【ラブライブ】穂乃果「忘れちゃうなんてひどいよ」 (59)



◆ほのえり
◇シリアス展開有りかもしれません
◆記憶喪失ものです(死ネタはないです)
◇違和感はことりのおやつに

のんびり書いていきます
よければ最後までお付き合いください。




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えぇー……のぞえり書いてそれかよ……
もしかしておちょくってんのかよ、そういうのホントいいからやめろ



「絵里ちゃんが、事故!?」

「うん、今アリサちゃんから連絡きてな。余所見運転してた車との接触事故やって。頭とかは打ってないらしいんやけど、なんかおかしいらしくて。」

「おかしい…ってそれってどういうことなの希ちゃん!!!」

「まぁまぁ穂乃果ちゃん落ち着いて。今はウチらしかこのことを知らない。一応2人でえりちのお見舞いいこ?大事とって真姫ちゃんの病院で1日入院するみたいやから」

「うん、いく。絵里ちゃん大丈夫だよね?」
「大丈夫や、えりちなら。」


無事でありますように。
ただそれだけを祈って穂乃果と希ちゃんは真姫ちゃんの病院に急いだ。



>>3

すみません、前作とは全く違う話として見ていただけると嬉しいです



どくん、どくんっと心臓が音を立てる。
穂乃果は変なところで勘が当たる。
この嫌な予感が的中しませんように、絵里ちゃんの身に何も起きていませんように。
ただそれだけを願って病室のドアを引いた。



「希?」
「えりち!起きてて大丈夫なん!?」
「えぇ、平気よ。ちょっとびっくりして転んでしまったのだけれど」

そんなたわいのない会話をしている絵里ちゃんと希ちゃんを見て、思わず涙が溢れてきた。

よかった、よかった。無事だった。



「ぅええ絵里ちゃんんんっ!!!穂乃果心配したんだよ!!なにかあったらどうしようって!もう!絵里ちゃんのばか!!」

病人にこんなことを言ってしまうなんてただの当てつけだけれど、溢れ出した安心感から口から言葉が付いて出た。
勢いに任せて絵里ちゃんに抱きつく。

ああ、いつもの絵里ちゃんの匂いだ。
いつものーー……



「希…この人は……?」

「えっ……えりち…穂乃果ちゃんやで…?μ′sのリーダーの…」
「μ′s……って…?」





頭の中がただ真っ白になって全身の力が抜けていった。

「穂乃果ちゃん!?大丈夫!?」
「……絵里、ちゃん……」

絵里ちゃん、絵里ちゃん。
穂乃果のこと、どうして覚えてないの?


「ここが、ウチらの部室…ってそれはわかるやんな」
「えぇ…」


……懐かしい。すごく安心する。
風が心地よくて、私は目を閉じた。

また、声が聞こえてくる。
記憶の中の声が。



『私もこの学校がなくなって欲しくない。本当にそう思ってるから、簡単に考えて欲しくないの』


『辛くないの?』

『やりたいからです!確かに練習はすごくキツイです、体中痛いです…でも、廃校を阻止したいという気持ちは生徒会長には負けません!……だから、今日もよろしくお願いします!!』


『穂乃果、先輩禁止♪』
『絵里先輩……っう…え、絵里、ちゃん…』


『私、頑張りたい!その為にやれることは全部やりたい!!……だめかなぁ!?』

『……反対の人は?……だって』




ひとつ、またひとつ。
連鎖のように次から次へと頭の中に反響する。

もっと、もっと。
求めるように私は部室を飛び出した。





「…明日からまたみんなで活動、やね」


ひとつ、またひとつ。


思い出してしまえば当然穂乃果の家も分かるわけで。
あぁ、そうだ。あの苺チョコ大福は私の誕生日に穂乃果が作ってくれた大切な食べ物。
わたしだけの為に穂乃果が作ってくれた、宝物。


早く、早く。
早く穂乃果に会いたい。



『私は穂乃果に一番大切なものを教えてもらったの。変わることを恐れないで、突き進む勇気。私はあの時、あなたの手に救われた。』



それだけじゃない、私は穂乃果に"愛"を教えてくれた。
愛することの尊さ、愛されることの素晴らしさ。
いつだって真っ直ぐに穂乃果は私を愛してくれた。







「いらっしゃいませ……って絵里さん!」
「雪穂ちゃん、穂乃果いるかしら?」
「(絵里さんお姉ちゃんのこと……!)すみません……ちょっと走ってくるって行って出て行っちゃって…」
「そう…分かったわ、ありがとう」

「あ、あのっ!」
「……?」
「お姉ちゃんを、よろしくお願いします!!」


そういってぺこり、と小さな頭を下げるところを見て私は思わず微笑んだ。
可愛いな、って。

「えぇ」



穂乃果に会えるまであと少し。
行く先は、あの神社。

「はぁ、はぁ…………ふぅ。やっぱり体なまってるなぁ〜」

坂での走り込みを終えて、ぐいぐいと腕を伸ばす。
最近ろくに練習に参加していなかったせいですっかり基礎が抜けつつあった。



……海未ちゃんから、今日絵里ちゃんが退院して無事学校に復帰したことを聞いた。
そのことしか海未ちゃんは言わなかったから、まだ穂乃果のことは思い出していないんだろう。


絵里ちゃんと、もう暫く話していなかった。
あの日最後だからと抱きしめた絵里ちゃんは穂乃果が思っていたよりずっとずっと優しくてあったかくて。
あれから穂乃果は一度もお見舞いにはいかなかった。

