僧侶「勇者様の素顔は謎に包まれている」 (49)
一気に投下します。35~40レスになると思います。
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僧侶「…」
狩人「グゴオオォォォ」
勇者「う、うーん…うーん…」
>夏日、夜になっても気温は下がらず、テントの中も蒸していた。このパーティーに入ったばかりの僧侶は、ツッコみたくてウズウズしていた。というのも。
僧侶「勇者様は寝る時も取らないんですか兜」
賢者「まぁ、人前では絶対取らないね」
>勇者パーティーに加わって一週間、僧侶は今だに兜で覆われた勇者の素顔を見たことがない。
僧侶「賢者さん、賢者さんは勇者様の素顔をご存知ですか?」
賢者「まぁ長い付き合いだしね。やっぱり気になっていたか」
僧侶「そりゃあそうですよ。でも評判は聞いています、勇者様は結構な美男子だって…噂より背は低めでしたが」
賢者「ま、王様に命じられて旅立った頃は、素顔で旅してたしね」
僧侶「あのう、どうして勇者様はお姿を隠すようになったのですか?」
賢者「ある事件で大怪我を負ってね。その傷を隠す為だよ」
僧侶「そんな大怪我を負うなんて、どんな事件だったんですか」
賢者「まぁ、追々話すよ。それより今日はもう休もう」
勇者「うーんうーん…賢者…絶対殺す…」
賢者「どんな夢見てるんだよ」
>夜は更けていく…
狩人「空から何かが降ってくるぞ!」
勇者「!」
>道中、急に狩人が空を見て叫んだ。
>全員が気付いて空を見た時には、空に竜――そして黒い全身鎧を纏った騎士が地面に降り立った所であった。
暗黒騎士「勇者一行だな」
僧侶「あ、貴方は…!?」
暗黒騎士「俺は暗黒騎士…魔王軍隊長の一人」
僧侶「鎧、暑そう…」
暗黒騎士「あぁ暑い」
僧侶「やっぱ暑いんですね」
賢者「何か旅の終盤っぽいねー、魔王軍の隊長が来るなんて」
勇者「こんな暑いのに何の用だ~?」
暗黒騎士「勇者――俺と戦え」
勇者「仕方ねぇな」
僧侶「いいんだ」
狩人「勇者は勇者としてはご立派だからな。それ以外では駄目人間だが」
賢者「勇者から勇者としての使命感を取ったら何も残らないよ」
勇者「賢者後で殺す」
賢者「何で僕だけ?」
カンカァン
狩人「勇者も相手もやるな…クソ暑い中クソ暑いモン装備しておいて、剣のキレは全く落ちねぇ」
僧侶「援護しなくていいんですか」
賢者「やめておいた方がいいよ。勇者、剣の勝負は正々堂々やりたいタイプだから」
賢者(それに…)
暗黒騎士「…」
>暗黒騎士は急に剣を止め、一歩下がり、そして剣を収めた。
勇者「どうした?」
暗黒騎士「お前の実力は大体わかった。魔王城にたどり着けたら、その時決着をつけるぞ」
>そう言うと暗黒騎士は空中にいた竜を呼び、その背中に飛び乗った。
狩人「逃げんじゃねぇよコラァ!勇者、あの野郎俺の弓で撃ち落としてやろっかぁ?」
賢者「やめておこう。失敗して怒らせたら、この暑い中焦って逃げなきゃいけなくなる」
僧侶「別に逃げなくても。勇者様、あの人と対等にやり合っていたんですし」
賢者「いや。暗黒騎士は左腕を使っていなかった。なぁ勇者?」
勇者「うっせーわ」
狩人&僧侶「!」
勇者「もっと剣の腕を上げないと魔王は倒せないな…!よーし、頑張るか」
>勇者は明るい調子で言ったが、相変わらず表情は見えない。
=テント=
狩人「グゴオオォォ」
勇者「うーんうーん」
僧侶「魔王軍の隊長と対等に戦えるとは、勇者様は流石ですね」
賢者「ま、長く旅をしていれば強くもなる」
僧侶「勇者様は元々凄腕の戦士だったからこそ、勇者として旅を命じられたのでしょう?」
賢者「え、あ、まぁそうだね」
僧侶(?何を慌てているのかしら)
賢者「…昨日の夜、事件の話をしたの覚えてる?」
僧侶「えぇ。勇者様はそれで大怪我を負って兜を着用するようになったと」
賢者「…あの事件でね、パーティーから何人か犠牲者を出たんだ」
僧侶「!」
賢者「その事件は、魔王軍の隊長――獣人王によるものだった」
賢者「とある村の村人が獣人に全員食われて、獣人と入れ替わっていたんだ。そうとは知らず僕らはその村に立ち寄って、夜に襲撃を受けた」
