ストップマン「俺の出番だな!」(20)

誰かが心から「止めてくれ!」と願った時、彼はやってくる。

神出鬼没、正体不明。

ただひとつ分かることは彼の名前。

────ストップマン

これはヒーローと呼ばれたい男の活躍の記録である。

男「……うあー……6月とは言え暑いよなぁ」

男「クーラーのきいた図書館で暇つぶしでも……ん?」

カタカタカタカタ...

母親「誰かーっ!誰か止めてーっ!!」

男「!!」

男「ベビーカーが!ベビーカーが坂道を駆け下りてくる!」

男(この坂の下は大通りだ!このままじゃあ……赤ちゃんが危ない!)



男「チェーンジッ!ストップマン!」

説明しよう!
男が腕のブレスレットに手をかざし、「チェンジ、ストップマン」と叫ぶことで音声認識により変身機構が起動する!!
ブレスレットの転送機能が亜空間からナノマシンを送り出し、男の体を包むことにより、わずか0.003秒でストップマンへと変身できるのだ!!!!



ストップマン「くっ、いつもなら名乗り口上があるんだが、今回は省略だ!」

ストップマン「ストップ・ワイヤーっ!」ギュオオオンッ!!!

母親「きゃあああああっ!!」

ストップマン「ま・に・あ・ええええっ!!」



ガシッ



ストップマン「よし!掴んだぞ!」

赤ちゃん「ほぎゃあ!ほぎゃあ!ほぎゃあ!」

ストップマン「よぉしよし、もう大丈夫だぞー」

母親「……ああ、私の赤ちゃん!」

ストップマン「間に合ってよかった。赤ちゃんもベビーカーも無事ですよ」

母親「人の赤ちゃんに触らないで!!」

母親「なんなんですか貴方は!?うちの娘がもし怪我したらどうするの!?」

母親「あんな紐を使ったら傷がつくでしょう!?ほら、ベビーカーのシェードにこすれた痕があるじゃない!!」

ストップマン「え、はぁ……いやしかし……」

母親「第一、もっと早く来てくれたら間に合いましたよね!信じられない!人の娘を殺す気!?いきましょ!!」スタスタ...

ストップマン「……え、あ……あ」

ストップマン「……変身解除」

キュゥゥゥン...

男「……」

男「まぁいいや、図書館へいこう」

…………

……

男「この公園通っていくと近道なんだよなぁ……ん?」

学生「……」ゴソゴソ

男(おや……まだ昼間だって言うのに、制服で何してるんだろう)



────説明しよう。男は無職である!
ハロワに行く気にもならず、金を使わないように一日中ぶらぶらしているのだ!!



男(枝にロープをかけて……ま、まさか自殺か!?)

男「おい君」

学生「ひっ!?

男「そんな結び方じゃあ、途中でほどけるぞ?」

学生「な、なんなんですか、放っておいてくださいよ!もう生きていても仕方ないんだ」

男「……いやまぁ、放置希望ならそれで。んじゃあ」

学生「え、あ、ちょっと」

男「何か?」

学生「そこは普通、『自殺はやめろ!』とかそういう方向に進むんじゃ……」

男「面倒くさい。死にたきゃ死ねよ。頼まれもしないのに、美少女と大富豪以外を助ける気はないさ」

学生「そうですか……」

男「あと結び方な。もやいが簡単早いけど、やっぱハングマンズノットでしょ」

学生「詳しいっすね」

男「無職なめんなよ学生くん」

男「ああそうだ、死ぬならさ、なんで死ぬか教えてくれないか?」

学生「……い、いじめです。殴られて、脅されて、親の財布から金を盗んで……」

学生「も、もう……これしか……」

男「……俺は、『とめてくれ』って頼まれなきゃとめないぜ」

学生「だからなんなんですか」

男「逆に、とめてくれ、って頼まれたら全力で止めてやる」

学生「……今日、たまたま見かけただけのボクでも、ですか?」

男「当たり前だろ?」

学生「……」

男「とめてほしいのは君の命か?それともいじめという名の恐喝か?」

学生「……とめて、ください」

男「何をだ?」

学生「ぼくをいじめる奴らを……もう、いじめないようにしてください」

男「わかった。引き受けた。だから自殺なんかするなよ」

学生「……は、はい」



男「……特別に見せてやる。チェンジ、ストップマン!!」

────説明し(中略)だ!!

