妹「じゃあ食うな」(129)
風を引いたときには味覚が狂ってしまう。
しかし、うまいものがまずくなることはあっても、まずいものがうまくなることはない。
まずいものはまずい。
「まずい」
「じゃあ食うな」
そういう訳にもいかない。
食べなければいけないからこそ、もうちょっと頑張ってほしいのだけれど。
「どんな具合にまずいんだよ」
「とんでもなくスパイシーだ」
「香辛料入れてないけど」
「貴様何を入れた」
俺の知らないものが入っていることは確かだった。
「なんだ、元気じゃん。心配して損したわ」
「嘘をつくな嘘を」
食べたら置いといて、と言って妹は部屋を出ていった。
ふと訪れる静寂に急に寂しさを覚える。
何かすることがないかと周りを見回すが、何もない。
よくある心細くなるパターンだ。
妹が食器をとりにくる様子もないし、もう寝てしまおうか。
そんなことを考えているうちに俺の意識は夢の世界へと旅立ってしまっていた。
熱はすっかり下がりきっていた。
あの料理のおかげだ、と妹は胸を張っている。
「今日からは俺が飯作るかんな!」
「あたし作る気ないし」
さいですか。
何はともあれ俺の胃袋は守られた。あいつの胃袋はどうだか知らんが。
「お前さぁ、向上心は無いわけ?」
「無くても困らん」
「未来の旦那が困るぞ」
「その時はその時」
「危機感というものがまるでないな」
「無くても困らん」
だめだ、どうあがいても奴は練習するとは言わないだろう。
これ以上言ったら怒るかもしれないし。
やっぱ言おう。
「お前はやればできるんだから」
「やらないとできないのかぁ、あたしは」
「何もしていなくても料理ができる、そんな天才に生まれたかったなぁ」
「やってもできない子がいるのになんて贅沢な」
「そういえば、今日友達くるけどいいか?」
「お好きにどうぞ」
そういえば、こいつが家に友達を連れてきたことがない。
こいつ友達いるのか、と不安になったので、聞いてみた。
「失礼な。いるわボケ」
「家に連れて来ないけど」
「兄ちゃんに会わせたくないんだよ」
うわぁ~ショック。俺は友達に会わせたくない、恥ずかしい兄だったのか。
「あっ、いやそういうのじゃないから、安心して」
俺、めっちゃホッとしてます。今。
眠たくて瞼が痛いから今日は終了
様子見
|
|ω・)…
|⊂ノ
いいね
再開
妹は薄いレモン色のソファーにだらしなく寝転がり、ガリガリ君をかじっていれ。
我が家では見慣れた光景であった。
「友くん来るんだったらさ、部屋片づけなよ。食器とかおきっぱなしだから」
「え?お前片づけてくれるんじゃないの?」
「そんなこと言ってないけど 」
確かにそうだけれども。
昨日、妹が早く食器を取りに来ないかと心踊らせていた自分が恥ずかしい。
まあ、食器を抜きにしても俺の部屋が綺麗だとは言えないので、忠告通り部屋を片づけよう。
俺の部屋は汚いのだけれど、「どうにかなる汚さ」だった。
床に脱いだ服、マンガ本、小説などが散らばっており、これをあった場所に戻せば終わる。
さっさと終わらせてしまおう。
>>14訂正
かじっていれ×
かじっている○
一時間くらいである程度部屋は片づいた。
時計をみるともうすっかり昼だったので、相変わらずソファーでゴロゴロしている妹の希望を聞くことにした。
「昼何がいい?」
「何でもいい」
何でもいいが一番困る、とよく母は言っていた。
しかし、俺自身はあまりそうは思わなかった。
何でもいいと言ってくれたら、自分の好きなものを作れるじゃないか。
きっと母は、何を作るか思いつかなかったときに俺の希望を聞いていたのだろう。
それなら、夜ご飯何作ろうか迷ってるんだけど、と言ってほしかった。
これなら、思いつかない、と言うことだってできたのに。
冷蔵庫の野菜室の中から、適当に野菜を取り、ウィンナーと一緒に炒める。
これだけではなんだか寂しいので、冷蔵庫の中から絹ごし豆腐を取り出して、別の皿に盛りつけて鰹節をふりかける。
「出来たけど」
妹は出来上がった飯を見て、
「野菜炒めかよ」
と言った。
お前。何でもいいって言ったやないか。
「何でもいいと言った以上は文句は許さんからな」
「わーってる」
「・・・今度からは」
「へ?」
「今度からは、あたしの好きなものだったらって意味だから」
はあ。
妹は器用にウィンナーともやしだけを箸でつついて食べていた。
こいつ、ほうれん草のうまさをわかってねえ。
「ほうれん草おいしいじゃん。食わんの?」
「嫌いだから」
「なんで?」
「嫌いに理由とかないから」
そうなのか。
「・・・じゃあさ、お前は俺のこと理由もなく嫌いになるの?」
「何言ってんの?」
「ごめん、何でもない」
俺、何言ってんの?
