた。
ねぇ絵里ちゃん。
穂乃果のこともう嫌い?顔も見たくない?
穂乃果はね、
まだこんなにも絵里ちゃんのこと大好きだよ。
「落ち着きましたか?」
「う、うん……ごめんね海未ちゃん」
「気にしてないですよ穂乃果ですから」
あれから穂乃果が泣き止むまで海未ちゃんはずっと穂乃果を抱きしめてくれた。
今まで溜まっていたものが全部溢れて、泣き止んだ頃には何処か穂乃果の心はすっきりしてる。
「ありがとう、海未ちゃん」
今度こそ本当の笑顔でお礼を言う。
海未ちゃんも嬉しそうに微笑んだ。そして
「諦めないで下さいね穂乃果」
「……え?」
「穂乃果ならきっと大丈夫です。それに私たちは諦めない穂乃果が大好きなのです。だから、穂乃果は穂乃果らしく諦めずに笑っていてください。そして疲れた時は私だけじゃなくてμ′sのメンバーに頼ってください。穂乃果は1人だけじゃないんです、みんな穂乃果を応援しています」
あぁ、穂乃果は忘れてた。
みんながいることを忘れて、1人で頑張ってた。
そうだ、μ′sのみんなは誰かが転んだらそれを全員で支えてくれる優しい人たち。
穂乃果はそのみんなが大好きで。
大切なことをずっとずっと忘れてた。
穂乃果はひとりじゃない。
泣きたい時はみんなと一緒にいればいい。
言葉に迷っても、言葉が上手く見つからなくてもみんなと一緒にいればいい。
それだけで安心する仲間が、友達が穂乃果にはいるんだから。
「海未ちゃん、穂乃果忘れてたよ。……ありがとう海未ちゃん。また頑張るね、穂乃果頑張るね」
「えぇ、それでこそ私の幼馴染の穂乃果です。」
お互い笑いあって、今日はそこで別れた。
もう大丈夫。穂乃果は絶対諦めない。
だって、支えてくれるみんながいるから。
…………
「もう来ないでくれるかしら。迷惑なの」
まさか、昨日の今日であの子がここに来るとは思わなかった。
それも晴れ晴れしい顔をして。
どうして?
あんな現場を見ていてどうして尚、私のところに来るの?
どうしてそんな眩しい笑顔で私を見るの?
そんな笑顔を向けられたら余計に苦しい。
分かってる、こうすることによってあの子が傷つくこと。
私の嫌いなあの涙をこらえた笑顔で笑うことも。
だけど、何故か辛いのよ。
あの子を傷つけている自分が憎くなるの。
だから……もう、関わりを断ちたくて、
お互い交わらない日常を過ごしたくて言ったの。
もう、ここには迷惑だから来ないでって。
後悔なんてとっくにしてる、だって……だって。
そう言った私の目に写ったのは、ひどく儚げに笑ったあの子で。
「私は……あなたを思い出す気は、ないわ」
きっと、この言葉は今までで1番傷つける。
覚えていないけれど、みんなから聞いた話によればこの子と私は恋人同士で。
だとすればこの子が愛しているのは私で、
そんな相手からもう会いたくないだとか、思い出したくない……ましてや、恋人であったはずの相手から自分だけ忘れられるなんて。
……どれだけ、傷つけてきたんだろう。
そのたび、あの子は泣きそうに笑って、こうして…それでもいいって言うような表情をして。
見舞いにとくれたたくさんのチョコレートも、きっと急いで作ってきたであろうあの和菓子も。
全て私のためにしてくれたことで。
それを私はこうして恩を仇で返すようにして。
自分が自分で嫌になる。
だから、もうこれでおしまい。
「もう、ここへは来ないで。…学校でも極力関わらないで」
目も見ずに、逃げるように言う私はきっとずるい。
彼女は何も言わずにずっと微笑んだまま。
そして、たった一言口にした。
「なら、最後に"恋人"として抱きしめてほしいな」
……最後に、恋人として。
意外な言葉だった。
いっそ泣いてくれたらよかった。
あの時みたいに病室を出て行ってくれたらよかった。
なのに、今目の間にいる彼女は全てを受け入れた顔をして私を抱きしめた。
これが本当に最後、というように。
彼女の腕の中はすごく安心して、懐かしくて、だけどどきどきして不思議な気分だった。
