※一部、微グロ成分あり
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【魔王城】
勇者「…ついにここまで来たな」
僧侶「長い旅でしたね」
戦士「いよいよ決戦か…やってやるぞ!」
魔法使い「緊張します…」
勇者「この扉の奥から強い魔力を感じる…恐らくそこに魔王がいるはずだ」
僧侶「はい、覚悟はできています」
戦士「燃えてきたぜ!」
魔法使い「…待って下さい」
勇者「ん?」
魔法使い「この石像でセーブができるみたいですよ」
戦士「おお!親切じゃねーか」
僧侶「ではセーブしておきますね」
ピコーン
冒険の書1にセーブした!
勇者「よし、扉を開けるぞ!」
ゴゴゴゴ…
【魔王城・暗黒の間】
戦士「お、女?!お前が魔王か?!」
女悪魔「きゃはは、残念でしたー。あたしは魔王様の側近の女悪魔よ!魔王様は更にもう1つ扉の向こうにいるわ」
バンッ
僧侶「わ、私達の入ってきた扉が…!!」
魔法使い「…閉じ込められたようですね」
女悪魔「んふふ…扉を開きたければ、このあたしを倒してみせる事ね!」
勇者「…来るぞ!皆、戦闘準備だっ!!」
▼勇者の攻撃!
女悪魔に120のダメージ!
▼魔法使いはギガファイアを唱えた!
女悪魔に150のダメージ!
▼女悪魔はダークボルトを唱えた!
勇者達全員に100のダメージ!
▼女悪魔のポイズンブレス!
勇者と戦士は毒に掛かった!
▼僧侶はオールヒールを唱えた!
勇者達全員のHPが70回復した!
▼戦士は毒消し草を使った!
勇者の毒が回復した!
▼勇者のホーリースラッシュ!
女悪魔に300のダメージ!
:
:
:
▼僧侶は命の粉を振りまいた!
魔法使いは生き返った!
▼戦士の連続斬り!
女悪魔に110のダメージ!
女悪魔に120のダメージ!
女悪魔を倒した!
女悪魔「うっ…このあたしを倒すとは、なかなかやるじゃない…」
勇者「…ふぅ、なんとか倒したみたいだな」
女悪魔「…でも、魔王様はアンタ達になんて負け、ないわ…」ガクッ
ゴゴゴゴ…
戦士「入ってきた扉と、奥に進む扉が開いたぜ!」
僧侶「待って下さい、今の内に回復を…きゃっ?!」スタスタ
魔法使い「か、体が勝手に前に進みます!」スタスタ
勇者「ここでまさかの自動イベントかよ…」スタスタ
【魔王城・破壊と終焉の間】
魔王「…貴様が勇者か」
勇者「そうだ、お前を倒しに来た!」
勇者「…と言いたい所だが、2連戦はキツいな…」
魔王「くくく…かなり消耗しているようだな」
戦士「だ、黙れ!こうなりゃ意地でも勝ってやる!」
僧侶「もう私あまりMPが残ってないですよ?!」
魔法使い「アイテムも殆どさっきの戦いで…」
魔王「それでは始めようか…貴様らを混沌の闇へと葬り去ってやるわ!」
【異空間】
女悪魔「……」
女悪魔「…あれ?」ムクッ
女悪魔「あたし…死んだよね?」キョロキョロ
女悪魔「…ってここはどこよ?!」
「…目が覚めましたか」
女悪魔「うわっ?!ア、アンタ誰っ?!」
神「私は神です」
女悪魔「神…?」
神「はい。と言っても、魔王と対を成すような立場の神ではなく、全てにおいて中立の存在ですが」
女悪魔「は、はぁ…」
神「この世界の創造主…とでも言えばおわかりいただけますか?勇者さんも魔王さんも、そしてあなたも私の子だと言えるのです」
女悪魔「…えっと、とりあえずあたしは死んじゃったんだよね?」
神「その通り…あなたは勇者さん達によって倒されました。通常、死んだ者は天界へと送られるのですが…」
女悪魔「やっぱり死んじゃったのか…はぁ、短い一生だったなぁ。こんな事ならもっと…」
神「…女悪魔さん、生き返って下さい」
女悪魔「へ?」
神「時間がありません、説明は次に会った時にでもしますので」
女悪魔「え、ええっ?!体が…」
【魔王城・暗黒の間】
女悪魔「ここは…あ、暗黒の間?」
勇者「今度は作戦を練らないとな」
僧侶「そうですね、なるべく魔王戦までアイテムを温存するようにしなくては」
女悪魔「ア、アンタ達がどうしてここに?!」
戦士「そりゃあれだ、悔しいが魔王に負けちまったんだよ」
魔法使い「まさか強制2連続戦闘とは思いませんでしたもんね…」
女悪魔「…いやいや。魔王様にやられたなら、どうしてそんなにピンピンしてるのよ!」
勇者「すぐそこのセーブポイントでセーブしていたからね」
女悪魔「セーブ…ポイント?」
僧侶「私達は死んでしまっても、最後にセーブをした場所からやり直す事ができるのです」
女悪魔「はぁ?!何それ、ずるくない?!」
戦士「そんな事俺達に言われてもなぁ。とにかく、街までアイテムを補充しに戻るのも面倒くせぇから、もう1回挑戦しにきたって訳だ」
魔法使い「今度こそ魔王を倒しましょうね。その為にはまず…」
勇者「女悪魔!悪いがもう1度倒させてもらう!」
女悪魔「ちっ…こ、今度は負けないわよ!!」
▼魔法使いはギガウインドを唱えた!
