俺「クロエってレズなの?」クロエ・ルメール「ナニ言ってるデスかタケシ」 (46)

In 登下校の道
~朝の登校~

スタスタ…
俺「ふわぁ」
俺「眠いぜ…」

クロエ「あ!タケシー!」

タッタッタッ

俺「む?」
クロエ「ターケシっ」

ぴょーん
トスッ

俺「………」

ぽにょん、ぽにょん←背中に胸があたる音
俺「がはァっ…」

クロエ「おはよーデス、タケシ~」

俺「………」

ぽにょん、ぽにょん←背中にあたる音
俺「ぶしゃァッ!(吐血)」

クロエ「?タケシ?どしたマシタ?」

俺「………」

クロエ「タケシー?おーい」

俺「とりあえず…背中から降りよっか…」

ぽにょん、ぽにょん←背中にあたる音

クロエ「オー?了解デース」

ぴょーん
スタッ

クロエ「タケシ、おはよーデス」

俺「うん。おはよう」

クロエ(ニコニコ)

俺「………」
俺(常々、疑問に思っていたことがある)

クロエ「ささっ、学校いきマショ」
俺「おう」

クロエ「~~~♪」
俺「………」

俺(こいつもしかして…)
俺(俺を男として認識していなんじゃないか…?)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413724636

男(普通、男相手に気安く抱きつくものだろうか)

俺(男というより、ぬいぐるみ扱い)
俺(あるいは抱き枕、ふなっしー、ペットの犬…etc…)

俺「………」

俺(最近の俺たちは、どうにも距離感が気軽すぎる気がするなぁ…)

俺(なんつーか…緊張感が足りない)

クロエ「タケシ」

俺「…ん。どうした」

クロエ「タケシ飲んでるそのジュース、クロエ初めて見マシタ。

それなんてジュースデスカ?」

俺「………」
俺「おっ!?
今そこツッコむ?ツッコミいれちゃう??」

クロエ「あ。めんどくさそうなのデ、やっぱりイイデス」

俺「よしわかった説明しよう」

俺「この乳酸菌飲料の名前はセノビー。
2000年代初期、「セノビ~♪」という耳に残るキャッチコピーで人気を博し、
一時期はアクエリアスと並ぶほどの売り上げを誇った飲料水だ。
しかし、2014年となった今では、どのコンビニにも見当たらず、
小さなスーパーにたまーに売ってるくらいの超レアな飲み物なのである」


クロエ「な、なんか始まりマシタデス」

俺「ちなみに、俺の手持ちもこれが最後の一本」

クロエ「へぇ。なんだかおいしそーなジュースデスネ」

俺「なんだなんだ?
もしかして飲みたいのか?」

クロエ「飲みタイ!」

俺(ふむ…)

俺「…よしわかった。
"俺の飲みかけ"でよければ、どうぞ飲んでくれ」

俺(そう、これは言わば試金石。
俺を男として見てるか否か試すためのリトマス紙…。

もしこれでクロエが少しでも恥ずかしがる素振りを見せれば…)

クロエ「ヨイのデスカ?ありがとデース!」

俺(見せれば……)

グビグビ!グビグビ!

俺「………」
俺「良い飲みっぷりだ」

俺「………」
俺(ノータイム!躊躇いゼロ!)

クロエ「!?これオイシー!」

俺(俺って男として意識されてないんだなぁ…)しみじみ

ゴクゴク
プハァ!

クロエ「セノビーめっちゃ美味しいデス!」

俺(まぁ…いいか。喜んでるみたいだし…)

俺「そうか…。良かったな」

クロエ「ハイデス。
タケシ、オイシイもの教えてくれてありがとデース!」

俺「うむ。じゃ、返してくれ」

クロエ「え?何をデス?」

俺「?何ってその手にもってるセノビーを」

クロエ「ん!?」

またお前か(歓喜)

クロエ「え」
クロエ「……え?」

俺「『え?』じゃないよ。
セノ・ビー返してくれよ。俺も飲みたいし」

クロエ「タ、タケシも…これ飲むデスカ?」

俺「当たり前でしょう。
それ見つけるのにどんだけ苦労したと思ってる」

クロエ「こ、このペットボトル?」

俺「そりゃ、その一本しかないしねぇ…」

クロエ「で、でもこれ…クロエ、くちを…唇を…」ボソボソ

俺「ん?なんて?」

クロエ「…うっ……うぅ…ウウッ!///」

ガバッ!