僧侶「罠ですか…」
賢者「そう。僕らは戦ったけど、それもむなしく――」
~~~~~~~
賢者「くっ…戦士、魔法使い!!」
獣人王「勇者よ!どうだ仲間がただの肉塊と化した気分は!」
勇者「テメエェェ――ッ、許さねぇ!!」
獣人王「来い、勇者よ!!」
賢者「…!!」
>賢者は先程まで戦いを繰り広げていた獣人達の数が減っていることに気付いた。そして――
?「うわあぁ―――ッ!」
勇者&賢者「!」
>勇者と賢者は同時に、声のした方向を振り返る。
勇者「アイツは逃がしたのに…まさかっ!」
獣人王「行かせんぞ勇者ああぁぁ!」バッ
勇者「邪魔だ、どけええぇぇ――ッ!!!」
~~~~~~~
賢者「…」
賢者「その事件から――僕と勇者は2人旅になった」
僧侶「…」
=翌日=
狩人「空から何かが降ってくるぞ!」
勇者「!」
>道中休憩していた時、急に狩人が空を見て叫んだ。
>昨日も同じことがあったので、全員真っ先に暗黒騎士を思い浮かべたが――
闇魔道士「オーッホッホッホ、勇者!その命貰うわよォ~ん♪」
狩人「何だこのオカマは」
賢者「魔王軍も登場の仕方がワンパターンだね~」
闇魔道士「お黙り!昨日は暗黒騎士ちゃんが抜け駆けしようとしたみたいだけど、そうはいかないわよ!」
勇者「よし賢者、相手してやれ」
賢者「何で僕」
勇者「ここは魔法対決だろ」
賢者「僕は後衛にいる方が性に合っているんだよ」
勇者「あぁ?人の後ろにひっついてねーと戦えないなんておこちゃまかお前?」バチバチ
賢者「前衛は頭使うのとは無縁な奴の仕事だろ?」ニコニコ
狩人「どうでもいいが兜のせいでガンつけれてねーぞ勇者」
闇魔道士「キイイィィィ、アタシを無視するんじゃないわよ!誰でもいいからかかってきなさい!」
勇者「行け賢者!」ドンッ
賢者「わわぁ」ヨロッ
賢者「くっ仕方ない…爆発魔法」ズゴゴォォン
闇魔道士「ウフフ暗黒ガード!」カッ
ドゴーンドガガガガ
狩人「賢者の奴、押され気味じゃねぇ!?」
勇者「奴にタイマンは荷が重かったか…」
狩人「いや助けてやれよ!」
勇者「冗談に決まってるだろ」
狩人「顔見えねーからわかりづれぇんだよオメーの冗談はあぁぁ!!」
勇者「今行くぞ賢者ー」
賢者(遅いんだよ…)
闇魔道士「ようやく出てきたわね勇者!喰らいなさい、黒炎弾!」ガンガンッ
勇者「てりゃっ」
>勇者は闇魔道士が放った魔法を真っ二つにした!
闇魔道士「…!?」
勇者「今だ賢者!」
賢者「うん」
ドガアアァァァン
>闇魔道士が油断している一瞬、賢者は溜めた魔力を思い切り放った!
闇魔道士「キイィ悔しい…!」
狩人「しぶてーオカマだな、まだ生きてら」
賢者「勇者、僕はとっておきの一発を放ったからもう魔力が…」
勇者「わかった俺がやろう」チッ
賢者「舌打ちは聞こえないようにやって」
勇者「闇魔道士!覚悟ォ――ッ!!」
闇魔道士「――!」
バッ カキィン
勇者「!」
>その時、勇者と闇魔道士の間に入った者が、勇者の太刀を止めた。
暗黒騎士「間一髪…」
勇者「暗黒騎士!!」
暗黒騎士「勝手な行動をしてこのザマか…無様だな闇魔道士」
闇魔道士「キイイィ、人間風情が偉そうにっ!」
賢者(人間風情…?暗黒騎士は人間なのか?)
暗黒騎士「まぁいい…戻るぞ」
勇者「待て!生きては帰さんぞ2人とも!」
僧侶「凄く悪者っぽいです」
勇者「今ここでお前達を帰したら、魔王城での連戦がキツくなる!後々楽をする為、今ここで倒す!!」
狩人「建前でいいからもっとマシな理由を言えよ」
暗黒騎士「…お前の相手をする気はない」
勇者「何でだ!」
暗黒騎士「昨日の戦いでバテた…」
勇者「奇遇だな――俺もだ!」
暗黒騎士「フッ…」
狩人「「フッ…」じゃねぇよ!」
賢者「この炎天下であんな装備で戦えばそりゃねー」
勇者「うるさい、賢者後でシメる」
暗黒騎士「賢者だけは許さん」
賢者「僕大したこと言ってないよね?」
勇者「しかしバテていても俺は勇者!勇者として魔王軍の隊長を放っておけん!覚悟ォーッ!!」バッ
僧侶「初めからそう言っていれば良かったのに…」
カキィン
>勇者と暗黒騎士の剣がぶつかる!