女悪魔に150のダメージ!
女悪魔を倒した!
女悪魔「ひぎぃ」ガクッ
僧侶「今回はアイテムに余裕を残して勝利できましたね」
戦士「今度こそ魔王をぶっ倒してやらぁ」
ゴゴゴゴ…
魔法使い「また扉が開きましたね」
勇者「行くぞ皆!…って体が勝手に進むけど」スタスタ
【異空間】
神「おや、早かったですね」
女悪魔「う、うっさいわね!あいつら、あたしより強いんだから仕方ないじゃない」
神「…あまり悲しそうではありませんね?あなたは再び死んでしまったというのに」
女悪魔「もうよくわかんないよ…なんであたしは1度死んだのにさっきは生き返ったの?勇者達はセーブ?とかいうので生き返るらしいし…」
神「そうそう、先程は時間がなくて説明ができませんでした。今から詳しくお話ししますね」
女悪魔「…えーと、勇者達だけは特別に死んでも生き返る事ができるけど、普通は死ねばそれっきり…」
女悪魔「でも、勇者達以外でもあたしだけ例外って事?」
神「物わかりがよくて助かります。女悪魔さんと魔王さんの戦闘は、このゲームで唯一の連続戦闘イベント…」
神「よって、他の魔物や人間の皆さんは死亡した時点で天界にすぐに送るのですが、女悪魔さんだけは特別にこの空間にお呼びしました」
女悪魔「その…連続戦闘っていうのがあるから、あたしだけ特別なの?」
神「ええ、連続戦闘の間にはセーブをする事ができないので。セーブというシステムは勇者さん達の復活起点であると同時に、この世界の状態保存の役割も持ちます」
神「従って、誰かが死んだ後にセーブが行われる事により、その方の死亡が確定するのです」
女悪魔「…あたしの死はまだ確定してないって事?」
神「まぁそうとも言えますね。正確には、『生き返る事を約束された死者』でしょうか」
神「あなたは確かに勇者さん達に倒され死にましたが、勇者さん達が魔王さんに負けてしまった場合…あなたが倒される直前からやり直しになるので」
女悪魔「…それってさ、つまりあたしだけ何度も苦しまなきゃ駄目って事じゃないの?!」
神「簡単に言えばそうです」
女悪魔「…ひ、ひどすぎない?あたしそこまで悪い事したかな?」
神「おっと、また勇者さん達が来たようですね。それではお願いします」
女悪魔「えっ?!ちょ、まだ心の準備が…」
【魔王城・暗黒の間】
勇者「くそっ…もう少しだったのに」
僧侶「さっきは惜しかったですね」
女悪魔「ひっ!!」
戦士「今度こそいけるさ、もう魔王の攻撃パターンは覚えた」
魔法使い「3度目の正直…になるといいのですが」
勇者「よし、とりあえずさっさと女悪魔を倒すぞ。2回目と同じ作戦でいこう」
女悪魔「あ、あたし戦わないわよ!!もう痛いの嫌なんだからっ!!」
勇者「…そうは言っても、お前を倒さないと奥に進めないんだが」
女悪魔「な、何なのよ…この扉!開きなさいよっ!!」ガンガンッ
僧侶「…見てはいけないものを見てしまった気がします」
戦士「まぁ悪く思わないでくれ…俺達だって何回も死んで何回も痛い思いをしてるんだ」
女悪魔「そんなの知るかっての!!アンタ達は主人公なんだからいいじゃない、あたしはただの中ボスなのに…」
魔法使い「…いきます」
女悪魔「…こ、こうなったらヤケクソよっ!!」
▼勇者のホーリースラッシュ!