ストップマン「ストップマン、ここに見参!」

学生「な……」

ストップマン「……ストップマンイヤー!!」

────説明しよう!ストップマンイヤーは耳垢がカサカサタイプだ!!

学生「え、今のは……?」

ストップマン「解説さんだ。色々と手助けしてくれる。ところで……君をいじめている奴らは、こいつらか?」

学生「そ、そうです!」

ストップマン「よし分かった。後は俺にまかせてくれ。いいか、死ぬな。生きろ」

学生「は、はい……」

…………

……

不良A「今日のATM、3万だってさ」

不良B「しけてんなー……まぁいいや、シンジョのやつくるってさ。ホテルいこうぜ」

ストップマン「うらやましいな」

不良A「あ?」

不良B「なにあんた。コスプレ?うける」

ストップマン「それが最期の言葉だが、いいな?」

不良A「は?おいてめぇいいかげ────」

ストップマン「ストップブレード!」ズッ!!

不良A「え?かはっ」プシュッ!!

────説明しよう!ストップブレードは超高強度鍛造鋼で造られ、単振動により敵を斬り刻む非常に殺傷能力の高い武器なのだ!

不良「……え、あ……」

ストップマン「ストップマグナム!」パシュッ!!

────説明使用!ストップマグナムはサイレンサーにより静音性と殺傷力を両立させた強力な武器である!

ストップマン「死体は……お、いい所にマンホールが。ふんっ」ギギギッ

ストップマン「顔潰したし、歯も折ったし、制服はぬがせた、っと。まぁこんなもんだろ。ほい」

ドボンッ...ドボンッ...

ストップマン「うし、んじゃあ……変身解除」

男「しっかし、2人であわせて7万とか、しけてんな。まぁ臨時収入にはかわりないし……風呂でもいってスッキリするか」

…………

……

少女(だれか、だれかこのドキドキをとめて……)

男「……ん?」

少女(先輩と一緒の帰り道なんて……心臓破裂しちゃいそうだよう)

────説明しよう!男は何かを止めて欲しいという人の心の叫びを聞くことができるのだ!!

男(リア充はしね……だなんて言ってる場合じゃないな)

男(くっ……1日に4回も変身するのはさすがに体に負担が……しかしっ!)

男「チェーンジッ!ストップマン!!」

────略だ!!

少女(だめ……だめ、ドキドキしすぎて死んじゃいそう……心臓の音、ばれちゃうよ……)

少女(誰か、このドキドキをとめて、お願い……)

ストップマン「その想い、しかと聞き届けた!!」

少女「だ、誰!?」

先輩「な、なんなんだ君は!?」

ストップマン「俺か?俺はストップマン!ドキドキを止めにきたっ!」

少女「ひゃっ!?な、なにを言ってるんですか?!」

ストップマン「よし、ストップ・ヴィジョン!!」パァァァ



────説明しよう、ストップ・ヴィジョンを使うことで、過去の映像を映し出すことができるのだ!!



ストップマン「その男の真実の姿を視るがいい!」

先輩『ママ、ただいまー』

先輩母『おかえりなさい。今日一日どうだった?』

先輩『テストで100点取ったよ!ママ、ほめてほめて』

先輩母『じゃあぼくちゃんのために、ママいっぱいおいしい料理をつくってあげるわねー』

先輩『ヤッター!ママ、愛してるよ』



少女「……」

先輩「な、なんだこれは!?昨日の会話がなぜ!?」

ストップマン「ふふふ……少女よ、ドキドキはおさまったか!?」

少女「っていうか醒めました。100年の恋も醒める、って本当にあったんですね」

先輩「え、あ、少女くん!」

少女「キモいんで、明日からは学校でも声かけないでもらえますか?」スタスタスタ...



ストップマン「ふっ……任務成功だ」

…………

……

男「……」

ギチギチギチギチギチ...

男(ちっ、いつもならもっと空いてるのに、他の鉄道で事故があって振替輸送で激混みじゃねーか)

男(快速だから次の駅まで10分か……)

会社員(快速だから次の駅まで10分か……)

男(ん?)

会社員(やばい、腹が急に痛くなってきた……)

支援

支援

支援

いくらなんでもストップしすぎだ

支援

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