響「身長が欲しいぞ!」 (48)

765プロ、事務所

響「はぁ……」

P「どうした響、ため息なんてついて」

響「プロデューサー、自分気がついちゃったんだぞ……」

P「え?」

響「自分、完璧じゃないんだ……」


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P「え? 今更?」

響「は?」

P「ゴホンゴホン! なんでもない! どうして、完璧じゃないなんて思うんだ?」

響「自分、ダンスうまいだろ?」

P「うん」

響「歌上手いだろ?」

P「うん」

響「響チャレンジも、最近はずっと成功してるだろ?」

P「うん」

響「動物、家族たちと話せるだろ?」

P「……うん」(それはなんかちょっと違うような)

響「そんな自分にも、たったひとつ、たったひとつだけ! 完璧じゃないところがあったんだぞ!」

P「え? たったひとつ?」

響「そうだけど?」

P(響って割と欠点多い気がするんだけどな、でも本人がひとつって言ってるし、ここは話を合わせとくか)

P「ふむ、で、そのたったひとつの完璧じゃないところってなんだ?」

響「えーっとな」

響「身長、なんだ」

P「……」

響「どうしたんだ? 黙り込んだりして」

P「いや、なんというかその……予想外だったというか」

響「やっぱりプロデューサーも今まで気がついてなかったかー、無理もないな、完璧な自分が今まで気がつかなかったくらいなんだからな!」

響「あ、もう完璧じゃないんだった……」シュン

P(カワイイ)

P「まぁ、元気出せって」ナデナデ

響「あぅ……///」

響「って、頭撫でるなー!」クワッ

P「うお!? いきなり振りほどくなよ」

響「ほらな! 身長がプロデューサーより低いから、頭撫でられるんだ!」

P「頭撫でられるの嫌だったか?」

響「え? ……それはその、嫌じゃないけど」ボソボソ

P「え? なんだって?」

響「うがー! なんでもないぞ!」

響「とにかく! 身長が欲しいの!」

P「いやでも、響ってまだ16歳だろ? これから伸びるんじゃないか?」

響「いや、甘いぞプロデューサー」

P「え?」

響「亜美真美は何歳だ?」

P「13歳」

響「身長何センチだ?」

P「158センチ」

響「ほら! おかしいだろ!?」

P「……自分より年下の子が身長高いのがおかしいってことか?」

響「そうだ!」

響「亜美真美でさえ、158センチもあるのに、この歳で152センチだぞ!? これから先6センチも伸びるなんて思えないぞ!」

P「いや響、その考えこそ甘い」

響「うぇ?」

P「俺は17歳から18歳までの間に7センチも伸びたんだぞ?」

響「えぇ!? そうなのか?」

P「あぁ、本当だ」

響「じゃあ、来年には亜美真美よりも身長高くなってるんだな!」

P「だな」(確証はどこにもないけど、ちょろいな)

響「よーし、これで一件落着……してないさー!」ガタッ

P「お、おい! なんでだよ、来年までに伸びればいいだろ?」

響「自分は今すぐ身長が欲しいんだ!」

P「えぇー……」

響「だからプロデューサー! 今すぐに身長を伸ばす方法を教えてくれ!」

P「んな無茶な……」

響「頼むからぁ」ウルウル

P(上目遣いで涙目の響カワイイ)

P「わ、わかった」

響「本当か!?」ニコッ

P「……いや、実は知らない」

響「うがー! プロデューサーの役立たず!」

P「だから一緒に今から調べよう」

響「え?」

P「インターネットを使おう、何かしらの方法が見つかるかもしれない」

響「いいのか? プロデューサー仕事があるだろ?」

P「それなら結構余裕あるから心配するな」

響「でも、仕事と関係ないことしてたら律子やぴよ子に怒られないか?」

P「あのふたりは今いないじゃないか、それに、今すぐにって言ったのは響だぞ」

響「……そうだな」

P「とりあえずパソコン使うから、響、椅子持ってこっちこい」

響「うん」ガタガタ

P「もうちょっと近づかないと画面見づらくないか?」

響「そ、そうだな」ススッ

響(わ、プロデューサーの顔が近い///)

P「それじゃあ調べよう、とその前に」

響「?」

P「お前、身長どれくらい欲しいんだ?」

響「んー、170センチ」

P「は!? 今より12センチも高くなりたいの!?」

響「そうだぞ!」

P(来年までに亜美真美を抜かしたいっていうから160センチくらいかと思ったのに、それよりさらに10センチも上か……)

