某年6月 梅雨真っ盛り

提督が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮に入ります！



～横須賀鎮守府～

提督「海って遠いのな」

叢雲「っ！あんた、今何時か分かってるの？」

提督「15時半過ぎ。そろそろおやつがほしい。朝から何も食べてなくてね。」


―いわゆる赤紙が来た、海軍に入れと。


叢雲「～～～っ！私を散々待たせておいて何なのよ！それは！」

提督「そもそもなんで軍港に君みたいな女の子が？危ないよ？親は？」


―今人類は未曾有の危機に瀕している。深海棲艦という脅威によって。


叢雲「私を子供扱い！？酸素魚雷を食らわせるわよ！？」

提督「魚雷？あれって相当重いはずじゃ？てかなんで魚雷？」

叢雲「私は駆逐艦よ？」

提督「船？君が？」

叢雲「そうよ？悪い？」

提督「冗談はよしてくれ。」

叢雲「このっ！」

・・・

～執務室～

提督「だいたいの状況は理解した。君たち艦娘の指揮を取るのが私の仕事なのか。」

叢雲「そうよ。それにしてもあんたみたいな奴が私の司令官なんて・・・屈辱だわ。」

提督「自分でもなんでそんなことを任されたのかさっぱりだ。」

叢雲「ところであんた資料には目を通したの？」

提督「全く。紙媒体なんて面倒な・・・」

叢雲「読みなさい！今！ここで！」


―艦娘を集め、育成し、敵を倒す。要約すると資料に書かれているのはこれだけだった。


提督「とりあえず出撃しようか。試しにさ？」

叢雲「別にいいけどそろそろ夕暮れよ？」

提督「鎮守府正面海域だし日没までに帰ってこれるだろ。」

叢雲「わかったわ・・・。私を失望させないで頂戴？」

提督「じゃあ、行こうか。」


コツコツ・・・


提督「この設備はなに？」

叢雲「工廠よ。装備の開発や艦娘の建造をする場所ね。資料に書いてなかった？」

提督「書いてあった。出撃前に装備・・・作ってみたいな。」

叢雲「はぁ？まあいいけど・・・」

ガチャ


？「ようこそ！工廠へ。建造ですか？開発ですか？」

提督「うん、よろしく。とりあえずこの娘の装備が欲しい。砲かな。」

？「分かりました～。資材消費の許可印を下さい。」

提督「(ポンッ)これでいいかな。どれくらいかかる？」

？「すぐですよ～。妖精さん、お願いします！」

工廠妖精「はい。出来た。」

提督「え？ちょっと早くない？」

？「こんなもんですよ。ちゃんと出来てよかったですね～」

―12.7cm連装砲を入手した。

提督「(12.7mmの間違いじゃないかなぁこの口径)」

提督「まあいいや。叢雲、これあげるから遅刻の件は許してほしいな。」

叢雲「はぁ？物で釣る気？」

提督「せっかくだし装備して。火力なくて困るのはお互いだろ？」

叢雲「まあいいわ。感謝なんてしないんだからね。」

コツコツ・・・


～艦娘待機所～

提督「出撃だー！」

叢雲「(本当に大丈夫なの？こいつ・・・)」


―1615。記念すべき第一回目の出撃だ。


～海上～

叢雲「ちょっとあんた！なんで着いてきてるの！無線指示なら母港から出来るでしょ！」

提督「興味本位？大丈夫だって、このボート結構出るからさ。」

叢雲「もういいわ。邪魔だけはしないでね。」

提督「ところであれは？」

叢雲「っ！敵艦発見！砲撃を始めるわ！」

提督「下がって見てる。無理はするなよ～」

叢雲「気が散るっ。話しかけないで！」

提督「(停止して一服してるか。)」

・・・


提督「戦果はどうでしたか？」

叢雲「無傷で敵艦撃沈よ？ま、当然の結果よね。なに、不満なの？」

提督「ん。じゃあ帰るかね。」

叢雲「っ！無理ね。敵に補足されたわ。」

提督「え？見えないぞ？」

叢雲「後ろよ。軽巡1、駆逐艦2・・・現状じゃ勝てそうにないわ。」

提督「・・・日が暮れる。接近戦になるな・・・。」

叢雲「あんたは安全な場所で指示を出しなさい。三隻相手じゃ分が悪い。」

提督「分かった。うまく立ち回れるように指示を出す。」

提督「(撹乱して削っていく・・・まず駆逐艦を落とすか)」

提督『軽巡は相手にするな。駆逐艦の内一隻に集中砲火。雷撃距離までに撃沈しろ。』

叢雲『了解！魚雷はどっちに撃ちこむの？』

提督『砲撃で牽制しつつ残った駆逐だ。』


―指示をかき消すように響く轟音と水柱。


提督「(このクラスの攻撃でも生身の人間は即死だな・・・。)」


―爆音と閃光。叢雲の砲撃で敵駆逐艦の魚雷が誘爆、轟沈していく。

提督『叢雲、よくやった。十分に距離を詰めて雷撃だ。』

叢雲『了解。それにしても旗艦の軽巡はどうするのよ』

提督『そろそろ日没だ。夜戦に突入する。駆逐艦の十八番だろ？』

叢雲『そういうことね。行けるわ！』


―再び爆音。叢雲の雷撃で敵駆逐艦が沈んでいく。


提督『被害報告。怪我してないか？』

叢雲『小破ってところね。奇跡的な戦果よ。』

提督『被雷しなくてよかったよ。じゃあ旗艦を落とそうか。』

叢雲『夜戦ね。ここからが私の本番なのよ！』


―結果はあっけなかった。肉薄した叢雲の猛攻に敵軽巡はなすすべもなく沈んだ。


提督「お疲れ様。夕ご飯食べたい。」

叢雲「あんたねぇ・・・まあいいわ。」


――ねぇ。

――ん？

――少し疲れたわ。私もそれに乗せて。

――んーまあいいけどそんないいもんじゃないぞ？


―背中に感じた温もりは間違いなく人のもので兵器と割り切るには柔らかすぎた。

―1930、艦隊帰還。速やかに入渠を済ませ2000より夕食


～執務室～

提督「げぇ・・・。海のものばっか・・・」

叢雲「あんた子供？美味しいから好き嫌い言わずに食べなさい？」

提督「焼き魚は骨取るのが面倒。魚嫌い。」

叢雲「あんたねぇ・・・」

叢雲「ところであんた今日はなんであんな時間に来たの？」

提督「実家が山の中でね。バイクで来た。雨の箱根は辛かったよ。」

叢雲「はぁ？送迎があるはずでしょ？それに電車でも何でもあるじゃない。」

提督「いきなり軍隊なんて言われてさ、最後のツーリングのつもり。」

叢雲「そう・・・。」

提督「それが来てみたら君みたいな可愛い娘を集めるのが仕事なんてねぇ。」

叢雲「かわっ あんた何言ってるのよ！」

提督「なんにしろやる気になった。恋人百人できるかなって。」

叢雲「・・・もういいわ。あんたとことん変わってるわね。心配して損した。」

提督「まあ状況打開のため、世のため人のため頑張ろうか？」

叢雲「はいはい。私はあんたの艦よ。命令ならなんでもする・・・ね。」

提督「なんでも・・・か。いいな、それ。」

叢雲「っ！？いやらしい事はなしよ！」

提督「それはまぁしないさ。風呂入ってくるから食器頼む」

叢雲「はぁ・・・。」

～大浴場～

――しかし謎だな。こんな設備を私みたいのに一任するなんて。

提督「風呂デカイ。落ち着かない。掃除大変そう。」

提督「愚痴ってるとあの娘にまた言われるな。」

――なんにしろ今日みたいな幸運が続く訳がない。頭数が足りないな。これは。

提督「さて、悩むのも飽きたし寝るか。」

～執務室～

提督「あれ？部屋片付いてない？」

叢雲「あんたが中々帰ってこないから荷解きと模様替え、済ましておいたわ。」

提督「ありがと。で、君は今日どこで寝るの？」

叢雲「あんたが遅れて来たせいで決まってないわ。」

提督「じゃあ一緒に寝ようか。」

叢雲「は？あんた何を」

提督「そのうち部屋割り決める。今日は一緒に寝る。返事は？」

叢雲「～～～っ！わかったわよ。もう好きにしなさいよ！」

提督「簡易見取り図によると左が秘書官控室で右が休憩室か。」

提督「休憩室って洋式？和式？」

叢雲「8畳の和室よ。布団は一組しか置いてなかったけど。」

提督「じゃあ布団敷いて寝てて。別に触ったりしないから。」

叢雲「あんたはどうするの？」

提督「スルーされた・・・。寝る前の一服してくる。」

叢雲「はぁ・・・煙草臭いのは嫌よ。」

～工廠～

提督「夜分遅くに申し訳ない。」

？「24時間戦ってるから平気ですよ。」

提督「で、早速だけどこれ何？」

――この宝石の欠片みたいな得体の知れない物は何かな。

？「おおっ～新しい艦娘ですね。それも二隻も。」

提督「これが艦娘？一体どういう・・・？」

？「これはいわゆる艦娘の元ですね。」

提督「どうやって使う？いや、そもそも艦娘とは一体・・・」

？「階級が上がれば公開される情報もあります。今は深く考えないことです。」

提督「時が経てばいずれわかると。そういうこと・・・か？」

？「そうです。じゃあ早速進水してもらいますか？」

提督「進水・・・？」

？「うまく説明できませんが艦娘としての生を受けるといいますか。」

提督「まず片方、やってみてくれ。」

？「了解です。・・・ん？あーダブりですね。いかがなさいますか？」

提督「ダブリ？」

？「これは駆逐艦 叢雲の元ですね。」

提督「はい？だって叢雲は・・・」

？「だからダブりです。」

提督「・・・保留で。」

――今悩んでも解決しないな。これ。

？「もう片方は・・・駆逐艦 響ですね。」

提督「明日の朝やってもらおうか。もう寝るよ。」

――また明日。赤い髪のお姉さん。

赤髪「了解です。それでは提督、また明日。」

～執務室～

提督「げ・・・。この書類の束、期日明日じゃないか。」

提督「艦隊の規模の拡大、海域の開放、そして昇進。」

提督「キツイなぁ。でもまあやりがいあるしね。」

――お休み、叢雲。




叢雲「起きなさい？そんで、あんたバカ？」

提督「ん・・・？」

叢雲「なんで机で寝てるのよ！」

叢雲「ああ、もういいわ。朝ご飯、持ってきたわ。」

提督「今何時？」

叢雲「0730よ。寝ぼけてないで、手と顔。」

――睡眠時間3時間・・・運動しなければ平気か。

提督「りょーかい。ご飯食べたらお仕事スタートか。」

・・・


提督「なぁ・・・。なんで朝も焼き魚？いじめ？」

叢雲「文句言わずに食べなさいよ。」

提督「叢雲はなにか作れないの？」

叢雲「作れなくもないけど？」

提督「じゃあ明日の朝は君にお願いするね。」

叢雲「はぁ？まあいいけど・・・。魚使わなければいいのね？」

提督「うん。出汁以外陸のものを使ってくれるとすごく嬉しい。」

提督「あと私少食気味だから量は控えめでね。」

叢雲「はいはい。せいぜい楽しみにしてなさい。」

提督「よろしくね。」

提督「で、今日の出撃は2100からだ。それまでに準備よろしく。」

叢雲「了解よ。」

訂正

提督「で、今日の出撃は2100からだ。それまでに準備よろしく。」
↓
提督「で、今日の出撃は0900からだ。それまでに準備よろしく。」

・・・


～工廠～

提督「お疲れ様です。」

赤髪「おはようございます、提督。」

提督「響の進水と建造を頼みたい。」

赤髪「喜んで！と言っても響ちゃんの方は終わってまして別室で待機してます。」

提督「ん、仕事早いね。じゃあ呼んでもらえる？」

赤髪「了解です。すぐ来ますよ。」

提督「待ってる間に聞きたいんだけど戦艦とか空母とか作るにはどれくらいの資材がいる？」

赤髪「確実に作れるわけじゃないですけどこれくらいですかね」

提督「(うわぁ備蓄資材全部と大体同じ)了解、そのうち作ってもらうと思う。」

赤髪「お待ちしてます！あっ来たみたいですね。」


―銀髪、セーラー服。見た目は明らかに普通の子供だった。艤装さえ無ければ。


提督「はじめまして、響。私の鎮守府にようこそ」

響「はじめまして、司令官。響だよ。その活躍ぶりから不死鳥の通り名もあるよ。」

提督「早速で悪いが第一艦隊に配属だよ。」

響「・・・え？」

提督「君が二隻目の艦、頼りにしてるよ。」

響「了解。とりあえず・・・どうしたらいいかな。」

提督「このメモの場所で待機。多分叢雲がそのうち来るはずだからあの娘に色々聞いて。」

響「わかったよ。じゃあ後でね。」

提督「気をつけて。分からなかったら迷う前に戻っておいで。」

―響を見送ったところで入れ違いに入ってきた者がいた。


提督「(黒髪美人か・・・)私に何か用事？」

黒髪「はい。本部から指示が来ております。書類にまとめて有りますので目を通して下さい。」

提督「(また紙媒体・・・)ん、一番上にチェックリストか。」

黒髪「せっかく工廠にいらっしゃるのでまずは建造ですか？」

提督「いや、この編成任務の報酬が欲しい。すでに遂行済みなので。」

黒髪「・・・はい。確認しました。ではこちらですね。」

提督「小包・・・ああ、これの進水お願い。」

赤髪「あっ私ですね。了解です、少々お待ちを」

提督「ところで黒髪さん？」

黒髪「それって私のことですか。なんですか？」

提督「君は出撃しないの？」

黒髪「・・・お答えできません。」

提督「あ、うん。分かった。ごめんね妙なこと聞いて。」

黒髪「いえいえ。では私はこれで。終了した任務が有りましたらお知らせ下さい。」

――行ってしまった。しかしどこに知らせればいいんだ？

提督「(まあいいや)赤髪さん？どんな感じ？」

赤髪「私は赤髪ですか？提督は変わったお方ですね。」

赤髪「進水は終了しました。白雪ちゃんです。」

白雪「白雪です。よろしくお願いします。」

―またしても普通の女の子。ただこちらのほうが年齢が高そうには見える。