俺「は?ちょっ」

グビグビ!

俺「な、何いきなり一気飲みしてんの!?」

グビグビ!
グビグビ!

プハァ!

クロエ「ウ、ウマイ!もうイッポン!」

俺「俺のセノ・ビイイイイイイ!!」

クロエ「す、すみマセン。その、つい…」

俺「ついじゃないよついじゃあアアアアアア!!」

In 教室
俺「はぁ…」
俺「空が青いなぁ…」

トントン←後ろから人差し指で肩をトントンする音

俺「ん?」

クロエ「タケシ…」

俺「おや…貴女はもしかして、クロエ・ルメールさんですか?」

クロエ「ハ、ハイ」

俺「アァ…一瞬誰だかわかりませんでした」
俺「いつもより背が伸びていたので、気づきませんでしたよ」

クロエ「………」

俺「背が伸びたのはもしかして…セノビーを一気飲みしたおかげかな?」

俺「セノビーを飲んで背伸びー(セノビー)た。
つってね。ハハッ」

クロエ「………えと、あの…」

クロエ「ごめんなサイ。
タケシ、そんなにセノビー好きとは思わなくて…」

ショボン…

クロエ「ごめんなさいデース…」

俺「………」
俺「ちょっといじわる言い過ぎた。ごめん」

クロエ「あの…これ、代わりにナルかわかりませんガ…」

トン←机にペットボトルが置かれる音

俺(乳酸菌飲料のぐんぐんグルト、か)

俺(見た目は似てる。
でも…これじゃ…これじゃダメなんだよ、クロエ)

クロエ「代わりに…なりマセンカ…?」

俺(貰ったからには礼儀としてもちろん飲む)

俺(でもな、クロエ…
セノビーの代わりなんてもの、この世には…存在しないんだ…)

グビッ

俺「………」
俺「ぐんぐんグルトうめぇええええ!」

グビグビ!
俺「うめえええええ!!ぐんぐんしてきたああああ!!!」

クロエ「タケシ、まだ怒テル…?」

俺「いや!全然!」

クロエ「ほんとデスカ…?」

俺「自分の単純さにビックリするくらいに、
セノビーのことなんてどうでもよくなっちゃったぜ」

クロエ「ホントごめんナサイ!
全部飲むつもり、ホントに無くて、その、アノ、エト……」

俺「いい、いい。もういいんだ。もう謝らなくていい。
ジュースの一本、二本、どうとでもなるさ」

クロエ「タケシ…」

俺「俺こそさっきはごめんな。大人気なかったよ」

クロエ「…ありがとデス。タケシ」

俺「うむ」

クロエ「デモ…」

俺「?」

クロエ「こんな数時間で背は伸びないと思いマス…」

俺「そりゃそうだ」

扉【ガラガラ】
クラスメイト「クロエおはよ~」

クロエ「あ。おはよーデス」

クラスの女子「隣の君はー…えーっと

デントくん…いや、シトロンくんだったかな?
シトロンくんもおはよー」

俺「異次元な間違い方をするんじゃないよ。俺の名前はタk」

クラスの女子「(無視)あ!そうそう!聞いてよクロエ!」

俺「………」

クロエ「へ?あ、ハイ!
えっと、それじゃあタケシ」

俺「おう。いってらっしゃい」

クロエ「~~~。」
クラス女子「!!~~~。」

俺(友達と話すクロエはなんか新鮮だな)
俺(いつもより気持ち大人しい気がする)

俺「………」じーっ

隣の男子A「なぁ、タケシ」

俺「うおっ!?び、びっくりした…いたのか」

隣の男子A「いたよ。……ずーっとね。
君達がじゃれあってる時もずっと隣にいた」

俺「あぁ…そうか。それはなんかすまん」

男子A「タケシ、さっきからずーっとクロエちゃんのこと見てるね…」

俺「わ、悪いかよ」

男子A「最近やたら仲良いよね君達。
今年に入ってからは特にそうだ」

俺「色々あったからな」

男子A「ふーん…」

俺「なんだよその意味ありげなフーンは」

男子A「タケシってやっぱりクロエちゃんのこと好きなの?」

俺「はぁ!?お、お前には関係ないだろっ」

男子A「そうだね。…その通りだ。

キミが誰を好きになろうと
僕にはこれっぽっちも…関係が、ない…」シュン

俺(シュンってなんだシュンって)