妹は先に食べ終え、またゴロゴロし始めた。
食事中に気づいたのだけれど、妹は俺が部屋の掃除をしている間に着替えたらしい。
なんか変にセクスィーな服になってやがる。生意気な。
思えばもう夏だ。さっき冷ややっこを食べた時も、体が喜んでいるのがはっきりとわかった。
マンションの5階から見える雲一つ無い青空を見つめながら、俺はそんなことを考えていた。
兄ちゃんが野菜炒めなんかを作ったせいで、あたしの胃袋が悲鳴をあげている。
でも、せっかく兄ちゃんがご飯を作ってくれたのに、カップラーメンを食べるわけにもいかない。
兄ちゃんの部屋から兄ちゃんと友くんの笑い声が聞こえてくる。
はあ。どうしよう。
結局私は、ガリガリくんを取りにキッチンへと向かうのだった。
とにかく暇だったから、昨日兄ちゃんの為に買ってきた適当な文庫本でも読むことにした。
しかし、最初の三行ぐらいですぐに文庫本を閉じてしまった。
なんか、だるいなあ。
ふと、好き嫌いについて考えてみた。
あたしはいつ頃からだったっけなあ。確か、小学生の頃にはもう嫌いだったはず。
ということは、小学校にはいる前に野菜を嫌いになる出来事を経験しているのだろう。
または食わず嫌いか。
あたしが野菜を嫌いになった理由は、多分後者が大きいだろう。
周りが嫌いっていってるから、嫌い。
周りがまずいっていってるから、まずい。
たぶんそんな感じだろう。
我ながらバカらしい理由で嫌いになったものだ。食べてもいないのに。
まあ、こんなことを考えたところで、好き嫌いが直るわけでもない。
・・・かといって、することもない。
見たことある文体
支援
午後5時くらいになると友くんは帰っていった。
結局部屋で何をしていたのだろう。
「どしたの?元気なくない?」
兄が聞いてくる。
「別に」
「そう」
あたしは元気のない顔をしていたのだろうか。まあ、少し退屈だったけれど。
「夜飯どうする?」
「肉」
「了解」
夜飯は肉に決定した。
あたしの腹も喜んでいた。
・・・早くご飯出来ないかなあ。
夕食のテーブルに並んだのは豚のしょうが焼きだった。
食べなくてもおいしいとわかるそのにおいから、兄ちゃんの実力が伝わってくる。
・・・別に羨ましいとは思わないけど。
あたしは短くいただきますを言い、夢中でしょうが焼きとご飯をかきこんだ。
「おいしい?」
「もちろん」
食べなれている、といのもあるだろうけれど、あたしはどんなお店で食べるしょうが焼きより、
兄ちゃんの作るしょうが焼きの方が1000倍おいしいと思っている。
夕食を食べ終わり、しばし休憩のような時間が流れる。
ふいに、ぼそっと小さい声で言ってみた。
「・・・兄ちゃん、海、行きたい」
「えっ、どしたの急に」
「あついし。最近遊んでないし。暇だし」
「んー。まあいいけど。いつ行きたい?」
「明日」
「随分と急だな。いつもの4人でいいの?」
「うん」
そういうと、兄ちゃんはすぐに友くんと幼馴染ちゃんに電話をかけ始めた。
電話での兄の様子から、二人とも行けるということが分かった。
「すごい久しぶりじゃない?4人で遊ぶの」
「まあみんな忙しかったしね」
「明日は兄ちゃんの車で行くの?」
「そのつもりだけど」
「怖すぎるからバスで行こう」
「大丈夫だって」
兄ちゃんはまだ免許を取って日が浅い。多分半年もたっていないんじゃないだろうか。
そんな人の車には、正直乗りづらい。
・・・それに、兄ちゃんまだ子供だし。
まあ、せっかく車が家にあるのに、わざわざバスで行くのもばかばかしいか。
「事故らないでよ」
「だいじょぶだって」
ふと時計を見ると、時計の針は午前1時を指していた。
どうやら3時間も勉強していたらしい。
夏休み3日目にして、すでに宿題はあらかた終わっていた。
昔から、やるべきことは早めに終わらせるタイプなのだ。
「寝不足で海にはいると死ぬって言うし、もう寝るかな」
あたしは勉強で疲れた目をこすりながら、明日の海の想像をして眠った。
ごめん、午前一時なら今日だね。
七時半くらいに目がさめた。なんだかすごく変な夢を見ていた。
具体的に言うと、
必死で俺の金を盗もうとしてくるえなりかずきの胸ぐらをつかむ、と言う摩訶不思議な夢をみた。
まあこの夢に深い意味はないだろうから海にいく準備をする事にした。
・・・俺もちょっとワクワクしてきた。
8時くらいに妹を起こしに行った。