提督「(中学生？)よろしく。早速で悪いけど建造と開発、手伝ってね。」

提督「とりあえず建造、開発。で解体。赤髪さんに預けてある娘ね。」

提督「で、開発、建造、開発3回、建造3回ってやって？進水はしないでね。」

白雪「え？え？ちょっと覚えきれ」

提督「よろしくねー。」

――多分今必要なのは戦艦でも空母でもなく大量の軽巡と駆逐だ。

――干上がる前に自前で資材を稼がないと・・・な。

提督「(0845か)そろそろ行かないとな。どう？できた？」

白雪「出来ましたが・・・最後の建造で失敗しちゃいまして・・・」

提督「建造って失敗するの？」

白雪「いえ、資材を入れすぎてしまって・・・。」

提督「まあいいや。5隻分の艦名を教えて。」

白雪「はい！初雪、神通、夕立、電、加古・・・だそうです。」

提督「初雪、神通、夕立を進水。今日は6隻で出撃する。」


・・・


初雪「初雪・・・です。・・・よろしく。」

神通「あの・・・軽巡洋艦、神通です。どうか、よろしくお願い致します・・・」

夕立「こんにちは、白露型駆逐艦「夕立」よ。よろしくね！」

提督「こちらこそよろしく。早速だけど出撃してもらうよ。ついてきてね。」

初雪「え・・・出撃・・・？めんどくさい。」

夕立「出撃楽しみっぽい！」

神通「出撃なんて・・・大丈夫でしょうか・・・」

提督「(大丈夫か？これ・・・)」

～艦娘待機所～

叢雲「遅いわ。」

提督「五分位気にするなよ。」

叢雲「五分が命運を左右することだってあるのよ！」

叢雲「で、響とはもう話したけどこの娘達は？」

提督「あー好きなだけ時間あげるから親睦を深めてね。じゃあ外で煙草吸ってるから。」
叢雲「あっちょっと待ちなさい！ああ！もう！」

――まあ積もる話もあるだろうし。あの大戦の知識が殆ど無くて恥ずかしい。


―軒先で喫煙。窓から見れば雰囲気は悪くない。神通と目があった。


提督「じゃあ出撃する。けどその前に演習をしてもらう。」

提督「演習は沈まないし損傷もしない。思いっきり体を動かして来いよー。」

神通「え？提督はいらっしゃらないんですか？」

提督「あーちょいとやることがある。うん、で演習は一日10回受けられる。」

提督「午前と午後の5回ずつだ。ということでお昼までに5回、頑張っておいで。」

叢雲「あんた・・・ホント無責任ね。まあいいわ。1230食堂集合でいいかしら？」

提督「ん。それで頼む。では諸君の武運を祈る！」

提督「あと神通はちょっと残って。」

響「・・・いちいち締まらないね。」

叢雲「もう慣れたわ。さあ、行きましょう？」

――今回の演習はシュミレーション。効率は良くないけど最初はこれでいいかな。

提督「で、神通さん？」

神通「あっ・・・はい・・・なんでしょうか。」

提督「今回は水雷戦隊。旗艦は君に任せる。」

神通「私でよろしければ・・・旗艦、務めさせて頂きます。」

提督「よろしくねぇ。」

――さて、じゃあまず工廠に戻って残りの娘の進水かな。

～工廠～

提督「赤髪さんっ。」

赤髪「はい。いますよ―。」

提督「電、加古の進水を頼む。」

赤髪「はーい。少々お待ちを。」


・・・


電「電です。どうか、よろしくお願いいたします。」

加古「古鷹型重巡の2番艦、加古ってんだ、よっろしくぅー！」

提督「うん、よろしく。とりあえず電はちょっとお使い。」

電「了解なのです！」

提督「加古は・・・あー頼むことない。寝てていいよ。」

加古「え？寝てていいの？じゃあ寝てる。」

――え・・・こいつマジで寝るの？

提督「執務室にソファーあるからそれ使っていいよ。」

提督「じゃあ電は事務室行って黒髪さんにこの書類を提出。」

電「黒髪さん？ですか？」

提督「まあ多分分かるよ。で、終わったら執務室で待機。その後は・・・私、休憩室で寝てるから1215に起こして。」

電「わかったのです！」

提督「じゃあ、加古。行こうか。」

加古「ふぁあ。眠い。」

・・・

コンコン


電「司令官さん・・・？」

提督「ん・・・あ、はい。。行きます。」


～食堂～

提督「演習ご苦労様。午後からは鎮守府正面の海域に反復出撃してもらう。」

叢雲「で、あんたが連れてきたその娘は誰なの？」

響「・・・電？」

提督「電だよ。で、作戦内容の確認をするよ。神通？」

神通「はい。」

提督「日没まで正面海域の哨戒ね。あと敵艦見つけたら沈めていいから。」

提督「あと(メモメモ)こういう見つけたら回収してきて。」

神通「了解です。・・・石？」

提督「なんか光るからわかると思う。」

提督「で、今回は実戦での練度向上が目的だからくれぐれも無理はしないように。」

提督「中破したら速やかに帰投すること。」

提督「報告は明日でいいよ。終わったら入渠してご飯食べて寝て。」

叢雲「色々言いたいことはあるけど・・・まあいいわ・・・」

叢雲「でも部屋割り済んでないわよ。どうするの？」

提督「食堂の隣に大広間有ったからそこで。」

叢雲「わかったわ。でも早く部屋割りしなさいよ？」

提督「今週中には済ませるよ。じゃあ気をつけて。」

提督「電は無線室で状況確認。何かあったら報告して？」

電「が、がんばるのです！」

・・・


――こいつ寝てるわ・・・

――きっと慣れないお仕事でお疲れなのでしょう・・・


・・・

提督「・・・寝過ぎた。絶対叢雲に怒られる。てか何時だ？」

提督「・・・0430。最初は建造からだな。」


―正面玄関の扉を静かに閉める。雨は降っていなかった。


～工廠～

提督「建造おねがーい。」

赤髪「了解です、ところで昨日のドロップ預かってますよ。」

――落とすからドロップか。なるほどな。

赤髪「10隻ですね。うち三隻はダブりです。」

提督「建造からかな。最小限で頼む。」

赤髪「・・・結構いい娘が出来たみたいですよ？」

夕張「提督！おはようございます！兵装実験軽巡、夕張、到着いたしました！」

提督「じゃあ昨日の三隻この娘の近代化に使ってもらえる？」

夕張「提督、元気ないですよ？具合でも悪いんですか！？」

提督「寝起き・・・ね。」

提督「赤髪さん。・・・空母、一隻お願い。」

赤髪「了解です。でもいいんですか？」

提督「空母と戦艦は男の夢だよ。」

――もっと言うと潜水艦が欲しいなぁ。

～執務室～

提督「夕張ちゃん、0630に総員起床かけてね」

提督「それと泥水みたいなコーヒーが欲しい。あと新しい灰皿。」

夕張「了解！砂糖とミルクはどうします？」

提督「なしで。」

・・・

夕張「おまたせ。」

提督「うん、美味しい。」

夕張「そういえば提督は空母に興味があるんですか？」

提督「フォード級とかすごいと思う。欲しいとは思わないけど。」

提督「欲しいのはやっぱひゅうが型とかかなぁ。対潜は重要だよね。」

夕張「？？？」

夕張「あれ？日向さんは戦艦ですよね？」

提督「あー。そっか。現役の空母の話だね、これは。」

提督「あの時代の空母挙げてみてくれる？ある程度大きい物。」

夕張「えーと。赤城、加賀、蒼龍、飛龍、飛鷹、隼鷹、翔鶴、瑞鶴、大鳳・・・」

夕張「小型のものならまだまだ有りますよ。」

提督「赤城は知ってるなぁ。アニメで見た。すごくかっこいいね。」

夕張「アニメ？」

提督「アニメ。」

――もしかして興味あるんだろうか・・・

提督「見る？」

夕張「ぜひ！」

―予備のノートPCとBDBOXを渡してあらかたの操作を教えた。覚えがいい。

提督「私は書類処理してるから休憩室でゆっくりどうぞ。」

夕張「え？提督はご覧にならないんですか？」

提督「それは布教用。通しで相当見てるから大丈夫。」

夕張「では楽しませて頂きます！」

・・・

――0620、そろそろ一話終了だな。

コンコン

―ドアがノックされた。かなり控えめに。

提督「どうぞ。」

翔鶴「翔鶴型航空母艦1番艦、翔鶴です。一航戦、二航戦の先輩方に、少しでも近づけるように瑞鶴と一緒に頑張ります！」

――あっ。

―ノータイムでかしずいて手をとった。

提督「結婚して下さい。」

翔鶴「・・・え？」

ガチャ

夕張「いやぁ。一話面白かったです。ところでなんで陸の上で水着なんですか？」

夕張「え？この状況はなんですか？え？」

提督「一緒にいて下さい。」

翔鶴「え？いえ、いきなりそんな・・・？」

提督「絶対に幸せにします。ですから・・・」

・・・

―総員起床、大広間に集合したのは0700になった。

提督「本日は足を伸ばして南西諸島沖まで行く。」

提督「敵主力艦隊を叩くことが目標だ。」

提督「なお部屋割りを決めたのでお昼には引っ越し、終了した者から近海警備と遠征に行ってもらう。」

提督「本日の予定は以上だ。質問等無ければ朝ごはんにしよう。」

・・・

叢雲「で、私が作った朝ごはんはどうだったの？」

提督「(卵はほぼ生なのにベーコンは消し炭になったベーコンエッグの感想・・・)」

提督「美味しかった。今度一緒に作ろうか。」

叢雲「ん？それって？」

提督「それより今日のメンバーを集めて待機。」

提督「叢雲、神通、夕張、白雪、初雪、翔鶴の6人ね。」

叢雲「わかったわ。で、さっきの・・・」

提督「工廠行ってるから。頼んだよ。」

叢雲「～～～～～！」

提督「あ、翔鶴さんはこっちね。」

・・・

～工廠～

提督「おはよ～。昨日の7隻の進水を頼むよ。」

赤髪「了解です。」

提督「終わったら開発ね。良い艦載機が欲しい。」

赤髪「艦載機・・・その娘のですね。」

提督「そそ。じゃあ翔鶴さん、お願いね。」

翔鶴「はい。ところで提督、先ほどの・・・」

提督「式場の予約？6月だし空きないかぁ。ちょっと探してみるね。」

翔鶴「ち、違います！」

赤髪「お熱いところ申し上げにくいのですがー。」

赤髪「艦娘と提督は結婚できませんよ？艦娘は法律上、物扱いですし。」

提督「え？聞いてないよ。」

赤髪「それから艦娘は皆、かなり力がありますから・・・その・・・夜・・・すると・・・」

提督「あー、いや、婚前交渉はするつもりない。」

翔鶴「///」

提督「(赤面する翔鶴さんマジ可愛い。」

赤髪「提督ー。声出てますよ―。」

提督「まあとりあえず艦載機作って下さい。」

翔鶴「はい・・・。」

・・・

翔鶴「天山3つ、彗星1つ出来ました。」

翔鶴「かなり資材を使ってしまいました。申し訳ありません。」

提督「問題ないよ。じゃあそれ積んで出撃かな。」

翔鶴「はい！これなら行けそうです。」

・・・

～艦娘待機所～

提督「おまたせ。」

叢雲「夕張から聞いたわ。あんた何やってんのよ！」

叢雲「進水直後の娘を口説くなんて頭おかしいの！？」

提督「結婚を申し込んだだけだよ。法律上出来ないみたいだけど。」

叢雲「私達は艦よ？兵器なのよ？バカなの？」

提督「最初から人として扱ってるだろ？変えるつもりはないよ。」

叢雲「ただの人間は深海棲艦と戦えないわ。」

提督「為しうる力を持った・・・人だよ。」

提督「この話はここでおしまい。出撃するよ？」

叢雲「私は納得してないわ・・・」

提督「じゃあ今回の編成だけど旗艦は翔鶴さん、お願いね。」

翔鶴「私ですか？」

提督「能力的にもしばらく旗艦やってもらうと思うから慣れてね。」

提督「空母の戦いといえばアウトレンジからの先制攻撃だよね・・・」

提督「叢雲は翔鶴さんの護衛。他4人で撃ち漏らしを沈めるって流れでいいかな。」

提督「そっちの細かい指揮は神通ね。」

神通「かしこまりました。」

提督「じゃあ各人これ、インカムつけてね。」

叢雲「まさかあんたまた着いてくるつもりじゃないでしょうね？」

提督「個人的に空母の戦闘って気になる。大丈夫だと思うけど護衛よろしく。」

叢雲「はぁ・・・。仕方ないわね。」

・・・

―前面に水雷戦隊を配置し後方に空母を展開する、最小規模の機動部隊が海をゆく。

提督「索敵機飛ばすの？」

翔鶴「はい。専用の艦載機がないので彗星で代用しようと思います。」

翔鶴「それからご指示の通り艦戦を持ってきていないのですが大丈夫でしょうか？」

提督「艦戦？」

翔鶴「・・・大丈夫では無いですね・・・。」

翔鶴「彗星12機、発艦初め！」

― 矢筒から矢を取り出して放つ。一度に二本ずつ取る動作。

――普通に射るのと変わらないのか。

提督「一手を6回で12射？彗星は12機だったね。」

―射った矢はある程度飛んだところで飛行機の形に変わっていく。

提督「それにしても綺麗な髪なのに結ばなくて大丈夫？傷まない？」

翔鶴「驚きました。提督は弓の心得がお有りなんですか？」

提督「軽くね。筈の色が赤いのは艦爆？じゃあ青いのが艦攻か。」

翔鶴「そうです。ところで・・・髪、痛むんですか？」

提督「弦で払うと枝毛になるよ。」

・・・

六人で巨人と言えば某光の巨人六兄弟しか思い浮かばぬ

翔鶴「敵艦隊発見！駆逐艦2です。」

提督「じゃあ本気でやってみてほしいな。」

翔鶴「はい！全航空隊、発艦初め！」

―42機の天山が発艦した。偵察に出ていた彗星を回収し再発艦の準備整える。

――この短時間に42射って疲れないのかな。

提督「一本が一機って辛くないの？」

翔鶴「え？はい、練習すれば一射あたりの機数を増やせる気がしますが今は・・・。」

