戦士「どうしちまったんだ勇者ァ! ここは雄叫び上げて魔王城に突っ込む所だろうが!!」
女武道家「そうよ! 私なんてブブゼラ用意してたんだよ!?」
女武道家「それを何さ、『待って』だってえ!?」
勇者「……ごめん聞いてくれ」
勇者「トイレがしたい」
戦士「……」
女武道家「……勝手にすれば」
勇者「近くに川が見えたからそこでしてきます」スタスタ
戦士「……女武道家、それまでに突入時の掛け声を」ヒソヒソ
女武道家「わかった」ヒソヒソ
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*川*
チョロチョロ…
勇者「ここでいいか」ボロン
勇者「……ふぅ」シャー
勇者「……透明な川にこうして色をつけていく」
勇者「背徳的で、なかなか素晴らしいなあ」シャー
魔王「そうですなあ」シャー
勇者「……?」クルッ
魔王「……?」ジーッ
勇者「だ、誰!?」
魔王「そっちこそ、な、何者じゃあッ!?」
勇者「な、何者とは何だ! 僕はせいれいに名指しで指名されたゆうしゃだぞ。
勇者「な、何者とは何だ! 僕は精霊に名指しで指名された勇者だぞ!!」
魔王「わしだって13代魔王なんじゃからなァ!!」
勇者「……えっ魔王?」
魔王「そうじゃが……えっ勇者?」
勇者「……」フルチン
魔王「……ごほっ」フルチン
勇者 (魔王との対面が尿臭い川────ッ!?)
魔王 (宿敵にわしのフニャチン見られた、だと!?)
勇者 (これならば素直に魔王城突入しときゃあよかった!)
魔王 (川じゃなくて城の備え付けですれば良かった!)
勇者 (さ、さてどうするか。このまま、お互いの勇者と魔王を晒したまま闘うか)
魔王 (モチベ上がらんな)
勇者「……えーと魔王さん」
魔王「何だ」
勇者「一度ここで別れませんか」
魔王「何……?」
勇者「ほら、このまま戦ってどっちかが倒れても……」
魔王「締まりがない、と」
魔王「確かにその通りだが……」
勇者「じゃあ、いっせーのせで転移魔法を」
魔王「うむ」
勇者「いっせーの……それっ」バビューン
魔王「……」
魔王「……とっとと、わしはまだ残尿感があるからな、ちゃんと出してから帰ることにしよう」
*魔王城前*
勇者「よいしょっと」ストン
女武道家「あ、やっと来たね勇者っ!」
戦士「待ってたぜっ」
女武道家「……こほん、じゃあさっそく」
勇者「え?」
女武道家「み、見えたわッ! あれが魔王城……!」
戦士「おおっ、なんと禍々しいことかッ!」
女武道家「その圧倒的邪悪に押されそう……でもッ! 私達!!」
戦士「ここまで築いた絆があるッ! だから大丈夫だ、行くぞオラァ!!」
勇者「……ま、魔王のもとへ!」
女武道家・戦士「オーーーーッ!!」
ブブゼラ <ブブーッ ブブーッ
女武道家「よし、満足した。さっそく乗り込もう」スッキリ
戦士「そうだな!」
勇者 (魔王と会って話もしちゃったから、イマイチ……なあ)
*魔王城内部*
獣将軍「俺こそが魔王様第一の刺客────ッ 女武道家「────ウラッ! せいけん突き!!」バキッ
獣将軍「馬鹿なッ!? ……ぐふっ!」
淫魔将軍「四天王の紅一点がお相手────ッ 戦士「────喰らえッ! 斬鉄剣!!」スパッ
淫魔将軍「め、メイクもしたのに一瞬ッ!? ……ぐふっ!」
鳥将軍「くるっぽー! わしは────ッ 女武道家「────せいやっさァッ! 筋肉バスター!!」
鳥将軍「ぬわーーーーッ!」
龍将軍「よもや三人が殺られるとは……最後はこの俺、第四の────ッ 戦士「────どっせいッ! エンドオブハート!!」スパッ
龍将軍「ウボァーーーーッ!」
女武道家「ふう。やっと魔王の間ね」
戦士「苦戦したぜ」
勇者 (嘘こけや、口上の途中で皆一太刀じゃあないかッ!)
女武道家「……さあ、扉を開けてよ、勇者」
勇者「ああ……」ギイ
勇者 (何故だろう、奮い起たない)
────ギィ
魔王「────わっはっは、ようこそ愚かな人間代表ゥ……!」
勇者 (あ、魔王だ……っていう感想しか出ねえコナクソッ!)
女武道家「いよいよ、ね……! 皆……!」
戦士「ああっ……! 行くぜッ!」
勇者「お、おう」
魔王「愚の骨頂とはこの事よッ! 我に刃向かうなど、言語道断……生物の頂点には敵わぬということを教えてやろうッ!!」
女武道家「勇者!」
勇者「何だい」
女武道家「最初の一太刀は任せたよッ! 景気付けに一発行ってッ!」
戦士「自慢の雷を纏った剣……見せろよ!」
勇者「……ああ」
魔王「……」
勇者 (といっても一度会った知り合いだから斬り辛ェーーーーッ!)
勇者「……どうしよう」
女武道家「何やってんの……勇者!」
戦士「糞ッ!怖じけたなか、しょうがねえ……!」
魔王「こ、来ないのか……? ならば我が自ら────ッ 女武道家「────させるかッ!! ボディプレス!!」
魔王「何ィ!?」
魔王「い、いきなし攻撃など────ッ戦士「────卑怯じゃないぜッ!! 凶斬り!!」
魔王「────ぬわああああッ! ……ぐっ !」
魔王 (強い、えっ? 普通に強いんだが!!)
女武道家「さあ勇者、奴は虫の息だ! 今度こそ!!」
戦士「最後の一発頼むぜオラァ!!」
勇者「……うん」
魔王「ゼェ……ハァ…ハァ……!」
勇者 (あ、今凄く可哀想だって思っちゃったよ……やばいやばい)
もうお前らだけでいいだろ!
勇者「……ええと、ぎ、ギガスラ────ッ 魔王「遅いわッ!!」
魔王「我の手で殺すぞ勇者────ッ女武道家「────させるかッ!! 四の字固め!!」ギューッ
魔王「グハッ!! ぎ、ギィーーーーブッ!」
戦士「追い討ちでそりゃっ!!」スパッ
魔王「────ッ! ……ぐふっ」
魔王「」
勇者 (結局一回も攻撃出来なかったね……魔王)
女武道家「……ふぅ」
戦士「倒したか」
勇者「あ、み、皆!」
勇者「おつかれ────ッ
バキッ!
勇者「……え?」
勇者 (誰に殴られた……誰!?)
女武道家「……」シラー
勇者 (女武道家ッ!?)
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