起きて30秒くらいで、
「部屋に入るな」
と言われた。入られたくないのなら自分で起きてくれ。
妹は相当海を楽しみにしていたらしく、窓にはてるてる坊主がぶら下がっていた。
もしかしてこれを見られたくなかったのか。
・・・かわいいやつめ。
天気は文句なしの快晴だった。
隣で喜んでいる妹に、てるてる坊主のおかげかもな、と言ってやりたい気分だったが、怒られそうなのでやめた。
「9時くらいに幼たち来るから。それまでに準備しとけよ」
「もう終わってる」
「じゃあ飯でも食うか」
妹は小さく頷いた。
朝飯はハムエッグと適当なサラダで済ませた。八時半頃にはすべての準備が終わり、あとは友とと幼馴染を待つのみとなった。
「そういえば」
ふいに妹が言った。
「今日、神社で夏祭りあるらしいよ」
「そうなのか」
「いきたい」
「いいよ」
俺が短く言うと、妹はすごくうれしそうな顔をした。
昔からこいつは感情をよく表に出す。主に顔に。
嬉しい時はすごく嬉しそうな顔をし、だらけている時はすごくだらしない顔をする。
それは言い変えると、「わかりやすい」と言える。
わかりやすい妹。非常に楽で助かる。
ふいにインターホンが鳴った。八時四十五分。約束した時間より少し早いけれど、これも彼の特徴だ。
モニターに見慣れた男の顔が写る。今いく、と言葉をかけ、俺は玄関に向かう。
「おう、早いな」
「遅いよりはいいでしょ」
「まあ、上がって」
「あれ?幼馴染来てないの?てっきり僕が最後だと思ってたんだけど」
「今日はお前の勝ちのようだな」
「あはは、勝負してるつもりはないんだけどね」
そんな話を玄関先でしていると、またもインターホンが鳴った。
いちいち確認しなくても彼女だと分かるので、モニターは見に行かず、そのままドアを開ける。
「よっ、久しぶり」
「いらっしゃい。といってももう行くんだけど。そのまま下降りよっか。友、俺妹呼んでくるから。
先車乗ってて。はい鍵」
俺はリビングにいる妹に、行くぞと短く声をかける。
2度目のインターホンが鳴ったときにもう準備をしていたらしく、妹は既に鞄を手に持っていた。
「忘れ物ないか」
「バッチリだぜ!」
妹は無邪気にピースしながら言った。
妹は楽しみでしょうがないらしく、一回から上がってくるエレベーターを待つときでさえソワソワしていた。
思えば俺も幼馴染と遊ぶのはずいぶん久しぶりだ。大学で離れてから、二年くらい遊んでいないかもしれない。
あいつはこの二年間、どんな生活を送っていたのだろう。考えたこともなかった。
久しぶりに会えたんだし、そんなことも聞いてみようか。
ようやく到着したエレベーターに俺はそんなことを考えながら乗り込むのだった。
車の中はひどく暑かった。
暑さが苦手な友は、助手席で滝のような汗を流していた。
クーラーをつけるから窓を開けるなと言った俺がバカだった。しかし中途半端は好きじゃない。
滝のような汗でシートにシミができそうなことなんて関係ない。
クーラーの頑張りに期待する他ないのだ。
助手席でうなだれている(むしろ溶けている)友を尻目に、後部座席ではガールズトークで盛り上がっていた。
「・・・んでさ、こうやって、こうやったりするの!」
「何それ!超かっこいい!」
「それでね、ライブに行った友達が気絶しちゃって・・・」
どうやら、アイドルグループの話をしているようだった。
基本的に、自分の前で自分より優れた男の話をされるのはあまり好ましくない。俺にだって一応プライドはあるのだ。
そのうち、話は幼馴染の大学の話に変わっていった。
大学の話になるや否や、妹はいきなり、
「幼馴染ちゃんて彼氏いるの?」
と聞いた。急に踏み込みすぎだろう。妹よ。
しかし、そんな妹の質問に、幼馴染は躊躇うことはなく、
「いるよ」
と答えた。へえ、いたのか。以外だな。
「だれだれ?どんな人?」
妹はさらに追求する。
「それはね、あなたが敬愛するお兄ちゃんよ」
「ぶっ」
「えっ?付き合ってたの?」
妹がなぜか真剣な顔つきで聞いてくる。
「ちげえよ!そいつの冗談だ!」
俺が幼馴染と付き合っているなどという事実は一切ない。
「えへへ、冗談でした~」
幼馴染は2年前から全く変わらないあの悪戯っぽい笑顔を見せた。
インフルにかかってたので3日更新できなかったorz
書き終わるのに時間かかるかもしれんけどよろしく
待つし!
