幼「何で?」
男「幼、お前とは長い付き合いだが…」
男「そう言えばはっきり言った事が無かったな」
幼「え?何?まさかいきなり告白?」
男「はっきり言うぞ」
幼「う、うん」
男「こう見えても、俺はゲイじゃないんだ」
男「だからこんな薄い本の次回作に期待しろと言われても、無理なんだ」
男「ホントごめんな」
幼「ちょっと!哀れみたっぷりの目で見ないでよ!」
男「他人の趣味に文句付ける訳じゃないけど」
男「そう言うの、買うのも、描くのもさ」
男「内緒にしておいた方が良いと思うぜ」
男「個人の趣味だから買ったり、描いたりしても良いけどさ」
男「俺に言うなよ、見せるなよ」
男「ぶっちゃけ、反応に困る」
幼「良い物は良い!と、大きな声で伝えたい!君に!」
男「だから…男同士の恋愛に興味が無いんで…」
男「こんな漫画を見せられても困るんだよ!」
幼「え?だって男、タイバニ好きでしょ?」
男「好きだが」
幼「じゃあ、バーナビーが虎徹とアントニオに…」
男「待て!」
幼「何?」
男「タイガーアンドバニーが好きって所はオーケーだが」
男「その後の言葉はいらない」
幼「何で?」
男「何で虎徹とバーナビーとアントニオなんだ?」
男「普通に虎徹とカリーナじゃ駄目なのか?」
幼「二次創作なのに、何でそんな普通のカップリングなの?」
男「カップリング?」
幼「本編では無い事を妄想して描くのが良いんじゃんか!」
男「ごめんな、興味を持ってやれなくて」
幼「だから哀れまないでよ!傷つくでしょ!」
幼「もういいよっ!」
幼「せっかく新刊出来たから、一番に見せに来たのにっ!」
男「だから、謝ってるだろ?」
幼「絶対、男が面白いって言ってくれるような漫画を描いて見せる!」
男「努力の方向を間違わないでくれな?」
・
・
幼「男がblに興味が無いって言うのは解るけどさ」
幼「少しくらい興味を持ってくれても…」
男の妹「いやあ、やっぱり一般人にはキツいよコレ」
幼「そう?」
妹「私は慣れてるけど…結構直接的な性表現が…」
幼「えへへ…妄想が止まらなくて…」
幼「即ちキャラへの愛だよ、愛!」
妹「それはもう充分伝わってくるんだけどね」
妹「例えば、タイバニで言ったら…」
妹「カリーナとホァンが絡む話しとか、どう思う?」
幼「…それ面白いの?」
幼「女同士の絡みなんて…」
妹「お兄ちゃんもそれと全く同じ感想だったんじゃない?」
幼「う…そっか…」
妹「幼お姉ちゃんさぁ」
妹「そろそろ、その『同人誌を通して愛を伝える作戦』止めにしたら?」
幼「でも、漫画は…男が私の事褒めてくれた、ただ一つの事だから…」
幼「やっぱり漫画で伝えたいよ」
妹「普通の恋愛漫画じゃ駄目なの?」
妹「例えば、自分達の事を題材にしてみるとか?」
幼「え?オリジナル?無理無理無理!」
幼「キャラ設定考えるだけでもう無理」
幼「既存のキャラだからこそ…」
幼「あ、ここでこのキャラならこう言うなーとか妄想出来る訳で…」
妹「その妄想で、お兄ちゃんと付き合うまでの話しを描けば?」
幼「そんな話し、即売会で売れないんじゃないかなぁ」
妹「オフセットじゃなくて、コピー本でいいじゃん」
妹「お兄ちゃんの為に、1冊だけ作れば」
幼「なんかそれって、ラブレターみたいじゃない?」
妹「文字の羅列か、絵が付いてるかの違いがあるけど」
妹「まぁ、そうだね。ラブレターだね」
幼「…」
妹「幼お姉ちゃん、絵は上手いんだから」
妹「ちょっと描いてみれば?」
幼「解った…頑張ってみるよ」
幼「相談に乗ってくれてありがとね!」
幼「じゃ、さっそく帰って描いて見る!」
ガラッ
ヒョイッ
妹「はぁ…年上なのに」
妹「世話の焼ける2人だこと…」
・
・
幼「…さて、実はキャラデザは前に描いた事あるんだよねー」
幼「…」
幼「ちょっと設定も含めて、手直ししよう」
幼「これ、私、ちょっと可愛すぎるな」
幼「もうちょっと地味な感じにしよう」
幼「…地味と言えば黒縁眼鏡かな?」
幼「髪型ももう少し抑えて…」
幼「こんな感じかな?」
幼「良い感じに地味になったなー」
幼「男は逆にもうちょっと格好良くしようかな」
幼「髪は金髪にしようか」
幼「…金髪は校則違反だから」
幼「ハーフって設定にしよう」
幼「それじゃ、瞳の色も黒じゃない方がいいかな」
幼「あ!オッドアイにしたら格好良いな!」
幼「ハーフなら、もっと身長高くないとおかしいよね」
幼「足は長くなっちゃうよね」