暗黒騎士「お前の相手をする気はないと言ったはずだが」
勇者「せめてお前の左腕だけでも使わせてやる!」
カキンカキーン
暗黒騎士「くっ…」
狩人「ヨッシャいい剣さばきだぜ勇者!暗黒騎士の野郎逃げようにも逃げらんねぇ!」
僧侶「きっと装備が黒くて重い分、暗黒騎士の方がバテているんですね」
カキンカキーン
>勇者の素早い剣さばきに、暗黒騎士はやや守りに入っている。
勇者「これでもまだ左腕を使わんと言うか!」
暗黒騎士「…仕方ない」バッ
>暗黒騎士は後ろに跳んだ。そして、左腕をゆっくり勇者に向け…。
暗黒騎士「これは魔王城での戦いに取っておきたかったが…」
勇者「――!!」
ゴオオオォォォッ
>暗黒騎士の左腕が変形し、炎のような形になって勇者に襲いかかってきた!!
勇者「くっ!」シュッ
>勇者の剣は襲いかかってくるものを真っ二つに切り裂くが――
暗黒騎士「…」
勇者「あっ!」
>その隙に、暗黒騎士は勇者と距離を取り竜に乗り込んでいた。そしてその腕は、元の形に戻っている。
暗黒騎士「今日はこれまでだ。しかし魔王城での決戦時は、容赦なく貴様の首を狙う」
闇魔道士「キイィ覚えてなさいよーッ!」
>竜は飛び去っていった…
僧侶「勇者様お怪我はありませんか?」
勇者「あ、あぁ…」
狩人「暗黒騎士の野郎、魔法まで使いやがったのか…!!」
賢者「うーん、あんな自身の身体を変形させるタイプの魔法僕は知らないなぁ」
僧侶「魔物の力ってわかりませんね」
賢者「いや、でも暗黒騎士は人間みたいだし…。人間の裏切り者…だから鎧で姿を隠しているのかな」
僧侶「そうでしょうか。よほどの有名人でもない限り、意味がないのでは…」
勇者「有名人…!!」
僧侶「え?」
>僧侶が何気なく言った一言で、勇者の様子が変わった。相変わらずその顔は見えなかったが。
狩人「そーいや…以前、国の騎士が魔王軍と内通してたって騒がれたよな?」
僧侶「そんな事もありましたねぇ…」
狩人「次々とニュースが飛び込んでくるから、すっかり忘れてたぜ…あれ、その騎士どうなったんだっけ?」
僧侶「その後のことが曖昧なまま、他の事件が起こったような」
狩人「まさか暗黒騎士は、その騎士なんじゃあ」
僧侶「どう思います勇者様、賢者さん」
賢者「…その騎士は」
僧侶「はい」
賢者「魔王軍の隊長…獣人王と内通していたんだよ」
僧侶「!」
>昨日の話が即座に思い出される。
>獣人王――勇者たちに罠を仕掛け、勇者の仲間を葬った者。
勇者「…もっと早く気付いてりゃ良かったな。俺たちは奴と因縁があったわけか」
僧侶(勇者様…。顔は見えないけど、きっとかつての仲間を思っているのね)
勇者「もっと強くならないとな…暗黒騎士は、絶対俺が倒す!!」
賢者「…」
>賢者だけは、勇者が兜の下でどんな顔をしているか想像できていた。
>それから賢者は、獣人王の罠にひっかかる以前のことを思い出していた――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
勇者「あ゛ーあ゛ー、踊り子のねーちゃん彼氏持ちだったとはなー。テンション下がるわー」
賢者「しょうもないなー勇者は」
勇者「何だとこの野郎!」
戦士「まーまー」
魔法使い「まーまー」
>男4人パーティーのせいか、勇者は女性に滅法弱かった。今回も踊り子にハマってしまい、結局街を出発するまでに3日もかかってしまった。
勇者「決めたー。強くて可愛い女の子を見かけたらスカウトする!職業は何でもいい!」
賢者「それ前も言ってたよ」
勇者「そうだったっけか?」
賢者「下心ミエミエだから女の子にことごとくフラれてるんじゃないか。顔がいいのにモテないって、内面に問題ありすぎる証拠だね~」
勇者「てめぇ~」
戦士「喧嘩はよしな。…ん?」
魔法使い「どうしたっすか」
戦士「悲鳴が聞こえた…」
勇者「何っ!」
少女「あ…あ…」
魔物「グヘヘ…」
>少女は10匹近い魔物達に囲まれていた。少女の乗っていた馬車は既に魔物達に破壊され、彼女以外の人間は全て、食い殺されていた。
魔物A「まだガキだが久々の女だ…」
魔物B「そうだな…」
少女「あ、あぁぁ…」
>魔物達から向けられる邪な視線に足がすくみ、逃げることもできなかった。
>これから自分は魔物達に散々嬲られた後殺される――その未来を想像して、顔は恐怖に満ちていた。
魔物A「いいねぇその顔…嬲り甲斐がある獲物だなぁ」
魔物B「あぁ…」
>魔物達は反応を楽しむように、じりじりと少女に近付いてくる。少女は息が詰まりそうだった。
少女(殺すなら、早く――)
魔物C「それじゃ、そろそろ――」
少女「!」
ゴオオオォォォ
魔物C「うわああぁぁぁ!?」
魔物達「!!」
少女「!」
賢者「魔物達の中でも下衆な部類の者だったようだね…」
>魔物達の群れが振り返ると、勇者一行は既に戦闘準備を整えてこちらに迫っていた。
勇者「覚悟しろ、魔物ォーっ!!」
魔物達「わあぁ!?」
ズバッズバッ
>勇者は単身群れに突っ込み、次々と魔物を斬る!