P(これは解決策ない気がする)

P「まぁ、とりあえず平均身長を調べてみよう!」カチカチ

~~~

P「ふむ、16歳女子の平均身長は157.6センチか」

響「平均より5センチも低い……」ズーン

P「気にするなって、今から伸ばすんだろ?」

響「でも、でもおかしいぞ」

P「?」

響「ほら、ここ見るんだここ!」

P(響が身を乗り出して画面を指差した! 顔近い! スゲー近い!)

響おちつけ
もう1回計算してみろ

亜美真美って結構身長あるんだよね。(長身ロリか……)

響、安心しろ

2*歳で156の俺がいるんだから

ちっちゃいのに出るとこ出てて、引っ込む所引っ込んでるとか完璧だろ

一理ある

どっかのロリ巨乳ウェイトレスを思い出して仕方ない

響は小さいからいいんだろ!!

公式でもロリ組のほうにカウントされてるしね…

低身長でこそなんだが、それに気付くのはいつになるやら

低身長のよさに気がつかないあたりが完璧じゃないな

響「13歳女子の平均身長153.6センチ!」

P「……だな」

響「亜美真美と自分の身長取り替えて良いんじゃないか!? なによりも13歳の平均身長以下ってのがショックだぞ!」

響「うがー! 自分みたいなのが平均身長さげてるんだ! きっと他の16歳女子はみんな158センチ以上あるんだ!」

P「落ち着け響! それは流石にありえない!」

響「もうだめだ、おしまいだ」ズーン

そんなひびきんには竹馬をプレゼントしよう

P(あ、これ本気で落ち込んでる)

P「こりゃ口が裂けても、平均よりも5センチ低いって言ってたけど、正確には5.6センチ、四捨五入すると6センチ低いなんて言えないな」

響「……6……センチ……」ズズーン

P(やべぇ、声に出してたよ俺!)

P「いやまあ、あれだ、元気出せって」ナデナデ

響(あ、また頭撫でられてる)

響(これも自分の身長が低いせいだよな?)ズズズーン

P(……こいつ頭撫でられるの自分のほうが身長低いからだって思い込んでるよ絶対)

P(つか俯いてるせいで余計に低く見える)

響「身長……身長……」ブツブツ

P(ここはひとまず……)

P「よ、よーし、身長伸ばす方法探すかー!」サッ

響「あ……」

響(プロデューサーの手がマウスに戻っちゃったぞ、もっと撫でて……)

響(って違うぞ! 身長高くなって、逆に頭を撫でてあげるんだ!)

響「あれ?」

P「どうした」

響「プロデューサー身長いくつだっけ?」

P「174センチだが?」

響「じゃあ175センチ欲しい」

P「はぁぁぁ!?」

P(何言ってるんだこいつ! 170センチでさえ厳しいのに、さらに5センチも伸ばしたいだと!?)

P(ん? ……確か18歳の貴音が169センチだよな? で、俺の身長が174センチ)

P(響が最初に言った欲しい身長は170センチ、で今が175センチ)

P(もしかして)

響「プロデューサー、早く! 早く調べて!」

P「わ、わかった」

~~~

P「ん、どうも手術で身長を伸ばす方法があるらしいな」

響「手術?」

P「あぁ」

P「イリザロフ法って言うらしい」

響「ふむ、どれどれ」

響「感染症の確率25%以上……」

響「手術後は麻酔でも耐えられないほどの……激痛が続く……」

P「……」

響「」ガクガクブルブル

P「あ、もう一個あるぞ! ISKD法ってやつが!」

響「で、でもそれも痛いんじゃ?」

P「感染症のリスクも少なくて、痛みも少ないらしい」

響「本当か!」

P「でもアメリカでしかやってないっぽいな……」

響「じゃあアメリカに行けば……」

P「その間の家族の世話とか、テレビ番組の収録どうする気だ」

響「あ、そっか」

P「それに費用とか、伸ばせる身長見てみろ」

響「なになに? イリザロフ法、……735万円!? それだけお金かけて痛い思いして、伸ばせる身長が9センチだけ!?」

響「あ、ISKD法ってやつだと5~8センチしか伸ばせない」

P「な? 現実的じゃないだろ?」

P「そもそも手術の時点で今すぐに身長を伸ばすのは無理だ、というか響はまだまだ成長期、だから焦る必要ないんだって、これでわかったか?」

響「で、でもそれじゃあ……」

響「貴音の頭撫でられない!」

響「……あ」

P「やっぱりか、そんなところだろうと思った」

響「なんでもないぞ! 今のは忘れるんだ!」

P「いーや、忘れない」

P「事情を聞かせてもらおうか」

響「うぐ……、わかったぞ」

響「最近な、貴音によく頭撫でてもらうんだ」

P「ふむ」

響「だから自分聞いたんだ、なんで、貴音は自分の頭を撫でるんだ? って」

響「そしたら貴音、響は小さくて可愛いから、撫でてあげたくなるって言うんだぞ!」

P(わかる)

