ミカサ「胸が苦しい」(81)
アルミン「随分焦っているみたいだね」
ミカサ「……あんな噂を聞けば私だって焦ることもある」シュン
アルミン「僕は噂を知ってから本人に聞いてみたんだけどさ、別にエレンはサシャと付き合い始めた訳じゃないって言ってたよ?」
ミカサ「エレンに聞いたの!?」
アルミン「う、うん。付き合ってるのか聞いたら笑って否定されたよ」
ミカサ「エレンはそんな話を私にはしてくれない……私も聞いたのに」
アルミン(ミカサは聞き方が……ちょっとね)
ミカサ「私は噂が本当か気になったからエレンに聞いただけなのに……エレンは怒鳴ってさっさと男子寮に戻ってしまったの。アルミン、どうか詳しい話を聞かせて欲しい」
アルミン「ミカサ、その噂にしたってさ、元々はここ最近エレンがサシャにパンを分けてあげてるってだけのことだろ?」
ミカサ「皆はこの食糧事情の中でそんな事をするのは夫婦か親子か……恋人くらいだと言っていたから。実際、私もそうだと思う」
アルミン「……じゃあミカサもエレンにパンちょうだいって甘えてみたら?」
ミカサ「!そんなことは出来ない。ただでさえ満足ではない食事を分けてもらうなんて。私は私の分をあげたいくらいなのに」
アルミン「じゃあ実際にもらわなくてもいいけど、冗談で言ってみるとかどうかな?」
ミカサ「冗談……私に言えるだろうか」ムムム…
アルミン「もう少し気楽に考えなよ。きっとエレンだってミカサにもくれるさ」
ミカサ「……騙すような事を言って私はエレンに嫌われたりしない?」
アルミン「大丈夫だと思う、よ?ハハ…」
アルミン(お、思ったより根が深い問題みたいだな……)
サシャは小型犬的な魅力があるが
ミカサはドーベルマン的な魅力があるね
──…
アルミン「詳細を探ってみるよとは言ったものの……うーん……」
コニー「ようアルミン!何変な顔してんだ?」
アルミン「変な顔って……考え事をしていただけなのに酷いな。そうだ、コニーはエレンとサシャの噂の事、何か知ってる?」
コニー「あーあいつらか。助かるよな~本当。エレンがパンを少しでも分けてやると俺たちは被害が少ないんだよな」
アルミン「!そういえば、最近パンを丸々取られちゃう人っていないもんね」
コニー「俺結構サシャと一緒に行動するけど、流石に毎回パンをくれてやる余裕はねぇからな」ハハッ
アルミン「……それもそうだよね。エレンはご飯足りてるのかな?」
コニー「知らねえし、そこまでは興味ねえな」
アルミン「う、うん、そうだよね。話を聞かせてくれてありがとう」
コニー「あ!そう言えばエレンになんでパンやるのかって聞いたら『悪い事と良い事を同時にしている感じだ』って訳のわかんねーこと言ってたぞ。じゃあ俺昼飯いくから!」スタスタ
アルミン「……ん?どういう意味なんだろう?」
──昼
アルミン(もうすぐご飯なのに二人はどこに行ったんだろ……エレンの事だからただの気まぐれって線も捨てきれないんだよなー)テクテク
アルミン(あ、エレン…………とミカサだ)
ミカサ「私は家族として聞いている。エレンが自分の食事を減らしてまでサシャにパンをあげる明確な理由が聞きたいだけ」
アルミン(おいおい!探ってくるからミカサは動かないでって頼んだのに、早速!?)