少女(あの人、強い…!)
魔法使い「怪我はないっすか?」
少女「あ…え、えぇ」
戦士「ひでぇことしやがるな…」
>3人が少女の元に集い、魔物達から庇うように構えた。
>その間、少女の視線は――
勇者「おらああぁぁっ!!」
少女(凄い―――)
・
・
・
勇者「全員斬り終えた、っと」スチャ
賢者「お疲れ」
魔法使い「魔物は全員倒したっすけど――」
>少女以外の人間が全て死んでいるのは、確かめなくても明らかだった。
戦士「すまねぇ、俺らがもっと早く来ていれば…」
少女「…いいんだ。この馬車、奴隷商人の馬車だから」
勇者「奴隷商人だと…!!」
賢者(じゃあこの子は、商品として運ばれていたのか…)
少女「助けてくれてありがとう。夢も希望もないボクだけど、殺されるのは怖かったから…」
勇者「そんなこと言うな、君はもう自由だ。次の村まで送ってやるから、これからは真っ当に――」
少女「あんたの名前は?」
勇者「俺か?俺は勇者だ」
少女「そう。勇者さん、お願いがあるんだ――」
少女「ボクに、剣を教えて」
カンカァン
勇者「反応が遅い!それじゃあ雑魚一匹倒せないぞ!」
居候(少女)「うんっ!」
戦士「…女好きのあいつにしては厳しい指導だなぁ」
賢者「勇者は剣に対してだけは真剣だからね。他は全部駄目だけど」
カキーン
勇者「今日はここまでな。あとはゆっくり休め。あと賢者殺す」
賢者「あ、さっきの陰口が聞かれていた」
居候「う、うん…」ゼェゼェ
魔法使い「お疲れっす~」
勇者「おい、飲み物あるか~?」
戦士「おう、冷たい茶淹れておいたぞ」
勇者「さんきゅー。おーい居候、お前も飲め~」
居候「うん…」ゼェゼェ
賢者「あら、バテて立てなくなってるよ」
勇者「歩くの手伝うか。しっかりせいっ」ヒョイッ
居候「あっ」
勇者「悪かったな、ちーと厳しくやりすぎた」
居候「い、いや、そんなこと…ありがとう、勇者…」
魔法使い「えー、居候さんて見た目より歳いってたんすねー!!」
戦士「幼く見えるんだろうなぁ、いいことだ」
居候「ど、どーせ童顔だよ」
賢者「背も低いからね」
居候「賢者だけは許さん」
賢者「ひどい」
勇者「ガキだガキだと思ってたけど俺と2こしか違わないんかぁ、わりーな今までガキ扱いして」
居候「え、あ、いいよ別に…慣れてるし」
魔法使い「2こ違いっすか…丁度いい年齢差っすね」
居候「!!」
勇者「何が丁度いい?」
魔法使い「そりゃ男女として…」
戦士「夫婦として…」
居候「ちょ、ま…賢者殺すっ!!」
賢者「何で僕」
ドタバタドタバタ
勇者(居候と、ねぇ…)
ザシュッ
居候「よっしゃあ!勇者見た!?ボク魔物倒したよ!」ピョンピョン
勇者「よくやった!」頭グシャグシャ
魔法使い「剣の腕が最近上達してるっすねぇ」
戦士「おう、コツを掴んだな」
居候「へへへ、勇者のおかげだよ。ボクもこんなに強くなれるとは思わなかった」
勇者「だろ~?何たって、お前の師匠は剣の天才ですから~」
賢者「すぐ調子に乗る」
戦士「ところで居候」
居候「ん?なぁに?」
戦士「俺たちが魔王討伐の為に旅してるってこと、知ってるよな…?」
居候「…うん」
魔法使い「命懸けの戦いに挑むんす。居候さん、そこまでは…」
居候「ま、まぁまだいいじゃん!もっと勇者に剣教えてもらわなきゃだしね~。それより進もう、ね!」
勇者「おう、今日中に街に着きたいな」
居候「…」
賢者「勇者、居候のことだけど…」
勇者「おう?」
賢者「これから旅もどんどん厳しくなっていくよ…居候を旅にずっと付き合わせるわけにはいかないよね?」
勇者「…まぁ、そうだな」
賢者「もうそろそろいい時なんじゃないか?居候、もう自分の身を守っていける位になったんだし…」
勇者「お前から見てもそう思う?」
賢者「うん」
勇者「そうか…」
賢者「…」
*
居候「はぁ~っ」
居候(魔法使いの奴、余計なこと言いやがって~。バカバカ!)