男子A「眺めていたくなる気持ちはわかるよ。

かわいいもんねクロエちゃん」

俺「う、うん。
それよりどうした?今日のお前なんか怖いぞ?」

男子A「………」
男子A「なぁ」

俺「?」

男子A「キミ達ってさ、実際のとこどうなの?」

俺「えっ。なんの話だよ」

男子A「…だからさ、」

男子B「だからァ!」
男子C「実際のとこォ!」
男子D「お前らってェ!」

男子一同「「「付き合ってるのォォオ!?」」」

俺(ぞ、続々と湧いて来た)

男子一同「「お前ら最近随分仲良しじゃねーかよおおおお!!」」

クラス女子一同(ジトーっ…)

男子A「落ち着け。朝の教室で大声でする話じゃない」

男子B「そ、そうだな。すまん」
男子C「怒りで我を忘れてな…」

男子D「ここがダメならトイレで話そうぜ」
男子E「男子トイレか。いいね」
男子A「男子トイレ…ふふっ、なんだかドキドキする響きだ」
男子H「男子トイレで男子会じゃぁ!」

俺「………」

男子A「ほら、タケシも行くぞ」

俺「十数人でトイレ行く気か?
そんな男パラダイスな空間に行くのはちょっと…」

男子一同「いいから行くんだよォォオ!!!」

俺「は、はい」

休憩時間
In廊下
~自動販売機の前~

俺「ふぅ…」
俺(なんかドッと疲れた…)

俺(悪いやつらじゃないんだけどな…)

俺「はぁ…」
クロエ「ふぅ…」

俺「お?」
クロエ「オ?」

俺「あら、こんにちは」

クロエ「あらあら、こんにちワ~」

俺「溜息か?随分とお疲れのようだな」

クロエ「アハハ。お話聞きすぎてちょっピリ疲れただけデスヨ」

俺「そうか」

クロエ「タケシこそ、少し疲れてマス?」

俺「少しだけな」

クロエ「そデスカ」

俺「クロエなに買うの?」

クロエ「んー…どれしましょうカー…」

俺「午後ティーはどうだ午後ティー。なんかフランスっぽいし」

クロエ「あれ、ダメデス。無駄に甘ったるいし香りもイマイチ。

フランスなら、あれのこと、ミルクティーとは絶対呼びマセン」

俺「お、おぉ…さすがフランス人。
言ってることがなんかそれっぽい」

俺「…と、かっこいいことを言いつつ、

ボタンを押す指が午後ティーに向かってるのは何故?」

クロエ「ん?」

俺「あなたついさっき午後ティー批判してなかったっけ」

クロエ「これミルクティーじゃナイ。

でも、これはこれでオイシーからオッケー!」

俺「意外とテキトーだ…」

クロエ「カンヨーと言ってホシーデス」

俺「なんだそりゃ」

クロエ「テキトーでいいんですよテキトーで」

俺「そうか」

クロエ「ハイ」

俺「………」

俺(クロエが隣いると、なんでこんなにくつろげるんだろう…)
俺(謎だ)

クロエ「あ、そうダ」

俺「ん?」

クロエ「今度機会あったラ、
本場のミルクティーというモノ、タケシにも飲ませてあげマース!」

俺「クロエ紅茶入れられるの?」

クロエ「できマスヨ~。クロエ紅茶大好きデス」

俺「へぇ~そうなんだ」
俺「…でも悪いな。俺に紅茶は必要ない。
なぜなら俺にはこいつがいるからな」

自販機販売機(ガチャコン!)

俺「ぐんぐんグルトだ!」

クロエ「……タケシ、ほんとに気に入っタデスネ、それ」

俺「俺のソウルメイトさ」

クロエ「じゃークロエもそれにしヨー」

自販機販売機(ガチャコン!)