女悪魔に320のダメージ!
女悪魔を倒した!
女悪魔「んぐっ…もう、無理…」ガクッ
勇者「いいか皆、魔王は体力が減ると攻撃が激しくなるようだ。やられる前にやるぞ!」
戦士「僧侶も光の魔法で攻撃に参加してくれ、一気に倒したい」
僧侶「わかりました」
魔法使い「今度こそやり遂げましょう!」
【異空間】
神「…どうしたのですか、そんなに震えて」
女悪魔「…アンタに何がわかるっていうの?」
神「私は神ですよ?この世界の全てを理解して…」
女悪魔「そういう事じゃない!!アンタは死ぬって事がどれだけ苦しい事か知ってるの?!あたしこの短時間に3回も殺されたのよ?!」
神「それは…」
女悪魔「しかも、何が『320のダメージ、女悪魔を倒した』よ!!ふざけてんの?!そりゃ燃やされて殴られた挙句に剣で思いっきり刺されりゃ死ぬに決まってるじゃない!」
神「そういうシステムですから…文句を言われても困ります」
女悪魔「システムなんて知らない、悪魔だって生きてるのよ!人間と同じように知能もあれば痛覚だってあるの!」
女悪魔「目の前に自分の腕が転がってて、その断面を見た時…どれだけ吐き気がするかアンタにわかる?!あんな思いは1度で充分よ!!」
神「そういった生々しい表現はこのゲームのテーマにそぐわない為、不適切と判断します」
女悪魔「偉そうに…大体アンタは一体何者なの?!神っていうキャラな訳?!」
神「神は神です。このゲームを見守り、あらゆるシステムを管理し、バグを回避する…それが私の務め」
女悪魔「…だったら教えて!!どうしてあたしだけこんな役回りなのよ?!」
神「特にあなたである理由はありません。終盤の盛り上がりの1つとして、連続戦闘イベントを組み込んだだけの事」
女悪魔「…いつかアンタには天罰が下るわ」
神「ふふふ、悪魔が神にその台詞を吐くとは面白いですね。さて…また出番ですよ」
女悪魔「!!」
女悪魔「い、嫌…!!もう行きたくない…死ぬ為だけに生き返るなんてやだぁぁぁ!!」
神「行ってらっしゃい」ニコッ
【魔王城・暗黒の間】
女悪魔「……」
女悪魔「…なんでまた来るのよ?!馬鹿なの?!」
勇者「な、なんだよ急に」
女悪魔「今のアンタ達じゃ魔王様には勝てないんだってば!アイテム補充して来るなり、レベル上げて来るなり…ちょっとは頭使いなさいよ!」
戦士「…まるで俺達に魔王に勝ってほしいみたいな言い方だな」
女悪魔「そ、それは…!!」
僧侶「…私達もそこまで馬鹿ではありません。流石に3度敗れた以上、街まで引き返す事も考えました」
女悪魔「だったらどうしてすぐまた来たのよ?!」
魔法使い「…できなかったんです」
女悪魔「え?」
勇者「バグ…なのかな。この城の入口の、俺達が入ってきた扉が開かないんだ」
女悪魔「なっ…?!」
戦士「参ったよな…。引き返せねぇ以上、なんとかこのまま魔王に勝つか、それともあいつがバグに気付いて直すのを待つか…」
女悪魔「…アンタ達さ。今回また魔王様に負けたら、もう1度街に帰ろうとしてみて」
僧侶「ど、どういう意味でしょうか?」
女悪魔「そのバグ…次には多分直ってるからさ」
魔法使い「…何故あなたにそんな事がわかるのですか?もしかして何かの陰謀では…」
女悪魔「違うわっ!!ここまですれば信じてくれる?!」バッ
勇者「…こ、降伏のポーズか?」
女悪魔「あたしは抵抗しないから…早く殺して」
戦士「おいおい…何の真似だよ?」
女悪魔「どうせあたしはアンタ達には勝てない…だからさっさとして。あたしを倒さなきゃこの扉開かないでしょ」
僧侶「…わかりました。あなたを信じます」
女悪魔「どうせまたアンタ達は魔王様に負ける…だから約束して。次に生き返ったら、もう1度街に戻ろうとしてみるって」
魔法使い「や、約束します…」
▼女悪魔はじっと立ち尽くしている!