エレン「……うるせーよ。お前には関係ないって昨日言ったばっかりだろ?」
ミカサ「私に言えないのはきっと後ろめたい理由があるから。そうならエレンはサシャに構うのをやめるべきだと思う」
エレン「やることなすこと全部をお前に言わなきゃいけないのか!?俺の飯をどうしようが勝手だろうが!」
ミカサ「私はエレンの栄養状態を心配しているだけ。エレンは今考えなしに食べているようなものだから」
エレン「…っ!てめぇは俺の母さんかよ!?それとも姉にでもなったつもりか!?……しつけぇんだよ。今日はもう話かけるな!」
ミカサ「!エレン、私は……」
エレン「……」スタスタ…
アルミン「み、ミカサ……えっと、大丈夫?」
ミカサ「……アルミン、家族は心配してはいけないの?」
アルミン「いや、そうではないけど、なんていうかやり方がちょっと違うっていうか……」
ミカサ「話しかけるなって言われてしまった。……私は今日どうやって過ごせばいいの?」
アルミン「あー……んーと……」
ミカサ「……顔を洗ってくる」トボトボ…
アルミン「ミカサ!僕、先に食堂行ってるからね!?はぁ……本当、難しい問題になっちゃったなぁ」
──食堂
アルミン(エレン……今日は別のテーブルで食べるんだ)
ミカサ「……」ショボン
アルミン「ミカサ、僕がもう少し聞いて回ってみるからさ、その……ご飯食べて元気だしてよ、ね?」
ミカサ「……胸が苦しくて食べられそうにもない」ウルウル
アルミン「ちょ…っ!?落ち着いてよミカサ!大丈夫だから!み、水を持ってこようか!?」
ヒューヒュー!
ヨッ イロオトコ!
アルミン「ん?なんか騒がしい……あ、エレンのいるテーブルか」
アルミン(エレンの隣に……女の子?104期には違いないんだけどなんて名前だったかな)
アルミン(うわっ女の子の顔真っ赤……エレンに何か…あ、ヤバいこれって!)
イッテラッシャ~イ
ウルセーナ…
エレン!エガオデイケヨ!
アルミン(呼び出しだっ!告白でもする気か!?)
アルミン「み、ミカサ、あっちは見ちゃダメ……っ!あ」
ミカサ「……」ダバダバ…
アルミン「む、無言で号泣してる……」
サシャ「ミ~カサ!何を泣いてるんですか?食べないならそのパンいただいても~……」
エレン「サシャ、これ食え」ポイッ
サシャ「あ!エレン、いつもありがとうございます!」
エレン「おう、どうせ今呼び出されちゃ食えねぇからな」ポンポン
サシャ「お気をつけて~!」モグモグ
アルミン「」
寝ます
また明日きます
おもしろい
楽しみにしてる
ハッピーエンドじゃなきゃジャンを削ぐ
>>13
ジャンかわいそすぎワロタ
違ってたらごめん。爺さんの書庫書いた人?
かわいそじゃねーよ
ハッピーエンドにするにはハンサムなジャンさんがミカサを慰めるしかないだろう?
続き貼ります
>>15
そうです
今までここで四つ書いてます
一作目、エレン「対人格闘のペア変更?」
二作目、アルミン「暇だなぁ」キース「そうだね」
三作目、サシャ「一緒に走りましょうよ!」
四作目、エレン「爺さんの書庫?」
ミカサ「……」ガタッ スタスタ
アルミン「ミカサ!?流石に今エレンを追ったら怒られるくらいじゃ済まないよ!?」
ミカサ「……それはわかっている。大丈夫、私は追わない。ただ調子が悪いので医務室へいこうと思う」
アルミン「わ、わかった。次の訓練の教官には伝えておく、よ……」
ミカサ「ありがとう」トボトボ
アルミン(うわぁぁぁ……)
アルミン(話し掛けるな、女子の呼び出し、サシャにパンをあげて頭ぽんぽん……)
アルミン(これは流石のミカサでも……辛いだろうなぁ)
──近接格闘
アルミン(あ、良かった。エレンもちゃんと来てる。……これってもしかしてエレンと組むチャンスかな?)