響「それでその小さいって意味が最初わからなかったんだけど、亜美真美の年齢と身長、自分の年齢と身長比較して気がついたんだ」

響「貴音は、自分のことを身長が小さくて可愛いって言ってるんだって!」

響「嫌味で言ってるとか、そういうのじゃないのはわかってるんだ! だけど、自分は小さいから可愛いんじゃないかって……」

響「身長が高かったら、可愛くないんじゃないかって……撫でてくれなくなるんじゃないかって、怖くなって……」

182センチの俺が撫でるから問題はないぞ!

P「だから、貴音よりも背が高くなって、それでも可愛いって言ってもらえるか、撫でてもらえるか、知りたいって思ったのか?」

響「うん」

P「俺が思っていたのと違うな」

響「え?」

P「俺が思っていたこと言っていいか?」

響「いいぞ?」

P「まず、お前は最初に俺が頭を撫でたとき、自分がプロデューサーより身長が低いから撫でられる、といっただろう?」

響「うん」

P「そのあと、ついさっきだな、貴音の頭を撫でられないとも言った。だから響は撫でられるのが嫌で、それを俺や貴音に思い知らせようとしてわざわざ俺たちより高い身長を望んだ」

P「と、思ったんだが、撫でてくれなくなるのが怖いなら、それも違う」

響は大きいなぁ

タイトルの時点でもうとんでもなく可愛いわ

響「……」

P「貴音と響の身長差くらいなら、背伸びなりなんなりすれば、頭を撫で返すことできるじゃないか、それでいいんじゃないのか?」

響「そうだけど、そうじゃないんだ!」

P「どういう意味だ?」

響「えっと、恥ずかしいけど……言うね?」

P「おう」

響「なんていうか、自分より背の高い人に頭を撫でられると、……とっても安心して、幸せなんだ」

響「だから、その安心、幸せを貴音にもあげたくて……」

P「なるほどな……理由は三つか、一つは背が高くなっても可愛いって言ってもらえるかということ、二つ目は撫でてもらえるかということ。三つ目は貴音にも自分と同じ安心、幸せを与えたいと思ったということ」

響「うん」

P「まず一つ目に関してだが、心配するな。お前は背が伸びても可愛い。絶対にだ」

響「え」

P「きっと貴音も同じことを言うだろう、でもそれは気をつかってとかじゃなく、本心から言うことだ」

響「なんでそんなこと言えるんだ?」

P「お前の行動、仕草、笑顔が可愛いからだよ」

響「え? それって……え?///」

P「例え背が高くなっても、それらは変わらない、だからお前は可愛いままなんだよ」

P「貴音にとって、いや、俺にとっても小さくて可愛いってのはひとつの要素にしか過ぎない」

P「小ささが抜けても、お前は充分可愛いんだよ」

響(何度も何度も可愛いって、すごく恥ずかしい……)

P「わかったか?」

響「う、うん」

P「さらに二つ目の撫でてもらえるかってことについては、もう自分でも答え出てるだろ?」

響「うん、自分より身長高い貴音の頭を撫でたいって思ってる、だから多分貴音も同じこと考える……と思う」

P「で、三つ目についてなんだが」スッ

P「お前は、すごく優しい子だな」ナデナデ

響「ふぁっ!?///」

P「自分に与えられた幸せを、相手にもあげたいって思える時点で、優しい。それに、自分より背の高い人に撫でられると幸せだとも言った、つまりお前は、自分の幸せを捨ててまで貴音の幸せを望んだ。そんな優しいやつ、めったにいないよ」ナデナデ