大事にな
おつ
待ってるぞ
がんばれ
それからの話に俺の興味をそそるものはなかった。
部活の後輩がかわいい、とか、妹の最近の勉強のこととか、そんなような話だった。
二年ぶりの幼馴染との会話。少しはレベルアップした会話をするのでは、と思っていたのだが、話の内容は二年前となんら変わらなかった。
しかし、そんないつも通りの会話になんだか安心していた。
二年間顔を合わせていなくても、俺たちはなにも変わらないのだ。
ただ、時々洒落にならない冗談を言う幼馴染のその癖は直してほしかった。
俺の運転は特に危なっかしいこともなく、綺麗に、そう、実に綺麗に海の駐車場にバックで駐車して見せた。
俺は以前から温めていたとびきりのドヤ顔を友に披露したのだが、友はえらく冷たい目をしてこう言った。
「なんだいそのファニーフェイスは」
おかしいな。練習したのに。
「じゃ、あたしたち着替えてくるね」
「おう。適当なところにパラソルとか準備しておくから。」
「りょーかい」
照りつける八月の太陽。青い海。俺のワクワクは最高潮に達していた。
女子の準備、というものはどうも時間がかかって仕方がない。
服を脱いで、水着を着るだけ。それなのにどうしてこんなに時間を使うのか。
そんなことを友に聞いてみたところ、
「僕たちがそこにつっこんじゃいけないよ。僕たちにそんなことはわかりゃしない」
と言われてしまった。まあ、そうなんだけど。
ただ待つだけというのは、一秒一秒が長すぎる。楽しい時間はすぐに過ぎてしまうのに。
そりゃそうか。楽しい時間が長く感じるというのでは、人間だめになってしまう。なんだかんだ言って、これがちょうどいいバランスなのだろう。
「おまたせ」
という幼馴染のいつもの声に、待ちくたびれていた俺は振り返る。
と同時に、赤面する。
我が家は貧乳体質である。妹も母も貧乳だ。
そんな家庭で育った俺には、当然耐性がない。
予想外にボリュームアップしているバストに、予想外に露出の多い水着だった。
「兄ちゃん、顔、赤いけど」
無理もない。下半身に反応が出なかっただけでも表彰モノだ。
「・・・幼馴染」
「はい、何でしょう?」
「胸、でかいな」
「うふふ。ありがとう」
隣で妹が羨ましそうに幼馴染の胸を見つめていた。
・・・妹よ。個性という素晴らしい言葉があってだな。その人にはその人に「似合う胸」という胸があるのだ。
・・・お前はとてもよく貧乳が似合っているぞ。とても。
貧乳は素晴らしいと思います、ええ
幼馴染の横で恥ずかしそうに胸に手を当てている妹に、友が気を利かせた言葉をかける。
「・・・妹。まだ伸びしろがあるってことだから、気を落とさずに」
「ほっとけ」
妹はどうやら触れてほしくないようだ。
水着の鑑賞会が終わったところで、さっきから暑さを我慢していた友が言う。
「それよりもさ、早く海にはいろうよ」
暑いのは友だけではない。友は暑さが苦手なだけなのだ。
とにかく、目の前に見えている海にさっさと入ろうという友の提案に異議を唱える奴はいなかった。
海水は程よく冷たく、とても心地よかった。
しかし、海に入ってすぐに
「やろっか。毎年恒例の」
「うん!」
「恒例の・・・水泳大会!!!」
と試合の予告が行われた。
しかし、この毎年(というか毎回。去年は来てないので。)行われている水泳大会。ほぼ俺と友の一騎討ちなのだ。
男と女では筋肉の作りが違う。さすがの妹もそれに気づいたのか、
「ただし!兄ちゃんと友くんは今年から平泳ぎね!あたしと幼馴染ちゃんは自由形」
とハンデを要求してきた。
「友、どうする?」
「いいね。受けようじゃないか」
「よし。そうくると思ってたよ。じゃあスタートは幼馴染ちゃんにお願い」
「はいよ」
「あっ、わかってると思うけど折り返し地点はいつものあのウキで、一番最初に戻ってきて敷物にタッチした人が勝ちだからね」
「分かってるって」
「兄ちゃんが後からルールを忘れてたんだ、とか言わないようにだよ」
むっ。今回の妹はやけに強気だ。今年こそは最下位にならないぞ、と意気込んでいるのだろう。
実はこの水泳大会、罰ゲームがあるのだ。最下位はみんなにラムネをおごるという、すごく小さい罰ゲームが。
妹は昔から少々勝ち気な所があった。勝負に負けるとすねて泣く、というような所まではいかないが、何か勝負事があると全力で勝ちにいった。
ルール説明を終え、自然とスタートの合図を待つ状態となった。誰一人として喋らない。
「用意」
幼馴染の可憐な声が響く。
「どん!」
戦いの火蓋が切って落とされた。
スタートは上々。腕を目一杯のばして、勢いよく水をかき分ける。
すると、横に妹が並んできた。やはり平泳ぎのハンデは大きい。
幼馴染も妹も運動は得意な方だ。幼馴染は足がかなり速いらしい。
・・・しかし、俺も得意だ。遊びとはいえ、この二人に負けるのは悔しい。
俺はペースを上げる。必死に水をかき分ける。
しかし、気になることがひとつあった。隣で泳いでいるはずの、永遠の宿敵が見えてこない。
あいつ、どうしたんだ。平泳ぎは苦手なのか。
しかし、あいつのことを気にしている場合じゃない。とにかく一生懸命泳がなければ。
ターンはほぼ一緒だった。俺と、妹。少し遅れて幼馴染。友の姿はまだ見えない。
ターンして少し泳いだ所で、やっと友の姿が見えた。
これは友、最下位かな。
俺は一位ねらいに集中する。残りはあと半分くらい。
ここで幼馴染が上がってきた。やばい、速い。
俺と妹も必死で食らいつく。ゴールが近くなってきた。
ここだ!というタイミングで俺は海底に足をつける。
陸に上がったタイミングはほぼ同時。三人でゴールの敷物まで走る。
泳ぎで疲れた足に砂がまとわりつく。めっちゃきつい。
俺は男の意地を見せた。最後の力を振り絞り、抜け出す。
そしてそのまま敷物ヘダイブ。やった、一位だ。
妹と幼馴染はまったくの同着だった。二人とも、息を切らしている。
「俺の勝ちだな」
「兄ちゃん強すぎ。あたしなんかじゃどうやっても勝てないことが分かった」
「そうだろう」
俺は勝った。妹たちにも、ハンデにも。
するとそこに、ハンデに負けた男がやってきた。
「いやぁ、負けちゃったよ。てっきり僕は兄と最下位争いをすると思ってたんだけど。まさかあんなに速かったとは」
「なめんな」
俺は息を切らしながら、今にも死にそうな声でそう言った。
一区切りついたので今日はこれで終わり
おつ!
「それじゃあ、僕がラムネを買ってこよう」
「あっ、待って友くん。あたしもいく」
そう言って友と妹は海の家に行ってしまった。
必然的に、俺と幼馴染が二人きりになる。
「ねえ、砂のお城つくろ」
幼馴染が言う。砂の城とはまたベタな。・・・まあ悪くない。
「どうせだったら、他の人が二度見するようなクオリティの高いやつを作るぞ」
俺にスイッチが入ってしまった。
海の家はすごく混んでいた。
まだお昼には少し早い。きっとお昼の混雑を避けて早めに来た人たちで混雑しているのだろう。
あまりにも混んでいたので、あたしたちは海の家の外のベンチで空くのを少し待つことにした。
「それでさ」
「ん?」
「少しか進んだのかい?」
突然友くんが聞いてくる。
「何が?」
何のことかなんて分かっている。それでもそう言ったのは、多分私の照れ隠しだったんだろう。
「何がって、そんなの決まってるじゃないか」
友くんが一呼吸する。
「恋愛、だよ」
分かってはいたけれど、やはり言葉にされるとちょっとドキッとする。
「一歩も進んでない」
あたしはありのままの事実を告げる。嘘をつく理由なんてない。
「だろうと思ったよ。これから進む予定はあるのかい?」
「・・・告白」
「へ?」
友くんは聞き取れなかったようだ。それもそのはず、聞き取れないような声で言ったのだ。聞き取れるはずがない。
「告白、しようと思ってる」
あたしがそう言うと、友くんはすごく真剣な顔になった。いつも笑顔を絶やさない友くんの真剣な顔を、あたしは初めて見たかもしれない。
「・・・妹。これからする僕の話をよく聞いてほしい」
「そりゃあ、告白をするのは自由だ。僕にそれを邪魔するつもりはないさ。馬に蹴られたくもないしね」
「・・・でもね、妹」
「告白っていうのは、決して新しい関係への始まりじゃない。終わりなのさ、それまでの関係のね」
「君が告白することで、それまでの兄と君の関係は終わる。間違いなくね。気にしないでこれまで通り仲良くしよう、なんてできっこないんだ」
「それと、もう一つ」
「君がもし告白したとして、その後に告白したことを後悔してはいけない。いい返事をもらえ、と言ってるわけじゃない。君が告白した後に、告白する前の関係に戻りたいと思ってはいけないっていうことなんだ」
「その覚悟ができてから、妹には告白してほしい。もし告白してどんな結果であったとしても、それを受け入れる覚悟がね」
