海未「なるほど。これが“朝ちゅん”ですか」 (41)


<チュン チュン


ことり「いや、ちがうと思うよ・・・」

海未「?」

ことり「えぇとね、朝ちゅんっていうのは、その、・・・ね?
    あいしあう二人が、らぶらぶして、そのまま二人で朝を、」

海未「それならなおさら合ってるじゃないですか。
   お泊まりの朝に、小鳥の鳴き声を聞くのでしょう?」

ことり「ことりたち、そんないやらしいことしてませんっ!!」

海未「あっ・・・“ことり”というのは鳥の小鳥のことであって、
   “鳴き声”というのも別にそのっ・・・あのっ」///

ことり「それは分かってるよおっ!!」///


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ことり「もうっ、海未ちゃんそんな言葉どこで聞いたの・・・」

海未「昨日、ここにお泊まりすると話してたら、『花陽が」

ことり「あの花陽ちゃんが?! 予想外すぎるよっ!」

海未「・・・朝ちゅんなんて、似合わないわね』という話になって絵里が、」

ことり「と思ったら結構予想通りだったかも・・・」

海未「『ねえ希、朝ちゅんって何なの?』と希に聞いてたんです」

ことり「絵里ちゃんごめんなさぁい!!」

海未「でもなぜか教えてくれなかったので、まあ、穂乃果に」

ことり「うそっ!? それ一番予想外だよ!ちょっとショックかもっ!」


海未「『二人で早起きして鳥の声を聞くの、マンガで見たもん』と」

ことり「穂乃果ちゃん・・・理解してるのかなぁ・・・」

海未「古文にもありましたね。百人一首でしたか、
   鳥の鳴き声が聞こえたら、別れの時間だから悲しい、と」

ことり「あー。一年の時に習ったよねっ」

海未「・・・そういえばことり、」

ことり「ううん、今日は夕方までは大丈夫だよ?」

海未「そうですか、安心しました」

ことり「もうっ、こんな時間に海未ちゃん帰したりしないよぉ」ぎゅー

海未「・・・ふふっ」ぎゅっ


ことり「・・・」

海未「・・・」

ことり「・・・このままだと、もう一眠りしちゃいそうだね」

海未「そうですね・・・そうしますか?」

ことり「うーん・・・せっかくだし、早起きして朝ごはんを・・・ああっ!」

海未「えっ?」

ことり「あのね、いまうち、牛乳切らしちゃってたの・・・」

海未「・・・それなら。今から、買いに行ってみませんか?」


ことり「海未ちゃん、まだ四時半だよ?」

海未「だからこそ、です。
   たまにはこんな時間にお出かけするのも、いいものですよ」

ことり「そっか・・・考えてもみなかった」

海未「私、明け方の感じが好きなんですよ。
   走り込みや道場の掃除などの合間に肌で感じる、
   透明で、まっさらな空気が」

ことり「そうなんだぁ・・・なんとなく、わかるかも」

海未「あっでも、今の時間ではコンビニしか開いてないですね」

ことり「大丈夫! ことりも海未ちゃんと行ってみたい!」

海未「では、早いうちに支度して出かけましょうか」ニコッ

ことり「うんっ!」


  ◆  ◆  ◆

ことり「・・・まだ、暗いね」

海未「そうですね。車の音も聞こえません」

ことり「しんみりしてきちゃう。冬の朝みたいだね」

海未「もう十一月ですし、最近はとみに冷えてきましたね」

ことり「十一月かあ・・・今年ももう終わっちゃうね」

海未「中間試験も終わりましたし、時の流れる速さを感じますね」

ことり「・・・穂乃果ちゃん、お勉強大変だったよね。こんな時間まで・・・」

海未「嫌な事件でしたね、あれは・・・」

ことり「あはは・・・」


ことり「人、いないねぇ」

海未「もう少し早いと新聞配達のバイクが通ったりもするんです」

ことり「そんなに早いんだ・・・あ、でもそうだったっけ。こないだの衣装の時」

海未「ああ、あれですか。そんなに夜更けまで掛かったんですか?」

ことり「次の日が休みだと、つい、ね」

海未「まったく、身体は大切にしてくださいよ?」

ことり「ごめんね。ありがと」

海未「・・・ふふっ」


ことり「?」

海未「いえ、なんだか・・・家族みたいだなあって」

ことり「もー、そこは夫婦って言ってよぉ」ツン

海未「そうですね。・・・あなたっ」

ことり「へ?!」//

海未「さ、行きましょう」クスクス

ことり「わわ、・・・もう、海未ちゃんのくせにっ」//


海未「さあ、着きましたよ・・・って、あれ?」


 《テナント募集中》

ことり「そこねぇ、こないだ閉店しちゃったよ?」

海未「そうですか、早いものですね・・・高校入学した時でしょう?」

ことり「そうだね、春のパン祭りだからって、穂乃果ちゃんに」

海未「ふふ、今年も私たちもポイント集めに駆り出されましたよね」

ことり「来年も、・・・って閉まっちゃったんだよね」


海未「角地で駐車場に入れづらいと閉店しやすいんでしょうか・・・
   って、どうしましょう?」

ことり「あ、そうだった。・・・じゃあ、海未ちゃん家のほうのセブンにしない?」

海未「ここからだと、ちょっと遠くないですか?」

ことり「おしゃべりしてればすぐだよ。
    それに・・・ちょっと、行ってみたくなったの」

海未「そうですか・・・では、向かいましょうか」

ことり「うんっ」


海未「・・・・」てくてく

ことり「・・・・」てくてく


海未「あの」
ことり「ねえ」


海未「あ、先にどうぞっ」//

ことり「海未ちゃんからどうぞっ」//

海未「やっ、その、別に大した話題ではないのでっ!」

ことり「ことりの方がどうでもいいよっ!!」


海未「・・・・ふふっ」

ことり「・・・えへへっ」


海未「それで、どうしたんですか?」

ことり「ええとね、・・・ふたりきりなんだなぁ、って」

海未「・・・そうですね」

ことり「・・・海未ちゃんが言ってたの、わかったかもっ」

海未「・・・」

ことり「わらわないでね。・・・世界を、ふたりじめしたみたいだなぁって」

海未「・・・ふふっ」

ことり「もうっ! わらわないでって、」

海未「すみません。・・・ちょうど、同じようなことを、思ったんです」

ことり「!・・・そっか、えへ」


海未「・・・」

ことり「・・・海未ちゃんの、番だよ?」

海未「・・・そこの中央分離帯、あるでしょう?」ひそひそ

ことり「うん。・・・って、どうしたの?」

海未「いえ。・・・眠っている街を起こしてしまいそうな、そんな気がして」

ことり「そっかぁ・・・それなら、ことりも静かにお話します」くすっ

海未「ふふっ・・・覚えてますか?
   いつかの初詣の帰り道に、だれもいないからって道路の真ん中で、」

ことり「・・・そうだっ」パッ たったったっ

海未「あ、・・・ちょっ、危ないです!」たったっ


海未「ことりーっ!」


ことり「ねえっ、海未ちゃあん!」くるんっ


海未「車がっ、」キョロキョロ

海未「・・・・来そうにないです、けど」


ことり「海未ちゃーんっ! ことりのこと、見えてるー?」ひらひら


海未「見えてますっ、ことりしか見えてません!」


ことり「えっ・・・///」

アー…イイ…


海未「だから、その・・・ああもうっ!」たったったっ

  ぎゅうっ

ことり「あ・・・っ!」

海未「・・・心配かけないでください、もうっ」

ことり「ごめんね、つい・・・・ううん、ありがと、うみちゃん」

海未「もう、・・・っ、ちょっと急ぎますよっ!」///

ことり「あ・・・うんっ」

たったったっ


  ◆  ◆  ◆

ピンポーン
ッシャーセー


ことり「・・・まぶしっ」

海未「外がほの暗かったからですからね」

ことり「そうだね、じゃあカゴを・・・あっ」


海未「・・・」
ことり「・・・」


海未「・・・手、はずしますか」
ことり「・・・そ、そうだねっ」


ことり「あ、ねえ海未ちゃんみて、このチョコパン新商品だって!」

海未「いいですね。穂乃果がよろこびそうです」

ことり「先に買ってふたりで試してみよっか?」

海未「そしたらまた、穂乃果にいろいろ言われてしまいますよ・・・」

ことり「もうっ、お泊まりもデートも穂乃果ちゃんにはいまさらだよっ」

海未「からかわれる身にもなってください!最近は絵里にまで・・・」

ことり「えへへっ、海未ちゃんは人気者さんだもんねぇ」

海未「うぅ・・・っそれより牛乳、牛乳以外に買うものはありますか?」


ことり「うーん、おやつはあるし、海未ちゃんはなにかある?」

海未「朝食は一緒に作りますから、なにか軽いものでも・・・」

ことり「そうだねっ、じゃああずき杏仁なんてどうかなっ?
    セブンのおいしいんだよっ」

海未「そうなんですか・・・では、試してみましょうか。あとは・・・」

ことり「ええと、そうだなぁ・・・」じーっ

海未「・・・烏龍茶ですか?」

ことり「あっいいの、重たくなっちゃうからっ」

海未「なに言ってるんですか、これぐらい平気ですよ?」

ことり「・・・じゃあ、一緒に持とうよ」

海未「・・・ありがとうございます」


アリアトーッシター


てくてくてく

ことり「意外と買っちゃったねぇ」

海未「そうですね・・・ことり。ホットレモン、どうぞ」

ことり「ありがとう・・・んくっ、・・・うん。あったまるね」

海未「ごくっ・・・そうですね。持ってるだけでもぽかぽかします」

ことり「そうだねぇ。少しすっぱくて、・・・ほんと、ぽかぽかする」

海未「・・・これから、もっと寒くなるんでしょうね」

ことり「そうだね。・・・そしたらまた、こうやって暖まるのかなぁ」

海未「それは・・・なんだか楽しみですね」

ことり「ふふっ」


海未「・・・車の通りが多くなってきました。首都高の方からでしょうか」

ことり「都道だもんね。セブンにも、配送のトラックが停まってたし」

海未「こんな時間にもお仕事している方がたくさんいるんですよね。
   本当に、頭が下がる思いです」

ことり「おかげでお買い物できたんだもんねっ」

海未「・・・空の色も、薄くなってきましたね」

ことり「もう、おはようの時間になるね」

海未「・・・」

ことり「・・・」


海未「・・・」

ことり「・・・どうしたの」

海未「・・・すみません。なんだか、ちょっと」

ことり「・・・・」ぎゅっ

海未「・・・・なんだか急に、さみしくなってしまったんです」

ことり「ことりはここにいるよ?」

海未「はい。でも・・・こうやって、人通りが増えてくると、」

ことり「・・・・ふたりきりじゃ、いられないんだよね」

海未「はい・・・二人だけの世界なんて、ほんとはありえないんですよね」

ことり「・・・・海未ちゃんは、さみしがりやさんだもんね」


海未「・・・・ごめんなさい」

ことり「・・・・でもね、」

海未「・・・・」

ことり「・・・・私は、海未ちゃんのこと、一番大事だって思ってるよ」

海未「・・・・」

ことり「・・・こころのなかでなら、いつだって、
    ふたりきりの世界、作れるんじゃないかな」

ことり「家族にだって、・・・きっと、なれるよ」

海未「・・・・っ」

ことり「ね?・・・・・そうだっ いいこと考えちゃいました」

海未「?」


ことり「今だけは、・・・ううん、今日だけは、」

ことり「そうだっ。海未ちゃん、おうちのカギ貸して」

海未「?・・・はい」

ことり「・・・ことり、海未ちゃん家に先に行って、」

ことり「ううん、・・・・先に帰って待ってるねっ」

 たったったっ

海未「あっ・・・・」


海未「・・・いけませんね。こんな話を、してしまって」


ガチャ

海未「ことり?」


ことり「・・・・おかえりなさい。あなた♪」

海未「・・・ぷふっ、なんですかそれ」

ことり「海未ちゃんのお嫁さん」

海未「そのために帰ったんですか・・・」

ことり「だって、決めたんだもん。海未ちゃんの家族になるって」


海未「あ・・・・」


ことり「・・・海未ちゃん、言ってたもんね。家族みたいだ、って」

海未「・・・・」

ことり「だから、・・・『ただいま』って言って。ことりのために」

海未「・・・・ありがとう、ございますっ・・・」

ことり「・・・ね?」


海未「・・・ただいま戻りました、ことり」 にこっ


ことり「うん、・・・おかえり、海未ちゃんっ!」


 ちゅっ


海未「ふあ・・・・や、やりすぎですっ!」

ことり「海未ちゃん、“朝ちゅー”だよっ!」

海未「なっ・・・!」///

ことり「ねえ海未ちゃん、お嫁さんっぽくない?って待ってえっ!」

海未「もうっ、知りません!、牛乳しまってきます!」


ことり「・・・あははっ、まだまだ先は遠いかなぁ」


おわり。

あまあぁぁい!
乙!

いいなあこういう関係

一レス訂正


>>24

ことり「今だけは、・・・ううん、今日だけは、」

ことり「そうだっ。海未ちゃん、ことりのおうちのカギ貸して」

海未「?・・・はい」

ことり「・・・ことり、家に先に行って、」

ことり「ううん、・・・・先に帰って待ってるねっ」

 たったったっ

海未「あっ・・・・」


海未「・・・いけませんね。こんな話を、してしまって」

ことうみ厨、ダイアリーで憤死

sidはめっちゃ良かったが、このssもめっちゃ良かったぞ

ことりかわいい

おつ
いいことうみだった

乙乙
良かった

最高乙

いいもの読ませてもらった。おつ。


また機会あればことうみ書いてほしい


素晴らしい

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