▼女悪魔はじっと立ち尽くしている!
▼僧侶の攻撃!
女悪魔に50のダメージ!
▼戦士の攻撃!
女悪魔に100のダメージ!
▼勇者の攻撃!
女悪魔に120のダメージ!
▼魔法使いの攻撃!
女悪魔に40のダメージ!
▼女悪魔はじっと立ち尽くしている!
▼女悪魔はじっと立ち尽くしている!
▼僧侶の攻撃!
女悪魔に50のダメージ!
女悪魔を倒した!
女悪魔「約束…守ってよ、ね…」ガクッ
勇者「…後味が悪いな」
僧侶「私達、無抵抗の相手を一方的に…」
戦士「…勝てないってわかってる戦いに気が滅入ったんだろうな」
魔法使い「私達も…多分また魔王に殺されるんですよね」
勇者「…女悪魔の言葉が本当なら、次は魔王城から出て街に帰れるはずだ。アイテムさえ補充できればもう負けないさ」
【異空間】
女悪魔「ねぇ、バグがあったみたいなんだけど」
神「バ、バグですか?!そんなはずは…」
女悪魔「勇者達が城から出られないって言ってたわよ」
神「ほ、本当ですか?!今から確認します!」
神「いやぁ、助かりましたよ。修正ばっちり、これでもう大丈夫なはずです」
女悪魔「…別にアンタの為じゃないわ。あたしはただ解放されたいだけよ」
神「解放?」
女悪魔「そう…勇者達が魔王様に勝てない限り、あたしは永遠にこの生と死を繰り返さなきゃいけないんでしょ?だったら…魔王様には悪いけど、勇者達に勝ってもらうしか…」
神「あれ、言ってませんでしたっけ?あなたがこのループから抜け出す事は不可能ですよ」
女悪魔「…えっ?!」
神「勇者さん達が魔王さんを倒した場合、そのままエンディングに突入する事になります。そして次に再びゲームを始めた時は、魔王さんを倒す前の状態からスタートする…」
神「つまり、女悪魔さんとの戦闘前から始まるという事です」
女悪魔「なっ…!!そ、そんなの聞いてないわよ!!」
神「考えればわかる事でしょう?エンディングは何度でも見られるべきですし、ラスボスと1度しか戦えないゲームの方が珍しいですよ」
女悪魔「そんな…じゃあ、あたしは…」
神「魔王さんを倒した状態でセーブデータを読み込むと、勇者さんが最強の武器『聖剣エクスカリバー』を所持しているようになります。この武器を装備して魔王さんを倒すと、トゥルーエンドも見れますしね。ふふふ、こういうやり込み要素は大切なんですよ」
女悪魔「…アンタが全部仕組んでるのよね?」
神「人聞きの悪い言い方はやめてくれませんか?私はただこのゲームを面白くしようとしているだけです」
女悪魔「…だったらアンタを倒して、こんなふざけたゲーム壊してあげるっ!!」
▼女悪魔はダークボルトを唱えた!
神にダメージを与えられない!
▼女悪魔は魔界の龍を召喚した!
神にダメージを与えられない!