クロエ「エヘヘっ。これでタケシとおんなじデス」

俺「いや同じじゃない。
クロエのは小さいペットボトルだけど、俺のは大きいやつ。
俺の方が信者力は上だ」

クロエ「タケシのその飲み物に対する無駄なこだわり…謎すぎマース」

In お昼
俺「あっという間のお昼だぜ」

クロエ「タケシ、タケシ」

俺「おう」

クロエ「お昼デスヨ?」

俺「知ってる」

クロエ「タケシ、今日お昼何食べル?」

俺「購買部でパン」

クロエ「クロエも今日はパンデス!」

俺「そうか」

クロエ「タケシ」

俺「なんだ?」

クロエ「お昼、一緒に食べマセンカ?」

教室【ざわ…ざわ…】

クロエの一言を皮切りに、
クラスメイト(主に男子)に緊張が走る…!

お!タケシィー!

教室【ざわざわ…ざわざわ…】

男子B(タケシのやつ…最近毎日のようにお昼誘われてね…?)

男子C(どうなってんだよおい!これで何度目のお誘いだよ!!)

男子E(もしかしてあの二人できてるのか!?)

男子A(あの二人…やっぱりそうなんだな。…それでも俺はお前が…っ)

男子D(また誘われてるまた誘われてるまた誘われてる
また誘われてるまた誘われてるウソだウソだウソだウソだ…)


お昼休みの開放感は消え去り、代わりに訪れたのは圧倒的な緊迫感…!!

固唾を飲んだまま一斉に二人に注目する男子一同…!!

男子一同の視線を一身に受け止めながら、
ついにタケシが言葉を発する…!!






タケシ「おっけー」

俺「なんかさっきの教室、妙な緊張感なかったか?」

クロエ「?クロエよくわかりまセン」

俺「じゃあ気のせいかな」

クロエ「パンも買ったし屋上で食べマショー」

俺「外寒くね?」

クロエ「今日は天気いいからダイジョブデスヨ」

俺「そっか。じゃあ行こっか」

クロエ「ハイ!」

In 屋上
………
……

クロエ「ごちそー様でした!」

俺「食った食ったー」

クロエ「タケシ、お口汚れてマスヨ?」

俺「え?どこよ」

クロエ「動かないでくだサイネー(フキフキ
ハイ、きれいきれいデース」

俺「お、おう。ありがとう…」

俺(男扱いどころか子供扱いだなこれ)

俺「………」

俺(友達同士、仲良しなのはいいことだけど
このままでいいんだろうか…)

俺(この先もずーっと、こんな感じでダラダラやってくのかなぁ、俺達)


クロエ「今日は珍しく天気イイですね~」
俺「そうだな」
クロエ「ハイです」


俺(現状のこのダルーっとした日常に不満はない。

つーかむしろ楽しいくらいだけど…)

俺(でも…なんだろう、この漠然とした不安は)

クロエ「ポカポカ~」
俺「………」じーっ
クロエ「?」


俺(クロエって…結構モテるんだよなぁ)
俺(クラスの男子はみんなクロエに惚れてるみたいだし…)


クロエ「?な、なんでじっと見てるデスカ?」
俺「………」じーっ


俺(もし、クロエに彼氏ができたりしたら
今までみたいにダラダラ過ごすこともできなくなるんだろうな…)


クロエ「ワ、ワタシの顔、なんかついてマス?」

俺「……いや、なんでもない」

クロエ「???」

俺(クロエに彼氏…うわー想像できねぇ…)

俺「ふむ…」

俺(とりあえず、男扱いされてないのはなんか嫌だな。
とにかくなんか嫌だ。なんか悔しい)


俺(男扱いされてないのは、
ある意味、俺の種としての尊厳そのものを否定されているようなもんだしな)

俺(俺の中の男の部分、そう、俺のダンディズムが泣いている…!!)


俺(今日は、
クロエに俺の男らしさを見せつけてやらねばなるまい…)

俺(別に、クロエに惚れて欲しいから
男らしく振る舞うとかそういうことではなく、
俺の男としてのプライドを守るために…!)

スクッ

俺「ふっ…」

クロエ「タケシ?空じっと見つめてどしたデスか?UFOイタ?」


俺「屋上で、風に吹かれながら空を見上げる俺…男らしくね?

クロエ「男らしい!」

俺「ふふ…そうだろうそうだろう…
(いい手応えだ)

俺「もし今の俺にタバコなんてふかせたりしたら、さらにさらにカッコよくなると思わね?