この感覚が好きだったような、遠い記憶。
ずっとこの中にいたいとさえ思ってしまうほどだったけれど、頬に落ちた雫に私の意識は引き戻された。
泣いている。
静かに、静かに。
声も出さず、音を立てず、ただただ綺麗で澄んだ青色の目が潤んで次から次へと水の玉が弾けて頬を伝う。
いてもたってもいられなくなって、私は彼女を強く抱きしめた。
彼女の匂いが、声が、記憶を刺激する。
不快なわけではなかった。
「……っ、ぅ、え、りちゃん……っ、絵里ちゃん……!忘れるなんでひどいよ……!絵里ちゃん…っ」
堰を切ったように泣く彼女を私はただただ抱きしめた。
何度もなんども私の名前を呼ぶその声に、何故かわたしの涙腺も刺激されて涙が溢れてくる。
「絵里ちゃん……っ、すき…、だいすきだよぉ…っ!」
ああ、こんな熱烈な告白を受けたのは初めてかもしれない。
胸が熱くなる。
私も静かに涙を流しながら、彼女の声を聞きながらひたすらに抱きしめ続けた。
「絵里ちゃん、っ、穂乃果って呼んで……あの頃みたいに穂乃果って……っ呼んで、頭撫でて……」
「穂乃果。……穂乃果」
懐かしい、ものすごく。
この子の名前を呼ぶと優しくなれる気がした。
柔らかい茶色の髪の毛を撫でながら名前を呼ぶ。
初めてのはずなのに何回もしてきたような気がしてまた私は目を閉じた。
「えへへ…ありがとう。……ばいばい」
彼女の泣き声も落ち着いた頃、そう言って、引き止めることも出来ないまま彼女は最後の言葉を残して病室を出て行った。
それから彼女が病室に訪れることは退院するまで一度もなかった。
◆◇◆
「絵里ちゃん退院おめでとうにゃー!!」
「ふふっ、ありがとう凛」
勢いよく抱きついてくる凛を横目に私は屋上を見渡す。
「穂乃果なら来てないわよ」と、すかさず真姫が口にする。
「絵里、穂乃果のことを思い出したのですか?」
「いえ……そういうわけじゃないのだけれど」
そう、思い出したわけではない。
けれどここに彼女が居ないのはすごく違和感があって、寂しかった。
「……えりち、生徒会室に忘れ物しちゃったからついてきてくれん?」
「え、えぇ」
……希が何かを企んでいるのはわかったけど、見当がつかないので黙ってついていくことにした。
久しぶりに入った生徒会室。
生徒会長を引退してからあまり来ることはなくなったから余計に懐かしい。
……あれ、でも引退したなら希がここに忘れ物するはず…
「懐かしいよね、ここでこうして2人で作業してたら、いきなり穂乃果ちゃんたちが入ってきて部活動設立の申請してきたやん?」
そんな、やん?って言われても私は覚えてな……
『自分の為に何をするべきか、よく考えるべきよ』
『絵里先輩!μ′sに入ってください!絵里先輩にμ′sに入って欲しいです、スクールアイドルとして!』
「ーー!!」
なに、これ……
「次は部室に行ってみる?」
ふふっ、とまた何もかもを見透かしたような目をして希が問いかける。
「きっと今しかチャンスはないで、えりち」
「……」
もう一度みたい、と思った。
涙を堪えて無理に笑う顔でもなく、
くしゃくしゃにして泣く顔でもなく、
『絵里ちゃん』と私を呼ぶあの笑顔を。
泣きながらではなく、今度は笑いながら抱きしめたいと思った。
頼まれてからじゃなく自分からあの子の名前を呼びたいと思った。
だから、もしこれが神様がくれた最後のチャンスなら……
「……いくわ。」
「ん、さすがえりち」
全部思い出せたらあの子に何て言おうか。
あの子は許してくれるだろうか。
まだ思い出したわけじゃないけれど、とても無性に会いたかった。
あと少し、
あと少しだけ待っていて。
いいぞ~
「ここが、ウチらの部室…ってそれはわかるやんな」
「えぇ…」
……懐かしい。すごく安心する。
風が心地よくて、私は目を閉じた。
また、声が聞こえてくる。
記憶の中の声が。
『私もこの学校がなくなって欲しくない。本当にそう思ってるから、簡単に考えて欲しくないの』
『辛くないの?』