居候(ボク最初は自分の身を守っていけるようになる為、勇者に剣を習ってたけど…ボクが強くなったのは勇者の教えが良かったのと、勇者の足手纏いになりたくない気持ちが大きかったからで)
居候(勇者といたいから…)
居候「~///」
居候「何考えてるんだボクはーっ!!」ゴロゴロ
賢者(早い内に別れておかないと――どんどん離れられなくなっていくよ、互いに)
戦士「やっと村に着いたなぁ」
魔法使い「野宿3連チャンはキツかったっす~」
賢者「お疲れ。一足先に宿に行ってなよ、僕と勇者は情報収集してくるね」
戦士「…それにしてもここの村人、何か目つき怪しくねぇか?」
勇者「そういう顔つきになる地域性なんだろ。じゃ行くか賢…」
居候「勇者」
勇者「うん?」
居候「今夜さ…話があるから、あそこの樹の下で待ってる」
勇者「…うん」
賢者「…」
*
居候(あ~、待ち合わせしたはいいけど何て言おうかな~)アセアセ
居候「勇者、ボクは君が…き、君が…」
居候「…す、すすすすすす」
居候(言えない!練習でも言えない!!!)
勇者「お待たせ…ん、どうした面白い顔して」
居候「わわぁ勇者!?」ビクッ
勇者「お前が呼んだんだろ」
居候「そ、そうだね…。ありがとう、来てくれて」ニコッ
勇者「…うん」
居候(ど、どうしよう…言うことまとまってないけど…)
居候「ボ、ボクは…感謝してるよ勇者、君のおかげで強くなれたから…」
勇者「そうだな…居候は本当に強くなった」
居候「そ、それだけでなくて。ボクが生きていられるのは勇者があの時助けてくれて――今日の今日まで、ずっと守っていてくれたからだ」
勇者「…もう居候は自分の身を守れるようになったな」
居候「だ、だけど!だけどね!ボ、ボク…」
居候「君と離れたくない…」
勇者「…」
居候「ボ、ボク…可愛くないし、迷惑かもしれないけど…で、でもね…!勇者が、勇者のことが――」
居候「す――」
ドゴオオオォォッ
居候「えっ!?」
勇者「――宿が!」
>居候が振り返ると、仲間たちが宿泊している宿屋が崩れていた。
居候「な、何で!?」
勇者「居候、村の外に隠れてろ…!!」ダッ
居候「ゆ、勇者ぁ!」
・
・
・
~~~~~~~~~~~~~
賢者(あの日――村人に化けていた獣人の手で、仲間達が殺された)
賢者(その裏では、国の騎士が獣人王と手を組み、我々の情報を流していたんだ――)
賢者「勇者…」
勇者「…賢者、俺はあの時のことは忘れていない」
賢者「僕もだよ」
僧侶「勇者様、賢者さん…」
狩人「ヨッシャアァァ!!先輩方の仇討ちだ、打倒暗黒騎士!!」
勇者「ありがとう…」
賢者(忘れられるわけがない…勇者はあれで大きな傷を負い)
賢者(大事な人を失ったんだから――)
>それから旅を続け、一行は遂に魔王城の場所を突き止めた。
>魔王城に乗り込んだのは、暗黒騎士と最後に会ってから1ヶ月ほど経ってからのこと――その間、魔王軍隊長との戦闘はあったものの、暗黒騎士と会うことはなかった。
僧侶「遂に来ましたね、最終ダンジョン」
狩人「ウオオォォ、腕が鳴るぜ!!」
勇者「…早速、お出迎えが来たようだ」
狩人「へっ?」
ガシャンガシャン
暗黒騎士「…」
賢者「暗黒騎士…!!」
勇者「久しぶりだな暗黒騎士…今日こそは決着をつけてくれるんだろう?」
暗黒騎士「…勿論だ」
>暗黒騎士は剣を構えた。その顔は見えないが、恐らく視線は勇者の方を向いている――
勇者「皆、先に行ってくれ。こいつと一体一で戦いたい」
僧侶「え?でも勇者様…」
狩人「危ねぇだろ!!罠とかあったらどうするんだよ!」
賢者「勇者…」
勇者「大丈夫…お前も正々堂々戦うだろ、暗黒騎士?」
暗黒騎士「…」
勇者「頼むよ皆。こいつとは、皆に聞かれたくない話もあるんだ」
賢者「勇者…わかった」
勇者「さて行ったな…。暗黒騎士、わかったぞお前の正体が」
暗黒騎士「…」
勇者「お前の姿は誰もが知っているもんな?そんな鎧を着ているってことは、少しは申し訳なく思っているわけか?」
暗黒騎士「…」
勇者「何も答えたくないってか…まぁいい。その鎧ぶった斬って、敗北宣言させてやるよ」
暗黒騎士「…」スチャ
>両者睨み合い、剣を構えた。そして――
勇者「だあぁぁ――ッ!!」
>先に仕掛けたのは勇者の方であった。
カキンカキィン
暗黒騎士「…!」
勇者(驚いてやがんな…この1ヶ月で魔王軍の奴らと連戦して腕を上げたからなっ!)