クロエ「思う!思う!」

俺「そうだろうそうだろう
そうだろうと思って…

スッ…

用意しておいたのさ!」

クロエ「それタバコ!?未成年喫煙ダメデスヨ!?」

俺「安心しろ。こいつは…ココアシガレットさ」

クロエ「ココアシガレット、タバコ違うデスか?」

俺「こいつぁ…ココア味ののお菓子なのさ」

クロエ「お菓子…タバコみたいで面白いデスネー。
クロエもそれ食べてみたいデス!」

俺「ほれ」

クロエ「わーい!」

ポキポキ、ポキポキ

俺「ふぅ…それにしても今日は風が騒がしいな…
何かよくないものを運んできてる味だ…」

ポキポキ、ポキポキ

クロエ「そイエバ、台風またきてるらしいデスヨ?」

ポキポキ、ポキポキ

俺「やれやれ…また奴らが来たのか…。
困ったもんだぜ。まったくよ…キリッ」

ポキポキ、ポキポキ

クロエ「ほんとデス。

電車止まるし洗濯干せないしクロエも困りマース」

ポキポキ、ポキポキ

俺「うーん…いまいち雰囲気でないな」

クロエ「?」

俺「とりあえず、ポキポキうるさいから舐めてお食べなさい」

クロエ「わかりマシタ」ペロペロ

俺「…絵面的によろしくないからやっぱりいい。今まで通りで」

クロエ「?おっけー」

ポキポキ、ポキポキ

俺「おいしいか?」
クロエ「おいしい!」
俺「そうか」

ポキポキ
俺「なぁなぁ」

クロエ「?」

俺「さっきの俺、男らしかった?」

クロエ「男らしかったデスヨ~」

俺「なんか適当だな…」

クロエ「んー?
タケシ、さっきからちょっと変デス。どうかシマシタカ?」

俺「どうもしないさ。

ただ、俺は己のダンディズムを…男らしさを証明したいだけなんだ」

クロエ「???
えーっと…つまりタケシは男らしくなりたいデスカ」

俺「ちがう。男らしさを見せたいの」

クロエ「ソレ意味ちがいマスカ…?」

俺「全然違う。スタート地点がまず違う」

クロエ「ハァ、そですカ」

俺「どうしたら俺の男らしさを見せられるだろうか」

クロエ「ソですね…。じゃあタケシ」

俺「おう」

クロエ「膝枕、してください」

俺「よしわかった。」

コテン
………

俺「ん?どうした?」

クロエ「な、なんでタケシが横なってるデスカっ」

俺「えっ。違うの?」

クロエ「タケシの膝に、ワタシが寝るデスっ」

俺「あぁそういう意味か」

クロエ「あ、あんまりびっくりさせないで欲しいデス」

俺「ごめんごめん」

俺「つーか、男の膝枕って男らしいか?」

クロエ「包容力ある感じして男らしいデスヨ?」

俺「そうかなぁ」

クロエ「そデスヨ」

俺「う、うーん…」

クロエ「ホーラー、はやくしてくだサーイ」バタバタ

俺「…わかったよ。ほれ(ポンポン」

クロエ「ふふふっ。それじゃあ、失礼しマース…」

コテンっ

クロエ「重くないデスカ?」

俺「普通」

クロエ「ヨカタ~」

俺(軽っ。ララちゃんランドセルだ!)
………
……


クロエ「これがタケシの膝枕…略してタケマクラ…」

俺「心地はどうだ」

クロエ「ヨイ感じですヨー」

俺「マジかよ。
俺の大腿直筋、筋肉ムキムキしてて寝辛くない?」

クロエ「いえ、プニプニデス」

俺「マジかよ…」

クロエ「長年使い続けた低反発マクラみたいな感じデスネ」

俺「ちなみに、値段つけるならいくらつける?」

クロエ「75円」

俺「……安いな」