神「馬鹿な事はおよしなさい。私はこの世界の神なのですよ?」
女悪魔「ちっ…」
神「あなたは所詮ラスボス前の噛ませ犬キャラに過ぎません、それがゲームのルールを破壊するなどと…身の程をわきまえて下さい」
神「何度も出番があるだけ喜んでいただかないと」
女悪魔「……」
一旦ここまで。
途中コメくれた方ありがとですー。
また後でまとめて投下します。
【魔王城・暗黒の魔】
勇者「…お前の言う通り、魔王城から出て無事に街に帰る事ができたよ」
女悪魔「…そう」
僧侶「アイテムも充分ありますし、今度こそ魔王を倒せるはずです」
女悪魔「…そう」
戦士「…おい女悪魔、お前との約束守ったんだぞ?なんでそんなに元気がねぇんだよ」
女悪魔「…何も意味はなかったのよ」
魔法使い「意味が…ない?」
女悪魔「あたしはね…この生き返ったり死んだりするのがもう嫌なの。だから全て終わりにしてほしかった…」
女悪魔「でも!!アンタ達が魔王様を倒した所で、あたしはこのループから抜けられない!誰か助けてよ…もう許してっ!!」
勇者「…神からそう聞いたのか?」
女悪魔「え」
女悪魔「…う、うん。ア、アンタ達も神の存在を知ってるの?!」
勇者「まさか…俺達以外に、神の存在を知っている者がいるとはな」
女悪魔「どういう事よ…?」
勇者「俺達主人公4人は、神によって魔王との戦いを義務付けられた存在だ…。逃げ出す事も、死ぬ事も許されない」
女悪魔「…アンタ達も大変なのね…」
僧侶「ええ…それはもう、宿命と割り切るのが不可能な程には」
女悪魔「…じゃあアンタ達は魔王様を倒した後どうする気なの?そんな事したって何の意味もないのに…」
戦士「…俺達の最終目標は、神だ」
女悪魔「?!」
魔法使い「私達は神によって散々苦しめられました…あの方にとってはゲーム感覚でしょうけど。私達が憎むべき敵は、魔王などではなく神です」
女悪魔「殺ないわよ…あいつは。あたしの攻撃が全く効かなかったもん」
勇者「その為に魔王を倒すんだ。魔王を倒せば、ゲームクリア特典として最強の剣『エクスカリバー』が手に入るらしいからな」
女悪魔「エクスカリバー…神が言ってたトゥルーエンドの条件になる武器だっけ?」
僧侶「エクスカリバーなら、神を倒す事もできるかもしれません。それ程強力な、いわゆるチートのような剣だと聞きましたので」
女悪魔「なるほどね、その為に魔王様を倒そうと…。はぁ、今までのは全部茶番だったって訳か」
戦士「…ただ、問題は俺達側からは神にコンタクトを取れないって事だ」
魔法使い「ですね…そのせいで、魔王城から出られないバグも報告できませんでしたし。いいタイミングで姿を現してくれればいいんですが…」
女悪魔「…それならあたしに1つだけ考えがあるわ」
【異空間】
神「戻ってきてからずっと難しい顔をしていますね」
女悪魔「別に。あたしにも色々考える事があるのよ」
神「そうですか」
女悪魔「……」
ヒュンッ
魔王「…な、なんだここは?!」
女悪魔「ま、魔王様っ!!」ぎゅっ
魔王「お、女悪魔?!そうか…我は勇者達に敗れたのだな…」
神「お久しぶりですね、魔王さん」
魔王「神よ…我の役目は終わったようだ。ここは地獄か?」
神「いえ…あなたはまだまだこれからですよ。何度でも蘇り、未来永劫ラスボスとして君臨し続けていただかないと」
魔王「な、何ぃっ?!」
神「次にあなたは恐らく、聖剣エクスカリバーを装備した勇者に倒される事でしょう」
女悪魔「あたしもだよ…もう5回も殺されちゃった、てへへ…」
魔王「ふ、ふざけるな!!そんな話は聞いておらんぞ!」
神「ええ、お話しておく必要はないかと思いましたので。あなた達には私が与えた役割を演じていただければ、それでいいのです」
魔王「この外道め…!!」
女悪魔「…ってかさ、魔王様は神の存在は知っていたんだね」
魔王「う、うむ…。『魔族を従え、勇者の宿敵となれ』…それが我に与えられた使命だったのだが…」
魔王「まさかこんな事態になろうとは…女悪魔、お前にはすまない事をしたな」
女悪魔「ううん…あたしの方こそごめんなさい。魔王様が倒されたのはあたしのせいなの…あたしが勇者達を手助けしたから…」
魔王「…構わんさ。我はいずれは滅びゆく存在…魔王の座についた時からそんな事は覚悟していた」
女悪魔「魔王様ぁ…!!」ぎゅっ
魔王「こ、こら!抱きつくでない!」
神「ふふふ、微笑ましいです事」
女悪魔「…覚えてなさいよ」ギロッ
【魔王城・暗黒の間】
▼勇者の攻撃!
女悪魔に2150のダメージ!
女悪魔を倒した!
女悪魔「す、すごい威力ね…エクスカリバー…げほっ」
勇者「あ、ああ…これでいいんだな?」ガシッ
勇者は装備していたエクスカリバーを女悪魔に握らせた!