アルミン(ちょっとレベルが違いすぎるけど仕方がない……さっきの女子の事も気になるし)
アルミン「エレン!今日は僕と組んで……ドガシャァッ!……え?」
ライナー「」
アルミン「ライナー!?どこから飛んで……っ!」
アニ「エレン、ちょっと相手しなよ」
エレン「おう、やるか。ん?アルミン、呼んだか?」
アニ「組む相手探してたならそこのデカいの持っていきな」
アルミン「……あ、ありがとう、……ライナーと組むよ」
──…
ライナー「本当に俺とやるのか?」
アルミン「行き掛かり上仕方なくね。やりにくいとは思うけど相手してくれると助かるよ」
アルミン「あとさ、ついでで悪いんだけどライナーにちょっと聞きたいことがあるんだ。エレンのことなんだけど……」
ライナー「」ビクッ
アルミン「?……どうしたの?お腹押さえて体調でも……」
ライナー「いや、すまん。大丈夫だ。さっきアニにもエレンの事を聞かれたんだが、知らんと言った途端にアニに吹き飛ばされてな……」ブルッ
アルミン「ライナーも知らないかぁ」ガッカリ
アルミン「アニは今頃エレンをボコボコに……ってあれ?」
ライナー「どうした?エレンは生きてそうか?俺は怖くて見れないが」
アルミン「ボコボコではないね。でもなんかアニが複雑な顔してる……楽しそうに口の端は上がってるけど目がギラギラしてる」
ライナー「……俺は見ないことにする」
・・・・・
ベルトルト「おまたせ」
アルミン「!巻き込んでごめんね、ベルトルト。それでアニのことなんだけど……」
ベルトルト「うん、聞いてきたよ。結構機嫌が良くて助かった」
アルミン「あれは機嫌が良い時の表情なのか!それで何かエレンの事を言ってた?」
ベルトルト「話し掛けたらアニからすぐに話題を振られたよ。なんでも“あいつ女に結婚迫ってフラれたらしいよプププ”だって」
アルミン「エレンが結婚を迫ってフラれた!?そんな馬鹿な……エレンがそう言ったのかな?」
ベルトルト「それを言葉通りに受け止めていいかは疑問が残るけどね。ただ昼食時に呼び出された女の子の話だっていうことは確かだよ」
アルミン「……謎が増えちゃったな。ベルトルトありがとう!」タタッ
──食堂、夕食
アルミン(もういっそエレンに直接聞きたいけど……今のミカサを一人には出来ないしなぁ)
ミカサ「……」ボーッ…
アルミン「ミカサ?昼の時よりも顔色が悪いけど……休めなかったの?」
ミカサ「聞いたの。エレンがあの女に結婚を迫ったと」
アルミン「!」
ミカサ「私はどうすべき?家族として、エレンの気持ちや目的は全て応援したいけど、でも……」ウルウル
アルミン「泣かないでよミカサ、きっと何かの間違いだからさ。巨人の駆逐最優先のエレンが、僕らがよく知りもしないような女の子に結婚を申し込むなんて有り得ないよ」
ミカサ「でもミーナがエレンにそう聞いたと言っていた。ミーナは嘘をつくような子ではないから……」
アルミン「もう何がなんだかわからないな……サシャの件も片付いていないってのに」ハァ…
アルミン(正直言って八方塞がりだし。これはもうエレンに直接聞くしかないな)
アルミン(エレンがサシャを……ミカサをどう思っているのか。今の気持ちを)
アルミン(エレンがサシャの事が好きだと言うなら、酷なようだけどミカサはそれを受け止めなければいけない)
アルミン(このままじゃ訓練中に怪我でもしかねないからね。エレンはまたあっちのテーブルか……)スタスタ
アルミン「エレン、食べ終わったらちょっと付き合って欲しいんだけど、いいかな?」
エレン「おう、今食い終わったから……あ、ちょっと待ってくれ。ほれ、サシャ、パン」チョイチョイ
サシャ「あ!いただきまーす!」キラキラ
エレン「……クスッ……よし行くかアルミン」
アルミン(……あれ?)