クロエ「百均に売ってそうな感じのマクラデス。

そして、買った後にセイユーで、
75円で売られてるタケマクラ見て、泣きを見るパターンデス」

俺「無駄に具体的だけどさっぱりわからん例えだ…」

クロエ「あ」

俺「どした?」

クロエ「タケシ鼻毛ててマース」

俺「………」
俺「キャッ///恥ずかしっ///見ないでよねエッチ///ポッ!」

クロエ「………」

俺「………」

クロエ「………」

俺「…あの、なんでもいいので
せめてリアクションください」

クロエ「タケシ。何があってもワタシはタケシの味方。
安心してくだサイ」

俺「真顔でそんなこと言わないでっ」

ヒュー……

クロエ「あ、飛行機雲!」

俺「ながい雲だなぁ」

クロエ「あの飛行機雲、きっとフランス行きデース!」

俺「いや、方角的には調布空港だな」

クロエ「トーフクーコー?
トーフ…トーフ空港…豆腐空港!?」

俺「トーフじゃなくて、チョーフ」

クロエ「そデスカー」

俺「あー」

クロエ「あー?」

俺「いや。空綺麗だなーって」

クロエ「オー。デスネー。お空真っ青デース」

俺「おっ。あの雲の形なんとなく蟹っぽくね?」

クロエ「たしカニ」

俺「脚のところなんて特に蟹っぽい」

クロエ「蟹だけに、たし"カニ"!」

俺「え?」

クロエ「え?」

俺「………」

クロエ「………」

俺「おや?向こうの雲はお馬さんに見えないかい?」ニコニコ

クロエ「ホントデース、あれは立派なお馬さんデース」ニコニコ

俺「その隣にあるのはクマさんみたいダネー」

クロエ「エッ。どちらかというとネコぽくないデスカ?」

俺「ネコっちゃネコだけど、

先っぽがチョロンっとなってるあたり、クマ寄りじゃね?」

クロエ「ナルホド。そう言われてみればたしカニ、クマデス」

俺「うむ」

クロエ「あ!あの奥の雲っ!」

俺「あのデカイやつか」

クロエ「あの雲の中、絶対ラピュタありマス!」

俺「流れを読め流れを」

俺(ボケー)

俺「平和だ…」

俺「あの雲の形は…」
俺「どことなくオッパイの形に似ているな…」

俺「ロケット型だ…」

俺「………」
俺「………」

俺「ん?」

クロエ「ぐー……」

俺「人の膝の上でガチ寝とは…
いい度胸をしている」

クロエ「ぐー…」

俺「脚しびれてきたし、そろそろ起きてくれないかな…」

クロエ「フニャフニャ…

エヘヘ…キャビア…おいしーデース…ムニャムニャ…」

俺「夢の中でも日本語…だと…?」

クロエ「ムニャムニャ…エヘヘ…
味のitカクメーデース…」

クロエ「次はメインディッシュ…まだカナー…」

俺「…デザートまで待ってやるか」

クロエ「ふわぁ…よく寝たデース…」ゴシゴシ

俺「おはよう」

クロエ「!?太ももが喋ッタ!」

俺「まだ寝ぼけてんのかお前」

クロエ「…オロロ?ワタシ…眠ってたデスカ」

俺「爆睡だったぞ」

クロエ「むむむ…不覚…。恐るべし、タケマクラ」

俺「で?」

クロエ「で?とは」

俺「俺、男らしかった?」

クロエ「寝てたからわからんデス」

俺「だよね」

In 放課後
クロエ「タケ…」

俺「クロエ!今日は一緒に帰ろうぜ?(キリッ」

クロエ「お、おぉ?ハイ。帰りマショウ!」



俺「クロエ、道を歩く時は俺が車道側を歩くよ(キリッ」

クロエ「え?あ。ありがとデス」



俺「クロエ、カバンは重くないかい?