提督「了解。今後に期待だね。」

翔鶴「頑張ります。っ！そろそろ接敵します。」

翔鶴「・・・雷撃命中。二隻撃沈です！」

提督「よくやってくれた。頑張ったね。」

翔鶴「お褒めいただきありがとうございます！」

提督「(戦果上げてちょっとはしゃいじゃう翔鶴さんマジ可愛い。」

叢雲「はぁ。声出てるわよ。」

提督『陣形を維持。索敵を厳とせよ。』

提督「で、大丈夫？大変そうだけど。」

翔鶴「天山の収容に少し時間がかかりそうです・・・。」

提督「(想定してなかった。空母って結構手間かかるなぁ。)」

提督「あ、収容前に未使用機を打ち上げるのはどう？」

翔鶴「可能ですが航続距離が短くなります。」

提督「多分問題ないから天山と彗星、打ち上げちゃって。」

翔鶴「了解です。」

―天山の収容が半分終わったあたりで前衛部隊が敵艦隊を発見した。

神通『敵艦隊発見！軽巡1、雷巡1、駆逐3です。』

提督『了解。』

提督「軽巡、雷巡狙いで攻撃お願い。」

翔鶴「はい。上空待機していた天山、彗星を向かわせます！」

翔鶴「収容を中断して再発艦させますか？」

提督「いや、収容優先で終わり次第順次発艦。」

―先制攻撃は上々な結果だった。

翔鶴「軽巡撃沈、雷巡大破です。」

提督「了解。」

提督『神通？あと行けそう？』

神通『やってみます。』

提督『お願いします。』

―旗艦が撃沈した敵艦隊は統率がとれていなかった。

神通「雷巡は虫の息・・・です。駆逐艦を各個撃破します。」

夕張「ちょっと～置いてかないでよ～」

白雪「砲撃戦、開始いたします。」

―敵駆逐艦、砲撃にて撃沈。敵雷巡は翔鶴の第二次攻撃により撃沈。完全勝利だった。

翔鶴「提督、私やりました！艦載機の子達も随伴艦の皆さんも本当に頑張ってくれました。感謝です！」

提督「可愛いなぁ」

提督『おつかれ～。じゃあ帰るよ。』

・・・

～食堂～

提督「出撃お疲れ様。部屋割り印刷しといたから各自ご飯食べたら引っ越ししてね。」

提督「それから今朝進水した7人とは仲良くやって欲しい。」

提督「一応紹介すると深雪、天龍、球磨、龍田、那珂、長良、川内だ。」

提督「そろそろ戦艦が欲しいです。はい。」

叢雲「警備と遠征の予定はどうするのよ。」

提督「調度良かった。叢雲、ざっくりでいいから編成とローテーション組んで。」

叢雲「はぁ？それはあんたの仕事でしょ？」

提督「いつでも私が居るとは限らないし、出撃中の留守を君に預けようと思ったんだけど・・・」

提督「ダメか、やっぱり。こんな事任せられるのは叢雲しかいないんだけどなぁ。」

叢雲「・・・あんたさっきからいじってるその板は何なの？」

提督「タブレット。ちょっと調べ物をね。」

提督「じゃあちょっと出かけてくるから頼んだよー。」

・・・

叢雲「あのバカ・・・。」

夕張「叢雲さん大変ですねぇ」

叢雲「着任初日から相変わらずでもう慣れたわ。」

夕張「もう長いんですか？」

叢雲「今日で3日目よ。」

翔鶴「あ、あの。叢雲さん？」

叢雲「？何、どうしたの？」

翔鶴「提督のことを聞きたくて。」

夕張「え？もしかして・・・」

叢雲「はぁ？あんたもバカなの？」

翔鶴「え？いえ・・・。」

夕張「あれだけ熱心にプロポーズされれば嫌でも気になりますって。」

叢雲「まあいいわ。あいつはバカで変人よ。せいぜい気を付けなさい。」

夕張「うわー随分と辛辣ですね。」

叢雲「当たり前じゃない。初日から遅刻してくるような奴よ。」

翔鶴「えっと・・・私の部屋、執務室の隣で・・・」

叢雲「秘書官に任命って訳ね。」

夕張「あっつあつですね～。」

叢雲「夜は静かにしなさいよ？向かい側私の部屋だから。」

・・・

叢雲「帰ってこないわ。」

夕張「そろそろ日没、今出撃中の隊が最後ですね。」

叢雲「そっちじゃなくて提督よ。」

叢雲「最後の隊は遅くなるわ。多分」

夕張「あ、旗艦川内さん・・・」

提督「ただいまー。」

夕張「あ、おかえりなさい」

叢雲「で、あんたはどこまで行ってたわけ？」

提督「首都。」

提督「ほい、これあげる。」

叢雲「なに？これは。」

夕張「え？私にも？」

提督「今の時代の電話って言えばいいのかな？」

提督「多分夕張なら操作分かるかな。叢雲は夕張に聞いてね。」

提督「じゃあ私は部屋に戻りますので。」

・・・

夕張「行っちゃいましたね。」

叢雲「電話？これが？」

夕張「んー・・・あ、これ電源ですね。」

・・・

コンコン

提督「書類整理、手伝ってもらっていい？」

・・・

～執務室～

翔鶴「失礼します。」

提督「うん、まあかけて。」

提督「コーヒー、緑茶、紅茶、いらない。」

翔鶴「え？あ！私やります。」

提督「座ってて。」

・・・

翔鶴「(甘い匂い・・・ココア？少し違うような・・・)」

提督「はい、コーヒーね。と言うかコーヒーしかないです。申し訳ない」

提督「あと砂糖はない。ミルクで調節して？」

翔鶴「提督？この甘い匂いは・・・？」

提督「あー臭かったかな。煙草の匂い。」

翔鶴「いえ、こんな香りの煙草もあるんですね。」

提督「いい空母が出来るように空母の名前の煙草を吸ってた。それだけ。」

翔鶴「・・・」

提督「実はさ、書類仕事はもう終わってる。艦隊規模が小さいおかげでやることが少ない。」

提督「ということで髪梳かしてもいいかな。」

翔鶴「え、あの、私ブラシ持ってなくて・・・」

提督「買ってきた。やり方も調べた。」

翔鶴「では、その・・・お願いします。」

・・・

提督「きれいな髪。ずっと触っていたい。」

翔鶴「いえ・・・そんな・・・」

提督「照れてる姿も可愛い。」

翔鶴「///」

提督「もっと君のこと知りたいなぁ。」

翔鶴「て、提督？」

提督「もっと深く。」

―髪を梳く手は止まっていた。

翔鶴「(これって・・・まさか・・・私・・・)」

翔鶴「(後ろが見れない。私、このまま提督に・・・)」

提督「やっぱダメだな。」

翔鶴「え？」

提督「いや、こっちの話。これあげるね。」

提督「これからの時期そのブーツ辛いでしょ。」

翔鶴「いただけるんですか？」

提督「流石にそのサイズは履けないしもらってくれるとありがたい。」

提督「一本吸ってるから履き替えるといい。」

翔鶴「ありがとうございます！」

・・・

提督「ベランダさいこー。夜の海さいこー」

提督「気がついて良かった。流石に出撃後にブーツ脱がせるとか嫌がられる。」

提督「女の子に靴履かせるってのはやってみたかったけど次回に期待かな。」

・・・

提督「お、やっぱ似合うね。そっちも着てくれたのか。」

翔鶴「あの、これは？」

―― 一緒に入れといたエプロンもよく似あってる。

提督「晩御飯、作れる？」

翔鶴「はい。でも私で・・・」

提督「よろしくお願いします。」

・・・

――給湯室にしてはレベルの高い設備。良いな、やっぱ。

――初めてにしては手際も上々。しかし鼻歌で軍歌・・・

翔鶴「・・・瑞鶴・・・。」

提督「(ずいかく？)やっぱ不勉強だな。」

翔鶴「？提督、出来ましたよ？」

・・・

提督「いや、美味しいよ？でもなんで魚？」

翔鶴「？旬の鰈ですよ。」

提督「美味しいし煮付だから骨も気にならないし・・・まあ好みだよ。」

翔鶴「お口に合ったようで良かったです。」

翔鶴「提督はお魚がお嫌いなのですか？」

提督「小骨がちょっとね。あと山生まれだから慣れてなくて。」

・・・

提督「ごちそうさまでした。」

翔鶴「お粗末さまでした。」

翔鶴「片付けますので提督はゆっくりしてらして下さい。」

提督「ありがと、あと毎日君の味噌汁が飲みたい。」

翔鶴「///考えておきます。」

提督「(今夜は鬱々な調べ物かぁ)」

・・・

翔鶴「それでは提督？おやすみなさい。」

提督「おやすみ。」

ガチャ

――これ史実なんだよなぁ・・・

・・・

トントントン・・・

提督「・・・0600、3時間。こんなもんか。」

ガチャ

提督「おはよー」

翔鶴「提督、おはようございます。」

翔鶴「すぐに朝ごはん、出来ますから。」

提督「泣きそうなくらい幸せです。」

翔鶴「///」

提督「ご飯作る音で起きるのは男の夢のひとつだと思う。」

――あれ知った後だと流石に来るものがあるな。・・・幸せにしてあげたい。

提督「(でもそもそも根本的についてないんだよなぁ。この娘。)」

・・・

～大広間～

提督「練度上がった娘は工廠行って改装してね。」

提督「あと今日から戦艦作り始めるので遠征頑張ってください。」

提督「最後に、今日の午後は製油所地帯沿岸の警備をします。」

提督「じゃあちょっと戦艦作ってくるので翔鶴、叢雲、神通、白雪、夕張は演習の準備してて。」

翔鶴「演習は5人ですか？」

提督「戦艦が出来ればその娘を、出来なきゃ他にやる気ある娘を割り当てる。」

・・・

～工廠～

提督「戦艦ください。」

赤髪「今日は煩悩まみれですね。」

提督「戦艦はかっこいい。」

赤髪「・・・ほんとに出来ましたよ！？」

・・・

榛名「高速戦艦榛名、着任しました。あなたが提督なのね？よろしくお願い致します。」

提督「ん？・・・んんん？」

榛名「えっと、私なにか間違えたでしょうか？」

提督「戦艦って言うからもっとドスコイな娘だと。びっくりするくらい華奢。」

提督「まあいいや、早速だけど演習やろうか。」

・・・

～執務室～

提督「今日は模擬弾使用の演習です。上から見てるので作戦立てて戦ってね。じゃ」

夕張「・・・今日の提督やけに元気ですね。」

叢雲「朝から翔鶴の作ったご飯を食べて念願の戦艦を進水させて・・・」

叢雲「ほんと子供みたいなやつ。」

翔鶴「///」

叢雲「それからあいつスピード昇進よ。今日から少将。」

夕張「もう色々とよく分からないですね・・・」

榛名「え・・・あの・・・」

叢雲「・・・ないとは思うけどあの変人は翔鶴の旦那よ。手を出すときっとあとが怖いわよ。」

・・・

提督「榛名を旗艦として航空戦力は別系統、前面の水雷戦隊を置いて露払い・・・」

提督「悪くないけど長距離砲撃と艦隊指揮を同時に新人にやらせるとか叢雲、容赦無いなぁ。」

提督「でもまぁ演習だし経験か。」

提督「翔鶴さんが独立してカバーしてるけど・・・制空権なかったらどうなることやら。」

提督「あ、空母入り編成で予想通り詰んどる。前衛からじわじわ切り崩されて・・・」

提督「やっぱ制空権重要だなぁ。艦載機作るか。」

・・・

翔鶴「提督、お昼はどうしますか？」

提督「お腹へってないから大丈夫。君はみんなと食べてきな。」

翔鶴「ちゃんとお食べにならないとお体に障りますよ？」

提督「ここに来てよく食べるようになったほうだからなぁ・・・。」

提督「夕飯はお願いします。」

翔鶴「かしこまりました。」

提督「お昼終わったらさっきのメンバー連れてきてね。」

・・・

翔鶴「提督、第一艦隊、集合しました。」

提督「ありがと、じゃあ作戦会議ね。」

提督「といっても上からの報告によると敵に航空戦力はいない。」

提督「敵に戦艦がいるけどまぁ演習通りで何ら問題ないだろう。」

提督「でも万が一を考慮して旗艦は翔鶴さんに変更、他は特に無し。」

榛名「・・・」

翔鶴「継戦能力を考えると私より榛名さんの方が良いのでは・・・？」

提督「んー今日の演習の結果見る限り君のほうが継戦能力あるんじゃないかな。」

提督「まさか駆逐艦並に避けるとは思わなかった。」

提督「練度の差もあるし榛名は今後に期待かな。」

――史実だと被弾多かったみたいだけどどの回も無傷または損傷軽微。

――妹がいないから被弾しない？幸運って意味なら榛名は十分に幸運艦のはず・・・

――参考にする必要はあれど盲信は出来ない、か。

提督「では出撃するよ。」

・・・

～海上～

叢雲『あんたまたついてきたの？』

提督『位置取りに注意すれば問題ないはず』

提督『少なくとも特殊な事情がない限り新海域は直接指揮を取る予定。』

夕張「叢雲さん最近悟ってますね。」

叢雲「バカは死んでも治らないしいいわよ、もう。」

叢雲「それに後衛が必死で守るだろうし多少は大丈夫よ。」

夕張「なんだかんだで提督思いですね、叢雲さんは。」

翔鶴『敵艦隊発見しました。軽巡1、駆逐3です。』

翔鶴「発艦済みの天山48を向かわせます。彗星12を収容し次第、第二次攻撃にあてます。」

提督「慣れてきたね。実にいいね。」

提督「そういえば同時発艦数増えたね。一射あたり四機？」

翔鶴「はい、改修してから少しずつ増やせるようになりました。」

提督「今度一緒に弓引こうか。」

翔鶴「え・・・？はい！」

提督「榛名、目視し次第AIM、射程に収め次第砲撃。」

榛名「は、はい！？・・・えいむ？」

提督「目視、照準、砲撃。」

提督「いや、ごめんやっぱやめ。」

提督「どうせ前衛はいつもどおり肉薄雷撃かけるだろうからこのまま突っ込むだろ。」

榛名「(私・・・来た意味あるのでしょうか・・・)」

・・・

神通「みなさん、準備はよろしいですね。では突撃します。全艦最大船速。」

神通『提督、先制攻撃はおまかせします。』

・・・

翔鶴「天山、接敵します。・・・軽巡轟沈、駆逐いずれも中破以上です。」

提督「旗艦狙った？」