幼「こんな感じかな?」
幼「うん、中々良くなった」
幼「次は設定…」
幼「私は男の幼馴染だもんね」
幼「ここははっきり描いた方が良いよね」
幼「王道の幼馴染物と一緒の設定で」
幼「お互いの部屋が隣り合ってて」
幼「ひょいっと行き来出来るって事に…」
幼「まぁ実際は私の部屋の隣りは妹ちゃんの部屋だけども」
幼「そこは漫画だもんね」
幼「…でも、この地味な外見で」
幼「積極的に男の部屋に行ったりするかな?」
幼「やっぱり自由に行き来してるって設定は無くそう」
幼「私は男の事をそっと慕っている存在って事にして…」
幼「男はその外見と性格の良さから、学校中の人気者って事にしよう」
幼「…そんな地味な私と格好良い男に」
幼「お隣さんって事以外、どんな接点が?」
幼「あ、放課後花壇の花に水をやったり」
幼「先生の手伝いをしたり」
幼「捨て猫をこっそり面倒見たりって言う行動を」
幼「男はちゃんと見てて、私の事が好きって事にしよう!」
幼「それで…やっぱりライバルとか必要だよね」
幼「モデルは…友君で良いかな」
幼「友君か…外見はどうしようかな」
幼「実物はパッとしないもんね」
幼「うん、男とは真逆のタイプにしよう」
幼「黒髪短髪で、ワイルド系が良いかな」
幼「で、幼馴染の事を一途に想う男とは逆に…」
幼「学校中の可愛い娘は片っ端から…ってキャラにしよう」
幼「そんで、ある日、眼鏡を取った幼馴染が」
幼「実は可愛いって事に気付いて」
幼「超積極的にアプローチを開始する…と」
幼「おぉぉぉぉ、何か滾って来たーーー!」
幼「初めてオリジナルを描けるかもしんない!」
・
・
・
真也『あぁ、恭二、俺達にはもう…』
恭二『そうだな、俺達の間には永遠の愛がある』
真也『もう、離さねーぜ』
恭二『それはこっちの台詞だ…真也』
おわり
・
・
男「…えーと、はい、ちゃんと最後まで読ませて頂きました」
幼「で?どうだった?次回作に期待出来た?」
男「だから、無茶言うなよ」
幼「えー?何でー?」
男「先週も言っただろ?」
男「俺はゲイじゃないんだよ」
男「こんな漫画読まされても、反応に困るんだよ」
幼「これね、私たちがモデルなんだよ?」
男「えっと…どの辺が?」
幼「この主人公の『真也』が男なの」
男「俺、ハーフじゃないし、金髪でもないけど…」
男「それに身長173センチだけど?」
幼「そこはほら、漫画だからさー」
男「じゃあ、この最初の方だけ出て来る『真希』が幼?」
幼「そう!私はちょっと地味目にして見たんだー」
男「途中から全然出なくなっちゃうけど」
幼「代わりに友君がモデルの『恭二』が…」
男「だから!何でそっちメインにしちゃった?」
男「最初はこの『真希』をめぐってのライバルっぽかったのに」
男「途中から、お互いの事が気になって…」
男「最後やっぱり男同士で愛し合うって…」
男「俺、これを読んで、どう返せば良いの?」
男「ひょっとして、俺と友の奴が付き合えば良いと思ってる?」
幼「ち、違うよ」
男「あのなぁ、幼」
男「折角描いた同人誌を読ませたいのは解るけどさぁ」
男「俺が何か変なものに目覚めたらどうすんだよ」
幼「えっと…そうじゃなくて…」
幼「描きたかったのは、男モデルのキャラと」
幼「私モデルのキャラの恋愛だったんだよ」
男「俺も最初はそう思ったよ」
男「でも途中から違うじゃん!」
男「完全にいつものblじゃんか!」
幼「描いてるうちに何か、滾ってきちゃって…」
男「腐女子だな、幼」
男「ウチの妹も大概酷いけど」
男「幼も結構重度だな」
幼「あぅ…これは違うんだよー」
男「だから、幼の趣味に文句は付けないからさー」
男「俺に感想を求めないで欲しいぜ」
幼「…もう一度チャンスを!」
幼「描き直してくるから!」
タタタッ
男「あ…」
男「つまり最初の部分の延長って事は…」
男「幼と俺が付き合うって話しになるんだよなぁ」
男「…今度はちゃんと感想言いたいなぁ」
・
・
妹「これはお兄ちゃんに同意せざるを得ないよ、幼お姉ちゃん」
幼「違うんだよ…途中でアイディアが溢れちゃって…」
妹「その気持ちはこの本を見れば解るよ」
妹「でも、やっぱりこれは違うよ」
妹「ちゃんとさ、お兄ちゃんに似せて描いて」
妹「話しも脚色するんじゃなくて、ありのままを描けば良いと思うよ」
妹「幼お姉ちゃん、こんな地味じゃないし」
妹「花壇に水やりとか、絶対しないでしょ?」