俺は男だから力持ちだ。持ってあげよう(キリッ」

クロエ「えっ。そんなワルイデスヨ」

俺「そ、そうか…」

クロエ「???」



俺「今日はなんだか風が強いな。

よし、俺が前を歩いてクロエの防風林になる(キリッ」

クロエ「………」
クロエ「今日のタケシ、変デス。チョー変」

俺「そんなことはない。いつも通りさ(キリッ」

クロエ「そのキリッ!ってやつ、やめたほーがイイデス。
その時の顔、ちょい変顔入ってマス」

俺「Oh…変顔て…」

クロエ「タケシ、何かありマシタ?相談ノリますよ?」

俺「何もないよ」

クロエ「ウソですね」

俺「ウ、ウソじゃないし」

クロエ「タケシ嘘つく時、右頬ピクピクする癖ありマス」

俺「え!?そうなの?!」

クロエ「ほらまた。
タケシ、ほっぺたピクピクしてマース」

俺「ウソっ!マジかよ!し、知らなかった…」

クロエ「ウソです。今の、全部ウソデース」

俺「…あ、そう」

クロエ「………」じーっ

俺「相談か。まぁ、強いて言うなら」

クロエ「ハイ」

俺「なんか最近の俺達って、緊張感が足りてないきがして」

クロエ「キンチョー感…」

俺「ダラダラお喋りしてるだけでいいのかなー、と思ってさ。

日常にスパイスを盛り込もうと色々頑張ってみた」

クロエ「ハァ、スパイス、デスカ」

俺「うん」

クロエ「タケシは」

俺「うん?」

クロエ「タケシは、なんにもナイ日常、キライデスカ?」

俺「何気ない日常もそれはそれで大事だと思うけどさ

ずーっとそれじゃきっといつか飽きちゃうよ」

クロエ「そうなんデスカ?」

俺「たぶん」

クロエ「そう…かも、しれないデスネ」

クロエ「タケシはワタシと一緒にいるの、飽きちゃいマシタカ?」

俺「そんなわけないだろ。全然飽きてない。むしろ楽しいぜ」

クロエ「ヨカタデス」

俺「うん」

クロエ「何気ナイ日常…ワタシ大好きデスヨ。

タケシと毎日、しょーもない話するの、超たのしいデス」

俺「……そうか。

クロエ「タケシと一緒だと、毎日新しい。毎日ドキドキデス」

クロエ「同じ毎日なんてワタシにはありまセン」

クロエ「それでもモシ、同じ日常に飽きてしまタラ…」

俺「しまったら?」

クロエ「うーン…」
クロエ「その時はその時で、また考えればイイだけデス!」

クロエ「今たのしーなら、クロエそれでいい。

先のこと考えて、今楽しめないのはもったい無いデスヨ?」

俺「…そうか。そうかもな」

クロエ「ハイ!」

俺「俺も、クロエとしょーもない話を延々ダラダラとするの好きだよ」

クロエ「ヨカタです。
ワタシも、タケシとお話するの、トテモ好きデス」

俺「そうか」

クロエ「ハイ」

俺(まぁ…それでも、
もしクロエに彼氏できたら今の関係も終わりなんだけどな…)

クロエ「日常にスパイス、でしたっけ?」

俺「え?うん」

クロエ「ワタシ、スパイス持ってマスヨ」

俺「ほう。どんなの」

クロエ「ワタシ、最近好きな人できました」

心象風景【ガタガタッ
どどーん!ばりばり!
ピシャッ!ガラガラ!】

俺「へぇーソウナンダー」

クロエ「ハイ!」ニコニコ

俺「お、おめでとう
それで?
相手は誰?ねこ?いぬ?さる?とり?」

クロエ「うちの学園の生徒デース」

心象風景【ズトーん!ばぎばき!
ピーガラガラ、ピーガラガラ!
ボキボキ、メキッ】

俺「ヘー。ソウナンダー」

クロエ「写真みたいデスカ?」

俺「ん!?み、見たいカナっ」

クロエ「この子です」

俺「こ、これは…!?」

クロエ「椎名心実サンデース」

俺「女の子じゃねーか!」

タケシの書くクロエちゃんかわいいからムカつく

クロエ「最近仲良くナタデスヨ」

俺「あ、あぁ…そうなの…」

クロエ「ココミさん、とても良い娘。
ワタシの大好きな人デース!」

俺「…そっか。
また新しい友達できて良かったな、クロエ」

クロエ「ハイです!」ニコニコ

男「………」
俺(男じゃなくてほんとに良かった…)

クロエ「ふふーっ…」

俺「な、なんだよ」

クロエ「どでした?スパイス効いてましたカ?」

俺「うん?ま、まぁ、そこそこ、けっこう、わりかし」

クロエ「そデスカ。
今のはけっこー緊張感ありましたネー」

俺「そうね…」

クロエ「ねえねえ、タケシ、タケシ」

俺「なんだ」

クロエ「クロエの隣、ずーっといてくだサイネ?」

俺「……善処します」

クロエ「なんか曖昧な言い回しデスネ…」

俺「頑張ります」

クロエ「ヨシ」

(完)


こういうのすき

三作目おつ

たけし乙

>>34
よし、俺が前を歩いてクロエの茶風林になる(キリッ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年09月14日 (木) 09:34:41   ID: WCKdmEdq

なぜタグが狼と香辛料

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