翔鶴「旗艦を落とすと急激に敵艦隊の統率が取れなくなるように感じていたので・・・」

提督「やっぱそう思うかぁ。でもまあ失敗したらちょっとまずいから目標の装甲と回避を見極めてね。」

・・・

提督『損害報告して。』

神通『全艦損傷なしです。』

提督『じゃあ全艦前進、本隊を叩くぞ。』

提督「榛名、水雷戦隊の後方につけて。敵戦艦が出てきたらあいつらだけじゃ厳しいと思う。期待してる。」

榛名「榛名で大丈夫でしょうか・・・？」

提督「この場では君にしか出来ないと思う。」

・・・

提督【神通？】

神通【何でしょうか。】

提督【これ個別だから他には聞こえない。】

提督【で、率直に聞くけど違和感ない？】

神通【・・・はい。少々。】

提督【ここんとこ毎回反航戦で逆落しやってるよね。】

提督【翔鶴さんの索敵で見つける方位も大体正面。】

神通【電探か潜水艦ですが・・・】

提督【どっちがやばいと思う。】

神通【どちらもまずい・・・です。】

提督【索敵機以上の性能の電探か現状で見つけられない潜水艦・・・。】

提督【どっちだと思う？両方ってのもあるよね。】

神通【私は・・・潜水艦じゃないかと・・・】

提督【じゃあ私は電探の線で警戒する。】

・・・

提督「聞いてた？」

翔鶴「おおよその話はわかりました。」

翔鶴「超高高度からの偵察は・・・」

提督「空母らしいな。でも近海に敵空母はいないし基地もない。」

翔鶴「！？ 提督！敵艦隊、真後ろです！』

翔鶴『雷巡、軽巡を前衛に戦艦を中央に、後方に駆逐3です！』

提督「戦艦あげた途端に戦艦でつついてくるか。」

提督「幸い射程じゃ艦載機には敵わんな。天山24機ずつ波状攻撃。」

提督「進路はこのまま、前衛部隊を先に行かせてから回頭。」

提督『神通、こっちは波状攻撃しながら距離を開けるから回頭していつもどおりに。』

神通『了解しました。』

翔鶴「第一次攻撃隊、接敵します。・・・え？」

提督「どうしたね。」

翔鶴「旗艦狙いの雷撃がすべて駆逐艦に妨害されました。」

翔鶴「駆逐3撃沈、その他健在です。」

・・・

提督「神通たちが見えた。そろそろ回頭だな。」

翔鶴「第二次攻撃隊、発艦しますか？」

提督「ん、次は残存全機で攻撃だな。準備急げ！」

提督『榛名、戦艦を落とせ。』

榛名『榛名、頑張ります！』

提督「・・・あれ多分無理だね。」

翔鶴「え、提督・・・？」

提督「無理だった時のために君が控えてるし自由にやってもらうけど。」

・・・

神通「砲撃、来ます。」

叢雲「っ！？どういうこと？こっちはまだ・・・」

夕張「おそらく砲の性能差ですね。」

白雪「・・・少々まずいのではないでしょうか。」

榛名「主砲！砲撃開始！」

叢雲「バカ！射程に入ってからって・・・」

―巨大な水柱が複数上がる。

提督『損害報告。被害を受けた艦は後退。』

神通『叢雲大破、夕張小破。他健在です。』

提督『ん、叢雲後退。他は前進。』

提督「本格的な損傷は初めてかな。中々辛いものがある。」

提督「現場にいてももどかしい。被害総量は軽微なんだがなぁ。」

―榛名が敵戦艦を射程に収め砲撃する。

榛名「そんな・・・砲撃が通らないなんて・・・。」

神通「いたし方ありません。水雷戦隊、突撃いたします。」

榛名「私は・・・榛名は・・・」

―再び着弾。

神通『被害はありません。よろしいですね。』

提督「神通さ？海上で明らかに性格変わるよね。」

翔鶴「二水戦旗艦だったからでしょうか・・・？」

提督「最初とりあえず突っ込むから馬鹿だと思ったけどくっそ強いのね。」

翔鶴「おそらくですが彼女の本領は夜戦じゃないかと・・・。」

・・・

――あれから榛名の砲撃は当たらない。

提督「やっぱ空母の方が好みだな。それとも練度上げれば違うのだろうか。」

提督「戦艦を主力とした艦隊戦も勉強しないとな。」

提督「翔鶴さん、攻撃準備。」

翔鶴「了解です。」

提督『神通、どんな感じ？』

神通『もうすぐ交差します。狙いは雷巡、軽巡でよろしいですね。』

―神通たちを無視し砲撃を続ける戦艦

―戦艦を守り彼女らを迎え撃つ雷巡と軽巡

・・・

―戦艦の副砲による妨害で成果は上がらず。

神通『夕張大破、神通中破、白雪小破。これ以上の継戦は困難です。』

神通『なお雷巡大破、軽巡小破、戦艦健在です。』

提督『各人全速で戦線を離脱。白雪は夕張を曳航しろ。』

提督「そろそろ？」

翔鶴「天山36機、接敵します。」

提督『榛名、砲撃やめ。突撃。』

翔鶴「・・・雷巡、軽巡轟沈、戦艦中破。」

翔鶴「残りの36機はいかがなさいますか？」

提督「待機。」

提督『榛名、砲撃。』

榛名『・・・はい。』

・・・

―敵艦隊の撃破に成功したのもの被害は膨大だった。

～執務室～

提督「無傷は君たちだけか。まあ全員帰投できて良かった。」

榛名「あ、あの・・・私・・・」

提督「十分な経験も積ませず、満足な装備もなく出撃させて申し訳なかった。」

提督「未熟な私の指揮で満足な活躍が出来なかったことは恨まれても仕方ないと思っている。」

榛名「いえ、私が至らなかったせいで・・・」

提督「もし今後があるなら活躍の場を与えられるように努力する。」

榛名「・・・！はい、榛名頑張ります！」

提督「では明日までご自由に、何かあったら神通を頼って。」

榛名「了解です。では榛名、失礼します！」

・・・

翔鶴「・・・提督、明日は砲の開発ですか？」

提督「いや、それはまだ早いかな。とりあえず君の分の艦載機を揃えたい。」

提督「艦戦がまだだったね。」

翔鶴「あの・・・練度が上がれば空母よりも戦艦のほうが・・・」

提督「君と一緒に戦い続けるために必要なことだと思ってる。」

提督「成し得る者が成すべきを成す。これは私の座右の銘。」

翔鶴「提督・・・。」

提督「なんにせよ人数が足りないのがちょっとな。」

提督「で、ちょっと出かけるから書類お願い。晩御飯までには帰るよ。」

提督「機密以外の書類をやってもらえると助かるかな。」

翔鶴「了解しました。」

・・・

バサッ

翔鶴「あっ、と。？この書類は・・・。」

・・・

提督「あれ？弓場あるじゃん。」

提督「じゃあ一式買ってくるか、せっかくだから。」

・・・

コンコン

翔鶴「どうぞ。」

叢雲「おじゃまするわ。」

夕張「あれ？提督は？」

翔鶴「お出かけになられました。夕飯にはお帰りになるとか。」

叢雲「そう。・・・相変わらずコーヒーしかないのね。」

夕張「せめて急須くらいは欲しいですよね・・・。」

叢雲「で、率直に聞くけどあんたはどう思ってるの？」

翔鶴「？」

叢雲「あいつと・・・その・・・」

夕張「叢雲さん、顔真っ赤ですよ？」

翔鶴「そ、そうですね・・・」

翔鶴「一緒に過ごしていれば色々と分かるのではないでしょうか。」

翔鶴「今のところはなんとも・・・」

夕張「男の人を落とすなら胃袋から。肉じゃがなんてどうですか？」

・・・

提督「ただいま。」

翔鶴「おかえりなさい、提督。」

翔鶴「それは・・・。弓具ですか。」

提督「工廠の裏手に弓場があったから。明日引こうか。」

翔鶴「はい。それと今日は肉じゃがを作ってみました。」

提督「定番だね。」

・・・

翔鶴「どうぞ、提督。」

提督「いただきます。」

提督「・・・ん、おいしい。」

翔鶴「甘味・・・ちゃんと出来ていますか？」

提督「うん。そういえば砂糖なかったね。味醂はあったかな。」

提督「砂糖はお菓子作るときしか使わないからなぁ。」

翔鶴「？提督はお菓子をお作りになるんですか？」

提督「それなりに作れるよ。今度一緒に作ろうか。」

・・・

翔鶴「それでは提督、おやすみなさい。」

提督「お休み。」

提督「(現状の戦艦は榛名のみ。あの大戦で運用された戦艦は残り・・・金剛型3、扶桑型2、伊勢型2、長門型2、大和型2。」

提督「(金剛型は小口径、軽装、高速が特徴。火力はそこまで期待できるものではない、か・・・)」

♪ﾊﾞｰﾆﾊッｷﾗﾒｸ

提督「はい？」

夕張「あーえっと、夕張です。」

提督「ん、ああ。どうしたの？」

夕張「いえ、通話機能のテストのつもりで・・・え？」

夕張「明日の予定が知りたいそうです。叢雲さんが。」

提督「明日は普段通りの哨戒と遠征。新海域への出撃はなし。」

提督「指揮は叢雲。って伝えて。」

プッ

提督「さて、来週末には瑞鶴の建造解禁・・・」

提督「今週は戦艦揃えたいなぁ。」

・・・

提督「晴れ、か。今日は暑くなりそうだ。」

コンコン、ガチャ

翔鶴「提督、おめざめですか？」

提督「ああ、おはよう。」

翔鶴「朝ごはん出来てますよ。」

提督「今日もありがとう。食べ終わったら工廠行こうか。」

・・・

～工廠～

霧島「マイク音量大丈夫・・・？チェック、1、2・・・。よし。はじめまして、私、霧島です。」

提督「ようこそ、私の艦隊に。」

提督「早速で悪いけど君の姉妹と練度向上に励んで欲しい。」

霧島「金剛お姉さまですか？それとも比叡お姉さまですか？」

翔鶴「榛名さんですよ。」

霧島「あっ。」

提督「・・・じゃ、はい。これ君の部屋への道順ね。」

・・・

提督「二隻目の戦艦も進水できたし、次は開発かな。」

提督「資源量とか気にしないで良い物を作ってみて。」

翔鶴「よろしいのですか？」

・・・

提督「烈風4、流星改3、流星6、彩雲2・・・」

提督「使えそうなのはこの辺かなぁ。ありがとね。」

ナデナデ

翔鶴「て、提督///」

提督「まあボーキサイトの備蓄全部投入したけど成果はあったね。」

序盤で艦種も装備も揃い過ぎじゃないですかね（棒

・・・

～弓場～

提督「へー、矢上げは妖精さんがやってくれるのか。これは捗るな。」

提督「あ、ちょっと興味あるから君の弓引いてみていい？」

翔鶴「はい、・・・どうぞ。」

提督「あっ？重！重い！」

提督「いや、引く以前にものすごく重い。」

翔鶴「え？そうでしょうか？」

提督「それから弦がほとんど動かない。一体どんな弓圧・・・」

・・・

提督「(あの弓を涼しい顔で何回も引ける筋力で絞められたら普通にバラバラだね。)」

パンッ

提督「(というかすでに数人は死んでるってそういうことか。悲惨だな。)」

パンッ

提督「射形めちゃくちゃなのにまあ良く中てるね。」

翔鶴「そんなにひどいですか？」

提督「ん、じゃあ直すか。」

・・・

提督「まあだいぶいいかな。」

提督「(柔らかいし温かいしいい匂いするし射形修正はやっぱセクハラだな。)」

提督「じゃあ私も引くかな。」

憲兵「射形を直すのに腰や背中、肩部、腹部…そして胸部に触れるのはいた仕方ない事で、触って直す以外の事は効率が悪い…提督殿もなかなかに熱心な方です｣ｳﾝｳﾝ

・・・

翔鶴「そろそろお昼の時間ですね。」

提督「そんな時間か。たまには食堂行こうか。」

翔鶴「はい、そうで・・・」

バン！ドン！ガン！

翔鶴「！なんの音でしょうか？」

提督「鈍い音と言うか殴りあっている音と言うか。」

翔鶴「隣の柔道場・・・ですか？」

―柔道場では榛名、霧島による組手が行われていた。

～柔道場～

提督「あーちょっといい？」

榛名「？」

霧島「はい？なんでしょうか？司令。」

提督「(眼光ヤバい。つーかメガネは？)」

提督「なんで組手？」

霧島「肉体を強化することは総合的な戦闘能力の向上につながります。」

霧島「砲撃は拳の延長ですから打撃翌力、命中率の向上にも効果があるかと。」

提督「あーうん。はい。実戦では殴るのは最後の手段にしてね。」

提督「そういえば君ら昼飯は？」

榛名「先ほど頂きました。砲撃翌練習の後、霧島が体を動かしたいというのでこちらに。」
提督「りょーかい。・・・怪我しないように頑張ってね。」

・・・

～食堂～

提督「君も実は殴り合い得意だったりするの？」

ニュルニュル

翔鶴「いえ、そのようなことは。」

提督「じゃあ力の強さとか？」

ニュルニュル

翔鶴「そういえば昨日包丁の柄を潰してしまいました。」

提督「え？包丁？」

ニュルニュルニュルニュル

提督「(柄と刃が一体のステンレスの包丁を？)」

提督「新しいの買ってあげるから気をつけてね。」

翔鶴「あ、あの。提督？それは流石にかけ過ぎでは？」

提督「そう？唐翌揚げには同体積のマヨネーズ。」

・・・

～執務室～

提督「んーと。これか」

翔鶴「提督？そちらは？」

提督「艦娘外出規約。」

―GPS端末を装着させ位置を把握すること。

―艤装の持ち出しを固く禁ず。

―艦娘が監督者から20m以上離れる場合は通信端末を携帯すること。

―公共交通機関の使用は出来る限り避けること。

―監督者は艦娘が物として扱われることを理解し管理、保護を徹底すること。

提督「GPS端末は・・・タブレットでいいか。」

提督「んーヘルメットなくてもセーフか。バイクでいいかなぁ」

翔鶴「提督、私、その、スカートで・・・」

提督「車だね。」

・・・

～工廠～

提督「車貸してー」

赤髪「車・・・軽トラックしかないですけどいいですか？」

提督「初デートが軽トラ・・・」

翔鶴「提督？」

提督「まあしょうがない。久々だからちょっと慣らすね。」

・・・

提督「動き渋いし予想通りMTだし。そもそもパワステなし、窓の開閉ハンドルかよ。」

提督「まあいいや。翔鶴さんシートベルトね。」

翔鶴「これ・・・ですか。」

提督「じゃあ行ってくるね。」

赤髪「はい！お気をつけて。」

・・・

～市街地～

提督「到着。最初は包丁とかだね。」

翔鶴「はい！」

・・・

提督「次は服買ってあげる。」

翔鶴「・・・よろしいのですか？」

提督「好きなだけ買うといい。」

翔鶴「は、はい。ありがとうございます！」

・・・

提督「(あーこの娘どんな服装でも最高に可愛い。」

翔鶴「///」

提督「(しかし、私の後ろを歩く姿がなんとも。この娘に見合う様に頑張らないと。)」

・・・

～工廠～

赤髪「おかえりなさい。随分とお早いですね。まだ日没前ですよ？」

提督「長時間ここ空けるのもね。」

・・・

～執務室～

提督「今日は楽しかった？」

翔鶴「はい。・・・こんなに色々買ってもらってよろしかったのですか？」

提督「不自由はして欲しくないし。もちろん無理の無い範囲でだけど。」

翔鶴「・・・夕ご飯、作りますね。」

提督「お願いします。」

コンコン

提督「どうぞ。」

叢雲「失礼するわ。」

叢雲「はい、これ。今日の報告書よ。」

提督「ありがと。・・・えらくボーキサイト重視だな。」

叢雲「どこかのバカが備蓄を空にしたからよ。」

提督「んー悪いね。」

叢雲「別に。航空戦力の強さは身を持って知っているもの。」

提督「じゃあ明日はバランス良く頼む。」

提督「あと、工廠行っていつもどおりに進水って頼んできて。」

提督「これ邂逅予想も含めた部屋割り、渡しておくから。」

・・・

提督「ごちそうさまでした。」

翔鶴「お粗末さまでした。」

提督「明日は南西諸島防衛線あたりまで出撃かな。」

提督「敵空母も目撃されてるからよろしくね。」

翔鶴「はい。尽力します！」

・・・

～食堂～

提督「今日の出撃翌予定は翔鶴、榛名、霧島、神通、夕張、白雪。」

提督「準備出来しだい待機所に集合すること。」

・・・

～艦娘待機所～

提督「揃ったね。各人の装備は・・・」

提督「概ねいいかな。翔鶴さんは烈風36、流星改48に積み直し。夕張は高角砲追加」

提督「敵空母が確認されているから十分注意するように」

・・・

～海上～

霧島「前面に戦艦を配置し真後ろの軽巡の盾とする・・・これってどうなのかしら？」

榛名「どうなのでしょう、普通はありえない配置ですけど・・・」

・・・

翔鶴『！敵偵察機です。撃墜しましたがこちらの位置は知られたものと。』

提督「しょうがない。」

提督「復路で見つけてくれないちょっと困るかなぁ。」

翔鶴『・・・敵艦隊発見です。10時の方向』

翔鶴『重巡1、軽巡1、駆逐3。いかがなさいますか？」

提督「重巡を優先的に、後はまあできるだけ。」

・・・

榛名『まもなく砲戦距離に入ります。』

提督『射程外からの一方的な砲撃・・・いいねぇ。』

翔鶴『第一次攻撃、重巡1、駆逐1撃沈しました。』

霧島『残敵を片付けます！』

・・・

提督『戦況報告。』

榛名『敵艦隊の全滅を確認、こちらに被害はありません。』

提督『了解、全員敵空母からの攻撃に注意』

・・・

翔鶴『敵艦隊発見、空母2、重巡2、軽巡1、駆逐1です。』

提督「艦隊の防空は任せた。」

提督『戦艦2名、最優先目標は空母、難しそうならば重巡を』

提督『軽巡2名、戦艦の護衛を。夜戦を考慮し戦力の温存を優先』

・・・

―制空権は確保したものの第一次攻撃の効果は薄い

翔鶴「重巡1、中破です。」

提督「まあ対空母戦闘初めてだし仕方ないね。」

―空母への攻撃はことごとく防がれる。

霧島『駆逐1撃沈。空母へは攻撃が届きません。』

榛名『重巡1撃沈・・・！敵空母が攻撃態勢に入ります！』

提督『前衛、対空戦闘。』

神通『っ！この攻撃、狙いは！』

翔鶴「提督、退避して下さい？」

提督「え、やっぱにげなきゃダメかな。」

叢雲「このバカ！！！」

―叢雲に背中を蹴られながら退避する。

―少なくない数の敵機が翔鶴、叢雲に殺到する。

・・・

提督『被害報告』

翔鶴『至近弾多数、継戦可能です。』

叢雲『完全に翔鶴狙いね。一機も来なかったわ。』

提督「反撃を。」

翔鶴「はい！全航空隊、発艦始め！」

・・・

提督『被害報告』

翔鶴『至近弾多数、継戦可能です。』

叢雲『完全に翔鶴狙いね。一機も来なかったわ。』

提督「反撃を。」

翔鶴「はい！全航空隊、発艦始め！」

・・・

提督「日が暮れる・・・。」

翔鶴「航空隊の収容、完了しました。」

提督『残敵は空母2で間違いないね。』

神通『はい。これより残敵を一掃致します。』

提督『健闘を祈る。』

提督「あとで神通の様子聞くかぁ。」

翔鶴「華の二水戦旗艦の夜戦ですか。普段はおとなしい子ですけど・・・。」

・・・

～執務室～

提督「反省会です。」

霧島「今回は目立った被害もなく完全に近い勝利では？」

提督「ちょっと冷やっとした場面はあったけどね。」

提督「でさ、空母がもう一人欲しいなって。」

翔鶴「・・・」

――複雑な表情だ。能力不足って判断だと思った？それとも。

叢雲「あんたの能力不足じゃなくて戦略的判断・・・よ。」

提督「ということで今週末に空母を作ろうと思う。」

提督「一同節約、備蓄に励むこと。よろしく。」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

提督「一回だけ、一回だけ・・・。」

比叡「気合、入れて、行きます！」

・・・

提督「戦艦、戦艦・・・」

陸奥「あまり火遊びはしないでね？お願いよ？」

・・・

提督「後一回、後一回・・・」

金剛「帰国子女の金剛デース。よろしくお願いしマース。」

・・・

～執務室～

翔鶴「提督？今日のお昼はカレーですよ。」

提督「あ、うん。夕方にはいよいよ空母建造やってみようか。」

　バーン！

叢雲「ちょっとアンタ！これはどういうことよ！」

叢雲「燃料も弾薬も鋼材もなんでこんなに少ないわけ！？」

提督「いや・・・その・・・。」

叢雲「！そういえば新顔が何人か・・・」

叢雲「あんたまさか無駄遣いを・・・！？」

提督「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

提督「一日一回くらいならいいと思って、我慢できなくて」

翔鶴「提督・・・？」

――目が笑ってない。

・・・

～工廠～

飛龍「航空母艦、飛龍です！」

提督「・・・うん。もう一回。」

飛龍「え？」

蒼龍「航空母艦、蒼龍です。」

提督「・・・・・・。」

提督「・・・もう一回」

加賀「航空母艦、加賀です。」

提督「・・・明日にしよう。」

翔鶴「・・・はい。」

飛龍「あの、私達・・・？」

叢雲「部屋に案内するわ。ついてきて。」

・・・・・・

瑞鳳「航空母艦、瑞鳳です。」

叢雲「もうやめなさい！これ以上は首が回らなくなるわ。」

提督「ん、赤髪さん？この書類。」

赤髪「・・・。本当によろしいんですか？」

提督「よろしくお願いします。」

赤髪「了解しました。明日には届くはずです。」

翔鶴「あの、提督？一体何を？」

提督「気にしないで下さい・・・。」

・・・

～執務室～

叢雲「大量の資材が届いたわ。一体どうやったのよ？」

提督「はい、昨日の書類の写し。」

叢雲「・・・ここまでやる？やっぱりアンタ大馬鹿ね。」

提督「そろそろ翔鶴さんが訓練を終えて帰ってくるな。」

提督「今日こそは。」

叢雲「はぁ・・・。」

・・・

～工廠～

瑞鶴「空母瑞鶴です。」

翔鶴「瑞鶴・・・！」

提督「やった、やっと・・・やっと。」

瑞鶴「ちょ、ちょっといきなり抱きついて」

瑞鶴「ぜ、全機爆装、目標・・・提督！」

・・・

～執務室～

翔鶴「瑞鶴、やっと会えたわ。久しぶりね。」

瑞鶴「翔鶴姉も。・・・それでこれが私達の提督さんなの？」

翔鶴「そうよ？少し変わっているけど頑張ってくれているわ。」

翔鶴「それにいきなり爆撃するなんて、ダメよ？」

瑞鶴「いきなり抱きつかれてびっくりして・・・」

瑞鶴「でも翔鶴姉、膝まで貸して。まさか提督さんと・・・？」

翔鶴「それは・・・まだなにもないわ。」

瑞鶴「まだ？まだって・・・」

提督「何もしてない」

瑞鶴「っ！」

翔鶴「提督、お体大丈夫ですか？」

提督「ちょっとのびてただけ、かな。」

翔鶴「搭載していたのが演習弾で幸いでした。」

翔鶴「瑞鶴？もうしちゃダメよ？」

瑞鶴「はい・・・。提督さん、ごめんなさい。」

提督「感極まってしまって、驚かせて悪かったね。」

提督「明日から翔鶴さんとのペアでの出撃を念頭に置いて訓練に励んでもらう。」

提督「期待してるよ？幸運の空母さん。」

瑞鶴「幸運だなんて、一生懸命やるだけ・・・よ。」

・・・・・・

～執務室～

提督「書類手伝ってくれるのかと思えばお茶会か。」

霧島「金剛お姉さまがこちらで提督もご一緒に、とご希望で・・・」

提督「別にいいけどさ、そういえばこの前の対空母の夜戦どうだった？」

榛名「っ！？」

霧島「・・・神通が手早く沈めました。それ以上は。」

提督「聞いちゃいけなかった・・・？」

金剛「ヘーイ提督ー、紅茶がはいったヨー。」

提督「ああ、頂きます。」

金剛「提督ー私も早く出撃したいネー。」

提督「(近い近い。)」

比叡「お姉さま、くっつきすぎです！」

提督「瑞鶴の特訓が終わり次第しばらく出撃続きだよ。訓練はしっかり頼むよ。」

金剛「了解デース。」

金剛「？ へーい提督？触ってもいいけどさ、時間と場所をわきまえなヨー」

霧島「いえ、あの。お姉さま？」

金剛「What？」

翔鶴「提督？本日の瑞鶴との訓練、終了いたしました。」

翔鶴「そろそろお夕飯の支度をしようと思うのですが、量減らしたほうがよろしいですか？」

提督「いえ、平気です。」

翔鶴「ところで本日のお仕事は・・・？」

提督「まだ・・・です。」

金剛「手分けすれば！手分けすればすぐ終わりマース！」

提督「いや、後サインする書類が少しだからすぐ終わる。」

金剛「お、おじゃましたようデスね。今日はお開きにしマース。」

・・・

ガチャ

瑞鶴「ふぅー。あ、提督さん。」

提督「おつかれ、だいぶ慣れた？」

瑞鶴「うーん。それなりにかなぁ。」

――風呂あがりで熱気と匂いが。

提督「初陣が新海域で悪いな。」

瑞鶴「どの辺まで行くの？」

提督「これ、作戦資料。髪乾かしてあげるからそこ座って。」

瑞鶴「提督さんが？」

提督「髪は大事に、な？」

・・・

瑞鶴「提督さん？」

提督「んー？」

瑞鶴「そっちのブラシは翔鶴姉の？」

提督「ええ？」

瑞鶴「長めの銀髪が残ってるよ？」

提督「あ、残ってた？」

瑞鶴「・・・やっぱり。提督さん、翔鶴姉とどんな関係なの？」

提督「あー。結婚を申し込んだけど返事はまだ。」

瑞鶴「は？え？結婚？」

提督「一目惚れなのかな。大切にしたいって思ってさ。」

提督「こんな可愛い妹(予定)がいるとは思わなかったけど。」

瑞鶴「提督さん、口説いてるの？」

提督「口説かれても嬉しくないだろ。」

瑞鶴「それは・・・」

提督「ん、運ぶよ。」

翔鶴「はい、よろしくお願いします。」

・・・

瑞鶴「美味しい！私も作れるようになりたい・・・かも。」

提督「レシピ本が何冊かあるから今度作ってみるといい。」

瑞鶴「料理の本？提督さん、料理するの？」

提督「お菓子専門だけどおかずも作れなくもないよ。」

提督「甘いもので良ければ二人に今度作るよ。」

提督「そうだな・・・。週末までに南西諸島海域を制覇してゆっくり作ろうか。」

瑞鶴「何作ってくれるの？？」

提督「チョコタルトかなぁ。」

翔鶴「チョコ？タルト？」

提督「まあお楽しみってことで。」

・・・・・・

～梅雨明け前、雨の海上～

―準備はいいか？

提督「只今よりカ号迎撃作戦を開始する。出撃！」

第一話 初心者提督の一週間 完

＊＊＊＊＊＊
ご意見に対する返答や感想、これからの流れ等々を書きなぐります。

・六人の巨人？
→タイトルに悩んだので第一艦隊名を適当にもじりました。

・序盤で艦種も装備も揃いすぎでは？
→SS等のログを参考に書いているので嘘でも妄想でもなく真実です。
ただし書く上で一日で20隻参加とか無理なので都合よくピックアップしてます。
装備に関しては着任から3ヶ月ほどで現状でも困らないほどの量を揃えていたので
違和感があるかもしれませんが開発大好きなだけですね。

・射形修正云々
→経験者は知ってるセクハラですね。上半身ならほぼ触り放題で抱きつくように指導することも有ります。基本同性相手だと思いますが。

　SSとして破綻してしまうので張り付き作業は一部艦娘に代行してもらっています。また、大淀、明石は時系列的に名無しなので便宜上黒髪、赤髪と記載しています。名前が明かされるまではこのまま行きます。また、宗教上の理由により大鳳まで使用する大型空母は増えません。ごめんなさい。
　だらだらと書いていても面白く無いので今後は高難度海域と日常系に絞ります。次の話は第一回夏イベントの後日談まです。この辺りは轟沈含むキツイ内容が少々含まれます。

拙い文章ですがよろしければ引き続きご指導ご鞭撻、よろしくお願いします。
＊＊＊＊＊＊

～執務室～

提督「お疲れ様。快勝だったね。」

霧島「ええ、高火力、高耐久の編成でしたし、空母のお二方の回避も目をみはるものが有りました。流石司令ですね。」

提督「戦艦の火力も当たらなきゃ意味が無いし君らの練度のおかげかな。」

提督「瑞鶴？初陣が南西海域三連続とかごめんな。」

提督「しかし全海域で通して無傷とか頑張ったな。」

瑞鶴「今回は運が良かっただけよ。これからも頑張るからね？」

提督「(総被害は主要艦隊戦でいずれも戦艦が損傷軽微、翔鶴さんが中破以上？)」

提督「・・・じゃあいよいよ明日は沖ノ鳥海域かな。」

提督「今まで以上の大規模な戦闘になると思うからゆっくり休むように。」

・・・

瑞鶴「提督さん？翔鶴ねえ、大丈夫かな？」

提督「艤装は高速修復かけてるからすぐに良くなる。」

提督「体の方はわからないなぁ。オリョールでは艤装の機能停止まで損傷したし。」

瑞鶴「翔鶴ねえって何時もあんなに体張って戦うの？」

提督「いや、基本的に後方支援に徹してもらってたけど今回戦艦4、空母2で小型艦にちょっと弱くてね。」

瑞鶴「撃ち漏らした駆逐艦が突っ込んできてびっくりしちゃった。」

提督「・・・割りと心配になってきた。ちょっと様子見てくる。」

瑞鶴「うん。・・・え？」

・・・

～入渠ドック～

提督「半地下？湿気っぽいな。」

提督「第一ドック・・・使用者、翔鶴。ここだな。」

ガチャ

提督「・・・お風呂？赤と白の衣装・・・と、このブーツ？」

提督「さっきからするのは水音？脱いでる？あれ？」

バシャ

翔鶴「どなたかいるんですか？」

――あれ、これどうしよ。まあ自然に・・・

提督「私です。」

翔鶴「え？提督？」

提督「いや、入渠がお風呂なんて知らなくて、ごめん。出るね。」

翔鶴「提督っ！・・・あの、最近被弾が多くて、その・・・。」

提督「おおよその事情はわかってるけど命令無視はちょっと困るかな。」

提督「瑞鶴でしょ？」

翔鶴「・・・ええ。」

提督「練度不足の瑞鶴を出してる私も悪い。負担かけて申し訳ない。」

翔鶴「・・・」

チャプ

提督「じゃあ執務室に戻ってる・・・」

ガチャ

瑞鶴「提督さーん？」

瑞鶴「！ 提督さんの・・・変態！」

バーン

提督「ぐえ」

提督「あれ、痛くない。柔らか・・・い？」

瑞鶴「あ・・・あ。」

翔鶴「提督？お怪我ありませんか？」

提督「はい。柔らかくていい匂いしてしにそうです。」

翔鶴「・・・瑞鶴？」

瑞鶴「はい！はい！ごめんなさい！翔鶴ねぇ、提督さんっ！」

・・・

～執務室内給湯室～

提督「もうちょいで治るって言うから晩御飯でも作って待ってるか。」

瑞鶴「・・・。」

提督「まあ元気なのはいいことだよ。」

提督「じゃあ最初これ切って。洗ってからね。」

瑞鶴「こ、こう？」

提督「こう。」

瑞鶴「？」

提督「こう！」

瑞鶴「て、提督さん！？後ろから！？」

提督「包丁振り回すのはやめような？」

提督「・・・わかってきた？」

瑞鶴「ち、近いって。提督さん！」

提督「んー、だいぶ良くなったかな。」

瑞鶴「良くないって！」

・・・

提督「そういえば、さっきさ？」

瑞鶴「・・・。どうしたの？」

提督「そんな警戒しないで？」

提督「君に突き飛ばされて扉倒れたところまでは分かったんだけどなんで気がついたら翔鶴さんに受け止められてたの？扉は？」

瑞鶴「え？片手で倒れた扉をはじいてもう片方の手で受け止めたんじゃないの？」

提督「・・・君らどんな身体能力してんだよ。それにまさか飛ぶとは思わなかったし。」

瑞鶴「提督さんが軽すぎなの。ちゃんとご飯食べてる？」

提督「今作ってるじゃん？ほい、味見。」

瑞鶴「・・・。お、美味しいけど・・・」

瑞鶴「ちょっと味濃くない？」

提督「これくらいのほうがご飯がすすむだろ？」

・・・

提督「出来た。運んで。」

瑞鶴「真ん中の大机でいいの？」

提督「ん。その辺、仮設の配線があるから足元気をつけて。」

瑞鶴「足元？あっ」

―前を歩く瑞鶴がこちら側に倒れる。

瑞鶴「あれ？・・・て、提督さん、大丈夫！？」

提督「結構軽くて助かった。腕だけで支えられた。」

瑞鶴「こぼれて・・・ないみたいね。」

提督「しんどい。降りて。」

― つきだした両腕の上に抱えるように載せる姿勢。

瑞鶴「これって・・・どうやって降りるの？」

提督「んーソファに降ろすわ。」

ガチャ

翔鶴「入渠完了・・・しました？」

瑞鶴「翔鶴ねぇ！？こ、これは」

提督「あ、瑞鶴の持ってる皿、机に置いてもらっていい？」

・・・

翔鶴「ごちそうさまでした。」

瑞鶴「ごちそうさま。」

翔鶴「提督？先ほどの瑞鶴との・・・。あれは一体？」

提督「瑞鶴がコケたから受け止めたらよくわからないことに。」

ガチャガチャ

提督「よっと」

翔鶴「っ！？」

瑞鶴「・・・提督さん、大胆。」

翔鶴「提督・・・？あの？」

提督「重量は大差ないな。」

瑞鶴「あ。翔鶴ねえも結構大胆。」

翔鶴「・・・瑞鶴？それ以上はダメよ？」

提督「そんな大胆な下着？」

翔鶴「・・・///。」

瑞鶴「提督さん。デリカシーって知ってる？」

提督「んしょ。」

翔鶴「か、片付け。続けましょう？」

・・・

提督「書類終わった。」

提督「・・・あれ？翔鶴さんは？」

瑞鶴「今日は早めに寝るって出てったよ？気が付かなかったの？」

提督「字を書くの苦手で。結構集中してるから。」

瑞鶴「・・・そんなに酷い字じゃない、のかな？」

提督「普通のペースで書いた字はこれね。」

瑞鶴「ノート？・・・さっぱり読めないわ。」

提督「それは料理のレシピをまとめてある。」

瑞鶴「・・・もしかして翔鶴ねえはこれ見て料理してるの？」

提督「どうだろ。渡した中に和食まとめた物が入ってたような。」

瑞鶴「これは何が書いてあるの？」

提督「手早く作れるおかず。ほとんど創作だと思う。」

瑞鶴「・・・これ、借りるね？」

提督「美味しいご飯期待してる。」

瑞鶴「ま、まだ作ってあげるなんて・・・！」

提督「まあ最初は基本からな？」

・・・

コンコン

瑞鶴「翔鶴ねえ・・・起きてる？」

翔鶴「瑞鶴？起きてるわよ？」

ガチャ

瑞鶴「・・・翔鶴ねえ、勉強？」

瑞鶴「これ、料理の本？」

翔鶴「そうよ。そろそろ夏の料理を、ね？」

瑞鶴「え？こっち。これ、読めるの？」

翔鶴「字の癖を覚えれば平気よ？」

瑞鶴「えっと・・・これは？」

翔鶴「これは・・・で、こっちは・・・」

・・・

瑞鶴「てーとくさん！朝よっ！」

提督「んーん？ん・・・」

ノソノソ・・・ガラッ

提督「ふー。」

瑞鶴「・・・提督さん？何してるのっ！」

提督「血圧上げてるの。」

瑞鶴「タバコ・・・？うわっ甘っ」

瑞鶴「煙がものすごく甘い匂い。」

提督「味違うと思ったら吸うの間違えた。まあいいや。」

提督「・・・もしかして朝作った？」

瑞鶴「え？」

提督「出汁の匂いがする。」

瑞鶴「翔鶴ねえといっしょに・・・ね？」

・・・

提督「ごちそうさま。」

提督「しかし昨日渡したレシピよく読んだね。」

翔鶴「やっぱり、お分かりですか？」

提督「そりゃ翔鶴さんの作る玉子焼きとは味が違いすぎるし作り慣れた味だしね。」

提督「それから実際に作ったのは瑞鶴かな。簡単なようで意外と難しいからね。」

翔鶴「出汁の効いたのがお好みなんですね・・・」

提督「まあとても美味しく出来てたよ。」

瑞鶴「ホント？もっと頑張るから！」

・・・

提督「6人揃ったな。」

提督「今日もとりあえず何時もどおりの流れで行ってみようか。」

榛名「いつも通り、ですね。」

翔鶴「艦載機はいかがなさいますか？」

提督「翔鶴さんは艦戦と艦攻、瑞鶴は艦攻減らして艦偵載っけて。」

提督「金剛、霧島は主砲二本と電探、比叡、榛名は電探一つでかわりに三式弾。」

提督「・・・あれ？46cm三連装砲なんて持ってたっけ？」

榛名「先日叢雲さんに頼まれて作りました。・・・まずかったでしょうか？」

提督「いや、ありがと。4基あるから1人1個だな。」

提督「じゃあ準備出来しだい出撃な。」

・・・

～海上～

瑞鶴「て、敵艦隊、発見よ！」

提督「艦種と数。」

瑞鶴『あ！えーと・・・。重巡4、駆逐2・・・かな。』

提督『はい。じゃあ先制で駆逐艦、アウトレンジ砲撃で重巡処理。』

翔鶴「いい？瑞鶴、いくわよ。第一次攻撃隊、発艦始め！」

金剛『こちら了解デース！』

・・・

提督「編成に差がありすぎて戦闘にならないな。」

翔鶴『敵艦隊発見しました。戦艦、重巡、駆逐各二隻です。』

提督『先ほどと同様に。戦艦からの砲撃に注意。』

・・・

提督『被害報告』

金剛『こちら、比叡がかすり傷デース。継戦に影響はないヨーデス。』

榛名『電探に感あり！これは・・・敵の大編隊です。』

提督『索敵漏れ？まあいい、各艦対空戦闘用意。』

提督「演習では三式弾微妙だったけど・・・実戦だとどうだろ。」

瑞鶴「敵艦隊、見つかりません・・・？」

翔鶴「提督？」

提督「ああ、そういう。」

提督『金剛、霧島？電探に反応ある？』

金剛『水上、対空ともにありまセン。』

霧島『同様に。反応ありません。』

提督『誤検知かな。索敵に戻って。』

・・・

瑞鶴『敵艦隊発見。重巡2、雷巡2、駆逐2！』

提督「また水雷戦隊か・・・」

翔鶴「奇襲・・・成功です。駆逐2、撃沈しました。」

瑞鶴「雷巡1、撃沈しました！」

提督『前衛、雷巡をうち漏らさないように。』

金剛『了解デース。・・・what！？』

霧島『金剛お姉さまが被弾しました！艤装の損傷が・・・！』

・・・

提督『被害は比叡小破、金剛中破・・・か。』

提督「轟沈だけは出したくない。しかしせっかくここまで来たのに。」

翔鶴「・・・」

瑞鶴「・・・」

金剛『・・・提督？私は大丈夫デース。まだやれマース！』

提督『・・・前に進もう。』

・・・

翔鶴『敵艦隊発見。・・・戦艦4、駆逐2です。』

提督「間違いない。敵の本隊だ。」

瑞鶴「提督さん。大丈夫・・・かな？」

提督「まあやるしかないさ。」

提督「邪魔にならない位置まで退避する。現場の指揮は翔鶴さん、お願い？」

翔鶴「はい、尽力いたします！」

・・・

翔鶴『提督。こちら、これ以上の継戦は困難です。』

提督『総被害は？』

翔鶴『前衛が小破2、中破1、大破1。私は損傷軽微ですが瑞鶴の方が中破しました。』

翔鶴『あ、イタッ！』

提督『翔鶴さんっ！？』

・・・

瑞鶴「提督さん！翔鶴ねえが・・・私をかばって！」

翔鶴「申し訳ありません・・・今回も・・・」

提督『・・・戦況報告せよ。』

榛名『提督！？まだ戦闘中です！退避して下さい！』

提督『報告っ！』

霧島『金剛お姉さまが大破、比叡お姉さまが中破。榛名、霧島小破です。』

霧島『敵残存戦力は戦艦1、ほぼ無傷です。』

提督『こちらの損失艦はなしか・・・撤退。』

提督『榛名、霧島両名は殿を。絶対に無理はするな。』

・・・

～執務室～

提督「予想以上の被害が出たな・・・。」

提督「足りないのは練度か・・・それとも戦力か。」

ガチャ

叢雲「今日の報告書よ。」

提督「ん。これ、今日の出撃の報告書。」

叢雲「・・・ひどい戦いね。」

提督「もっと艦隊全体を強くしないとこれからもっとひどくなる。」

叢雲「そういえばこれを渡してなかったわ。」

提督「・・・？特別任務？」

叢雲「大本営主導の大規模攻略作戦よ。参加は任意だけど・・・」

提督「おおよそ一月後・・・頑張ればどうにかなるのだろうか。」

叢雲「こっちもよ。」

提督「は？また昇進？大将？」

提督「この国大丈夫なの？」

叢雲「・・・ダメな気がしてきたわ。」

・・・

ガチャ

瑞鶴「提督さん？」

提督「ああ、入渠終わったか。」

コネコネ

瑞鶴「あれ？それってこの前言ってた？」

提督「うん。まあ海域の攻略自体は成功したしね。」

提督「ん、よし。あと焼くだけ。」

瑞鶴「提督さん、その・・・髪・・・。」

提督「手、洗うからちょっと待って。」

・・・

瑞鶴「提督さんの手、甘い匂いがする。」

提督「まあお菓子作ってたからな。」

提督「・・・姉妹で結構髪質違うのな。」

瑞鶴「そう？」

提督「君の方はコシがあるしっかりした髪質、翔鶴さんはすごく細い。」

提督「まあどっちも好きだけど。」

ガチャ

翔鶴「入渠完了しました。」

提督「ああ、おつかれ。」

提督「・・・あ。座って待っててね。」

翔鶴「はい。」

・・・

提督「あ～。やっぱ触ってて気持ちいい。」

翔鶴「そう・・・ですか？」

提督「うん・・・」

ぎゅ・・・

翔鶴「て、提督？///」

提督「ごめん。・・・でもこの仕事つらすぎるよぉ」

翔鶴「提督？大丈夫です。私、沈みませんから。」

提督「・・・カッコ悪いとこ見せた。いや、これからもがんばるよ。」

瑞鶴「あの？提督さん？お菓子焼けたみたいだけど・・・？」

提督「・・・ん。粗熱とって冷やして完成。」

提督「今日は早めに休む。ちょっと精神的に来るものがあった。」

・・・

ガチャ

叢雲「・・・あら。あいつ、どこ行ったの？」

翔鶴「お疲れでしたので早めにお休みになりました。」

叢雲「は？まだ宵の口よ？」

翔鶴「・・・ええ。」

瑞鶴「お茶、入れますねっ。」

叢雲「いったい何を悩んでいるの？」

翔鶴「その・・・提督のことです。」

叢雲「はぁ・・・。気になり始めたわけ？」

翔鶴「それは・・・いえ、そうです、ね。」

翔鶴「ずっと一緒に戦いたいって」

叢雲「あいつ自体の問題もあるし私達艦娘って立場の問題もあるのよ？」

叢雲「人の形をしてても本質的には戦うための存在よ。」

翔鶴「それは・・・」

叢雲「まあいいわ。応援してあげる。」

コトッ

瑞鶴「あ、お茶入れましたよ。」

叢雲「ありがと。それから・・・もう分かってると思うけど刷り込み。」

翔鶴「はい・・・。」

瑞鶴「刷り込み？」

叢雲「知らなかったの？艦娘は最初の司令官に対して忠誠心や恋慕を抱く・・・らしいわ。」

叢雲「差はあれど今のところ全員にその傾向があるわ。」

瑞鶴「えっ・・・。」

叢雲「・・・まさかあんたも？」

瑞鶴「し、知りませんっ！」

翔鶴「瑞鶴・・・。」

叢雲「少なくない数の娘があいつを意識してるってことよ。」

叢雲「まあいいわ。それよりこっちの話をするわ。」

パサッ

瑞鶴「新しい海域・・・？え、二海域同時！？」

翔鶴「”必ずしも”同時に攻略する必要はない・・・？」

叢雲「それより問題は艦種ね。うちの主力は戦艦姉妹4人とあんたたちよ。」

叢雲「逆に言えばこの6人以外は練度不足ね。当然私も含めて。」

翔鶴「艦隊全体としての練度向上が必要・・・ということですね。」

叢雲「幸いそれなりに規模の大きい艦隊だから数が足りなくなることはないわ。」

瑞鶴「全員で一斉に訓練始めるのは・・・どうなの？」

叢雲「運営そのものが止まるわ。だから数人ずつ順番に練度を向上していくことになると思うわ。」

翔鶴「その旨、具申してみます。」

叢雲「頼んだわ。・・・今日はお開きね。この書類きちんと渡すのよ？」

・・・

ガ・・・チャ・・・

提督「んーん？」

瑞鶴「寝て・・・る？」

――よいしょ

瑞鶴「提督さん、お休み。」

・・・

ガチャ

翔鶴「提督？朝で・・・す・・・よ？」

提督「やーらかい。」

提督「は？」

翔鶴「提督・・・？」

ゆさゆさ

提督「起きて、ねぇ。起きて！」

瑞鶴「てーとくさん？？？」

瑞鶴「あ・・・。」

・・・

提督「えっと。自分をもっと大切にしような？」

瑞鶴「・・・///」

提督「つか、なにしに来たの？」

瑞鶴「それは・・・。そう！ただの好奇心！それだけ！提督さんの寝顔がなんとなく見たくなっただけ！」

翔鶴「・・・」

・・・

提督「んーと、話は分かった。適当に候補まとめておくわ。」

翔鶴「はい、お願いしますね。」

提督「えーと、どちらに？」

翔鶴「本日は出撃の予定がありませんので練度の向上に努めます。」

翔鶴「瑞鶴、あなたも来るのよ？」

ガチャ

瑞鶴「翔鶴ねえ・・・すごく不機嫌・・・。」

提督「概ね君が原因なんだけどね。」

提督「お昼は作るから二人で食べにおいで。」

・・・

ガチャ

叢雲「ちゃんと仕事・・・してるようね。」

提督「まあ。あ、練度向上組最初のメンバーは決めたよ。はい。」

叢雲「・・・。具体的な訓練内容は？」

提督「駆逐艦、軽巡は神通に頼んで対艦の訓練。重巡は金剛たちに頼んで砲撃訓練。軽空母は翔鶴さんたちに頼んで総合的に。」

叢雲「神・・・通・・・？」

叢雲「ま、まあいいわ。」

提督「？ それなりに動けるようになったら実戦で対潜も鍛えたい。」

叢雲「準備しておくわ。」

・・・

提督「ん、出来た。」

提督「装備開発の方は・・・空母4隻分の十分な艦載機がある・・・か。」

提督「正規空母は2隻もいればいいや。軽空母もいないと困るか？」

ガチャ

翔鶴「提督？お疲れ様です。」

提督「あれ、瑞鶴は？」

翔鶴「・・・瑞鶴？」

コツコツ・・・

瑞鶴「つ、疲れたぁ・・・。もう無理・・・。」

提督「本ハズ痛むから弓を杖にすんなよ・・・」

・・・

提督「軽空母の本格的な訓練にとりかかって欲しいんだけどいいかな。」

翔鶴「私でよろしいのですか・・・？」

提督「うちで最高翌練度の君以外に頼むはずがないよ。」

翔鶴「・・・はい。」

翔鶴「瑞鶴？あまり提督の邪魔をしてはダメよ？」

ガチャ

翔鶴「それでは提督？行ってまいりますね？」

・・・

提督「・・・うっわ。」

提督「ついに君にも本気見せたのな。」

瑞鶴「翔鶴ねえあんなに強かったなんて・・・。」

提督「同型艦で装備も一緒みたいだから純粋に練度の差かな。」

提督「そもそも君の練度も決して低くないし・・・もうちょっと頑張って。」

瑞鶴「そ、そう・・・かな？」

提督「まあ練度は高過ぎるってことは無いから。」

提督「まあいいや。こっちの書類やって？」

瑞鶴「これ？」

提督「まあばれないだろうから汚い字でサインしとけば平気。」

提督「重要そうな内容だったらまとめといて。」

瑞鶴「え・・・いいの？それ。」

提督「今は叢雲と翔鶴さんがやってる。」

提督「ふたりとも結構器用でもう私の筆跡完璧に再現してるのは・・・ちょっと驚いたけど。」

瑞鶴「私まだ読むので精一杯なんだけど・・・。」

提督「まあサイン書けるようになってくれればいいよ。」

瑞鶴「・・・あれ？これ、提督さんの仕事・・・だよね？」

提督「一緒に出撃したり異常な昇進やらで書類追いつかないんだよねぇ。」

提督「お手伝いお願いね。」

おつ
sagaつけてないから文章に余計な文字が入ってるよ

・・・

ガチャ

翔鶴「本日の訓練終了しました。・・・こちら報告書です。」

提督「おつかれ。ありがとね」

翔鶴「・・・あら？瑞鶴、これはダメよ？」

提督「ん？お、綺麗で可愛らしい字を書くね。」

カタカタ・・・ガー・・・サラサラ

提督「これでよし。しかし艦娘に準機密の書類サインさせてるとかバレたらどうなるんだ？」

翔鶴「良くて降格、最悪・・・。」

提督「まあいいや。見直しは叢雲の方でやってもらってるから。」

瑞鶴「てーとくさん？ここの運営・・・一体どうなってるの？」

提督「私と翔鶴さんが重要書類のチェック。叢雲が普通の書類とこっちで上げた書類の確認。」

提督「むこうは確か夕張と電が手伝ってるはず。」

瑞鶴「提督さん・・・。」

提督「つかこの仕事量全部一人でやったら死んじゃうよ。」

・・・

コトッ

提督「ああ、ありがと」

ズズズッ

翔鶴「提督、こちらは？」

提督「戦力拡張計画の装備更新編」

瑞鶴「そういえばすごく良い艦載機しか使ったこと無いけど・・・？」

提督「あれは全部翔鶴さんが頑張って作った。」

翔鶴「提督から十分に資材頂きましたから。」

提督「機関、砲、電探あたり。次はどうしようか」

瑞鶴「砲・・・でいいんじゃない？」

提督「じゃあひとまず砲で。」

瑞鶴「え！？提督さん、私適当に言ったんだけど？」

提督「まあ全部作るし順番はどうでもいい。」

瑞鶴「ええ・・・いいの？」

翔鶴「装備開発は練度が重要だからいいと思うわよ？」

提督「練度的にもすでに4基も作ってくれた榛名でいいか。」

提督「電探も榛名、機関系は・・・叢雲か。」

ピピッ

提督「・・・よし。遠征調整はいい。」

提督「まあしばらく高難易度な海域には行かない。準備期間だな。」

翔鶴「・・・提督？そろそろお風呂いただきますね。」

瑞鶴「あ、私も。」

提督「あ、私も。」

・・・

ガチャ・・・パタン

提督「ん・・・あれ？」

提督「枕？は？」

提督「・・・。データベース・・・。」

提督「艦娘の心理？」

――刷り込み、依存・・・崩壊

提督「・・・死亡事案もあるのか。」

――精神的な脆弱性、暴走

提督「刷り込み・・・。」

提督「最終的に厳格な軍隊を作るか逆にハーレムの構築・・・。」

提督「どっちも難しいな。」

提督「本人たちの意志は・・・関係ないのか。」

―所詮、公的にはあくまで新型兵器。これだけの資料が開示されてるだけでも優しさか。

提督「方針は決めておかないとな。」

・・・

提督「（要するに不安を取り除くこと）」

提督「（もしかしてこれが仕事のメイン？）」

ぎゅぅ

翔鶴「！？て、提督！？」

提督「おはよう。いつもありがと？」

瑞鶴「あ、翔鶴ねえずるーい。」

ポンポンナデナデ

提督「ああ、瑞鶴もな。」

・・・

翔鶴「提督、本日は？」

提督「午前は訓練、午後は軽く哨戒。」

提督「だからあんましごいちゃダメだよ。」

翔鶴「・・・なんのことでしょう？」

提督「編成は君らと金剛たちで6人。」

瑞鶴「ねぇ・・・提督さん？それってほんとに軽い哨戒？」

提督「まあ、ほら。何が来ても大丈夫だろ？」

・・・

提督「ここか。」

コンコン

夕張「はーい？」

提督「入っていい？」

夕張「え？提督、ちょっと待って・・・あ！」

ドサッガラガラ

ガチャ

提督「大丈夫？」

――三人部屋を1人で使用、と言っても物が多くスペース自体は狭い。

提督「邪魔した？」

夕張「いえ、何かお飲みになりますか？」

提督「ちょっと待って。冷蔵庫の異常な量のエナジードリンクは何！？」

夕張「何って徹夜のお供ですよ？実は今、これを作ってて。」

提督「CIWS！？」

夕張「あ、でもこれ失敗で・・・」

夕張「本来の艤装のように操作できなくて。」

夕張「それから当然威力も補正がかからないです。」

提督「まあ無理だよなぁ。」

夕張「現代の技術で改装すると装備はみんな使えなくなっちゃうんですよね。」

夕張「あ、そういえばご用件は？」

提督「ああ。情報共有をネットワーク越しにやりたいからアプリ作って。」

夕張「えぇ・・・。」

提督「三ヶ月位で作ってくれればいいよ。」

夕張「それって私一人・・・ですよね。」

提督「まあ他の仕事免除するから終わったら遊んでていいよ。」

・・・

～執務室～

提督「初夏だけど北の方に行くから、薄着で来たら帰す。」

提督「お前だよ・・・。金剛、四人並んでれば分かるって。」

金剛「・・・テーとくはロングスカートがおスきなんデスか？」

提督「あ、うん。」

提督「じゃない。女は体を冷やすな。」

・・・

～海上～

提督「寒い。」

瑞鶴「てーとくさん。大丈夫？」

提督「水しぶきと気温で体力が。ただこの編成でだらだらやるのは無駄だろ。」

提督「さくさく片付けようか。」

翔鶴『・・・敵艦隊発見。軽巡3、駆逐3です』

提督「手早く。」

・・・

瑞鶴「敵艦隊・・・」

瑞鶴『敵艦隊発見！戦艦2、軽巡1、駆逐3。内、戦艦一隻はこの前の新型！』

提督「！ 先制の航空攻撃を戦艦一隻に集中。」

翔鶴「了解です！」

瑞鶴「回避・・・回避・・・回避・・・命中！直撃よ！」

瑞鶴『新型戦艦は中破。これなら・・・！』

提督「追撃を。」

翔鶴「・・・命中。沈みます。」

提督「よーしと。」

提督『そっちは？』

榛名『敵艦隊捕捉、砲撃開始します！』

・・・

提督「哨戒って話なのに・・・軽く驚いた。」

提督「先制で叩けなきゃ危なかったな。良くやってくれた。」

提督「帰ったらお茶でもしようか。」

瑞鶴「そういえばそういうの初めて？」

・・・

～執務室～

提督「投書箱を設置します。」

金剛「投書箱？デースか？」

提督「なんでもいいのでご意見どうぞ。」

瑞鶴「名前と意見と・・・艦種？」

提督「無記名で艦種だけでもいい。まあ完全匿名でもいい。」

すっ

提督「ん、ありがと。」

ずず

提督「あと君ら姉妹で組んだ時の指揮は榛名がやってるよね。」

提督「これからしばらく比叡が変わって。」

榛名「・・・」

比叡「えっ？私です・・・か？」

榛名「理由を聞いてもよろしいですか？」

提督「全員に旗艦の経験がほしい。後はなんとなく比叡で。」

提督「別に実力とかその辺は関係ないかな。」

金剛「テーとくぅ？私の見せ場はいつ来るんデーす？」

提督「君の見せ場は・・・その無駄な張り切りやめたらかなぁ」

提督「あと霧島は・・・もう少し冷静に戦えるようになろうな？」

・・・

提督「さて。概ねやろうと思ってたことはやったな。後は・・・」

提督「瑞鶴？」

瑞鶴「うーん？何、提督さん。」

提督「急ぎ。これ叢雲に届けてきて。」

瑞鶴「えー。」

提督「駆け足。」

瑞鶴「はーい。」

ガチャ

――翔鶴。

翔鶴「え？提督？」

――こっちに。

翔鶴「ええと。て、提督？」

――座って。


―膝の上に座らせる。


ぎゅ

提督「言いたい事があれば言ってもいいんだよ。」

提督「どこまで依存してもらっても君の支えになれるなら構わない。」

提督「君と一緒にどこまでも行きたい。・・・ダメかな。」

―腰に回した腕に手の平が置かれた。

・・・

提督「（鼓動が戻ってきた。）」

翔鶴「提督・・・あの・・・」

提督「さあ。仕事に戻ろうか？」

・・・

叢雲「（あいつ・・・絶対にゆるさないんだから。）」

叢雲「（翔鶴と二人で話したいから瑞鶴を引き止めろ？）」

叢雲「あー！もう！」

夕張「・・・大変ですねぇ。」

・・・・・・

～極暑 大広間～

提督「備蓄を続けていたけどいよいよ・・・だね。」

提督「これより南方海域強襲偵察作戦に参加する。」

提督「最初は警戒ラインの突破から、メンバーは・・・」

――翔鶴、瑞鶴、比叡、榛名、由良、阿武隈

提督「様子見だから制空重視。潜水艦への警戒も怠らないこと。」

・・・

～海上～

提督「由良はこっち。阿武隈はあっち。」

阿武隈「阿武隈、ご期待に答えます！」

提督『対潜哨戒を厳にして。見つけ次第爆雷を叩き込んで。』

提督『潜水艦狩りが目的だから軽巡の娘の保護を再優先。』

翔鶴『敵艦隊発見。軽巡1、駆逐5です』

提督「基本に従えば潜水艦は含まれていない・・・？」

翔鶴「はい、ですが・・・」

提督「対潜組は哨戒続行。残りの4人で片付ける。」

・・・

翔鶴「・・・潜望鏡？」

翔鶴『敵艦隊発見。潜水艦4、見落としの可能性があります。雷撃に注意！』

瑞鶴「提督さん！逃げないと！」

提督「割りと手遅れ？」

提督『対潜組は雷撃に注意しつつ接近して攻撃。』

比叡『ひえ～！』

榛名『魚雷、回避しました！』

提督「目標は戦艦だったか。」

阿武隈『やるときはやるんだから！』

・・・

瑞鶴『敵艦隊発見！戦艦重巡1、雷巡2駆逐2です。』

提督『いつも通りに。』

・・・

提督「対潜哨戒って中々苦痛だな。」

提督「つーかあっつい。」

瑞鶴「真夏にその格好は見てるこっちも暑いよ？」

提督「服装は大切だよ？」

翔鶴「提督！瑞鶴！」

―魚雷の網の中、回避不可能。

瑞鶴「てーとくさん！」

ドンッ

・・・

翔鶴「提督！」

提督「あ、大丈夫。泳げる。」

バシャ

―その場に座り込む瑞鶴。

瑞鶴「びっくりした～。不発だったみたい。」

提督「へー。おしりついても浮けるんだ。」

提督「いや、そうじゃない。そうだけどそうじゃない。」

提督「あ、インカム・・・」

翔鶴『潜水艦の位置特定、急いで！』

由良「・・・いた！よーく狙って、てー。」

比叡『電探に感あり、榛名も同様です。・・・戦艦、重巡各1！』

翔鶴「いい？瑞鶴、行くわよ。第一次攻撃隊発艦始め！」

・・・

提督『全員・・・大丈夫だね。』

提督『周囲を警戒しつつ補給物資の申告。』

提督「翔鶴さん、護衛つけて摩耶と長門送ってもらって。」

翔鶴「了解です。」

提督「それから瑞鶴と一緒に全方位警戒を。」

・・・

～仮設待機水域～

夕張「総旗艦、翔鶴より入電。」

夕張「護衛を伴い長門、摩耶を前線に届けよ・・・？」

夕張「護衛には駆逐艦3、軽空母1だそうです。」

叢雲「白雪、満潮、不知火、瑞鳳を呼んで」

電「了解なのです！」

長門「待ちに待った艦隊決戦か・・・胸が熱いな。」

摩耶「おぅ！行くぜ！」

・・・

瑞鶴「増援部隊、発見っと。」

提督「少々手薄になるけど上空待機中の機体で誘導してやってくれ。」

提督『由良、比叡は後退。長門、摩耶と交代して。』

翔鶴「敵艦載機発見です！迎撃に問題はありませんが・・・」

提督「空母が単身で彷徨いてる訳無いよなぁ。」

提督『入れ替えが終わるまで頑張って耐えて。』

比叡『こちら、増援部隊と合流しましたー。』

・・・

翔鶴「制空権確保。敵艦隊発見しました。」

翔鶴『空母1重巡1軽巡2駆逐2です。』

提督「・・・あ、見えた。先頭は不知火・・・かな？」

・・・

不知火「司令、お疲れ様です。」

提督「ん。物資は・・・ああ。長門と摩耶が持ってきたか。」

提督『補給が終わり次第戦闘開始。』

長門「提督、戦況は？」