──『悪い事と良い事を同時にしている感じだ』
アルミン(あ、なんかちょっと……)
エレン「アルミン?」
アルミン「!ああ、ごめん。行こうか」
アルミン(……)
また来ます
謎は深まるばかりだ
ミカサを泣かせたら承知しねえぞ
エレン「なぁアルミンは明日の休日どうするんだ?俺明日は走り込みしようか悩んでんだよな~。でも今ですら天気よくねぇし雨降るかも……」
アルミン「ねぇ、エレン」
エレン「ん、どうした?そういや何か話でも……」
アルミン「ネコ」
エレン「!」
アルミン「……ネコ、だよね?」
エレン「……//」カァァ
アルミン「顔真っ赤だよ」クスッ
エレン「だぁぁぁぁあ!……アルミンの記憶力ってすげーんだな」ボソッ
アルミン「おかげさまで座学の帝王アルミンって呼ばれています」クスクス
エレン「誰も呼んでねーよ。くっそ~……なんでバレた?」
アルミン「コニーに言ったでしょ?悪い事と良い事の話」
エレン「ぐあぁっ!想定外のところから……」ガッカリ
──────
────
──
エレン「おーい……おーい」ヒソヒソ
……ニャア
エレン「!……おいでおいで」チョイチョイ
アルミン「エレン」
エレン「!うわっ!?あ、アルミン……」
ミカサ「やっぱりネコ。エレン、おじさんもおばさんもダメだって言ってたのに」
エレン「ミカサもかよ……ちょっと餌やっただけだっ!」プイッ
ミカサ「でもそのネコにあげている牛乳はとっても貴重なもの。おばさんはエレンに飲んでほしくて買ってくるのにネコにあげてしまうのはおかしい」
エレン「別にお前の分が減った訳じゃないんだからいいだろ!?」
アルミン「落ち着こうよ二人とも!」
エレン「お前も反対なのかアルミン!そんなに悪い事かよ!?」
ミカサ「すごく悪い事。おじさんとおばさんに謝るべき」
アルミン「ミカサも落ち着いて!」
……ニャア ニャア ニャア
アルミン「!……かわいい」
エレン「……だろ?」
ミカサ「……確かにかわいい」
つまりサシャをペットとして…
パンツ脱いだ
アルミン「お腹がすいてるんだろうね。まだ小さいのに母ネコはいないのかな?」
エレン「……」コクン
アルミン「エレン、おじさんやおばさんに内緒にしたのは悪い事かもしれないけど、少なくともこのネコは喜んでいるね」
エレン「だろ!?良い事だよな!?」
ミカサ「……でもダメだと思う」
エレン「う~…!じゃあ悪い事で良い事ってことにしよう!」
アルミン「悪い事で良い事?」
エレン「うん、だから誰にも言わないんだ!」
アルミン「……それ結局エレンの一人勝ちじゃないか」クスクス
エレン「いーの!あ、ミカサは悪い事って言ったから触っちゃダメだぞ!」
ミカサ「!……牛乳を半分あげるから私も触りたい」ショボン
シカタネーナー
ボクモモッテコヨウカナ…
ナイショニシヨウナ!
──
────
──────
ミカサかわええw
アルミン「懐かしいね」
エレン「ああ、あれからすぐ超大型巨人が現れて……アイツどうしてるかな」
アルミン「……」
エレン「この前の祝日にさ、珍しく俺達の飯にも牛乳が出ただろ?」
アルミン「!そういえばそんなことがあったね」
エレン「牛乳飲んだらアイツの事思い出しちゃってな……胸がいっぱいで飯が喉を通らなかったんだ」
エレン「その時たまたまサシャがいたからパンをやったんだけどさ。必死に口に詰め込むのみたら……」
アルミン「あのネコみたいだったから餌付けしてた、と?」
エレン「……まぁそんなところ。本人が知ったらペットかよって思うだろうから“悪い事”かと思ってさ」
エレン「あー……悪い事、もう一つあるな」
エレン「ミカサが、気にするだろうってわかっててサシャを構ってたのが“悪い事”だな」
アルミン「!……エレンはさ、ミカサにもう少し優しく出来ないかな?」
エレン「……難しいんだ。色々考えちまって。俺達ももう子供じゃないから。そろそろ答えが欲しいところではあるんだけどな」
アルミン「答えが“欲しい”の?エレンが答えを“出す”んじゃなくて?」
エレン「ああ、答えを出すのは俺じゃない」
・・・・・
(──エレン「答えを出すのは俺じゃない。……でもミカサとは明日にでも話すよ。アルミン、いつも面倒かけてごめんな」──)
アルミン「明日か……明日。……ぼ、僕がドキドキしてどうするんだ!」ドキドキ
アルミン「エレンの悩みは何なんだろう……うーん……眠れないかも」ドキドキ
アルミン(明日は僕も外出はできないな。ミカサをエレンの指定した場所に呼び出すことを頼まれたし……)
アルミン(いや、出掛けてもいいんだけど気になって外出どころじゃないと思うし!ね!)
