貴音「らぁめんふぁいたぁ貴音」 (68)
自分、我那覇響!ワケあって一人暮らししてる、うちなー出身の普通の女子高生さー。
さて、一人暮らししてる人なら解ると思うんだけど、自分一人のために毎日自炊するのって結構めんどくさいんだよね。
だから、今日はちょっと手抜きして近くのラーメン屋で晩御飯を済ますぞ!
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ガラッ
響「お兄さん、しょうゆラーメン一つ下さい!」
店員「あいよ! しょうゆラーメン一丁入りましたー」
ここのしょうゆラーメン、美味しいってネットで評判だったからなぁ。楽しみだぞ!
「ざっけんな!」
?「何をそんなに怒っているのです。ここは神聖なるふぃぃるど。騒音はご法度ですよ」
な、なんだかよく分かんないけど、あの銀髪の美人さんが危ないぞ!よーし……
男「うるせぇ!くらえ俺の必殺技!コショ…」
響「ちぇすとー!」ドゴォ
男「うぁらばっ!?」
響「何があったか知らないけど、女の子に手をあげるのはよくないぞ!」
ザワザワ……
客A「おい、あの子…」
客B「ファイト中のファイターを…殴っただと!?」
ザワザワ
ん? なんか変な空気だぞ……
?「もし、そこの貴女」
響「じ、自分、何か変なことしちゃったかな……」
?「何と……貴女、らあめんふぁいとをご存じないのですか?」
響「ら、ラーメンファイト?」
ザワザワ……ザワザワ
?「……どのみち、これでは今宵のふぁいとはお預けでしょう。店主、お会計を!」
……
響「そろそろ説明して欲しいぞ! 一体さっきの騒ぎは……ラーメンファイトって言うのは何なんだ?」
?「それよりも、お互い名を名乗りましょう。このままでは、説明にも不便です」
響「そうだね。自分、我那覇響! 高校一年生だぞ!」
貴音「私は、四条貴音と申します。流れのらあめんふぁいたぁをやっております」
響「で、そのラーメンファイターってのは何なんだ?」
貴音「ご説明致しましょう。らあめんふぁいたぁとは、らあめんふぁいとを行う闘士達のことでございます」
響「だから、そのラーメンファイトってのは何なんだよぉ!」
貴音「これは失礼致しました。らあめんふぁいととは、互いのらあめんに対する強い拘り、想いをぶつけ合う、古代中国より伝わる神聖なる戦いなのです」
響(絶対嘘だ……)
貴音「先ほどの男性もまたふぁいたぁだったのですが……近頃負けが続いていたためか、少々自棄を起こしていたようですね」
響(わ、ワケが分かんないぞ……)
貴音「どうやら、納得できないという顔ですね。ちょうど良いです。本日は私も不完全燃焼でしたし、近場のらあめん屋にて実際に決闘(ふぁいと)を見て頂きましょう」
響「ラーメンファイトの事は全然分かんない上に多分見ても信じられないだろうけど、自分さっきのお店でラーメン食べ損ねたから付き合うぞ!」
~近場のラーメン屋~
ガラッ
貴音「たのもう!」
ザワザワ
「お、おいあれ!」
「あれは……銀色の王女、四条貴音!? この町に来てたってのか!」
響「な、何この雰囲気!? なんだか殺気だってるぞ!」
貴音「ふふふ、今宵も猛者達が強敵(とも)を求めて猛っているようですね」
響「そんな……ホントにそんなバカバカしい戦いがあるっていうの!?」
貴音「響、見せて差し上げましょう。らあめんふぁいたぁの熱き戦いを! さぁ、何方かこの私と一戦交えようという闘士(ふぁいたぁ)はおられませんか!」
「おい、お前ファイトしてみたらどうだ?」ヒソヒソ
「ば、バカ言うな! 相手はあの四条貴音だぞ! 俺じゃ核兵器もってたって勝てねぇよ!」ザワザワ
響(これラーメンの話だよね?)
貴音「……残念ながら、ここには私と戦えるだけの勇気を持つふぁいたぁはいないようですね」
?「その勝負、ボクが受けていいかな?」
「あ、アイツは!」
「フレイムのスタイルを持つラーメンファイター……灼熱王子、菊池真!」
貴音「なんと……貴方が噂の灼熱王子ですか……確かに、並々ならぬ麺力」ムムッ
真「誤解が無いよう言っとくけど、ボクは女の子だからね?」
貴音「も、もちろん分かっておりますとも」アセアセ
響(分かってなかったな……)
真「ルールは?」
貴音「ばぁりぃかぁたぁで」
真「バーリィカータァ(何でもあり)ね。噂通りのファイターだね、貴音。で、フィールドはどうする?」
貴音「わざわざ移動することもありません。この店で結構ですよ」
「お、おいおい……この店を何だと思ってんだ?」ザワッ……
「この店は激辛ラーメンが売りの店……そこでフレイム(激辛)のスタイルを得意とする菊池真にファイトを挑むなんて、いくらあの銀髪の王女でも傲慢が過ぎるぜ!」ザワザワ
真「へぇ……このボクと、激辛ラーメンの店で勝負したいなんて……ずいぶんなめられたもんだね」
貴音「私はふりぃ(ラーメンなら何でも良し)のすたいる。戦いの形も場所も拘りません。ただ眼前のらぁめんを食すのみです」
真「面白い。ただの慢心か否かは、卓上ではっきりさせようか」
たかまこ「「ふふ、ふふふふふ」」ゴゴゴゴゴ
響「ふ、二人の周りからなんとなく凄そうなオーラが出てるような気がしないでもない!」
貴音「それではいざ!」
真「ラーメンファイトォォオッ!」
たかまこ「「レディーゴー!」」
真「大将、いつものッ!」
小鳥「先に動いたのは灼熱王子ッ! やっぱり地の利は大きいわ!」
響「お姉さん誰?」
小鳥「私は熱きラーメンファイトがあるところ必ず現れるジャッジメント、音無小鳥よっ! 後、お姉さんって言ってくれてありがとう! ウチに来て私をファックして良いわよ!」
響「今日だけで一生分の変人にあった気分だよ」
貴音「……ふむ。主人、このちょい辛らぁめんを」
小鳥「なっ!? この激辛ラーメン店で辛さ控えめのラーメンを注文するなんて!?」
響「何かまずいのか?」
小鳥「当たり前よ! 貴女は牛丼屋でピザを注文する? カレー屋でお蕎麦を頼む? 激辛がうりの店に来て、その店の売りを楽しまないなんて論外よ!」
響「じ、自分が食べたい物を注文したらいいんじゃないかな?」
小鳥「かぁーっ! これだから素人は!」
響「なんという理不尽」
真「やれやれ。噂の銀色の王女も対したことないみたいだね」
貴音「ふっ、菊地真。そういうのを、捕らぬ狸の皮算用と言うのですよ」ヒョイパクゴクゴク
真「っな!?」
貴音「主人、おかわりを。次は辛さを一段階上げて」
小鳥「ピヨー!? そういうことだったのね!」
響「何が起こったの?」
小鳥「貴音ちゃんは、この店自体を味わい尽くすつもりなのよ!」
真「バカな、できるわけない! 何品あると思ってるんだ!?」
貴音「品? 激辛好きの癖に考えは甘いのですね」
真「何だとっ!?」
貴音「らぁめんからとっぴんぐまで、全て満喫する。そう申しているのですよ」
真「嘘……だろ?」
貴音「ふむ、一段階上げただけでこの刺激……これは次の一杯が楽しみですね」
小鳥「あえて初めに辛さ控えめにすることで次の一杯をより満喫し、注文する毎に新鮮な発見と喜びを味わえる……まさかアウェイであることを逆手にとるなんて!」
真「その上、この方法なら徐々に舌を慣らせるから、激辛が苦手な人でも何とか完食することが出来るってワケか……」
響「ところでピヨ子、これって結局何がどうなったら勝ちなの?」
小鳥「この場合はバーリィカータァだから、そのフィールドをより楽しんだ方が勝ちよ」
響「それってどっちの勝ちか判りにくくない?」
小鳥「その点は大丈夫。ラーメンファイト中の攻防は精神ダメージとなり……」
真「ガハッ」
小鳥「相手に伝わるわ」
響「と、吐血したーー!」
小鳥「大丈夫。あれは貴音ちゃんの麺力を受けた真ちゃんの麺力が外部に視覚化して漏れだしてるだけだから。ファイト後には治ってるわ」
貴音「ふふふ、まだまだ行きますよ。大将、次はこの超辛らぁめんを」
真「なっ、早すぎる! ぐはっ!!」
響「ちなみに、このダメージが溜まると最後にはどうなるんだ?」
小鳥「凄いことになるわ」ムフー
響「何それ怖い」
小鳥「ま、本当の恐怖はファイト終了後に待ってるんだけどね……っ!? 真ちゃんが動いた!!」
真「くぅ……まだだ! まだ負けないよ! これをくらえ!」パッ
響「真が何かを掴んだ!」
小鳥「あれは……特性スパイス!」
小鳥「各店に常備される様々な付け合わせ。オリジナルスパイス、食べると何故か追い出される激辛高菜、ラー油、エトセトラ……これを上手く使うには、よほどそのフィールドを熟知していなければ不可能」
響「どうして?」
小鳥「不適合者(にわか)が不用意に手を出すと、かえってラーメンの味を壊しかねないからよ」
響「なるほど。でもここは真のフィールド」
真「その通り! この特性スパイスを何振りすれば味がどう変わるか、ボクなら目を瞑っていても解る!」ズルルルル
貴音「ぐふっ!!」
小鳥「通った!!」
貴音「ふ、流石は灼熱王子といった所ですか……」ゴクゴク
真「今、水を飲んだね?」ニヤリ
貴音「ええ。しかしそれが……はっ!?」
小鳥「拙いわね」
響「え?」
小鳥「響ちゃんは覚えがない? 激辛料理を食べている最中、ついつい水を飲みすぎてから料理を食べたとき……」
貴音「か、辛い!!」
小鳥「それまで平気で食べられてた物が、急に食べられないほどに辛く感じること」
響「あー、舌をリセットしちゃうとたまになるな」
真「ふっ。この店のラーメンは看板に違わぬ激辛! 食べ慣れない貴音には辛いんじゃないかい?」
小鳥「ちなみに今の辛いは辛(つら)いよ!」
響「聞いてれば分かるってば」
貴音「な……ごはぁっ!!」
小鳥「この失敗は痛いわね……やはりフィールドの利は大きいみたい。流石の貴音ちゃんも攻めあぐねてるわ」
響「貴音……」
貴音「くっ……何のこれしき!」
響「貴音、あんな辛そうな顔して……」
小鳥「今のも辛(つら)いよ!」
響「ピヨ子、ちょっと黙ろうか」
貴音「まだ……まだ私の箸は折れておりません!」グッ
響「貴音!」
貴音「……響?」
響「ラーメンファイトの事は相変わらず全然分からないけど……でも、食事中にそんな辛そうな顔するのは間違ってるよ!」
貴音「……」
響「食事は作った人に感謝して、笑顔で食べなきゃ!」
貴音「……ふっ。私は戦いを重ねる内、大切な事を見失っていた様ですね」
貴音「ありがとうございます、響。お陰で目が覚めました」スッ
貴音「全てのらぁめんに、全ての職人に。十全の感謝を込めて……」
貴音「いざ、頂きます!!」パシンッ
真「なっ!? あそこから持ち直しただと!!」
小鳥「凄いスピード……他を圧倒するラーメン吸引力とそのブラックホールの如き胃袋。これが本来の銀色の王女、四条貴音の戦い方なのね」
貴音「超々激辛らぁめん!」
真「ぐはっ!!」
貴音「とっぴんぐ!! もやし! 味たま! きむち!」
真「ぬあっ!! ぐふっ!! まこっ!!」
貴音「餃子! ちゃぁはん!」
真「がはぁああっ!!」
貴音「でざぁと!!」
真「ぐぁあああああああっっ!!!」ドサッ ビリビリビリィ
響「服が破けたーーーっ!?」
貴音「ごちそうさまでした」パシンッ
小鳥「それまで!!」
小鳥「菊地真、敗北確認! 勝者、四条貴音!!」
貴音「今宵のらぁめんも、結構なお味でした」
響「貴音ぇ!」
貴音「響。此度の戦い、勝てたのは間違いなく貴女のお陰です。真にありがとうございました」
響「そんな。自分はただ思った事を言っただけだぞ。でも真、大丈夫なのかな?」
真「ボクがどうかしたかい?」ケロッ
響「うおっ!? 真!?」
小鳥「言ったでしょ? ラーメンファイトでのダメージはファイト終了後には消えてるって」
真「ま、服は直らないんだけどね////」
小鳥「ボーイッシュながら確かな女の身体した真ちゃんハァハァ」
真「殴りますよ?」
小鳥「もう殴ってるじゃん!」ボロッ
真「完敗だよ、貴音。流石は銀色の王女だね」
貴音「いえ。私も今回は良い経験をさせて頂きました」
真「でも……悪いことは言わない。この町を早めに出た方が良い」
なるほどわからん
貴音「はて。しかしまだこの町のらぁめん屋を周り尽くしておりませんが」
真「君の為を思って言ってるんだ! この町には、この町には……」
真「『あのお方』達がいる」
貴音「っ!?」
響「ねえ、これラーメンの話だよね?」
真「貴音もファイターなら聞いたことくらいあるだろ? ラーメンファイト界に君臨する最強のお方、閣下の名を」
貴音「ええ。しかしまさかこの町におられるとは……」
真「それだけじゃない。閣下直属の精鋭部隊、四天王もいる。ボクに勝った事で、君の来訪はすぐに町中に知れ渡るだろう。そうなったら……」
貴音「タダでは、済まされない。そう言うことですね」
響「どういう事だってば」
貴音「ふふ、ふふふふふ。面白いではありませんか」
真「何だって!?」
貴音「私もふぁいたぁを名乗る身。強者との戦いを望まずして、何が決闘者でしょうか?」
真「……ふっ。やれやれ、呆れたおてんば王女様だ」
貴音「褒め言葉と受け取っておきますよ。では」
真「またどこかで会おう」
貴音「ええ。では、またお会いできる日を楽しみにしておりますよ。強敵(とも)よ」ガラッ
……
響「ねぇ貴音」
貴音「何でしょうか?」
響「よく分からない話に気をとられてすっかり忘れてたけど、貴音お代払ってなくない?」
貴音「ああ、確かに払っておりませんね」
響「おりませんねって……ダメじゃないか! 早く戻ろうよ!」
貴音「良いのですよ、響。これが、らぁめんふぁいとの運命(さだめ)なのですから……」
~激辛ラーメン店~
店主「真ちゃん、お代なんだけど……」
真「ああ。いくらですか? いやぁ、久々だなぁ。ファイトに負けて全額払うの」
店主「真ちゃん、この店じゃ閣下や四天王以外には負けなしだったもんね……」
真「で、いくらですか?」
店主「8,200円だよ……」
真「うわぁ、やっぱ結構痛いなぁ……ところで親父さん。さっきから何でうつむいてるんですか?」
店主「いや、真ちゃん……服」
真「……あ////」
真「お、お代はツケといて下さいぃぃいいいいっ!!!」ビューン
店主「……もう死んでもいい」
おわり
次回予告
強敵、菊地真を退けた貴音。しかし、そんな彼女に迫る新たなる強敵!
??「こんなラーメンで満足してるようでは、銀色の王女も対したことないようですね」
貴音「何ですと!」
そして、菊地真が最期に残した、閣下と四天王!
??「んっふふー、まこちんに続き、○×お姉ちゃんまでやられたみたいですな→」
??「これ以上余所者に舐められる訳にはいきませんよぅ…」
???「あらあらぁ、閣下の麺力が怒りで膨れ上がってるみたいねぇ」
??「あふぅ、わざわざ閣下が出陣する迄もないって思うな」
現れる新たなる常識人(被害者)。
??「ラーメンファイトぉ? アンタ達何言ってんのよ?」
響「良かった……自分やっぱりおかしくなかったんだ」
過酷な戦いの末、貴音が辿り着く結末とは、そして、最後に暴かれる、衝撃の事実!
???「うっうー!おろかなるファイターどもはみんなあの世行きかなーって」
次回、ラーメンファイター貴音
「魚介系スープ好きな人の気持ちが分からない」
小鳥「次回も替え玉替え玉!」
続かない!!
続けよ!
あと魚介系の何が悪いんだよギットギトの油臭いのよりははるかにいいだろ!!
以上です
ラーメンが食べたかったので、勢いで書いてしまいました。特にヤマもオチも意味もないssです。お付き合い下さった方、お時間取ってすみません
明日も仕事なのでラーメンはお預けです
>>59
ラーメン二十郎の悪口はそこまでにしてもらおうか
いやー、個人的な趣味なんですけど、魚介系って出汁効き過ぎててクセが強くってちょっと苦手で……おいしい店なら優しい味の魚介系が食べられるのかな
何か油多めのカップ麺出てるらしいですね。食べてみたい
>>61
うまいとこはクセが弱いぶん旨味、コクが出張るからこれまた好みじゃないかな?
替え玉お願いします!
結局響はごはん食べられないのん?
乙
そこまでストーリー練ってんなら続き書いてくれよ…
おつ
これは続きが見たいな
いい戦いだった、かけ値なしに
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