もちろん、その間にもネットや本で記憶喪失の記事は探していたけれど。やっぱり目ぼしい方法はなくて、心にぽっかりと穴が空いたような日々を過ごしていた。


「今日はもう、帰ろうかな」

走り込みもしたし、柔軟もした。
ステップも確認したし歌も覚えたし……うん、今日はもう帰ろう。


「会いたいな、絵里ちゃん……なんて、穂乃果諦め悪いや…」


口に出してしまえばやっぱり寂しくなって。
ううん、絵里ちゃんが今日学校戻れただけでも喜ばなきゃ。
会いたいなんて、話したいなんて穂乃果の我儘なんだし。


いよいよ帰ろうと、タオルを首に巻き立ち上がった時


「穂乃果!!!!」


二度と聞くことができないと思っていた声がどこからか聞こえてきた。

「絵里、ちゃん……?」


…いやいや、絵里ちゃんがこんなところにいるわけないし。
ましてや記憶をなくした絵里ちゃんが、穂乃果のことこんな風に呼ぶわけ……




「穂乃果……!!!」






時が、止まったのかと思った。
穂乃果に今起きている事実が間違っていないとすれば、穂乃果は今絵里ちゃんに抱きしめられている。
穂乃果の名前を呼んで、泣きながら……だけどすごく幸せそうな顔をして抱きしめて、そして……







「愛してる……!」







絵里ちゃんの熱が、唇に落とされた。

……夢、なのかなこれは。
だって夢じゃなきゃあり得ない。

記憶を無くしたはずの絵里ちゃんがこうして、穂乃果の目の前にいて。


病院で会った時とはまるで違う、…穂乃果に恋をしてるような表情をしていて。


絵里ちゃんの腕は確かに穂乃果を強く抱きしめていて。


形のいい綺麗な唇から溢れた言葉は、「愛してる」




ねぇ、絵里ちゃん。
穂乃果バカだから期待しちゃうよ?
絵里ちゃんが穂乃果のこと思い出して戻ってきてくれたって期待しちゃうよ?


言いたいことはたーーくさんあるのにどれも言葉にできなくて、ただただ涙を溢れさせて目の前の絵里ちゃんを見つめるだけ。


そして絵里ちゃんは1度穂乃果から体を離すと「ただいま」と言ってもう1度抱きしめた。



あぁ、もうだめだと思う。
こんなのずるいよ。最後の最後でこんなこと。
ずるいよ絵里ちゃん。


「穂乃果、穂乃果ごめんなさい。ありがとう、ずっと愛してくれて。諦めないでくれて」


…そんなの当たり前だよ。
だって、穂乃果は絵里ちゃんのこと大好きなんだから。


「ずっと悲しい思いをさせてしまってたわよね、ずっと私穂乃果を傷つけた」


…ほんとだよ。穂乃果のことだけ忘れちゃうなんて酷いよ。
希ちゃんとキスしようとしてた時は凄く凄く悲しかったし。



「ごめんなさい、穂乃果……」
「絵里ちゃんっ!!!」


がばっ、と絵里ちゃんの言葉を遮るように抱きつく。
胸がきゅーってなって、熱くなる。
絵里ちゃんのことを想うとこうなるから、きっとこれは恋をしている証拠。


「もう、いいの。いいんだよ!またこうして穂乃果のところにきてくれてありがとう……だからもう謝らないで欲しいな、穂乃果はもう気にしてないから!!

穂乃果ね、絵里ちゃんといると優しい気持ちになるし強くもなれる!
本当に本当に絵里ちゃんが大好き。

……ううん、愛してる!」



好き、なんて言葉じゃ足りなくて。
何回伝えたって足りなくて。
言葉にしたら軽いかもしれないけど、それでもこれが穂乃果の精一杯の気持ちだから。

だって、ほら伝わってる。
穂乃果の大好きな人には、伝わってるからもうそれで十分なんだ。

◆◇◆

バタバタ……
バタンッ


「おっまたせー!!」
「穂乃果ちゃん!おっそいにゃー!!」
「そうよそうよ!穂乃果が屋上に呼びかけておいてにこたち放置ってどういうことよ!」

「まぁまぁにこ……穂乃果らしくていいじゃない」
「本当に絵里は穂乃果に甘いのですから…」
「そういう海未ちゃんもだよね♪」

「ウチらはみんな穂乃果ちゃん大好きやもんな〜?」
「ちょ、ちょっとどうしてこっち見るのよ!」
「えへへ、花陽は穂乃果ちゃんも絵里ちゃんも大好きですっ」


「みんな待たせてごめん〜〜それじゃ、ようやく揃ったね!みんないくよ、せーーーのっ!」



「1!」
「2!」
「3!」
「4!」
「5!」
「6!」
「7!」
「8!」
「9!」


『ーーμ′sミュージックスタート!!!』



ねぇ、絵里ちゃん。
穂乃果たちはちょっとたくさん遠回りしたけどきっとこれでよかったんだよね。

だってほら、前よりずっとずっと
穂乃果も絵里ちゃんも幸せそう。
諦めなくて、よかった。


「これからもこんな穂乃果をよろしくね、絵里ちゃん。」
「こちらこそ、愛してるわ穂乃果」
「穂乃果も絵里ちゃんを愛してる」


これから何かあっても、どんな時もずっと穂乃果は絵里ちゃんを愛してる。




end



以上で完結になります!
お付き合いいただいた皆さんありがとうございました!!

前作(初SS)
希「意味のない独占欲」
【ラブライブ】希「意味のない独占欲」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419309376/)
もよろしくお願いします。


何か書いて欲しいカプ、シチュなどありましたらレスください!
本当にありがとうございました!


ご意見いただいたので
続編としてうみぱなを書きたいと思います。


花陽「自分にできること」
というタイトルで上がると思うのでそちらもよろしくお願いします!

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