>勇者の剣は素早さで暗黒騎士を上回り、暗黒騎士は防ぐのに精一杯の様子だ。
暗黒騎士「だが…」
勇者(出る…!!)
>暗黒騎士の腕の形状が変わると同時――勇者はとっさに横に跳んだ!
ゴオオォォッカキィン
>勇者はギリギリで暗黒騎士の攻撃をかわし、後ろに回る――が、その剣は剣により防がれた。
勇者「流石だね…!」
暗黒騎士「…」
勇者(やっぱあいつは凄い…だがこんな時こそ…)
~~~~~~~~~~~
勇者「体格も剣の技術も自分と同等以上の相手に勝つには、心だ!」
居候「心で勝てんのかよ」
勇者「あぁ。心で負けては勝機を見逃す。どんな時も強気で行け、強気で」
居候「けど自分より強い相手にそんなん本当に通じるの?」
勇者「通じるよ。そもそも勝負ってのは不確定要素が多いから、強い弱いはそう簡単に比べられない。だからこその心だ」
勇者「戦いは心で負けた方が負けだ!自分の力を信じ、剣に全ての力を叩き込め!」
~~~~~~~~~~~
勇者(負けるもんか!)
暗黒騎士「…」シュッ
>暗黒騎士の剣が勇者に振り下ろされ――
勇者(…見えた!)
カキイイイィィン
>剣と剣が合わさる音が、その場に響いた。
勇者(どんな時だって諦めるもんか!)
カキンカキィン
勇者(魔王を倒して、皆と一緒に平和な世界で暮らすんだ…!!)
カーンカキーン
勇者「だから――お前には負けられないんだああぁ――ッ!!」
暗黒騎士「――!!」
カアアアァァ―――ン
>響く金属音。そしてその後、
カラカラッ
>遅れて、小さな金属音が鳴った。
>地に落ちたのは――互いの兜。
勇者「…やっと邪魔なもんが無くなったね、互いに」
暗黒騎士「そうだな…勇者。いや――」
暗黒騎士「居候、と呼ぼうか」
勇者「…久しぶり、勇者」
>暗黒騎士の鎧からはかつての勇者の顔が、そして勇者の兜からは居候の顔が現れた。
~~~~~~~~~~~~
居候「あ…あ…」
勇者「大丈夫…か?ゴホッ」
>村のはずれで獣人に襲われそうになっていた居候の元に、間一髪勇者が助けに入った。しかし――
居候「そ、それ…!!」
>居候が再びこうして対峙した勇者には、左腕が存在していなかった。
勇者「…俺は」
居候「…!?」
勇者「もう勇者として戦えないし…仲間も守れなかった。だけど…ゴフッ」
勇者「お、お前を守れて、良かった…」
居候「勇者…!!」
>今にも倒れそうな勇者を支えようと居候は一歩踏み出したが、勇者はそれを手で制した。
勇者「逃げろ…ここは敵が多すぎて…ゲホッ」
勇者「賢者…ッ!居候を連れて、早く…!!」
賢者「あぁ…!!さぁ行くぞ居候!」
居候「やだ…勇者、勇者ああぁぁ!!」
~~~~~~~~~~~~~
>勇者は、暗黒騎士の素顔を見て泣きそうになっていた。その正体がわかっていたにしても、久しぶりにその顔を見ると、やはり懐かしい。
勇者(僧侶も狩人も、こいつの正体が獣人王と組んでいた騎士だと予想していたけど…その騎士は俺と賢者の2人旅の時に、もう倒していたしね)
暗黒騎士「兜で顔を隠し、俺の振りをしていたとはな…。どうしてそんな面倒臭いことをしていた?」
勇者「だって勇者は全世界の希望だったんだぞ。その勇者が死んだなんて知れたら、世界の皆が希望を失うだろ」
暗黒騎士「男口調が板についたもんだな」
勇者「こっちこそお前の正体に気付いた時、まさかって思ったよ…生きていたなんてな」
暗黒騎士「あの村で敗北した俺は、魔王軍に囚われた。そして処刑を免れる代わりに、魔王軍に加わることになったわけだ。この偽の左腕は俺の武器でもあるが、俺が魔王に反抗すれば俺の心臓を貫くようになっている」
勇者「…一つ聞くぞ。暗黒騎士になってから、人間を殺したことは?」
暗黒騎士「ない。殺しをしなくたって、魔王に貢献する手段はいくらでもある」
勇者「そうか…」
>勇者は複雑な気持ちだった。何故人間を裏切ったんだと聞きたかったが、だからと言って魔王軍に処刑されれば良かったとは決して思えない。