『やりたいからです!確かに練習はすごくキツイです、体中痛いです…でも、廃校を阻止したいという気持ちは生徒会長には負けません!……だから、今日もよろしくお願いします!!』
『穂乃果、先輩禁止♪』
『絵里先輩……っう…え、絵里、ちゃん…』
『私、頑張りたい!その為にやれることは全部やりたい!!……だめかなぁ!?』
『……反対の人は?……だって』
ひとつ、またひとつ。
連鎖のように次から次へと頭の中に反響する。
もっと、もっと。
求めるように私は部室を飛び出した。
「…明日からまたみんなで活動、やね」
ひとつ、またひとつ。
思い出してしまえば当然穂乃果の家も分かるわけで。
あぁ、そうだ。あの苺チョコ大福は私の誕生日に穂乃果が作ってくれた大切な食べ物。
わたしだけの為に穂乃果が作ってくれた、宝物。
早く、早く。
早く穂乃果に会いたい。
『私は穂乃果に一番大切なものを教えてもらったの。変わることを恐れないで、突き進む勇気。私はあの時、あなたの手に救われた。』
それだけじゃない、私は穂乃果に"愛"を教えてくれた。
愛することの尊さ、愛されることの素晴らしさ。
いつだって真っ直ぐに穂乃果は私を愛してくれた。
「いらっしゃいませ……って絵里さん!」
「雪穂ちゃん、穂乃果いるかしら?」
「(絵里さんお姉ちゃんのこと……!)すみません……ちょっと走ってくるって行って出て行っちゃって…」
「そう…分かったわ、ありがとう」
「あ、あのっ!」
「……?」
「お姉ちゃんを、よろしくお願いします!!」
そういってぺこり、と小さな頭を下げるところを見て私は思わず微笑んだ。
可愛いな、って。
「えぇ」
穂乃果に会えるまであと少し。
行く先は、あの神社。
「はぁ、はぁ…………ふぅ。やっぱり体なまってるなぁ〜」
坂での走り込みを終えて、ぐいぐいと腕を伸ばす。
最近ろくに練習に参加していなかったせいですっかり基礎が抜けつつあった。
……海未ちゃんから、今日絵里ちゃんが退院して無事学校に復帰したことを聞いた。
そのことしか海未ちゃんは言わなかったから、まだ穂乃果のことは思い出していないんだろう。
絵里ちゃんと、もう暫く話していなかった。
あの日最後だからと抱きしめた絵里ちゃんは穂乃果が思っていたよりずっとずっと優しくてあったかくて。
あれから穂乃果は一度もお見舞いにはいかなかった。
もちろん、その間にもネットや本で記憶喪失の記事は探していたけれど。やっぱり目ぼしい方法はなくて、心にぽっかりと穴が空いたような日々を過ごしていた。
「今日はもう、帰ろうかな」
走り込みもしたし、柔軟もした。
ステップも確認したし歌も覚えたし……うん、今日はもう帰ろう。
「会いたいな、絵里ちゃん……なんて、穂乃果諦め悪いや…」
口に出してしまえばやっぱり寂しくなって。
ううん、絵里ちゃんが今日学校戻れただけでも喜ばなきゃ。
会いたいなんて、話したいなんて穂乃果の我儘なんだし。
いよいよ帰ろうと、タオルを首に巻き立ち上がった時
「穂乃果!!!!」
二度と聞くことができないと思っていた声がどこからか聞こえてきた。
「絵里、ちゃん……?」
…いやいや、絵里ちゃんがこんなところにいるわけないし。
ましてや記憶をなくした絵里ちゃんが、穂乃果のことこんな風に呼ぶわけ……
「穂乃果……!!!」
時が、止まったのかと思った。
穂乃果に今起きている事実が間違っていないとすれば、穂乃果は今絵里ちゃんに抱きしめられている。
穂乃果の名前を呼んで、泣きながら……だけどすごく幸せそうな顔をして抱きしめて、そして……
「愛してる……!」
絵里ちゃんの熱が、唇に落とされた。
……夢、なのかなこれは。
だって夢じゃなきゃあり得ない。
記憶を無くしたはずの絵里ちゃんがこうして、穂乃果の目の前にいて。
病院で会った時とはまるで違う、…穂乃果に恋をしてるような表情をしていて。
絵里ちゃんの腕は確かに穂乃果を強く抱きしめていて。
形のいい綺麗な唇から溢れた言葉は、「愛してる」
ねぇ、絵里ちゃん。
穂乃果バカだから期待しちゃうよ?