戦士「女悪魔、頼んだぜ」
女悪魔「ア、アンタ達の為じゃないけど…任せ…とい、て…」ガクッ
僧侶「…後はあの方達がどうにかしてくれる…はずですよね」
魔法使い「信じましょう…自ら死を選んだ彼女の決意を」
勇者「そうだな。おい戦士、しりとりでもしようか」
戦士「なんで急にそうなる?!」
勇者「だって途切れずに会話を続けておかないと、自動イベントが始まって魔王の所に進んじゃうだろ」
戦士「あ、そっか。俺達が魔王の部屋に入ると、魔王は生き返って向こうの世界からこっちに来ちまうもんな」
僧侶「女悪魔さん、魔王さん…お願いします」
【異空間】
女悪魔「ただいま」
神「あら、お帰りなさい。またいつか来る戦闘の時まで、せいぜい疲れを取って下さいね」
女悪魔「…その必要はないわ」ジャキッ
神「そ…その手に握っている物は何ですか?!」
女悪魔「あれぇ?よくご存知でしょ?アンタが楽しそうに話してた、最強の剣エクスカリバーよ」ニコッ
魔王「なんと?!」
神「ど、どうしてそれがここにあるのですか?!それは…」
女悪魔「勇者達に頼んだのよ、あたしが死ぬ間際に握らせてくれってね。上手く持ってこれたみたいでよかったわ」
魔王「女悪魔よ…神を倒す気なのだな?」
女悪魔「ええ…魔王様も手伝って!その為に勇者達が時間稼ぎをしてくれてるから!」
魔王「なるほど…そういう事か。ならば私とて協力は惜しまぬ」
魔王「神よ、貴様の掌で転がされるのもここまでだ!」
神「お、愚かな事を…!!」
女悪魔「この剣ねぇ…すっごい威力なの。あたしがこの身で確かめたんだから、その破壊力は折り紙付きよっ!!」
▼女悪魔の攻撃!
神に5のダメージ!
▼女悪魔の攻撃!
神に4のダメージ!
▼魔王の殺戮の爪!
神にダメージを与えられない!
▼魔王はメテオストライクを唱えた!
神にダメージを与えられない!
▼神はゴッドヒールを唱えた!
神のHPが99999回復した!
女悪魔「9…9999っ?!」
魔王「ぬぅ…!!」
神「ふふふ、力の差を思い知りましたか?」
ここでストップです。
続きは夕方か夜になると思います。
【魔王城・暗黒の間】
魔法使い「わ、私達…いつまで喋り続ければいいんでしょうか…」
戦士「さぁな…あいつらを信じるしかねぇだろ」
勇者「だな…女悪魔の話には信憑性があった。バグの修正なんて神にしか不可能なはずだ…それを先に明言したあいつは、本当に神とコンタクトを取れていたんだろう」
僧侶「私達も参加できればいいのですが…ここで祈る事しかできないんですね…」
【異空間】
▼女悪魔の攻撃!
神に3のダメージ!
▼女悪魔のクリティカル!
神に8のダメージ!
▼魔王はアブソリュートゼロを唱えた!
神にダメージを与えられない!
▼魔王の攻撃!
神にダメージを与えられない!
▼神はゴッドヒールを唱えた!
神のHPが99999回復した!
魔王「じ、次元が違うというのか…!!」
女悪魔「何なのよ…こんなの反則じゃない…」
神「反則?私という概念がルールそのものなのですよ?神であるこの私に逆らう事こそ、反則にも等しい行為だと知りなさい」
魔王「おのれぇ…!!」
神「そろそろ諦めていただけませんか?その剣は勇者達に返さねばなりません」
神「しかし…我ながら惚れ惚れしますねぇ。微量とは言え、この私にダメージを与えるとは…流石は聖剣エクスカリバーです」うっとり
女悪魔「ダメージ…そうだわっ!!」
魔王「どうした女悪魔?何か考えでも…む、その手があったか!」
神「何か企んでいるようですね?やれやれ…これだけ圧倒的な差を見せつけられて、何故まだ戦いを続けようとするのか…」
▼魔王は仲間を呼んだ!
魔物の群れが現れた!
▼魔王は仲間を呼んだ!
魔物の群れが現れた!
神「物量作戦ですか?ゼロがいくつ集まった所でゼロだと言うのに…」
女悪魔「好きに言ってなさい、アンタにも痛みってものを教えてあげるわ!」
魔王「己の浅はかさを悔やむがいい!」
▼魔物はダメージアップを唱えた!
女悪魔の与えるダメージが2倍になった!
▼魔物はダメージアップを唱えた!
女悪魔の与えるダメージが2倍になった!