「いいかい妹。人に愛を告げるっていうのはそういうことなんだ」
その時の友くんはなんだか格好よかった。そして何より、嬉しかった。真剣にあたしの恋愛について考えてくれていることが。
「あ、忘れてた。これも言おうと思ってたんだ」
「妹、君も知ってる通り、兄はかなりモテる。決断は早い方がいい」
そうなのだ。兄ちゃんはかなりモテるのだ。運動神経がよくて顔もそこそこ。勉強もなかなか出来て、細かい所に気が利く。モテても不思議ではない。
「友くん」
「なんだい?」
「ありがとね」
「礼には及ばないさ。僕はただ妹に傷ついて欲しくないだけだ」
もしも兄ちゃんがいなかったら、あたしは友くんを好きになっていたかもしれない。
優しい人は大好きだ。
「話変えていい?」
「どうぞ」
「友くんは好きな人いないの?」
友くんの女の子にまつわる話は聞いたことがない。言ってないだけで、きっと少しかはあるんじゃないかとあたしは睨んでいた。
「うーん・・・いないね」
つまらない答え。本当に。
「それじゃあ、あたしなんてどう?」
もちろん冗談だ。しかし、
「悪いけど貧乳に興味はないんだ」
その冗談であたしが傷つくとは、思ってもいなかった。
今まで書いたやつとかあるのかな
>>80
初です
俺は本気になりすぎた。まさか、まさかここまで完成度の高い物が出来るとは思わなかった。
「ねえ、なんか人集まってきてるよ」
幼馴染が恥ずかしそうに言う。
周りを見ると、30人くらいの人が俺たちの作品を見に来ていた。
俺は今、満足感に浸っている。ああ、素晴らしい。注目されることがこんなに気持ちいいことだったのか。
「本当に、上手く出来たな。・・・サグラダ・ファミリア」
「そもそも、サグラダ・ファミリアってお城じゃないよね。わたしは砂のお城作ろう、って言ったんだけど」
「いいじゃん。細かいことは」
その時だった。どこからともなく現れたバレーボールが俺渾身の作品に直撃した。
崩れていくサグラダ・ファミリア。がっかりした観衆の顔。ボールを取りにくる見るからにチャラい男。
すると、人だかりの中の一人がチャラ男の胸ぐらにつかみかかった。この人ががんばって作った物を、とか何とか言っている。
ああ、こんな夢を見た。確か・・・ええと、そうだ。えなりだ。
どうでもいいことを思い出す。
「何が起きてんの?」
後ろからの声に振り向くと、買い物から帰ってきた妹だった。
「ええと、砂のサグラダ・ファミリアにチャラ男が直撃して胸ぐらがえなり」
やべ、噛んだ。
「へえ」
うわ、流された。これはこれで悲しい。
「お昼ご飯買ってきたから、食べよ」
「よっしゃ」
焼そばにたこ焼きにかき氷。これぞ海。
しばしの休憩。俺は疲れた。
「ご飯たべたらどうする?」
18歳の妹は疲れを知らない。
「もちろん海水浴さ!暑すぎて死んじゃうよ」
友が言う。
「俺もそうする。波に浮かびたい気分だ」
飯を食い終わり、俺と友は一気に海へと駆け出す。
どうやら女子組は日陰で涼んでいるらしい。
妹は貧乳だから大丈夫だとしても、幼馴染は間違いなく声をかけられる。
俺行くのやめようか、と言ったのだが、妹が大丈夫と言ったので、お言葉に甘えさせてもらった。
気温があがってきた。俺も耐えられない。
海に向かって全力疾走。
夏って楽しいなあ!
今日はここまでで。
次は妹視点から始まります。
支援
良い
支援
胸は関係ないだろ!いいかげんにしろ!
照りつける夏の紫外線にあたしは目を細める。日焼けは女の敵だ。なくなって欲しいとは思わないけれど、少し遠慮というものを覚えて欲しいと思う。
あたしは幼馴染ちゃんのすぐ隣で波打ち際ではしゃぐ男子二人を見つめていた。
本当はあたしも行きたかったのだけれど、お昼ご飯を食べたらなんだかどっと疲れてしまった。最近の運動不足が祟ったのだろう。
「・・・ねえ、妹ちゃん。友達ってなんだと思う?」
幼馴染ちゃんは似合わない重々しい声で言った。
何か様子がおかしいことは明白だった。いきなりこんなことを聞いてくるなんて。何か悩んでいることでもあるのだろうか。
「どういうこと?」
あたしは幼馴染ちゃんに詳しい説明を要求する。
「妹ちゃんはさ、どこからが友達だと思う?」
「楽しくおしゃべりできたら友達?一緒に遊んだら友達?どう思う?」
思いの他簡単な質問だった。そんなの決まってる。
「幼馴染ちゃん。多分それは、相手のことを友達だと思った時からだよ」
「でもさ」
「でもさ、それだったら、自分は友達だと思ってたのに、相手は友達だと思ってなかった、ていうことが起きる可能性があるよね」
あたしは言葉に詰まる。
「ごめん。変なこと聞いちゃったね」
「さっきは兄がいたから言えなかったけど、大学、あんまり楽しくないんだ。友達が出来なくて」
幼馴染ちゃんは結構な人見知りだ。初対面の人には話しかけるどころか、目もあわせられない。
なので、友達が出来ない、と言われても、あたしはそんなに驚かない。しかし、心配はする。
あたしだったら、どうだろう。友達のいない学園生活なんて、考えたこともなかった。
きっと、何も面白くないだろう。面白い訳がない。学園生活の楽しさは、友達の多さに比例するのだ。
「今回、久しぶりにみんなで遊ぶことになって、わたし、すっごい楽しみにしてたんだ」
「でも、二年前と変わらずにはしゃいでるみんなを見て、なんだか羨ましくなっちゃったの。みんなと同じ大学に行きたかったって思っちゃったの」
「こうやってみんなと遊んでいくうちに、なんだかみんなと距離が広がっていくような気がするの。そう考えたら、素直に楽しめなくて」
幼馴染ちゃんの気持ちは痛いほどわかった。でも、そんなこと私にはどうすることもできない。
「幼馴染ちゃんが本気出せば、友達の一人や二人、すぐ作れるよ。こんなに良い子なんだし」
結局あたしは、ただただ優しいだけの言葉をかけるしかなかった。
今日はここまでにします。
更新少なくてごめん
待ってる
「ところで妹ちゃんはどうなの?」
なんだかさっきも似たようなことを聞かれた気がする。
そしてあたしはまたもこう言う。
「え?何が?」
「兄との恋に決まってるでしょ」
ああ、もはやこれは似たようなことではなくなった。完全一致だ。
「全く進んでないよ」
「そっかぁ、何か良い話が聞けるかと思ってたのに」
変な期待をされていたようだ。
それにしても、友くんも幼馴染ちゃんもなぜあたしの兄ちゃんに対する感情を知っているのだろう。あたしは口にした覚えはないのだけれど。
「あのね、幼馴染ちゃん」
「なに?」
「あたしね、近いうちに告白するかも」
あたしがそう言うと、なんだか幼馴染ちゃんは申し訳なさそうな顔をした。
「そっか、そうだよね。するよね、告白。好きなんだから」
「うん」
すると幼馴染ちゃんはまた申し訳なさそうな顔をして、
「がんばってね、きっと上手くいくよ」
と言うのだった。
ごろん、と敷物に寝転がる。
満腹も手伝ってあたしの意識は波の音と共に眠りへと落ちてしまった。
はっ、と跳ね起きる。既に海はオレンジ色だった。隣にいた兄が寝ぼけ眼のあたしに言う。
「おはよう」
「ん・・・おはよう」
「お前今日、全然海入ってないんじゃない?あんなに楽しみにしてたのに」
まったくだ。四時間前の自分を恨み殺してやりたい。
「とりあえず、着替えてきな。これから祭りだから、浴衣にね」
「うい」
終わってしまったことは仕方がない。それよりも、これから始まる夏祭りを楽しむことを考えよう。
「うわぁ・・・混んでるね」
夏祭りは非常に混んでいた。神社の夏祭りの初日。混んでいて当然だろう。
「はぐれないようにな、特に妹」
「わかってるって」
「ならよろしい」
あちこちから、太鼓の音や、町内会の出し物の音が聞こえてくる。夏祭りっぽい。
この夏祭りは結構規模が大きい。出店の数はたぶん50は越えているのではないだろうか。
故に、種類も豊富だ。カキ氷やわたがしなどといった王道から、知名度は高くても意外とやっているところが少ない金魚すくいなどもある。
ここに来ると、毎回悩んでしまう。別に悩むことではない。自分がやりたいものをやればいいのだ。そんなことわかってる。
しかし、優柔不断な俺は決められない。本来ならばここでは我が親友が救いの手をさしのべるのだが、今回は違った。
「兄、金魚すくいしよ」
今回俺に救いの手をさしのべたのは幼馴染だった。
「やるなら他の人が二度見するような数をすくうぞ」
俺のスイッチは再びオンになった。
「じゃあさ、勝負にしようよ。どっちが多くすくえるか」
「負けた方は・・・そうだなぁ、すくった金魚を全部お店に返す、っていうのはどう?」
「よし乗った」
俺は心の中でほくそ笑む。そもそもこれでは罰ゲームにならない。
なぜなら、俺がすべての金魚をすくうからだ。そして最高の屈辱を幼馴染に与えてやる。ふはははは。
さあ、幼馴染。かかってくるがよい!