絵里ちゃんが穂乃果のこと思い出して戻ってきてくれたって期待しちゃうよ?
言いたいことはたーーくさんあるのにどれも言葉にできなくて、ただただ涙を溢れさせて目の前の絵里ちゃんを見つめるだけ。
そして絵里ちゃんは1度穂乃果から体を離すと「ただいま」と言ってもう1度抱きしめた。
あぁ、もうだめだと思う。
こんなのずるいよ。最後の最後でこんなこと。
ずるいよ絵里ちゃん。
「穂乃果、穂乃果ごめんなさい。ありがとう、ずっと愛してくれて。諦めないでくれて」
…そんなの当たり前だよ。
だって、穂乃果は絵里ちゃんのこと大好きなんだから。
「ずっと悲しい思いをさせてしまってたわよね、ずっと私穂乃果を傷つけた」
…ほんとだよ。穂乃果のことだけ忘れちゃうなんて酷いよ。
希ちゃんとキスしようとしてた時は凄く凄く悲しかったし。
「ごめんなさい、穂乃果……」
「絵里ちゃんっ!!!」
がばっ、と絵里ちゃんの言葉を遮るように抱きつく。
胸がきゅーってなって、熱くなる。
絵里ちゃんのことを想うとこうなるから、きっとこれは恋をしている証拠。
「もう、いいの。いいんだよ!またこうして穂乃果のところにきてくれてありがとう……だからもう謝らないで欲しいな、穂乃果はもう気にしてないから!!
穂乃果ね、絵里ちゃんといると優しい気持ちになるし強くもなれる!
本当に本当に絵里ちゃんが大好き。
……ううん、愛してる!」
好き、なんて言葉じゃ足りなくて。
何回伝えたって足りなくて。
言葉にしたら軽いかもしれないけど、それでもこれが穂乃果の精一杯の気持ちだから。
だって、ほら伝わってる。
穂乃果の大好きな人には、伝わってるからもうそれで十分なんだ。
◆◇◆
バタバタ……
バタンッ
「おっまたせー!!」
「穂乃果ちゃん!おっそいにゃー!!」
「そうよそうよ!穂乃果が屋上に呼びかけておいてにこたち放置ってどういうことよ!」
「まぁまぁにこ……穂乃果らしくていいじゃない」
「本当に絵里は穂乃果に甘いのですから…」
「そういう海未ちゃんもだよね♪」
「ウチらはみんな穂乃果ちゃん大好きやもんな〜?」
「ちょ、ちょっとどうしてこっち見るのよ!」
「えへへ、花陽は穂乃果ちゃんも絵里ちゃんも大好きですっ」
「みんな待たせてごめん〜〜それじゃ、ようやく揃ったね!みんないくよ、せーーーのっ!」
「1!」
「2!」
「3!」
「4!」
「5!」
「6!」
「7!」
「8!」
「9!」
『ーーμ′sミュージックスタート!!!』
ねぇ、絵里ちゃん。
穂乃果たちはちょっとたくさん遠回りしたけどきっとこれでよかったんだよね。
だってほら、前よりずっとずっと
穂乃果も絵里ちゃんも幸せそう。
諦めなくて、よかった。
「これからもこんな穂乃果をよろしくね、絵里ちゃん。」
「こちらこそ、愛してるわ穂乃果」
「穂乃果も絵里ちゃんを愛してる」
これから何かあっても、どんな時もずっと穂乃果は絵里ちゃんを愛してる。
end
以上で完結になります!
お付き合いいただいた皆さんありがとうございました!!
前作(初SS)
希「意味のない独占欲」
【ラブライブ】希「意味のない独占欲」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419309376/)
もよろしくお願いします。
何か書いて欲しいカプ、シチュなどありましたらレスください!
本当にありがとうございました!
乙でしたー
とても良かったです
乙です
うみぱなが見てみたいかな
おつー
なんだかんだで短期間でこの執筆で内容書けてて凄いわ
お疲れ様でした。
これはいいほのえり。
ご意見いただいたので
続編としてうみぱなを書きたいと思います。
花陽「自分にできること」
というタイトルで上がると思うのでそちらもよろしくお願いします!
乙だわ
なんつうか‥言葉にできねえ
言葉にできなくても確かに揺さぶられた
新たな世界を見せてまた揺さぶってほしい
たまらね‥本当に涙が
>>58
コピペ?
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません