幼馴染「次回作にご期待下さい!」 男「無茶言うな」(50)

幼「何で?」

男「幼、お前とは長い付き合いだが…」

男「そう言えばはっきり言った事が無かったな」

幼「え?何?まさかいきなり告白?」

男「はっきり言うぞ」

幼「う、うん」

男「こう見えても、俺はゲイじゃないんだ」

男「だからこんな薄い本の次回作に期待しろと言われても、無理なんだ」

男「ホントごめんな」

幼「ちょっと!哀れみたっぷりの目で見ないでよ!」

男「他人の趣味に文句付ける訳じゃないけど」

男「そう言うの、買うのも、描くのもさ」

男「内緒にしておいた方が良いと思うぜ」

男「個人の趣味だから買ったり、描いたりしても良いけどさ」

男「俺に言うなよ、見せるなよ」

男「ぶっちゃけ、反応に困る」

幼「良い物は良い!と、大きな声で伝えたい!君に!」

男「だから…男同士の恋愛に興味が無いんで…」

男「こんな漫画を見せられても困るんだよ!」

幼「え?だって男、タイバニ好きでしょ?」

男「好きだが」

幼「じゃあ、バーナビーが虎徹とアントニオに…」

男「待て!」

幼「何?」

男「タイガーアンドバニーが好きって所はオーケーだが」

男「その後の言葉はいらない」

幼「何で?」

男「何で虎徹とバーナビーとアントニオなんだ?」

男「普通に虎徹とカリーナじゃ駄目なのか?」

幼「二次創作なのに、何でそんな普通のカップリングなの?」

男「カップリング?」

幼「本編では無い事を妄想して描くのが良いんじゃんか!」

男「ごめんな、興味を持ってやれなくて」

幼「だから哀れまないでよ!傷つくでしょ!」

幼「もういいよっ!」

幼「せっかく新刊出来たから、一番に見せに来たのにっ!」

男「だから、謝ってるだろ?」

幼「絶対、男が面白いって言ってくれるような漫画を描いて見せる!」

男「努力の方向を間違わないでくれな?」



幼「男がblに興味が無いって言うのは解るけどさ」

幼「少しくらい興味を持ってくれても…」

男の妹「いやあ、やっぱり一般人にはキツいよコレ」

幼「そう?」

妹「私は慣れてるけど…結構直接的な性表現が…」

幼「えへへ…妄想が止まらなくて…」

幼「即ちキャラへの愛だよ、愛!」

妹「それはもう充分伝わってくるんだけどね」

妹「例えば、タイバニで言ったら…」

妹「カリーナとホァンが絡む話しとか、どう思う?」

幼「…それ面白いの?」

幼「女同士の絡みなんて…」

妹「お兄ちゃんもそれと全く同じ感想だったんじゃない?」

幼「う…そっか…」

妹「幼お姉ちゃんさぁ」

妹「そろそろ、その『同人誌を通して愛を伝える作戦』止めにしたら?」

幼「でも、漫画は…男が私の事褒めてくれた、ただ一つの事だから…」

幼「やっぱり漫画で伝えたいよ」

妹「普通の恋愛漫画じゃ駄目なの?」

妹「例えば、自分達の事を題材にしてみるとか?」

幼「え?オリジナル?無理無理無理!」

幼「キャラ設定考えるだけでもう無理」

幼「既存のキャラだからこそ…」

幼「あ、ここでこのキャラならこう言うなーとか妄想出来る訳で…」

妹「その妄想で、お兄ちゃんと付き合うまでの話しを描けば?」

幼「そんな話し、即売会で売れないんじゃないかなぁ」

妹「オフセットじゃなくて、コピー本でいいじゃん」

妹「お兄ちゃんの為に、1冊だけ作れば」

幼「なんかそれって、ラブレターみたいじゃない?」

妹「文字の羅列か、絵が付いてるかの違いがあるけど」

妹「まぁ、そうだね。ラブレターだね」

幼「…」

妹「幼お姉ちゃん、絵は上手いんだから」

妹「ちょっと描いてみれば?」

幼「解った…頑張ってみるよ」

幼「相談に乗ってくれてありがとね!」

幼「じゃ、さっそく帰って描いて見る!」
ガラッ
ヒョイッ



妹「はぁ…年上なのに」

妹「世話の焼ける2人だこと…」



幼「…さて、実はキャラデザは前に描いた事あるんだよねー」

幼「…」

幼「ちょっと設定も含めて、手直ししよう」

幼「これ、私、ちょっと可愛すぎるな」

幼「もうちょっと地味な感じにしよう」

幼「…地味と言えば黒縁眼鏡かな?」

幼「髪型ももう少し抑えて…」

幼「こんな感じかな?」

幼「良い感じに地味になったなー」

幼「男は逆にもうちょっと格好良くしようかな」

幼「髪は金髪にしようか」

幼「…金髪は校則違反だから」

幼「ハーフって設定にしよう」

幼「それじゃ、瞳の色も黒じゃない方がいいかな」

幼「あ!オッドアイにしたら格好良いな!」

幼「ハーフなら、もっと身長高くないとおかしいよね」

幼「足は長くなっちゃうよね」

幼「こんな感じかな?」

幼「うん、中々良くなった」

幼「次は設定…」

幼「私は男の幼馴染だもんね」

幼「ここははっきり描いた方が良いよね」

幼「王道の幼馴染物と一緒の設定で」

幼「お互いの部屋が隣り合ってて」

幼「ひょいっと行き来出来るって事に…」

幼「まぁ実際は私の部屋の隣りは妹ちゃんの部屋だけども」

幼「そこは漫画だもんね」

幼「…でも、この地味な外見で」

幼「積極的に男の部屋に行ったりするかな?」

幼「やっぱり自由に行き来してるって設定は無くそう」

幼「私は男の事をそっと慕っている存在って事にして…」

幼「男はその外見と性格の良さから、学校中の人気者って事にしよう」

幼「…そんな地味な私と格好良い男に」

幼「お隣さんって事以外、どんな接点が?」

幼「あ、放課後花壇の花に水をやったり」

幼「先生の手伝いをしたり」

幼「捨て猫をこっそり面倒見たりって言う行動を」

幼「男はちゃんと見てて、私の事が好きって事にしよう!」

幼「それで…やっぱりライバルとか必要だよね」

幼「モデルは…友君で良いかな」

幼「友君か…外見はどうしようかな」

幼「実物はパッとしないもんね」

幼「うん、男とは真逆のタイプにしよう」

幼「黒髪短髪で、ワイルド系が良いかな」

幼「で、幼馴染の事を一途に想う男とは逆に…」

幼「学校中の可愛い娘は片っ端から…ってキャラにしよう」

幼「そんで、ある日、眼鏡を取った幼馴染が」

幼「実は可愛いって事に気付いて」

幼「超積極的にアプローチを開始する…と」

幼「おぉぉぉぉ、何か滾って来たーーー!」

幼「初めてオリジナルを描けるかもしんない!」




真也『あぁ、恭二、俺達にはもう…』

恭二『そうだな、俺達の間には永遠の愛がある』

真也『もう、離さねーぜ』

恭二『それはこっちの台詞だ…真也』


おわり



男「…えーと、はい、ちゃんと最後まで読ませて頂きました」

幼「で?どうだった?次回作に期待出来た?」

男「だから、無茶言うなよ」

幼「えー?何でー?」

男「先週も言っただろ?」

男「俺はゲイじゃないんだよ」

男「こんな漫画読まされても、反応に困るんだよ」

幼「これね、私たちがモデルなんだよ?」

男「えっと…どの辺が?」

幼「この主人公の『真也』が男なの」

男「俺、ハーフじゃないし、金髪でもないけど…」

男「それに身長173センチだけど?」

幼「そこはほら、漫画だからさー」

男「じゃあ、この最初の方だけ出て来る『真希』が幼?」

幼「そう!私はちょっと地味目にして見たんだー」

男「途中から全然出なくなっちゃうけど」

幼「代わりに友君がモデルの『恭二』が…」

男「だから!何でそっちメインにしちゃった?」

男「最初はこの『真希』をめぐってのライバルっぽかったのに」

男「途中から、お互いの事が気になって…」

男「最後やっぱり男同士で愛し合うって…」

男「俺、これを読んで、どう返せば良いの?」

男「ひょっとして、俺と友の奴が付き合えば良いと思ってる?」

幼「ち、違うよ」

男「あのなぁ、幼」

男「折角描いた同人誌を読ませたいのは解るけどさぁ」

男「俺が何か変なものに目覚めたらどうすんだよ」

幼「えっと…そうじゃなくて…」

幼「描きたかったのは、男モデルのキャラと」

幼「私モデルのキャラの恋愛だったんだよ」

男「俺も最初はそう思ったよ」

男「でも途中から違うじゃん!」

男「完全にいつものblじゃんか!」

幼「描いてるうちに何か、滾ってきちゃって…」

男「腐女子だな、幼」

男「ウチの妹も大概酷いけど」

男「幼も結構重度だな」

幼「あぅ…これは違うんだよー」

男「だから、幼の趣味に文句は付けないからさー」

男「俺に感想を求めないで欲しいぜ」

幼「…もう一度チャンスを!」

幼「描き直してくるから!」
タタタッ

男「あ…」

男「つまり最初の部分の延長って事は…」

男「幼と俺が付き合うって話しになるんだよなぁ」


男「…今度はちゃんと感想言いたいなぁ」



妹「これはお兄ちゃんに同意せざるを得ないよ、幼お姉ちゃん」

幼「違うんだよ…途中でアイディアが溢れちゃって…」

妹「その気持ちはこの本を見れば解るよ」

妹「でも、やっぱりこれは違うよ」

妹「ちゃんとさ、お兄ちゃんに似せて描いて」

妹「話しも脚色するんじゃなくて、ありのままを描けば良いと思うよ」

妹「幼お姉ちゃん、こんな地味じゃないし」

妹「花壇に水やりとか、絶対しないでしょ?」

幼「…うん」

妹「そんな少女漫画みたいな話しじゃなくてさ」

妹「お兄ちゃんに伝えたい事を描けば良いんじゃないかな」

妹「ヤマとかオチとか無くても良いじゃん」

幼「そこは同人作家としての意地が…」

妹「その意地は今は封印で!」

妹「いい加減、只の幼馴染から…」

妹「一歩進んだ関係になりたいって言ったの、幼お姉ちゃんでしょ?」

妹「気持ちを伝える為の手段としての漫画なんだからさぁ」

妹「bl要素は封印して」

妹「普通に描いてみれば良いと思うよ」

幼「…」

妹「だから、この『恭二』ってキャラ要らない」

幼「う…全カット?」

妹「うん、この『真也』と『真希』の二人だけで良いよ」

幼「そっか…」

妹「ラブレター代わりなんだからね?」

妹「最後は二人が良い感じになって終わり」

妹「性的なアレは無しで!」

妹「そんな話しで良いと思う」

妹「それでお兄ちゃんに感想聞けば良いと思うよ」

幼「解った!」

幼「全部描き直してくる!」

妹「頑張って、幼お姉ちゃん!」

幼「それでは!」
ガラッ
ヒョイッ


妹「…もう直接告白すれば良いのになぁ」

妹「お兄ちゃんだって絶対、幼お姉ちゃんの事好きだもんね」

妹「気付いてないのは幼お姉ちゃんだけで」



真也『真希』

真希『何?』

真也『ほ、星が綺麗だな…』

真希『そうだね…』

真希『あ、流れ星…』

真也『…ぁ』



おわり



幼「次回作にご期待下さい!」

男「お、おう」

幼「何その微妙な返事」

男「幼、漫画描くの上手くなったよな」

幼「そう?照れちゃうなぁ、えへへ」

男「そんじゃ、感想言うぞ」

幼「は、はい、聞かせて下さい」

男「これ、キャラのモデルは俺と幼だよな?」

男「一昨日持って来た奴と違って」

男「この『真也』って、俺に似てるし」

男「こっちの『真希』は幼に似てるな」

男「幼馴染で、お互い意識し合ってるんだけど、素直になれない」

男「最後、流れ星を見ながら、男が何か言いかけて、終わり」

幼「読んだ人が想像出来る様にしてみました」

男「それで、この話しの続きはいつ描くんだ?」

幼「え?それは…その…」

男「んじゃ、この話しの続きを俺が教えてあげよう」

幼「え?」

男「これはな、きっと男の方から告白するんだ」

男「あなたの事が好きです、俺と付き合って下さい」

幼「ま、漫画の話しだよね?」

男「それに対して、彼女はこう答えるんだ」

男「私も大好き!って」

幼「ねぇ、それ漫画の話しだよね?」

男「どう思う?」

幼「い、良いんじゃないかなと…思います」

男「それじゃあ、ここから現実の話しな」

男「幼、昔からずっとお前の事が好きだった」

男「俺と付き合って欲しい」
ペコッ

幼「あ、あの…私」

男「どうかな?」

幼「ほ、本当に私で良いの?」

幼「私、腐女子だよ?腐ってるよ?」

男「あぁ、良く知ってるよ」

幼「それでも…いいの?」

男「幼が良い、て言うか、幼以外考えられない」

男「俺の彼女になって下さい」

幼「う、うん…あぁ…まるで夢の様だよ…」

男「夢じゃねえよ?」

幼「じゃあ、ぎゅってしても良い?」

男「おう」
ぎゅっ

幼「…暖かいね」

男「そうだな」

幼「これからもずっとずっとよろしくね?」

男「こちらこそ」



幼「次回作にもご期待下さい!」

男「無茶言うな」

幼「えー?何でー?」

男「これ、モデルはウチの妹だろ?」

幼「そう、結構似てるでしょ?」

男「俺の幼馴染と妹がイチャイチャしてる漫画の」

男「次回作に期待なんて出来るか!」

幼「えー?男の人って、こんなゆりゆりしたのが好きなんでしょ?」

男「大嫌いだ!…とは言えないが…」

男「これはモデルが悪い」

幼「えー」

男「俺の彼女が、実の妹に寝取られた感じがして、気分悪い」

幼「男ってば…」

男「何だよ…」

幼「漫画と現実をごっちゃにしない方がいいよ?」



男「その台詞、幼にだけは言われたくなかった!」



ほんとにおわり

これで終わりです
誰か読んでくれたら嬉しいです

次スレは
デレた幼馴染「男、大好きよ」 男「うん」
ってタイトルで立てると思います
では。

乙、面白かったけどもう一捻り欲しかったかな

でもまぁ短いからいいのかもね



おつ

さらっといい感じだ

短編としてはok

おつです
ワロタ

オタクの幼は見たことあったかな?
楽しいです

読んでくれた人、ホントにありがとうございます

>>44
この話し、実は続くんですよ
良ければ次も読んで貰えたら嬉しいです

>>49
以前書いたやつはオタク成分少な目だったので、
今回は腐女子成分高めてみました

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