アルミン(願わくば……二人が傷つかない結果になって欲しいなぁ)ドキドキ
アルミン(ああっまたドキドキしてきた……うーん……)ドキドキ
──翌日、昼食後
ミカサ「……」キョロキョロ
エレン「ミカサ、こっちだ」
ミカサ「エレン!アルミンに言われて……話があると」ソワソワ
エレン「ああ、ちょっと座って話そうぜ。隣にこいよ」
ミカサ「……エレン、今日は朝食にも昼食にも来なかった。お腹はすいていないの?」
エレン「腹は減ってないな。流石に腹くくるのに精一杯で……ってこれは別にいいか」
ミカサ「今日は休みでも明日からはまた訓練が始まる。大抵休日明けは最初からかなり走らされるのだからご飯くらいはキチンと……」
エレン「お前さ……」
ミカサ「……?」
エレン「……いつまで俺の“母親”をやる気なんだ?」
ミカサ「!わ、私はおばさんにエレンをよろしくと頼まれた、ので、それはきっと死ぬまで……」
エレン「死ぬまで、ミカサは俺の母さんなんだな?」
ミカサ「……?エレンの言いたい事がよくわからない。私は家族だから当然あなたの心配をするし……」
エレン「心配するとかしないとか、そういう事を言ってるんじゃねぇ。俺だってお前やアルミンの事はいつだって心配だし気にかけてる」
エレン「ミカサは、俺をまるで自分の子供か弟みたいに扱うだろ?」
ミカサ「そ、それはエレンが普段から注意していないと危険な目にあったりするからで……」
エレン「それを人は余計なお世話っつーんだよ。いい年した男がよ、食事中にガミガミとちょっかい出されて楽しいと思うか?うざってえ」
ミカサ「!……」
エレン「あ~……ちょっと言葉がきつかったな。悪かった。じゃあ聞き方を変える」
エレン「ミカサは俺が『結婚したい人がいる』って女を連れてきたらどうする?」
ミカサ「そんなっ!……それは困る。私は……許容出来ないと思う」
エレン「許容出来ないってなんだよ。お前が俺の家族なら、その相手と幸せに暮らす事を応援してくれるはず。そうだろ?」
ミカサ「でも…っ!私は家族だけど、でも……」ウルウル
どうなるのだ…
エレン「泣くなよ。冷静に話してるだけだろうが。お前にはさ、こうしたい!とかこうなりたい!って言うような欲求?みたいなもんはねーのか?」
ミカサ「……私はエレンが望むことをするのが一番大事」
エレン「だから!それだよそれ!俺の望むことじゃない、ミカサの望むものは何だって聞いてんだろ!?」ドンッ
ミカサ「!お、怒らないで欲しい……私はエレンの欲しがっている答えがわからないから……」オロオロ
エレン「~~~っ!だからなぁ!俺の望みは……お前が素直に生きてくれることなんだよ」
ミカサ「?……私は素直に生きている。嘘などはつかないし」
エレン「俺はな、自信がないんだ。お前は、俺がお前を助けたあの日からずっと、俺の事を家族だ、大事にするんだ、最優先なんだって思い込み続けているだろ?」
エレン「何がミカサの本心なのか。俺が見えない柵でお前を囲っちまったんじゃないか。今更俺から離れてはいけないんだと、知らない間に義務感や罪悪感を植え付けちまったんじゃないかってな」
ミカサ「私は、私の意思でエレンのそばにいる。義務感や罪悪感で離れない訳じゃない」
エレン「……本当か?母さんに俺の事を頼まれたから、自分の命を救った相手だから、俺のそばにいるんじゃないんだな?」
ミカサ「そ……それもある。でも違う。それは些細な事。いや違う、些細じゃないけど、でも……」
エレン「なぁミカサ、俺はお前に、……好きだと言ってもいいのか?」
ミカサ「……え?」
!!!
エレン「俺はな、お前が好きだ。ずっと前から、ミカサが好きだ。だから俺にとって、お前が俺の母や姉じゃ困るんだよ」
ミカサ「……嘘」
エレン「こんな事で嘘なんかつくかよ。お前はよぉ……俺の世話焼いてばっかりだし、俺にわがままも言わない、甘えもしない、今に至っちゃ成績は俺より優秀だし身長だって大差ねぇ」
エレン「実際、自分にいいとこが無さすぎて情けなくって仕方ねぇよ。子供だ、弟だって言われた方がまだ納得出来る位だ」
エレン「でもなミカサ、お前が……俺の恋人になってくれたらってずっと思ってた」
エレン「でも言えねぇだろ?言っちまったらお前は俺の望みを叶えようとするから。それが本心じゃなくても、実際は俺を恋人とはみられないと思っていたとしても、さ」
エレン「俺には……わかんねぇから。それが俺への依存なのか、俺への好意なのか……」
エレン「いつかお前に好きな奴が出来て、幸せそうに俺から離れていくならそれもありだと思ってる」
エレン「本当は別に好きな奴がいるのに、俺の事なんか男とは見ていないってのに……俺が望むからって付き合わせる訳にはいかねぇよ。……いかねぇよな?ダメなんだよそんなのは」
エレン「だからこの集団生活っていう好機の中で、お前が他の男と接するのを邪魔しちゃいけねぇから……俺は俺なりに距離を置こうと思ってたんだ」
エレン「そんで……おい、泣くなよミカサ……なぁ」
エレンさんしっかり考えてたんですね
馬鹿にしててすいませんでした
ミカサ「……エレンはバカ」
エレン「バカなりに考えてんだよ」
ミカサ「……すごく鈍感」
エレン「そうでもねぇよ。無駄な期待したくねぇから、鈍感なふりしてんだって、なぁ」
ミカサ「エレンは……」
エレン「ミカサ、好きだ」
ミカサ「…っ!私も好きっ……好き、大好き…っ!」ポロポロ
エレン「ありがとな。本心だよな?そう思っていいか?」
ミカサ「心から、あなたが好き。私を恋人に……」
エレン「ば、バカ野郎!お前それは違うだろうがあぶねえな!」
ミカサ「?……」グスッ
エレン「それは俺が言わなきゃ……俺の、恋人になって欲しい」
ミカサ「……うん、なる…っ!嬉しい…っ!」
エレン「俺も嬉しい。これからもよろしくな。大切にする」
えんだああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
えんだあああああああああああああ
アルミン「ぃぃやったぁぁぁぁぁ!!!」ガサガサッ!
エレン「!」
ミカサ「!」
アルミン「……ごめん」グスン
エレン「アルミン、友達になって以来初めて言うけどな、空気読めよ?」
ミカサ「……号泣」
アルミン「ミカサだってボロボロ泣いてるだろ!ごめん、本当にごめん、でも二人がケンカするかもって思ったら心配で心配で」シュン
エレン「まぁアルミンにどんな話か言ってなかったしな。そんな所にいつからいたんだ?兵舎裏は虫だらけなのに」
アルミン「エレンが『ミカサはまだ来ていないみたいだな』って言った時」
エレン「俺より早く来てんじゃねぇよ」クスクス
ミカサ「アルミンもこっちに座るといい」
アルミン「お、お邪魔じゃないかな!?」
エレン「最大のお邪魔の後だからな、気にせず座れよ」
ミカサ「エレン、もう意地悪を言うのはよくない。アルミンが違う理由で泣きそう」クスッ
えんだああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
いやああああああぁぁぁぁあああ
──…
エレン「結婚の申し込み!?誰がそんな……あぁ、あれか、呼び出しくらった時の話か」
ミカサ「……」コクコク
アルミン「僕も真相が知りたい!」
エレン「いや、呼び出されてついて行ったら好きだって言われたんだがな。希望の所属兵科を聞かれたから調査兵団って言ったら、成績上位を保って憲兵団に行って欲しいって言われたんだよな」
ミカサ「……図々しいことを言う女」ギリギリ
エレン「だから、俺は調査兵団で巨人の殲滅に注力したいし、その為なら例えば結婚とかもきっと先延ばしにしてしまうし、付き合う相手にも我慢させる部分が出てくると思う。それくらい決意は堅いんだって話しをしたら……」
(──結婚とかそんな事今は考えてないわよ!気持ち悪い!)
