男「いや…何でもない」
部下「えー、いいじゃないですか、教えてくださいよ」
男「聞いても面白く無いぞ」
部下「もしかして行方不明になってる彼女さんの話ですか?」
男「ああ、そうだ…」
部下「それってすんげぇ重い話ですよね」
男「そうなるな、聞くか?」
部下「良ければ聞きたいです」
部下「先輩って自分のことあんまり話してくれませんし」
部下「私あんまり先輩のこと知らないんですよね」
男「そうだな…」
男「奴らも出てこないみたいだし、暇つぶしに話してやるよ」
部下「やったー!」
重い話聞くのにテンションあげすぎだろ
―――1年前
女「ねぇ、見て見て!すごいよこれ、何て魚かなぁ?」
男「えーと、クマノミ?」
女「ほんとだ!カクレクマノミだって!」
男「どうだ、当たったろ」
女「カクレがついてなかったよ」
男「む…細かいことは気にするな」
女「えへへ」
男「…なんか、向こう騒がしくないか?」
女「え?あ、ほんとだ」
キャー!!
男「なんだ!?」
客の男性「ウォォォ…」ガブリッ
係員「あっ…ぐぁぁ…」ブシュウウ
男「なっ…!?」
男「まずい、逃げるぞ」
女「えっ、なになに!?」
男「いいから!!」
男「こっちだ!!」
客「ガァァァ」
男「っ!?」
男「まずい!こっち!!」
女「えっ、うん!!」
―――トイレ
女「…ここ、男子トイレだよ?」
男「悪い、とりあえず逃げたらこんなとこに」
女「ねぇ、あれ何なの?」
男「わからん…まるで映画に出てくるゾンビみたいな」
女「えっ!?ゾンビって…」
男「シッ…」
男「…なあ、外の様子見てくるからさ、お前はここにいろよ」
女「えっ、やだ…私も一緒に」
男「大丈夫だ、必ず戻るから」
女「絶対、だよ?」
男「ああ、心配すんな」
女「ねえ」
男「ん?」
女「ちゅー」
男「…はいはい」
チュッ
男「俺以外の奴が来ても開けるなよ?」
女「うん…気をつけてね?」
男「おう」
バタン
男「鍵かけたか?」
女「うん、今かけるよ」カチャッ
男「じゃあ、またあとでな」
―――通路
男「…一体どうなってんだよこれは」
男「おえっ…死体なのか、これ」
男「うおええええ」ゲロゲロ
武装した男性「おい君、なにやってるんだ!」
男「え?」
武装した男性「今すぐにここから出るぞ!ついてこい!」
男「待って!彼女が!!」
武装した男性「ここはすぐに閉鎖される、急げ!!」
男「待って、話し聞けって!!」
ゾンビたち「グオオォォォ…」
武装した男性「急げ!!!」
男「う、うそだろ…」
男「なあ、彼女がいるんだ!!」
武装した男性「…諦めろ」
男「そんな、嫌だ…嫌だよ!!」
武装した男性「やむをえん…」ドゴォッ
男「ぐっ…えぇ…」
武装した男性「すまんな…」
――――
男「それっきりだ」
部下「そう、だったんですか…」
男「はは、あいつ、もしかしたら今でもここで待ってるのかもな」
部下「…」
男「そんなに落ち込むなよ」
部下「いや、その、予想以上に…」
男「きつかったか?」
部下「はい…」
男「まあ、これ聞いて笑ってた奴は今んとこいないよ」
ガタンッ
男「っ!?」
部下「誰かいるんですか!?」
男「構えろ、奴らかもしれん」
ヒタ…ヒタ…
部下「…っ!」ジャキッ
男「あっ…」
部下「…どうしたんですか」
女「あ…あ…」
男「女…?」
部下「え…?」
男「女っ…!」
部下「先輩!ダメです!!感染しています!!」
男「っ!!」
女「あぁぁぁ…」
男「そん…な…」
続けろ続けろ
水族館まるで関係なくて笑った
男「それでも…女なんだよ…」
部下「え?」
男「…ゾンビになっても、俺の大好きな彼女なんだよ」
部下「先輩…」
男「ごめんな…必ず戻るって言ったのにな」
女「グォォァァァ…」
男「女…」ジャキッ
部下「…」
男「ごめんな…」パァンッ
女「あ…」ドサッ
男「ごめん…ごめん…」
男「うっぐ…うあああ!!」
部下「先輩…」
男「うああああっ!!うああああああ!!!」
男「ああああああ!!!」
――――
女「ちょっと!ちょっと男!!」
男「え…?あれ…?」
女「もう…デート中に居眠りとか酷いよ」
男「あれ?部下は?」
女「部下…?誰それ、あ、もしかして浮気!?」
男「えっ、いや、あの…」
男「えっ?」
夢オチかい
サイレンみたいに感染者にしか見えない風景があるんじゃね
男「えーと…どうなってんだ?」
女「もう、男が夜勤明けできついからちょっと横になるって言ってそのまま寝ちゃったんだよ?忘れたの?」
男「あ、ああ、そうだったか…」
女「ねえ、それより部下って誰?」
男「いや、その…か、会社の子」
女「ふーん、まあいいけど、もうすぐイルカショー始まるよ?」
