P「765プロ超能力FILE」【FILE-1】 (49)

P「おはようございまーす」

春香「おはようございますっ!!プロデューサーさん!!」

伊織「ちょっとあんた、こんな時間に出勤なんていい度胸してるじゃない!!」

律子「プロデューサー殿は元々昼からの出勤予定だったのよ。そんなこと言わないの」

真「でも、プロデューサーが昼から出勤してるのを見るのは初めてだなぁ」

P「いつもは昼からの日も朝から来てるからな。今日はちょっと寝坊しちまった」

小鳥「ぴよっ!!まさか昨日の夜は、か、か、かの……」

P「まぁ、そんなところです」

春香「……」

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真美「兄(C)!!そんなことよりコッチ来てよ→」

亜美「早く早く→」

P「どうしたお前ら……って、子猫?」

真美「真美達がここに来る途中の道に置かれてたんだ」

亜美「さすがに可哀想だったから連れて来ちゃったよ→」

やよい「まだ生まれて間もない子のようですねー」

千早「……」

貴音「……」ジュルリ

P「おい貴音」

真美「ねー兄(C)!!この猫事務所で飼ってもいいでしょ→!!」

亜美「亜美達の家は患者さんとかもいるからペット禁止なんだよ→」

P「……駄目だ。野良猫はばい菌を持ってるかもしれないし、何よりここじゃ飼うスペースなんてないだろ」

亜美「うあうあ→、兄(C)のケチ!!」

やよい「確かに飼ってあげたいけど……うちはお世話する余裕がないかなーって」

伊織「私の家も今はジャンバルジャンだけで手一杯ね」

真「くぅー!!うちも父さんが猫嫌いだからなぁ」

千早「……私も、お世話なんて出来る自信はないわ」

貴音「わ、わたくしは」ジュルリ

P「響に聞いてみるしかないか」

小鳥「えっと……響ちゃんは、今日は撮影場所から直接自宅に帰ることになってますね」

P「……仕方ない、明日響に聞くまではここで世話してあげろ。ただし、明日以降は事務所で飼うのは駄目だからな」

真美&亜美「ラジャ→!!」

貴音「ではもし、あなた様。響が飼えないと言ったら……?」

P「……その時は、その時だ」

春香「……あ、またこのニュース」

『狼人間の目撃情報再び』

小鳥「あ、これこの間三人で残業してた時間だ」

真「ここ二三日はずっと話題になってるよね」

真美「尖った耳に鋭い牙、相手を目で殺せるような冷たい視線!!」

亜美「満月の夜に彼は完全な狼へと変身する……!!」

律子「完全な狼になったらただの動物じゃない。ほら、伊織、亜美。そろそろ行くわよ」

亜美「ちぇっ→」

小鳥「はっ!!狼人間×プロデューサーさんもあり…」ピヨピヨ

やよい「でも、狼人間って何だか怖いです……」

千早「大丈夫よ高槻さん。目撃情報は数あれど、怪我人などの情報はまだ一つもないわ。これはただのコスプレよ」

真美「千早お姉ちゃんは分かってないなー。狼人間といえば満月の夜は自我を忘れるって言うじゃん!!
   きっと満月の日には自我を忘れてあちこちで獲物を狩るに決まってるよ!!」

春香「あ、でも、満月って」

P「さーて、そろそろ全員仕事するぞー。千早とやよいはレッスン、春香と真は俺と車で現地入り。
  真美はその猫が今夜きちんと寝れるように、ダンボールに入るサイズの毛布でも探してきてくれ」