▼魔物はダメージアップを唱えた!
女悪魔の与えるダメージが2倍になった!
:
:
:
▼魔物はダメージアップを唱えた!
女悪魔の与えるダメージが2倍になった!
▼魔物はダメージアップを唱えた!
女悪魔の与えるダメージが2倍になった!
神「な、何を…?!」
女悪魔「見りゃわかんでしょ、補助魔法の重ねよ。何回重ねたか数えるのも面倒だけどね!」
魔王「この剣の攻撃力があったからこそ、貴様に僅かでもダメージを与える事ができたのだ…礼を言うぞ」
神「…こ、こんなの反則です!!認めません!普通ならば魔王が呼び出す魔物の数はせいぜい4匹までと…」
女悪魔「はぁん?反則?アンタ、それが言える立場だと思ってんの?」
魔王「貴様…『普通ならば』と言ったな?1ついい事を教えてやろう。普通ならば、魔王が神の言う事になど従うものか!!」
神「ひぃぃぃぃぃっ!!お、おやめなさい!!聖剣エクスカリバーはこのような事に使われるべき代物ではないのです!!」
神「そ、それは私がトゥルーエンドの為にっ…!!」
女悪魔「これがあたし達の…」
女悪魔&魔王「「トゥルーエンドだぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」
▼女悪魔の攻撃!
神に999999のダメージ!
神を倒した!
神「ば、馬鹿な…うっ…!!」
女悪魔「わーお、6桁まで表示できたんだ」
神「あ、あぐ…まだ間に合います!わ、私を助けなさいっ!!」
女悪魔「誰が助けるもんですか。1回苦しむだけでポックリ逝けるんだから、ラッキーだと思いなさいよ」ペッ
魔王「愚かなのは貴様の方だったな…過ぎた真似に相応の報いだ、絶望の淵にて朽ちゆくがいい!」
神「よ…よく、も…」ガクッ
女悪魔「…これで終わりよね?」
魔王「女悪魔…お前のお陰だ」ポン
女悪魔「えへへ…あたし1人じゃできなかったわ。魔王様の協力があったから…それに、悔しいけど勇者達のもね」
女悪魔「あ…」シュウウウ…
魔王「体が消えてゆく…」シュウウウ…
女悪魔「神が死んだから、ループの法則が壊れたのね…」
魔王「我々は本来、既に滅びている身…待っているのは本当の終わりか」
女悪魔「魔王様ったら寂しい事言わないでよ!あたし達、地獄に行ってもずっと一緒なんだから!」
魔王「くくく、そうだったな…多勢の部下達もきっと向こうにいる事だろう。そう思えば死もなかなか悪くはない…」
女悪魔「ええ…。これで、やっと楽になれる…」
シュウウウ…
もう少しだけ続きます。
エピローグのようなものですが…それではまた後で。
【その後】
女悪魔「思ってたより住みやすい所よね」
魔王「ああ…ここなら穏やかに暮らせるだろう。我々は全てから解放されたのだ」
魔物「魔王様ったら、すっかり角が取れて丸くなったッスねー。再会した時はビックリしたッスよ」
魔王「元々私はこういう性格だ。威厳を保つ為に狡猾な魔王を演じてきたが…もはやその必要もないからな」
女悪魔「玉座に偉そうにドーンと構えてた魔王様、あれはあれで好きだったのになー」
女悪魔「そう言えば…あの城はどうなっちゃうんだろうね?やっぱり人間達に取り壊されちゃうのかな?それとも、文化遺産とかになったりして!」
魔王「さぁな…これからは新しい世界で暮らしてゆくのだ、もうあの場所に未練はないさ」
魔物「うッス!オイラ達は魔王様にどこまでも付いていくッスよ!」
女悪魔「てかさぁ…あいつら遅くなーい?」
魔物「うーん、もうそろそろ来るんじゃ…」
ガチャ
勇者「悪い悪い、待たせたな」
女悪魔「もう!勇者のくせに遅刻しないでよー!」
勇者「ははっ、俺はもう勇者でも何でもない。ただの一般人さ」
戦士「すまねーな。女連中の用意が遅くて」
僧侶「せ、戦士さんがトイレに篭っていたのが主な原因では…」
戦士「お、おい!!それは言わねぇ約束じゃ…」
魔法使い「…すいません」
魔王「…ゴホン、まぁいい。勇者達を待つのは慣れた身だ」
勇者「上手い事言うなよ。それじゃあ行こうぜ」
【大広場】