提督「編成を調節して敵洋上戦力の排除に移行するとこ。」

提督「君には期待してる。」

提督『現時点をもって当艦隊の旗艦を比叡から長門に移す。』

長門「ふふっ。BIG7の力、侮るなよ？」

提督「摩耶もな。西方海域での活躍を今一度頼むよ。」

摩耶「ようし、みなぎってきたぜ! やってやるぜ！」

・・・

提督「予想以上に損耗が激しい。」

瑞鶴「・・・敵艦隊発見！何・・・あれ！？」

翔鶴「瑞鶴？報告はきちんと・・・」

瑞鶴『空母1、駆逐2。艦種不明3です！』

提督「艦種不明？形状とかさ？」

瑞鶴「人型1、ボールみたいのが2？」

翔鶴「こちらでも確認しました。人型1、球体2に間違いありません。」

翔鶴「っ！補足されました。敵機、来ます！」

提督『前衛、対空戦闘用意。』

瑞鶴「これじゃあ・・・」

翔鶴「提督、制空権の確保は困難です。」

提督「仕方ない。詰めるか。」

提督『空母の保護を優先。複縦陣に移行。先鋒は長門、比叡。』

・・・

翔鶴「提督！敵旗艦、耐久力がっ！？」

瑞鶴「翔鶴ねえ！？」

翔鶴「やられました・・・艦載機発着艦困難です。」

提督『敵旗艦の砲撃に注意しつつ他を優先的に処理！』

提督『阿武隈！』

阿武隈『ひぇ！？』

提督『翔鶴さんを連れて一時退避。航空隊の指揮は瑞鶴に移譲。』

長門『敵残存は旗艦のみ。どうする、提督。』

提督『時間的にも頃合いだ。一旦距離をとって夜戦を敢行する。』

・・・

提督「艤装の損傷で済んで良かった。」

翔鶴「提督・・・申し訳ありません・・・。」

提督「戦えば当然被害を受けるって。」

提督「それにしても瑞鶴は・・・運がいいな。流石に。」

瑞鶴「そう・・・なのかな。やっぱり・・・」

提督「まあいいさ。」

提督『長門、出番だ。』

長門『よし・・・。艦隊！この長門に続け！』

・・・

～執務室～

提督「お疲れ様。」

提督「明日は休みにする。ゆっくり休んで。・・・解散。」

ガチャ、バタバタ

叢雲「最初の特別任務にしては頑張ったじゃない。」

提督「・・・やっぱキツイな。」

瑞鶴「提督さん・・・」

コンコン

提督「はい？」

ガチャ

伊168「伊168よ。何よ、言いにくいの？じゃ、イムヤでいいわ…よろしくねっ！」

提督「・・・。潜水艦か。」

提督「早速だけど偵察に行ってもらうか。北方の・・・この辺り。」

伊168「え、いきなり？」

提督「大丈夫・・・じゃないかな。」

・・・・・・

提督「敵集結地の強襲は被害甚大とはいえ一応何とかなった・・・か。」

長門「敵旗艦の装甲が紙だったからな。」

翔鶴「ただ装甲に見合わない絶大な余剰浮翌力でかなり浮かんでいましたね。」

提督「比叡、阿武隈、瑞鶴が大破。摩耶は中破。ここらが潮時かな。」

翔鶴「しかし敵本隊はまだ・・・。」

提督「今回はこれでよしとしてもいいかなぁ。」

提督「先輩方が戦っている中で引くのは心苦しいけども」

長門「・・・。」

提督「まあ一応、明日から平常業務に戻そうか」

ガチャ

ゴーヤ「海の中からこんにちはー！ゴーヤだよ！」

提督「・・・。」

ポンポン

ゴーヤ「え？なんでち」

―翔鶴の渡した書類を見てゴーヤが青ざめる。

翔鶴「気をつけて、行ってらっしゃい？」

・・・

長門「お前も中々恐ろしいやつだな。」

翔鶴「いえ、そんなことは・・・。」

提督「着任早々北の海に送りつけるのは私もやったからなぁ。」

提督「ああ、イムヤに無線指示しないと。」

・・・

提督『どう？』

伊168『どうも何も寒いし暗いわ。はぁ・・・。陽の光を浴びたい。』

提督『そっちにもう一隻潜水艦送ったから一緒に頑張って。』

伊168『了解っと・・・ヤバ！急速潜行！』

提督『大丈夫？』

伊168『まだ、なんとか。大丈夫よ。』

伊168『戦艦と空母ばっかりよ・・・。嘘！？気づかれた？』

提督『・・・落ち着いた？』

伊168『イタタ・・・。危なかったわ。』

伊168『・・・伊58と合流よ。』

提督『ガンガンどうぞー』

伊168『・・・あ、ヤバ！あっ！』

―無線を通して聞こえてくる爆音と何かが軋む音。

ゴーヤ『イムヤが・・・イムヤが！』

ゴーヤ『バラバラに・・・嫌！沈みたくない！嫌！』

―血の気の引く音が聞こえてくる。

提督「第一艦隊召集！緊急事態！」

―艦隊を率いて救援に向かうが伊168の姿は無く、錯乱状態の伊58を回収。

・・・

翔鶴「提督？そろそろおタバコは・・・体に障りますよ？」

提督「・・・。」

ガチャ

叢雲「・・・！」

―振り下ろされた叢雲の手首を掴んだ。

提督「やっぱりおかしい。」

叢雲「っ！放しなさいっ！」

提督「こんな華奢な腕で。」

提督「いや、違うな。人払いを頼みたい。叢雲、翔鶴、瑞鶴とだ。」

長門「・・・。そういうことなら私は退室しよう。」

・・・

提督「刷り込み。」

―空気が張り詰める。

提督「君らの間でも察している者はいるだろう。」

提督「感情の操作の方は今回は置いておく。問題は命令権だよ。」

瑞鶴「あ・・・。」

翔鶴「瑞鶴？」

提督「私がもしも死んだら君たちはどうなる？って事・・・だけど。気づいたようだね。」

叢雲「・・・。」

提督「当然君たちにも明日は無いだろう。この仕事をやめた場合も同様に。」

提督「命令権の強度だけどこれは自死すら可能。」

提督「でもな？[ﾋﾟｰｰｰ]って言って艦娘殺して平気な人間にはなれないんだよ。」

翔鶴「提督・・・。」

提督「伊168を沈めた責任は重いよ。」

瑞鶴「て、提督さんは・・・」

提督「言い訳の余地はない。」

提督「結論から言うと・・・。これだな。」

―引き出しから桐箱を取り出す。

提督「君たち二人には何度だって沈んでもらう。」

瑞鶴「何度でも・・・？」

翔鶴「沈む・・・ですか。」

提督「叢雲。何か言うことはある？」

叢雲「・・・ようやく人として扱うのは辞めるってことね。」

提督「まあそうとも言えるかな。」

提督「ようやく吹っ切れたよ。君らを人として扱うのは不幸の元だ。」

・・・・・・

提督「(艤装へのダメージが一定上蓄積することで本体、つまり肉体にダメージが入り始める。)」

提督「(艤装、肉体がともに限界を迎えると死亡する。つまり浮翌力を失って沈む。)」

提督「(また正常に動いている艤装は肉体へのダメージを肩代わりする。)」

提督「(どちらにしろ肉体へダメージが直に通る大破状態から沈む可能性がある。)」

提督「(そしてこれは最終手段とも言えるな。・・・お守りか。)」

コンコン

翔鶴「提督。そろそろお時間です。」

提督「ありがと。じゃあ・・・行こうか。」

提督「作戦に参加するものは必ずこのお守りを所持すること。」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

～執務室～

大和「大和型戦艦一番艦の大和です！」

叢雲「・・・ノックしなさい。」

大和「すいません・・・えっと、提督？」

叢雲「秘書艦よ。」

大和「あ、あの。お仕事の邪魔でした？」

叢雲「今は・・・そうね。」

大和「・・・提督はどちらに？」

叢雲「地元の山奥に行ってるわ。」

叢雲『夕張、そっちはどう？・・・はぁ？死にそう？死んでもやりなさい！』

叢雲「明日にはあいつも帰ってくるわ。あ、これ。あいつからよ。」

大和「資料ですか？目を通しておきますね。」

ガチャ

大和「・・・？この円盤は何でしょう？？？」

叢雲「あーそれは・・・。」

叢雲『夕張、そっちにお客さんが行くわ。』

・・・

コンコン

大和「大和、参りました！」

夕張「はーい。準備はしてあるからどうぞ。」

コト

大和「あ、お茶ですか？ありがとうございます。」

夕張「色はお茶ですけど別物ですよ。」

夕張「えっと。ヘッドホン・・・。はい、じゃあ再生しますね。」

大和「映像記録ですか？」

夕張「教導用のアニメーションですね、確か。お手伝いしたので内容は大体知ってます。」

・・・

―突然、大和が泣きだした。悲鳴を上げて。

夕張「ど、どうしました？・・・これは・・・。」

―どこかで見たことのある艦娘が文字通り砕ける場面が。

―素早く再生を止める。

夕張「(どうしてあの映像記録が？よりにもよってこの人に・・・！)」

夕張「あ、落ち着いて下さい？これは・・・きっとホラー映画ですね。そうです！」

夕張「納涼企画とかで提督が加工したものが紛れ込んだみたいです。びっくりしましたよね。」

・・・

～山中 旅館～

提督「着いたよ。」

瑞鶴「うえぇ・・・気持ち悪い・・・」

翔鶴「瑞鶴？大丈夫？」

提督「後部座席全滅・・・？」

比叡「お姉さま、お気を確かに・・・！」

金剛「うーん。酔いましたぁ」

長門「び、びっくせぶんのちから、なめるなよ・・・う・・・。」

提督「生存は翔鶴さんと比叡だけか。」

翔鶴「提督、こちらです・・・ね？」

瑞鶴「うーん。落ち着いてきたかも。」

瑞鶴「え？旅館って・・・ここ？」

提督「ん？榛名は？」

瑞鶴「立つの辛いって・・・。大丈夫かな。」

提督「帰りが心配になってきた。瑞鶴、あとで迎えに行くからついてて上げて。」

瑞鶴「はーい。」

提督「相変わらず今にも崩れそうな旅館だ。だがそれがいい。」

翔鶴「・・・第一艦隊御一行様？」

提督「これじゃただのネタだな。全員非常事態以外で艤装を出すなよ？」

・・・

提督「三部屋借りたから・・・比叡、これ鍵。」

比叡「はい！」

提督「榛名と金剛の三人な。」

提督「で、これが翔鶴さんと瑞鶴の部屋。」

提督「長門は私と相部屋。」

長門「・・・それはどうなのだ？提督。」

提督「むったんが色々教えてくれたからこの部屋割り。」

・・・

――かんぱーい！

翔鶴「今回の作戦での勝利を祝しまして！」

―左には瑞鶴、金剛、比叡。右には翔鶴、長門、榛名が座る。

提督「今回は色々無理をさせてしまったからな。よく食べ、よく飲むといい。」

提督「あと、ここの温泉は結構いいぞ。」

比叡「提督！このお肉！？」

提督「鹿かな。」

金剛「あの・・・提督・・・これは、なんでしょうカ？」

提督「蜂の子。」

翔鶴「提督、どうぞ？」

提督「んー。ありがと。」

提督「君らもほらほら。」

・・・

長門「酒だ！酒持ってこーい！」

翔鶴「瑞鶴、あのね？・・・」

瑞鶴「」zzZ

提督「こんなところまで紅茶セット持ち込みかよ。」

金剛「ヘーイ提督？こっちに来なヨー。」

比叡「お姉さま・・・飲み過ぎでは・・・？」

榛名「・・・。」

提督「ブランデー？持ち込みかよ。じゃあ秘蔵の芋を出そう。」

・・・

長門「はーるーこーおーろーおーの～」

提督「翔鶴さん、長門にこれを。」

翔鶴「はい。あら、おしゃれな瓶ですね。」

瑞鶴「てーとくさん？おさけちょうだい？」

提督「芋・・・あ？空じゃねーか。」

榛名「・・・。」

比叡「お姉さま？大丈夫ですか？」

金剛「うーん。きもち・・・わる・・・」

saga付け忘れてる？

・・・

長門「」

提督「まさか瓶をそのまま飲むとは思わなかった。」

翔鶴「・・・ウォッカ？」

瑞鶴「てーとくさん！おさけー」

提督「紅茶組用にワイン持ってきたからこれでも飲んでて。」

金剛「ト、トイレ・・・」

比叡「お姉さま！」

榛名「・・・。ふふっ」

瑞鶴「てーとくさん、これ甘くておいしい。」

提督「そうかそうか。」

ズルズル・・・

比叡「お姉さま！こっちです！」

・・・

提督「長門は布団に叩き込んできた。」

提督「あれ？金剛と比叡は？」

榛名「・・・。お二人ならお部屋に戻りましたよ。」

提督「榛名、結構呑んでるけど平気？」

榛名「ええ、榛名は大丈夫です。」

提督「(酔わないの？この娘。)」

ガクッ

翔鶴「ずいかく、だめじゃない。おさけがのこってるわよ？」

瑞鶴「」

―膝の上で瑞鶴が寝始める。

提督「あ、うん。運ぶね。」

投稿してから気がつく痛恨のミス

・・・

提督「(賑やかだな。)」

提督「どーした？」

榛名「提督は犬派ですか？猫派ですか？」

翔鶴「てーとく！」

提督「動物嫌い。」

榛名「・・・。その答えは・・・。」

翔鶴「きらい・・・？私・・・てーとくにきらわれっ」

提督「どこで話飛んだよ。」

榛名「そろそろお開きにしますか？」

―翔鶴が首に巻き付く。少し重い。

提督「この娘運ぶから先に始めといてー」

・・・

提督「これ・・・飲み過ぎだろ。」

榛名「そうでしょうか。姉妹4人での夜のお茶会ではこれくらいですよ？」

提督「ほとんど君だろ。」

榛名「いえ、霧島も結構飲みますよ？」

提督「まあいいや。2人の面倒見てやってね。」

榛名「提督はどちらへ？」

提督「夜風にあたりに。」

・・・

ｱﾘｬﾘｬｼﾀｰ

提督「真夏に肉まんってのもすごいな。」

提督「しかし・・・良く主力級6人の外出許可なんて出たもんだ。」

提督「まあこんな山中だし練度的にもトラブルはないか・・・。」

ガラッ

提督「はぁー。もっと強くならないと・・・な。」

提督「寝るか。お休み、翔鶴、瑞鶴。」

・・・

翔鶴「ひっ」

提督「ん、おはよ。」

翔鶴「あ、あの、提督？私、その裸で」

翔鶴「ず、瑞鶴も！？」

提督「暗い。」

翔鶴「ひっ！提督、そこは！」

瑞鶴「うーん。朝？・・・。あれ？翔鶴ねえ服は？」

翔鶴「瑞鶴！あなたも・・・！」

・・・

提督「君ら飲むと脱ぐのな。気をつけてね。」

瑞鶴「もうお嫁にいけない・・・。」

瑞鶴「てーとくさん、もらって？」

提督「側室だよ？」

翔鶴「・・・提督？」

長門「婚前から浮気宣言とは胸が熱いな。」

提督「熱いのは胸じゃなくて胃じゃないのか？」

長門「ふっ、長門型の装甲は伊達ではないよ。」

提督「まあいい。今日も泊まりだからゆっくり休んでな。」


第二話 真夏の夜の悪夢 完

＊＊＊＊＊＊
ご意見に対する返答や感想、これからの流れ等々を書きなぐります。

・saga付けないと(ry
→知識としてそんな機能があることは知っていましたが詳しいレギュレーションを
知らなかったので中々残念な結果に。
頑張ってシリアスっぽいところ書いてるのに投稿でミスると一気にギャグですね。はい。

読者の層とか想定するレベルじゃないので自分の周りの提督基準で書いていますが、
この辺りは轟沈の要件がイマイチ不透明な時期でした。また、制空権を取りに行く意味も
特にないバランスだったので空母は微妙な立ち位置でした。
現状も烈風と彩雲を運ぶ箱扱いですが。
それと続けていればですが作品内でちょうど一年ほど後に一航戦、二航戦が登場します。

今後の流れですが今回と同じく第一回秋イベントの後日談くらいまでで区切ります。
といっても4-4と南方海域、イベントくらいしか書くことがないの内容自体は薄めです。
初代秋イベを書いて薄くなる保証はありませんが。

それではもしよろしければ今後共ご指導ご鞭撻よろしくおねがいします。
＊＊＊＊＊＊