響「そ、そうなの?」

P「あぁ」ナデナデ

P「貴音も幸せ者だな。こんなにも想ってくれる人がいて」ナデナデ

響「あの、そろそろ……」

P「ん?」ナデナデ

響「頭撫でるのやめて? 恥ずかしい///」

P「っとすまん! ついつい」サッ

P「で、三つ目に関しても、その気持ちを直接貴音に伝えてやれば大丈夫だ」

P「きっとあいつ、大喜びするぞ」

響「なんで? 自分と同じ幸せをあげてないに?」

P「その気持ち自体が、お前が与えてもらった幸せそのものだからだよ」

響「……」

P(これで納得してくれただろう、んー、でも響は優しいから、それでも! って言うかな? なにか妥協点は……)

P「……あ!」

響「?」

P「……響の仕事は夕方からか、俺の仕事は……まぁ確実に怒られるだろうけど、いいか」

P「響、ちょっと外に出るぞ」

響「へ?」

P「いいから」

響「う、うん」

~~~

響「ここって、靴屋?」

P「ああ、入るぞ」

響「今までのこととなんか関係あるのか?」

P「ある。お前、足のサイズ何センチ?」

響「え、○○センチだけど」

P「わかった、ちょっと待ってろ……ここ品揃え豊富だけど、女性ものあるかな……」

響「?」

数分後

P「ほら、これ」

響「靴?」

P「そりゃ、靴屋で探すモノって言ったら靴しかないだろ?」

響「ま、まぁ、でもちょっと地味だぞ」

P「贅沢言うな、いいから履いてみろ」

響「うん」

響「ん? あれ?」

P「どうだ?」

響「なんか目線高い気がする、身長伸びた!?」

P「バカ、そんなすぐ伸びないってさっきわかっただろ、伸ばしたんだよ、その靴でな」

P「ハイヒールで伸ばす手もあるが、それだとバレバレだろ? だからこの、シークレットシューズってやつに目をつけたんだ。ていうかさっき、そういうのがあるの思い出した」

P「踵の部分が5センチ分厚くなってる、つまり今のお前は16歳女子の平均身長とほぼ同じだ」

P「お前の言う完璧とは程遠いけど、普通くらいにはなれた、これでもだめか?」

響「ううん! そんなことない、なんだか嬉しい!」

響「それに、もういいんだ、完璧じゃない部分はひとつじゃない」

P「え?」

響「貴音の気持ちも、プロデューサーの気持ちにも気がつけなかった。自分のこの気持ちを打ち明けるのが怖くて、完璧じゃないって理由をつけて言った。だから自分、まだまだなんだ」

P「……そうか」

響「でも、今度は逆に、ひとつだけ完璧なものがあるぞ!」

P「なんだ?」

響「それはなー、可愛さだ!」ニコッ

P「!」ドキッ

響「あれだけ可愛い可愛い言われたら、完璧なんだって気がつくぞ!」

P(そりゃ可愛いが、なんかやっぱずれてるな……まぁ、そういう響らしさも、可愛さの一つだな)

響「それじゃあこの靴買おう! それで事務所に戻ろう!」

P「そうだな、そろそろ戻らないと俺もお前も仕事がやばい」

響「夕方からの仕事は貴音と一緒だぞ! きっと背が伸びた自分を見てびっくりするぞ!」

響「それに、恥ずかしいけど……気持ちを伝えられるし」

P「……頑張れよ! それじゃあさっさと会計して帰るぞ!」

P「ん?」

P「貴音に幸せをあげたいから、貴音より高い身長を望んだ。で、俺よりも高い身長を望んだってことは……」

響「! わー! わー!」

響「会計して! 帰る! 帰るの! わかった!?」

P「お、おう」

~~~

P(その後、響と貴音は一層仲良くなった。きっと気持ちをちゃんと伝えたのだろう)

P(他のアイドルたちにも、身長伸びた? と言われているのを何度も見かけた)

P(ただ、まず普段の響とイメージの違う靴だったし、うっかり普通の靴履いてきたりして、すぐにバレたけど)

P「仕事サボってたの律子にバレて、めちゃくちゃ怒られたけどな……まあ一件落着、ん?」

響「あー! 棚の上の物が取れないぞ!」ピョンピョン

貴音「これですか?」ヒョイ

響「……」

響「やっぱり身長が欲しいぞー!」

END

以上で終わりです。

自分はPの言うとおり、響の身長が高くても可愛いと思います!

むしろ自分より背の高いに響に頭撫で回されたい

響を肩車したい

乙です

今月の響分を確保した
おつ

おつおつ

響はかわいいなぁ!

なるほどね

響は完璧だな

ええな!

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