エレン「──ってフラれた訳だ。告白されたのは俺なのにな」
アルミン「……」
ミカサ「エレンが正しい。そんな女と付き合うのは時間の無駄」
アルミン「確かに、調査兵団ってだけでも付き合う相手には高い壁ではあるよね」
エレン「ああ、壁外調査には死を覚悟して行く訳だし、他よりもダントツで死亡率は高いからな」
エレン「でも俺がいう我慢はそれだけじゃないんだ。兵士なら多かれ少なかれ死の覚悟はあるだろうし」
ミカサ「?」
エレン「俺は母さんを目の前で殺されてるからかもしれないが、巨人の事になると頭に血が昇りやすい。練習用のハリボテだって憎いと思うことがあるくらいだ」
エレン「それに俺は時々……自分の腕や脚、首なんかに枷をはめられているように思えるんだ」
アルミン「枷……?」
エレン「そう、枷だ。巨人を許すな、戦え、殺せ……そんな言葉の枷が、俺の全身を絡め捕っているような気になるんだよ」
エレン「異常だって言われりゃそれまでだ、自覚もある。一人で生きていくならそれでもいいが……恋人がいるとなれば話しは別だろ?心臓を捧げた兵士が言うことじゃねえけどな」
エレン「その枷にとらわれすぎて、大切な人を危ない目には合わせたくない。でもこの枷はそう簡単に外せそうもない」
アルミンいい子すぎるだろ天使
よかったなあミカサ
エレン「だから……」
エレン「俺が俺を見失いそうな時、ミカサには隣にいて俺の目を覚まさせて欲しいんだよ」
ミカサ「!」
エレン「前回の考査でも言われたんだ。高い目的意識の裏にある、視野の狭さが命取りになるって」
アルミン「うーん……訓練なら立体起動のスピードと斬撃の深さに集中出来るけど、本物の巨人との戦闘では確かに……」
エレン「勿論戦闘中に直接殴って目を覚まさせてくれって訳じゃない。俺が枷に引っ張られ過ぎない為の……現実の最後の砦って感じかな」
ミカサ「私が、最後の砦……」
エレン「実戦じゃあ巨人を倒してお終いってだけの話じゃなくて、勿論生きて帰るのも重要だからな……重いか?」
ミカサ「いいえ、エレン。あなたが私に生きる為の戦いを教えてくれたように、私もあなたに死なない為の戦いを教えたいと思う」
アルミン「僕だって!いや……ミカサほど役に立つとは思えないし二人の仲の邪魔をする訳ではないんだけど、少しでも皆で生きていける方が絶対にいいんだから、ね!」
エレン「本当、お前ら優秀なんだからよろしく頼むぜ」クスクス
エレン「あーあ!語っちまったなぁ。動いてねぇのに疲れた」
ミカサ「……」ジーッ
アルミン「僕は泣き疲れたよ……?どうしたのミカサ何か……」
ミカサ「……」チラッ
アルミン(僕を見た後にエレンをチラ見……あ!)