勇者「なぁ、君は本当に魔王に忠誠を誓っちまったのか?魔王の命令なら殺すつもりか、俺を」
暗黒騎士「そうだと言ったら?」
勇者「戦うしかないじゃん…」
>正直気は進まなかったが、勇者は迷わず剣を構える。
勇者「戦いは、心で負けた方が負けなんだろ?」
暗黒騎士「フ…」
>暗黒騎士は自分の言葉を思い出したのか、顔に笑みを浮かべ、そして剣を構えた。
カンカンカァン
勇者(この馬鹿野郎が…)
>勇者は暗黒騎士――かつての勇者と剣を合わせながら思いを巡らせていた。
勇者(勇者の代わりになってから初めて知ったよ、勇者が背負っていたものの重さを――)
ゴオオォォカンカァン
勇者(俺が居候だった頃、その重さは少しもわからなかった…俺はお前を勇者ではなく、1人の男として見ていた)
勇者(だけど勇者は、全世界の希望でなくちゃいけないんだ――)
勇者「俺は偽物の勇者…だけど」
暗黒騎士「…」
カンカンゴオォ
勇者「偽物でも、希望を背負ってここまで来た!」
ゴオオォォ
勇者「だから、負けるわけにはいかないんだああぁぁ――ッ!!」
暗黒騎士「――!!」
>勇者の剣は、変形した暗黒騎士の左腕ごと、鎧を貫いた。
>暗黒騎士が剣ではなく、左腕の変形に切り替えたその時――それが勇者にとって最も攻めやすい、一瞬の勝機だった。
勇者(戦いは、心で負けた方が負け…)
勇者「君が全身の鎧で姿を隠していた理由が、世界への負い目だとしたら――」
勇者「君は既に、心で負けていたんじゃないか」
暗黒騎士「…」
>暗黒騎士は仰向けに倒れていた。それから魔王によって与えられた偽の左腕を、恨めしそうに見た。
暗黒騎士(この左腕が本物の俺のだったら…いや違うな)
暗黒騎士(俺が勇者でなくなった時から、俺は死んでいたようなものだな)
勇者「暗黒騎士…」
暗黒騎士「殺せ。お前が本物の勇者だ」
勇者「嫌だ」
暗黒騎士「…は?」
勇者「そりゃ俺は全世界の希望を背負って戦っているけど…勇者として戦っているけど…でも君を殺したくない」
暗黒騎士「…何を言っている」
勇者「俺は魔王を倒す。そしたら君、もう自由になれるんだろ…?」
暗黒騎士「馬鹿かお前は…勇者なんだろ、人間の裏切り者を許していいのか!?」
勇者「偽物だから、よくわかんねーよ」
暗黒騎士「甘い奴だ…昔の縁があるからか?だから俺を殺せないのか?」
勇者「違うよ。だって君――まだ勇者としての心、残ってるじゃん」
暗黒騎士「!?」
暗黒騎士「俺は人間を裏切り、魔王に――」
勇者「じゃあ、何で俺を殺そうとしなかったの?」
暗黒騎士「は――?」
勇者「暗黒騎士の剣は確かに容赦無かったけど、何か俺を殺そうって気が感じられなかったんだよね。何ていうか…」
勇者「俺に剣の指導をしてくれたみたいな?」
暗黒騎士「――!?」
勇者「俺の剣は、まだ魔王を討てる程のものじゃなかった。けど」
勇者「君との戦いで、何かが掴めたような気がするんだ」
勇者「君はそんな気は無かったかもしれないけどね」
暗黒騎士「…」
勇者「ま、いいや。とりあえず魔王ぶっ殺してくる。だからそれまで寝てろ」
>そう言って勇者は地面に落ちた兜を拾い、暗黒騎士に背を向けた。
暗黒騎士「待っ…クッ」
勇者「戻ってきたら回復してやるよ。あ、動けるようになっても逃げるなよ。…話したいことは沢山ある」
>そう言い残し、去っていく勇者の後ろ姿を見ながら、暗黒騎士は自分が勇者だった時のことを思い出した。
>最初に思い出したのは、村での事件の事。その後居候が勇者として剣を取ることも、自分が生き残ることも予想などしておらず、ただ一人の男として、居候の無事を願っていた。だから賢者に手を引かれ去っていく居候の姿を見送って、本当に良かったと思えたのだ。
>魔王軍に囚われた時、人間を裏切ってまで生きることを選んだ。そこまで生きることに未練があったのは、居候との永遠の別れを惜しむ気持ちがあったからかもしれない。
>だとすれば、暗黒騎士の中で大きな存在となっていた彼女を殺せるはずはない――