夢というものは儚く散るものだ。
そして俺の幼馴染に屈辱を与えるという夢もまた、儚く散る運命だったのだ。
俺は今、祈っている。何をって?もちろん幼馴染の失敗を、だ。
俺にはもう勝ちはない。なぜなら、開始二秒で俺のポイはお破れになってしまったからだ。
対して幼馴染はまだポイを水につけてすらいない。
だから俺は祈る。神よ、どうかあのポイを偉大なるお力で貫いてください、と。
幸いここは神社だ。神もご覧になっているだろう。
しかしその神は、幼馴染に微笑んだ。
なんと、幼馴染は目にも止まらぬ早さでポイを水につけ、的確に三匹もの金魚をとらえ、すくい上げた。
「・・・なんと、プロフェッショナルの方だったか」
「あはは。違う違う。昔からなぜか得意なんだ、金魚すくい」
このタイミングで俺は異変に気づいた。
「・・・あれ?友と妹は?」
「・・・あ」
今日はここまでで
乙
まだか
待っとるで
かなり遅くなりました。
テストがあったので・・・
もう見てる方いないかもしれませんが、一応完結させたいと思います。
さっき俺が言った言葉。たしか「はぐれるな」だったはず。
幼い頃、よく父に「自分の言葉に責任をもて」と言われた。だらしない俺は金魚すくいに負けてしまったのだ。
いや、待てよ。俺達は金魚すくいをしていたのだから、はぐれたのはあっちではないか。
まあ、今は合流するのが先だ。そんなことを考えている暇はない。
とは言うものの、
「・・・俺、携帯車の中だ・・・」
「・・・みぃーとぅー」
この神社はかなり広い。夏祭りの規模にも納得できるくらいのレベルだ。
それに加えてこの人混みだ。これをかき分けて駐車場までいかなければいけないかと思うと正直気が重くなる。
しかし、ここで何もしないわけにはいかない。
「俺、取ってくるわ。ここで待ってて」
そう言って覚悟を決めたのだが、なぜか袖を引っ張られる。
「・・・ねえ、久しぶりなんだからさ、もうちょっと二人きりの時間を大切にさせてよ」
意外な言葉だった。幼馴染が他人より自分を優先させるなんて滅多にない。雨が降らないといいのだけれど。
数少ない幼馴染のわがままだ。今日ぐらいは聞いてやろう。幸いあっちには友もいる。はぐれたのが妹一人であれば、こうはならなかった。
「ねえ兄、チョコバナナ買ってよ」
一緒にぶらぶら歩いていると、幼馴染が屋台を指さして言った。
これまた意外だ。十年以上の付き合いだが、幼馴染に何かをねだられたことなんて一度もない。
しかしよく見ると、指さしていた屋台のチョコバナナは一本50円。
祭りのチョコバナナにしては破格の安さだった。
数少ないわがままの中にも、なんだか「幼馴染らしさ」が感じられる。少し安心した。
「よし、買ってやる。何本だ」
「20本!」
「え」
「あはは、冗談冗談。桁が一つ多かったね」
2本ということは俺と幼馴染の分だろう。おごって、と言って俺の分も数に入れる。
こういった所も、やはり「幼馴染らしさ」といえるのではないだろうか。
買ったばかりなのにもうなくなりそうなチョコバナナを手に、俺と幼馴染は再び歩く。
夏の夜の生ぬるい風と、夏祭りの活気は実に風情がある。
しかし、幼馴染はあまりこれが得意ではないようだ。
「ねえ、ちょっと座ろっか。疲れちゃった」
幼馴染がベンチを指さす。
疲れているのは俺も同じだ。無言で肯定し、ベンチに腰掛ける。
時計を見ると、もう八時。確か八時四十五分から花火が始まる。それまでに妹と合流しなければ。
「ねえ兄、そっちの大学はどう?」
おもむろに幼馴染が言う。
「別にどうもこうもないかなぁ。なんか高校の延長みたいな感じ。幼馴染以外ほとんど面子も変わらないし」
「新しい友達もできたし。まあ、楽しくやってるよ」
「そっかぁ。いいね、なんか兄のその言い方だけで楽しいってことが伝わってくる」
その幼馴染の言葉からは、どこか寂しさのようなものが感じられた。
「あ、あともう一つ聞きたいことあったんだ」
「ん?何?」
「彼女できた?」
悲しいことを聞いてくれる。
「できてねぇよ」
一瞬嘘をついてやろうかという考えが浮かんだが、すぐにバレるであろうからやめておいた。
「お前はどうなんだよ」
「いるわけないでしょ。第一、私兄と友くん以外の男子とうまく話せないし」
「お前と友が付き合ってる可能性もあるだろう」
「ないない、だって友くんは女ちゃん一筋だし」
ここで驚愕の事実が判明。なぜ一番の友達である俺にはそれを言わないんだ。
あいつ、女のこと好きだったのか。くそっ。なんかすげぇ悔しい。
ここで沈黙が訪れる。
変な雰囲気。何かが起こる。そんな予感がした。
眠いので今日はもう寝ます。
また明日も書きます。
乙
「っていうか、私の彼氏の話なら車の中でしたよね。あそこで変な冗談を言った時点で彼氏がいないことぐらい察してよ」
そういえばそうだった。あの時の冗談にはそんな意味があったのか。
そしてその言葉を最後に、また沈黙。なんだか、幼馴染の様子がおかしい。
「そういえばさ、この二年間、幼馴染はどうだったの?なんかあった?」
妙な空気に耐えられなくなった俺は、無理矢理話題を作る。
「・・・私は、さ」
「私はこの二年間、ずっと兄のこと考えてたよ」
乙
なんかこの幼馴染すごくいい!
支援です
まだ見てるかな
はよはよ
乙!く、幼馴染とはどうなるんだ・・・!?
つづきはよ
続き見たい
こいよー
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