幼「…うん」
妹「そんな少女漫画みたいな話しじゃなくてさ」
妹「お兄ちゃんに伝えたい事を描けば良いんじゃないかな」
妹「ヤマとかオチとか無くても良いじゃん」
幼「そこは同人作家としての意地が…」
妹「その意地は今は封印で!」
妹「いい加減、只の幼馴染から…」
妹「一歩進んだ関係になりたいって言ったの、幼お姉ちゃんでしょ?」
妹「気持ちを伝える為の手段としての漫画なんだからさぁ」
妹「bl要素は封印して」
妹「普通に描いてみれば良いと思うよ」
幼「…」
妹「だから、この『恭二』ってキャラ要らない」
幼「う…全カット?」
妹「うん、この『真也』と『真希』の二人だけで良いよ」
幼「そっか…」
妹「ラブレター代わりなんだからね?」
妹「最後は二人が良い感じになって終わり」
妹「性的なアレは無しで!」
妹「そんな話しで良いと思う」
妹「それでお兄ちゃんに感想聞けば良いと思うよ」
幼「解った!」
幼「全部描き直してくる!」
妹「頑張って、幼お姉ちゃん!」
幼「それでは!」
ガラッ
ヒョイッ
妹「…もう直接告白すれば良いのになぁ」
妹「お兄ちゃんだって絶対、幼お姉ちゃんの事好きだもんね」
妹「気付いてないのは幼お姉ちゃんだけで」
・
・
真也『真希』
真希『何?』
真也『ほ、星が綺麗だな…』
真希『そうだね…』
真希『あ、流れ星…』
真也『…ぁ』
おわり
・
・
幼「次回作にご期待下さい!」
男「お、おう」
幼「何その微妙な返事」
男「幼、漫画描くの上手くなったよな」
幼「そう?照れちゃうなぁ、えへへ」
男「そんじゃ、感想言うぞ」
幼「は、はい、聞かせて下さい」
男「これ、キャラのモデルは俺と幼だよな?」
男「一昨日持って来た奴と違って」
男「この『真也』って、俺に似てるし」
男「こっちの『真希』は幼に似てるな」
男「幼馴染で、お互い意識し合ってるんだけど、素直になれない」
男「最後、流れ星を見ながら、男が何か言いかけて、終わり」
幼「読んだ人が想像出来る様にしてみました」
男「それで、この話しの続きはいつ描くんだ?」
幼「え?それは…その…」
男「んじゃ、この話しの続きを俺が教えてあげよう」
幼「え?」
男「これはな、きっと男の方から告白するんだ」
男「あなたの事が好きです、俺と付き合って下さい」
幼「ま、漫画の話しだよね?」
男「それに対して、彼女はこう答えるんだ」
男「私も大好き!って」
幼「ねぇ、それ漫画の話しだよね?」
男「どう思う?」
幼「い、良いんじゃないかなと…思います」
男「それじゃあ、ここから現実の話しな」
男「幼、昔からずっとお前の事が好きだった」
男「俺と付き合って欲しい」
ペコッ
幼「あ、あの…私」
男「どうかな?」
幼「ほ、本当に私で良いの?」
幼「私、腐女子だよ?腐ってるよ?」
男「あぁ、良く知ってるよ」
幼「それでも…いいの?」
男「幼が良い、て言うか、幼以外考えられない」
男「俺の彼女になって下さい」
幼「う、うん…あぁ…まるで夢の様だよ…」
男「夢じゃねえよ?」
幼「じゃあ、ぎゅってしても良い?」
男「おう」
ぎゅっ
幼「…暖かいね」
男「そうだな」
幼「これからもずっとずっとよろしくね?」
男「こちらこそ」
・
・
幼「次回作にもご期待下さい!」
男「無茶言うな」
幼「えー?何でー?」
男「これ、モデルはウチの妹だろ?」
幼「そう、結構似てるでしょ?」
男「俺の幼馴染と妹がイチャイチャしてる漫画の」
男「次回作に期待なんて出来るか!」
幼「えー?男の人って、こんなゆりゆりしたのが好きなんでしょ?」
男「大嫌いだ!…とは言えないが…」
男「これはモデルが悪い」
幼「えー」
男「俺の彼女が、実の妹に寝取られた感じがして、気分悪い」
幼「男ってば…」
男「何だよ…」
幼「漫画と現実をごっちゃにしない方がいいよ?」
男「その台詞、幼にだけは言われたくなかった!」
ほんとにおわり
これで終わりです
誰か読んでくれたら嬉しいです
次スレは
デレた幼馴染「男、大好きよ」 男「うん」
ってタイトルで立てると思います
では。
乙、面白かったけどもう一捻り欲しかったかな
でもまぁ短いからいいのかもね
乙
おつ
さらっといい感じだ
短編としてはok
おつです
ワロタ
オタクの幼は見たことあったかな?
楽しいです
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