P「貴音は……ってあれ?」

貴音「お呼びになりましたか、あなた様」

P「うおっ、びっくりした!!いつの間に俺の後ろに……」

貴音「少しお腹の虫がなっていたもので……間食を少し」

P「最近少し食べすぎじゃないか?まぁ体調管理を全てまかせっきりにしてる俺が言うのもなんだが……」

貴音「しかし……いや、そうですね。少し自重します」

P「まあほどほどにな。それで、貴音は今日は芝居の稽古だから、申し訳ないがタクシーを使って現地に向かってくれ」

貴音「承知しました」

──深夜、車内

真「わざわざ送ってくれてありがとうございます!!」

P「これくらい気にするな、それじゃ、おやすみ」

P「さて、これで後は春香を送るだけか」

春香「遠いのにすみません、プロデューサーさん」

P「いいってことよ。それより、こんな日を跨ぐ時間になってしまってすまんな」

春香「いえ。仕事ですから……。それと、昨日のことも。ありがとうございました」

P「気にするなって。お前は俺の担当のアイドルなんだし」

春香「プロデューサーさんは、これからまた事務所に戻るんですか?」

P「そうだな。明日までにやらな行かん仕事が少し残ってるからな」

春香「気を付けて下さいね」

P「おう!!身体は丈夫なほうだからな。風邪なんかは引かないさ」

春香「いえ、そうじゃなくて……今日、満月なんです」

P「おー、そういや、やけに月がデカいなぁ。ど満月だ」

春香「ど満月ではないと思うんですけど……」

春香「プロデューサーさんも知ってますよね?狼人間のニュース」

P「……あぁ、最近よくニュースになってるな」

春香「あれって、やっぱり……」

P「まぁ十中八九、超能力の一種だろう」

春香「!!」

P「俺も会った事あるぞ、狼人間」

春香「え、会った事あるんですか!?やっぱり、すごく乱暴とか…?」

P「いや、実際はすげーいい奴だ。一匹狼って言葉があるからみんな勘違いしてるが、本当の狼は割りと群れでの行動を主にしててな。
 知り合いとか友達とかにはすごく優しくしてくれるし、何より仲間想いだ」

春香「そうなんですね。あれ、じゃあ一匹狼って一体……?」

P「ただ、群れでの行動が主な分、ルールや規則が厳しくてな。そういった群れでのルール、規則を無視して狩りを行うものは、すぐに群れから追放される。
 普通群れから追放されたらすぐに野垂れ死ぬもんだが、たまに一匹になっても狩りを行える奴がいる。
 そういった、一匹でも圧倒的な強さを持つ狼ってのが……いわゆる一匹狼だ」

春香「なるほど…。それじゃあ、今回の狼人間騒動は…?」

P「詳しくは分からんが、誰も怪我人が出てない以上、大丈夫なんじゃないか?」

春香「そんな悠長な……!!今日は満月だし、狼人間は気性が荒くなったりするんじゃ…!!」

P「確かに満月に近い日は狼人間の特徴が抑えにくくなるらしい。だからといって、満月だけが特別って訳じゃないみたいだったぞ」



春香「やっぱり!!それで、狼人間の特徴っていうのは……?」

P「ああ、単純なことさ」




P「とにかく、肉が食べたくて仕方なくなるそうだ」



──夜、事務所

P「さて、事務所到着っと」

猫「にゃー!!」

P「お、真美のやつ、ちゃんと毛布引いてやってるな。
  ……檻まで買ってきてるし、こいつここで飼う気満々だな」

P「さすがに事務所にずっと置いとくわけにもいかないし……明日響が駄目そうだったら、覚悟決めるしかないな」

P「ふぁ……深夜のラストスパートの前に、一眠りするか」

P「ソファー……は爆睡しそうだから止めておこう。ちょいと机で一眠り……っと」

P「部屋を暗くしてっと」

P「ふぁ……さすがに、昨日は頑張りすぎたかな……」

P「Zzz…─」

────
──…
─…


ぼり

ぼり ぼり

ぼりぼり ぼりぼり

P(ん…なんだ……この音)

ぼりぼりぼりぼり……

P(何かを貪る音…?)

P「だれかいるのか…?」



に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛

ダダダダダダダッ


P「!!!!!」バッ

P(くそっ!!暗くて何も見えねぇ!!今さっきまで誰かいたはずなんだが……!!)

P(とりあえず電気を…!!)パチッ


P「……!!これは!!」


──翌日、朝

P「……というわけで、猫は俺がドアを開けているうちに脱走した。すまん」

真美「え→!!兄(c)それは無いっしょ→!!」

亜美「こんな寒い街中に猫を解き放ったの!?ひどいよ兄(C)→!!」

P「いやー、一瞬のうちだったからな。すまん」

真美「あれ?それじゃあ真美が買ってきた毛布は?」

P「毛だらけになってたから掃除して今はコインランドリーで洗濯中だ」

千早「プロデューサーさんがコインランドリーに出してきたんですか?」

P「あぁ。ちょうど24時間空いているコインランドリーが近くにあったからな」

貴音「……」

響「はいさーい!!みんな集まって何の話してるんだー?」

春香「あ、響ちゃん。実はね…──」

───
──…
─…


響「うがー!!自分猫一匹くらいなら全然大丈夫だったのにー!!」

千早「あら?あれ以上家族が増えたら…」

響「元々猫は飼ってるし、一匹くらい増えたってどうってことないさー!!」

響「それにしてもプロデューサー!!自分に何も言わないうちに逃がしちゃうなんてひどいぞ!!」

P「いや、わざとではないんだが……まぁすまん」

春香「……」

P「さて、そろそろ仕事するかー。みんなも予定に遅れないように移動しろよー」

「「「はーい」」」

──夜、事務所

P「ふー……明日提出の書類終了っと」

貴音「お疲れ様です。あなた様」

P「貴音もこんな時間まで台本覚えてたのか。お疲れ様」

貴音「いえ、それより──」

美希「んー…おにぎりはもうお腹いっぱいなの…」Zzz

P「うわっ、びっくりした!!美希まだソファで寝てたのか!?」

美希「ん…?あぁ、プロデューサーさん、こんにちは」

P「こんにちはってお前……もう夜だぞ」

美希「あ、もう夜なんだね。それじゃ寝た方がいいの……Zzz...」

P「早っ!!……って、早く帰らせたほうがいいな。ほら美希、送ってやるから起きろ」

美希「んー、あと10分だけ……」

P「車で寝てていいから!!ほら、行くぞ!!」ズルズル


P「貴音も乗るだろ?送っていくよ」

貴音「いえ、あなた様。私は結構です」

P「そうか?あ、そういえばさっき何か言いかけてたな。どうかしたのか?」

貴音「……いえ、では、私は先に失礼致します」

P「お、おう。気をつけて帰れよー」

貴音「はい、あなた様も、十分にお気をつけて……」ガチャ

バタン

P「さて、美希送るぞー」

───
──…
─…

──夜、車内

P「さて、美希も送ったし……」

prrr...prrr...

P「電話……春香か」ピッ

P「もしもし、どうした?」

P「え、今美希送って車に乗ってるとこだけど…」

P「朝のこと……?いや、別に関係ないけど」

P「ちょっと待て、今お前どこにいる?」

P「は!?事務所の前!?」

P「リボンってお前……!!」

P「〜〜〜〜っ!!分かった分かった話ししてやるから!!」

P「絶対にリボンを解いたりするんじゃねぇぞ!!」

───
──…
─…


──夜、事務所前

P「春香!!」

春香「あ、プロデューサーさん、お疲れ様です」

P「春香……全く、心配かけさせやがって」

春香「すみません。でも、心配してくれたってことは、やっぱり……」

P「……ああ、お前の思ってる通りだよ。話してやるから、とりあえず中に入るぞ」ガチャ

春香「……はい」

バタン

──夜、事務所

P「ほら、お茶だ。あったまるぞ」

春香「すみません……」

P「それで……こんな時間まで外に出てたら、親御さん心配してるだろ」

春香「大丈夫です。千早ちゃんの家に行って来るって言ったんで」

P「ったく……千早はこのこと知ってるのか?」

春香「後で行くねー、とだけ、ついさっき電話で伝えました」

P「……それで、千早は?」

春香「洗濯物を干したりと、すごく忙しそうにしてましたけど、いつも大体こんな感じなので」

P「はぁ……それで、何が知りたいんだって?」

春香「えっと……今朝のことなんですけど」

春香「猫はプロデューサーさんが逃がしたんじゃない……そうですよね?」

P「……」

春香「そしてあの猫は……殺されてるんじゃないですか?」

P「……どうしてそう思うんだ?」

春香「まず初めに違和感を感じたのは、猫の檻」

春香「ドアを開けていた内に逃げたと言っていたけど、猫は檻に入れていたから逃げれるはずがないんです」

春香「そしてもう一つの違和感は、24時間のコインランドリー」

春香「もし本当に猫が逃げていたのなら、別段毛布はすぐに洗ったりする必要はなかったはずです」

春香「わざわざ24時間空いているコインランドリーに行き、毛布をすぐ洗った理由……」

春香「……付いてたんじゃないですか?」

春香「猫の血が」

P「……」

P「はーっ……なーんでお前はこんな時だけそんな洞察力と推理力を発揮するかなぁ」

P「いいよ、正解だ。全部話してやる」

P「……俺が夜、事務所で仮眠を取っていたとき、ぼりぼりと何かを貪るような音で目が覚めたんだ」

P「真っ暗で何も見えなかったから、『だれかいるのか?』と言った瞬間」

P「まるで断末魔のような猫の叫び声が聞こえてな」

P「人影のようなものが事務所のドアから出て行ったのは確認できたんだが……」

P「電気をつけてみると」

P「ついさっき出たような真新しい血と、何かの内臓のようなグロテスクなものが、毛布に付いていたんだ」

春香「〜〜〜っ!!」ゾクッ

P「もちろん、猫の姿はそこには無かったよ」

P「最初は毛布も捨てようかと思ったが、昨日真美に買わせた新品を捨ててしまうと怪しまれるからな」

P「血が付着してすぐに洗ってしまおうって思ったんだ」

P「……もちろん、今後その毛布を使う気も、使わせる気もないけどな」

春香「プロデューサーさん、やっぱりこれって……」

P「100%ではないが、狼人間の可能性もあるな」

春香「……!!」

P「だからといって、狼人間と断定も出来ない」

春香「それは……?」

P「まぁ普通に不審者の犯行の説もあるってことだ」

春香「でもプロデューサーさん、さっき電話で『リボンは解くな』って言いましたよね」

P「……そうだ。もし、昨日の事件が狼人間の犯行だとしたら」

P「お前の『超能力』が事務所で発揮した場合、お前が狙われることになるからだ」

春香「……」

P「狼人間の犯行にしろ、そうじゃないにしろ、お前を危険な目に合わせるわけにはいかない」

P「こんな時間に一人でほっつき歩くのもそうだ」

P「さて、全部話したし送るぞ。千早の家かお前の家かは選ばせてやる」

春香「プロデューサーさんは……!!!」

春香「プロデューサーさんは、犯人のめぼしが付いているんですか……?」

P「……」

P「いや、めぼしなんて付いていないよ」

P「さっきも言ったが、そもそも狼人間か不審者かも分かっていないんだ」

春香「……どうして、嘘を付くんですか?」

P「!!」

春香「もし不審者なら、プロデューサーさんの近くで犯行を犯すのはおかしいですよね」

春香「一度外で始末するなり、いろいろ方法はあったはずです」

春香「そして、狼人間が……もし知らない人間なら」

春香「猫だけでなく、眠っているプロデューサーさんも襲ったんじゃないですか?」

P「……」

春香「眠っているプロデューサーさんは触れもせずに、猫だけを襲って逃げる」

春香「つまり……狼人間の正体は……」

P「……たぶん、そうだ。狼人間の正体は、765プロの中の誰かだ」

P「だが、危険なことに変わりはない」

P「昨日は『縄張り』の中にいた『群れ』以外の生き物を襲ったんだろう」

P「つまり、春香、お前がリボンを外して『超能力』を使えば」

P「狼人間は間違いなく、お前を襲う」

P「しかも、自我の喪失が進行していたら、お前だけでなく、俺や他の人にも襲い掛かるだろうな」

春香「じゃあ、なおさら!!」

P「だが、自我の喪失はそこまで一気に進行しない。昨日が満月だったなら、一ヶ月近くは──」

春香「っ!!プロデューサーさん!!」

P「ん、どうした?」

春香「満月は───」





春香「──今日ですよ?」

Prrrrrrrrrr

Prrrrrrrrrr

期待

P「響から…?どうしたんだ?」ピッ

響『大変だぞ!!プロデューサー!!』

P「落ち着け、どうした?」

響『貴音と電話してたんだけど、急に電話が切れちゃって…!!かれこれ2時間は繋がらないんだ!!』

P「!?」

響『充電が切れたにしては中々繋がらないし、もうこんな時間だし……!!』

響『自分、貴音が心配だから今から探してくるね!!プロデューサーもよろしくっ!!』ブツッ

P「あ、馬鹿っ待てっ」ツーッツーッ

春香「……どうかしたんですか、プロデューサーさん」

P「……貴音と連絡が取れなくなってるらしい」

P「そして、響は貴音を探しに行くって言って……くそっ、もう電話に出ねぇ!!」

春香「貴音さん……まさか」

P「春香、お前昨日が満月って言ってなかったか!?」

春香「いえ……あの時間は既に日を跨いでいて……今日、つまり今この時間が満月なんです!!」

P(まずいな……昨日の時点で猫を食うくらいには自我を喪失してるとしたら……)

P(今日の狼人間はひょっとすると……!!)

春香「……プロデューサーさん」シュルシュル

P「!!お前、リボン解いて……!!」

春香「これ以上……被害を出さないためにも、狼人間を、ここに、呼びましょう」

P「だが、そしたらお前が……!!」

春香「見知らぬ人、響ちゃん、そして、縄張りにいる『知らない人』」

春香「それだったら、きっと狼人間はこっちに優先してくるはずです」

春香「そして、この中で、一番狼人間を『救える』人間はここにいるでしょう?」

P「……」

春香「お願いします。プロデューサーさん」

春香「私と同じように、今、『超能力』で苦しんでる仲間を」

春香「助けて下さい!!」

───
──…
─…


──深夜、事務所

P(……現在、俺はソファーに座って寝たふりをしている)

P(春香はリボンを解き、窓際の俺の机に座って、じっとしている)

P(今、春香は『超能力』を使って狼人間を誘い出している)

P(狼人間が春香に釣られてドアを開けたら、俺が相手になって食い止める)

P(あってないような作戦だが……狼人間を救うには、これしかない)

P(……実は、響から電話が来る前から、ある程度狼人間の予測は立っていた)

P(もし事務所内の人間が狼人間だった場合)

P(狼人間は『縄張り』に『群れ』以外がいることを知っていたことになる)

P(いくら狼といえど、何十キロも離れた場所からじゃここに猫がいたなんてことは判断出来ないだろうからな)

P(つまり、狼人間の可能性があったのは、昨日事務所にいた、亜美、真美、やよい、伊織、真、春香、千早、貴音、律子、小鳥さんのみ)

P(亜美、真美、伊織、真、やよい、春香は実家だから、夜中に家を何度も出ているとさすがに親御さんから何かしらアクションがあるはず)

P(小鳥さんと律子は、『狼人間が目撃』された時間、俺と一緒に仕事をしていたことがある)

P(残るは千早、貴音の二人)

P(千早は、ついさっき春香と電話で『洗濯物を干し』ていたそうだ)

P(満月が見える状態でも電話が出来るなら、まず狼人間はないだろう)

P(つまり……貴音が狼人間である可能性がかなり高かった訳だ)

P(今日が正式な満月なら、狼人間の鼻も数倍はよくなっているはず)

P(そろそろ、春香に誘われてここに到着してもおかしくない頃だな……)

ブブブ

P(……と、こんな時にメール?しかも千早?)

P(なんだ?春香への催促か……?)ピッ

P(……)

P「おい、これって───!!」


バリィィィン!!!


春香「きゃあああああっ!!!」

P「っ!?春香っ!?」

狼人間「ぐるるるる……!!」

突然窓ガラスを割って進入し、
春香を片手で捕まえていたのは

特徴的な長い髪が荒々しく跳ねあがり
いつもは横にあるはずの耳がたてにピンと伸びていて
可愛らしくいつもニコニコしているはずの目は鋭く
チャームポイントの八重歯が、まるで牙のように大きく伸びている──

P「──響、か?」

響「ぐるるるる……!!」

P「くそっ!!春香、まずは『超能力』を解除しろ!!響にお前ってことを知らせてやれ!!」

春香「は……はいっ!!」

響「ぐるるる…ぐ……!?」バッ

春香「きゃっ」バタン

P「春香、大丈夫か!?」

春香「わ、私は大丈夫です……!!それより、あれは──!!」

P「響、だな。俺だ、プロデューサーだ」

響「ぐるる……ぐる……」

P「そう怖がるなって、ほら、群れだろ?仲間だろ?」

P(ゆっくり……相手を刺激しないように……)

響「ぐるるる……!!」

P(あと二歩…いや、あと一歩近づけば……)

響「ぐるる……」

P(よしっ、届く!!)

P「響、これから──」



P「『特別レッスン』を始める」


P「『ステップ1』響、アイドルに必要なものは笑顔だ。その牙もかっこいいけど、俺はいつもの八重歯の方が好きだぞ」

響「ぐるるっ!?ぐが……」

春香(すごい、響ちゃんの牙があっという間に小さく……)

P「『ステップ2』アイドルたるもの身だしなみは大事にしないとな。その荒れた毛、いつもみたいに綺麗な髪にしてやるよ」

響「ぐる……る……」

春香(見た目はもう、いつもの響ちゃんみたいだ……)

P「『ステップ3』狼みたいにかっこいいのもいいけど……それじゃファンのみんなを笑顔には出来ないだろ?」

P「歌って踊って可愛くて元気で。そんな響が、俺は一番輝いて見えるんだ」

響「う……あ……プロ…デューサー…?」

P「『特別レッスン』一回目、終了……よっ、響」

響「う、あ……自分……狼になって……」

P「いつもは勝手に狼になって勝手に戻ってたから記憶が無いのかもしれないが…今日は無理やり戻したからな。多少は覚えてるか?」

響「覚えてるぞ……自分、春香を傷つけて……」

響「そっか、自分、狼人間だったんだな……」

P「たぶん最近発現した響の『超能力』だろう。今は俺の『超能力』で押さえつけてるから心配するな」

響「……!!ってことは、自分、ひょっとして、昨日の猫のことも……!!!」

春香「……っ!!」

響「あはは…自分最低だ…猫も自分が襲ったんだろ?」

P「響」

響「今日は春香も襲ったんだろ!?最低だぞ!!自分!!!!」

P「響、違う、聞け」

響「今はプロデューサーの『超能力』で抑えてるって言ったよな…じゃあ、これから先、プロデューサーがいない日はまた狼になっちゃうのか!!??」

P「それは違──」

響「それなら!!いっそ!!!ここで!!!!自分なんか死んでしまった方がいい──」

春香「響ちゃん!!!!!」

響「は…るか…?」

春香「大丈夫、響ちゃんは、もう狼にならないよ」

響「え──?」

P「だから俺の話を聞けって言ったろ……。今は『特別レッスン』一回目だから、一時的なものだ」

P「だが、『特別レッスン』を重ねることで、ある程度は自分でコントロール出来るようになるんだよ」

響「で、でも、自分、春香や猫ちゃんを傷つけて……」

春香「私ならぜーんぜん平気!!いつも転んでるんだから、投げ飛ばされたくらいじゃなんともないよ!!」

響「で、でも」

P「あぁ、猫の件は響じゃない。これについては後で話すとして……」

P「響はまだ誰も傷つけてないし、これから傷つけることもない。安心しろ」

響「う……うぁ……うあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」

───
──…
─…

───
──…
─…


──早朝、事務所

P「ふぅ……これくらいでもう大丈夫だろう。お疲れ様、響」

響「……もう、本当に自分は狼人間にならないのか?」

P「なろうと思えばなれるさ。あくまでコントロール、思い通りにするっていうのが俺の超能力…」

P「『超能力をプロデュースする能力』だからな」

響「じゃあ、自分がなろうとしない限りは…」

P「ああ、大丈夫だ。な、春香」

春香「はい!!響ちゃん、私も超能力が暴走しちゃったんだけど、今はプロデューサーさんにプロデュースしてもらったから、自由にコントロールできるんだよ!!」

響「は、春香も超能力を持ってるのか!?」

春香「う、うん!!そうだよ!!」

響「気になるぞ!!どんな超能力なんだ!!」

春香「え、えっと……」

響「あ、ごめん……そりゃ自分みたいに、言いたくない超能力だってあるよな……」

春香「!!響ちゃんの『狼人間』めちゃくちゃカッコイイじゃん!!それと一緒にしないでよ!!」

響「え、あ、うん、ごめん……」

春香「私なんて、私なんて……」


春香「『リボンを外したら、誰だか分からなくなる超能力』なんだよ!!!!」


響「………」

P「ぷぷっ」

春香「あ、プロデューサーさん笑いましたね!!この間めちゃくちゃカッコイイこと言って助けてくれたのに!!」

P「い、いや、違うんだよ春香。能力というより、それを言葉にすると尚一層さ……ぷぷっ」

春香「ひどい!!」

響「……」

響「あははっ……あははははっ!!」

春香「響ちゃんまで!?もーいやだーーー!!」

響「いや、すっごく楽しいぞ。そういえばプロデューサー、猫の件は自分じゃないって言ってたけど、どういうこと?」

春香「あ、それは私も気になってました!!断言してましたけど、どういうことですか?」

P「あー、あれな、大丈夫、もうすぐ分かるよ」

「おはようございます」ガチャ

春香「あ!」

P「おはよう、千早」

千早「おはようございます……すみません、朝早くから」

猫「にゃーん」

春香「あ、あれ!?なんで千早ちゃんが猫を抱っこしてるの!?」

P「くっくっく、話してやれよ、千早」

千早「くっ……」

千早「実は、真美たちが猫を事務所に連れてきた日、私、夜に事務所に忍び込んだの」

春香「ヴァイ!?」

千早「次の日、我那覇さんがもし猫を飼わないって言ったら……この子処分されちゃうと思って」

千早「だから、夜中に忍び込んで、この子をウチに持って帰ろうとしたのよ」

千早「夜中だったけど、プロデューサーのおかげで鍵は開いてたし、プロデューサーは寝てたしね」

千早「とりあえずお腹を空かしてるだろうな、と思って、飼ってきたキャットフードを何種類か食べさせてたら──」

春香(あ、『ぼりぼりと何かを貪るような音』って……)

千早「急にプロデューサーが起きて、びっくりしちゃって」

千早「食事の邪魔をされて泣き叫ぶ猫を鞄に詰め込んで、急いで事務所を出たの」

P「それで、その時手の甲を引っかかれたんだってな」ゲラゲラ

千早「笑い事じゃないですよ!!結構血が出たんですからね!!」

P「まぁ、野良猫だったし、ばい菌の心配はあるけどな。それと、半液体型のキャットフードもこぼしたんだって?」

千早「食事の途中に無理やりつれてきたので……それで、毛布がかなり汚れちゃったのかなって」

千早「昨日の朝、プロデューサーさんがコインランドリーで毛布を洗ったと聞いて、ピンときました」

春香(『何かの内臓のようなグロテスクなもの』はこれ!?)

千早「すみません、プロデューサー。私のために嘘をついてくれたんですよね?」

P「おー、気にするな気にするな」

春香(絶対気づいてなかったなこの人)

千早「それで……我那覇さん、この子を飼ってくれないかって話なんだけど……」

響「!!」

響「まっかせて!!自分、完璧だからな!!!!」

千早「!!」パァッ

春香「お、千早ちゃーん、いい笑顔ですなー!!まぁ、進入してでも保護したかったくらいだから、そうとう入れ込んでますねぇ!!」

千早「い、いや、これは…///」

響「いやー、こんな千早が見れて、自分も楽しくなってきたぞ!!」

ワイワイワイワイ

P(ふーっ、これでひと段落、か……)

律子「おはようございまー…」ガチャ

律子「………なんで、窓ガラスが砕け散ってるんですか……?」ゴゴゴゴ

P&春香&響「「「あ」」」

これで本編は終了です。
以降二レスほどおまけが続きます。

! FILE No.1 !

『狼人間』 - 我那覇響

満月に近くなると、狼人間へと姿を変える。
発動条件は、月を見ること。
『プロデュース』されて以降、月が出ていれば能力を使用することが出来る。
基本的な特徴として、群れの中での生活を好み、縄張りの中にいる群れ以外の生物を威嚇する。
本来の響が攻撃的ではないため、自我を喪失していても誰かを故意に傷つけたりすることは無かった。
『プロデュース』以降は自我が無くなることも無くなった。
当初は髪が荒れ毛皮のようになり、牙も鋭くなっていたが、『プロデュース』以降は能力を使用しても、
『狼耳』が生えるだけで、外見上の特徴はあまり無くなった。
能力発動中は身体能力がかなり向上し、765プロ事務所の二階までジャンプで到着出来るほどになる。
また、その嗅覚は狼レベルまで上がる。

また、能力の副産物として、能力発動に関わらず、動物の声を一層理解することが出来るようになった。

! ANOTHER FILE HINT !

ガラガラ

店主「へいらっしゃーい!」

貴音「……大盛りのラーメンを一丁」

店主「おぉ!!嬢ちゃん昨日の夜も来てたね!!電話いきなり切っちゃってたけど大丈夫だったのかい!?」

貴音「……ご心配はいりません。早く、ラーメンを」

店主「まぁそう焦るなって!!ほらよ、ラーメン一丁だ!!」

貴音「では、頂きます」

貴音「ご馳走様でした。店主、代金はこちらに」ガラガラ

店主「え、えぇぇ!?今一瞬でラーメンを……?」

店主「ま、まいどあり〜〜」



貴音「……」テクテク

貴音「もっと……」

貴音「もっと、もっと、食べなくては……!!!」

P「765プロ超能力FILE」【FILE-1】
終了です。ありがとうございました。
今後もP「765プロ超能力FILE」は続く予定なので、よろしくお願いします。

SS速報は初めて使用するのですが、この場合このスレはHTML化の依頼を出してきていいのでしょうか?
パート化する場合はそのまま使用した方がいいでしょうか?

スレタイにFILE-1って入ってるってことはパート化前提なわけでしょ?
それならこのスレについてはHTML化依頼出して、以降パートごとに立てては終わったら依頼、でいいと思う

短編ならいちいち分けずにまとめて1スレでやれよっていう意見の人もいるけれど、そこは作者の自由だし
全員分このくらいのボリュームでやるなら1スレだと足りなくなる可能性もあるからいいんじゃないかな

次立てた時点でまだ前のスレが残ってたら宣伝かねてURL貼るといいかも
依頼出したタイミングにもよるけど数日~一週間くらいは残ってることが多いからね

最後になったけど面白かったよ、乙
次も期待してる

乙です

面白かったおつおつ

おつおつ

自分はこのままここで続けてくれたら嬉しいと思うが、自由にしてくれー

>>46
矛盾してるんだよなぁ

HTML化依頼出してきます。
次回もよろしくお願いします。

P「765プロ超能力FILE」【FILE-4】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1418402068/)

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