男「うお、マジか、急がなきゃ!」
女「もー!!」
…
係員「さあ、ショーもフィナーレです!」
ザパーン
男「おぉー」
女「すごいねー!きゃー!!」
男「…」
女「ねえ、どうしたの?」
男「いや、その…さっき、居眠りしてごめんな」
女「ううん、いいよ、仕事で疲れてたんだもんね」
男「あはは…」
―――水族館、売店
女「ねー!ちょっと寄ってこ?」
男「おう、いいぞ」
女「わー、すごい綺麗」
男「なあ、これ」
女「ん?なぁに?」
男「お前に、似合うかなって…」
女「え?イルカのペンダント?」
男「お、おう、良かったらその、買ってやらんこともない…」
女「嬉しい、買ってほしいな」
男「う、うん、買ってくる」
女「もう…」クスッ
…
男「買ってきた、つけてやるから」
女「うん、ありがと」
男「よし、出来た」
女「ねえ、似合ってる?」
男「凄く似合ってる」
女「良かった、これ、一生宝物にするね!」
男「ははは」
みてるよ
女「でもこれ、男にあげるね」
男「え?何で?せっかく買ってやったのに…」
女「私にはもう必要なくなっちゃったから…」
男「え?お、おい、女?」
女「ちゃんと迎えに来てくれてありがと」
男「女…?」
女「男のこと、ずっと大好きだよ」
女「でもね、前を向いてほしいな」
女「あ、部下ちゃんて結構可愛いんでしょ?」
女「きっと男のこと好きだよ?」
女「もう、新しい彼女作っても浮気とかじゃないからね?」
男「な、なあ…何を言って…」
女「ばいばい」
男「待って!行かないで!!俺まだお前と一緒に色んなとこ行きたいんだよ!!」
男「まだまだやってないことたくさんあるし…」
―――
男「女ぁー!!!」
部下「うわっ!?」
男「あ…夢…か」
部下「先輩…良かったぁ…」
部下「急に…倒れちゃうから、どうしたのかと思って」
男「あ、ああ…悪い」
男「なんか、夢見ててさ…」
男「女、これ、言われたとおりにもらっていくよ」
部下「…?」
部下「イルカのペンダント?」
男「ああ、騒動が起こる前に売店で買ってやったんだ」
部下「…そうなんですか」
男「こいつ、こんなになってもこれだけは大事につけてたんだな」
部下「そりゃそうですよ」
部下「恋人からもらった物なんだから、大事に決まってるじゃないですか」
男「なあ、こいつさここで眠らせてやってもいいかな?」
男「魚とか凄く好きだったんだよ」
部下「良いと、思いますよ」
男「…じゃあな、女」
男「よし、あとは回るところはないかな」
部下「はい、ここはもう奴らはいないみたいです」
男「そうか、帰ろう」
部下「なんだか、寂しいですね」
男「ん?」
部下「水族館て、家族連れとかで賑わってたんでしょうね」
男「ああ、そうだな」
部下「…なんか、すごく悲しくなります」
男「なあ」
部下「はい?」
男「お前って可愛い顔してるよな」
部下「えっ!?」
男「あ、いや、すまん…ちょっと暗い話題から逸らしたくなって」
部下「も、もう…」
男「何でこの仕事しようと思ったんだ?」
男「体力仕事だし、お前みたいな女には難しいんじゃ」
部下「そうですね…確かに」
部下「ふふ、先輩は覚えてないと思いますけど」
部下「私ね、先輩に助けてもらったんですよ」
男「え?」
部下「半年前だったかなぁ…」
部下「私が襲われそうになってたところに駆けつけた部隊に先輩もいたんですよ」
部下「ていうか、私を襲おうとしてたやつを倒してくれたのが先輩です」
男「やばい全然覚えてない」
部下「あはは…」
部下「だから、先輩と同じチームになった時すごく嬉しかったです」
男「ほぉー…」
部下「あ、動機的には不純ですかね…あはは」
男「いや、そんなことはないと思うぞ」
しえん
男「それにお前、俺達の中でもかなり優秀だしさ」
男「すごいよ、俺が先輩かもしれないけど」
男「俺より頑張ってくれてると思うし」
部下「あ…その…それは…あの…」
部下「先輩…」
男「ん?」
部下「あの、今夜…部屋行ってもいいですか?」
男「えっ!?」
部下「あ、あの!わかんないことがあって!先輩にしか相談できなくて!」
男「あ、ああ…えーと、それって今じゃダメなのか?」
部下「あ、はい、あの、今はちょっと色々と心の準備とか今はダメです」
男「落ち着け…」
部下「はい、なので今夜ダメですかね…?」
男「か、かまわんが…」
ものすごく微妙
読んでる
眠いのでこれで終わり
続き書くの?
終わりかよぉ!
起きただろ?ささはよ続き!
短いのに何か心に来る(´・ω・`)
(´・ω・`)
ho
shu
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