異世界から来た超能力者が勇者になったら (164)
日本━八月、夏━
ミーンミンミンミン
ミミーンミンミンミン
男「うぅ…あぢ~」
友「あっはっは無様だなぁ!男よ!」パタパタ
男「俺にも団扇かしやがれこの野郎…」グテッ
友「これは扇子だ、団扇が欲しくば買ってくるがいい!あっはっは」
男「っ!…もういいよ…日陰しかあるかねぇ」
友「お前はそうやって一生日陰を歩いていきていくのか?」キリッ
男「そんな思い話じゃねぇだろ?!」
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友「まぁいいじゃないか」
男「お前との話はつかれ━━おっと」バタッ
その瞬間、俺は何かに躓きその場に倒れこんだ。…はずだった。
誰しも転んだ瞬間一瞬目をつぶるだろう。俺もそうだ。
だが、今回目をつぶったのは失敗だった。
男「ん……んん?」
何時までたっても体が地面に叩き付けられる間隔が無い
男「なん…だと…」
次の瞬間、目を開けた俺は
男「……」
空を飛んでいた。
耳元ではずっと「ヒュゴゴゴゴ」と空気の音が鳴っている
男「お、おぉ?!おぉぉおお?!」
あまりの出来事に俺は自分の頬をつねった。
感覚はなかった。「よかった、夢だ」そう安心しきった瞬間、
何かでかい物が猛スピードで真横を通り過ぎた。
男「ひ…こうき…?」
空を飛んでいるとはいえ、俺が住むところは飛行機どころかラジコンのヘリコプターすら
飛んでいない田舎だぞ?
男「てか…俺、落ちてねぇかこれぇええええ!!?」
空を飛ぶ術は飛行機や機会に頼り切っている人類はもちろん飛ぶことなどできない。
よって俺は落ちている事を今、理解した。
男「いやぁあああ!」
奇声あげても助けは来ない、空なのだから当然だ。
そう思いながらもカエルのように平泳ぎを空中でする。
意味の無い行為だと分かっていてもなぜか体が自然にそうしてしまう。
そうすると、何かが後ろから近づいてくるのが感じ取れた。
男「な、なに?!」
振り向こうとしても、空気抵抗で顔がうまく動かない。
パクッ、と何かに足を噛まれたように足がほんのりあったかくなる。
瞬間、男は頭が真っ白になり、「だめだ、俺死んだ…」そう思い気を失った。
「?…あれ?、生きてます?!死んでます?!死んだ!?」
━日本━少し前
友「ん?どうした?━━あれ?」
目の前に男の姿はない。
辺りを見回しても隠れられる場所などはない。
友「え、ちょ…うそ……」
友「と、とりあえずおばさん(男母)に!!」
とっさにそう思い、男の家に走り出す。
━男宅━
ピンポンピンピンピン
ガチャッ、とドアが開く。
友「おばs」
バンッ、と勢いよくドアが開き、友の顔にか細い腕から延びるこぶしが勢いよく
めり込む。
男母「…うるせぇよ」ゴゴゴゴ
友「ず、ずびばへん」
顔をさすりながら土下座する。
男母「ん?…友か…どうした?家のは?」
友「そ、それが!消えたんです!突然!ファッ!?って」
男母「…」
腕を組み疑いの眼差し、そして気持ち悪い虫でも見たかのような目で友を
見下ろす。
友「ほ、本当なんですって!」
男母「病院いけ」
友「本当なんですって!!!」
暫くして、友の真剣な顔、と叫び声、主に後者のせいで周りから
「なにあれ」の目で見られ、納得せざるを得ない状況に追いやられた
男母は友の話を信じた。
友「そ、それで…どうしたらいいですかね?」
男母「いいか友」
友「は、はい」
男母「同じ女性として一つ言う」
友「は、はい」
正直同じとは思われたくない、と言いそうな顔をしてしまった友はすぐさまそれを後悔した。
男母「同じ、女性として、一つ、言う」
再度、だがさっきより強く、殺気交じりの口調で言い直す。
友は確信した「この人には絶対服従しなければ死ぬ」と。
男母「一つ。公衆の面々で大声出すな」
友「はい…申し訳ありませんでした」
男母「うむ…で?男は?」
友「信じてくれてなかったんですか?!」
一日たっても帰ってこないと分かって、男が本当に消えたんだと分かった母は
友の話を聞き、警察に届けを出した。
━━━
男「…ん」
「目が覚めました!」
男「ん…」
男「ここ…は」
木でできた絵本や漫画に出てきそうな小屋。
男「いったいここは…」
「あの~」
男「……」
「な、何か私の顔についてますか?」
男「…ま、まてよ…なんで色白の巨乳のお姉さんが俺に話しかけてる?…ゆ、夢か?
夢なのかこれは!」
「あ、あのぉ~」オロオロ
男「そうだ夢だこれはゆめだ!」ガバッ
「キャッ」
色白の女性がいきなり立った男に驚き尻餅をつき、声を発した瞬間
小屋の扉が開き、外から弓を持った男が数人入ってきて、男に弓を引き、構える。
男「ファッ?!なんで?!」
女性「ま、待って皆!この人は悪くない!」
女性がたしなめると男たちは無言で弓を収め、外に出ていく。
一体なんだったんだ…俺なんかした?
男・女性「「あ、あの~」」
男・女性「「は、はい!」」
男・女性「「お、お先にどうぞ」」
男「……」
女性「……」
なんだこれ、何このシンクロ率すげー。
じゃなくて、なんなの?本当に、この人といいさっきの人といい服装が変だし耳長いし
いろ白いし、弓持ってるし、色白いし。この人もお先どうぞって言ってるから質問していいよね?
だめなわけないよね、うんそうだ、いいんだ。
女性「あの~あなたは━━」
おっと先に言われちゃった、まぁもたついてる俺がわるいよな、ここは
おとなしくこの人の話を聞くとするか。
女性「貴方は勇者ですか?」
男「うんうん……ん?」コクコク
(勇者?え、なにどういう事。)
女性「やっぱり!」
(いやまって勇者って何?は?いや、まってよ…おれ男、勇者さんじゃないよ?)
女性「みんな!勇者様よ!」
バンッ、扉が先ほどは内側に開いていたが今回は外側に開いて、外からは
先ほどの何倍もの人(主に男)が入ってきて、俺を担ぎ上げ、外に連れ出す。
男「ちょ、なに、なんで俺持ち上げられてるの?」
━━
━━
男「……」
(どうしてこうなった?あの後俺は担がれたままどこかの広い場所に連れてかれ━━)
━━━━━
老人「おぉ…勇者様」
男「いえ違います、僕は男です。決して勇者などという名前ではありません」
老人「勇者は役職みたいなものじゃよ、フォッフォッフォ」
老人は尻をかきながら笑う。
男(何笑ってんだこの爺さん…大丈夫か?)
男「いえ、私の役職は高校生、学生です」
老人「こ、こうこう…なんじゃそれわ」
男「大人になるため、日々学ぶ場所です」
老人「ほぉ…そこでは何を学んでおるんじゃ?」
男「そうですね、私の学校では超能力開発を基礎に超能力者の育成、新たな超能力の開発、
人体強化…いわゆるやばい学校です」
ニコッ、と笑った瞬間何かを感じ取った一人の少女が弓を向けてきた。
老人「やめんか…」キッ
老人の鋭いまなざしで少女はどこかへ走り去って行く。
男「……」
老人「では勇者様、さっそくですか魔王を倒していただけますかな?」
男「唐突ですね……」
男(まて、魔王?魔王ってなに?あれか?いまアニメでやってるMで働いてる魔王か?)
老人「何をおっしゃる、勇者は━━」
男「待ってください」
老人「?」
男「そもそも勇者ってなんです?俺はいわゆる危ない学校に通うただの学生です」
男「勇者なんかじゃありません!」
今日の分終
最後までガンバレ
面白そうなので期待してます!
佐天 の炎細胞量数字を禁止したい 考え直せ。
老人「そこでじゃ、勇者様を疑うわけではないが、ちぃと力試しをさせてもらう」
男「話聞いてました?」
老人「皆の者、準備を」
すると老人がパンパン、と手を二回叩くと、周りにいた男達が
二列に並び道が開く。
男「…え」
老人「これより勇者選別の儀を行う」
ワーワー ワーワー
男「なん…だと」
きたか
女性「あ、あぁ」オロオロ
老人「誇り高きエルフの男達よ!今こそたちあがれ!」
男(エルフ?)
老人「さ、勇者様こちらを」サッ
老人の手には剣が二本。いったいどこから出したんだこの爺さん。
勇者「ども」
ただ一礼して受け取る。
男「して、これで何をしろと?」
老人「このエルフの男の中から選抜された四人の男達を戦ってもらいます。
私たちの命を勇者様に託して魔王討伐に行ってもらうのです。このくらいはできて頂かないと」
男(ん?これ負けたら俺戦わなくていいんだよな?魔王さんと)
老人「あ、そうそう、」
ほう
男「?」
老人「わざと負けようとしなさんなよ」
男「そ、そのこころは?」
老人「負ける事は死を意味することよ。フォッフォッフォ」
男「ちょ!そんなのきいてねぇよ!!」
老人「いま申しましたぞ?フォッ」
男「こんのくそじじい…!」
老人「その券を受け取ったことは勝負することを認めた証拠、逃げは許されん」
男「こんなの騙したのと同じ━━」
老人「勇者様は死なないなら戦うのですか?」
男「…!」
_,|__|,_
,.;x=7/>─</7ァx,
,ィ´///./ \//ヽ
,;'////// \ ヽ/∧ 安価が
,'////// o| |V∧
;//////! o! lo}/ハ 「 'ニ) 、_
i//////| o| |o|/リ 、_,) __) 」 だと? ルーシー
V/////ハ__⊥ =-──┴--'--、
////\//|L -z、‐───=zァ7 ̄ ̄ヽ 予想外だ……
. //////./|ハ rテ汞ト- ,ィァテ ∧___,ノ この世には
〈_//_, イ: |l:|: :〉 `冖` /´冖'/|: | その「安価」のために
.  ̄ |: :|: :|l:|:/ │ ': l: :l 無償で…喜んで…
_/l: :|: :|l:|' -ト、ノ / :│: ', 生命を差し出す者も
/ L:!: l : | | ヽ --`- /l: : :l :_:_ゝ 大勢いる
_r─‐x_ノ\l ∨ : |:l/⌒\ ー‐ ' イ┴<\
/二二二\ \_ ∨ l:! __` ー‐ '__|___/ ノ たとえば
. /ニニニニニ∧ ヽV:/ /、  ̄二´ ,.ィ__ その者が
{ニニニニニニハ \/、 \____// |∧___ 「女」であろうと
/ニニニニニニニ}、 ,ィ \_ i / ./ ゚ \\_ ……
r{ニニニニニニニ//。{  ̄ ̄ 「 ̄\ } У \ 修道女のような
| \__二二二∠,.イ i \_ ハ ゚ ゙ヽ 「jー-- 。〉 …………
|ヽ.  ̄ ̄∧゚__\_l___,ノ__。 ̄了 \__厂\._/
人 \__/ ./ / {_j / | l |.l
/ \, 〈 / /ヽ---< -‐=  ̄ \_。_|ハ
∨。 ./ | | ___|_|_∧
/`ヽ__ }/ | | _ -‐  ̄  ̄ ̄Τl〉
ニニニ\___ l l | |__ -‐  ̄ i:. }ニ|
男「わかったよ…戦うよ、戦ってやるよ!」
老人「フォッフォ、その調子ですよ」
男「ただし」
老人「ふぉ?」
男「負けることは死なんだろ…ならあんたらが死んでも俺は罪にはならねぇよな?」
老人「な、なにをする気じゃ」
男「殺気です」
老人「え、えぇ…これは儀、誰も咎めません、罪にもなりません。ですが━」
男「恨む者はいる、か?」
老人「え、えぇ」コクッ
男「いいですよ、俺を殺す気なんだから、逆に殺されても文句は言えないでしょ」
老人「…」(この勇者様…開けちゃいけない蓋あけちゃったかもしれないですな…)
男「あぁそれと」
老人「なんでしょう」
男「剣二本もいらないです、邪魔」
老人「勇者様は魔法がお得意で?」
男「魔法?…そんなもの使えるわけ無いじゃないですか…」バチッ
老人「?!」
男「…」ニヤッ
老人(いま一瞬電気が発したような…)
━━闘技場━━
マッチョ「…この小さな子供が勇者……か」
マッチョ2「そのようですね」
マッチョ3「……萌」
マッチョ4「 」Zz
仮面「……」
男「うーん……」
男「濃い!」
老人「ではこれより勇者選別の儀を行う…決して両者手を抜くことの無い様に…では」
手に持つ杖を空にかざし、星を描くように振る。
老人の「はじめ!」の声とともに、杖から花火が飛ばされる。
男「…何あれすげー」
マッチョ「燃えよ!」ボウッ
屈強な体のマッチョが男にかざした手のひらから炎の球体が放たれる。
男「ホワイッ?!」
体を「く」の字に曲げてギリギリでかわす。
マッチョ2「闇の炎に抱かれて━━」
男「消えない!」バチッ
両手を組み、振り下ろそうとしているマッチョ2の懐に入り、剣で横腹を斬る。
ザシュッ
男の振り払った剣はマッチョ2の横腹を斬り、さらに後ろに襲い掛かってきていた
マッチョ4の指を斬り落とす。
マッチョ4「ぐおあぁあ!」
ガクリ、と、指を抑えながら膝から崩れるようにその場に膝立ち状態になる。
男「剣道2段なめんなこのやろう!」
剣道って一対多を想定してないだろ
ってツッコミは野暮だな
>>28どの流派かにもよる。・・・ってツッコミも野暮だな。
マッチョ「まだまだぁ!消えろ混沌(カオス)」
男「うーにゃー!胴!」
ザシュッ
マッチョ「カハッ…!」
バタリ。地面に叩き付けられるように倒れる。
男「……一本…てね」
仮面「……」
始まってから一度も動かない仮面の細身の男(?)は
じっとこちらを見つめて━仮面をつけているのでこちらを見ているかはわからない━いる。
男「…こないのか?」
仮面「お前はまだ本気を出していない…と思う」
男「思う…ね、確かにだしてないよ?俺がやってるのはただのチャンバラだし」
仮面「チャンバラ…?」
男「遊びだよ」
仮面「遊びでお前は人を殺したのか?」
男「…何が言いたい?」
仮面「何も、深い意味はない。だが、迷いがないと思って…」
男「人を殺すのに?」
仮面「」コクッ
無言でうなずく仮面の者。
男「それはあれだ、俺も殺されかけてるんだ、手加減なんてしない」
仮面「…なるほど、理解した」
男「お、おう、それはよかった」
仮面「では私も殺す気で行こう」
そういうと仮面に手をかける。
アサシン「我が名はアサシン、貴様を倒し、勇者になるもの!」
男(おっと、男じゃなく女だった…じゃなくて名乗り始めるとは思わなかった)
男「ご、ご丁寧に…俺は男、勇者ではなくただの学生Aだ!」
アサシン「いざ…尋常に…」
男「……」ゴクッ
アサシン「しょうb」グゥゥゥ
その瞬間、その場にいた者全員が目を丸くした。
男「……へ」
アサシン「~~~!」///
男「あぁ…その……」
アサシン「死ね」スッ
袖の中から手裏剣とクナイとマキビシを無数に、無造作に投げてくる。
男「あぶ!あぶな!ちょ!落ち着けもちつけ!」
アサシン「オラオラオラオラ!しねしねしね!きえろぉぉぉあああああ!!」シュッシュッシュ
男「そ、そんなお腹の音で恥ずかしがるなよ!」
アサシン「おならだよ!」
男「?!」
アサシン「…あ」ピタッ
男「……」
男(おっとー墓穴掘ったな……そして俺いますごくヤバクナイ?)
アサシン「あぁぁぁあああぁぁぁぁあああ!」スッ
奇声をあげながらマントに隠していた短剣日本を、腕をクロスして構える。
アサシン「忍法!」
男「?!」
アサシン「影分身の術!」
アサシンの影が立体、地面から浮き出て人の形を成す。
男「…なんだと?」
アサシン「死ねこらオラオラ!」
影アサシン「忍法、影移動」
分身のアサシンは地面に吸い込まれるように消えていく。
アサシン「そっちばっかり気を取られていると死にますよ」
背後から飛びかかってくる。
男「忠告どうも」ビリッ
男「3万v(ボルト)…」ボソッ
影アサシン「忍法、影斬り」
ザシュッ
男「グハッ!」
男の腹部を激痛が襲う。
男「何!?…き、切れてはいない…けど」
影アサシン「影を斬ってお前に痛みだけを与え続ける」
男「っ!5万V!」ビリリッ
男「超強力スタンガン!」
剣を地面にさす。
地面に刺さった剣が青く光りだす。
アサシン「何?!」
男「俺はねぇ、体の一部に電気を作る器官を人工的に作ったんだ」
男「そこから作れるのは約9億ボルト!あの超電磁砲に近いんだぜ!」
アサシン「…へ?」
男「つまり…感電死しな!」ビリッ
男「一億ボルトスタンガン!」
握っている剣に、男は体の奥底から流れる力(電気)を流し込み、
地面から後ろにいるアサシンを含め、辺り一m(メートル)を青い光が覆う。
アサシン「カッ!」
電気に当てられて、硬直する。
今日の分終わり
いちおつ
乙
ログ削除っと
男「……」
アサシン「ふにゃぁ…」バタン
男「ふぅ」
老人「な…なな……」
男「勝ったぞ…」
男(なんで勝ったんだろ)
老人「…ど、同胞の仇!」
手に持っていた杖を振りかざし、観衆達と共に
男へと迫る。
女性「やめてください長老!文句なしといったのはあなたです!」
両手を広げて観衆達の前に立ちふさがる。
男「…」
女性「見苦しい!」
老人「アウッ」ビクッ
女性「…もうやめましょう、こんな嘘で人間を殺すのは」
男「嘘?!」
その一言に目を丸くした。
男「ちょっと待って…嘘って…何?」
女性「虚言、真実とは異なることです」
男「意味は知ってるよ!」
男「嘘で殺すって…意味が」
女性「そのままに意味です」
女性「…我々エルフの一族は人間を捕まえては魔王にささげるのです」
男「HAHAHA…は?」
男「なんで」
女性「私たちは魔王につかず、人間にもつかず、中立に生きてきた一族」
女性「でも人間は私たちを魔族と勘違いし、襲ってきた。それに恨み覚えた者も多い
故に、我らエルフ族は人間を恨み、魔王につくことにした」
男「…」
老人「ぐぬぬ…!」
村人「長老、おさえておさえて」
女性「だが、魔王は我々を認めなかった、一時は戦争になる寸前までなった。
でも、魔王は言いました」
『人間を月に10人差し出せば貴様らを守ってやろう…と』
女性の言葉と一字一句違わぬ事を述べながら、突如、人の中から現れる男。
老人「?!」
女性「?!」
その場にいたエルフ達全員が口を閉ざす。
混雑した監修していたエルフ達の中から出てきた
昔の軍人のようなスーツに身をまとい、帽子を深くかぶった男が
男の前で手を軽くお腹の前にだし、一礼をする
魔王「私は魔王…初めまして、我らが勇者」
男「魔王?!」
長老「……」ブクブクブク
泡を吹いて倒れる老人。
村人「長老ォォォォ!」
魔王「…あら、長老さん…大丈夫ですか?」
老人「ブクブクブク」ブクブク
魔王「…手当をしてあげてください」
村人「は、はい!」
チョウロウオハコビダセー ナニー?!タンカーガナイ?!そんなのオンブダ!
魔王「あぁ、そうそう勇者さん…ようこそ我が『世界』へ」
男「ど、どう…も?」
魔王「貴方を異世界から召喚してしまい、混乱したでしょうが━━て、どうしました?」
男「す、すまん…混乱してきた」
魔王「あらあら」
毎回ながら遅くなってすいません。
投下数少なくてすいません
今日の分終わり
乙
乙
男「え、なに、召喚…は?」
魔王「召喚魔法です、この世界ではなく別の世界別の次元からあらゆるものを召喚する魔法です」
男「……」
魔王「簡単に言えば、『どろー!俺はモンスターカードをフィールドに召喚する!』です」
丁寧にジェスチャー付きで説明をしてくれる魔王。
男「なるほど、理解した」
魔王「これで理解されるのもなんかあれですが、まぁ今は本題に移りましょう」
男「お、おう」
魔王「悪の魔王を倒してください」
男「お前?」
魔王「私は魔族の王の魔王、悪の魔王は」
男「悪魔の王様?サタン?」
魔王「いえ、人間です」
男「…」
魔王「わかります、同じ人間を殺せと言ってるんです。戸惑いますよね」
男「いや、そうでも」
魔王「えぇやはり…え」
男「別に俺この世界の事どうでもいいし」
魔王「あ、え…あぁ…そうですか」
魔王(この人…なんかやばい)
男「でもただじゃ殺さないよ」
魔王「お、お金ですか…」
男「いや」
魔王「では…?」
男「俺をもとの世界に戻せ」
魔王「え、えぇそれはもちろんそのつもりです」
男「あと」
人差し指を立て、魔王の目の前に突き出し、
もう一つ、と付け足す。
魔王「もう一つ?!」
男「…不満?」
中指を半分だけ開く。
魔王「いえ…べつに」
男「理由」
魔王「わ、理由?」
男「なぜ俺がここに呼ばれ、勇者なんぞやらないかんのか…わかりやすく」
魔王「あぁ…なるほど」
男「…?」
なぜか魔王は、ホッとして、ため息を漏らしかけた。
実際には漏らさないだけで顔には出まくりだ。
魔王「遥か昔、私たち魔族が生まれました。私たちは言葉はかわせなくとも、通じ合い
楽しく暮らしていました」
魔王「ですが、ある日人間が生まれ、人間はみるみる数を増し、土地を開拓し、国を作り、
数を増やしていった。初めは仲良くできてました。
互いに力を貸し、貸され、ですがある時一人の人間が魔族を殺した。それが始まりです」
~~~~~~~~~
○○年前
~~~~~
少年「……なんだよ」
スライム「んむーー!」
少年「?」
スライム「むっむっむー…む!」
少年「む?」
スライム「む!むむ!」ポヨンポヨン
マダー
~~~~
男「え?何その回想」
魔王「私の昔話です」
男「……」
魔王「?」
男「それ必要?」
魔王「内容的にはいりませんね」
男「よし、とばそう」
魔王「わかりました」
魔王「で、何の話でしたっけ」
男「なんで俺が勇者しなきゃいけないのか説明してほしい」
魔王「あー…それはですね」
男「おう」
魔王「定めです」
男「……は?」
魔王「人間と魔族。因縁の仲。それをただす者、それこそ勇者!」
男「…は?」
魔王「神話なんですよ」
男「はぁ…」
魔王「『人、魔。二つに揃いし勇者に導かれ一つにならん』と…神話にありまして」
男「つまり…神話通りに人間と魔族の勇者がどちらかを滅ぼすと?」
魔王「いえ、滅ぼすのではなく戦うのです」
男「だれが?」
魔王「勇者が」
男「だれと?」
魔王「相手の勇者と」
男「…なんだそれ」
魔王「ちなみに、この神話を無視した王の時代、世界は崩壊しかけました」
男「oh The強制」
魔王「そのとおりです」
男「え、つまりさ、魔族救うんじゃなくて世界を救うの?」
魔王「結果的にそうなりますね、ただ一人。勇者の命一つで世界は平和になります」
男「へぇ…」
それってただの生贄じゃねぇか、昔からのしきたりだか何だかでって言い訳してるだけで
世界から一人生贄に出される孤独な奴じゃん。
男は心で語る。けっして表にはださない。
魔王「そういうわけで…あなたには死んでいただきます」
笑顔で言う。
男「は?!」
ガタッ、と音を立て椅子から勢いよく立ち上がる。
魔王「冗談ですよ」
「ははは」と男へ笑いながら告げる。
こちらとしては全く笑えないのでやめてほしい限りだ。
男も苦笑で返し、その場はなんとかやり過ごせた。
乙
翌日。男は昨夜遅くまで魔王と話しており、寝落ちしてしまった。
起きるとベットの上にいた。
きっと誰かが移してくれたのだろう。
男「おはようございます」
寝室(?)からでると見覚えのある女性の姿があった。
男は心の中で「これが新婚か…」と思った。
女性「あ、おはようございます、勇者様!」
勇者、という言葉に若干抵抗感を覚えながらも、女性が引いた椅子に座りこむ。
テーブルの上には結構な量━大皿に盛られたから揚げが三皿、卵焼き(特大)が二皿、
丼(どんぶり)に大盛りに盛られたご飯━の朝食が用意されていた。
これから宴会でもあるのか?
そう思いながらも二人きりの朝食を男は堪能した。
官職までに一時間半かかった。
翌日。男は昨夜遅くまで魔王と話しており、寝落ちしてしまった。
起きるとベットの上にいた。
きっと誰かが移してくれたのだろう。
男「おはようございます」
寝室(?)からでると見覚えのある女性の姿があった。
男は心の中で「これが新婚か…」と思った。
女性「あ、おはようございます、勇者様!」
勇者、という言葉に若干の抵抗感を覚えながらも、女性が引いた椅子に座りこむ。
テーブルの上には結構な量━大皿に盛られたから揚げが三皿、卵焼き(特大)が二皿、
丼(どんぶり)に大盛りに盛られたご飯━の朝食が用意されていた。
これから宴会でもあるのか?
そう思いながらも二人きりの朝食を男は堪能した。
間食までに一時間半かかった。
食事が終わり、しばらくして老人に呼ばれ昨日戦った場所に再び立っていた。
男「……」
ガヤはいない。
老人と男二人だけの静かな場所。
杖を持ち、後ろに隠しているのだろうが隠しきれていない剣を持って老人は
男を見つめる。
男「………」
老人「…」
老人「…勇者よ」
言葉と共に、後ろに持っていた(正確には隠していたが、見えていた)剣を男に向け差し出す。
男「はい」
なぜかこの人が言うと勇者という言葉に違和感がなかったので、素直に答えてしまった。
老人「お主にこのエルフ族に伝わる魔を宿し聖なる剣を授ける」
魔なのに聖なるとは、矛盾しているんじゃね?
老人が差し出した剣の鞘をつかみ、鞘から引き抜く。
男「……」
男が引き抜いた剣は片方しか刃先が無い。
男「…刀?」
老人「聖剣です」
男「へぇ~…で?これを俺に渡して?」
老人「魔王様が言っていた『彼には聖剣を渡したほうがいい』と」
男「なんで?」
小首を傾げ質問する。
老人「そんなもの…魔王様しか知りえん」
杖を男に突出し答える。
この人杖いらないんじゃない?
男は心の中にその言葉をとどめた。
最近忙しくて書く時間無いので
投下遅くてすいません。
完結はさせたいと思います。
時間はかかりますが…がんばりますので、よろしくお願いします
乙
乙
乙
頑張れ~
乙でした
完食
誤字なおしたのも誤字でした。
すいません
それから老人は男に剣を託し、その場から消えた。
男は剣を握り、夕日が照らす中、素振りをしていた。
男「九十九…!…ひゃーく!」
ブンッ、と剣が振り下ろされ、地面に突き刺さる。
男「ふぅ…」
ため息交じりの呼吸を吐く男は、後ろに気配を感じ(と、いうより微かに物音がしたので)振り返った。
男が振り返ると一人の少女が「あっ」と「見つかっちゃった」と言うかのように言葉を漏らした。
男「…だれ?」
夕焼けに照らされ顔がよく見えない。
「わ、わたしだ!」
その声には聞き覚えがあった。
男「……昨日の」
昨日のアサシン少女だ。
軽く手を上げ、気軽に「よう」と、挨拶をしてくる。
男「よ、よう」
それに対し同じ動作、言葉を返す。
アサシン「一人で何してるんだ」
男「見ての通り素振りだ…見てたんだろ?」
アサシン「まあな…」
少女は男をみつめている。
男「…なに?」
沈黙なうえにみつめられては男も耐えられなかった。
ただ照れくさかっただけだった。
乙
アサシン「お前、一人で旅するのか?」
男「……」
男「確かに一緒に行く人がいないから一人で行く予定だけど」
アサシン「なら私を連れて行け」
男「なんで」
アサシン「私はお前に負けた」
男「だね」
アサシン「その所為で道場から追い出された」
男「…なんかごめん」
アサシン「あやまるな!私がみじめみたいじゃないか!」
男「あぁ…ごめん」
アサシン「まぁそういうことだ、連れてけ」
男「いいけど」
アサシン「よし!じゃぁいくぞ!」
男「今から?!」
アサシン「お前まだここにいるつもり?」
男「それは…」
アサシン「そろそろエルフの皆も人間であるお前を殺しにかかるぞ」
男「な?!」
アサシン「もともと皆お前をそうしようとしていたんだ…当たり前だろ」
男「まじかよ…」
ガクッ、と体の力が抜けその場に膝をつき倒れこむ。
そこへ少女の手が肩に、ポン、と置かれ少女はニヤニヤと男の顔を上から見下ろしている。
アサシン「気にするな…」
むかつく。
男「なんだよ…」
アサシン「憐れんでる」
男は少女の腕をつかんだ。
アサシン「?」
男「…」
男の体に青い雷光が「バチッ」と光る。
アサシン「ちょ!?━━━」
少女は気を失いその場に倒れた。
それから男はその日の内にエルフの里を出た。
少女に言われてから男は周りの視線を気にした。確かに心地のいい視線ではなかった。
やはり今にも襲い掛かってきそうな蛇のような目で男は見られていて、男はその視線に耐えきれなかった。
男は里を出るとき老人からマントと食糧を少しもらった。
残念ながらお金はもらえなかった。
男「自給自足…だよなぁ」
アサシン「だねぇ…」
出てくるときに老人はお供、もとい、逃げないようにと監視役としてこの少女を一緒に連れて行くように
男に言った。正直いつでも追い払ったりできるのだがそれはしない。
さすがに道━と言っても道と言うほどちゃんとした道はないが━の真ん中に倒れこんだ少女を放っておくほど男も悪い人ではないからだ。
男「で、いつまでついてくるの?」
アサシン「お前が人間の勇者に殺されるまで」
男「…」
やはり今すぐに道端に埋めようかと男は思った。
翌朝
結局昨日は二人そろって洞窟の中で寝静まった。
そして今━━
男「なぁ、アサシン」
アサシン「なんですかねゲス勇者さん」
男「一言多いのは今回は見逃す」
アサシン「今の場合聞き逃すのほうがよくないですか?」
男「聞き逃すは本当に聞こえないときとかでは?」
アサシン「いえ、『聞き逃す』の言葉の前に『故意』に、これを入れればいいのでは?」
男「なるほど……頭いいな」
アサシン「いえいえ、その通りです」
男「謙遜しないのね」
アサシン「そんな事より、コレ…どうします?」
男「とりあえず…」
熊「…」
男「食う!」
アサシン「熊鍋ですね!」
熊「?!」
━━熊は危機におちいっていた。
熊「グォォォ!」
熊は両手を上げ降参の意思表示をする。
アサシン「やる気ですね!」
ミニスカ浴衣のような姿の少女は、浴衣ならではのでかい袖から、両手を上下に一振りして
短剣を出す。
アサシン「ふはははは!熊鍋ェ!」
熊「グォォァ?!」
男「今の俺達は空腹だ…もらった食料は不味過ぎて食えないからな」
腰に挿している老人からもらった剣、もとい刀を鞘から抜くと、
刀は男の体内から漏れる電気を吸収し、その電圧を跳ね上げ、「バチバチバチンッ!」と轟く。
男「なんだ?!」
アサシン「それは我がエルフ族に伝わる聖剣?!なんでお前が」
男「もらった」
アサシン「いいなー」
男「かっこいいだろー」
アサシン「後で貸して~」
男「おっけ~」
男「ま、今は」
アサシン「熊鍋だ!」
熊「ぐぉぉん!」
熊は男とアサシンの猛攻を必死にかわした。
が、とうとう力尽きて━━
アサシン「…コレ魔物の熊じゃん」
熊の上に胡坐をかいて座る少女が熊の胸元を見ていう。
男「食えるの?」
アサシン「猛毒…食べたら人格が壊れて破壊衝動に襲われて最後は死に至るよ」
男「へぇ~…」
アサシン「この熊自体は一時間もしたら自動再生されて生き返るけど」
男「んじゃ…」
アサシン「放っておこう」
━━捨てられた。
熊の洞窟から抜け出した二人は湖沿いのちゃんとした道を歩いていた。
男「そういえばさ」
ふと男が頭の後ろで両手を組んで空を見上げながら話しかける
アサシン「なに?」
男「お前は魔物を殺すことにためらいとかないの?」
アサシン「なんで」
男「だってお前たちエルフも魔王の下についてるんだろ?」
アサシン「それは嫌々でね、どちらかというと私たちは人間に近い…と思う」
男「そっか…なるほど」
組んでいた手を崩し。わざとらしく「ふむふむ」と前で腕を組みながらうなずく。
アサシン「?」
二人がそんな話をしていると前方から馬車が走ってきた。
アサシン「ほら、端によって」
少女がマントを摘み、引っ張り男を道の端に馬車の邪魔をしないように引き寄せる。
が、馬車は二人の真横で止まる。
アサシン「…?」
男「?」
すると馬車から金髪ロングの男とさして年齢の変わらない女性が出てきて
男たちの前で立ち止まった。
女性「貴方たちも旅の途中?」
女性が話しかけてくると、馬車の中からもう一人、今度はこげ茶の髪をしたそこそこイケメンの
男が身を乗り出し女性に向かい話しかけている。
男性「こら、僧侶!僕たちは魔王の勇者を倒すために旅をしているんだ、一般人を運ぶ余裕なんて
ないぞ!」
男は男性の言葉に反応した。
確かに「僧侶」そして「魔王の勇者を倒す」そういった。
つまりこの人たちは人間の勇者だ。
だが男は剣を抜こうとはしなかった。隠そうともしなかった。
持っているのを聞かれれば「旅をする上で魔物が危険だから」と言えばいいが、
隠そうとして、なぜ隠そうとしたかを聞かれては何も言えないので怪しまれるからだ。
少女も同じことを思ったのか、堂々としていた。
「少女はもともと見えるところに武器はないのだからいいのではないか?」と思ったが口にできる
状況ではなかったのでやめた。
男「はい、そうです」
後ろの男性の言葉は無視して問われたことに答えを返す。
僧侶「いいじゃない!」
勇者「それに彼らは僕たちが来た道を行こうとしている。
反対方向に戻る時間はないんだ!」
僧侶「じゃあ私が送ってく!」
勇者「はぁ?!」
僧侶の的外れな言葉にため息と同時に出た声で肩の力が抜けふぬけた声になってしまった。
僧侶「いいじゃない!見たところこの人達そこまで強そうではないし、魔物に襲われたら心配よ!」
男「グッ…」
「強そうではない」男と少女はその言葉にイラつきを覚えた。
勇者「大丈夫だろ、その男、剣もってるし…死にはしねぇよ、ここは雑魚しかいない地帯だし
ここの主でも怒らせなければ大丈夫だ」
僧侶「いいや、だめね」
男「あ、あのぉ」
僧侶「ん?…あ、ごめんね、なんかおいてっちゃって」
男「あ、いえ…俺たちは二人で大丈夫なので…」
「お気になさらず」そう言おうとしたが、僧侶はそれを許さなかった。
僧侶「いいえ!町まで送ってくわ!」
勇者「だめだ」
僧侶「なんで!」
勇者「俺達には目的がある…それだけだ」
とうとう馬車の中から出てきた勇者は、剣も抜いて出てきた。
馬車から降りて二、三歩進んで男に向かいダッシュで襲い掛かる。
僧侶「?!」
勇者「目的の障害になる物は人間であろうと消す!」
振り上げられた剣は男の頭上2cmまで迫っていた。
その剣を男は刹那のタイミングで後ろに飛び跳ね、かわす。
男「っ!…いきなり何を?!」
勇者「……?」
勇者は男がいた位置をずっと見て、「なぜ…?かわされた?」とブツブツ言っている。
僧侶「ゆ、勇者の一撃を…かわした」
男「…なんだよいきなり…」
どうやら正体は気ずかれてはいないようだが…どうする
男は剣(刀)の柄を軽く握る。
勇者「…お前が…初めてだ」
男「?」
勇者「だけど…今のはまぐれ…だろ?」
ずっと下を向いていた勇者の顔が男を見る。
見られた男は背筋が震えた。が、止まることを男の体はしなかった。
勇者の剣は男の首筋を遠くにいながらとらえていた。
勇者が右足で地面をけり、猛スピードで男へと迫る。
勇者「一斬、必殺!」
男「!」
アサシン「私をわすれるなぁ!…は!」
袖から札をだし、勇者へと投げつける。
勇者「紙如きで!」
札を斬りつける。
アサシン「紙は神!神はおこらせるなよ…天の裁き!落ちよ落雷!」
ジャンプしながら見事に一回転を決め、地面に足が付くと同時に右人差し指を空へと指す。
勇者「?!」
ピカッ、と空が光ると同時に勇者の体も光を上げ、コンマの遅れで雷の轟が周りにいた人の
目と耳を襲いにかかる。
が、男は別だった。耳は聞こえないくらいに「キーーン」と鳴っていたが、目は見えていた。
男はアサシンの手を引き森の中へと隠れるように逃げて行った。
雷の光と轟でスタングレネードより強力な効果を得られ、男たちは追跡されることなく逃げれていた。
雷を落とした張本人の少女は伸びていた。
男「これ俺が体制無かったらどうしたんだよ…まったく」
声が出ているのはわかるが、耳がいかれていてちゃんと喋れているかはわからなかった。
周りには誰もいないから誰も聞く相手がいないからどちらでも関係はないのだが。
今日は終わり~
乙乙乙
乙
少しして耳が聞こえるようになり、男は少女を木に掛けさせて
道に戻り勇者(人間の)がまだいるかを確認をしに一人で森を歩いていた。
男「…必死だったとはいえこんな奥まで来てたのか……道が見えない」
男「……」
ザッザ、と地面を踏みしめ来た(と思う)道を戻っていく(実際は戻ってるのか進んでるのかもわからない)。
すると、目の前に羽の生えた猫が茂みの中から出てくる。
男「…?」
猫「…みゃ~」
男「ん?」
猫はそのままどこかへと歩いて消えて行った。
男はしばらく歩いていると道に出た。が━━
男「あれ…?」
男達が先程までいたのは湖沿いの道。
だが今、男が立っているのは崖と森に挟まれた薄暗い道。
男「…まよっちゃった」
男は誰もいない道の真ん中で下をだし、右手でコツン、と右手を頭に当ててる。
いわゆる「テヘペロ」だ。が、男性がやると少し痛い(イタイ)。
男「…戻ろう」
男は静かに森の中へと歩いて戻って行った。
帰りはすぐに道がわかった。
帰りにも茂みから猫が出てきて、「にゃ~」と言い、またどこかへ消えて行った。
男は森に戻り寝ている少女を担ぎ、その日は近くの村に泊まることにした。
そこは魔物の村だったが、男は歓迎された。
すでに魔族には顔パスが通じると知った男は少し、優越感を覚えながら悲しさも覚えた。
翌朝、時計が示すは早朝『05:00』
少女はふかふかのベットから身をお越し、辺りを、約十畳のベットと机、ゴミ箱しかない部屋を見回す。
アサシン「…ここは」
そしてお決まりのセリフを口にする。
その声が聞こえたのか、偶然か、それはわからないが、
ドアをノックせずに男が水のたまった桶を持ちながら入ってくる。
男「お、おきたか」
ベットに座り込んで、男を見ている少女に対し、男は安堵のため息まじりに「おはよう」と言い、
机に桶を置き、椅子をベットの横に持ってきて座り込む。
男「どうだ?体の調子は」
アサシン「なんかしひれる…」
まだ下が少し麻痺してるので、言葉が少しおかしい。
男「自分の技で自分がくらってるんじゃ何も言えないな」
「ははは」と笑いながら文句の返しようもない指摘をくらう。
アサシン「……ここは?」
華麗にスルー━━したと思っているが、客観的には言葉に詰まって話をそらした様に見えている━━をして、
疑問を問う。
男は簡潔に「宿」と、一言で答える。
アサシン「いや、…どこの?」
納得できない少女は再び問う。
男「知らん、なんか魔族?の村の宿」
アサシン「よく入れたわね」
男「なんか知らないけど…顔パスで」
アサシン「……あぁ」
少し考え納得した少女。
「きっと魔王が何かしたな」とか思ったりもした。
暫く話しているうちに、ドタドタドタ、と廊下から音が聞こえてきた。
二人はドアを暫く眺めていたら、バンッ、と勢いよくドアが開けられ、
この宿の主が入ってきた。
男「?」
アサシン「にゃにごとで?」
少し噛んだ少女は頬を赤らめて、隠すように、布団に顔を埋める。
主「ゆ、勇者さま!……で、いいんですよね?」
息を切らせ男を見つめている。
男「えぇ…まぁ……はい」
男はまだ認めていない。自分が勇者だと。
が、認めなくても勇者だと言うことを認めなければならない男は少し言葉に詰まった。
だが主はそんなことは気にせず男へナイフを向ける。
アサシン「なにを?!」
少女がベットに立ち上がり警戒態勢を取る。
主「と、盗賊が出たんです…!」
男「……は?」
アサシン「……は?」
言葉の意味は理解したが、男達はなぜ主がナイフをこちらに向けているのかが理解できずに、
マヌケな反応をしてしまった。
男「そ、それはわかったけど…俺たちにどうしろと」
主「も、もちろん!退治していただきたく!」
男「あ、やっぱり…」
アサシン「物を頼む態度ではないのでは?」
主「あ、あぁ!これは申し訳ない!…今朝食の用意をしていて…申し訳ない」
二度謝った。
主「退治はどうぞ、朝食の後に」
男「そのつもりです」
この言葉に少女は勇者としてのやる気の無さに改めて実感した。
食後、
男と少女の二人は主の言っていた「盗賊」の居場所の村はずれの海岸に来ていた。
白い砂浜、微かに香る磯のにおいを運んでくる心地いい風にうたれ二人は海岸に
無理やり上げたように見える船を目にして、少し眺めていた。
男「でかいね…」
率直な感想を告げ、唖然とする。
アサシン「旗から見るに…海賊だね」
少女が見つめる先の船の象徴の旗には、大きく髑髏マークに、左右に剣が交差する形で描かれている。
男「…なんかそのまま海賊って感じだね」
すると、後ろから「何か文句でもあるかな?」と、若々しい女性の声が聞こえると同時に
男の首筋に光る銀の刃が押し当てられる。
男「……」
剣を押し当てている本人は「私の船だ…文句があるなら言ってみな」と言いながら
ゆっくりと男に立つよう指示もする。
男は指示に無言で従い立ち上がる。
「それでいい」女性がそういった瞬間、すこし気が緩んだのか、剣の位置が少しずれる
と、同時に男の体から青光りする雷光が光ると同時に、剣に電流が流れる。
それを女性は刹那のタイミングで剣を手放し、電流が自分の体に流れるのを阻止する。
アサシン「…だれだ」
男の隣にいたはずの少女は女性の後ろに回り袖からはみ出る短剣を首筋へと押し当てる。
女海賊「わ、わたしは…女海賊だ!」
名乗ると同時に少女は短剣を袖に仕舞い込み、男の隣へと戻った。
女海賊「…お前らこそ…何者だ…」
何も武器を持たない女海賊は目力だけで男達を殺しにかかる。
男「俺たちは……俺たちは…」
アサシン「私たちは勇者だよ…魔族の」
男が言葉に躊躇っているのを配慮して、少女が答える
女海賊「な?!…魔族の勇者……だと」
予想以上に驚いている女海賊をみて、二人は少し疑問が沸いた。
「人間側は俺達の存在をしらないのか?勇者(人間側)は知っているのに」という疑問が。
女海賊「魔族の勇者は…俺たちの勇者が倒したって…」
男「んん?」
少し笑い交じり反応を出してしまった。
女海賊「…どういうことだ?……んんんん…」
悩む女海賊の後ろに巨大な影が迫る。
女海賊「…え?」
振り返る女海賊の頭上に巨大な棍棒が振り下ろされる。
トール「ウゴォォォァ!」
三メートルはあるトールが襲い掛かる。
男「…!」
男の体はとっさに剣を抜く勢いを利用して下から上に振り上げる。
振り上げられると同時に剣先からは雷光が走り、一直線にトールの腕を切り裂く。
男が振り上げた剣の剣先からトールまでの距離は役一メートルの三十センチ。
少女はその光景をただ眺めていた。眺めるしかできずにいた。
トールの悲痛な叫ぶ声が海岸一面を響き渡り、波が荒れる。
男「ッ!」
強風が起き、飛ばされないように体制を低く保つ男と少女。
女海賊はトールの近くにいたので、叫び声に耳をふさぐのが精一杯で、暴れるトールの残った片方
の腕に叩かれ吹き飛ばされる。
女海賊「がっ!」
空中を舞う女海賊を見て男は「アサシン…彼女を!」そういって、体制を低くしたまま
トールの下へと走っていく。
少女は言われた通り、女海賊が落ちる寸前でキャッチをした。
トール「ウゴォォオァ!あぁあ!」
叫びながらも、男の姿をとらえたトールは落ちている自分の腕を蹴り、男にぶつけようとする。
が、男には当たらず、トールは体制を崩し、倒れる。
男は風が止んで瞬間を逃さず、トールの上に上がり、トールの首を跳ねる。
女海賊は少女に膝枕された状態で目が覚めた。
幸い、目立った外傷はなく、片腕の骨折で済んだ。
男たちは助けてもらったお礼として女海賊の船に一泊お世話になることになった…はずだった。
男「おい…どういうことだ」
男は今━━
女海賊「…きまっている私たちは今人間界に進んでいる!」
━━今、拉致られていた。
また後日
乙
乙でした
女海賊「お前たちは私の命の恩人だ」
男「…で?」
女「だから……この私が!かくまってやろう!」
腰に差していた剣を抜き、上へとかざしながら
大声で宣言する。
男「結構です」
女海賊の提案(?)に男は即答した。
女海賊「…そ、そういわずにさ」
半泣き状態になりながらも食い下がらない食い下がる。
男「俺たちは勇者と戦うんだ」
女海賊「死ぬかもだぞ?強いんだぞ?」
男の素っ気ない返答に女海賊はオドオドとしながら歩み寄る。
その間にスッ、と少女が間に入り、「とりあえず陸に下してください」
そういって少女はその場に倒れこんだ。
男「アサシン?!」
倒れた少女の体を抱きかかえ、さする。
少女は船に酔っていた。
そんなこともあり、しかたなく、女海賊は船を陸に着けた。
アサシン「ウゥ…」
男「おーい…大丈夫か?」
少女は船と陸を繋ぐ橋の上を渡る男の背中の上で目を覚ました。
アサシン「こ…こは?」
まだ具合の悪そうな声で問われる。
男「陸に降りたの」
そう言い終わると同時に短い橋を渡りきり、少女が「歩く」といったので、
男は少し体制を低くして少女がおりやすくする。
男が少女を下して立ち上がった瞬間、後ろから荷物を少し持ちながら女海賊が船から出てくる
女海賊「私もついていく!」
男「…は」
女海賊「ついて行く!もう決めた!」
アサシン「私たちについて来ると言うことは、人間を敵に回すのですよ?」
少女が正論を述べると、女海賊は「そんなのどうでもいい!」と言い、仁王立ちで決め顔をきめた。
彼女いわく、「すでに海賊って時点で人間も敵に回ってる」だ、そうだ。
男「船はどうするんだよ」
女海賊「副船長に任せる」
副船長「まかせとき!」
片手にぬいぐるみを持ち、喋ると同時に人形の口を開けて言葉を合わせている。
副船長さんは腹話術がお得意なようだ。なぜか今の今まで、
船の中で見かけなかったのは、なぜだろう。
などと男が思っている間に女海賊は船員たちと涙の別れ、と言うよりは爆笑の別れを済ましていた。
愉快な仲間だな。男は生暖かい目で見つめていた。
男は一瞬、視線を背中に感じた。
男が振り向くとそこには一匹の猫がこちらをジッと見つめ座っていた。
男「……お前」
その猫は前に森で見た猫とうり二つだった瓜二つだった。
ただ違う部分が一つあった。
男「…おまえ、飼い猫だったのか?」
その猫は首輪をしていた。
猫「………」
猫はそのまま、男に背中を向けてどこかへ去って行った。
男「猫は自由……だね」
特に何も思わず、男は女海賊と少女の方へと体と顔を振り向きなおした。
すると、少女は男と同じ方向をずっと見ていた。
━━それから一週間、男と少女、女海賊は一緒に旅をしていた。
船から降りたその日は港の宿に泊まり、次の日から町を出て、魔物や山賊などが多くいる
険しい道を通り、旅をしていた。
少女はあの猫を見たときから少し無口になっていた。
男がそのことに気が付いたのは、一週間経った今日、今この時。
男達三人が道を歩いていると、とある一人の少年が剣を抜き、男に襲い掛かってきた。
この時だった。
いつもなら少女が手裏剣やら魔法やらを飛ばすのが、今日に限っては無視して歩き去って行こうとした。
少女が気づいたのは、男と少年の剣がぶつかり合う音を聞いてから。
気づくと同時に少女は札を少年の剣に投げつけ、貼り付けた。
アサシン「業火爆炎!」
少女が叫ぶと札が爆発する。
男は間一髪で後ろにジャンプで避け、爆風の風圧での追加攻撃もなんとかかわした。
が、風にあおられ、思ったより後ろに跳び、着地に失敗、受け身が取れずに膝を着いた。
相手の少年はその隙を逃さず、男に折れた剣を投げつける。
今日の分は終わり
乙
乙!
乙でした
折れた剣は男を通り過ぎ、男の後ろに立ち尽くしていた女海賊の太ももに突き刺さる。
女海賊「ア”ア”ァ”」
悲痛な叫び声を上げ、刺さっていない方の足で膝を着き、刺さった剣を抜き、放り投げる。
すぐさま女海賊は回復魔法を唱え、自らの傷を癒す。
男「おまえ…何者だ」
丸腰になった少年に向け剣を向け、男は問う。
少年は腰を低くし、女海賊が投げた剣を今にも取りに行こうとしている。
男「答える気は…ないんだな?」
男の最後の忠告(?)を聞きもせず、地面を思いっきり蹴り、飛ぶかのように
男の真横を素早く通り過ぎ、地面に落ちている剣を掴み、勢いを落とさずUターン。
そのまま女海賊に切りかかる。
女海賊は手当に気を取られて気づいていない。
少年の持つ折れた剣は女海賊のうなじに狙いを定めた。
男「……!」
男は剣を鞘に納め、地面を思い切り蹴り、先程の少年のように地面スレスレを飛ぶ様に滑空する。
剣があと五センチで肌につかくギリギリの所で男は少年の腹部下に体制を低くした状態のまま
入り込み左拳を、腹部上部中心、鳩尾にスピードを落とさぬまま、自分の腕力も追加し、
岩をも砕く勢いで叩き込む。
少年の動きが止まり男に抱かれる状態でクタリ、と力が抜けた状態になり、
手に握られていた剣はそのまま地面に落ち、突き刺さる。
男は少年を背負い、歩いていた。
一番前に男、その横に少女、男の後ろに女海賊が荷物を抱えながら息を切らしてついて来る。
ふと、女海賊が顔を上げると、男が背負う少年の首元に目がいった。
女海賊「……ん?」
後ろで声が聞こえた男が止まり、振り返ると横にいた少女も一歩遅れて振り返る。
男「どうした?」
女海賊「いや…その子なんだけど」
男「なんで俺達を襲ったか分かったのか?」
女海賊「そうではないけど」
アサシン「さては生き別れた兄弟ですか?!」
女海賊「そんな感動の再開ならあった瞬間分かってるよ…ったく、その子の後ろ首に痣あるだろ?」
女海賊が指をさした部分を二人が覗き込むように見ると、
確かに、星の形が正方形の線で囲まれた、いかにも人工的な痣があった。
男「…烙印?」
男が思ったことを口にする。
女海賊「そう…これは奴隷の烙印だよ」
男「奴隷?!」
女海賊「いや~初めて見た」
右手を顎につけ、左手で右手の肘を支えるように眺めて、「ほほう」などと
どこかの似非紳士臭さを覚える姿を見て少女は少年の奴隷の烙印を細く、きれいな指で
なぞるように触れる。
そして少女は「これ…見たことある」と言い、女海賊と同じく、右手を顎、左手を右腕の肘に当て、
ここは女海賊とは違い、考え込む。
ほんの数秒悩んで、少女は思い出したかのように顔を上げ、
女海賊へと質問を投げかけた。
アサシン「この奴隷の烙印というのは、その主である家の家紋を似せるんですよね?」
女海賊「あぁ、そう習ったぞ…いきなりどうした」
アサシン「なるほど…ではあの”猫”はやはり」
男「猫…?!」
男は少女の言葉に過敏に反応した。
アサシン「こないだ、船を降りた所にいたあの猫、首輪をしていましたよね、その猫の首輪についていた
コインの様な物に、コレと同じ形のが彫られていました」
少女が言っていた猫の首輪には確かにコインの様な物がついていた。
男は形までは覚えていなかったが、少女が言っていることは本当だと、男も分かった。
女海賊は何のことかわからぬままただ息を切らしていた。
すると、噂をすればなんとやら。
シャラン、と鈴の音が男の後ろから聞こえてきた。
男「…」
男は音のした方向に振り返る。
そこには、一匹の猫と、綺麗なゴスロリ風のミニスカドレスに、
赤と黒のシマシマの日傘を差しこちらを眺めている黒髪ロングの不気味なオーラを漂わせる少女とも呼べる姿があった。
アサシン「あなたは…」
少女は男の後ろに隠れ、顔だけをのぞかせた状態でいる。
男「………」
黒髪少女「……」
目で語り合う二人。
今日の分終わり。
毎回少なくて、遅くてすいません。
乙
乙でした
電気使って身体強化!…なんて展開はなさそうだな
暫く見つめ合っていると黒髪少女が視線を空へ向ける。
後ろで、横で、後ろでs黒髪少女の目を見ていた二人が、彼女の向けた視線の方向に
目を向ける。
空は雲一つない改正。所々を鳥が飛んでいる。
視線を戻すとそこには黒髪少女の姿がなかった。
そして男の姿も。
アサシン「な……?!」
女海賊「…ほぇ?」
少女は唖然として、視線を男がいた位置に固定している。
女海賊はマヌケな声を上げ、辺りをキョロキョロ見渡す。
辺りは木が数本に花が咲き誇っている。
が、男と黒髪少女の姿は何処にも無かった。
━━━
━━━●X■?
視界が歪む…。
「…サ……ナ」
誰かの声が…聞こえる。
誰だよ…眠いんだよ。
眠い?…なんで俺は眠いんだ?
……わからない。
でも眠いんだ、邪魔しないでくれよ。
「……キ…イ…オ…ナサ」
なんだよさっきから。
「オ…キ…イ……ナサ」
「オキ…サイ」
「起きなさい!」
パンッ、と頬を叩かれた。
すごく痛い。
男「痛ッ?!」
あまりの痛さに声を上げ、手で頬を抑えながら起き上る。
男「……ここは」
さっきまで見ていた夢(?)と似た、空が赤い世界。
水は紫色。気は黒い。土は血のように独特の赤。
男「ここは一体」
先程までいた場所とは明らかに違う場所を男は見回す。
「やっとおきたね」
声をかけてきたのはさっきの黒髪少女だった。
男「?!」
先程まではいなかった少女のいきなりの登場に一歩引いてしまう。
黒髪少女「そう警戒しないでくれ」
少女は傘をしていない。
傘は柄の部分ではなく、傘の布の部分を右手持っている。
そして開いているもう片方の左手で猫を持っている。
男「…俺に何をした」
黒髪少女「いやいや、特に何も…強いて言えば━━」
少女はそこで言葉をやめた。止めたのではなく、やめたのだ。
そして視界を左へと向け、体も左に回し、右手に持っている傘で視線の先を指した。
男はその方向へと目を凝らした。
その先には四人の男女がいた。
詳しくはわからないが、剣や杖などを持っている人がいた。
男「人…?」
黒髪少女「そう…二○○年前の“私達”だ」
少女はそう言う。
男は一瞬「は?」という顔になったが、すぐに驚き少女の顔を見ようと視線と顔を向ける。
少女はジッ、とこちらを見ていた。
男「……どういうことだ」
黒髪少女「これは記憶の世界…私達が魔王を倒す記憶(物語)」
男「なんで俺にそれを」
黒髪少女「それは、本当の敵を知るためさ…本物の魔王を知るため」
男「本物…?」
黒髪「あぁ、そして私は二○○年前の勇者だぜ」
右手に持っているまま傘を肩に乗っけて、いまにも「どや」と言わんばかりの決め顔を見せつけてくる。
しかし、少女の顔つきが一瞬にして変わる。
黒髪少女「ッチ…こんな時に」
少女は空を見上げる。
黒髪少女「男よ、君にはまた会うだろう。その時まで死なないよう気をつけろ、お互いな!」
地面を蹴り、空高く飛んで言った少女。
そのまま彼女は降りてこなかった。
男「…あれ?おれどうすれば」
すると、シャランッ、と鈴の音を鳴らしながら歩み寄ってくる少女と一緒にいた猫。
男「…おまえが戻してくれるのか?」
猫「世界は…変化する。それもまた定め。だが今は戻る時。来(きた)る世界はまだ先の先。
男よ…君はこの世界の事実を一人で確かめるか、また彼女が会いに来るまで待つかどちらを選ぶ」
男「 」
猫が突然喋ったことに男は驚き、唖然、呆然としている。
が、猫に名前を幾度と呼ばれ自我が戻る。
男「あ、あぁ…戻る。一人ではここに居てはいけない気がする」
猫「ふむ、直感では分かっているようだな、では男、貴様をもとの場所へ戻す」
猫がそういい終わると同時に男は再びめまいがした。
男「な…にを」
猫「戻すのだ… …また会おう」
最後に男は猫ではなく、一人の男性の姿を目にした気がした。
その男性はどこかで見たような気がしたが、意識がもうろうとして考えることはできなかった。
男は倒れた。
とりあえず終わり。
断片的に思い浮かび、書きながら考えてるので遅く、とちゅう変になってしまい
申し訳ない。
ではまた
乙
1週間に一度でも良いのでエタらせずにじっくり書いてください
乙
乙でした
男がいなくなった少し後。
アサシン「ど、どこ…どこにいった…」
何もできず頭を抱え込み悩みこみ、その場に膝を着いている。
女海賊「……あれ?」
アサシン「なんだ…」
女海賊「いや、あの男の子は何処へ?」
ふと、先程まで男が抱えていた少年の事を女海賊は思い出した。
が、気づいた時には少年は姿を消していた。
アサシン「そういえば…あの女の人と男が消えた時にはもういなかった気が…」
女海賊「……なんだろう、嫌な予感が」
アサシン「?」
女海賊が両腕を抑え、身震いをさせているのを見て少女は小首を傾げた。
同刻━━
冷たい。
頬に感覚がよぎる。
男「…は!」
男は勢いよく起き上り、強い日差しに手をかざし、目への直接当たるのを防ぎ、
そのまま辺りを少し見回す。
男「ここは…先まで居た場所……じゃないな」
見回すとそこには二人の姿はなく、
あの少女といた、世界に似ていた。が、先程とは違い、
世界は正常な色をしている。
男「…剣が………ない?!」
男はとりあえず歩きだそうとして、腰に手をやると
そこにあったはずの、村を出るときにもらった刀のような剣がなくなっていた。
━━━少女、女海賊側━
アサシン「…にしても…どこへ、転移魔法はさすがに使っていないだろうし」
女海賊「空飛んだとか」
人差し指を立て、上(空)へ指す。
アサシン「そんなわけ…」
すると、少女の耳元スレスレで「ブンッ」と何かを振り下ろしたような音が聞こえると、
ほぼ同時に「ザッ」と何かが地面に刺さる。
女海賊「……これ」
アサシン「…嘘」
二人は上から落ちてきた剣をみて棒立ちになっていた。
男側━━
男「え…あれないとどうするの?なんかさっきから変なでかい人(?)みたいなのがこっちに
でっかい木の棒もって走ってくるよ?何あれ『ワロタww』…じゃなくてあれ…
前に海岸で倒したやつ……の何十倍もでかくね?…ティラノじゃね?見たことないけど」
男は混乱して今起こってることを言葉で表現できる限りに頑張っている。
が、心ここに在らずだ。
トール「ウォォァァァァアアア!!」
優に一○メートルはある巨体が棒を振り上げ、轟音のような雄叫びを上げ、
迫ってくる。
男は考えた。逃げる術を。戦う術は全く考えなかった。
なぜか?それは武器が消えたから。あの巨体に巣では無理と男は考えていた。
が、その巨体が残り三○メートル位に迫ってきたところで男は
前へと足を踏み出し、走り出した。
男「どうせあの速さだ……逃げれないなら……死ぬ気で殺す…!」
男は考えることを止め、本能に身を任せた。
瞬間、男の身体は閃光の如く消え、
トールの巨体のてっぺん。頭の目の前にいた。
男「……はぁ!」
男の右腕には太陽の光をも凌駕する青く光り、轟音を発する雷が纏う。
そのまま右腕を殴るようにトールの顔面へと突き出す。
瞬間。一直線に青い光の柱が地平線まで伸びる。
トールの顔は焼けて消えていた。
巨体はピクピクと痙攣していたが、もう動かない。
男は微々たる電気を帯びており、少し光っているまま倒れこんでいた。
━━━
数日後~
━━━━
女海賊「あれから何日たった」
ベットに座り、剣を膝の上に置き、その剣の上に手を乗せて剣を撫で、見ながら
少女へと話しかけている。
アサシン「三日…あれから三日。男は姿をみせず、その剣だけがのこっている…」
こちらは机に座り、右手の人差し指で机を「トントントントン」と何度も叩き、
頭をかきむしり、また机を叩くの繰り返しだ。
━━そのころ、男はとある一人の人物に救われていた。
あの後、夜になり辺りは暗く、何も見えない中、男の身体から漏れる雷の光
で一部だけ照らされていた。
そこへ通りがかった旅人が男を拾い、安全な所へと移し、看病されていた。
男「………ん………」
「ん?…今起きた気がしたが……気のせいか」
三角巾を着け、桶の水に布を付け絞り、男のおでこに乗っけている
茶髪で切れ長のブルーアイの男性。
今日は終わり
おつ
乙でした
━━━
身体が軽い━━
水の中に少しずつ沈んでいく感覚。ここちがいい━━
男「……」
男は静かに目を開けた。
男「……ここは…」
目を開けると男は何もない。ただ明るい空間(?)に浮いていた。
その事実をわかっていながら驚きはしなかった。
ただ、動くことをせず、空中を漂っていた。
空はない。地面もない。
もちろん、草、木、水、ある筈の物は何もない。
ただ真っ白な無の空間。光はたぶんある。
男はそんな空間でただ漂うだけだった。
が、ふと気づくと上(?)、男の目の前には淡く光る何かが居た。在った。
男「……」
虚ろな、今にも消えてしまいそうな男の瞳には確かに見えていた。
淡い光を宿し漂う自分が。
男「…?!」
その姿を認識すると男は全身の緩んでいた力へと力を戻し、その姿へと手を伸ばす。
男「は…は!」
言葉はなく、ただ必死にもがいている。
男(?)「……」
男に見えている男の姿は動かず、男がもがくのを見て少し口を緩め笑みを浮かべる。
男「お、お前…は…!」
もがきながら、やっと言葉を取り戻す。
が、男は突如動きを止め、自分の体を見回す。
男「なん……なんだよこれ!」
男の体は欠如していた。
右腹部がなく、かけている所からは血の滝が流れ、
足は左足の膝までが残っており、それ以外の下半身部はすべてなくなっており、
腹部より血が大量に流れている。
男「あ…アァ”ァ”ァ”ァ”ア”ア”」
痛みはない。
男の姿をした何かはクスクスと笑っている。
男(?)「どうだ…痛みのない恐怖は」
何かは叫ぶ男へ話しかけた。
男「…な…にが」
体中を震わせ、両手で両肩を抑えながら出すのがやっとの声で答えにならない答えでその声に応える。
男(?)「その姿は未来のお前だ…俺に頼った末の姿。おれがお前を食った姿だ」
男の無い部分を見てにやけている。
男「なにを…言ってる」
男(?)「そのままの意味だよ」
男「そ、そもそも…お前は一体」
不思議そうな、そして遺物を見るような眼差しで男は問う。
男(?)「見ての通り俺はお前だ。そしてお前は俺の……俺の……フフ━━━」
言いかけ、そして不敵な笑みを浮かべ、消えた。
男「?!」
男「は…!」
布団から飛び起きる男。
「わ!?」
男「ハァ…ハァ……ハァ…?」
息を上げながら声が聞こえた方向へと視線を移す。
男「…貴方…は?」
狩人「わ、私は狩人…君を助けた者だよ……だ、大丈夫かい?」
少し驚きながらも、サラリと男を助けたことも述べ、男の膝に落ちたタオルを拾い上げる。
━━
少しして落ち着きを取り戻した
男を連れて狩人は食糧の調達をしていた。
狩人は「君を看護していて食糧が無いのを忘れていた」と笑いながら言っていた。
男「ここは…木が大きいな」
上を見上げながら、上という上が見えないほど大きな木が並ぶ森林を歩いていく。
狩人「まぁここは特別だね、魔力が自然に生まれて、その魔力を栄養源として自然に摂取して
育つ木が多いからこんなにでかくなるんだ。
…魔力の高い人が来るとその人の魔力が尽きるまで吸われるから危険区域としても知られてるよ」
サラリと危険なことを言う人だな。と男は思った。
男「そんなところに来て大丈夫なのか?」
狩人「大丈夫だよ。魔力の管理がちゃんとできる人ならね…僕は魔力が管理できるように修行してるから」
男「管理?」
狩人「魔力ってのは自然に体外に放出されるんだよ、いくら気を付けてもね
だから、管理っていうのは、その放出をさせない。無駄に魔力を使わない為の
一種の奥義の様な物だよ」
時々身振りも加えて、簡潔にわかりやすく説明してくれる。
男も頷きながら、淡々と歩いていく狩人に必死についていく。
今日は終わり
乙
━━
男が狩人と森林を歩いているとき━━
勇者「……なぁ…僧侶」
剣を光に当て、輝かせそれを見つめながら
魔物を杖で叩いている僧侶へと声をかける。
僧侶「ん?どうしたの?」
勇者「ふと思い出したんだけど…」
ブンッ、と剣を振り下ろし、剣を鞘へしまう。
僧侶「??」
杖を胸元に抱きしめ、小首を傾げ勇者を見つめる。
勇者「前に俺から逃げたあの男と幼女…今どこにいるかな?」
賢者「あぁ、例の雷の?」
横から光の如くいきなり現れる賢者。
僧侶「さぁ…私にはわかりませんが」
勇者「そうか……今度会ったらまた戦えるかな?」
勇者の目がきらりと危ない輝きを宿す。
戦士「勇者が興味持つほどの相手ね…きになるな」
賢者「右に同意」
肘だけを曲げ、小さく手を挙げ賛同する。
戦士「てかよ勇者」
勇者の肩に手を置く
勇者「ん?」
振り返ると、戦士の人差し指が頬にあたる。
勇者「 」
勇者の背後に千手観音が如く、威圧のオーラが流れる。
戦士「今はこれ、この状況」
賢者「この草原一杯のドラゴン族をどうにかしなくては」
勇者たちは今、小さくて二メートル、最大で十メートルはある無数のドラゴン達を
相手に戦っている。
勇者「だって…ドラゴンでけーし固いし…なんもできねぇよ?」
柄をさすりながらいじける。
戦士「俺素手だけど?」
どや顔を勇者へと向ける。
賢者「私は魔法だし…関係ないか」
そう言い残してドラゴンの群れへと稲妻の雨を降らす。
僧侶「わ、私は…補助だから……」
勇者「……」
無言で立ち尽くす勇者。
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