兵士「お待ちしておりました、勇者様!それと…ま、魔王様…」ビクビク
勇者「怖がらなくて大丈夫だよ」
兵士「は、はい!」
魔物「さぁ魔王様、ステージにどうぞ」
魔王「うむ」
僧侶「勇者さん…頑張って下さいね」
勇者「プ、プレッシャーかけるなって」
ザワザワ…
勇者「えー…本日お集まりいただいた理由は、既にご存知かと思われますが…」
魔王「我々魔族と人間の争いは既に幕を閉じている」
勇者「よって、ここに人間代表である元勇者と」
魔王「魔族代表である元魔王が誓おう」
勇者&魔王「「両種族が共存の道を歩む事をっ!!」」
観客「ワァァァァァ!!」
パチパチパチパチ
僧侶「いやーバッチリでしたよ、勇者さん!しっかり写真に撮っておきましたから!」
勇者「は、恥ずかしいからやめてくれ」
女悪魔「魔王様もビシッと決まってたわよ!」
魔王「そ、そうか…?」
魔法使い「それにしても…本当によかったです」
女悪魔「ええ、嬉しい誤算だったわ。神を倒したらこの世界のルールが壊れて、あたしも魔王様も本当の死を迎えるんだって思ってたけど…」
魔王「勇者達や我々…人間と魔族の戦い自体が神の設けたルールであり、戦死した事実そのものがなかった事になるとはな」
戦士「俺達が殺した魔物も、お前ら魔族が殺した人間も、皆仲良く生き返って被害ゼロ!最高じゃねぇか!」
勇者「そのお陰で、魔物への憎しみも人々の心から消えた訳だが…どうだ?人間の街での暮らしは」
魔王「うむ、新たな発見が多くて楽しいぞ。人間と和解できた以上、あんな辺境の地に暮らす必要もないからな」
魔物「人間の街には美味しい物がたくさんあるッスね!」
僧侶「これから世界はどうなって行くのでしょうか?」
戦士「なぁに、争う理由はもうねぇんだ。心配はいらねぇさ」
勇者「…とは言っても、死者の復活や魔族との共存で一気に世界の人口が増えたからなぁ…。魔族達にも働いてもらわないと」
魔物「職に就いても、オイラの職業欄は『魔物』のままなんスかね?」
女悪魔「仕事かぁ…面倒くさそー」
魔法使い「それならウチの魔法ギルドに来ませんか?女悪魔さんの魔力の高さなら、幹部スタートも夢じゃないですよ」
女悪魔「ま、それはそれで楽しそうかもね。少なくとも…誰かに敷かれたレールの上を歩いてるよりは」
女悪魔「勇者達も…その、協力してくれてありがとう」
勇者「こちらこそ礼を言わせてくれ。俺達だけじゃ、きっとここまで辿り着く事はできなかったからな」
戦士「…女悪魔。今更かもしれねぇが、俺達はお前を何度も痛めつけた…ごめん」
女悪魔「…いいわよ、そんなの。アンタ達だって旅の道中で散々苦しんだんだろうし」
僧侶「そうですねぇ…確か28回全滅しましたっけ」
魔法使い「いや、29だったような」
女悪魔「…うげぇ」
兵士「皆様、お待たせいたしました!」ガラガラ
魔王「おい貴様ら、準備が整ったようだぞ」
僧侶「わぁ!美味しそうですね」
戦士「へへっ、やっと飯が食えるぜ!」ガツガツ
魔法使い「あっ戦士さん、お行儀が悪いですよ!」
女悪魔「ちょっと、どきなさいよー!」
魔物「痛いッス!誰か踏んでるッス!」
勇者「えー…コホン!」
勇者「それでは今日という栄光の日に…」
魔王「両種族の新たなる門出に…」
皆「「「乾杯っ!!」」」
~TRUE END~
これにて完結です!
最後までお付き合いくださった方、ありがとうございました!
途中のコメントもモチベに繋がって嬉しかったです。
ベタベタなハッピーエンドを久しぶりに書いてみたかったので、すごく楽しかったー。
前半はただの作者の趣味ですがw
えー、たくさんの感想ありがとうございます!
本当に励みになります、いや本当に。
少しタイトル詐欺みたいになってしまったので…エログロリョナを期待していた方にはすいませんw
よし、次はそういうのもやってみようかな←
それではさようなら
また会う日までノシ
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