アルミン「おっとぉぉっ!いけない僕は夕食までに調べたい事があったんだった!」ガタッ
エレン「調べ物か、暇だし手伝うぜ」
アルミン「とんでもない!すぐに終わるから……いやマルコとかサムエルとか~…そこらへんと約束してるから、二人はその、ごゆっくり!」タタッ
エレン「お、おう。じゃあまた夕飯の時にな!」
ミカサ「エレン」ポンポン
エレン「あ?」
ミカサ「少し寝るといい」ポンポン
エレン「……ってお前こんな硬い床の上で膝枕なんてしたらお前の足が痛むだろうが」
ミカサ「恋人としての初仕事……」
エレン「……わかったよ。でもあんまり長く寝そうなら起こしてくれ。午後は筋トレするつもりだから」
ミカサ「了解した」
エレン「……お前の足、安定感半端ねえな」フニフニ
ミカサ「!」
エレン「後でお前もさ、なんか甘えてこいよな」
ミカサ「わ……わかった。善処する」
エレン「相変わらず……堅いしゃべり方だな……」クスッ
ミカサ(なんて穏やかで幸せな時なんだろう……胸が暖かい……)
──食堂、夕食時
エレン「アルミン、調べ物は出来たのか?」
アルミン「え?……あ、うん出来たよおかげさまで」ニコニコ
アルミン(ミカサがいつになく幸せそう……本当に良かった)
コニー「おーい混ぜてくれ」
エレン「おう、珍しいな」
コニー「女子が固まって何やらゴチャゴチャしててよ、追い出されちまった。よっと」ガタン
コニー「あ、そういや今日もサシャにパンくれてやるのか?」
ミカサ「!……」チラッ チラッ
エレン「いや、俺今日は朝と昼食ってねぇからあげらんねぇよ。なんでだ?」モグモグ
コニー「いや、お前が毎日パンやってんのって何か面白れぇのかなと思って。そっか、なら今日は俺が分けてみるかな!」
私は感激している
こんな素敵なssにめぐりあえるなんて
ミカサ(サシャにはあげない?なら甘えるなら……いま!)
ミカサ「エレン、その……パンを少しわけて欲しい」モジモジ
アルミン(え!?なんでそうなるの!?)
ミカサ(私は恋人、きっと優先してくれる……はず!)
エレン「え……お前今の話聞いてたか?そんなに腹減ってんのかよ……仕方ねぇな、ほれ半分」
ミカサ「!嬉しい、ありがとう!でもお腹は減っていない」ニコニコ
エレン「……あ?お前、甘えろとは言ったけど……ちょっとパン返せ」
ミカサ「お、怒ったなら謝る!……ごめんなさい」シュン
エレン「違う違う、ちょっと来いよ」
コニー「あ、サシャだ。おいサシャ!今日は特別に俺様がパンを~~……」
ミカサがおバカ可愛い
──…
ミカサ「エレン、ごめんなさい。実は最近サシャがあなたからパンを貰っていたからちょっと対抗したくて……」
エレン「んなの説明しなくても分かるって。怒ってねぇから謝るなよ」
ミカサ「……まだ食事は終わっていないのにどこにいくの?」
エレン「ん、ここらでいいだろ」
チュッ…
ミカサ「!」
エレン「よし、戻るか。ほら、手ぇ出せよ」
ミカサ「エレン……」
エレン「いらねぇパンなんかねだるんじゃねえよ、バカ」ギュッ
ミカサ「……///」
ミカサ(繋いだ手が暖かい)
ミカサ(反対に……さっきまで穏やかだった胸が……)
ミカサ(幸せ過ぎて苦しい)
完
おまけ
アルミン(あ、二人戻ってき……手を繋いでるー!?///)キャー
ジャン「てめぇ、飯の最中にミカサ連れ出すとかよ、いい加減ミカサにべったりなのも卒業……おい、なんで手なんか繋いで……るんですか……?」
エレン「付き合ってんだ。手くらい繋ぐだろ」
ミカサ「そう、手くらい繋ぐのは当たり前のこと///」
ジャン「」
コニー「おいエレン!?サシャにパン千切って渡そうとしたらデカい方とられたぞ!?」
エレン「そりゃお前……サシャはデカい方とるだろ。パンやる時は自分の分が食い終わってからじゃないと」
コニー「先に言えよ!9割とられたっつーの!」
サシャ「ごちそうさまでしたぁ!」
おしまい
えんだああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
9割w
おつ
やはりエレミカは正義
お付き合いいただきありがとうございました。
進撃ss五作目です。
甘め切なめハッピーにしてみました。
また日常系で一つ書きますのでよろしくお願いします
良作だったわ
おつ
ミカサの膝枕がフニフニなんて感触なわけがない
よかった。
乙乙乙
ミカサが可愛すぎて胸が苦しい(´д`;)ハァハァ
ようやくまともなエレミカを見れた
感動しました
この調子でこれからももっと続けるべき
乙です
かわいいぜ
これはわtミカサも満足しているに違いない
これがミカサか
乙
すげえ良かった…
次回作に期待
このSSまとめへのコメント
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