暗黒騎士(甘いのは、俺の方だったわけか…)
>暗黒騎士は、しばらく想いを巡らせていた。
>彼の左腕は次第に力を失っていき、長い時間の後、消えていった――
賢者「本当にいいのか?」
>魔王を倒した帰路のこと。狩人と僧侶を先に行かせ、勇者と賢者は2人きりになっていた。
勇者「うん。褒美も賞賛も俺の手に余る。それに勇者が別人になって帰ってきたら、皆驚くだろ」
賢者「それじゃ、勇者は魔王との戦いの後行方をくらましたってことにしておくよ」
勇者「うん。狩人と僧侶にはお前から説明しておいて。あの2人には嘘つきたくないしね」
賢者「全部僕に押し付けるね~。ま、今まで君に苦労させたから、次は僕が苦労する番か」
勇者「悪いね、色々と。それでも賢者のことは嫌いだけどね!」
賢者「はいはい。ところで勇者はこれからどうするの?」
勇者「決まってんじゃん、まずは勇者辞めて旅人になる…で、逃げたあのヤローをとっ捕まえてやるんだよ!」
>勇者はそう言うと、兜を脱いで捨てた。その顔は満面の笑顔である。
賢者「一応僕もあいつとは長い付き合いだけど、その役割は君に譲るよ。捕まえたら宜しく言っておいて」
勇者「おう!」
勇者(例え何年かかっても捕まえてみせるよ、暗黒騎士――いや、勇者!)
>世界に平和が訪れてどれくらい経つか――人里離れた山奥に住む彼には、時の流れの感覚がつかめていなかった。
>ごく稀にここまで迷って訪れる客人には「勇者様に似ていますね」と言われるが、その度にはぐらかしてきた。
男(それでも噂になってるかもしれねぇな)
>飼っている犬が擦り寄ってきた。その背を撫でながら、男は犬に語りかける。
男「そろそろ引っ越した方がいいかねぇ」
?「また逃げるのかよ?」
男「…あ?」
>一瞬硬直し、声のした方向を見ると。
旅人「よ。随分探させたな」
男「お前――」
>男は何か言いかけたが、それより先に――
旅人「捕まえたっ♪」ガシッ
男「あ」
旅人「こうしたかったんだよ…ずっとね」
男「…」
男(俺はもう、勇者でも暗黒騎士でもない、ただの男だ)
>男は自分に抱きつく旅人を、何も言わず抱きとめた。
旅人「もう絶対離さないから…これからは、ずっと一緒だからね!」
fin
読んで下さった皆さんありがとうございました。
作中でも説明を入れましたが、わかりにくかったかもしれないので補足。
回想の勇者≠現在の勇者で、回想の勇者=暗黒騎士、回想の居候=勇者です。
>>24で賢者が言っていた「勇者は大きな傷を負い」は、勇者=暗黒騎士の左腕が吹っ飛んだことを言っています。
勇者と暗黒騎士(居候と勇者)の関係を書きたかったので、魔王戦の描写は削りました。飽きたわけじゃありません。
時系列わかりづらすぎ
>>37
次からの参考になりました、ありがとうございます
>>38
納得は出来たし楽しかったけどもう少し心理的描写がほしかったと思います。
>>39
ご意見ありがとうございます。
文章が冗長にならないよう気を付けていましたが、大事な描写も削っているかもしれない(´・ω・`)
おつ
おつ
伏線の意味もあるんだろうけど、名前がコロコロ入れ替わるのは読みにくいかな
でも全体的に面白かったよ
>>43
言われて気付きました、伏線張りながらだと難しいですね...
次からこういう伏線張る時はわかりやすくを心掛けます。
参考になりました、ありがとうございました。
あえて名前でミスリードしたんだと思ってた
乙
>>45
あえてではあるんですけど、読みにくいって指摘を頂くと、もっと読みやすくできたんじゃないかなーとも思ったりなんかして(´・ω・`)
乙ありがとうございます。
文章自体はかなり読みやすいと思うけど
分かりにくい
乙
地の文に > は付けない方がいいかも
それで見にくいと思ったら改行して地の文と台詞に区切りつけるともっと読みやすくなりますよ
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